JP3715295B2 - 照明装置及びそれを用いた投写型画像表示装置 - Google Patents

照明装置及びそれを用いた投写型画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、照明装置及びそれを用いた投写型画像表示装置に関するものである。
従来、大画面映像を表示する方法として、映像信号に応じた画像を表示する小型のライトバルブを照明し、その画像を投写レンズにより拡大投写する投写型画像表示装置が知られている。ライトバルブには透過型又は反射型の液晶パネルを用いたものや、微細なミラーの集合体であるデジタルミラーデバイスを用いたものがあり、これらを用いた投写型画像表示装置が実用化されている。以下、従来の投写型画像表示装置について説明する。
図21は、特許文献1に開示された従来の柱状光学素子(以下、「ロッドインテグレータ」という。)とライトバルブとを用いた投写型画像表示装置を示す光学系概念図である。図中、2はランプ、3は楕円凹面鏡、4はリレーレンズ系、5はフィールドレンズ、6は透過型ライトバルブ、7は投写レンズ、15はガラス材料からなるロッドインテグレータである。
次に動作について説明する。ランプ2の発光中心は楕円凹面鏡3の第1焦点近傍に配置され、ランプ2より射出する光束は楕円凹面鏡3で反射された後、楕円凹面鏡3の第2焦点近傍に集光される。ロッドインテグレータ15の入射面は前記の第2焦点近傍に配置されており、入射した光束はロッドインテグレータ15の長手方向の側面で適宜全反射されロッドインテグレータ15より射出する。
ここで、従来のロッドインテグレータ15の基本動作を説明する。図22は、入射した光線の動作を示す上面図であり、図23は入射した光線の動作を示す側面図である。図中、角度θで入射した光線は、ロッドインテグレータ15の長手方向の側面で適宜全反射し、角度を保存伝達され角度θで射出される。従って、例えば楕円凹面鏡3の集光角の最大値が30度であれば、これに対応した最大30度の光線がロッドインテグレータ15から射出される。
また、入射する光線の角度が異なれば、ロッドインテグレータ15の長手方向の側面で適宜全反射される回数が異なり、これらは射出面で混合されるため、入射面では不均一な照度分布であっても射出面で重畳され、結果としてロッドインテグレータ15の射出面では均一性に優れ、かつ所望の照明領域と略等しい形状の照明光束を得ることが可能となる。但し、反射回数が多いほど均一性に優れることからロッドインテグレータ15の長さは十分にとられていることはいうまでもない。
また、ロッドインテグレータ15から射出された光束は、少なくとも1枚から構成されるリレーレンズ系4及びフィールドレンズ5を介して透過型ライトバルブ6を照明する。透過型ライトバルブ6は駆動回路(図示せず)から出力される電気信号によって画像を表示する。透過型ライトバルブ6に表示された画像は、投写レンズ7を介して拡大投写されスクリーン(図示せず)に投写される。
また、一方でこのような投写型画像表示装置では、投射画像の高輝度化に対する要望が高く、複数の光源を用いた投写型画像表示装置が開示されている。例えば、特許文献2のように複数の光源の出射光束を光ファイバなどの光ガイド手段により合成する方法及び光源を所定の位置に配置させ、反射ミラー、反射プリズムなどにより反射した光を合成する方法が開示されている。
さらに、下記特許文献3には、光源は前記特許文献1と同様に1個であるが、ロッドインテグレータに、入射端面から出射端面に向かって断面形状が連続的に増大するテーパ部を形成している。この構成は、テーパ部のテーパ角の制御により、ランプからの集光光束の平行度を所望の値にするというものである。
米国特許第6634704号明細書 特開平9−50082号公報 特開平11−142780号公報
以上に示した従来の投写型画像表示装置の構成においては、明るさを向上させるために、ランプの消費電力を上げたり、点光源に近いランプ、例えば超高圧水銀灯の電極間距離1.3mm以下のものを用いて集光率を向上させて明るさを向上させる方法が取られている。
しかしながら、前記のような2つの方法を用いた場合、同じ電極間距離のままで消費電力を上げると光源の寿命が著しく短くなってしまう。また、消費電力はそのままで、さらに電極間距離を短くした場合にも光源の寿命は著しく短くなってしまう。従って、前記特許文献1、3のように光源が1つである構成においては、光源の寿命を短くすることなく装置の明るさをさらに向上させることが課題となっている。
一方、複数個の光源を用いることで明るさを向上させようとする前記特許文献2に開示された方法は、光源と楕円凹面鏡からなる光源部から射出される光線の集光角がそのまま射出される合成方法である。例えば2つの光源部からの光束を合成した場合、集光角15度程度までの楕円凹面鏡から射出される光線は、合成され射出される最大広がり角が30度程度になる。
このため、反射ミラー、反射プリズムからなる合成部後段に用いられる集光レンズは実現可能ではあると考えられるが、集光角15度程度の楕円凹面鏡で集光率を十分に取ろうとすると楕円凹面鏡の第1焦点位置と第2焦点位置を十分に離し、かつ楕円凹面鏡自体を大きくする必要があるため装置を小型化することができないという問題があった。
また、現在は明るさ向上と装置の小型化を重視した集光角30度程度の楕円凹面鏡を使用するのが主流となっているが、これを2つ用いた場合、反射ミラー、反射プリズムからなる合成部から反射される光線の集光角に対応した最大広がり角は60度程度となり、合成部後段に用いられる集光レンズを実現することは困難であり実用的でない。
前記特許文献3の構成によれば、ロッドインテグレータのテーパ部により、出射端面の広がり角を制御することができる。しかしながら、この技術は光源が1つの構成において、ロッドインテグレータの水平、垂直の両方向に形成されたテーパ面により、水平、垂直の両方向の光束の平行度を制御するというものである。すなわち、特許文献3には、光源を2つ用いた場合に、最大広がり角が大きくなることに対応した技術は、開示されていなかった。
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、複数の光源部から被照射領域を高輝度かつ均一にできる照明装置、及びこれを用いた投写型画像表示装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の照明装置は、ランプ及び凹面鏡を含む光源部と、ロッドインテグレータと、前記ロッドインテグレータから射出された光束を導くリレーレンズ系とを備えた照明装置であって、前記ロッドインテグレータは、入射端面を上底、射出端面を下底とする柱状光学素子であり、前記射出端面の長辺方向を水平方向、短辺方向を垂直方向とすると、前記柱状光学素子の前記上底及び前記下底以外の4面の側面のうち、1対の向かい合う側面は、前記入射端面から前記射出端面に向けて両側面が互いに前記水平方向又は前記垂直方向に離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かい合ったテーパ面を形成しており、前記光源部からの光は、前記ロッドインテグレータの入射端面近傍に収束照射され、前記光源部は、前記水平方向又は前記垂直方向に2個配置されていることを特徴とする。
次に、本発明の投写型画像表示装置は、ランプ及び凹面鏡を含む光源部と、ロッドインテグレータと、前記ロッドインテグレータから射出された光束を導くリレーレンズ系と、前記リレーレンズ系から導かれた光束を変調し、画像を形成するライトバルブと、前記ライトバルブの形成した画像を投写する投写レンズとを備えた投写型画像表示装置であって、前記ロッドインテグレータは、入射端面を上底、射出端面を下底とする柱状光学素子であり、前記射出端面の長辺方向を水平方向、短辺方向を垂直方向とすると、前記柱状光学素子の前記上底及び前記下底以外の4面の側面のうち、1対の向かい合う側面は、前記入射端面から前記射出端面に向けて両側面が互いに前記水平方向又は前記垂直方向に離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かい合ったテーパ面を形成しており、前記光源部からの光は、前記ロッドインテグレータの入射端面近傍に収束照射され、前記光源部は、前記水平方向又は前記垂直方向に2個配置されており、前記ロッドインテグレータから射出される光束を、前記光束の光軸を中心に、前記ライトバルブの配置に合わせて回転させて前記ライトバルブに導く光回転手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、射出端面における水平方向の光の広がり角を、入射端面における水平方向の光の広がり角と異なるように制御することができるので、高輝度かつ均一な光を得ることができる。
本発明の照明装置又は投写型画像表示装置によれば、ロッドインテグレータの一対のテーパ面により、射出端面における光の広がり角を制御でき、2個以上の光源部を用いた場合、入射端面における光の広がり角が水平方向と垂直方向とで異なっていても、射出端面における光の広がり角を水平方向と垂直方向とで略同一にできる。このため、高輝度かつ均一な光を得ることができる。また、装置の小型化を実現することができる。また、前記本発明の投写型画像表示装置は、光回転手段を備えているので、ライトバルブの光利用効率を向上させることができる。
前記本発明の照明装置又は投写型画像表示装置においては、前記柱状光学素子の上底及び下底以外の4面の側面のうち、一方の向かい合う側面は、平面同士が互いに平行に向かいあった部分を形成しており、他方の向かい合う側面は、前記入射端面から前記射出端面に向けて両側面が互いに離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かいあったテーパ面を形成していることが好ましい。この構成によれば、平面同士が平行に向かいあった側面を反射する光は、入射端面における光の広がり角と射出端面における光の広がり角とが同じになり、テーパ面を反射する光は、入射端面における光の広がり角と射出端面における光の広がり角とが異なることになる。このことにより、合計2個の光源部を用いた場合、入射端面において光の広がり角が水平方向と垂直方向とで異なっていても、射出端面における光の広がり角を水平方向と垂直方向とで略同一にできる。
また、前記2個の光源部に並列に、さらに2個の光源部が配置されており、前記柱状光学素子の上底及び下底以外の4面の側面のうち、2対の向かい合う側面はいずれも、前記入射端面から前記射出端面に向けて両側面が互いに離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かいあったテーパ面を形成していることが好ましい。この構成によれば、合計4個の光源部を用いた場合、射出端面における光の広がり角を水平方向と垂直方向とで略同一にでき、射出端面における光の広がり角を入射端面における光の広がり角より小さくできる。このため、特に高輝度な光を望む場合に有利である。
また、前記2個の光源部を、それぞれ第1の光源部、第2の光源部とすると、前記第1の光源部からの光を前記ロッドインテグレータの入射端面に導く第1の反射手段と、前記第2の光源部からの光を前記ロッドインテグレータの入射端面に導く第2の反射手段とをさらに備えたことが好ましい。この構成によれば、第1、第2の反射手段を備えているので、2つの光源部の配置の自由度を高めることができる。
また、前記ロッドインテグレータの前記射出端面から射出される光の広がり角度は、水平方向の最大値と垂直方向の最大値とが略同一であることが好ましい。この構成によれば、高輝度かつ均一な光を得るのにより有利である。
また、前記一対の互いに平行な平面の法線方向を第1の方向、前記ロッドインテグレータの中心線と直交し、かつ前記第1の方向と直交する方向を第2の方向とすると、前記ロッドインテグレータの前記入射端面に入る光の広がり角度は、第1の方向の最大値に比べ、第2の方向の最大値が大きくなるように、前記2つの光源部は配置されており、第2の方向の最大値に対応した光は、前記ロッドインテグレータの前記テーパ面で反射され、第1の方向の最大値に対応した光は、前記ロッドインテグレータの互いに平行な平面で反射され、前記射出端面における光の広がり角度は、第1の方向の最大値が、前記入射端面における第1の方向の最大値と略同一であり、第2の方向の最大値が、前記入射端面における第2の方向の最大値より小さくなっていることが好ましい。この構成によれば、ロッドインテグレータの平行面を用いて入射端面における垂直方向の光の広がり角と略同一にしつつ、ロッドインテグレータのテーパ面を用いて射出端面における水平方向の光の広がり角を、入射端面における水平方向の光の広がり角と異なるように制御することができる。
また、前記第1の光源部の射出方向に前記第2の光源部があるように向かい合って配置されていることが好ましい。
また、さらに投写レンズを備えており、前記2つの光源部の凹面鏡の光軸と前記投写レンズの光軸とが垂直であることが好ましい。この構成によれば、光源部の光軸は設置調整角が変化しても傾かないようにすることができ、光源の寿命を損ねる可能性が少なく、信頼性を高めることができる。
また、前記第1の光源部及び前記第2の光源部は、前記第1の光源部の凹面鏡の光軸と前記第2の光源部の凹面鏡の光軸とが、前記ロッドインテグレータの中心線と交差しないように配置されていることが好ましい。この構成によれば、反射手段を設けたことにより、光線の使用できない部分が生じることを防止できる。
また、前記第1、及び第2の反射手段は、誘電体材料をコーティングした反射ミラー又はプリズムで構成されていることが好ましい。
また、前記ロッドインテグレータの中心線と前記凹面鏡の頂点を通る前記凹面鏡の光軸とがなす角度を入射角とし、前記凹面鏡の有効開口の最外周部から射出した光束が、前記入射端面において前記ロッドインテグレータの中心線となす角度を最大角とし、前記最大角と前記入射角との差を集光角とすると、前記入射角は前記集光角より小さいことが好ましい。この構成によれば、装置の明るさを向上させることができる。
また、前記入射角の前記集光角に対する比率が、60%以上80%以下の範囲であることが好ましい。この構成によれば、集光効率がより良好になる。
(実施の形態1)
最初に図1を用いて実施の形態1に係る投写型画像表示装置の構成及び動作について説明する。図1は、実施の形態1に係る光学系概念図の上面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る投写型画像表示装置は、2つの光源部101、102と、ロッドインテグレータ1と、ロッドインテグレータ1から射出された光束を導くリレーレンズ系4と、フィールドレンズ5と、リレーレンズ系4から導かれた光束を変調し、画像を形成する透過型ライトバルブ6と、ライトバルブ6の形成した画像を投写する投写レンズ7とを備えている。
なお、図1は、投写型画像表示装置の例で図示しているが、光束の進行順に2つの光源部101、102からリレーレンズ系4までの構成は、照明装置でもあり、この照明装置を独立して用いることもできる。また、この照明装置にはさらに投写レンズを追加してもよい。このことは、以下の実施の形態においても同様である。
光源部101と102とは同じ構成であり、それぞれ光源2と、光源2からの光を集光する集光光学系である凹面鏡3とを備えている。光源2としては、超高圧水銀ランプ、メタルハイドロランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等の白色ランプを用いることができる。凹面鏡3は、本図の例では楕円凹面鏡である。また、ロッドインテグレータ1は耐熱性の良好なガラス材料で形成している。
図2はロッドインテグレータ1の斜視図であり、図3Aは上面図、図3Bは、側面図、及び左右の側面図である。図2に示すように、ロッドインテグレータ1は入射端面130Fを上底とし、射出端面130Bを下底とし、4面の側面(130T、130U、130L、130R)を備えた柱状光学素子である。互いに向かい合う側面のうち、一方の側面130T及び130Uは平行な平面である(図3B参照)。また、他方の向かい合う側面130L及び130Rは、入射端面130Fから射出端面130Bに向けて、両側面130L及び130Rが互いに離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かいあっている(図3A参照)。
なお、本実施の形態において、「水平方向」とは、射出端面130Bの長辺方向(図2の矢印a方向)のことであり、「垂直方向」とは、射出端面130Bの短辺方向(図2の矢印b方向)のことである。このことは、以下の実施の形態においても同様である。
すなわち、ロッドインテグレータ1を垂直方向について見ると、一対の側面130T、130Uが互いに平行に形成されているが、水平方向について見ると、一対の側面130R、130Lが、入射端面130Fから射出端面130Bに向けて広がるようにテーパ状に配置されている。
図1において、ランプ2と凹面鏡3とを含む一対の光源部101及び光源部102の2個の光源部が、水平方向(矢印a方向)に配置されている。また、光源部101及び光源部102の各ランプ2の発光中心は、凹面鏡3の第1焦点近傍に配置されている。
各光源部101、光源部102は入射端面130Fに対して入射角θで配置されており、各ランプ2より射出した光束は、凹面鏡3で反射された後、入射端面130F近傍、すなわち凹面鏡3の第2焦点近傍に収束照射される。ここで、入射角とは、ロッドインテグレータの中心線103と凹面鏡3の頂点3aを通る凹面鏡3の光軸とがなす角度のことである。図1の例では、角度θが入射角に相当する。
なお、入射端面130Fとランプ2との間に凹面鏡3とは別に反射面を設けた場合、凹面鏡3の頂点3aと交わる光線とは、中心線103と入射端面130Fとの交点を通り、反射面を介して凹面鏡3の頂点3aと交わる光線のことである。
前記のように、ロッドインテグレータ1の入射端面130Fは、凹面鏡3の第2焦点近傍に配置されており、入射した光束はロッドインテグレータ1の垂直方向及び水平方向の側面で適宜全反射されロッドインテグレータ1の射出面130Bより射出する。
次に、ロッドインテグレータ1の基本動作を説明する。図4は、入射した光線の動作を示すロッドインテグレータ1の上面図であり、図5は入射した光線の動作を示すロッドインテグレータ1の側面図である。
図4の図示は、最大角(2θ)で入射端面130Fに入射した光線が、ロッドインテグレータ1内で反射され、射出端面130Bから射出する様子を示している。ここで、最大角とは、ロッドインテグレータ1の入射端面130Fに入射する光のうち、光源1つ分に対応した最大角のことである。
より具体的には、凹面鏡3の有効開口(図1の有効径R)の最外周部から射出した光束が、入射端面130Fにおいてロッドインテグレータ1の中心線103となす角度のことである。図1の例では、角度θMが最大角に相当する。
また、集光角というときは、最大角から入射角を引いた角度のことをいう。
最大角をθMAX、入射角をθE、集光角をθcとして、以上の関係を整理すると下記式(1)のようになる。
式(1) θMAX=θE+θc
図1の例では、入射角θEと集光角θcとがいずれもθであり、最大角θMAXは2θとなる。図4に示したように、最大角2θで入射した光線は、ロッドインテグレータ1の一対のテーパ面で適宜全反射されることにより、最大角2θとは異なる角度θ′で射出端面130Bから射出されることになる。
一方、図5において、角度θ"で入射した光線は、ロッドインテグレータ1の1対の互いに平行な側面間で適宜全反射するので、角度は保存伝達され、入射時と同じ角度θ"で射出されることになる。
図2、3において、例えば、ロッドインテグレータ1の射出面の水平有効寸法を7.6mm、テーパ角を約1.63734度、長さを56.18624mm、長手方向の側面での反射回数を5回とし、ロッドインテグレータ1の硝子材料に耐熱性、光学特性の良好な石英(屈折率ndを1.45874)を用いた場合、図4において、最大角である2θが60度で入射した光は、約30度で射出させることができる。また、図5において、30度で入射した光は、角度を保存伝達され30度で射出されることになる。
より具体的には、前記のように各凹面鏡3の入射角が30度である場合、各凹面鏡3の最大角は、前記式(1)によれば、60度となる。図1の構成のように、2つの凹面鏡3を水平方向に配置した場合は、最大120度の光がロッドインテグレータ1の入射端面130Fに入射することになるが、射出端面103Bの最大射出角度は約60度に制御することが可能となる。
一方、垂直方向についてみると、凹面鏡3を2つ配置した場合であっても、入射する光の入射端面における角度の最大値は、凹面鏡3が一つの場合と変わりなく、この最大値は60度であり、平行面間で反射しながら角度が保存伝達され60度で射出されることになる。
このことにより、ロッドインテグレータ1へ入射する光の入射端面130Fにおける角度の最大値が水平方向において120度、垂直方向において60度であったとしても、射出端面130Bでの射出角は、水平方向及び垂直方向ともに約60度にすることが可能となる。
すなわち、入射端面130Fに入射する光束の広がり角度は、水平方向の最大値が、垂直方向の最大値より大きくなっていても、射出端面130Bから射出される光束の広がり角度は、水平方向の最大値と垂直方向の最大値とを略同一にすることが可能となる。
また、ロッドインテグレータ1の射出部近傍に少なくとも赤、青、緑の3原色を透過させるダイクロイックフィルターからなり、かつ回転することにより白色光を時分割で色分解するカラーホイール(図1には図示せず)を配置させることでカラー表示も可能とすることができる。
尚、前記カラーホイールは、構成するダイクロイックミラーにコーティングされる薄膜の特性上、入射角30度程度に対応する仕様のものが主流であり、この場合この30度が凹面鏡3の入射角の所望の角度である。
さらに、入射する光線の角度が異なれば、ロッドインテグレータ1の垂直方向及び水平方向の一対のそれぞれの側面で適宜全反射される回数が異なり、射出面で混合されるため、入射面では不均一な照度分布であっても射出面で重畳され、結果としてロッドインテグレータ1の射出端面130Bでは均一性に優れ、かつ所望の照明領域とほぼ等しい形状の照明光束を得ることが可能となる。
但し、反射回数が多いほど均一性に優れることが一般的であるが、テーパ角と入射光線の反射回数により最大の射出角が決まることを考慮して、ロッドインテグレータ1の形状を決める必要があることはいうまでもない。
次に、図6を用いてロッドインテグレータ1の形状の決定について説明する。図6は、ロッドインテグレータ1の上面図である。ロッドインテグレータ1の形状を決定するには、詳細は数式を参照しながら順次説明するが、入射端面130Fに入射する光のうち、最大角で入射する光線のテーパ面130R、130Lでの反射回数(以下、「反射回数」という)を決定し、テーパ角θT、入射端面130Fにおける水平方向の寸法L′を導出することが必要となる。
さらに、射出端面130Bの水平方向の寸法L、光源の最大角θMAX、ロッドインテグレータ1の屈折率ndの値が必要となるが、これらは定数である。すなわち、寸法Lはライトバルブの形状等に応じて決定され、最大角θMAXは、各光源部の入射角に応じて決定され、屈折率ndはロッドインテグレータを構成する材料から決定されるためである。また、射出角θEの値も必要となるが、この値は、最大角θMAXに応じて決定する要求値であり、これも定数である。
図6において、最大角θMAX(度)で入射端面130Fに入射した光のうち、屈折直後の射出角をθ′MAX(度)とすると、スネルの法則より、下記の式(2)が成り立つ。
式(2) 1×sinθMAX=nd×sinθ′MAX
また、最大角θMAXで入射端面130Fに入射した光のうち、射出端面130Bでの屈折直前の射出角をθ′E(度)とし、射出端面130Bでの屈折直後の射出角をθE(度)とすると、同様にスネルの法則より、下記の式(3)が成り立つ。
式(3) 1×sinθE=nd×sinθ′E
また、図6のように、反射面130R、130Lの法線を基準として、初期入射角θR1(度)を設定すると、θR1は下記の式(4)で表わされる。
式(4) θR1=90−(θ′MAX−θT)
また、図6のように、反射面130R、130Lの法線を基準として、反射回数n(n=2,3,4…)での入射角θRn(度)を設定すると、θRnは下記の式(5)で表わされる。
式(5) θRn=θR1+2×θT×(n−1)
式(4)、(5)より、θR1を消去すると、下記の式(6)が得られる。
式(6) θRn=90−(θ′MAX−θT)+2×θT×(n−1)
一方、射出端面130Bでの屈折前の射出角θ′Eは、下記の式(7)で表される。
式(7) θ′E=90−θRn−θT
式(7)を変形すると、下記の式(8)が得られる。
式(8) θRn=90−θT−θ′E
式(6)、(8)のθRn同士は等しいので、下記式(9)が得られ、θTを求めることができる。
式(9) θT=(θ′MAX−θ′E)/2n
一方、入射端面130Fの水平方向の寸法L′(mm)は、公知である照明光学系の前後で照明領域の面積と照明光の立体角の積が一定であることと同様に考えて、ロッドインテグレータ1の射出面の面積と照明光の射出角の積と、透過型ライトバルブ6の面積と照明光の立体角の積が等しくなっていることから、下記のように表される。
π×L′×V×sinθMAX×sinθV=π×L×V×sinθE×sinθV
ただし、V(mm)はロッドインテグレータの垂直方向の寸法であり、θV(度)は垂直方向の入射最大角、L(mm)は射出端面130Bの水平方向の寸法である。
この関係により、L′は下記の式(10)により決定される。
式(10) L′=L×sinθE/sinθMAX
このように、テーパ角θT、入射端面130Fの水平方向の寸法L′が決定されることにより、ロッドインテグレータ1の長手方向の寸法H(mm)は、下記の式(11)で決定されることになる。
式(11) H=(L−L′)/2tanθT
以上のように、寸法L、反射回数n、最大角θMAX、射出角θEを決めれば、寸法L′、テーパ角θT、長手方向の寸法Hを導出することができ、ロッドインテグレータ1の形状を決定することができる。
なお、前記のようにロッドインテグレータ1の形状は、前記各式に所定の数値を代入して理論値を算出することができる。しかしながら、凹面鏡3の楕円形状、ランプ2の管球形状、ランプの配光特性、アークの強度分布を考慮すると、寸法Hの理論値に対して調整が必要な場合もある。
また、算出値に対しては、許容範囲があり、前記式(9)のθT(度)は、下記の範囲であることが好ましい。
[(θ′MAX−θ′)/2n]−1≦θT≦[(θ′MAX−θ′)/2n]+1
また、θT(度)の算出値に対して、+5′(分)以内−5′(分)以上の範囲内であればより好ましい。このような範囲内であれば、研磨公差内で作成が可能である。
以下、前記各式を用いた算出例について説明する。例えば、現在は明るさ向上と装置の小型化を重視した集光角(入射角)30度程度の楕円凹面鏡を使用するのが主流となっている。このことから、算出例に係るロッドインテグレータ1は、この楕円凹面鏡を2つ用いたものとする。この場合、前記式(1)より、最大角θMAXは、60度となる。射出角θEの要求値を30度とすると、前記式(2)〜(9)より、テーパ角θTは1.63734度と求められる。
一方、ライトバルブの大きさに応じて射出端面130Bの水平方向の側面の寸法Lを7.6mmとすると、式(10)より入射端面130Bの寸法L′は4.38786mmと決定することができる。
また、式(11)より、寸法Hは56.1862490mmと決定することができる。
ただし、反射回数は5回とし、ロッドインテグレータ1の屈折率ndは1.45874として計算した。
なお、反射回数n、最大角θMAXを変化させた場合のテーパ角θT、寸法L′、寸法Hの変化については、以下の各表に示した。表1はθMAXと反射回数nからテーパ角θTを計算した結果であり、表2はθMAXと射出端面寸法Lから入射端面130Fの寸法L′を計算した結果であり、表3は計算したテーパ角θT、射出端面130Bの寸法L及び入射端面130Fの寸法L′を用いて、反射回数n、最大角θMAXを変化させて、寸法Hを計算した結果である。
ただし、ロッドインテグレータ1のndは1.45874、射出端面130Bでの射出角θEは30度として計算している。
Figure 0003715295
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Figure 0003715295
このようにして決定されたロッドインテグレータ1から射出された光束は、少なくとも1枚から構成されるリレーレンズ系4及びフィールドレンズ5を介して透過型ライトバルブ6を照明する。
透過型ライトバルブ6は駆動回路(図示せず)から出力される電気信号によって画像を表示する。透過型ライトバルブ6に表示された画像は、投写レンズ7を介して拡大投写されスクリーン(図示せず)に投写される。
本実施の形態によれば、射出端面130Bにおける垂直方向の光の広がり角を、入射端面130Fにおける垂直方向の光の広がり角と略同一にしつつ(図5参照)、射出端面130Bにおける水平方向の光の広がり角を、入射端面130Fにおける水平方向の光の広がり角(最大角)と異なるように制御することができる(図4参照)。
このことにより、例えば入射端面130Fにおいて最大角が60度(図4の2θ)、中心線103に対する垂直方向の広がり角が30度(図5のθ″)である光について、射出端面130Bにおける水平方向の光の広がり角(図4のθ′)と、垂直方向の光の広がり角(図4のθ″)とを同じ30度にすることができる。
したがって、光源を2個用いた場合には、射出端面130Bから射出される光の広がり角度は、水平方向の最大値と垂直方向の最大値とが同じ60度となり、高輝度かつ均一な光を得ることができることになる。輝度に関しては、1つの光源部で実現される場合の輝度に比べ1.7〜1.8倍程度にすることが可能となる。また、1つの光源部を交互に使用することにより、各光源部の光源が切れるまでの時間が長くなるので、光源が1つである装置と比べ、光源寿命を2倍程度にすることも可能となる。
なお、本実施の形態では、投写型画像表示装置の例で説明したが、光の進行順に光源2からリレーレンズ系4までの構成を少なくとも備えた装置を照明装置として用いれば、高輝度かつ均一な光を照射できる照明装置を実現できる。このことは以下の実施の形態においても同様である。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る投写型画像表示装置の光学系概念図を示している。図1に示した実施の形態1に係る投写型画像表示装置と同一構成のものは、同一番号を付してその詳細な説明は省略する。図7に示した構成は、図1に示した構成に比べ、2つの光源部101、102の配置が異なっており、第1の反射手段48、第2の反射手段49が設けられている。
本実施の形態では、第1の反射手段、第2の反射手段として、合成用プリズム48、49を用いている。この合成用プリズム48、49は、耐熱性の良好なガラス材料で形成しており、反射面には反射率の良好な誘電体多層膜をコーティングしている。
また、誘電体多層膜をコーティングした反射ミラーでもよい。ただし、アルミ又は銀を蒸着したプリズムや反射ミラーを用いる場合には、合成部の全段に紫外線を除去するフィルターを挿入する必要がある。
第1の反射手段48は、光源部102からの光をロッドインテグレータ1の入射端面130Fに導くものであり、第2の反射手段49は、光源部101からの光をロッドインテグレータ1の入射端面130Fに導くものである。第1の反射手段48、第2の反射手段49は、上面から見た場合、ロッドインテグレータ1の入射端面130Fと反対側に開口した略くの字型(入射端面130F側から見て略V字型)になるように配置されている。このような配置とすることにより、第1の反射手段48、第2の反射手段49の反射面の傾斜角度を、最大角の1/2の角度にしている。
本実施の形態は、第1の反射手段48と第2の反射手段49を用いることで、光源部101、102の配置の自由度は高くなり、図7の例では、光源部101と光源部102とは、水平方向において互いに向かい合うように配置されている。すなわち、光源2同士、凹面鏡3同士は、水平方向において互いに向かい合っている。各光源2より射出する光束は、各凹面鏡3で反射された後、それぞれ、第1の反射手段48、第2の反射手段49で反射される。この反射光は、ロッドインテグレータ1の中心線103に対し互いに等しい角度θで入射端面130F近傍、すなわち凹面鏡3の第2焦点近傍に収束照射される。
図8は、本実施の形態に係る光学系概念図の側面図である。点線部は、スクリーン(図示せず)位置に対応させて仰角方向の設置調整角9を調整した状態を示す。通常、光源は光軸方向に傾けると熱等の影響によりその寿命を短くすることとなる。本実施の形態では、2つの光源部101、102の各凹面鏡3の光軸と投写レンズ7の光軸とが垂直になるように配置されているため、光源部の光軸は設置調整角9が変化しても傾かないことになる。
このように、本実施の形態によれば、光源2及び凹面鏡3は、その光軸を中心に設置調整角9の角度分だけ回転しても、光軸の位置は変化せず、水平点灯が継続され仕様に変化が生じない。このため、装置そのものを傾けて設置しても、光源の寿命を損ねる可能性が少なく、信頼性の高い装置することができる。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係る投写型画像表示装置の光学系概念図を示している。図1に示した実施の形態1に係る投写型画像表示装置と同一構成のものは、同一番号を付してその詳細な説明は省略する。ただし、光源部101、102の図示はより具体的なものとし、凹面鏡3は断面状態で図示した(以下の各図も同じ)。
図9に示した構成は、図1に示した構成に比べ、2つの光源部101、102の配置が異なっており、合成用ミラー61(第1の反射手段)、合成用ミラー62(第2の反射手段)が設けられている。合成用ミラー61、62は、例えば誘電体多層膜をコーティングした反射ミラーである。
また、ロッドインテグレータ1自体の構成は、実施の形態1と同様であるが、本実施の形態でロッドインテグレータ1は、実施の形態1の配置に対して、中心軸103回りに90度回転した状態で配置されている。
したがって、実施の形態3においても、「垂直方向」、「水平方向」の定義を実施の形態1で説明した定義を用いれば、図9の紙面に水平な方向が「垂直方向」、紙面に垂直な方向が「水平方向」となる。
光源2同士、凹面鏡3同士は、垂直方向において互いに向かい合っている。また、合成用ミラー61、62の反射面は、それぞれランプ2と向かい合っている。また、合成用ミラー61、62の反射面は、それぞれ垂直方向において45度傾いて配置されており、合成用ミラー61と合成用ミラー62とでは傾き方向が逆になっている。このことにより、各ランプ2からの光束は、合成用ミラー61の反射面、及び合成用ミラー62の反射面によって90度折り曲げられ、ロッドインテグレータ1の入射端面130Fに導かれることになる。
また、合成用ミラー61の反射面は、水平方向において凹面鏡3の集光角の1/2である15度傾いて(図9の矢印c方向)配置されており、合成用ミラー62の反射面は、水平方向において凹面鏡3の集光角の1/2である15度傾いて(図9の矢印d方向)配置されている。
ここで、図10Aは、図9に示した装置をロッドインテグレータ1の射出端面130B側から見た図を示している。本図に示したように、光源部101及び光源部102は、光源部101の凹面鏡3の光軸と光源部102の凹面鏡3の光軸とが、ロッドインテグレータ1の中心線103と交差しないように配置されている。すなわち、両光軸は互いに平行になるように離れており、両光軸はいずれもロッドインテグレータ1の中心線103と交差していない。このような光源部101、102の配置に、合成用ミラー61、62の配置を対応させている。
図10Bは、ロッドインテグレータ1の入射端面130F近傍の側面図を示している。また、図13は、合成用ミラー61、62の配置の一例の斜視図であり、合成用ミラー61、62の配置の理解を容易にするため図示したものである。これらの各図により、光源部101、102からの光束は、合成用ミラー61、62の傾斜面で反射することが分かる。
前記のような合成用ミラー61、62の反射面の傾き、及び合成用ミラー61、62、左右2つのランプ2の水平方向のずれにより、ランプ2からの光は、合成用ミラー61、62で反射されて、中心線103に対し互いに等しい入射角θ(30度)で入射端面130F近傍、すなわち凹面鏡3の第2焦点近傍に収束照射されることになる。
この場合、入射端面130Fには、各凹面鏡3からそれぞれ最大角2θ(60度)の光が入射し、最大120度の光がロッドインテグレータ1の入射端面130Fに入射することになる。本実施の形態は、ロッドインテグレータ1のテーパ面は水平方向に配置されているので、最大120度の光はテーパ面で反射し、前記実施の形態1と同様に、射出端面103Bの最大射出角度を約60度に制御することが可能となる。
また、本実施の形態は、前記のように、光源部101、102を、光源部101の凹面鏡3の光軸と光源部102の凹面鏡3の光軸とが、ロッドインテグレータ1の中心線103と交差しないように配置し、これに対応させて合成用ミラー61、62を配置している。このことにより、前記実施の形態2の合成用プリズムで生ずる光線の使用できない部分(図7の斜線部)が解消され、さらに高輝度かつ均一な画像が得られる装置を実現することができる。
また、2つの光源部の各凹面鏡の光軸と投写レンズ7の光軸とが垂直になるように配置することで、装置そのものを傾けて設置しても、光源の破裂の危険性が少なく、信頼性の高い実現できることは、前記実施の形態2と同様である。
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4に係る投写型画像表示装置の光学系概念図を示している。図1に示した実施の形態1に係る投写型画像表示装置と同一構成のものは、同一番号を付してその詳細な説明は省略する。図12は、図11に示した装置をロッドインテグレータ1の射出端面130B側から見た図を示している。図11、12に示したように、光束の進行順に、光源2からロッドインテグレータ1までの構成は、前記実施の形態4と同様である。
図11に示したように、ロッドインテグレータ1から射出された光束は、カラーホイール11、少なくとも1枚から構成されるリレーレンズ系4、全反射ミラー12、フィールドレンズ5、及び全反射プリズム13を経て反射型ライトバルブ14を照明する。ライトバルブ14により、光学像を形成する変調光が射出される。ライトバルブ14からの光束は、全反射プリズム13を経て投写レンズ7に至り、投写レンズ7は、ライトバルブ14の形成した光学像を投写することになる。
ロッドインテグレータ1の射出端面130B近傍に配置されたカラーホイール11は、カラー表示を可能にさせるものである。カラーホイール11は、少なくとも赤、青、緑の3原色を透過させるダイクロイックフィルターからなり、かつ回転することにより白色光を時分割で色分解することができる。カラーホイール11は、構成するダイクロイックミラーにコーティングされる薄膜の特性上、入射角30度程度に対応する仕様のものが主流であり、この場合この30度が入射角の所望の角度である。
全反射ミラー12及び全反射プリズム13は光回転手段を構成しており、ロッドインテグレータ1から射出される光束を、ロッドインテグレータの中心線103の方向から見た場合に、中心線103を中心として回転させるように配置されている。この回転角度は、反射型ライトバルブ14の配置に合わせて決定され、本図の例では90度である。
この構成により、ロッドインテグレータ1の射出面130Bから射出される照明光は、90度回転した状態で反射型ライトバルブ14を照明することになる。回転角度は、全反射を利用して反射型ライトバルブ14に光束を導く全反射プリズム13の空気との界面の角度と、全反射ミラー12の角度を所望の角度にすることにより調整することができる。
このように光回転手段を設けたのは、集光効率をさらに向上させるためである。例えば、反射型ライトバルブ14の面積が十分な場合、つまりロッドインテグレータ1の射出面の短辺寸法が十分な長さをとることが可能である場合には問題にならないが、セットのサイズを小型化するためにライトバルブのサイズも小型化され、例えば対角寸法17.78mmの反射型ライトバルブを使用し、照明光の集光角をFナンバー2に相当させた場合、ロッドインテグレータ1の射出面の短辺寸法は、約6mmにする必要がある。この場合、射出面の短辺寸法の約6mmを基準にテーパ角を付けることにより、さらに入射面の寸法が短くなり集光効率が減少する。
この問題を解決するために、ロッドインテグレータ1の長辺寸法側にテーパ角を備えて集光効率を向上させ、かつ全反射ミラー12と全反射プリズム13で照明光を、反射型ライトバルブの配置に合わせて回転させた構成をとることにより、反射型ライトバルブの光利用効率を最大にし、さらに高輝度かつ均一化させた照明装置を実現することができ、前記照明装置を備えた投写型画像表示装置を実現することができる。
但し、照明光学系の前後で照明領域の面積と照明光の立体角の積が一定であることは公知であるが、ロッドインテグレータ1の射出面の面積と照明光の射出角の積と、反射型ライトバルブ14の面積と照明光の立体角の積が等しくなっていることはいうまでもない。
また、図12に示したように、前記実施の形態3と同様に、光源部101、102を、光源部101の凹面鏡3の光軸と光源部102の凹面鏡3の光軸とが、ロッドインテグレータ1の中心線103と交差しないように配置し、これに対応させて合成用ミラー61、62を配置している。このことにより、より高輝度かつ均一な画像を実現することができる。
ここで、本実施の形態のように、ロッドインテグレータを、中心線103を中心として回転させて配置した場合は、この回転角度に応じて、左右2つのランプ2の配置も変化することになる。この場合であっても、図12に示した光源部101、102と合成用ミラー61、62との間の位置関係を維持したまま、これらを中心線103を中心として回転させて配置すれば、前記のような回転したロッドインテグレータの配置にも対応できることになる。
また、反射型ライトバルブ14は、微細なミラーの集合体であるデジタルミラーデバイスからなり、駆動回路(図示せず)から出力される電気信号によって画像を表示する。反射型ライトバルブ14に表示された画像は、全反射プリズム13及び投写レンズ7を介して拡大投写されスクリーン(図示せず)に投写される。
(実施の形態5)
前記各実施の形態は、光源部が2個の実施の形態であるが、実施の形態5は光源部が4個の例である。図14Aは、実施の形態6に係る投写型画像表示装置光の上面図であり、図14Bは側面図である。
本実施の形態に係る投写型画像表示装置は、4つの光源部201−204と、ロッドインテグレータ20と、ロッドインテグレータ20から射出された光束を導くリレーレンズ系4と、フィールドレンズ5と、リレーレンズ系4から導かれた光束を変調し、画像を形成する透過型ライトバルブ6と、ライトバルブ6の形成した画像を投写する投写レンズ7とを備えている。206は、ロッドインテグレータ20の中心線である。
各光源部201−204は同じ構成であり、それぞれ光源200と、光源2からの光を集光する集光光学系である凹面鏡205とを備えている。図1の構成に比べ光源部の数が異なるが、各光源部の構成は図1の光源部と同様である。
図15はロッドインテグレータ20の斜視図であり、図16Aは上面図、図16Bは、側面図、及び左右の側面図である。図15に示すように、ロッドインテグレータ20は入射端面230Fを上底とし、射出端面230Bを下底とし、4面の側面(230T、230U、230L、230R)を備えた柱状光学素子である。
前記実施の形態の図2に示したロッドインテグレータ1は、互いに向かい合う2対の側面のうち、テーパ面が形成されているのは、1対の両側面130L及び130Rだけであるのに対して、本実施の形態では、2対の側面の双方にテーパ面が形成されている。
すなわち、向かい合う側面230L及び230Rは、入射端面130Fから射出端面130Bに向けて、両側面230L及び230Rが互いに離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かいあっており(図16A参照)、このことは、向かい合う側面230T及び230Uについても同様である(図16B参照)。
前記のように、ロッドインテグレータ1の入射端面230Fは、凹面鏡205の第2焦点近傍に配置されており、入射した光束はロッドインテグレータ20の垂直方向及び水平方向の側面で適宜全反射されロッドインテグレータ20の射出面230Bより射出する。
図14Aにおいて、一対の光源部201と光源部202の2個の光源部が、水平方向(矢印a方向)に配置されている。この場合、紙面の裏側については、一対の光源部203と光源部204の2個の光源部が、同様に配置されている。また、図14Bにおいて、一対の光源部201と光源部203の2個の光源部が、垂直方向(矢印b方向)に配置されている。この場合、紙面の裏側については、一対の光源部202と光源部204の2個の光源部が、同様に配置されている。
本実施の形態では、光源部の個数は4個であるが、水平方向に配置されているのは2個であり、垂直方向に配置されているのも2個である。
すなわち、本実施の形態6の光源部の構成は、水平方向又は垂直方向に2個の光源部が配置された光源部に並列に、さらに2個の光源部が配置されていることになる。本実施の形態6では、2対のテーパ面のそれぞれに対応するように光源部を設けているので、光源部の個数が合計4個になっている。
次に、ロッドインテグレータ20の基本動作を説明する。図17は入射した光線の動作を示すロッドインテグレータ20の上面図であり、図18は入射した光線の動作を示すロッドインテグレータ20の側面図である。
図17の図示は、最大角(2θ)で入射端面230Fに入射した光線が、ロッドインテグレータ20内で反射され、射出端面230Bから射出する様子を示している。図17に示したように、最大角2θで入射した光線は、ロッドインテグレータ20の一対のテーパ面230L、230Rで適宜全反射されることにより、最大角2θとは異なる角度θ′で射出端面130Bから射出されることになる。
このことは、図18においても同様であり、最大角2θで入射した光線は、ロッドインテグレータ20の1対のテーパ面230T、230Uで適宜全反射されることにより、最大角2θとは異なる角度θ′で射出端面130Bから射出されることになる。
すなわち、本実施の形態によれば、水平方向に2θで入射端面230Fに入射した光線、垂直方向に2θで入射端面230Fに入射した光線のいずれについても、射出端面130Bにおいて角度θ′で射出されることになる。
本実施形態は、光源部の数が合計4個と多く、前記のように、水平方向、垂直方向の双方において、射出端面における光の広がり角を入射端面における光の広がり角より小さくできるので、より高輝度な光を望む場合に有利である。
(実施の形態6)
前記実施の形態1は、ロッドインテグレータ1に入射する光の入射角と集光角とが同じである例で説明したが、本実施の形態6は、入射角が集光角より小さい実施の形態である。
図19は、実施の形態6に係る光学系概念図の上面図を示している。本図の構成は、入射角と集光角との関係を除けば、実施の形態1の図1に示した構成と同様の構成であるので、図1と同一符号を用いて、各部の説明は省略する。
図19において、θEは入射角、θcは集光角である。本図の構成では、入射角θEは集光角θcより小さくなっている。
本実施の形態では、図4において、入射端面130Fにおける2θがθE+θcとなるが、射出端面130Bにおいては、入射端面130Fとは異なる角度θ′となることは、実施の形態1と同様である。また、図5に示したように、入射角θ″が保存伝達されて射出されることも同様である。
例えば、最大角であるθE+θcが51度(θE=21度)で入射した光を、射出角θ’を約30度にして射出させることができる。この場合、ロッドインテグレータ1の射出面の水平有効寸法は7.5mm、テーパ角は約1.51848度、長さは50.4485mm、長手方向の側面での反射回数は4回とし、ロッドインテグレータ1の硝子材料に耐熱性、光学特性の良好な石英(屈折率nd=1.45859)とした。また、図5における入射角θ″が30度である場合は、角度は保存伝達され30度で射出されることになる。
以下の表4に、入射角を変化させた場合のテーパ角θT、入射面寸法L’、ロッドインテグレータ長さM及び集光効率の最大値を1に規格化した計算値を示している。但し、前記ロッドインテグレータ射出面の有効寸法は、水平有効寸法7.5(mm)、垂直有効寸法5.8(mm)であり、集光効率の計算値には、ほぼ理想的なリレーレンズ系を用いている。また、反射回数(n)を3、4、5回とした。
表4の例では、集光角θcは30度に固定し、入射角θEを15度から3度ずつ増加させ30度まで変化させている。入射角θEが30度の場合を除き、入射角が集光角より小さい関係になっている。表4中のEは、集光効率である。集光効率とは、光源及びレンズ、ミラー等の光学デバイスをモデル化し、光源から射出される所望の光線が投写されるスクリーンに、どれだけの光線が到達するかを照明光学系評価用シュミレーションソフトを使用して計算したものである。表4に示した値は、ロッドインテグレータの各々の反射回数毎に、最大値を1として規格化している。
Figure 0003715295
この表4の数値を用い集光効率と入射角との関係を図示したのが、図20である。横軸θは入射角であり、縦軸Eは集光効率である。
図19において、横軸θ=30度のときは、集光角はこれと同じ30度であるが、これ以外では入射角θは集光角より小さくなっている。図20から分るように、集光効率は入射角と集光角とが等しい横軸θ=30度のときに最も小さくなっており、集光角の70%を入射角としたθ=21度のときに最大値になっている。
すなわち、表4、図20によれば、集光角より入射角を小さくすると、装置の明るさを向上させることが可能となることが分る。この場合、集光効率は、入射角θの集光角に対する比率が60%(θ=18度)以上80%(θ=24度)以下の範囲で、特に良好な値を示している。
なお、光源2個の場合で説明したが、本実施の形態を前記実施の形態5のような光源4個の構成に適用してもよい。
また、前記各実施の形態のうち、ロッドインテグレータ1の一対の向かい合う側面が互いに平行な平面であり、他方の一対の向かい合う側面が所定の角度の傾きをもって向かい合う平面である構成において、ロッドインテグレータ1は一対の向かい合う側面は少なくとも一部に互いに平行な平面を有し、他方の一対の向かい合う側面は少なくとも一部に所定の角度の傾きをもって向かい合う平面を有するものであってもよい。それは、一対の互いに所定の角度の傾きをもって向かい合う平面間を光束が反射することで、射出角を所望の角度に狭め、かつ均一な照明が可能だからである。この点は実施の形態1から5についても同様である。
また、ロッドインテグレータ1の射出端面130Bは、製造上、研磨する必要がある。ところがこの研磨工程でロッドインテグレータ1の端部、すなわち射出端面130Bの4辺のエッジや四隅のコーナが欠けることがある。この欠けの大きさは0.1mm以上になることもある。
射出端面130Bでの欠けは、均一照射に悪影響を及ぼし、照射にむらをつくることになる。
そこで、射出端面130Bの4辺のエッジ長さを所望の基準長さLに対して、余裕寸法を付加した長さL1に基いて、ロッドインテグレータの形状を決定することが好ましい。このことにより、射出端面130Bの4辺のエッジや四隅のコーナが欠けによる影響が均一照射に悪く作用することを防止できる。余裕寸法は、例えば0.2mm以内の範囲内である。このことは、実施の形態1から5についても同様である。
また、前記各実施の形態において、ロッドインテグレータは、ガラス材料の例で説明したが、4つの内壁面をミラーで形成し、内側が空洞になっている柱状光学素子としてもよい。この構成においても、入射した光束は、内壁面のミラーで適宜全反射されて射出することになる。
以上のように、本発明によれば、射出端面における水平方向の光の広がり角を、入射端面における水平方向の光の広がり角と異なるように制御することができるので、高輝度かつ均一な光を得ることができる。このため、本発明は、ロッドインテグレータを備えた照明装置や投写型画像表示装置に有用である。
本発明の実施の形態1に係る光学系概念図の上面図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの斜視図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの上面図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの側面図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの上面図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの側面図。 本発明の一実施形態に係るロッドインテグレータの寸法Hの決定を説明する図。 本発明の実施の形態2に係る光学系概念図の上面図。 本発明の実施の形態2に係る光学系概念図の側面図。 本発明の実施の形態3に係る光学系概念図の上面図。 本発明の実施の形態3に係る光源部及び合成部の詳細図。 本発明の実施の形態3に係るロッドインテグレータの入射端部の拡大図。 図11は、本発明の実施の形態4に係る光学系概念図の上面図。 本発明の実施の形態4に係る光源部及び合成部の詳細図。 本発明の一実施の形態に係るミラーの配置を示し斜視図。 本発明の実施の形態5に係る投射型画像表示装置の上面図。 図14Aの側面図。 本発明の実施の形態5に係るロッドインテグレータの斜視図。 本発明の実施の形態5に係るロッドインテグレータの上面図。 図16Aに示したロッドインテグレータの側面図及び左右の側面図。 本発明の実施の形態5に係るロッドインテグレータの入射した光線の動作を示す上面図。 本発明の実施の形態5に係るロッドインテグレータの入射した光線の動作を示す側面図。 本発明の実施の形態6に係る光学系概念図の上面図。 集光効率と入射角との関係を示す図。 従来の投写型画像表示装置の一例の光学系概念図。 従来のロッドインテグレータの一例の上面図。 従来のロッドインテグレータの一例の側面図。
符号の説明
1,20 ロッドインテグレータ
2 ランプ
3 楕円凹面鏡
4 リレーレンズ系
5 フィールドレンズ
6 透過型ライトバルブ
7 投写レンズ
48,49 合成プリズム
9 設置調整角
11 カラーホイール
12 全反射ミラー
13 全反射プリズム
14 反射型ライトバルブ
101,102,201,202,203,204,301,302 光源部
103,206 ロッドインテグレータの中心線
130L,130R,230L,230R,230T,230U テーパ面
130T,130U 平行面
130F,230F 入射端面
130B,230B 射出端面

Claims (1)

  1. ランプ及び凹面鏡を含む光源部と、
    ロッドインテグレータと、
    前記ロッドインテグレータから射出された光束を導くリレーレンズ系と、
    前記リレーレンズ系から導かれた光束を変調し、画像を形成するライトバルブと、
    前記ライトバルブの形成した画像を投写する投写レンズとを備えた投写型画像表示装置であって、
    前記ロッドインテグレータは、入射端面を上底、射出端面を下底とする柱状光学素子であり、
    前記射出端面の長辺方向を水平方向、短辺方向を垂直方向とすると、
    前記柱状光学素子の前記上底及び前記下底以外の4面の側面のうち、1対の向かい合う側面は、前記入射端面から前記射出端面に向けて両側面が互いに前記水平方向又は前記垂直方向に離れるように、平面同士が互いに所定の角度の傾きをもって向かい合ったテーパ面を形成しており、
    前記光源部からの光は、前記ロッドインテグレータの入射端面近傍に収束照射され、
    前記光源部は、前記水平方向又は前記垂直方向に2個配置されており、
    前記ロッドインテグレータから射出される光束を、前記光束の光軸を中心に、前記ライトバルブの配置に合わせて回転させて前記ライトバルブに導く光回転手段を備えたことを特徴とする投写型画像表示装置。
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