JP3713225B2 - 手すり型水栓 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水栓本体を筒状に形成して手すりに兼用させてある新規な手すり型水栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
図14に示すように、浴室77の例えば洗い場に位置する壁Wの下部に、例えば切替コック71の切替操作により吐水管接続口72またはシャワーホース接続口73に切り替えて水、湯、または混合水を吐水管74またはシャワーホース75に供給するサーモ型湯水混合水栓76が横置き状態で設置されるとともに、浴室77内での動作を補助する目的で浴槽側のみならず洗い場側の壁にも手すり(図示せず)が設置されているものがあるけれども、ただでさえ狭い浴室77の洗い場が手すりに邪魔されて狭くなる上に手すりに体が当たることがあった。
【0003】
この発明は、浴室のスペースを有効に活用できるとともに、バリアフリーとしても有用な手すり型水栓を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、筒状の水栓本体と、この水栓本体の内部に設けられた接続管との二重管構造を備え、さらに、前記接続管よって切替ユニットおよび温調ユニットが接続されるとともに、外管としての前記水栓本体および内管としての前記接続管間に、切替ユニット側から温調ユニット側に水を導入する環状の水導入路が形成される一方、切替ユニット側の弁機構に混合水、水、または、湯を供給する供給流路が前記接続管によって形成され、前記水栓本体をすりに兼用させてあることを特徴とする(請求項1)
【0005】
また、この発明は別の観点から、筒状の水栓本体と、この水栓本体の内部に設けられた接続管との二重管構造を備えた手すり型水栓であって、水栓本体の一端には、水、湯、または混合水の吐出状態と止水状態を切り替えるための切替ハンドルが設けられ、水栓本体の他端には、混合水の温度調節を行うための温調ハンドルが設けられ、前記接続管よって、切替ハンドルに接続可能な切替ユニットおよび温調ハンドルに接続可能な温調ユニットが接続され、外管としての前記水栓本体および内管としての前記接続管間に、切替ユニット側から温調ユニット側に水を導入する環状の水導入路が形成される一方、前記接続管は湯水混合室の一部を構成するとともに、温調ユニット側から、切替ユニット側の弁機構に混合水、水、または、湯を供給する供給流路が前記接続管によって形成され、前記水栓本体を手すりに兼用させてあることを特徴とする手すり型水栓を提供する(請求項2)
【0006】
の発明において水栓本体は、接続管を内蔵した水栓本体部分と、切替ユニットを内蔵した水栓本体部分と、温調ユニットを内蔵した水栓本体部分とよりなるとともに、切替ユニットを内蔵した前記水栓本体部分の内側に筒状の外ケースが固定され、この外ケースの内側に内ケースが固定される一方、切替ユニット側の前記弁機構は、前記内ケースに内蔵されており、さらに、前記弁機構は、内ケース内部に胴部を介して固定された筒状の連通部材と、この連通部材によって覆われる胴部を有し、水栓本体の軸方向のまわりに回動して水、湯、または混合水の流路を吐水管接続口またはシャワーホース接続口に切替えて連通させる筒状の回動部材とを有するのが好ましい(請求項3)。また、この発明において、前記連通部材は前記吐水管接続口に連通する第1の連通穴と前記シャワーホース接続口に連通する第2の連通穴を胴部に有し、前記回動部材は切替ハンドルの切替え操作により前記第1の連通穴と第2の連通穴のいずれかに連通するよう胴部を切欠いて形成された切欠穴を有するのが好ましい(請求項4)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明する。なお、この発明はそれによって限定されるものではない。
【0008】
図1、図2は、浴室の洗い場に位置する壁に横置き状態で設置して手すりに兼用できるように構成したこの発明の第1の実施形態を示す。
【0009】
図1、図2において、1は、浴室60の洗い場に位置する壁で、サーモ型湯水混合水栓(以下、水栓という)2が横置き水平状態で設置されている。
【0010】
前記水栓2の水栓本体3は、筒状で、この実施形態では大径部4と小径部5よりなる。水栓本体3は、金属製で、小径部5の背面側に、湯配管6に連通する湯接続口7を有するとともに、大径部4の背面側に、水配管8に連通する水接続口9を有する。湯接続口7と水接続口9は間隔Bを有して位置する。また、水栓本体3は、大径部4の下側に、水、湯、または混合水の吐水管接続口10を有するとともに、大径部4の背面側に、シャワーホース接続口11を有する。
この実施形態では、大径部4に後述する切替ユニット14が位置するとともに、小径部5に後述する接続管16および温調ユニット15が位置する構成を採用している。大径部4の外径は例えば46mmであり、小径部5の外径rは、浴室、シャワルームに設置される手すりとして規格に合った例えば34mmに設定されている。切替ユニット14を大径部4に位置させるのは、切替ユニット14に内蔵されている弁機構23,24が温調ユニット15に内蔵されている温調機構よりも大きいからである。
【0011】
また、前記水栓本体3には、一端に、水、湯、または混合水の吐出状態と止水状態を切り替えるための切替ハンドル12が設けられる一方、他端に、混合水の自動温度調節を行うための温調ハンドル13が設けられている。
【0012】
前記切替ハンドル12は、その操作により、流量調節可能に、かつ水、湯、または混合水を、吐水管(図示せず)またはシャワーホース(図示せず)に切り替えて供給するように構成されている。
【0013】
更に、前記水栓本体3内には、切替ハンドル12と接続可能な切替ユニット14と、温調ハンドル13と接続可能な温調ユニット15とが装入されている。
【0014】
前記切替ユニット14は、その内部に、切替ハンドル軸22とともに回転するセラミック製可動ディスク23と、セラミック製固定ディスク24とが収納され、切替ハンドル1 2の水栓本体軸線方向(両矢印Xで示す方向)まわりの回動操作によって可動ディスク23が回動し、可動ディスク23と固定ディスク24内に設けた長孔(図示せず)同士が整合することで、前記吐水管接続口10、または、シャワーホース接続口11への水、湯、または混合水の供給と停止が行われる。前記可動ディスク23と固定ディスク24は、水、湯、または混合水を吐水管接続口10、または、シャワーホース接続口11へ供給したり、停止したりする開閉機能を持つ弁機構を構成する。可動ディスク23と固定ディスク24は、内部に所定の大きさの長孔を設けることから、大径となり、34mm径の小径部5には可動ディスク23と固定ディスク24を含む弁機構を収容できない。そのため、この実施形態では、水栓本体3を大径部4と小径部5で構成している。
【0015】
また、前記温調ユニット15は、サーモワックスを内蔵したサーモエレメント25とピストン26を具備し、そのサーモエレメント25が混合水の温度を感温するとサーモワックスが膨張してピストン26を押し出し、サーモバルブ本体32の位置を変化させることにより、給水側通路27と給湯側通路28のすき間が調整されるようになっており、温調ハンドル13によって混合水の温度を任意に設定することができる。
【0016】
温調ユニット15の自動温度調節動作は以下の通りである。
温調ハンドル13を前記X方向まわりに回動させて所定温度に設定すると、湯と水が湯水混合室Sで混合され、所定温度の混合水が吐水管またはシャワーホースへ流れる。前記X方向は水栓本体3の長手方向に沿った方向である。
【0017】
そして、混合水の温度が所定温度より上昇した場合、これをサーモエレメント25が感温してサーモエレメント25内のサーモワックスが膨張してサーモエレメント25を温調ハンドル13の側に移動させ、サーモバルブ本体32が給湯側通路28を狭めて給水側通路27を広げる。これにより、混合水の温度が下がり、所定温度に調節できる。一方、混合水の温度が所定温度より降下した場合、これをサーモエレメント25が感温してサーモエレメント25内のサーモワックスが収縮してサーモエレメント25を切替ハンドル12の側に移動させサーモバルブ本体32が給湯側通路28を広げて給水側通路27を狭める。これにより、混合水の温度が上がり、所定温度に調節できる。
【0018】
以下、この発明の特徴的構成について説明する。
16は、筒状の水栓本体3の内部に設けた接続管で、切替ユニット14の端部14aと温調ユニット15の端部15aとを接続する。すなわち、水栓2は、水栓本体3(外管)と接続管16(内管)の二重管構造を有し、両者3,16間に、切替ユニット14側から温調ユニット15側に水を導入する環状の水導入路jが構成される。外管としての前記水栓本体3はこの水導入路jによって、混合水、水、または、湯を供給する供給流路i(後述する)と断熱され、熱くなることはない。
【0019】
そして、内管としての前記接続管16は、前記湯水混合室Sの一部を構成するとともに、接続管16によって温調ユニット15側から切替ユニット14側の前記弁機構23,24に混合水、水、または、湯を供給する供給流路iが形成される。
【0020】
33は、手すりとしてより効果的に機能させるための環状のスベリ止め部材で、筒状の水栓本体3の中央部に設けてある。このスベリ止め部材33は、接続管16に対応する位置にある小径部5の外表面3aに薄くコーティングされたエラストマー樹脂よりなる。そして、スベリ止め部材33で覆われた前記小径部5の握り径(外径)rは、規格に合った例えば34mmに設定され、しっかり握れるよう構成されている。なお、スベリ止め部材としては、シリコン系のゴム材でもよく、また、軟質塩化ビニール等の樹脂よりなる半硬質部材でもよい。そして、接続管16、接続管16に対応する位置にある外径が34mm径の小径部5およびスベリ止め部材33とから手すりTが構成される。
なお、スベリ止め部材33に抗菌剤を添加することにより、雑菌の繁殖を防ぐことができる。
【0021】
すなわち、図14に示した従来型のサーモ型湯水混合水栓76では水栓本体78に装入されている切替ユニットと温調ユニットとは端部同士を直接接続されていたのに対し、この発明では、手すりの位置を確保するために、従来の前記水栓本体78を更に長手方向に長くする必要があり、手すりTの長さAよりも若干長い長さを持つ前記接続管16を導入し、この接続管16で切替ユニット14の端部14aと温調ユニット15の端部15aとを接続している。
【0022】
また、この実施形態では前記湯配管6と水栓本体3の前記湯接続口7とを連通する湯連通管35を樹脂製カバー36で被覆するとともに、前記水配管8と水栓本体3の前記水接続口11を連通する水連通管37を樹脂製カバー36と同一構造の樹脂製カバー38で被覆してある。前記湯連通管35と水連通管37とは同一構造であるので湯連通管35について説明する。
【0023】
すなわち、前記湯連通管35は、浴室60の洗い場に位置する壁1の前面から前方に突出しており、水栓本体3に対する接続部39と、湯配管6に対する接続部40と、両者39,40を繋ぐ流量調整栓部41とより主としてなる。更に、前記接続部39は、逆止弁39aを内蔵し、前記湯配管6と接続部40とはL型継手(エルボ)42で接続されている。このL型継手(エルボ)42は、壁1に設けた穴44に固定されている。なお、前記湯連通管35は、バフ仕上げ抜きのものを使用している。
【0024】
前記樹脂製カバー36は、前記湯連通管35の略全体を被覆するもので、二つの半割り体36a,36bで形成されている。
【0025】
そして、熱伝導性が小さい前記樹脂製カバー36で湯連通管35の略全体を被覆するので、湯連通管35によるやけどを防止できる。
【0026】
また、前記樹脂製カバー36で湯連通管35の略全体を被覆することから、多少見栄が悪いバフ工程抜きの連通管を水連通管37にも使用でき、バフ仕上げを施した連通管において多々あるように、バフ仕上げが原因で不良製品を量産して歩留りが発生するような事態を回避できる。
【0027】
また、図示はしないが、半割り体36a,36bは、水抜き穴を有する。そのため、シャワー使用時等には、樹脂製カバー36内に溜まった湯水を水抜き穴で樹脂製カバー36の外に常時排出でき、長寿命性を保持できるとともに、衛生面でも有効である。
【0028】
而して、水栓本体3を筒状に形成して手すりに兼用させたので、浴室60内での動作を補助できる。
【0029】
また、浴室60の壁1に新たに手すりを設ける必要がなくなり、浴室60のスペースを有効に活用できるとともに、手すりに体が当たるといった事態も回避できバリアフリーとしても有効である。
【0030】
図3、図4は、中央部に設けた手すりTを含む筒状の水栓本体3をの外径を34mmに設定してあるこの発明の第2の実施形態を示す。なお、図3、図4において、図1、図2に示す符号と同一のものは同一または相当物である。
【0031】
この実施形態では水栓本体3を、正面向かって左側に位置する温調ユニット部45と、正面向かって右側に位置する切替ユニット部46と、両部45,46の中間に位置する手すりTとより構成するとともに、温調ユニット部45のみならず切替ユニット部46の外径を手すりTと略同一の34mmになるよう構成してある。これにより、上記第1の実施形態では手すりTと大径部4間に段差があったが、この第2の実施形態では段差がなくなり見栄えがする。
そして、前記温調ユニット部45は、背面側に湯配管6(図1参照)に連通する湯接続口7を有する。また、前記切替ユニット部46は、背面側に水配管8(図1参照)に連通する水接続口9を有する。また、前記切替ユニット部46は、下側に、水、湯、または混合水の吐水管接続口10を有するとともに、背面側に、シャワーホース接続口11を有する。
また、水栓2は、切替ハンドル12の操作により、吐水管接続口10またはシャワーホース接続口11に切り替えて水、湯、または混合水を、吐水管48またはシャワーホース49に供給する。切替ハンドル12は、有底筒状で、手指が引っ掛かるための複数の突起12aを円周表面に有する。一方、混合水の自動温度調節を行うための温調ハンドル13も、有底筒状で、手指が引っ掛かるための複数の突起13aと一つの押しボタン13bを円周表面に有する。この押しボタン13bを押さないとき湯側に温調ハンドル13を回した最大の位置で湯温度が40℃に設定されており、押しボタン13bを押して温調ハンドル13を回すことで40℃よりも温度の高い湯温度に設定できるよう構成されている。50は、コラム状のシャワヘッドである。
【0032】
図5、図6は、水栓本体51を縦部分52と横部分53よりなるL字型に形成し、縦部分52と横部分53をそれぞれ手すりとして機能するよう構成してあるこの発明の第3の実施形態を示す。なお、図5、図6において、図1〜図4に示す符号と同一のものは同一または相当物である。
【0033】
図5、図6において、この実施形態の水栓153は、上記各実施形態で示したようなサーモ型湯水混合水栓ではなく、シングルレバー式の水栓と同様の機能を有する水栓である。すなわち、水栓153は、筒状の水栓本体51の一端に回動自在に設けられた流量調節部材54を横部分53の一端で横部分53の軸方向回りに回動自在に有する。この流量調節部材54は、水、湯、または混合水の流量調節以外に、水、湯、または混合水の吐水状態・止水状態の切替機能と、湯温調節機能の三つの機能を兼ねることができるよう構成されている。一方、吐水管接続口10またはシャワーホース接続口11’に切り替えて水、湯、または混合水を、吐水管48またはシャワーホース49に供給するための切替部材54’が横部分53に設けられている。
【0034】
前記水栓本体51は、前記横部分53に、湯配管および水配管に連通する湯接続口および水接続口を樹脂製カバー38’に対応する位置に有するとともに、水、湯、または混合水の吐水管接続口10を有する一方、前記縦部分52の上端部52aにシャワーホース接続口11’を有し、浴室60の壁1に設置されている。
【0035】
すなわち、この第3の実施形態では、上記各実施形態で用いた樹脂製カバー36,38と同じ大きさの樹脂製カバー38’に覆われる程度に湯連通管および水連通管が近接して配置され、これに伴い湯配管および水配管もその取り出し開口は、図1、図4で示したような長い間隔Bを有して湯配管6および水配管8の取り出し開口が位置するようなものではなく、本出願人が出願した特開平9−316946号公報に記載してある湯・水導入口53’を採用している。この湯・水導入口53’には、図6に示すように、湯導入路7’と水導入路9’が並設された嵌込部材53aが嵌込まれる。
【0036】
そして、前記水栓本体51は、前記縦部分52の略中間位置における外表面と前記横部分53の略中間位置における外表面に滑り難く握り易いようにエラストマー樹脂のスベリ止め部材56,57がコーティングされてなる手すりT’,T’’を有する。
【0037】
このシングルレバー式の水栓153は、前記切替部材54’の操作により、前記吐水管接続口10またはシャワーホース接続口11’に切り替えて水、湯、または混合水を、吐水管48またはシャワーホース49に供給する。
【0038】
前記横部分53内には、前記流量調節部材54と接続可能な弁部材が装入されている。そして、吐水管接続口10は、切替部材54’を介して前記弁部材の導出口と連通される一方、前記水栓本体51内部において水、湯、または混合水を供給するためのL字型の接続管(図示せず)の上端が前記シャワーホース接続口11’に接続され、かつ、前記L字型の接続管(図示せず)の下端が切替部材54’を介して前記弁部材の導出口と連通している。
また、前記可動ディスクは、流量調節部材54の回動操作に連動して回転する。
【0039】
58は、前記横部分53に設けた取付部58’を介して水栓本体51を壁11に取り付けるための取付部材である。59は、前記縦部分52に設けた取付部59’を介して水栓本体51を壁11に取り付けるための取付部材である。
なお、前記流量調節部材54は手指が引っ掛かるための複数の突起54cを有する一方、前記切替部材54’は、手指が引っ掛かるための複数の突起54c’を有する。
【0040】
図7は、前記水栓153および前記水栓2を、それぞれ浴室60の洗い場60a側に位置する壁1および浴室60の浴槽60b側に位置する壁1aに設置してあるこの発明の第4の実施形態を示す。なお、図7において、図1〜図6に示す符号と同一のものは同一または相当物である。
【0041】
前記水栓2は浴槽60b内に水、湯、または混合水を供給するよう壁1aに設置してある。また、前記水栓153は、シャワヘッド50を備え、洗い場60a側に位置する壁1に設置してある。また、洗い場60a側の別の壁1cには適宜な高さ位置に手すり61が設置されている。
【0042】
そして、水栓2の筒状の水栓本体3はエラストマー樹脂のスベリ止め部材33をコーティングしてある手すりTを有するので、別途手すりを設けなくても浴槽60bに入るときや浴槽60bから出るときの動作を補助でき、浴室60スペースを有効に活用できるとともに、手すりに体が当たるといった事態も回避できバリアフリーとしても有効である。
【0043】
また、水栓153の、筒状でL字型の水栓本体51は、エラストマー樹脂のスベリ止め部材56,57をコーティングしてある手すりT’,T’’を有するので、別途手すりを設けなくても洗い場60aでの動作を補助でき、浴室60スペースを有効に活用できるとともに、手すりに体が当たるといった事態も回避できバリアフリーとしても有効である。
【0044】
図8は、上下方向に向けた手すり60(特願平8−181236号明細書・図面参照)を上記第2の実施形態で用いた前記水栓本体3に連設し、前記手すり60に沿ってスライドするスライド体61の一側にシャワーヘッド50を掛止するためのハンガー62を設け、更に、前記水栓本体3に設けたシャワーホース接続口11にシャワーホース49を接続してあるこの発明の第5の実施形態を示す。なお、図8において、図1〜図7に示す符号と同一のものは同一または相当物である。
【0045】
手すり60は、規格に合った例えば34mmに外径が設定されたステンレス等のパイプからなり、表面には滑り難く握り易いように例えばエラストマー樹脂Sがコーティングされている。そして、スライド体61の他側に操作レバー63を有する。この操作レバー63は、スライド体61の高さ調節のときにスライド体61の手すり60への固定を弛めたり、スライド体61を手すり60に固定させるためのもので、操作レバー63を一方向に回転させてスライド体61の手すり60への固定を解除する一方、スライド体61が所定の高さにくると、操作レバー63を反対方向にまわしてスライド体61が手すり60に固定される。
【0046】
図9〜図13は、上記第2の実施形態の詳細を示す。すなわち、浴室、シャワルームで使用する水栓本体3の中央部を規格に合った34mmの握り径(外径)rを有する手すりTに兼用させるとともに、切替ユニット14が位置する水栓本体3の部分と手すりTを面一にするために、上記第1の実施形態で用いた前記弁機構23,24(図1参照)に替えて、水栓本体3の軸方向のまわりに回動して吐水管接続口10またはシャワーホース接続口11に切替え可能に連通する筒状の回動部材を備えた弁機構を用いたこの発明の第6の実施形態を示す。なお、図9〜図13において、図1〜図8に示す符号と同一のものは同一または相当物である。
【0047】
図9〜図13において、接続管16は、筒状の水栓本体3の内部に設けられており、切替ユニット14と温調ユニット15とを接続する。水栓本体3は、接続管16を内蔵した水栓本体部分3Cと、切替ユニット14を内蔵した水栓本体部分3Aと、温調ユニット15を内蔵した水栓本体部分3Bとよりなる。水栓本体部分3Cは、外表面に薄くコーティングされたエラストマー樹脂よりなるスベリ止め部材33を有する。水栓本体部分3Cと水栓本体部分3Aはねじ結合されている。また、水栓本体部分3Cと水栓本体部分3Bもねじ結合されている。
なお、前記スベリ止め部材33をシリコン系のゴム材で構成してもよい。また、前記スベリ止め部材33を軟質塩化ビニール等の樹脂よりなる半硬質部材で構成してもよい。
【0048】
81は、切替ユニット14の外ケースで、筒状である。この外ケース1は、筒状の水栓本体部分3Aの内壁に0リングなどのシール部材83を介して固定されている。82は、切替ユニット14の内ケースで、筒状である。この内ケース82は、外ケース81の内壁に0リングなどのシール部材83を介して固定されている。
【0049】
切替ユニット14は、水、湯、または混合水を吐水管接続口10、または、シャワーホース接続口11へ供給したり、停止したりする開閉機能を持つ弁機構を前記内ケース82の内部に有する。100は、水栓本体部分3Aと、水栓本体部分3Aと同径の筒状の切替表示リング体101とを接続する接続部材で、水栓本体部分3Aの一端に螺合する外ねじ部と、切替表示リング体101を外嵌させる嵌合部とを有する。
また、水栓本体部分3Aは、水接続口9とシャワーホース接続口11を背面側に有するとともに、吐水管接続口10を下面側に有する。シャワーホース接続口11および吐水管接続口10には、それぞれ、シール部材102および103を介してシャワーホース用継手104および吐水管用継手105が接続されている。
【0050】
一方、温調ユニット15のサーモエレメント25は、水栓本体部分3Bに内蔵されている外ケース91内に固定設置されている。
110は、水栓本体部分3Bと、水栓本体部分3Bと同径の筒状の温調表示リング体111とを接続するとともに、弁体112を内蔵した温調ガイド体で、水栓本体部分3Bの中間位置で螺合する外ねじ部と、温調表示リング体111を外嵌させる嵌合部とを有する。また、水栓本体部分3Bは、湯接続口7を背面側に有する。
【0051】
前記内ケース82に内蔵した前記弁機構は、水栓本体3の軸方向のまわりに回動して水、湯、または混合水の流路を吐水管接続口10またはシャワーホース接続口11に切替えて連通させる筒状の回動部材84と、この回動部材84の胴部を覆うゴム製で筒状の連通部材85とよりなる。
【0052】
更に、前記連通部材85は、内ケース82内部に胴部を介して固定されており、吐水管接続口10に連通する連通穴85aとシャワーホース接続口11に連通する連通穴85bを中心角で90°離れた状態で胴部に有する。
【0053】
また、前記回動部材84は、切替ハンドル12と回動部材84を接続する切替ハンドル軸22’とともに回転するよう構成されている。この回動部材84は、回動部材84の胴部を切欠いて形成した切欠穴86を有する。この切欠穴86は、切替ハンドル12の切替え操作により前記連通穴85aと連通穴85bのいずれかに連通する。図12は、切欠穴86が、連通穴85aと連通穴85bのいずれにも連通しない状態を示す。
【0054】
また、切替ユニット14の端部14aと温調ユニット15の端部15aとを接続する接続管16は、一方端にオス型接続金具89を有するとともに、他方端にメス型接続金具93を有し、前記オス型接続金具89が切替ユニット14の前記外ケース81の端部14aに内嵌される一方、前記メス型接続金具93が前記温調ユニット15の外ケース91の端部15aに外嵌されている。更に、前記端部は15aは前記端部14aに内嵌可能に構成されている。
【0055】
また、前記接続金具89の他端における外周面と接続管16の一端における内周面とが溶接により接続されている。90は、その溶接部分である。
一方、前記接続金具93の他端における内周面と接続管16の他端における外周面とが溶接により接続されている。94は、その溶接部分である。
【0056】
而して、筒状の回動部材84の胴部に切欠穴86を設け、連通穴85a,連通穴85bを胴部に有するゴム製で筒状の連通部材85を、回動部材84の胴部を覆うよう内ケース82に固定設置したので、水、湯、または混合水を吐水管接続口10、または、シャワーホース接続口11へ供給したり、停止したりする開閉機能を持つ弁機構を小型化でき、切替ユニット14を内蔵した水栓本体部分3Aの外径を水栓本体部分3C同様の34mmに設定できる。
【0057】
また、切替ユニット14の端部14aからオス型接続金具89を引き抜く一方、温調ユニット15の端部15aからメス型接続金具93を引き抜いた後には、温調ユニット15の端部15aを切替ユニット14の端部14aに内嵌させることで手すり型水栓からサーモ型湯水混合水栓に簡単に変更できる。この逆の取り付け動作も簡単に行える。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明では、ただでさえ狭い浴室が手すりに邪魔されて狭くなる上に手すりに体が当たることがあるといった事態を回避できる。
【0059】
すなわち、この発明では、水栓本体を筒状に形成して手すりに兼用させたので、浴室内での動作を補助できる。
【0060】
また、この発明では、浴室の壁に新たに手すりを設ける必要がなくなり、浴室のスペースを有効に活用できるとともに、手すりに体が当たるといった事態も回避できバリアフリーとしても有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態を示す横断面図である。
【図2】 上記実施形態における一部を切断した正面図である。
【図3】 この発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図4】 上記第2の実施形態を背面側からみた要部斜視図である。
【図5】 この発明の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図6】 上記第3の実施形態を背面側からみた図である。
【図7】 この発明の第4の実施形態の使用状態を示す全体斜視図である。
【図8】 この発明の第5の実施形態を示す斜視図である。
【図9】 (A)は、上記第2の実施形態の詳細を示す横断面図である。
(B)は、上記第2の実施形態の詳細を示す一部を切断した正面図である。
【図10】 上記第2の実施形態の詳細の要部を示す横断面図である。
【図11】 上記第2の実施形態の詳細の要部を示す横断面図である。
【図12】 上記第2の実施形態の詳細の要部を示す縦断面図である。
【図13】 上記第2の実施形態の詳細を示す分解斜視図である。
【図14】 従来例の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…壁、2…水栓、3…水栓本体、15…温調ユニット、16…接続管、33…スベリ止め部材、60…浴室。

Claims (4)

  1. 筒状の水栓本体と、この水栓本体の内部に設けられた接続管との二重管構造を備え、さらに、前記接続管よって切替ユニットおよび温調ユニットが接続されるとともに、外管としての前記水栓本体および内管としての前記接続管間に、切替ユニット側から温調ユニット側に水を導入する環状の水導入路が形成される一方、切替ユニット側の弁機構に混合水、水、または、湯を供給する供給流路が前記接続管によって形成され、前記水栓本体をすりに兼用させてあることを特徴とする手すり型水栓。
  2. 筒状の水栓本体と、この水栓本体の内部に設けられた接続管との二重管構造を備えた手すり型水栓であって、水栓本体の一端には、水、湯、または混合水の吐出状態と止水状態を切り替えるための切替ハンドルが設けられ、水栓本体の他端には、混合水の温度調節を行うための温調ハンドルが設けられ、前記接続管よって、切替ハンドルに接続可能な切替ユニットおよび温調ハンドルに接続可能な温調ユニットが接続され、外管としての前記水栓本体および内管としての前記接続管間に、切替ユニット側から温調ユニット側に水を導入する環状の水導入路が形成される一方、前記接続管は湯水混合室の一部を構成するとともに、温調ユニット側から、切替ユニット側の弁機構に混合水、水、または、湯を供給する供給流路が前記接続管によって形成され、前記水栓本体を手すりに兼用させてあることを特徴とする手すり型水栓。
  3. 水栓本体は、接続管を内蔵した水栓本体部分と、切替ユニットを内蔵した水栓本体部分と、温調ユニットを内蔵した水栓本体部分とよりなるとともに、切替ユニットを内蔵した前記水栓本体部分の内側に筒状の外ケースが固定され、この外ケースの内側に内ケースが固定される一方、切替ユニット側の前記弁機構は、前記内ケースに内蔵されており、さらに、前記弁機構は、内ケース内部に胴部を介して固定された筒状の連通部材と、この連通部材によって覆われる胴部を有し、水栓本体の軸方向のまわりに回動して水、湯、または混合水の流路を吐水管接続口またはシャワーホース接続口に切替えて連通させる筒状の回動部材とを有する請求項1または請求項2に記載の手すり型水栓。
  4. 前記連通部材は前記吐水管接続口に連通する第1の連通穴と前記シャワーホース接続口に連通する第2の連通穴を胴部に有し、前記回動部材は切替ハンドルの切替え操作により前記第1の連通穴と第2の連通穴のいずれかに連通するよう胴部を切欠いて形成された切欠穴を有する請求項3に記載の手すり型水栓
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