JP3709842B2 - 電界放射型電子源およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射するようにした電界放射型電子源およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、下部電極と、下部電極に対向する導電性薄膜よりなる表面電極と、下部電極と表面電極との間に介在する酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層とを備えた電界放射型電子源が提案されている
この種の電界放射型電子源は、例えば、図5に示すように導電性基板としてのn形シリコン基板1の主表面(一表面)側に酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜(例えば、金薄膜)よりなる表面電極7が形成されている。また、n形シリコン基板1の裏面にはオーミック電極2が形成されており、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成している。なお、図5に示す例では、n形シリコン基板1と強電界ドリフト層6との間にノンドープの多結晶シリコン層3を介在させてあるが、多結晶シリコン層3を介在させずにn形シリコン基板1の主表面上に強電界ドリフト層6を形成した構成も提案されている。
【0003】
図5に示す構成の電界放射型電子源10’から電子を放出させるには、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図5中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-の流れを示す)。なお、表面電極7の厚さは10〜15nm程度に設定されている。
【0004】
上述の強電界ドリフト層6は、下部電極12上にノンドープの多結晶シリコン層を形成した後に、この多結晶シリコン層を陽極酸化処理にて多孔質化することで多孔質多結晶シリコン層を形成し、多孔質多結晶シリコン層を急速加熱法によって例えば900℃の温度で急速熱酸化することにより形成されており、図6に示すように、少なくとも、n形シリコン基板1の主表面側(つまり、下部電極12における表面電極7側)に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。要するに、強電界ドリフト層6は、多結晶シリコン層の各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されている。なお、各グレイン51は、下部電極12の厚み方向に延びている。
【0005】
上述の電界放射型電子源10’では、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極7と下部電極12との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21と表面電極7との間にコレクタ電極21を高電位側として直流電圧Vcを印加することにより、直流電圧Vpsが所定値(臨界値)に達すると、下部電極12から強電界ドリフト層6へ熱的励起により電子e-が注入される。一方、強電界ドリフト層6に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子e-はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、強電界ドリフト層6におけるグレイン51の間の領域を表面に向かって図6中の矢印の向き(図6における上向き)へドリフトし、表面電極7をトンネルし真空中に放出される。
【0006】
しかして、強電界ドリフト層6では下部電極12から注入された電子がシリコン微結晶63でほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜64にかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極7を通して放出され(弾道型電子放出現象)、強電界ドリフト層6で発生した熱がグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0007】
ところで、上述の電界放射型電子源10’では、n形シリコン基板1とオーミック電極2とで下部電極12を構成しているが、図7に示すように、例えばガラス基板よりなる絶縁性基板11の一表面上に金属材料よりなる下部電極12を形成した電界放射型電子源10”も提案されている。ここに、上述の図5に示した電界放射型電子源10’と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】
図7に示す構成の電界放射型電子源10”から電子を放出させるには、表面電極7に対向配置されたコレクタ電極21を設け、表面電極7とコレクタ電極21との間を真空とした状態で、表面電極7が下部電極12に対して高電位側となるように表面電極7と下部電極12との間に直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21が表面電極7に対して高電位側となるようにコレクタ電極21と表面電極7との間に直流電圧Vcを印加する。各直流電圧Vps,Vcを適宜に設定すれば、下部電極12から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(図7中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-の流れを示す)。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。
【0009】
上述の各電界放射型電子源10’,10”では、表面電極7と下部電極12との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと呼び、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと呼ぶことにすれば(図5および図7参照)、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieの比率(=Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率(=(Ie/Ips)×100〔%〕)が高くなる。なお、上述の電界放射型電子源10’,10”では、表面電極7と下部電極12との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができ、直流電圧Vpsが大きいほどエミッション電流Ieが大きくなる。
【0010】
また、図7に示した電界放射型電子源10”をディスプレイの電子源とし応用する場合には、例えば図8に示す構成を採用すればよい。
【0011】
図8に示すディスプレイは、電界放射型電子源10に対向して平板状のガラス基板よりなるフェースプレート30が配置され、フェースプレート30における電界放射型電子源10との対向面には透明な導電膜(例えば、ITO膜)よりなるコレクタ電極(以下、アノード電極と称す)21が形成されている。また、アノード電極21における電界放射型電子源10との対向面には、図示していないが、画素ごとに形成された蛍光物質と蛍光物質間に形成された黒色材料からなるブラックストライプとが設けられている。ここに、蛍光物質はアノード電極21における電界放射型電子源10との対向面に塗布されており、電界放射型電子源10から放射される電子線によって可視光を発光する。なお、蛍光物質には電界放射型電子源10から放射されアノード電極21に印加された電圧によって加速された高エネルギの電子が衝突するようになっており、蛍光物質としてはR(赤色),G(緑色),B(青色)の各発光色のものを用いている。また、フェースプレート30は図示しない矩形枠状のフレームによって電界放射型電子源10と離間させてあり、フェースプレート30と電界放射型電子源10との間に形成される気密空間を真空にしてある。
【0012】
図8に示した電界放射型電子源10は、ガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数本の下部電極12と、下部電極12に重なる形で形成された複数の酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aおよびドリフト部6aの間を埋める形で形成された多結晶シリコン層よりなる分離部6bとを有する強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト層6の上で下部電極12に交差(直交)する方向に形成された複数本の表面電極7とを備えている。
【0013】
この電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数本の下部電極12と、強電界ドリフト層6上に形成された複数本の表面電極7との間に強電界ドリフト層6のドリフト部6aが挟まれているから、表面電極7と下部電極12との組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、選択された表面電極7と下部電極12との交点に相当する部位のドリフト部6aにのみ強電界が作用して電子が放出される。つまり、複数本の表面電極7の群と複数本の下部電極12の群とからなるマトリクス(格子)の格子点に、表面電極7と下部電極12とドリフト部6aとからなる電子源素子10aを配置したことに相当し、電圧を印加する表面電極7と下部電極12との組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放出させることが可能になる。ここにおいて、ドリフト部6aは、上述の図6と同様の構成を有していると考えられる。すなわち、ドリフト部6aは、少なくとも、柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナノメータオーダのシリコン微結晶63と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8に示した電界放射型電子源10も表面電極7と下部電極12との間に印加する直流電圧を10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。
【0015】
しかしながら、上述の電界放射型電子源10では、強電界ドリフト層6におけるドリフト部6aおよび分離部6bのうち表面電極7と交差しない部分の表面が露出しているので、外部から不純物(例えば、ナトリウムイオン)や水分などが侵入したり、引っ掻き傷などが付きやすく、信頼性が低いという不具合があった。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、信頼性の高い電界放射型電子源およびその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、基板と、基板の一表面側に列設され互いに平行な複数本の下部電極と、基板の前記一表面に平行な面内で下部電極に対して交差し互いに平行な複数本の仮想直線と下部電極との交点に対応する部位で下部電極の表面側に電子のドリフトするドリフト部を介して形成された複数の表面電極と、各仮想直線ごとに1つの仮想直線上に並ぶ表面電極を共通接続する複数本のバス電極とを備え、基板の前記一表面側においてそれぞれ下部電極とドリフト部と表面電極とを具備する複数の電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面側を覆う保護膜が設けられて成ることを特徴とするものであり、基板の一表面側において電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面側を覆う保護膜が設けられているので、基板の一表面側において電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面を通して外部から不純物や水分などが侵入したり、引っ掻き傷が付いたりするのを防止することができるから、信頼性を高めることができ、しかも、表面電極とバス電極とを接続する接続配線は露出しているからバス電極と表面電極との接続が容易になる。
【0019】
また、請求項1の発明では、保護膜は、表面電極から離れてバス電極へ近づくにつれて基板からの距離が徐々に大きくなる傾斜面が形成され、接続配線は表面電極の側縁からバス電極まで傾斜面に沿って延長されているので、表面電極とバス電極との間で断線が起こるのを防止することができる。
【0020】
また、請求項1の発明では、ドリフト部が電子源素子ごとに形成された酸化した多孔質多結晶半導体層よりなり、ドリフト部の間を埋める形で形成された多結晶半導体層よりなる分離部を備えるので、クロストークを防止することができる。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保護膜は、SiO2、SiNX、SiON、AlOX、AlNの群から選択される材料により形成されているので、一般的な半導体製造プロセスで使用される材料および成膜方法によって前記保護膜を形成することができる。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記下部電極を形成した前記基板の前記一表面側の全面に多結晶半導体層を形成する第1の成膜工程と、第1の成膜工程の後で多結晶半導体層の表面側に前記バス電極を形成する第1の電極形成工程と、第1の電極形成工程の後で前記基板の前記一表面側の全面に保護膜を形成する第2の成膜工程と、第2の成膜工程の後で保護膜のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を除去するパターニング工程と、パターニング工程の後で多結晶半導体層のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を陽極酸化処理にて多孔質化して多孔質多結晶半導体層を形成する陽極酸化処理工程と、多孔質多結晶半導体層を酸化して前記ドリフト部を形成する酸化工程と、酸化工程の後で保護膜の表面側に前記傾斜面を形成する加工工程と、加工工程の後で前記表面電極および前記接続配線を形成する第2の電極形成工程とを備えることを特徴とし、パターニング工程にて保護膜をパターニングした後に陽極酸化処理工程、酸化工程を順次行うことによって酸化した多孔質多結晶半導体層よりなるドリフト部を形成し、その後、前記表面電極および前記接続配線を形成することになるので、保護膜の成膜時には電子源素子は形成されていないから、電子源素子の信頼性が保護膜の成膜に伴う影響を受けず、信頼性の高い電界放射型電子源を提供できる。また、各工程それぞれは一般的な半導体製造プロセスの工程と同様であるから、既存の半導体製造装置を共用或いは転用することで設備投資の低減が可能であり、コスト低減を図ることができる。
【0024】
請求項4の発明は、請求項3発明において、前記陽極酸化処理工程では、前記パターニング工程にてパターニングされた保護膜をマスク材として利用するので、前記陽極酸化処理工程において別途にマスク材を形成する工程、当該マスク材を除去する工程が不要となるから、製造工程の簡略化および製造コストの低減を図れる。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の電界放射型電子源10は、図1および図2に示すように、絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)11と、絶縁性基板11の一表面上に列設され互いに平行な複数本の下部電極12と、絶縁性基板11の上記一表面に平行な面内で下部電極12に対して交差(直交)し互いに平行な複数本の仮想直線(図示せず)と下部電極12との交点に対応する部位で下部電極12の表面側に電子のドリフトする酸化した多孔質多結晶シリコンよりなるドリフト部6aを介して形成された複数の表面電極7と、各仮想直線ごとに1つの仮想直線上に並ぶ表面電極7を共通接続する複数本のバス電極15とを備えている。ここにおいて、各下部電極12は短冊状に形成され、長手方向の両端部上にパッド28が形成されている。また、バス電極15は長手方向の両端部がパッド27と接続されている。
【0026】
要するに、本実施形態の電界放射型電子源10では、下部電極12が列設された絶縁性基板11の上記一表面側に積層された強電界ドリフト層6において、図8に示した従来構成で説明した下部電極12と表面電極7との交差(直交)する部位(各電子源素子10aに対応する部位)にのみドリフト部6aが形成され、各ドリフト部6aそれぞれの上に表面電極7が形成されている。
【0027】
さらに説明すれば、各下部電極12上に複数のドリフト部6aが下部電極12の長手方向において離間して形成され、各ドリフト部6a上それぞれに表面電極7が形成されている。ここに、下部電極12の長手方向に配列された複数の表面電極7は下部電極12に平行なバス電極15に共通接続されている。ここに、各表面電極7は接続配線16を介して両側のバス電極15に接続されている。強電界ドリフト層6は、ドリフト部6aの間を埋める形で形成されたノンドープの多結晶シリコンよりなる分離部6bによって電気的に絶縁されている。すなわち、強電界ドリフト層6は複数のドリフト部6aとドリフト部6a間を埋める形で形成された分離部6bとで構成される。また、本実施形態においても、下部電極12とドリフト部6aと表面電極7とで電子源素子10aを構成している。なお、図8に示した従来構成と同様の構成要素には同一の符号を付してある。
【0028】
本実施形態の電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の一表面上に列設された複数本の下部電極12と、下部電極12に直交する仮想直線上に配列された表面電極7との重なる部位に強電界ドリフト層6のドリフト部6aが挟まれているから、バス電極15と下部電極12との組を適宜選択して選択した組間に電圧を印加することにより、強電界ドリフト層6において選択されたバス電極15に共通接続された表面電極7と下部電極12との重なる部位のドリフト部6aにのみ強電界が作用して電子が放出される。つまり、複数本の下部電極12の群と上述の複数本の仮想直線の群とからなるマトリクス(格子)の格子点に、下部電極12とドリフト部6aと表面電極7とからなる電子源素子10aを配置したことに相当し、電圧を印加するバス電極15と下部電極12との組を選択することによって所望の電子源素子10aから電子を放出させることが可能になる。なお、上述の記載から分かるように、電子源素子10aは画素ごとに設けられることになる。
【0029】
下部電極2は、例えば、Cr,W,Ti,Al,Cu,Au,Pt,Moなどの金属あるいはこれらの合金や、不純物をドーピングした多結晶シリコンなどにより形成すればよい。
【0030】
表面電極7は、例えば、Au,Pt,Crなどの仕事関数が小さく耐酸化性が高くて化学的に安定な金属からなる金属膜あるいはこれらの金属膜の積層膜により形成すればよい。なお、表面電極7の厚さは10〜15nm程度の範囲内で設定すればよい。
【0031】
また、上述の接続配線16は、表面電極7の側縁からバス電極15上まで延長され表面電極7とバス電極15との間を電気的に接続するものであり、表面電極7と同じ材料により形成されている。
【0032】
また、強電界ドリフト層6は、複数本の下部電極12が形成された絶縁性基板11の上記一表面側の全面にノンドープの多結晶シリコン層を堆積させた後に、この多結晶シリコン層のうち強電界ドリフト層6のドリフト部6aの形成予定部位を陽極酸化処理にて多孔質化し(以下、この多孔質化された部分を多孔質多結晶シリコン層と称す)、多孔質多結晶シリコン層を例えば急速加熱法或いは電気化学的な方法によって酸化することにより形成されている。
【0033】
本実施形態の電界放射型電子源10の動作は図8に示した従来構成の動作と略同じであって、表面電極7を真空中に配置するとともに対向配置されるフェースプレート30にアノード電極21を設け、選択した表面電極7を下部電極12に対して高電位側として直流電圧Vps(図7参照)を印加するとともに、アノード電極21を表面電極7に対して高電位側として直流電圧Vc(図7参照)を印加することによって、強電界ドリフト層6のドリフト部6aに作用する電界により下部電極12から強電界ドリフト層6のドリフト部6aへ注入された電子がドリフト部6aをドリフトし表面電極7を通して放出される。ここにおいて、強電界ドリフト層6のドリフト部6aは、上述の図6と同様の構成を有していると考えられる。すなわち、ドリフト部6aは、少なくとも、絶縁性基板11の一表面側(つまり、下部電極12における表面電極7側)に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。要するに、強電界ドリフト層6のドリフト部6aは、多結晶シリコン層の各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されている。なお、各グレイン51は、下部電極12の厚み方向に延びている。
【0034】
本実施形態の電界放射型電子源10では、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極7と下部電極12との間に表面電極7を高電位側として直流電圧Vpsを印加するとともに、アノード電極21(図8参照)と表面電極7との間にアノード電極21を高電位側として直流電圧Vcを印加することにより、直流電圧Vpsが所定値(臨界値)に達すると、下部電極12から強電界ドリフト層6のドリフト部6aへ熱的励起により電子e-が注入される。一方、強電界ドリフト層6のドリフト部6aに印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子e-はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、ドリフト部6aにおけるグレイン51の間の領域を表面に向かって図6中の矢印の向き(図6における上向き)へドリフトし、表面電極7をトンネルし真空中に放出される。
【0035】
したがって、強電界ドリフト層6のドリフト部6aでは下部電極12から注入された電子がシリコン微結晶63でほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜64にかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極7を通して放出され(弾道型電子放出現象)、強電界ドリフト層6で発生した熱がグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。なお、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にトンネルし真空中に放出される。上述の電子源素子10aでは、表面電極7を通して放出される電子線の放出方向が表面電極7の法線方向(絶縁性基板11の上記一表面の法線方向に一致する)に揃いやすいから、複雑なシャドウマスクや電子収束レンズを設ける必要がなく、ディスプレイの薄型化を図れる。また、表面電極7と下部電極12との間に印加する電圧を10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができるので、低消費電力化を図れる。
【0036】
ところで、本実施形態の電界放射型電子源10では、絶縁性基板11の上記一表面側の強電界ドリフト層6において、電子源素子10aおよび接続配線16を除いた部位の表面側を覆う保護膜14が設けられている。したがって、強電界ドリフト層6において電子源素子10aを除いた部位(分離部6b)およびバス電極15において接続配線16との接続部位を除いた部位は、保護膜14により覆われている。ここにおいて、保護膜14は、SiO2、SiNX(SiN、Si2N3,Si3N4などがあるがSi3N4が望ましい)、SiON、AlOX(Al2O3など)、AlNの群から選択される材料により形成すればよく、これらの材料を選択すれば、一般的な半導体製造プロセスにおいて代表的な所謂シリコンプロセスで使用される材料および成膜方法によって保護膜14を形成することができる。なお、本実施形態では、絶縁性基板11が基板を構成している。
【0037】
しかして、本実施形態では、絶縁性基板11の上記一表面側において電子源素子10aおよび接続配線16を除いた部位の表面側を覆う保護膜14が設けられているので、絶縁性基板11の上記一表面側において強電界ドリフト層6の分離部6bの表面を通して外部から不純物や水分などが侵入したり、分離部6bの表面やバス電極15に引っ掻き傷が付いたりするのを防止することができるから、信頼性を高めることができる。要するに、本実施形態では、図8に示した従来構成に比べて耐湿性を高めることができるとともに、ドリフト部6aの周囲の分離部6bに傷が付くのを防止することができるのである。しかも、バス電極15において表面電極7と接続される部位は露出しているからバス電極15と表面電極7との接続が容易になるという利点がある。
【0038】
また、本実施形態の電界放射型電子源10では、電子源素子10aに対応する部位のみにドリフト部6aが形成されているので、図8に示した従来構成のように複数の電子源素子10aに跨ってドリフト部6aが形成されている場合に比べてクロストークが発生しにくくなる。
【0039】
なお、本実施形態では、強電界ドリフト層6のドリフト部6aを酸化した多孔質多結晶シリコン層により構成しているが、強電界ドリフト層6のドリフト部6aを窒化若しくは酸窒化した多孔質多結晶シリコン層により構成してもよいし、また、その他の酸化若しくは窒化若しくは酸窒化した多孔質多結晶半導体層により構成してもよい。ここに、強電界ドリフト層6のドリフト部6aを窒化した多孔質多結晶シリコン層とした場合には図6にて説明した各シリコン酸化膜52,64がいずれもシリコン窒化膜となり、強電界ドリフト層6のドリフト部6aを酸窒化した多孔質多結晶シリコン層とした場合には各シリコン酸化膜52,64がいずれもシリコン酸窒化膜となる。
【0040】
(実施形態2)
本実施形態の電界放射型電子源10の基本構成は図1および図2に示した実施形態1と略同じであって、強電界ドリフト層6の表面側において電子源素子10aを除く部位に設けられる保護膜14が図3に示すような形状に形成されている点が相違する。すなわち、本実施形態における保護膜14は、表面電極7から離れてバス電極15へ近づくにつれて絶縁性基板11からの距離が徐々に大きくなる傾斜面が形成されており、表面電極7とバス電極15との間を接続する接続配線16が、表面電極7の側縁からバス電極15上まで上記傾斜面に沿って形成されている(接続配線16が上記傾斜面上に形成されている)。ここにおいて、保護膜14と分離部6bとの間にはSiO2よりなる絶縁層13を介在させてある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
ところで、実施形態1の電界放射型電子源10では、表面電極7とバス電極15とを電気的に接続する接続配線16がバス電極15の側面および上面に沿って形成されているので、接続配線16が断線してしまう恐れがある。
【0042】
これに対して、本実施形態の電界放射型電子源10では、接続配線16が保護膜14の上記傾斜面に沿って形成されているので、表面電極7とバス電極15との間で断線が起こるのを防止することができ、信頼性をさらに向上できる。
【0043】
以下、本実施形態の電界放射型電子源10の製造方法について図4を参照しながら説明する。
【0044】
まず、絶縁性基板11の上記一表面上に例えばスパッタ法や蒸着法などによって下部電極12を形成した後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面に所定膜厚(ここでは、1.5μmに設定してある)のノンドープの多結晶シリコン層3を形成する工程(以下、この工程を第1の成膜工程と称す)を行うことにより、図4(a)に示すような構造が得られる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層の成膜方法としては、例えば、CVD法(LPCVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法など)やスパッタ法やCGS(Continuous Grain Silicon)法、アモルファスシリコンを堆積させた後にレーザアニールする方法などを採用すればよい。
【0045】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面にSiO 2 よりなる絶縁層13を形成し、その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して絶縁層13のうち電子源素子10aの形成予定部位に対応した部分を除去することによって、図4(b)に示す構造が得られる。なお、絶縁層13は電子源素子10aの形成予定部位に対応する部分が順テーパ状に開口されている。
【0046】
次に、絶縁層13上にスパッタ法や蒸着法などによってバス電極15を形成する工程(以下、この工程を第1の電極形成工程と称す)を行うことによって、図4(c)に示す構造が得られる。
【0047】
バス電極15を形成した後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面にSiO2よりなる保護膜14を形成する工程(以下、この工程を第2の成膜工程と称す)を行い、その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して保護膜14のうち電子源素子10aの形成予定部位に対応する部分を除去する工程(以下、この工程をパターニング工程と称す)を行い、続いて、保護膜14をマスク材として陽極酸化処理工程にて多結晶シリコン層3を所定深さまで多孔質化することにより、多孔質多結晶シリコン層が形成され、この多孔質多結晶シリコン層を酸化工程にて酸化することで酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aが形成され、図4(d)に示すような構造が得られる。ここにおいて、陽極酸化処理工程では、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極12との間に電圧を印加して、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら定電流で陽極酸化処理を行うことによって多孔質多結晶シリコンが形成される。このようにして形成された多孔質多結晶シリコン層は、多結晶シリコンのグレインおよびシリコン微結晶を含んでいる。本実施形態では、多結晶シリコン層3のうちドリフト部6aの周囲の部分が分離部6bとなる。また、多結晶シリコン層3を下部電極12に達しない深さまで多孔質化するようにしてもよい。また、酸化工程では、例えば、急速加熱法により多孔質多結晶シリコンを酸化することによって上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含むドリフト部6aが形成される。急速加熱法による酸化工程では、ランプアニール装置を用い、炉内をO2ガス雰囲気として基板温度を室温から所定の酸化温度(例えば、900℃)まで規定の昇温速度(例えば、80℃/sec)で上昇させて基板温度を所定の酸化時間(例えば、1時間)だけ維持することで急速熱酸化(Rapid Thermal Oxidation:RTO)を行い、その後、基板温度を室温まで下降させている。酸化工程は、急速加熱法に限らず、例えば、電解質溶液(例えば、1mol/LのH2SO4、1モルのHNO3、王水など)の入った酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)と下部電極2との間に定電流を流し多孔質多結晶シリコン層を電気化学的に酸化することによって上述のグレイン51、シリコン微結晶63、各シリコン酸化膜52,64を含むドリフト部6aを形成する電気化学的な方法を採用してもよい。
【0048】
複数のドリフト部6aと分離部6bとからなる強電界ドリフト層6を形成した後は、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して保護膜14に上記傾斜面を形成する工程(以下、加工工程と称す)を行うことによって、図4(e)に示す構造が得られる。なお、この傾斜面を形成することでバス電極15の表面の一部が露出する。
【0049】
その後、例えばスパッタ法や蒸着法などによって、表面電極7および接続配線16を形成する工程(以下、第2の電極形成工程と称す)を行うことによって、図4(f)に示す構造の電子源素子10aが得られる(つまり、電界放射型電子源10が得られる)。
【0050】
しかして、上述の製造方法によれば、パターニング工程にて保護膜14をパターニングした後に陽極酸化処理工程、酸化工程を順次行うことによって酸化した多孔質多結晶シリコン層(多孔質多結晶半導体層)よりなるドリフト部6aを形成し、その後、表面電極7および接続配線16を形成することになるので、保護膜14の成膜時には電子源素子10aは形成されていないから、電子源素子10aの信頼性が保護膜14の成膜に伴う影響を受けず、信頼性の高い電界放射型電子源10を提供できる。また、上述の各工程それぞれは一般的な半導体製造プロセスの工程と同様であるから、既存の半導体製造装置を共用或いは転用することで設備投資の低減が可能であり、コスト低減を図ることができる。
【0051】
また、陽極酸化処理工程では、パターニング工程にてパターニングされた保護膜14をマスク材として利用するので、陽極酸化処理工程において別途にマスク材を形成する工程、当該マスク材を除去する工程が不要となるから、製造工程の簡略化および製造コストの低減を図れる。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明は、基板と、基板の一表面側に列設され互いに平行な複数本の下部電極と、基板の前記一表面に平行な面内で下部電極に対して交差し互いに平行な複数本の仮想直線と下部電極との交点に対応する部位で下部電極の表面側に電子のドリフトするドリフト部を介して形成された複数の表面電極と、各仮想直線ごとに1つの仮想直線上に並ぶ表面電極を共通接続する複数本のバス電極とを備え、基板の前記一表面側においてそれぞれ下部電極とドリフト部と表面電極とを具備する複数の電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面側を覆う保護膜が設けられて成るものであり、基板の一表面側において電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面側を覆う保護膜が設けられているので、基板の一表面側において電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面を通して外部から不純物や水分などが侵入したり、引っ掻き傷が付いたりするのを防止することができるから、信頼性を高めることができるという効果があり、しかも、表面電極とバス電極とを接続する接続配線は露出しているからバス電極と表面電極との接続が容易になるという効果がある。
【0054】
また、請求項1の発明では、保護膜は、表面電極から離れてバス電極へ近づくにつれて基板からの距離が徐々に大きくなる傾斜面が形成され、接続配線は表面電極の側縁からバス電極まで傾斜面に沿って延長されているので、表面電極とバス電極との間で断線が起こるのを防止することができるという効果がある。
【0055】
また、請求項1の発明では、ドリフト部が電子源素子ごとに形成された酸化した多孔質多結晶半導体層よりなり、ドリフト部の間を埋める形で形成された多結晶半導体層よりなる分離部を備えるので、クロストークを防止することができるという効果がある。
【0056】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保護膜は、SiO2、SiNX、SiON、AlOX、AlNの群から選択される材料により形成されているので、一般的な半導体製造プロセスで使用される材料および成膜方法によって前記保護膜を形成することができるという効果がある。
【0058】
請求項3の発明は、請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記下部電極を形成した前記基板の前記一表面側の全面に多結晶半導体層を形成する第1の成膜工程と、第1の成膜工程の後で多結晶半導体層の表面側に前記バス電極を形成する第1の電極形成工程と、第1の電極形成工程の後で前記基板の前記一表面側の全面に保護膜を形成する第2の成膜工程と、第2の成膜工程の後で保護膜のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を除去するパターニング工程と、パターニング工程の後で多結晶半導体層のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を陽極酸化処理にて多孔質化して多孔質多結晶半導体層を形成する陽極酸化処理工程と、多孔質多結晶半導体層を酸化して前記ドリフト部を形成する酸化工程と、酸化工程の後で保護膜の表面側に前記傾斜面を形成する加工工程と、加工工程の後で前記表面電極および前記接続配線を形成する第2の電極形成工程とを備えることを特徴とし、パターニング工程にて保護膜をパターニングした後に陽極酸化処理工程、酸化工程を順次行うことによって酸化した多孔質多結晶半導体層よりなるドリフト部を形成し、その後、前記表面電極および前記接続配線を形成することになるので、保護膜の成膜時には電子源素子は形成されていないから、電子源素子の信頼性が保護膜の成膜に伴う影響を受けず、信頼性の高い電界放射型電子源を提供できるという効果がある。また、各工程それぞれは一般的な半導体製造プロセスの工程と同様であるから、既存の半導体製造装置を共用或いは転用することで設備投資の低減が可能であり、コスト低減を図ることができるという利点がある。
【0059】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記陽極酸化処理工程では、前記パターニング工程にてパターニングされた保護膜をマスク材として利用するので、前記陽極酸化処理工程において別途にマスク材を形成する工程、当該マスク材を除去する工程が不要となるから、製造工程の簡略化および製造コストの低減を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す電界放射型電子源の概略斜視図である。
【図2】同上を示し、(a),(b)はそれぞれ要部概略断面図である。
【図3】実施形態2を示す電界放射型電子源の要部概略断面図である。
【図4】同上の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図5】従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図6】同上の動作説明図である。
【図7】他の従来例を示す電界放射型電子源の動作説明図である。
【図8】同上を応用したディスプレイの概略構成図である。
【符号の説明】
6 強電界ドリフト層
6a ドリフト部
6b 分離部
7 表面電極
10 電界放射型電子源
10a 電子源素子
11 絶縁性基板
12 下部電極
14 保護膜
15 バス電極
16 接続配線
Claims (4)
- 基板と、基板の一表面側に列設され互いに平行な複数本の下部電極と、基板の前記一表面に平行な面内で下部電極に対して交差し互いに平行な複数本の仮想直線と下部電極との交点に対応する部位で下部電極の表面側に電子のドリフトするドリフト部を介して形成された複数の表面電極と、各仮想直線ごとに1つの仮想直線上に並ぶ表面電極を共通接続する複数本のバス電極とを備え、基板の前記一表面側においてそれぞれ下部電極とドリフト部と表面電極とを具備する複数の電子源素子および表面電極とバス電極との接続配線を除いた部位の表面側を覆う保護膜が設けられて成り、保護膜は、表面電極から離れてバス電極へ近づくにつれて基板からの距離が徐々に大きくなる傾斜面が形成され、接続配線は表面電極の側縁からバス電極まで傾斜面に沿って延長されて成り、ドリフト部が電子源素子ごとに形成された酸化した多孔質多結晶半導体層よりなり、ドリフト部の間を埋める形で形成された多結晶半導体層よりなる分離部を備えることを特徴とする電界放射型電子源。
- 前記保護膜は、SiO 2 、SiN X 、SiON、AlO X 、AlNの群から選択される材料により形成されてなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
- 請求項1記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記下部電極を形成した前記基板の前記一表面側の全面に多結晶半導体層を形成する第1の成膜工程と、第1の成膜工程の後で多結晶半導体層の表面側に前記バス電極を形成する第1の電極形成工程と、第1の電極形成工程の後で前記基板の前記一表面側の全面に保護膜を形成する第2の成膜工程と、第2の成膜工程の後で保護膜のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を除去するパターニング工程と、パターニング工程の後で多結晶半導体層のうち前記電子源素子の形成予定部位に対応する部分を陽極酸化処理にて多孔質化して多孔質多結晶半導体層を形成する陽極酸化処理工程と、多孔質多結晶半導体層を酸化して前記ドリフト部を形成する酸化工程と、酸化工程の後で保護膜の表面側に前記傾斜面を形成する加工工程と、加工工程の後で前記表面電極および前記接続配線を形成する第2の電極形成工程とを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 前記陽極酸化処理工程では、前記パターニング工程にてパターニングされた保護膜をマスク材として利用することを特徴とする請求項3記載の電界放射型電子源の製造方法。
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