JP3713527B2 - 車両の走行速度抑制用舗装体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コミュニティ・ゾーン等の道路における車両の走行速度抑制用舗装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅地区内などの生活道路において、歩行者等の通行や立ち話、子供の遊び、人々の交流などを、安全で快適なものとするため平成8年に創設されたコミュニティ・ゾーンは、次に示す理由により、今後さらに実践を促進することが必要である。
・交通事故件数および死傷者数が増加しており、事故防止対策が強く求められている。歩行者の事故については、自宅付近での事故等地区内での事故の割合が高く、特に、高齢者や子供の場合にそれが顕著である。
・コミュニティ・ゾーンが導入された地区において、交通事故削減の大きな効果が実施されている。
・バリアフリー、自転車、地区環境、まちづくりなど、近年の新しいニーズに対応するうえで有効な手法と期待されている。
【0003】
コミュニティ・ゾーンでは、区域の明示とともに、一方通行などの交通規制やハンプ・狭さくなどの物理的デバイスが適用され、これにより通過交通の排除、自動車の走行速度の抑制等とともに、安全・快適な道路空間の確保が実現される。
【0004】
車道路面の凸型断面の舗装を施し、その上を通過する車を速度に応じた特性で垂直に持ち上げるハンプについては、速度抑制効果や交差点等での注意喚起効果が広く認められている一方で、騒音や振動の問題が指摘されることが少なくない。その最大の要因は、ハンプの形状そのものにあるため、効果や安全をもちつつ、騒音や振動等の問題を最小限に抑えられる形状のハンプを選択して導入することが必要である。
【0005】
対応策として、効果や安全性を保持し、騒音・振動等の問題解決のためには、効果が確認され開発が進んでいる適切なハンプ形状を選択する。
【0006】
ハンプ導入の歴史の長い欧米では、弓型ハンプ及び台形ハンプのランプ(勾配)部にサイン曲線を採用することが定着し、大きな効果をあげている。
【0007】
また、わが国でも、サイン曲線を応用した独自のハンプ形状を舗装メーカーなどが開発し、効果をあげつつある。このような形状のハンプが交通安全を図る上での強力なツールとして定着することが望まれる。
【0008】
このようなハンプに関して特開平10−37111号公報では、道路表面に縦断方向に波形形状を有し横断方向に位相差をもつ舗装面を設けてなる車両の走行速度抑制用舗装体が提案されている。この車両の走行速度抑制用舗装体は、波形形状が波長5〜35mの正弦波形状であり、波高が10〜130mmであり、波長数が2〜10であり、位相差が5〜80°である。また、視覚的な注意喚起機能を付与してなり、道路の制限速度に応じ波長と波高と位相差を選定することを特徴とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平10−37111号公報に示された(ハンプ車両の走行速度抑制用舗装体)は、ハンプを構成する舗装材料としては、従来知られた適宜の建設材料を使用でき、具体的にはセメント、樹脂、アスファルトあるいはこれらを組み合わせたバインダを用いるコンクリートやモルタルのほか、タイルやブロック等が好ましく使用されるとある。このようなセメント、樹脂、アスファルト等の非弾性材料のため、車両走行時、騒音、振動が大きい。
【0010】
また、舗装体の車両進入端部の厚みが10mm以上のものもあり、初期騒音が大きい。
【0011】
この特開平10−37111号公報に示されたハンプは、通常粒状路盤、アスファルトコンクリート、セメントコンクリート等からなる基盤上に敷設されるもので、施工には、従来知られた舗設機械を用いることができるが、出来形の精度を高めるためには、波形路専用敷きならし機械や締固め機械を使用することが好ましいとされる。このように路面固定のため、取り外し時には破壊しなければならず、また、施工も含めて長時間の通行規制が必要である。
【0012】
さらに、敷設による成形なので補修時に長時間かかると共に補修した場合の形状が最初と同一でなく性能が変化し、安定しないおそれがある。
【0013】
なお、ハンプ全体をゴム等のチップ材で形成することも考えられるが、形状を好ましいとされるサインカーブのものとした場合に、車両登り口部および車両降り口部の部分が比較的薄いものとなるので、捲れ上がったり、潰れたり、裂けたりするおそれがある。
【0014】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、騒音、振動発生を低減し、環境に優しく、しかも、車両登り口部および車両降り口部の部分は路面形状に沿い、かつ車両の交通荷重に耐えることができる車両の走行速度抑制用舗装体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、道路表面に設けるもので、ゴムチップを使用してバインダー材を用いて所定の形状に成形したエラストマーによる角成形物ユニットを組み合わせてなる縦断方向にサインカーブ形状を有する舗装体であり、前記角成形物ユニットのうち一部が車両登り口部および車両降り口部を構成する角成形物ユニットは、比較的厚みのある主要部を前記ゴムチップで形成し、車両登り口部および車両降り口部部分は加硫ゴム、ウレタン性エポキシ、ウレタン、塩化ビニル等のソリッドエラストマーで成形したことを要旨とするものである。
【0016】
第2に、車両登り口部および車両降り口部は端部の厚みを1mm〜6mmとし、先端をアール加工としたことを要旨とするものである。
【0017】
請求項1の本発明によれば、サインカーブの形状と弾性体により騒音、振動の発生を低減でき、しかも、車両登り口部および車両降り口部を形成するソリッドエラストマーまたはゴムチップ複合体は道路の凹凸に沿うものであり、かつ、捲くれ上がりが少なく、潰れや裂けにも強い耐久性のあるものとなる。
【0018】
また、本体部と車両登り口部および車両降り口部は、アンカーボルトや両面テープ等の固定が可能で、不要時には容易に撤去でき、道路表面の現状復帰が容易である。このため、一旦施工した舗装体位置では効果がない場合、効果があると思われる位置へ容易に変更できる。
【0019】
さらに、前記作用に加えて、角成形物ユニットを製作し、道路表面に並べて設置固定するので、施工が容易で道路に合わせた仕様に施工できる。
【0020】
請求項2記載の本発明によれば、車両登り口部および車両降り口部は道路との段差を最小限にすることによって車両進入時および通過時の段差で発生する騒音を低減できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す正面図、図2は同上平面図、図3は同上左側面図、図4は同上右側面図、図5は同上裏面図で、図中1はハンプであり、縦断方向にサインカーブ(曲線)2の形状を有する厚さ(路面からの高さ)が1mmから130mmの舗装体である。
【0022】
このハンプ1は一辺が700mm〜1,000mm程度の角成形物ユニット3(図示では正方形)をピースとして組み合わせてなるもので、角成形物ユニット3のタイプは図7〜図9に示すように1〜3の3タイプがあり、このうちタイプ1,2の全部およびタイプ3の一部が本体部1aを構成し、タイプ3の残り部分が車両登り口部および車両降り口部1bを構成する。
【0023】
前記本体部1aを構成するタイプ1,2の角成形物ユニット3は、リサイクルとしてのタイヤ用ゴムのゴムチップを使用してバインダー材を用いて所定の形状に成形したエラストマー(弾性体)である。図6に示すようにこの角成形物ユニット3は、前記タイヤゴムチップでの成形部分を下層4とし、表面層5をカラーゴムチップで成形した2層構造のものとしてもよい。
【0024】
ここでいうゴムチップとは、タイヤのソリッド加硫ゴム、カラーソリッド加硫ゴム、他のソリッド加硫ゴム等のゴム固形物を粉砕あるいは切削して不定型な粒状、ひじき状にしたものである。
【0025】
このように舗装体を2層構造にすることによって、希望する外観色調に安定的に調整することができ、道路上での識別効果と周囲環境と調和した町並み、景観を築くことができる。しかも、大部分の舗装体の下層に不用タイヤのゴムチップを使用することによって、廃棄物の低減に役立つ。また、ゴムチップとしては不用タイヤ以外のもので、不用になったソリッド加硫ゴム等のゴムチップ等を用いてもよい。
【0026】
一方、タイプ3の一部が車両登り口部および車両降り口部1bを構成する角成形物ユニット3は、比較的厚みのある部分(半分程度)は前記タイプ1,2と同様なゴムチップで形成し、残りの部分は加硫ゴム、ウレタン性エポキシ、ウレタン、塩化ビニル等のソリッドエラストマー(空隙の少ないエラストマー)11で成形した。
【0027】
この場合図6に示すように、ソリッドエラストマー11の単一体で角成形物ユニット3を形成してもよいが、図10に示すように比較的厚みのある部分(半分程度)は前記タイプ1,2と同様なゴムチップで形成し、残りの部分は加硫ゴム、ウレタン性エポキシ、ウレタン、塩化ビニル等のソリッドエラストマー11で成形するシート体との複合タイプのものとしてもよい。かかる複合体の形成には、施工現場で両部品を付き合わせ、一部重ね合わせで施工固定する方法と両部品を予め接着または成型にて一体の複合体にする場合とがある。
【0028】
このタイプ3の車両登り口部および車両降り口部1bの厚みは1mmから6mmとし、先端部はアール加工を行い、道路との段差を最少限にする。
【0029】
前記タイプ1〜3の角成形物ユニット3はアンカーボルト6で道路表面に固定できるように弾性体部分に係止金具10を埋設したボルト孔7を形成した。また、タイプ1,2は裏面に降水時の水ハケのための水抜き溝8を平行する縞状に形成した。
【0030】
このようにして、路面への設置は各ピースである角成形物ユニット3をつなぎ合わせて道路の幅にあった所定のハンプ1を形成する。各角成形物ユニット3はアンカーボルト6によるアンカー止めもしくは両面テープによる止めを併用し、不要時には撤去可能な設置とした。また、タイプ3の角成形物ユニット3については車両登り口部および車両降り口部1b付近が道路凹凸で道路に沿いにくい場合は、この部分の先端裏面に接着材を塗布して固定してもよい。ただし、接着材の塗布量は、撤去時の道路の補修を考慮して最小限とする。
【0031】
図2の例ではハンプ1は幅4m、長さ6mのものとして、計24枚の角成形物ユニット3で形成したが、視覚的な安全喚起のため、白色マーク表示9を施した。この白色マーク表示9は夜間の視認性確保のためウレタン塗料にガラスビーズを散布して描いてた反射マークを埋め込んだものとした。
【0032】
図11〜図13は本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の側面処理の例を示したもので、図中12は歩道である。図11に示すように、左右の歩道12間に本発明のハンプ1を形成する場合、歩道12の縁石が接する部分はゴムチップ等で形成する側辺部13を設け、この側辺部13で歩道12と車両の走行速度抑制用舗装体との空間を埋め、段差を無くす、または最小限にするようにしてもよい。
【0033】
さらに、歩道12が無いような道路においては、図12に示すようにこの側辺部13を傾斜面を付けたものとしてもよい。また、図13に示すように側辺部13は片側のみとし、他の片側の歩道12との路肩は直接ハンプ1を接合させる場合もある。
【0034】
どれの場合も本発明の車両の走行速度抑制用舗装体を設けることで路面に突起ができ、道路を横断する場合の歩行者の障害になることへの配慮をなすものである。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の車両の走行速度抑制用舗装体は、サインカーブの形状とソリッドエラストマーの材料により騒音、振動発生を低減し、環境に優しく、しかも、車両登り口部および車両降り口部の部分は路面形状に沿い、かつ車両の交通荷重に耐えることができる。
【0036】
また、施工が容易で道路に合わせた設置ができ、不要時の撤去も簡単なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す正面図である。
【図2】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す平面図である。
【図3】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す左側面図である。
【図4】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す右側面図である。
【図5】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す裏面図である。
【図6】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の1実施形態を示す設置状態の縦断側面図である。
【図7】 角成形物でタイプ1の側面図である。
【図8】 角成形物でタイプ2の側面図である。
【図9】 角成形物でタイプ3の側面図である。
【図10】 他の実施形態のもので、固定部分の詳細を示す縦断側面図である。
【図11】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の側面処理の第1例を示す断面図である。
【図12】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の側面処理の第2例を示す断面図である。
【図13】 本発明の車両の走行速度抑制用舗装体の側面処理の第3例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ハンプ 1a…本体部
1b…車両登り口部および車両降り口部
2…サインカーブ(曲線) 3…角成形物ユニット
4…下層 5…表面層
6…アンカーボルト 7…ボルト孔
8…水抜き溝 9…白色マーク表示
10…係止金具 11…ソリッドエラストマー
12…歩道 13…側辺部

Claims (2)

  1. 道路表面に設けるもので、ゴムチップを使用してバインダー材を用いて所定の形状に成形したエラストマーによる角成形物ユニットを組み合わせてなる縦断方向にサインカーブ形状を有する舗装体であり、前記角成形物ユニットのうち一部が車両登り口部および車両降り口部を構成する角成形物ユニットは、比較的厚みのある主要部を前記ゴムチップで形成し、車両登り口部および車両降り口部部分は加硫ゴム、ウレタン性エポキシ、ウレタン、塩化ビニル等のソリッドエラストマーで成形したことを特徴とする車両の走行速度抑制用舗装体。
  2. 車両登り口部および車両降り口部は端部の厚みを1mm〜6mmとし、先端をアール加工とした請求項記載の車両の走行速度抑制用舗装体。
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