JP3711114B2 - ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法に関し、詳しくは、流動性に優れたポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレン粉体は、高結晶性であり、かつ分子間力が低いので、わずかな応力で繊維化する性質を有している。
このポリテトラフルオロエチレン粉体を難燃化樹脂に添加した場合、樹脂中でポリテトラフルオロエチレン粉体が繊維化し、難燃化樹脂の燃焼時に火炎滴の滴下を抑え、延焼抑制に効果があることが知られている。
また、ポリテトラフルオロエチレン粉体を熱可塑性樹脂に添加した場合、樹脂中でポリテトラフルオロエチレン粉体が繊維化し、樹脂の溶融張力を高め、ブロー成形でのドローダウン防止、射出成形でのジェッティング防止、発泡成形での比重低減、押出成形での外観向上、充填材を含む樹脂組成物での充填材の分散性促進に効果があることが知られている。
【0003】
なお、ポリテトラフルオロエチレンは、多くの熱可塑性樹脂に対して相溶性が低いため、ポリテトラフルオロエチレン粉末を熱可塑性樹脂に単に添加しただけでは、樹脂中にポリテトラフルオロエチレン粉末を均一に分散させることは困難である。そこで、樹脂への分散性が向上したポリテトラフルオロエチレン粉体として、ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液および熱可塑性重合体の水性分散液の混合液を共凝固またはスプレードライにより粉体化したポリテトラフルオロエチレン含有粉体が、特開平11−124478号公報などに提案されている。
【0004】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンと熱可塑性重合体とを含有する水性分散液に、凝固剤を添加し、水性分散液中に含まれるポリテトラフルオロエチレンおよび熱可塑性重合体を凝固させてスラリーとする凝固工程、スラリーを洗浄、脱水して湿粉を得る脱水工程、湿粉を乾燥させる乾燥工程を経て製造される。
乾燥工程においては、例えば、まず湿粉を気流乾燥機によって乾燥させ、次いで、流動乾燥機によってさらに乾燥させることが行われている。
【0005】
図2は、流動乾燥機の一例を示す図である。この流動乾燥機20は、ガス分散板21により上部の流動層室22および下部の送風室23に分割された筐体24と、送風室23に送風手段(図示略)からの加熱ガスを送り込む送風口25と、流動層室22に湿粉(乾燥対象物)を供給する乾燥対象物供給口26と、流動層室22から粉体(乾燥物)を排出する乾燥物排出口27と、流動層室22下部を乾燥対象物供給口26から乾燥物排出口27の間で複数の槽28,29,30,31,32,33,34に分割し、乾燥対象物供給口26から乾燥物排出口27に向かう乾燥対象物の流れを妨げるように設けられている仕切板35,35・・・と、流動層室22上部に巻き上げられた粉体を回収するサイクロン36,36・・・と、天井部に設けられた排気口37とを具備して概略構成されるものである。
【0006】
乾燥対象物供給口26から流動層室22の第一の槽28に空気と共に吹き込まれた乾燥対象物は、ガス分散板21を通って流れ込む加熱ガスにより巻き上げられ、第一の槽28で流動する。乾燥対象物は、第一の槽28においてしだいに乾燥され、より高く巻き上げられるようになる。仕切板35の高さよりも高く巻き上げられるまで乾燥されたとき、乾燥対象物は、乾燥対象物供給口26から乾燥物排出口27に向かう空気の流れによって仕切板35を乗り越え、次の槽29に移動する。このように、乾燥対象物は、乾燥が進むにつれて順次、各槽を乾燥物排出口27に向かって移動していき、最終的に乾燥物排出口27から排出される。
【0007】
ところで、この流動乾燥機20を用いてポリテトラフルオロエチレンを含有する湿粉を乾燥した場合、流動層室22内で流動する湿粉が、流動層室22の内壁、仕切板35、ガス分散板21などに衝突して繊維化し、塊になりやすく、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなるという問題があった。そして、流動性の悪いポリテトラフルオロエチレン粉体は、製品の出荷前における袋詰め時や熱可塑性樹脂への添加時の取扱性が非常に悪くなるという問題を有していた。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−124478号公報(第2−10頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、流動性に優れ、熱可塑性樹脂へ分散性が良好なポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法は、(A)ポリテトラフルオロエチレンと、(B)40〜98℃のガラス転移温度を有する熱可塑性重合体とを含有し、かつ固形分中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%であり、固形分中の(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%である湿粉を、気流乾燥機にて乾燥し、さらに流動乾燥機にて乾燥するポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法であって、流動乾燥機に投入される湿粉中の水分率を、50質量%以下にすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法においては、流動乾燥機内の温度を、(B)熱可塑性重合体のガラス転移温度よりも10℃低い温度から15℃高い温度までの範囲とし、湿粉が流動乾燥機に投入されてから、粉体が流動乾燥機から排出されるまでの滞在時間を、12〜120分とすることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、(A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する湿粉を、気流乾燥機にて乾燥し、さらに流動乾燥機にて乾燥することによって製造される。
【0013】
[湿粉]
(A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する湿粉は、例えば、(A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する(C)水性分散液に、凝固剤を添加し、(C)水性分散液中に含まれる(A)ポリテトラフルオロエチレンおよび(B)熱可塑性重合体を凝固させてスラリーとする凝固工程、このスラリーを脱水する脱水工程を経て得ることができる。
【0014】
(C)水性分散液は、(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液と(B)熱可塑性重合体粒子の水性分散液とを混合する方法;(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液中で(B)熱可塑性重合体を構成する単量体を重合する方法;(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液と(B)熱可塑性重合体粒子の水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合する方法などによって調製することができる。
【0015】
(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを単独重合、またはテトラフルオロエチレンモノマーと共重合成分とを共重合させることにより得ることができる。共重合成分としては、(A)ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートなどを用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液としては、旭硝子フロロポリマーズ社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン(登録商標)30J等を代表例として挙げることができる。
【0016】
ポリテトラフルオロエチレン含有粉体中では、ポリテトラフルオロエチレンが10μm以上の凝集体となっていないことが、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を熱可塑性樹脂に配合添加した場合に、ポリテトラフルオロエチレンの分散性の点で好ましいことから、(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液中における(A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒子径は、0.05〜1.0μmであることが好ましい。
【0017】
(B)熱可塑性重合体粒子の水性分散液は、界面活性剤を用いる乳化重合で(B)熱可塑性重合体を構成する単量体を重合させることにより得ることができる。(B)熱可塑性重合体としては、熱可塑性樹脂に配合する際の分散性の観点から、熱可塑性樹脂との相溶性が高いものが好ましい。(B)熱可塑性重合体を構成する単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。これらの単量体の中で熱可塑性樹脂との相溶性の観点から好ましいものとして、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体を挙げることができる。
【0018】
界面活性剤としては、従来より乳化重合法において使用されている界面活性剤を用いることができ、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0019】
(B)熱可塑性重合体は、40〜98℃のガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性重合体である。(B)熱可塑性重合体のTgが40℃未満では、高温高荷重下において粉体が固まりやすく、貯蔵安定性、粉体の取扱性や流動性の著しい低下を招く可能性があり、(B)熱可塑性重合体のTgが98℃を超えると、凝固による水性分散液中からの固形分の回収時に粗粒が多量に発生して、熱可塑性樹脂中において分散不良による成形外観の低下を招く恐れがある。ここで、(B)熱可塑性重合体のTgは、例えば、単量体a,b,cからなる共重合体の場合、以下のFox式で求められる。
1/Tg=ma/Tga+mb/Tgb+mc/Tgc
Tg:共重合体のTg[K]、ma:単量体aの質量分率、Tga:単量体aから得られるホモポリマーのTg[K]、mb:単量体bの質量分率、Tgb:単量体bから得られるホモポリマーのTg[K]、mc:単量体cの質量分率、Tgc:単量体cから得られるホモポリマーのTg[K]。
【0020】
(C)水性分散液は、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%、(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%となるように、また、得られる湿粉の固形分中、(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%、(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%となるように調製される。具体的には、(C)水性分散液の固形分中、(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%、(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%となるように調製される。
【0021】
(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40質量%未満では(あるいは(B)熱可塑性重合体の含有量が60質量%を超えると)、難燃化樹脂の燃焼時に火炎滴の滴下を抑える効果や、樹脂の溶融張力を高める効果を十分に発現させるには大量の添加が必要となる。また、このようなポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、従来の製造方法で得ても十分な流動性を有しているので、本発明の製造方法で製造する必要もない。一方、(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が70質量%を超えると(あるいは(B)熱可塑性重合体の含有量が30質量%未満では)、樹脂への分散性が不十分となる。
【0022】
[凝固工程]
凝固工程は、凝固槽を複数用意し、第1の槽にて所定の凝析温度に加熱された水に(C)水性分散液および凝固剤を滴下して(A)ポリテトラフルオロエチレンおよび(B)熱可塑性重合体を凝析させた後、凝析物を含むスラリーを第2の槽に移し、第2の槽にて所定の固化温度にて所定時間加熱し、(A)ポリテトラフルオロエチレンおよび(B)熱可塑性重合体を融着、固化させ、目的のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を含むスラリーを得る連続方式;凝固槽にて所定の凝析温度に加熱された水に(C)水性分散液および凝固剤を滴下して(A)ポリテトラフルオロエチレンおよび(B)熱可塑性重合体を凝析させた後、同じ凝固槽にて所定の固化温度にて所定時間加熱し、(A)ポリテトラフルオロエチレンおよび(B)熱可塑性重合体を融着、固化させ、目的のポリテトラフルオロエチレン含有粉体を含むスラリーを得るバッチ方式、などによって行うことができる。
【0023】
凝固剤としては、従来より乳化重合系ポリマーの製造において使用されている凝固剤を用いることができ、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等の金属塩;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸などが挙げられる。
【0024】
[脱水工程]
脱水工程においてスラリーの洗浄、脱水を行う脱水手段としては、従来から公知の真空濾過機、遠心脱水機、加圧脱水機などを用いることができる。また、これらを複数組み合わせて用いてもよい。
【0025】
[乾燥工程]
気流乾燥機および流動乾燥機としては、従来より公知のものを用いることができる。
図1は、乾燥工程で用いられる乾燥装置の一例を示す概略構成図である。この乾燥装置は、水性分散液(C)中の固形分を凝固し、脱水して得られる湿粉を乾燥する気流乾燥機10と、気流乾燥機10で乾燥された湿粉をさらに乾燥する流動乾燥機20とを具備して概略構成されるものである。
【0026】
気流乾燥機10は、底部の湿粉入口11から上方に向かって垂直に延び、頭頂部12においてU字形に湾曲し、終端に下方に向かって開口した湿粉出口13が形成された気流管14から概略構成されるものである。この気流乾燥機10においては、湿粉が、気流管14の湿粉入口11から湿粉出口13へと向かう加熱ガスの熱気流中に分散させられ、熱気流と並流に気流管14の湿粉入口11から湿粉出口13へと送られながら乾燥されて、水分率の低い湿粉が得られる。
【0027】
気流乾燥機10の運転は、気流乾燥機10から排出される湿粉中の水分率が50質量%以下、すなわち、流動乾燥機20に投入される湿粉中の水分率が50質量%以下となるような乾燥条件で行われる。流動乾燥機20に投入される湿粉中の水分率が50質量%を超えると、湿粉が乾燥するまでに時間がかかり、湿粉が流動乾燥機20内に長く滞在することになる。そのため、(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化する湿粉の量が増え、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなる。また、流動乾燥機20における湿粉の滞在時間を短くするために、流動乾燥機20内の温度を上げても、湿粉中の(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化しやすくなり、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなる。
【0028】
ここで、湿粉の水分率は、湿粉約5gを精秤(WW )後、180℃にて1時間熱風乾燥して乾燥質量(WD )を測定し、以下の式で求められる。
水分率(質量%)=〔(WW −WD )/WD 〕×100
【0029】
流動乾燥機20は、図2に示すように、ガス分散板21により上部の流動層室22および下部の送風室23に分割された筐体24と、送風室23に送風手段(図示略)からの加熱ガスを送り込む送風口25と、流動層室22に湿粉(乾燥対象物)を供給する乾燥対象物供給口26と、流動層室22から粉体(乾燥物)を排出する乾燥物排出口27と、流動層室22下部を乾燥対象物供給口26から乾燥物排出口27の間で複数の槽28,29,30,31,32,33,34に分割し、乾燥対象物供給口26から乾燥物排出口27に向かう乾燥対象物の流れを妨げるように設けられている仕切板35,35・・・と、流動層室22上部に巻き上げられた粉体を回収するサイクロン36,36・・・と、天井部に設けられた排気口37とを具備して概略構成されるものである。
【0030】
湿粉を乾燥する際の流動乾燥機20内の温度は、(B)熱可塑性重合体のガラス転移温度(Tg)よりも10℃低い温度から、Tgよりも15℃高い温度までの範囲であることが好ましい。流動乾燥機20内の温度が(B)熱可塑性重合体のTg(℃)−10℃よりも低い温度では、湿粉が乾燥するまでに時間がかかり、湿粉が流動乾燥機20内に長く滞在することになる。そのため、(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化する湿粉の量が増え、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなるおそれがある。一方、流動乾燥機20内の温度が(B)熱可塑性重合体のTg(℃)+15℃よりも高い温度では、高温のために湿粉中の(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化しやすくなり、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなるおそれがある。
【0031】
湿粉が流動乾燥機に投入されてから、粉体が流動乾燥機から排出されるまでの滞在時間は、12〜120分であることを好ましい。滞在時間が12分未満では、短時間で乾燥させる必要があるため、流動乾燥機20内の温度を高くする必要がある。そのため、高温のために湿粉中の(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化しやすくなり、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなるおそれがある。滞在時間が120分を超えると、(A)ポリテトラフルオロエチレンが繊維化する湿粉の量が増え、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性が悪くなるおそれがある。ここで、滞在時間は、流動乾燥機での乾燥時間を指し、運転初期に測定した流動乾燥機の入口から出口までの所要時間である。
【0032】
以上説明した本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法にあっては、流動乾燥機に投入される湿粉中の水分率を50質量%以下としているので、流動乾燥機における湿粉の乾燥を短時間で、かつ低温で行うことができる。これにより、湿粉中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの繊維化を抑えることができ、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体は、流動性に優れ、熱可塑性樹脂へ分散性が良好なものとなる。
【0033】
また、流動乾燥機内の温度を、(B)熱可塑性重合体のガラス転移温度よりも10℃低い温度から15℃高い温度までの範囲とし、湿粉が流動乾燥機に投入されてから、粉体が流動乾燥機から排出されるまでの滞在時間を、12〜120分とすることにより、湿粉中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの繊維化をさらに抑えることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
諸物性の測定は以下のようにして行った。
[水分率]
湿粉の水分率は、湿粉約5gを精秤(WW )後、180℃にて1時間熱風乾燥して乾燥質量(WD )を測定し、以下の式で求めた。
水分率(質量%)=〔(WW −WD )/WD 〕×100
[固形分濃度]
分散液を180℃で30分間乾燥して求めた。
[平均粒子径]
分散液を水で希釈したものを試料液として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて、MATEC社が推奨する標準条件で測定した。すなわち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力約4000psi(2600KPa)および温度35℃を保った状態で、濃度約3%の希釈分散液0.1mlについて測定を行った。標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
[質量平均分子量]
ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(島津製作所(株)製、LC−10Aシステム)において、カラム(昭和電工(株)製、K−806L)を用いて測定を行った。
[滞在時間]
流動乾燥機の運転初期に、湿粉が流動乾燥機に投入されてから排出されるまでの時間を測定し、これを滞在時間とした。
【0035】
[フリーフロー性]
図3は、フリーフロー性の評価に使用された測定器であり、この測定器は、受け皿40がセットされる台座41と、筒口にシャッター42が設けられたロート43と、台座41の上方にロート43を保持する支持具44と、支持具34が固定された支柱45とから構成されるものである。この測定器を用いたフリーフロー性の評価は、以下のようにして行った。
まず、測定器を水平な場所に設置し、ロート43のシャッター42を閉じ、ロート43に100gの粉体を均一に入れた。
ついで、シャッターを開けて粉体を落下させ、すぐに台座41上にあらかじめ風袋が測定された受け皿40をセットした。受け皿40のセットと同時に、ストップウォッチで時間の計測を始め、10秒後に受け皿40を測定器から外した。粉体の入った受け皿を計量し、10秒間に落下した粉体の量を求めた。
以上の測定を2回行い、10秒間に落下した粉体の量の平均値を求め、これをフリーフロー性(g/10秒)とした。
【0036】
[実施例1]
((A)ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液)
ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液(旭硝子フロロポリマーズ社製、フルオンAD936、固形分濃度63.0質量%、ポリテトラフルオロエチレンに対して5質量%のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む)83.3質量部に、蒸留水116.7質量部を添加し、固形分26.2質量%のポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液(A−1)を得た。この水性分散液(A−1)は、25質量%のポリテトラフルオロエチレン粒子および1.2質量%のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むものである。
【0037】
((B)熱可塑性重合体粒子の水性分散液)
撹拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、蒸留水225質量部、メタクリル酸メチル80質量部、アクリル酸n−ブチル20質量部、n−オクチルメルカプタン0.2質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5質量部を仕込み、窒素気流下で内部の液温を60℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.0005質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0015質量部、ロンガリット塩0.3質量部および蒸留水5質量部からなる混合液を加え、単量体の重合を開始させた。重合の開始によって液温は95℃まで上昇した。その後、液温が80℃まで下がったところで、この状態を90分間保持して重合を完結させ、熱可塑性重合体粒子の水性分散液(B−1)を得た。この水性分散液(B−1)の固形分濃度は30.4質量%であり、熱可塑性重合体粒子の平均粒子径は0.08μmであった。また、熱可塑性重合体のガラス転移温度(Tg)は、57℃であり、質量平均分子量は50,000であった。
【0038】
((A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する(C)水性分散液)
撹拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えた反応容器に、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液(A−1)200質量部((A)ポリテトラフルオロエチレン固形分50質量部)をロータリーポンプ(東興産業(株)製、バイキングIC30S−D)を用いて仕込み、次いで、熱可塑性重合体粒子の水性分散液(B−1)164.5質量部((B)熱可塑性重合体固形分50質量部)を仕込み、攪拌しながら、混合液を80℃まで昇温した。液温が80℃になった状態で、1時間攪拌を続け、(A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する水性分散液(C−1)を得た。
【0039】
(ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−1)の製造)
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100質量部を加えて、82℃にまで昇温した。内部の温度が82℃になった時点で、5質量部の酢酸カルシウムを溶解した水溶液120質量部と、水性分散液(C−1)100質量部とを20分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、90℃まで内部を昇温して、この状態を36分間保持し、固形分濃度19.6質量%のスラリーを得た。
このスラリーを遠心脱水機に送り、脱水を行った。得られた湿粉(W−1)の水分率を測定したところ55質量%であった。
【0040】
この湿粉(W−1)を、気流乾燥機および流動乾燥機を用いて乾燥した。
気流乾燥機としては、管径810mm、加速部管径500mm、長さ29.7m、内容積12.95m3 、入ブロア能力450m3 /min、出ブロア能力580m3 /min、実際の運転風量430m3 /min、能力380kg水/hr、入り口温度103℃、出口温度55℃のものを用いた。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
流動乾燥機としては、床面積10m2 、天井高さ1200mm、堰高さ30cm、堰の数8、入ブロア能力170+120m3 /min、出ブロア能力580m3 /minものを用いた。流動乾燥機内の温度を65℃に調整し、湿粉の乾燥を行った。滞在時間は18分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−1)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度90℃とした以外は、実施例1と同様に気流乾燥機による湿粉(W−1)の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を57℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は108分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−1)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例3]
((A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する(C)水性分散液)
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口、滴下口を備えた反応容器に、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液(旭硝子フロロポリマーズ社製、フルオンAD936、固形分濃度63.0質量%、ポリテトラフルオロエチレンに対して5質量%のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む)66.7質量部((A)ポリテトラフルオロエチレン固形分40質量部)を、ロータリーローブポンプ(東興産業(株)製、バイキングIC30S−D)を用いて滴下口より仕込んだ。次いで、蒸留水163.3質量部とN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム3.5質量部とからなる混合液を加え、窒素気流を1時間通ずることによって反応容器内の雰囲気の窒素置換を行った。それから内部の温度を55℃まで昇温した。
【0044】
内部の温度が55℃になった時点で、過硫酸カリウム0.2質量部、蒸留水10質量部からなる混合液を加えて、所用攪拌動力が0.25kw/m3 となるように攪拌を調整してから、メタクリル酸メチル18質量部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.019質量部の混合物を滴下口より10分間かけて滴下を行うことによって、単量体の重合を開始した。重合開始から60分間、内部の温度を55℃に保持したのち、内部の温度を66℃まで昇温した。内部の温度が66℃になった時点でスチレン19.8質量部、アクリル酸n−ブチル13.2質量部、n−オクチルメルカプタン0.1質量部の混合物を90分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持した。保持終了後、メタクリル酸メチル9質量部、n−オクチルメルカプタン0.05質量部の混合物を30分かけて滴下口より滴下した。滴下終了後、この状態を60分間保持したのち、重合を終了して(A)ポリテトラフルオロエチレンと(B)熱可塑性重合体とを含有する水性分散液(C−2)を得た((A)ポリテトラフルオロエチレン固形分13.6質量%、(B)熱可塑性重合体固形分20.4質量%)。
【0045】
一連の操作を通じて固形物の分離はみられず、得られた水性分散液(C−2)の固形分は34.0質量%であった。また、水性分散液(C−2)中の熱可塑性重合体粒子の平均粒子径は0.07μmであった。また、算出した熱可塑性重合体のガラス転移温度(Tg)は52℃であった。
【0046】
(ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−2)の製造)
攪拌機、熱電対付きの反応容器に純水100質量部を加えて、78℃にまで昇温した。内部の温度が78℃になった時点で、5質量部の酢酸カルシウムを溶解し、水性分散液(C−2)200質量部を30分かけて滴下して固形物を析出させた。次いで、85℃まで内部を昇温して、この状態を36分間保持し、固形分濃度22.7質量%のスラリーを得た。
このスラリーを遠心脱水機に送り、脱水を行った。得られた湿粉(W−2)の水分率を測定したところ95質量%であった。
【0047】
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度100℃とした以外は、実施例1と同様に気流乾燥機による湿粉(W−2)の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を52℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は72分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−2)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0048】
[実施例4]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度90℃とした以外は、実施例3と同様に気流乾燥機による湿粉(W−2)の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を57℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は108分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−2)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度80℃とした以外は、実施例1と同様に気流乾燥機による湿粉の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を75℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は18分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−1)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
[比較例2]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度78℃とした以外は、実施例1と同様に気流乾燥機による湿粉の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を45℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は180分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−1)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例3]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度80℃とした以外は、実施例3と同様に気流乾燥機による湿粉(W−2)の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を70℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は30分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−2)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例4]
気流乾燥機の運転条件を、入り口温度76℃とした以外は、実施例3と同様に気流乾燥機による湿粉(W−2)の乾燥を行った。気流乾燥機による乾燥後、流動乾燥機に投入される直前の湿粉の水分率を測定した。結果を表1に示す。
ついで、流動乾燥機内の温度を43℃に調整し、流動乾燥機による湿粉の乾燥を行った。滞在時間は150分であった。得られたポリテトラフルオロエチレン含有粉体(P−2)について、フリーフロー性を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[参考例1]
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(固形分70質量部)、オレイン酸カリウム1.5質量部およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6質量部を窒素置換したフラスコ内に仕込んだ。フラスコの内温を70℃に保持して、メチルメタクリレート7.5質量部、エチルアクリレート1.5質量部およびクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物(全単量体100質量部に対してクメンハイドロキシパーオキサイド0.3質量部の割合)を1時間かけてフラスコ内に滴下した後、70℃で1時間保持した。
【0054】
その後、前段階で得られた重合体の存在下で、第2段目としてスチレン15質量部およびクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物(スチレン100質量部に対してにクメンハイドロキシパーオキサイド0.3質量部の割合)を1時間かけてフラスコ内に滴下した後、70℃で3時間保持した。
しかる後、第1段目および第2段目を経て得られた重合体の存在下で、第3段目としてメチルメタクリレート6質量部およびクメンハイドロキシパーオキサイドの混合物(メチルメタクリレート100質量部に対してクメンハイドロキシパーオキサイド0.3質量部の割合)を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した後、70℃で1時間保持してから重合を終了してグラフト共重合体ラテックスを得た。
【0055】
得られたグラフト共重合体ラテックスにブチル化ハイドロキシトルエン0.5質量部を添加した後、0.2質量%硫酸水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化し、スラリーを得た。これを、温水で洗浄後、脱水して水分率60質量%のブタジエン系グラフト重合体の湿粉を得た。
この湿粉を、気流乾燥機および流動乾燥機を用いて乾燥した。気流乾燥機の運転条件を、入り口温度98℃とし、流動乾燥機内の温度を65℃に調整し、滞在時間は65分であった。乾燥条件に大きな制約はなく、粉体性状を著しく損なうことはなかった。
【0056】
[参考例2]
テトラエトキシシラン2質量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5質量部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5質量部を混合し、シロキサン混合物100質量部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸それぞれ1質量部を溶解した蒸留水200質量部に上記シロキサン混合物100質量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2 の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。このラテックスをコンデンサーおよび撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合撹拌しながら80℃で5時間加熱した後、20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和して重合を完結させ、ポリオルガノシロキサンラテックスを得た。得られたポリオルガノシロキサンの重合率は89.5%であり、ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は0.16μmであった。
【0057】
ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた50Lステンレス製重合装置に、ポリオルガノシロキサンラテックスを33質量部採取し、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート(花王(株)社製、エマールNC−35)1.4質量部、蒸留水271質量部を加え、重合装置内を窒素で置換してから50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート78.4質量部、アリルメタクリレート1.6質量部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.40質量部の混合液を仕込み、重合装置内を30分間撹拌してこの混合液をポリオルガノシロキサン粒子に浸透させた。次いで、硫酸第1鉄0.002質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006質量部、ロンガリット0.26質量部および蒸留水5質量部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃を2時間保持して重合を完了させ、複合ゴムラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.22μmであった。
【0058】
この複合ゴムラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.05質量部およびメチルメタクリレート10質量部の混合液を、70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃を4時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了させた。メチルメタクリレートの重合率は、96.4%であった。また、得られたグラフト共重合体の平均粒子径を測定したところ0.24μmであった。次に、得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5%の熱水400部中に滴下し、凝固させてスラリーを得た。
【0059】
このスラリーを脱水して、水分率39質量%のシリコーン系グラフト重合体の湿粉を得た。
この湿粉を、気流乾燥機および流動乾燥機を用いて乾燥した。気流乾燥機の運転条件を、入り口温度95℃とし、流動乾燥機内の温度を60℃に調整し、滞在時間は55分であった。乾燥条件に大きな制約はなく、粉体性状を著しく損なうことはなかった。
【0060】
[参考例3]
反応器内に、メチルメタクリレート85質量部、ブチルメタクリレート15質量部、tert−ドデシルメルカプタン0.003質量部、アルケニルコハク酸カリウム1.5質量部および脱イオン水190質量部を仕込み、反応器内を窒素で置換した後、反応器内を攪拌しながら昇温を開始した。反応器内の温度が40℃に到達した時点で、過硫酸カリウム2.0質量部および脱イオン水10質量部の混合物を反応器内に投入して重合を開始した。攪拌しながら重合開始し、重合終了後200分保持した後、得られたポリマーラテックスを反応器から取り出した。
【0061】
得られたポリマーラテックスに0.2質量%硫酸水溶液を添加してポリマーを凝集させ、90℃の熱処理にて凝固させてスラリーを得た。
このスラリーを脱水して、水分率45質量%のアクリル系共重合体の湿粉を得た。
この湿粉を、気流乾燥機および流動乾燥機を用いて乾燥した。気流乾燥機の運転条件を、入り口温度101℃とし、流動乾燥機内の温度を58℃に調整し、滞在時間は65分であった。乾燥条件に大きな制約はなく、粉体性状を著しく損なうことはなかった。
【0062】
【表1】
Figure 0003711114
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法は、(A)ポリテトラフルオロエチレンと、(B)40〜98℃のガラス転移温度を有する熱可塑性重合体とを含有し、かつ固形分中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%であり、固形分中の(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%である湿粉を、気流乾燥機にて乾燥し、さらに流動乾燥機にて乾燥するポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法であって、流動乾燥機に投入される湿粉中の水分率を、50質量%以下にする方法であるので、流動性に優れ、熱可塑性樹脂へ分散性が良好なポリテトラフルオロエチレン含有粉体を得ることができる。
【0064】
また、本発明のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法において、流動乾燥機内の温度を、(B)熱可塑性重合体のガラス転移温度よりも10℃低い温度から15℃高い温度までの範囲とし、湿粉が流動乾燥機に投入されてから、粉体が流動乾燥機から排出されるまでの滞在時間を、12〜120分とすれば、得られるポリテトラフルオロエチレン含有粉体の流動性、熱可塑性樹脂へ分散性をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 湿粉の乾燥装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 流動乾燥機の一例を示す斜視図である。
【図3】 フリーフロー性の評価に用いられる測定器を示す図である。
【符号の説明】
10 気流乾燥機
20 流動乾燥機

Claims (2)

  1. (A)ポリテトラフルオロエチレンと、(B)40〜98℃のガラス転移温度を有する熱可塑性重合体とを含有し、かつ固形分中の(A)ポリテトラフルオロエチレンの含有量が40〜70質量%であり、固形分中の(B)熱可塑性重合体の含有量が30〜60質量%である湿粉を、気流乾燥機にて乾燥し、さらに流動乾燥機にて乾燥するポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法であって、
    流動乾燥機に投入される湿粉中の水分率を、50質量%以下にすることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法。
  2. 流動乾燥機内の温度を、(B)熱可塑性重合体のガラス転移温度よりも10℃低い温度から15℃高い温度までの範囲とし、
    湿粉が流動乾燥機に投入されてから、粉体が流動乾燥機から排出されるまでの滞在時間を、12〜120分とすることを特徴とする請求項1記載のポリテトラフルオロエチレン含有粉体の製造方法。
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