JP3709689B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置、特に前後に移動可能な座席を有する車両に用いて好適な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用空調装置、たとえば自動車用空調装置のベンチレータ吹出口やフット吹出口などは、ダッシュボード等に配設される。また、後席に向けて温調後の空気を吹出可能な空調装置の後席用ベンチレータ吹出口は、運転席と助手席との間に設置されるセンターコンソールの後面や車室の天井部分などに配設され、後席用フット吹出口は運転席および助手席下方のフロアパネル上などに配設される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの吹出口はいずれも固定式(前後に移動させることができない)であるため、たとえばリムジン車やRV車などのように座席の位置を前後に大きく移動可能な自動車では、座席の移動位置によって吹出口から吹き出す温調後の空気が、その座席に着座する乗員にとって強く感じられたり、あるいは弱く感じられたりして乗員の快適性を損なうことがあった。
【0004】
そのため、座席を移動するたびに空調の設定温度や吹出口から吹き出す空気の風量などを調節する必要があり、空調装置の操作を煩雑なものとしていた。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、座席の前後移動量の大きな車両であっても吹き出し口と座席との相対距離の変化によらず、着座する乗員の快適性を維持し、操作性に優れた車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1〜3に記載の発明は、車室内を前後に移動可能な座席の位置を検出する座席位置検出手段と、空調した空気を座席前方に設けられた吹出口から座席に向けて吹き出す際に、座席位置検出手段で検出された座席位置が後方であるほど空気の吹出量が多くなるように吹出量を調整する吹出風量制御手段とを有する。
【0007】
請求項4,5に記載の発明は、車室内に配設される前席の後方に配設され、車室内を前後に移動可能な後席の位置を検出可能な後席位置検出手段と、空調ダクト内に導く空気の量を調節する吸入風量調節手段と、空調ダクト内に導かれた空気を温調する温調手段と、温調手段により温調された空気を、座席前方に設けられた前席側吹出口および座席前方に設けられた後席側吹出口に所定の配風比で導く配風比調節手段と、吸入風量調節手段、温調手段および配風比調節手段を制御して、前席側吹出口から吹き出す空気の温度ならびに風量、および前記後席側吹出口から吹き出す空気の温度を略一定に保ちつつ、後席位置検出手段で検出された後席位置が後方であるほど空気の吹出量が多くなるように後席側吹出口から吹き出す空気の風量を変化させる吹出風量制御手段とを有する。
【0008】
【発明の効果】
(1) 請求項1に記載の発明によれば、座席の前後移動位置に応じて吹出口から吹き出す空気の吹出量を調整することにより、座席の前後位置によらず乗員の快適性を維持することができる。
(2) 請求項2に記載の発明によれば、吹出口から吹き出す空気の吹出量を座席の前後移動位置に応じて変化させたときに、吹出温度を一定に保つように制御するので、乗員の快適性をさらに高度に維持することができる。
(3) 請求項3に記載の発明によれば、移動量の大きな前席を有する車両において前席乗員の快適性を維持することができる。
(4) 請求項4に記載の発明によれば、前後に移動可能な後席と、後席側に空調吹出口とを有する車両において、後席の移動量に応じて後席吹出口から吹き出す空気の風量を調節し、このときに後席吹出口からの吹出温度と、前席吹出口からの風量および吹出温度とは一定に保つので、前席に着座する乗員の快適性を損なうことなく後席に着座する乗員の快適性を維持することができる。
(5) 請求項5に記載の発明によれば、前後どちらの座席が移動された場合であっても、移動された座席側の吹出口からの吹出温度を一定に保ちつつ、風量のみを座席の移動量に応じて調整するので、他の座席に着座する乗員の快適性に影響を及ぼすことなく、移動された座席に着座する乗員の快適性を維持することができる。
(6) 請求項6に記載の発明によれば、空調装置がDEFモードで運転されている際には、座席の位置に応じた風量の調節を禁止することにより、窓晴性を最大限確保して、速やかにウィンドウの曇りを除去することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
−第1の実施の形態−
図1〜図4を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る車両用空調装置の概略的構成を示し、(a)は空調ダクトの構成を、(b)は空調装置の制御回路を説明するブロック図を示す。
【0010】
図1(a)において、空調ダクト10の内部にはファンモータ2により駆動されるブロアファン4、エバポレータ6、ヒータコア8、エアミックスドア12などが配設される。空調ダクト10の後方にはベンチレータダクトV、デフロスタダクトD、そしてフットダクトFが連設される。空調ダクト10と上述した各ダクトV、D、Fとの接続部分には、ベントドア18、デフドア20、フットドア22が配設される。これらのドアはそれぞれベントドアアクチュエータ18a、デフドアアクチュエータ20a、フットドアアクチュエータ22aによって開閉駆動される。以下、上記3種のアクチュエータをモードドアアクチュエータと称する。
【0011】
ブロアファン4によって、図1の矢印F1、F2に示すように空調ダクト10の内部に導かれた空気は、エバポレータ6を通過する際に除湿・冷却される。この空気は、エアミックスドア12の開度に応じた分流比でヒータコア8を通過する空気Hとヒータコアをバイパスする空気Cとに分流される。
【0012】
図1(b)において、空調装置の作動を制御するための制御部1には空調温度や送風モードを設定するための操作パネルPが接続される。制御部1にはまた、車室内気温(内気温)、車室外気温(外気温)、車室内に入射する日射量、エバポレータ内を流動する冷媒の温度、エバポレータ通過直後の空気の温度(吸い込み温度)などを計測するための各種センサ(以下、これらをまとめてセンサと称する)Sが接続される。
【0013】
また、制御部1にはエアミックスドア12の開度を検出するためのエアミックスドア開度センサ12s、そしてベントドア18、デフドア20、フットドア22の開閉状態を検知するためのモードドア開度センサ18s、20s、22sが接続される。制御部にはさらに、前席の前後移動量を検知するための位置信号発生回路48または48A(位置信号発生回路48、48Aについては後で説明する)が接続される。
【0014】
制御部1は、操作パネルPで設定された空調温度や送風モード、そしてセンサSより入力される情報に基づき、制御部1に接続されるファンモータ2、エアミックスドアアクチュエータ12a、モードドアアクチュエータ18a、20a、22aなどを制御して、所定温度に温調された空気を所定の吹出口より吹き出す。
【0015】
図2を参照して本実施の形態に係る車両用空調装置が設置される車両の室内に配設される座席30と、この座席30の前後位置に応じて信号を発する位置信号発生回路48、48Aとについて説明する。
【0016】
図2(a)は、電動で座席30を前後に移動させることのできるものの構成を概略的に示すものである。座席30の下部にはモータ32が配設される。モータ32の回転力は減速機34を介してリードスクリュウ36に伝達される。リードスクリュウ36は、その両端を軸受けブロック35a、35bによって回転自在に支持されている。軸受けブロック35a、35bはフロアパンFPに固設される。また、リードスクリュウ36にはブロック38が螺合する。このブロック38は座席30の下面に固設される。座席30は、フロアパンFPに固設された不図示のスライドレールによって前後に移動可能に保持される。
【0017】
座席30の座面近傍にはシートスイッチ46が設置されていて、乗員がこのシートスイッチ46を操作するのに応じてシートコントローラ44はモータ32を正逆転させて座席30を前後に移動させる。
【0018】
モータ32の回転軸には、その円周方向に切り欠きを有する回転板40が装着される。モータ32の回転に伴って、上述した切り欠き部を有する回転板40も回転し、フォトインタラプタ42内の投受光光路を断続的に遮る。これにより、フォトインタラプタ42からはモータ32の回転量に比例した数のパルスを発生する。フォトインタラプタ42は位置信号発生回路48と接続される。位置信号発生回路48はまた、シートコントローラ44とも接続されていて、シートコントローラ44からはモータ32の回転方向に関する信号が出力される。
【0019】
軸受けブロック35a、35bにはそれぞれリミットスイッチ33a、33bが固設される。リミットスイッチ33a、33bは、シートコントローラ44に接続される。シートコントローラ44は、リミットスイッチ33aが作動したことを検知するとモータ32を停止させ、座席30をそれ以上前進させないようにする。同様にリミットスイッチ33bが作動したときには座席30をそれ以上後退させないようにする。リミットスイッチ33a、33bのいずれかが作動したことを検出するのに伴い、シートコントローラ44は位置信号発生回路48に対して座席30が前端、あるいは後端に位置することを示す信号を発する。このような構成により、位置信号発生回路48はシートコントローラ44からのモータ回転方向情報と、フォトインタラプタ42から出力されるパルス信号とから座席30の位置に関する信号を生成する。また、リミットスイッチ33aまたは33bが作動した場合には、座席位置情報がリフレッシュされる。
【0020】
位置信号発生回路48は空調装置の制御部1と接続されており、座席位置に関する情報が制御部1に入力される。
【0021】
図2(b)を参照して座席30の別の構成例について説明する。図2(b)は、手動にて座席30を前後に移動可能なものの構成を示す。図示はしていないがスライドレールがフロアパンFPに固設され、座席30はこのスライドレールによって前後に移動可能に保持される。搭乗者は、不図示のラッチを解除しながら座席30を前後させ、所望の位置でラッチをかける。フロアパンFPの上にはマイクロスイッチS1〜S5が所定の間隔で車両の前後方向に配列される。マイクロスイッチS1〜S5は、位置信号発生回路48Aと接続される。座席30の下部には車両の前後方向に延在するプレート37が固設される。このプレート37により、座席30が前後するのに伴ってマイクロスイッチS1〜S5の何れかが作動する。なお、このプレート37は、座席30の位置によって図2(b)に示すようにマイクロスイッチS1〜S5のいずれか一つのみを作動させる場合と、相隣する二つのマイクロスイッチを同時に作動させる場合とがある。位置信号発生回路48Aは、マイクロスイッチS1〜S5の作動状態に応じ、図2(c)の表に示すように9通りの座席位置情報を発する。位置信号発生回路48Aは、空調装置の制御部1と接続されており、座席位置に関する情報が制御部1に入力される。
【0022】
第1の実施の形態において位置信号発生回路48または48Aは、前席の前後位置に関する情報を制御部1に出力する。
【0023】
図1、図3および図4を参照し、第1の実施の形態に係る車両用空調装置において、制御部1により実行される空調制御の処理手順について説明する。図3は、制御部1により実行される空調制御処理手順を示すフローチャートである。図3に示すプログラムは、制御部1によって実行される空調制御のメインプログラムにより所定の時間間隔をおいてコールされる。このプログラムは、位置信号発生回路48または48Aから入力される前席の位置情報をもとに、ダッシュボードなどに設置された所定の吹出口より空調後の空気を吹き出す際の風量を制御するためのものである。
【0024】
ステップS101において制御部1は、空調装置がベンチレーション(以下、VENTと称する)、バイレベル(以下、B/Lと称する)、フット(以下、FOOTと称する)、デフロスト(以下DEFと称する)、デフ/フット(以下、D/Fと称する)の各モードのうち、どの空調モードで運転されているかを検出する。制御部1はステップS102において、位置信号発生回路48より前席の前後位置に関する情報を入力する。ステップS103において制御部1は、ステップS101で検出した空調モードがDEF以外であると判定した場合にステップS104に分岐する。
【0025】
ステップS104において制御部1は、エアミックスドア開度センサ12sよりエアミックスドア12の開度に関する信号を入力する。ステップS105において制御部1は、ステップS101で検出された空調モードに応じて、以下に説明するステップS106、S107で参照するための空調制御マップを選択する。
【0026】
ここで空調制御マップについて図4を参照して説明する。制御部1は、ステップS102で入力した前席位置情報に基づき、前席位置が基準位置よりも前側、すなわち前席乗員と吹出口との距離が近い場合には吹出風量を低下させ、逆の場合には吹出風量を増加させる。ただし、空調ダクト10内を流動する空気がエバポレータ6やヒータコア8を通過するときに冷却あるいは加熱される際の熱量は一定であるため、単に吹出風量を増減させただけでは、空調後の温度が変化してしまう。そのため、吹出風量、すなわちファンモータ2に印加するファン電圧を変化させた場合には、ファン電圧の変化量に応じてエアミックスドア12の開度を調節し、吹出口から吹き出す空気の温度を一定にすることが望ましい。そのために用いられるのが図4に示すマップである。このマップは、車種によって異なるのは無論のこと、運転されている空調モードによっても異なる。それ故に制御部1は、ステップS101で検出された空調モードに応じて複数のマップの中から所定のマップを選択する。このマップはプログラム中にデータテーブルとしてあらかじめストアされている。あるいはデータテーブルに代えて関数を組み込んでおき、その関数を用いて必要な数値を算出するものであってもよい。
【0027】
図3のステップS106において制御部1は、ステップS102で入力した前席位置情報に基づき、図4に示すマップよりファン電圧補正値βを求める。ステップS107において制御部1は、ファン電圧補正値βから目標吹出温度補正値γを求める。ステップS108において制御部1は、ステップS106およびS107で求めたファン電圧補正値βおよび目標吹出温補正値γをもとに新たに設定すべきファン電圧Vおよび目標吹出温度XMを算出し、メインプログラムにリターンする。
【0028】
ステップS103で空調モードがDEFに設定されていると判定された場合、制御部1はステップS109に分岐してファン電圧および目標吹出温度に補正を加えることなくメインプログラムにリターンする。これは、DEFモード時の窓晴性を最大限確保して、速やかにウインドウの曇りを除去する必要があるからであり、また、DEF吹出口から吹き出す空気は乗員の快適性には直接的には関与しないからである。
【0029】
以上のように、第1の実施の形態に係る車両用空調装置では、前席の移動量を検知して、その移動量に応じて吹出口より吹き出す空気の量を増減し、その際に吹出温度が変化することのないようにエアミックスドアの開度を調節するので、特にシートスライド量の大きな車両においても乗員の快適性を維持することができる。
【0030】
−第2の実施の形態−
図5〜図9を参照して第2の実施の形態に係る車両用空調装置について説明する。第2の実施の形態に係る車両用空調装置は、後席側にもVENT吹出口とFOOT吹出口とを有するものであり、前席、後席ともに座席位置の検出が可能に構成される。そして、乗員により前席が移動された場合には後席の風量、吹出温度を変えることなく前席の風量を増減する。このとき、前席の吹出温度を変えないように制御するのは第1の実施の形態に係る車両用空調装置と同様である。一方、後席が移動された場合には前席の風量および吹出温度を変えることなく、かつ後席の吹出温度を一定に保ったまま後席の吹出風量を増減する。
【0031】
図5は、第2の実施の形態に係る車両用空調装置(前後席吹出タイプ)の概略的構成を示し、(a)は空調ダクトの構成を、(b)は空調装置の制御回路を説明するブロック図を示す。なお、第1の実施の形態に係る車両用空調装置の構成を示す図1と同様の部分には同一の符号を付し、図1との差異を中心に説明をする。
【0032】
図5(a)において、空調ダクト10Aの後方部分には隔壁28が設けられる。この隔壁28を隔てて、空調ダクト10Aの上側部分が前席側に配設される吹出口V、D、Fに連通しており、また、空調ダクト10Aの下側部分を流動する空気が後席側に配設される吹出口RV、RFに連通している。空調ダクト10Aの内部には前後配風比調整ドア24が配設され、前後配風比調整ドアアクチュエータ24aによって開閉駆動される。この前後配風比調整ドア24には前後配風比調整ドア開度センサ24sが配設される。前後配風比調整ドア24設置部の後方にはリヤモードドア26がさらに配設される。このリヤモードドア26はリヤモードドアアクチュエータ26aにより開閉駆動される。リヤモードドア26にはリヤモードドア開度センサ26sが配設される。リヤベント吹出口RVは、運転席と助手席との間に配設されるセンターコンソールの後方や車室内の天井に設置される。リヤフット吹出口RFは、運転席および助手席の下部のフロアパン上などに設置される。
【0033】
図5(b)において、後席連動空調スイッチRSは、上述のセンターコンソール後方にリヤベント吹出口RVとともに設置される。リヤモードドア開度センサ26sは、他のモードドア開度センサ18s、20s、22sとともに制御部1Aに接続される。前後配風比調整ドア開度センサ24sも制御部1Aに接続される。制御部1Aにはまた、前席および後席それぞれの前後位置を検出する位置信号発生回路48も接続される。
【0034】
制御部1Aは、操作パネルPおよび後席連動空調スイッチRSで設定された空調温度や空調の運転モード、そしてセンサSより入力される情報に基づき、制御部1Aに接続されるファンモータ2、エアミックスドアアクチュエータ12a、前後配風比調整ドアアクチュエータ24a、モードドアアクチュエータ18a、20a、22a、26aなどを制御して、所定温度に温調された空気を所定の吹出口より吹き出す。
【0035】
図5〜図9を参照し、第2の実施の形態に係る車両用空調装置において、制御部1Aにより実行される空調制御の処理手順について説明する。図6および図8は、制御部1Aにより実行される空調制御処理手順を示すフローチャートである。図6および図8に示すプログラムは、制御部1Aによって実行される空調制御のメインプログラムにより、所定の時間間隔をおいて順次コールされる。図6に示す処理手順が前席用の吹出口より吹き出す空気の吹出風量および吹出温度の制御、すなわち前席の吹出制御に関するものであり、図8に示す処理手順が後席の吹出制御に関するものである。そして、図6および図8に示す処理手順が順次実行されることにより、第2実施形態の説明の冒頭部分で説明した内容の吹出風量および吹出温度の制御が行われる。
【0036】
まず、図6に示す前席の吹出制御について説明する。ステップS201において制御部1Aは、空調装置がVENT、B/L、FOOT、DEF、D/Fの各モードのうち、どの空調モードで運転されているかを検出する。制御部1AはステップS202において、位置信号発生回路48あるいは48Aより前席の前後位置に関する情報を入力する。ステップS203において制御部1Aは、ステップS201で検出した空調モードがDEF以外であると判定した場合にステップS204に分岐する。
【0037】
ステップS204において制御部1Aは、前後配風比調整ドア24の開度を前後配風比調整ドア開度センサ24sより入力する。ステップS205において制御部1Aは、エアミックスドア開度センサ12sよりエアミックスドア12の開度に関する信号を入力する。ステップS206において制御部1Aは、ステップS201で検出された空調モードに応じて、以下に説明するステップS207、S208で参照するための空調制御マップを選択する。
【0038】
ここで図7に示す空調制御マップについて説明する。制御部1Aは、ステップS202で入力した前席位置情報に基づき、前席位置が基準位置よりも前側、すなわち前席乗員と吹出口との距離が近い場合には前席側の吹出口からの吹出風量を低下させ、逆の場合には吹出風量を増加させる。このとき、吹出風量の増減に応じてエアミックスドア12の開度を調節し、吹出口から吹き出す空気の温度を一定に制御するのは第1の実施の形態のものと同様である。ただし、このままでは後席側の吹出口からの吹出風量が変化してしまう。そこで、前後配風比調整ドア24の開度を調整して、後席側の吹出口からの風量を調整する。そのために用いられるのが図7に示すマップである。このマップは、第1の実施の形態でも説明したように車種や運転されている空調モードなどによって異なる。制御部1Aは、検出された空調モードに応じて複数のマップの中から所定のマップを選択する。このマップは、第1の実施の形態に係る空調装置と同様に、プログラム中にデータテーブルとしてあらかじめストアされている。あるいはデータテーブルに代えて関数を組み込んでおき、その関数を用いて必要な数値を算出するものであってもよい。
【0039】
ステップS207において制御部1Aは、ステップS202で入力した前席位置情報に基づき、図7に示すマップよりファン電圧補正値βおよび前後配風比調整ドア開度補正値αを求める。図7に示すマップにおいて、前席位置情報に対するファン電圧補正値βの関係を示すグラフと前席位置情報に対する前後配風比調整ドア開度補正値αの関係を示すグラフとは勾配が逆の関係にある。これは例えばファン電圧を上昇して前席側の吹出口から吹き出す風量を増した場合に、前後配風比調整ドア24を図5の−(マイナス)側に調整して後席側の吹出口から吹き出す風量を一定に保つためである。ステップS208において制御部1Aは、ファン電圧補正値βから目標吹出温度補正値γを求める。ステップS209において制御部1Aは、ステップS207およびS208で求めたファン電圧補正値β、前後配風比調整ドア開度補正値αおよび目標吹出温補正値γをもとに新たに設定すべき前後配風比調整ドア開度X、ファン電圧Vおよび目標吹出温度XMを算出し、メインプログラムにリターンする。
【0040】
ステップS203で空調モードがDEFに設定されていると判定された場合、第1の実施の形態に係る空調装置と同様に制御部1AはステップS210に分岐してファン電圧および目標吹出温度に補正を加えることなくメインプログラムにリターンする。
【0041】
図8に示す後席の吹出制御について説明する。ステップS301において制御部1Aは、後席連動空調スイッチRS(図5)がOnであると判定するとステップS302に分岐する。ステップS302において制御部1Aは、空調装置がVENT、B/L、FOOT、DEF、D/Fの各モードのうち、どの空調モードで運転されているかを検出する。制御部1AはステップS303において、位置信号発生回路48あるいは48Aより後席の前後位置に関する情報を入力する。ステップS304において制御部1Aは、ステップS302で検出した空調モードがDEF以外であると判定した場合にステップS305に分岐する。
【0042】
ステップS305において制御部1Aは、前後配風比調整ドア24の開度を前後配風比調整ドア開度センサ24sより入力する。ステップS306において制御部1Aは、エアミックスドア開度センサ12sよりエアミックスドア12の開度に関する信号を入力する。ステップS307において制御部1Aは、ステップS302で検出された空調モードに応じて、以下に説明するステップS308〜S310で参照するための空調制御マップを選択する。
【0043】
ここで図9に示す空調制御マップについて説明する。制御部1Aは、ステップS303で入力した後席位置情報に基づき、後席位置が基準位置よりも前側、すなわち後席乗員と吹出口との距離が近い場合には後席側の吹出口からの吹出風量を低下させ、逆の場合には吹出風量を増加させる。このとき、後席側吹出口からの吹出風量の増減は前後配風比調整ドア24の開度を調整することにより行う。前後配風比調整ドア24の開度を変化させると、前席側の吹出口より吹き出す空気の風量も変化するので、ファンモータ2に印加するファン電圧を調節してこれを防止する。すると、空調ダクト10A内を流動する空気の流量が変化するので、エアミックスドア12の開度を調節し、第1の実施の形態のものと同様に吹出口から吹き出す空気の温度を一定に制御する。ここで説明した一連の制御を行うために用いられるのが図9に示すマップである。制御部1Aは、検出された空調モードに応じて複数のマップの中から所定のマップを選択する。このマップは、第1の実施の形態に係る空調装置と同様に、プログラム中にデータテーブルとしてあらかじめストアされている。あるいはデータテーブルに代えて関数を組み込んでおき、その関数を用いて数値を算出するものであってもよい。
【0044】
ステップS308において制御部1Aは、ステップS303で入力した後席位置情報に基づき、図9に示すマップ前後配風比調整ドア開度補正値αを求める。ステップS309において制御部1Aは、前後配風比調整ドア開度補正値αよりファン電圧補正値βを求める。ステップS310において制御部1Aは、ファン電圧補正値βから目標吹出温度補正値γを求める。ステップS311において制御部1Aは、ステップS308〜S310で求めた前後配風比調整ドア開度補正値α、ファン電圧補正値βおよび目標吹出温補正値γをもとに新たに設定すべき前後配風比調整ドア開度X、ファン電圧Vおよび目標吹出温度XMを算出し、メインプログラムにリターンする。
【0045】
ステップS301において、後席連動空調スイッチRSがOffの場合には後席の風量制御を特に行うことなくリターンしているが、これは例えば後席に乗員が搭乗していない場合などにエネルギの余分な消耗を防ぐためである。
【0046】
ステップS304で空調モードがDEFに設定されていると判定された場合、第1の実施の形態に係る車両用空調装置と同様に制御部1AはステップS312に分岐してファン電圧および目標吹出温度に補正を加えることなくメインプログラムにリターンする。
【0047】
以上のように、第2の実施の形態に係る車両用空調装置では、前席および後席の移動量を検知して、その移動量に応じて吹出口より吹き出す空気の量を増減し、その際に吹出温度が変化することのないようにエアミックスドアの開度を調節する。このとき、移動が検知されない側の吹出口から吹き出す空気の吹出風量および吹出温度については一定に保つので、前席に着座する乗員に対しても後席に着座する乗員に対しても座席の前後位置によらず快適性を維持することができる。
【0048】
以上、第1の実施の形態に係る空調装置では、前席の位置に応じて前席側の吹出口から吹き出す空気の吹出温度を一定に保ちつつ、前席側の風量のみを変化させていた。また第2の実施の実施の形態に係る空調装置では、前席、後席いずれの位置にも応じて前席側、あるいは後席側に配設される吹出口から吹き出す空気の吹出温度を一定に保ちつつ、座席位置の変化があった方の吹出口からの風量のみを変化させていた。これに対して、例えば3列以上の座席を有する車両に本発明を適用することも可能である。また、前席側および後席側の両方に吹出口を有する車両用空調装置で、後席のみの位置を検出し、前席側の吹出口から吹き出す空気の風量および温度、そして後席側の吹出口から吹き出す空気の温度を一定に保ったままで、後席側の吹出口から吹き出す空気の風量のみを増減させるものであってもよい。
【0049】
以上の発明の実施の形態と請求項との対応において、位置信号発生回路48、48Aが座席位置検出手段、前席位置検出手段、あるいは後席位置検出手段を、制御部1、1Aが吹出風量制御手段を、エアミックスドア12が吹出温度制御手段を、ブロアファン4が吸入風量調節手段を、エバポレータ6あるいはヒータコア8が温調手段を、前後配風比調整ドア24が配風比調節手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る車両用空調装置の概略的構成を示す図であり、(a)は空調ダクト内の構成を、(b)は空調装置の回路構成を示すブロック図を示す。
【図2】座席位置検出装置の一例を示す図であり、(a)が電動式の座席に適用した例を、(b)が手動式の座席に適用した例を示す。
【図3】第1の実施の形態に係る空調装置の制御部により実行される空調制御処理手順を説明するフローチャート
【図4】座席位置情報をもとにファン電圧補正値、目標吹出温度補正値を求める際に用いられるマップの概念図。
【図5】第2の実施の形態に係る車両用空調装置の概略的構成を示す図であり、(a)は空調ダクト内の構成を、(b)は空調装置の回路構成を示すブロック図を示す。
【図6】第2の実施の形態に係る空調装置の制御部により実行される空調制御処理手順を説明するフローチャート。
【図7】座席位置情報をもとにファン電圧補正値、前後配風比調整ドア開度補正値および目標吹出温度補正値を求める際に用いられるマップの概念図。
【図8】図6に示すフローチャートに示す処理手順に続いて実行される空調制御処理手順を説明するフローチャート。
【図9】座席位置情報をもとに前後配風比調整ドア開度補正値、ファン電圧補正値および目標吹出温度補正値を求める際に用いられるマップの概念図。
【符号の説明】
1、1A 制御部
2 ファンモータ
4 ブロアファン
6 エバポレータ
8 ヒータコア
10、10A 空調ダクト
12 エアミックスドア
12a エアミックスドアアクチュエータ
12s エアミックスドア開度センサ
24 前後配風比調整ドア
24a 前後配風比調整ドアアクチュエータ
24s 前後配風比調整ドアセンサ
48、48A 位置信号発生回路
RS 後席連動空調スイッチ
Claims (6)
- 車室内を前後に移動可能な座席の位置を検出する座席位置検出手段と、
空調した空気を前記座席前方に設けられた吹出口から座席に向けて吹き出す際に、前記座席位置検出手段で検出された座席位置が後方であるほど空気の吹出量が多くなるように吹出量を調整する吹出風量制御手段と、
を有することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1に記載の車両用空調装置において、
前記風量制御手段が前記空気の吹出量を調整する際に、前記空気の吹出量によらず、前記空気の吹出温度を略一定に保つように制御する吹出温度制御手段をさらに有することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1または2に記載の車両用空調装置において、
前記座席は車室内の前方に設置される前席であることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内に配設される前席の後方に配設され、前記車室内を前後に移動可能な後席の位置を検出可能な後席位置検出手段と、
空調ダクト内に導く空気の量を調節する吸入風量調節手段と、
前記空調ダクト内に導かれた空気を温調する温調手段と、
前記温調手段により温調された空気を、座席前方に設けられた前席側吹出口および座席前方に設けられた後席側吹出口に所定の配風比で導く配風比調節手段と、
前記吸入風量調節手段、前記温調手段および前記配風比調節手段を制御して、前記前席側吹出口から吹き出す空気の温度ならびに風量、および前記後席側吹出口から吹き出す空気の温度を略一定に保ちつつ、前記後席位置検出手段で検出された後席位置が後方であるほど空気の吹出量が多くなるように前記後席側吹出口から吹き出す空気の風量を変化させる吹出風量制御手段と、
を有することを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項4に記載の車両用空調装置において、
前記前席は、前記車室内を前後に移動可能であり、
前記前席の位置を検出可能な前席位置検出手段を更に有し、
前記吹出風量制御手段はさらに、前記吸入風量調節手段、前記温調手段および前記配風比調節手段を制御して、前記前席側吹出口から吹き出す空気の温度、および前記構成側吹出口から吹き出す空気の温度ならびに風量は略一定に保ちつつ、前記前席位置検出手段で検出された前席位置が後方であるほど空気の吹出量が多くなるように前記前席吹出口から吹き出す空気の風量を変化させることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用空調装置であって、前記吹出風量制御手段は、空調装置がDEFモードで運転されている際には、座席の位置に応じて風量の調整を禁止することを特徴とする車両用空調装置。
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