JP3708899B2 - 並列棚の転倒防止具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、並列棚の転倒防止具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、並列に配置された複数の棚の上部間に長尺の連結部材を配して、その連結部材を棚の上部に取り付けた構造は公知となっている。例えば、特開2000−189258の技術である。
この技術では、通路に面した一方の棚の左右両側の支柱の上端部間にビームを渡設し、そのビームの任意の位置に装着した取付金具に連結バーを取り付け、その連結バーを他方の棚のビームに装着した連結金具に連結した防振構造を提案している。
【0003】
また、並列に配置された複数の書架の支柱にアーチ型(上に凸に湾曲した部分を有する形状)の防振杆を連結した構造は公知となっており、例えば、特開2001−275760の技術である。
この技術では、通路に面した一方の書架の支柱上端に延長支柱を連結し、この延長支柱の上端に、アーチ型の防振杆を取り付け、その防振杆を他方の書架の支柱上端に連結した延長支柱に取り付けた防振構造を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の特開2000−189258の技術においては、室内の構造柱や室内の凸部に対応させて、連結バーを取り付けることを可能とし、連結バーの取付位置の自由度を大きくしているものの、次のような問題点があった。
まず、連結バーを直接支柱に取り付けず、連結金具を介して支柱の上端部間に渡設したビームに取り付ける構造のため、支柱の上端部間にビームを設けていない棚、または、ビームの高さが異なる棚に対して使用することができなかった。
【0005】
また、前述のビーム取付構造においては、地震等による前後方向(通路と垂直の方向)の大きな振動の際、ビームと取付金具、または、取付金具と連結バーの取付部分に大きな力が加わり、取付部分の破損等により連結が解除される虞があった。そして、一箇所の連結が外れると、その分の負荷が別の箇所にかかり、連鎖的に連結が解除され、棚が転倒してしまう虞もあった。
【0006】
また、棚の天板の高さと略同じ高さに連結バーが位置するため、室内空間を狭く感じさせる構造となっていた。特に、背の高い人にとっては、通行の妨げとなり、また、圧迫感を覚えるという問題もあった。
【0007】
また、連結バーの取付位置が支柱の上端部間のビームであるため、高い位置で取付作業を行わなければならず、作業が難しくなり、作業性が低下するという不具合があった。特に、ビームと天井とが接近している場合には、取付作業が難航し、危険が伴うという不具合もあった。そして、棚の配置変更や通路幅の変更の場合等には、新たな連結バーを用意しなくてもよいものの、同様の理由により、連結の解除作業も困難になるという問題があった。
【0008】
更に、棚の天板上にも連結バーが横たわっている構造のため、天板上のスペースが連結バーにより制限され、物を置けるスペースを狭くしていた。
【0009】
また、前述の特開2001−275760の技術においては、書架の支柱に対して取り付ける構造により、部品点数を少なくし、簡単に、かつ体裁よく組み付けることができるようにしているものの、この構造を並列棚に採用しようとする場合、次のような問題点があった。
まず、対面する二つの棚の支柱の位置が前後に揃っていない場合には、この構造を採用できなくなる。
【0010】
また、支柱の上端に延長支柱を連結し、その延長支柱の上端に防振杆を取り付ける構造としており、延長支柱の上端面に防振杆の下端面を載せて、ボルト・ナットで締付固定している。この状態で、横方向から力が加えられると、両者の当接面において、ずれが生じ易い構造となっていた。また、ボルト・ナットの締結を一箇所のみで行っているため、部品点数を削減しているものの、取付強度が低下していた。そのため、地震等による前後方向の大きな振動の場合には、ボルト・ナットの締結部分に負荷が集中し、連結が解除されてしまう虞があった。更に、前述のビーム取付構造の場合と同様に連結が解除されて、棚が転倒してしまう虞もあった。ここで、延長支柱を介設せずに防振杆を直接支柱に取り付ける構造も提案されているが、この場合においても、同様の不具合は発生しうるものであった。
【0011】
また、防振杆の取付位置が延長支柱の上端であるため、高い位置で取付作業を行わなければならず、作業が難しくなり、危険が伴うという不具合があった。特に、棚の天板が天井に接近している場合には、取付作業が難航し、作業性を低下させるという不具合もあった。また、取付解除の作業時においても、同様の不具合は生じうるものであった。
【0012】
また、防振杆がアーチ型の形状のため、防振杆の長さと一致する支柱間の距離の場合にしか用いることができず、異なる距離の場合には使用できないという不具合があった。そして、棚の配置の変更、通路幅の変更等の場合には、新たな防振杆が必要になり、その対応が煩雑であった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、請求項1においては、並列に配置された二つの棚2・2の支柱3・3に取り付ける一対の支持部材21・21と、両支持部材21・21の間を連結する連結部材20とを備える並列棚の転倒防止具において、前記支持部材21は、連結部材20を取り付けるフレーム取付板13と、棚2の支柱3に取り付ける支柱取付板11との間に、回転可能、か つ、固定可能な支持パイプ12と連結シャフト16と締め付けナット17を備えるものである。
【0015】
請求項2においては、前記連結部材20は連結棒15と、該連結棒15の両端から長さ調節可能に嵌合する一対の連結フレーム14・14からなり、前記連結棒15を並列棚の天板4より上方に配し、前記連結フレーム14の下部にフレーム取付板13を設けたものである。
【0016】
請求項3においては、前記支持パイプ12の下端にローレット12を形成し、該ローレット12aに対応して前記支柱取付板11にローレット11gを設け、段階的に角度調節可能に構成したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
【0018】
図1は転倒防止具の側面図、図2は転倒防止具の平面図、図3は転倒防止具を斜め方向に取り付けた状態の平面図、図4は転倒防止具の要部側面断面図、図5は転倒防止具の要部分解斜視図である。図6は連結棒の取付状態を示す図、図7はローレットを示す図、図8は転倒防止具の使用状態を示す図、図9も同じく使用状態を示す図である。
【0019】
まず、通路を挟んで互いに対面する棚2・2のそれぞれの支柱3・3に本発明である転倒防止具1を取り付けた一実施例について説明する。但し、支柱を有する構造のものであれば、棚に限らず、その他の家具にも取り付けて使用できる。
図8では、棚2の通路に面した左右両端には、支柱3が備えらてれおり、これに装着される天板4、棚板5等を支持している。ここで、「支柱」とは、転倒防止具1を取り付けた場合に、支柱3と同様の機能を果たすものをも含むものとする。例えば、棚の左右両端に備えられる側面板等である。また、「左右」とは、通路に沿った方向(図2のY−Y方向)とし、「前後」とは、通路に直交する方向(図2のX−X方向)とする。転倒防止具1を、通路を挟んで「前後」の二つの棚2・2に連結すると、転倒防止具1を介して二つの棚2・2が相互に支え合うことによる安定性が得られ、棚2・2の転倒を防止している。また、図8、図9に示すように、対面する二つの棚2・2に対して、一つの転倒防止具1だけではなく、複数の転倒防止具1・1・・・を併用することにより、一層の安定性が得られる。
【0020】
次に、転倒防止具1の具体的構成を説明する。
図1に示すように、転倒防止具1は、前後の棚2・2に取り付けられる支持部材21・21と、一対の支持部材21・21を連結する連結部材20よりなり、該連結部材20は連結棒15、該連結棒15をその両端から嵌合する一対の連結フレーム14・14からなり、支持部材21は前記連結フレーム14下部に取り付けられるフレーム取付板13、該フレーム取付板13に固定されるフレーム支持パイプ12、支柱3に取り付けられる支柱取付板11、前記フレーム支持パイプ12と前記支柱取付板11とを回転可能に連結する連結シャフト16と、締付ナット17や振止角座金18やワッシャー19等より構成される。
また、前記フレーム支持パイプ12とフレーム取付板13とは、溶接等により固着されて一体となっている。
図1に示すように、転倒防止具1はA−A線に対して線対称の形状をしており、前記各部材は連結棒15を除いて二個一組(一対)で構成されている。
【0021】
図5に示すように、支柱取付板11は、側面視略L字状に形成されており、水平部分11a、垂直部分11b、及び、垂直部分の上方の突出部分11cからなる。該突出部分11cは、後述する振止角座金18を装着するために、側面視クランク状に折り曲げられている。
また、水平部分11aの中央には、連結シャフト16の直径より若干大きい丸孔11dが開口されている。垂直部分11bには、取付孔が開口されており、下部左右中央に一箇所の丸孔11eが開口され、上部に左右二箇所の長孔11f・11fが開口されている。長孔11f・11fは正面視略ハ字状に形成されている。これらの取付孔11e・11f・11fにボルトを挿通し、ナットで締め付けて、支柱3に支柱取付板11を取り付ける。前記二つの長孔11f・11fは、地震等による左右方向の大きな振動の際に、長孔11f・11fの中をボルトがずれることにより、地震等の衝撃を和らげ、締結部分の破損を防いでいる。なお、あらゆるラックの支柱にも取り付けられるように、また、上下方向の高さを調節でき、地震等による上下方向のズレを許容できるように、上下2箇所(または複数箇所)に上下方向の長孔を開口して、ボルトで支柱3に取り付けるように構成することもできる。
更に、水平部分11a上面で丸孔11dの周縁上には、後述するローレット11gが形成されている(図7)。
【0022】
図5に示すように、フレーム支持パイプ12は円筒状であり、その内径を連結シャフト16の直径より若干の大きくして、フレーム支持パイプ12に連結シャフト16が挿入できるようにしている。また、下端面には、後述するローレット12aが設けられており、前記支柱取付板11のローレット11gに対応して形成されている(図7)。
【0023】
フレーム支持パイプ12と溶接等により一体に固定されるフレーム取付板13は、側面視略逆L字状に形成されており(図5)、上部の水平部分13aと垂直部分13bからなる。水平部分13aの下面は、前記フレーム支持パイプ12の上端面と当接しており、フレーム取付板13をフレーム支持パイプ12に取り付けた後に、連結シャフト16が挿入できるように水平部分13aには丸孔13dが開口されている。
また、垂直部分13bには、連結フレーム14の下部をビス等により取り付けるために、複数箇所(本実施例では、上部に二箇所、下部に一箇所)のネジ孔13cが形成されている。
更に、水平部分13aは、平面視において、その前部を略半円形、その後部を長方形とした形状となっており、後述するように、フレーム支持パイプ12とフレーム取付板13とを回動させて、転倒防止具1の角度(方向)調節をする場合に、フレーム取付板13の水平部分13aが支柱取付板11に接触しないようにして、回動できなくなる状態を回避している。
【0024】
図1に示すように、連結フレーム14は、側面視略L字状に形成され、水平部分14aと垂直部分14bとからなり中空角管で構成され、水平部分14aに連結棒15を嵌合できるようになっている。但し、連結棒15を嵌合できる形状であれば、これと異なる形状とすることも可能である。例えば、円筒状である。この連結フレーム14をL字状に形成することで、転倒防止具1に対して棚2の支柱3から加わる力(前後方向の力)に対する強度を向上させて、防振・耐震効果を図っている。尚、L字状の連結フレーム14の角の部分(水平部分14aと垂直部分14bとの接続部分)に補強部材としての筋かい等を設ける構成としてもよい。
また、水平部分14aの上面には、ネジ孔14cが複数箇所(本実施例では、四箇所)、形成されており(図2、図3)、連結棒15を嵌合して、長さを調節して位置決めした後に、ネジ孔14cに、ビス等を嵌め込み、その位置で固定する。
垂直部分14bの下部には、板状の取付部分14dが下方に延設され、該取付部分14dには、前記フレーム取付板13のネジ孔13cの位置に合わせて、ネジ孔14eが、複数箇所(本実施例では、上部に二箇所、下部に一箇所)形成されており(図4)、ビス等によりフレーム取付板13と取り付けられるようにしている。但し、取付構成は限定するものではなく、溶接等であってもよい。
【0025】
図6に示すように、連結棒15は、前記連結フレーム14の水平部分14aの中空部分に摺動自在に嵌め込まれるように相似形に形成した中空角管である。但し、連結フレーム14の水平部分14aが円筒状の場合には、連結棒15も円筒状に形成される。連結棒15の上面にも、ネジ孔15aが所定の間隔で複数箇所(本実施例では、十二箇所)開口されており(図2、図3)、連結棒15を連結フレーム14に対して摺動させて、転倒防止具1の長さを調節してネジ孔が一致するように位置決めした後に、ビス等を用いて両者を固定する。但し、固定方法は限定するものではなく、連結フレーム14の上面にナットを固設してネジ孔を開口し、蝶ネジを螺装して連結棒15に対して任意位置で固定することもできる。また、前後一側の連結棒15と連結フレーム14をボルト・ナット、またはピンで固定し、他側を摺動させて位置調整してボルトまたは蝶ネジ等で固定する構成とすることもできる。
【0026】
図5に示すように、振止角座金18は、側面視略L字状に形成され、水平部分18aと垂直部分18bからなる。振止角座金18は前記支柱取付板11の上方から被せるように装着する。このとき、垂直部分18bに対応して、前記支柱取付板11の上部に突出部分11cが設けられており、両者の装着を確実にしている。
また、水平部分18aには、振止角座金18を支柱取付板11に取り付けた後に、連結シャフト16が挿入できるように、丸孔18cを穿設している。更に、水平部分18aは、平面視において、その前部を略半円形、その後部を長方形とした形状となっており、後述するように、フレーム支持パイプ12とフレーム取付板13とを回動させて、転倒防止具1の角度(方向)調節をする場合に、振止角座金18の水平部分18aが連結フレーム14に接触しないようにして、回動できなくなる状態を回避している。
【0027】
次に、転倒防止具1の棚2への取り付け方を説明する。
取り付け方は、支柱3への取り付け、連結棒15の接続、連結シャフト16・締付ナット17による固定、及び、連結フレーム14の取り付けという四つの手順があるが、以下に述べる順序に限定されるものではなく、作業者が作業を行い易い順序で行えばよい。また、以下に述べる手順は、転倒防止具1を連結する二本の支柱3・3に対して同様に行われる。
【0028】
まず、棚2の支柱3に支柱取付板11を取り付ける。支柱3の支柱取付板11の取付孔11e・11f・11fと対応した位置に、取付孔を穿設し、ボルト・ナットにより締付固定する。このとき、支柱3の任意の高さに取付孔を開口することで、転倒防止具1が配置される高さを調節可能としている。また、こうすることで、異なる高さの棚が通路を挟んで前後に並んでいる場合においても転倒防止具1を取り付けることを可能としている。そして、支柱3と支柱取付板11とを上下の複数箇所(本実施例では、三箇所)で取り付けているため(図4)、一箇所のみでの固定より強固で安定性のある取付構造となっている。また、前述したように、長孔11f・11fにより防振効果を図っている。
但し、支柱3に取付孔を設けず、溶接により支柱取付板11を固定することも可能である。また、ビス等による取り付けとしてもよく、各取付孔の数・位置等は前述したものに限定されない。
【0029】
また、連結棒15を連結フレーム14の水平部分14aに嵌め込む。両者には、それぞれネジ孔14c・15aが複数箇所、設けられており(図2)、両者のネジ孔14c・ネジ孔15aの位置を合わせて、ビス等により固定する。ビスを締め付けていない場合には、連結棒15は連結フレーム14に対して摺動自在となっており、支柱3・3間の距離に応じて転倒防止具1の長さを調節することを可能としている。但し、ネジ孔の数、位置は限定するものではない。尚、ネジ孔15aの数を多くすることにより、転倒防止具1の長さの微調節が可能となる。
【0030】
また、振止角座金18、フレーム支持パイプ12、支柱取付板11、ワッシャー19の順に連結シャフト16に嵌挿して、締付ナット17で締め付けて固定する(図5)。
このとき、フレーム支持パイプ12のローレット12aと支柱取付板11のローレット11gとが噛み合って当接しており、両者を噛み合わせた状態では、フレーム支持パイプ12が支柱取付板11に対して回動できないようになっている。連結シャフト16を嵌め込んで固定する際には、転倒防止具1の角度(方向)を両ローレット11g・12aの噛み合わせ位置により決定する構造としている。また、両ローレット11g・12aが噛み合ってない状態、すなわち、締付ナット17が弛められた状態では、支柱取付板11に対してフレーム支持パイプ12が回動可能となっており、ローレットのピッチ数(本実施例では、ピッチ数32)に対応した段階的な角度調節を可能としている。但し、ローレットのピッチ数は限定するものではなく、角度の微調整を行う必要があれば、その数を多くすればよい。こうして、転倒防止具1の角度調節が可能となり、例えば、図9に示すように、通路を挟んで前後の棚2・2の支柱3・3の位置がずれている場合、室内の構造柱が通路にある場合等にも、転倒防止具1を取り付けることを可能としている。すなわち、転倒防止具1を通路に対して斜めの方向にも連結することができる。
但し、ローレット11g・12aを設けない構造として、両者を溶接等により固定してもよい。この場合、固定する前に、フレーム支持パイプ12を回動させて方向を決めることとなる。このような構造とした場合には、溶接等による固定の前においては、段階的ではなく連続的な回動が可能となり、角度の微調整が可能となる。
【0031】
また、連結フレーム14の取付部分14dとフレーム取付板13とを取り付ける。本実施例では、両者にはそれぞれ上下に計三箇所、ネジ孔13c・ネジ孔14eが形成されており(図4)、ビスにより固定する。但し、ネジ孔の位置及び数はこれに限定するものではなく、また、ネジ孔を設けずに溶接等により固定してもよい。
【0032】
取付手順は、以上のとおりであるが、棚2の配置の変更や通路幅の変更等を行う場合には、転倒防止具1の連結を解除して、棚2を自由に動かせる状態に戻さなければならない。
ところが、この場合、連結シャフト16・締付ナット17の締め付けを弛めて、連結シャフト16から締付ナット17を取り外すと、一体的に連結されている連結棒15、連結フレーム14、フレーム取付板13、及び、フレーム支持パイプ12が、支柱3から一体的に取り外せる状態になる。このとき、支柱取付板11は支柱3に取り付けられたままである。
そして、棚2の配置の変更等を行った後に、一体的に取り外された連結棒15、連結フレーム14、フレーム取付板13、及び、フレーム支持パイプ12を、連結シャフト16・締付ナット17により再度、締付固定すれば、転倒防止具1が取り付けられることとなる。このように、転倒防止具1の取外し作業と再度の取付作業とを極めて容易に行うことができる構造としている。尚、必要な場合には、連結棒15を摺動させて、転倒防止具1の長さ調節を行い、また、棚の間隔が伸びた場合には連結棒15を長い連結棒に交換することもできる。また、支柱取付板11の上下取付位置を変更して、高さ調節を行うこともできる。転倒防止具1の角度(方向)調節については、連結シャフト16・締付ナット17の締付固定時に行えばよい。また、支持部材21は枢支部を有するため、連結シャフト16を中心に回転させて、支柱取付板11を前後面だけでなく側面にも取り付けることができる。そして、支柱に棚の高さ変更用の孔を開口している場合には、この孔を利用して支柱取付板11をビスやボルト等によって固定することもできる。
【0033】
以上のようにして、二本の支柱3・3を連結して使用する並列棚の転倒防止具1を取り付けることにより、前述した問題点は次のように解決される。
まず、特開2000−189258の技術について、高さの異なる棚には使用できないという問題に対しては、支柱3に支柱取付板11を取り付ける際に、支柱3の取付孔の位置を調節することにより、異なる高さの棚についても取付可能であり、連結棒15が位置する高さも調節可能としている。
【0034】
また、前後方向の大きな振動の際の問題に対しては、支柱取付板11と支柱3との取付部分での接触面積を大きくして、単位面積当たりにかかる力を小さくして、地震等による前後方向の揺れに対しての剛性を大きくしており、転倒防止具1を直接支柱3に連結する構造にして防振・耐震性を向上させている。
【0035】
また、室内空間を狭く感じさせる問題に対しては、連結棒15を天板4の高さより、高く配置して、圧迫感を解消することができる。また、前述したようにその高さ調節も可能としており、背の高い人の通行の妨げとならない位置に連結棒15を配することができる。
【0036】
また、取付作業時における問題に対しては、支柱取付板11の取付位置は支柱3の上端ではなく、側面であり、棚2に対して横方向からの作業を多くしているため、取付作業時及び連結解除時における作業性が向上し、安全性も確保できることになる。
【0037】
そして、天板上のスペースが連結バーにより制限されるという問題に対しては、転倒防止具1は棚2の支柱3に取り付けられるため、天板4上のスペースを自由に利用できる構造としている。
【0038】
また、特開2001−275760の技術を並列棚に採用する場合について、支柱の位置がずれている場合の問題に対しては、フレーム支持パイプ12を支柱取付板11に対して回動可能とし、転倒防止具1の角度調節を可能としているため、転倒防止具1を通路に直交する方向だけでなく、斜めの方向に対しても連結することができ、直交方向と対角方向に転倒防止具1を取り付けることにより更に強固に連結することができる。また、フレーム支持パイプ12と支柱取付板11にローレットを形成した場合には、一旦取り付けた後においても、その角度調節が可能としている。
【0039】
また、前後方向の大きな振動の際の問題に対しては、支柱取付板11と支柱3との取付部分での接触面積を大きくし、単位面積当たりにかかる力を小さくすることにより、地震等による前後方向の揺れに対する剛性が大きくなり、転倒防止具1を支柱3の上端ではなく側面に連結する構造にして防振・耐震性の向上を図っている。
【0040】
また、取付作業時における問題に対しては、支柱取付板11の取付位置は支柱3の上端ではなく、側面であり、棚2に対して横方向からの作業を多くしているため、取付作業時及び連結解除時における作業性を向上させ、安全性も確保できることになる。
【0041】
そして、支柱間の距離への対応の問題に対しては、連結棒15を連結フレーム14に対して摺動可能としているため、二棚2・2間の通路の幅に合わせた転倒防止具1とすることができる。すなわち、一つの転倒防止具1を、さまざまな通路の間隔(支柱間隔)の並列棚に連結することができ、結果的に部品点数を少なくして、コスト削減をも図ることができる。また、棚の配置の変更、通路幅の変更等の場合にも容易に対応できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0043】
即ち、請求項1に示す如く、並列に配置された二つの棚2・2の支柱3・3に取り付け る一対の支持部材21・21と、両支持部材21・21の間を連結する連結部材20とを備える並列棚の転倒防止具において、前記支持部材21は、連結部材20を取り付けるフレーム取付板13と、棚2の支柱3に取り付ける支柱取付板11との間に、回転可能、かつ、固定可能な支持パイプ12と連結シャフト16と締め付けナット17を備えるので、転倒防止具を二つの棚の支柱に取り付けて固定すると、転倒防止具を介して二つの棚が相互に支え合うことにより、比較的簡単な構成で並列棚の転倒防止を図ることができる。また、前記支持部材により支柱に枢結し、回動可能に構成することにより、転倒防止具の方向(角度)を調節することができ、支柱が通路に対して斜め方向の場合にも、転倒防止具を取り付けることができ、また、連結部材を伸縮させることで、棚と棚が前後左右方向で平行に配置されていない場合でも転倒防止具を取り付けることができる。
【0044】
請求項2においては、前記連結部材20は連結棒15と、該連結棒15の両端から長さ調節可能に嵌合する一対の連結フレーム14・14からなり、前記連結棒15を並列棚の天板4より上方に配し、前記連結フレーム14の下部にフレーム取付板13を設けたので、圧迫感がなく、室内空間を狭く感じさせる問題を解消し、背の高い人の通行の妨げにならないようにすることができる。
【0045】
請求項3においては、前記支持パイプ12の下端にローレット12を形成し、該ローレット12aに対応して前記支柱取付板11にローレット11gを設け、段階的に角度調節可能に構成したので、転倒防止具を支柱に連結する際に、ローレットのピッチ数に応じた多段階の方向(角度)調節が可能となり、対面する棚の支柱位置がずれている場合にも転倒防止具を取り付けることができ、そのような並列棚の転倒防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 転倒防止具の側面図。
【図2】 転倒防止具の平面図。
【図3】 転倒防止具を斜め方向に取り付けた状態の平面図。
【図4】 転倒防止具の要部側面断面図。
【図5】 転倒防止具の要部分解斜視図。
【図6】 連結棒の取付状態を示す図。
【図7】 ローレットを示す図。
【図8】 転倒防止具の使用状態を示す図。
【図9】 同じく使用状態を示す図。
【符号の説明】
1 転倒防止具
2 棚
3 支柱
4 天板
5 棚板
11 支柱取付板
12 フレーム支持パイプ
13 フレーム取付板
14 連結フレーム
15 連結棒
16 連結シャフト
17 締付ナット
18 振止角座金
Claims (3)
- 並列に配置された二つの棚2・2の支柱3・3に取り付ける一対の支持部材21・21と、両支持部材21・21の間を連結する連結部材20とを備える並列棚の転倒防止具において、前記支持部材21は、連結部材20を取り付けるフレーム取付板13と、棚2の支柱3に取り付ける支柱取付板11との間に、回転可能、かつ、固定可能な支持パイプ12と連結シャフト16と締め付けナット17を備えることを特徴とする並列棚の転倒防止具。
- 前記連結部材20は連結棒15と、該連結棒15の両端から長さ調節可能に嵌合する一対の連結フレーム14・14からなり、前記連結棒15を並列棚の天板4より上方に配し、前記連結フレーム14の下部にフレーム取付板13を設けたことを特徴とする請求項1記載の並列棚の転倒防止具。
- 前記支持パイプ12の下端にローレット12を形成し、該ローレット12aに対応して前記支柱取付板11にローレット11gを設け、段階的に角度調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の並列棚の転倒防止具。
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