JP3714771B2 - ワイヤ式ウインドレギュレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウインドガラスの移動方向に沿って設けられたガイドレールと、該ガイドレールに摺動可能に設けられ、ウインドガラスが取り付けられたスライダベースと、該スライダベースに取り付けられたワイヤと、前記ガイドレールの両端部に設けられ、前記ワイヤを前記ガイドレールに沿って案内する第1及び第2のガイドと、前記第1及び第2のガイド間のワイヤ以外の部分に設けられた駆動源と、該駆動源に回転駆動され、前記ワイヤが巻回されたドラムと、前記駆動源側と、前記ガイドレールの両端部側との間に設けられ、前記ワイヤが挿通する第1及び第2のアウタケーシングとを具備するワイヤ式レギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
先ず、図6を用いて、従来のワイヤ式ウインドレギュレータの全体構成を説明する。図において、ウインドの昇降方向に沿って設けられたガイドレール1には、ウインドガラス3が取り付けられたスライダベース2が摺動可能に設けられている。
【0003】
ガイドレール1の上端部には、第1のガイド4が、ガイドレール1の下端部には、第2のガイド5がそれぞれ設けられている。
ガイドレール1以外の部分に設けられたベース7には、ドラム8が回転可能に設けられている。このドラム8は駆動源としてのモータ10によって回転駆動されるようになっている。
【0004】
ドラム8に巻回されたワイヤ11は、第1のガイド4,第2のガイド5に案内されてスライダベース2に接続されている。
ベース7とガイドレール1の上端部との間には、ワイヤ11が挿通する第1のアウタケーシング15が、ベース7とガイドレール1の下端部との間には、ワイヤ11が挿通する第2のアウタケーシング16がそれぞれ設けられている。
【0005】
次に、図7を用いて、図6におけるドラム8部分の説明を行なう。図において、20はモータ10の出力軸で、この出力軸20にドラム8が取り付けられる。21はドラム8の周面を覆うようにモータ10に取り付けられる円筒状のドラムケースである。このドラムケース21の筒面に設けられた切り欠き21aに、樹脂成形法で製造された円弧状のワイヤガイド23が取り付けられている。
【0006】
ワイヤガイド23には、第1のアウタケーシング15が嵌合する筒状の第1のアウタケーシング固定部23aと、第2のアウタケーシング16が嵌合する筒状の第2のアウタケーシング固定部23bとが形成されている。尚、これら第1及び第2のアウタケーシング固定部23a,23bの筒面には、ワイヤ11を通すためのワイヤ溝23c,23d(ワイヤ溝23cは図示せず)が形成されている。
【0007】
又、本従来例のドラム8に巻回されたワイヤ11は、図に示すように、ドラム8の近傍で一回交差し、第1及び第2のアウタケーシング15,16に挿通している。
【0008】
次に、上記構成のワイヤ式ウインドレギュレータの動作を説明する。モータ10が駆動されると、ワイヤ11が移動し、ワイヤ11に取り付けられたスライダベース2がガイドレール1に沿って移動し、ウインドガラス3が昇降する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のワイヤ式ウインドレギュレータにおいては、下記のような問題点がある。
【0010】
(1) ウインドガラス3が取り付けられたスライダベース2がガイドレール1の上端又は下端に設けられたストッパに当接した場合、第1及び第2のアウタケーシング15,16には、軸力が発生する。
【0011】
この軸力が円弧状のワイヤガイド23に作用すると、ドラムケース21の切り欠き21aの側壁面21b,21cで両端が支持された「曲がりはり」の中間部に集中荷重が作用した場合と同じであるので、ワイヤガイド23には大きな曲げモーメントが発生し、ワイヤガイド23が塑性変形する場合がある。
【0012】
(2) ワイヤガイド23には、ワイヤ溝23c,23dが形成されたりしているので、樹脂成形法で製造する場合、成形時に「引け」が発生し、成形精度が悪くなり、ドラムケース21とのはめ合いの管理が難しい。
【0013】
(3) ワイヤ11のドラム8の巻回方向と、第1及び第2のガイド4,5での曲げ方向とが異なる。ウインドガラス3の昇降を行なうと、ワイヤ11は異なる方向に繰返し曲げられるので、金属疲労による折損が発生しやすい。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、第1の目的は、ワイヤガイドが塑性変形し難いワイヤ式ウインドレギュレータを提供することにある。
又、本発明の第2の目的は、ワイヤガイドの成形精度が向上するワイヤ式ウインドレギュレータを提供することにある。
【0015】
更に、本発明の第3の目的は、ワイヤの耐久性が向上するワイヤ式ウインドレギュレータを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する第1の発明は、ウインドガラスの移動方向に沿って設けられたガイドレールと、該ガイドレールに摺動可能に設けられ、ウインドガラスが取り付けられたスライダベースと、該スライダベースに取り付けられたワイヤと、前記ガイドレールの両端部に設けられ、前記ワイヤを前記ガイドレールに沿って案内する第1及び第2のガイドと、前記第1及び第2のガイド間のワイヤ以外の部分に設けられた駆動源と、該駆動源に回転駆動され、前記ワイヤが巻回されたドラムと、前記駆動源側と、前記ガイドレールの両端部側との間に設けられ、前記ワイヤが挿通する第1及び第2のアウタケーシングとを具備するワイヤ式レギュレータにおいて、前記第1及び第2のアウタケーシングが接続されると共に、前記ドラムに巻回されたワイヤを前記第1及び第2のアウタケーシングへ案内するワイヤガイドを前記駆動源に設け、前記ワイヤガイドに、前記第1及び第2のアウタケーシングの軸線上で、前記軸線と略直交する第1及び第2の面部を形成し、前記駆動源側に前記第1及び第2の面部が当接する第1′及び第2′の面部を形成したことを特徴とするワイヤ式ウインドレギュレータである。
【0017】
ワイヤガイドに、第1及び第2のアウタケーシングの軸線上で、軸線と略直交する第1及び第2の面部を形成し、駆動源側に第1及び第2の面部が当接する第1′及び第2′の面部を形成したことにより、第1及び第2のアウタケーシングの軸力がワイヤガイドに作用しても、ワイヤガイドには、小さな曲げモーメントしかかからず、ワイヤガイドの塑性変形がし難くなる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、前記ワイヤガイドを前記ドラムの周面を覆う環状としたことを特徴とするワイヤ式ウインドレギュレータである。
ワイヤガイドをドラムの周面を覆う環状としたことにより、成形時の収縮などによる影響がなくなり、ワイヤガイドの成形精度が向上し、ワイヤガイドの形状が管理可能となる。
【0019】
第3の発明は、第1又は第2の発明のワイヤを前記ドラム,前記第1及び第2のワイヤガイドに対して、同一方向に曲げられるように掛けたことを特徴とするワイヤ式ウインドレギュレータである。
【0020】
ウインドガラスの昇降を行っても、ワイヤは常に同一方向に曲げられるので、金属疲労によるワイヤの折損が起こりにくくなり、耐久寿命を延ばすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
最初に、図4を用いて、本実施の形態例のワイヤ式ウインドレギュレータの全体構成を説明する。本実施の形態例のワイヤ式ウインドレギュレータは自動車のドアのアウタパネルとインナパネル間の隙間に設けられるものである。図において、51はウインドガラス、52はドアインナパネル上部に取付けられるアッパベース、53はドアインナパネル下部に取付けられるロアベースである。
【0022】
アッパベース52には第1のガイドとしてのターンガイド54が、ロアベース53に第2のガイドとしてのターンガイド55がそれぞれ回転可能に取付けられている。
【0023】
56は上端部がアッパベース52に取付けられ、下端部がロアベース53に取付けられ、ウインドガラス51の昇降方向に沿って設けられた中空で断面形状が略矩形のガイドである。
【0024】
このガイド56のドアのアウタパネルと対向する面には、ガイド56の軸方向に沿ってスリット56aが形成されている。
一方、ウインドガラス51の下部は、スライダベース57がスライダベース57に形成された三ヵ所の取り付け穴57a,57b,57cを用いて固着されている。更に、図4の切断線A-Aにおける断面図である図5に示すように、このスライダベース57には、ガイド56のスリット56aを介してガイド56内に延出し、ガイド56に対して摺動可能に係合する配設される樹脂スライダ58,59が射出成形法等の手法により取付けられている。
【0025】
ドアのインナパネルには、駆動源としてのモータ60が取付けられている。このモータ60の出力軸にはドラム62が取り付けられている。
ドラム62には、アッパベース52のターンガイド54,ロアベース53のターンガイド55を介してワイヤエンドケース64に接続されたフレキシブルワイヤ63のインナワイヤ63aが巻き掛けられている。
【0026】
更に、インナワイヤ63aは、ドラム62,ターンガイド54,55に対して、同一方向に曲げられるような掛け方とした。
63bは一端部がアッパベース52に取付けられ、他端部がモータ60側に取付けられ、内部をインナワイヤ63aが挿通し、インナワイヤ63aをガイドする第1のアウタケーシング、63cは一端部がロアベース53に取付けられ、他端部がモータ60に取付けられ、内部をインナワイヤ63aが挿通し、インナワイヤ63aをガイドする第2のアウタケーシングである。
【0027】
次に、ドラム62まわりの説明を図1及び図2を用いて行なう。図2はドラム62まわりの分解斜視図、図1は図2において蓋を取り除いた時のD方向矢視図である。
【0028】
70はドラム62が取り付けられるモータ60の出力軸である。
モータ60には、断面形状が円弧状の第1及び第2の突部71,72がドラム62の周面を覆うように形成されている。更に、第1の突部71の近傍には、2つの位置決めピン73,74が立設されている。
【0029】
75は、樹脂成形法で製造され、モータ60の第1及び第2の突部71,72に嵌合し、位置決めピン73,74が嵌合する位置決め穴76,77が形成された環状のワイヤガイドである。このワイヤガイド75には、ターンガイド54方向に向かうインナワイヤ63aを案内する円筒部80と、ターンガイド55方向に向かうインナワイヤ63aを案内する円筒部81とが形成されている。これら円筒部80,81には、インナワイヤ63aを通すワイヤ溝80a,81aが形成されている。
【0030】
そして、これら円筒部80,81には、アウタケーシング63b,63cが取り付けられる。
この取り付けを図4の切断線B-Bにおける断面図である図3を用いて説明する。尚、円筒部80,81におけるアウタケーシング63b,63cの取り付け構造は、同一なので、円筒部80側の説明を行い、円筒部81側の説明は省略する。図において、円筒部80の内筒部分には、円筒状のスライドブッシュ82が摺動可能に係合している。このスライドブッシュ82の内筒部には、フレキシブルワイヤ63が嵌合する。スライドブッシュ82の内筒部は、アウタケーシング63bの外径より若干大きな径に設定された大径部82aと、この大径部82aに連設され、フレキシブルワイヤ63のアウタケーシング63bの外径より小さく、又、インナワイヤ63aの外径より若干大きな径から徐々に拡径するように設定された小径部とからなっている。従って、大径部82aと小径部82bとの間の段部に当接するまでフレキシブルワイヤ63のアウタケーシング63bが挿入され、それ以降の小径部82bはインナワイヤ63aしか挿通しないようになっている。
【0031】
スライドブッシュ82の外筒面にはつば部82cが、円筒部80の外筒面にもつば部80bが形成され、これら2つのつば部82c,80b間には、スプリング85が配設されている。このスプリング85の付勢力でもって、フレキシブルワイヤ63のアウタケーシング63bはアッパベース52方向に押され、インナワイヤ63aを最短距離でターンガイド54へ案内している。
【0032】
再び、図1及び図2に戻って、90は環状のワイヤガイド75の上部開放面を覆う金属性の蓋である。この蓋90は、モータ60に形成された二か所のめねじ穴60a,60bに螺合する二本のねじ91,92でもって、モータ60に取り付けられている。
【0033】
ワイヤガイド75には、円筒部80,81の軸線上で、即ち、アウタケーシング63b,63cの軸線上で、軸線と略直交する第1及び第2の面部100,101が形成されている。
【0034】
一方、モータ60側の第2の突部72には、ワイヤガイド75の第1及び第2の面部100,101に当接する第1′及び第2′の面部110,111が形成されている。
【0035】
モータ60にねじ91,92を用いて取り付けられる蓋90には、四つの折り曲げ切片部が形成されている。即ち、ワイヤガイド75の第1の面部100,第2の面部101近傍に形成された矩形状の穴75a,75bに嵌合する第1及び第2の折り曲げ切片部90a,90bと、ワイヤガイド75の位置決め穴76,77近傍の内壁面に当接する第3及び第4の折り曲げ切片部90c,90dである。
【0036】
次に、上記構成の作動を説明する。モータ60がドラム62を回転駆動すると、フレキシブルワイヤ63のインナワイヤ63aの一方側はドラム62に巻き取られ、フレキシブルワイヤ63のインナワイヤ63aの他方側はドラム62から繰出される。このフレキシブルワイヤ63のインナワイヤ63aの移動により、フレキシブルワイヤ63のインナワイヤ63aの両端部が固着されたスライダベース57はガイド56に沿って移動し、ウインドガラス51が昇降する。
【0037】
上記構成によれば、ワイヤガイド75に、アウタケーシング63b,63cの軸線上で、軸線と略直交する第1及び第2の面部100,101を形成し、モータ60側の第2の突部72には、第1及び第2の面部100,101に当接する第1′及び第2′の面部110,111を形成したことにより、アウタケーシング63b,63cの軸力がワイヤガイド75に作用しても、ワイヤガイド75には、小さな曲げモーメントしかかからず、ワイヤガイド75は塑性変形を起こしにくい。
【0038】
また、ワイヤガイド75をドラム62の周面を覆う環状としたことにより、成形時の収縮などによる影響がなくなり、ワイヤガイド75の成形精度が向上し、ワイヤガイド75の形状が管理可能となる。
【0039】
更に、インナワイヤ63aは、ドラム62,ターンガイド54,55に対して、同一方向に曲げられるように掛けたことにより、ウインドガラス51の昇降を行っても、インナワイヤ63aは常に同一方向に曲げられるので、金属疲労によるインナワイヤ63aの折損が起こりにくくなり、耐久寿命を延ばすことができる。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように第1の発明によれば、ワイヤガイドに、第1及び第2のアウタケーシングの軸線上で、軸線と略直交する第1及び第2の面部を形成し、駆動源側に第1及び第2の面部が当接する第1′及び第2′の面部を形成したことにより、第1及び第2のアウタケーシングの軸力がワイヤガイドに作用しても、ワイヤガイドには、小さな曲げモーメントしかかからず、ワイヤガイドの塑性変形が起こりにくくなる。
【0041】
第2の発明によれば、ワイヤガイドをドラムの周面を覆う環状としたことにより、成形時の収縮なとによる影響がなくなり、ワイヤガイドの成形精度が向上し、ワイヤガイドの形状が管理可能となる。
【0042】
第3の発明によれば、ワイヤを前記ドラム,前記第1及び第2のワイヤガイドに対して、同一方向に曲げられるように掛けたことにより、ウインドガラスの昇降を行っても、ワイヤは常に同一方向に曲げられるので、金属疲労によるワイヤの折損が起こりにくくなり、耐久寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を説明する図で、図2において蓋を取り除いた時のD方向矢視図である。
【図2】図4におけるドラムまわりの分解斜視図である。
【図3】図4の切断線B-Bでの断面図である。
【図4】本実施の形態例のワイヤ式ウインドレギュレータの全体構成を説明する図である。
【図5】図4の切断線A-Aでの断面図である。
【図6】従来のワイヤ式ウインドレギュレータの全体構成を説明する図である。
【図7】図6におけるドラム部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
51 ウインドガラス
54,55 ターンガイド(ガイド)
56 ガイドレール
58,59 スライダ
60 モータ(駆動源)
63 フレキシブルワイヤ
63a インナワイヤ(ワイヤ)
63b,63c アウタケーシング(第1及び第2のアウタケーシング)
75 ワイヤガイド
90 蓋
91a 折り曲げ切片部
91b 折り曲げ切片部
100 第1の面部
101 第2の面部
Claims (3)
- ウインドガラスの移動方向に沿って設けられたガイドレールと、
該ガイドレールに摺動可能に設けられ、ウインドガラスが取り付けられたスライダベースと、
該スライダベースに取り付けられたワイヤと、
前記ガイドレールの両端部に設けられ、前記ワイヤを前記ガイドレールに沿って案内する第1及び第2のガイドと、
前記第1及び第2のガイド間のワイヤ以外の部分に設けられた駆動源と、
該駆動源に回転駆動され、前記ワイヤが巻回されたドラムと、
前記駆動源側と、前記ガイドレールの両端部側との間に設けられ、前記ワイヤが挿通する第1及び第2のアウタケーシングと、
を具備するワイヤ式レギュレータにおいて、
前記第1及び第2のアウタケーシングが接続されると共に、前記ドラムに巻回されたワイヤを前記第1及び第2のアウタケーシングへ案内するワイヤガイドを前記駆動源に設け、
前記ワイヤガイドに、前記第1及び第2のアウタケーシングの軸線上で、前記軸線と略直交する第1及び第2の面部を形成し、
前記駆動源側に前記第1及び第2の面部が当接する第1′及び第2′の面部を形成したことを特徴とするワイヤ式ウインドレギュレータ。 - 前記ワイヤガイドを前記ドラムの周面を覆う環状としたことを特徴とする請求項1記載のワイヤ式ウインドレギュレータ。
- 前記ワイヤを前記ドラム,前記第1及び第2のガイドに対して、同一方向に曲げられるように掛けたことを特徴とする請求項1又は2記載のワイヤ式ウインドレギュレータ。
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