JP3708870B2 - アシストグリップの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内に装着されるアシストグリップの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のアシストグリップの取付構造として、例えば、特開2000−124022号公報に開示されるように、グリップ本体の取付座を自動車の車体パネル(固定体)に固定するものにおいて、その取付座に車体パネルの取付孔へ挿入する一対の係止片を設ける構造が知られている。このものでは、一対の係止片を取付孔の車室側に位置付けてから挿入方向に押しつけると、係止片の先端側に設けた爪部が取付孔の周縁部から押されて互いに近接するように係止片全体が撓み、爪部が取付孔を通過した後に係止片が元に戻って、その爪部が取付孔周縁部に係止するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、車両の内装デザインの要求によって、アシストグリップにおいてもその取付座のデザインが上記従来例に開示されている矩形箱状のものから曲面を用いたものへと変化している。すなわち、取付座を車室側から見たときの形状が例えば略U字状とされていて、その取付座の内方において一対の係止片が該取付座の幅の広い側と狭い側とにそれぞれ配設されているような場合には、そのことに対応させて狭い側に位置する係止片の幅方向の寸法を短くしなければならない。つまり、取付座のデザインによって、一対の係止片の幅方向の寸法が互いに異なってしまう。
【0004】
このように一対の係止片の幅方向の寸法を異ならせると、取付孔への挿入の際に、幅方向の寸法の短い方が撓み易く先に挿入されてしまうことがあり、このようになると、取付座全体が傾いて他方の係止片の挿入が困難となる。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アシストグリップの取付座に、固定体の取付孔に挿入される一対の係止片を設け、該係止片の先端側の係止部を取付孔に挿入してその周縁部に係止させるようにするものにおいて、係止片の形状に工夫を凝らして、取付座のデザインによらずアシストグリップの組付作業性を良好にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の解決手段では、アシストグリップの取付座にその取付座の形状に対応させてグリップ本体の長手方向の長さが互いに異なる一対の係止片を設けて、該係止片の取付孔への挿入時に互いに略同じ撓み量となるように短尺係止片の基端側を長尺係止片よりも厚肉に形成した。
【0007】
具体的には、請求項1の発明では、アシストグリップのグリップ本体を固定体に取り付ける取付座と、該取付座に設けられ、上記固定体の取付孔に向けて開口する筒状の固定部と、上記固定体の取付孔へ挿入されるように上記固定部の内面から一体にかつ互いに離間して延び先端側が該固定部の開口から突出する一対の可撓性を有する係止片とを備え、該一対の係止片の先端側には、互いに離反する方向に突出する爪部を設け、上記両爪部の突出方向先端間の寸法を、上記固定体の取付孔の内寸よりも長く設定し、上記一対の係止片の爪部を固定体の取付孔へ挿入するとともに、係止片の上記取付座側から該係止片の間にロックピンを挿入して係止片の爪部を上記取付孔の周縁部に係止させるようにしたアシストグリップの取付構造を前提とする。そして、上記一対の係止片を、グリップ本体の長手方向の長さが互いに相異する短尺係止片と長尺係止片とからなるものとし、上記短尺係止片及び長尺係止片の爪部を固定体の取付孔に同時に挿入する際にこれら係止片が略同じ撓み量となるように、短尺係止片の基端側が長尺係止片の基端側よりも厚肉に形成するものとする。
【0008】
この構成によれば、グリップ本体に設けた取付座の係止片を固定体の取付孔に挿入する際には、まず、取付孔周縁部によって係止片先端側の係止部が互いに近接するように押されて係止片が撓み、係止部が取付孔を通過する。このとき、例えば取付座の形状が、グリップ本体からその長手方向と直交する方向へ離れるほど幅(グリップ本体の長手方向の幅)が狭くなるような形状とされている場合には、一対の係止片はその形状に対応させてグリップ本体の長手方向の長さの相異する短尺係止片と長尺係止片とで形成される。このとき、その長さの相異に対応して短尺係止片の基端側を長尺係止片の基端側よりも厚肉に形成することで、挿入時に一対の係止片は略同じ量だけ撓むようになる。すなわち、アシストグリップの取付座のデザインによって一対の係止片のグリップ本体長手方向の寸法が互いに異なっていても、取付孔への挿入時には係止片の係止部が略同様に取付孔を通過するので、そのときに取付座が傾くことはなく、もって、取付座のデザインによらず組付作業性を良好にすることができる。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記短尺係止片の基端側には、長尺係止片と対向する面から長尺係止片側へ膨出する厚肉部を形成するものとする。すなわち、取付座の成形時に短尺係止片と長尺係止片との間に位置する成形型の突出部は、両係止片がロックピンの形状に対応する寸法だけ離間しているのでその方向の厚みを十分に確保できる。言い換えると、両係止片の間に位置する成形型の突出部の形状設定は比較的、自由に行うことができる。そこで、この発明では、厚肉部を短尺係止片の長尺係止片と対向する面に設けて、上記成形型の形状設定の自由度が高い部分によって成形するようにしているので、取付座の成形を容易に行うことができる。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1または2のいずれかの発明において、上記長尺係止片の爪部の肉厚を短尺係止片よりも薄肉に形成するものとする。このことで、一対の係止片の挿入時に、その先端側の爪部が取付孔周縁部から押された際、両係止片は先端側から基端側に亘って全体が略同じ撓み量となるので、より容易に係止片の挿入を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、本発明の実施形態に係る回動型の格納式アシストグリップGを示し、このアシストグリップGは、主としてグリップ本体1と一対の取付座6,7とからなるものである。上記グリップ本体1は例えばPP(ポリプロピレン樹脂)等からなる長尺状のもので、図1に示すように、本体部の長手方向両端部が湾曲されて略コ字状をなし、その長手方向の両端部である左右両端部がそれぞれ脚部1a,1bとされていて、この左右の両脚部1a,1bにて例えば固定体としての車体パネルPに固定された取付座6,7に対し回動可能に軸支されている。そして、グリップ本体1は、その長手方向が車体の前後方向と略一致するように上記車体パネルPに取り付けられている。
【0012】
上記車体パネルPは、図例では車両における車室内の側壁をなすものであり、上記のような各脚部1a,1bでの軸支構造によりグリップ本体1が使用位置及び格納位置の間で回動して、図2に示すように格納位置にあるときにはグリップ本体1は車体パネルPに沿った状態となる一方、図1、3に示すように使用位置にあるときには、グリップ本体1はその中間部が車室内方に突出して水平面からやや斜め下方に向いた状態となる。
【0013】
そして、上記図2に示すようにグリップ本体1が格納位置にあるときに、その各脚部1a,1bの外面(車体パネルPに対向する面)には、該外面側が開口するように、それぞれ、グリップ本体1の脚部1a,1bの先端面、即ち同図の下端面から図の上側に向かって略矩形状に切り欠いてなる切欠部が形成されていて、この各切欠部がそれぞれグリップ本体1の格納状態で取付座6,7の一部分を収容する収容部2,2となる。また、詳しくは後述するが、グリップ本体1の一方の脚部1a(図1において左側の脚部)と一方の取付座6との間には、グリップ本体1の回動に粘性抵抗を付与する粘性ダンパ16が一体的に設けられ、一方、他方の脚部1b(図1において右側の脚部)と他方の取付座7との間には、グリップ本体1を格納位置に向かうように回動付勢する捩りコイルばね17が配設されている。
【0014】
すなわち、図4及び図5に示すグリップ本体1の脚部1aにおいて、収容部2の左右方向(グリップ本体1の長手方向)に対向する2つの側壁のうち、グリップ本体1の左右中央に近い側に位置する内側側壁(図1で右側のもの)は軸受部3として形成され、この軸受部3の内側(収容部2側)面には有底の円形穴からなる軸受穴4が形成されている。一方、グリップ本体1の左右中央から遠い側に位置する外側側壁3a(図1で左側のもの)には、該側壁3aをその厚み方向(図の左右方向)に貫通するようにスペーサ装着孔5が形成されている。このスペーサ装着孔5は、図1に示すように、グリップ本体1の長手方向からのグリップ本体1の脚部1aの外観視(図1において左側からグリップ本体1の上記側壁3aを見た状態)において略半円形状とされていて、その半円形状の中心位置が上記軸受穴4の中心線(軸線X)に一致するように形成されている。
【0015】
そして、上記一方の脚部1aの収容部2には、上記取付座6の一部が配置収容されている。この取付座6は、例えばPOM(ポリアセタール樹脂)等からなる樹脂材料によって射出形成され、車室側から車体パネルP側へ貫通する筒状の固定部8を有している。また、詳細は後述するが、上記取付座6の車室側には固定部8の一側壁(図4における下側壁)と一体に支持部11が形成されている。
【0016】
上記固定部8は、図5に示すように平面視で取付座6の支持部11に近い側の幅が広く、その反対側へ向かって徐々に狭くなるような略U字状とされており、この固定部8の内方には、その内周面における車室側に一体に形成されてそこから車体パネルPの取付孔55に挿入されるように互いに離間して延びる一対の係止片53,54が設けられている。この一対の係止片53,54は、基端が固定部8の車室側端面よりも僅かに車体パネルP側に位置しているとともに、全体がグリップ本体1の長手方向に沿ってかつ車体パネルPに対して略垂直に延びている。尚、この一対の係止片53,54のうち、支持部11側に位置する係止片53を第1係止片とし、他方、即ち上記固定部8の形状の幅が狭い側に位置する係止片54を第2係止片としており、その固定部8の形状に対応して第2係止片54の方が幅方向(グリップ本体1の長手方向)の寸法が短く形成されている。
【0017】
上記第1及び第2係止片53,54はともに略矩形の板状とされていて、それぞれの先端側には上記車体パネルPの取付孔55の周縁部に係止する係止爪部56,57が形成されている。第1係止片53側の係止爪部56は、該第1係止片53の先端からその基端側(車室側)へ向かって係止片53の側面から遠ざかるように傾斜する先端側傾斜面と、この先端側傾斜面に連なって係止片53の基端側へ向かって該係止片53の側面に近接するように傾斜する基端側傾斜面とを有する。尚、第2係止片54の係止爪部57も同様に、先端側傾斜面と基端側傾斜面とを有する。
【0018】
第1係止片53の第2係止片54と対向する側面53aには、図19(a)に示すように、上記係止爪部56に対応する位置に断面三角形状に突出した一対の固定位置係合部58,58が係止片53の幅方向(グリップ本体1の長手方向)に離間して形成されており、詳細は後述するが、この固定位置係合部58,58によって、完全に挿入された状態のロックピン60、即ち、取付座7を車体パネルPに固定する位置(本固定位置)まで挿入されたロックピン60が保持されるようになっている。また、上記側面53aにおける第1係止片53の基端側には、上記固定位置係合部58,58と同様な断面形状を有する仮保持位置係合部61が第1係止片53の幅方向中央部分にその幅方向に長く形成されており、この仮保持位置係合部61によって、上記ロックピン60が完全に挿入される手前の仮保持位置で保持される。
【0019】
また、第2係止片54の第1係止片53と対向する側面54aには、図19(b)に示すように、上記第1係止片53の固定位置係合部58,58に対応して同形状の固定位置係合部62,62が形成されており、上記固定位置係合部58,58と同様に、固定位置係合部62,62によっても本固定位置まで挿入されたロックピン60が保持される。一方、この側面54aの基端側には、上記第1係止片53の仮保持位置係合部61と対向して矩形断面の一対の突出部63,63が第2係止片54の幅方向(グリップ本体1の長手方向)に離間して形成されている。
【0020】
一方、上記固定部8の車体パネルP側には、該車体パネルPに沿うように延びるフランジ50が一体に形成されていて、該フランジ50の車体パネルP側の面にはそれぞれ係止片53,54の幅方向に延びる一対のパネル押さえ部51,51が突設されている。このパネル押さえ部51,51は、それぞれ係止爪部53,54に近接していて、取付座6,7の取付時に車体パネルPにおける取付孔55周縁部に車室側から当接して車体パネルPを補強するようになっている。
【0021】
また、取付座6,7は樹脂射出成形品であるから、上記のように係止片53,54とパネル押さえ部51,51との隙間が小さいと、この部分に対応する成形型の突出部の形状設定は強度上自由に行えず、この部分に成形型の薄肉部を形成するようにすることは極めて困難である。これに対して、この実施形態では、厚肉部75をロックピン60の厚みに対応して係止片53と離れている係止片54の側面54aに設けているので、成形型の形状設定の自由度が高い部分によって容易に成形できる。
【0022】
上記ロックピン60は、図14〜図17に示すように、固定部8の車室側開口8bを塞ぐキャップ部64と該キャップ部64の裏面側から突出して第1及び第2係止片53,54の間に挿入されるように延びる矩形板状のピン部65とからなる。上記キャップ部64は、固定部8の車室側端面の外形状に対応する形状に形成されていて、該キャップ部64の車体パネルP側の面の外周寄りの部位には、その外周側よりも内方の部分全体が僅かに膨出した段部64aが形成されている。すなわち、ロックピン60を本固定位置まで挿入したときに、キャップ部64の外周側の部分が固定部8の車室側端面の外周側に当接する一方、キャップ部64の内方の部分が上記係止片53,54の基端面に当接する。つまり、キャップ部64が固定部8の車室側端部に嵌合するようになっている。
【0023】
一方、ロックピン60のピン部65は、係止片53,54と略平行に該係止片53,54の先端側へ向かって延びるように形成されている。図15に示すように、上記ピン部65の幅方向(グリップ本体1の長手方向)の両端部には、それぞれ第1係止片53側の側面65aから突出する矩形断面のリブ66,66が設けられている。該リブ66,66の突出方向の先端面は、ピン部側面65aと略平行な平坦面とされていて、ロックピン60の挿入時には、この先端面が第1係止片53の側面53aに摺接するようになっている。このリブ66,66はピン部65の基端側において上記蓋部64に連繋する一方、ピン部65の先端側においてピン部側面65aから膨出した連繋部67によって互いに連繋されている。該連繋部67のピン部65先端部分には断面V字状の溝部67aがピン部65の幅方向両端に亘って形成されている。
【0024】
また、図16に示すように、ピン部65の第2係止片54側の側面65bにも、上記第1係止片53側の側面65aのリブ66,66と同様なリブ68,68が設けられていて、ロックピン60の挿入時には、このリブ68,68の突出方向の先端面が第2係止片54の側面54aに摺接するようになっている。このリブ68,68のピン部65先端側には上記溝部67aと同様な断面を有する切欠部70が形成されており、さらにこのリブ68,68の先端部にはその先端側ほどピン部側面65bに近接する傾斜面が形成されている。そして、ピン部65における第1係止片53側のリブ66の突出方向先端から第2係止片54側のリブ68の突出方向先端までの寸法は、上記2つの係止片53,54の離間距離と略同じとされている。
【0025】
また、図17にも示すように、ピン部65の側面65bにおける基端と先端との略中央部には段差部69が形成されていて、これによって、ピン部65の第2係止片54側の側面65bは、その基端からピン部65の長手方向の略中央部までの部分がそこから先端までの部分よりもピン部65の他方の側面65a側に位置するような段差面65cとされている。
【0026】
また、ピン部65の幅方向(グリップ本体1の長手方向)の両側面65d,65dには、図20に示すように、それぞれピン部65の基端側から先端側に亘って突条部71,71が形成されており、ロックピン60の挿入の際、この突条部71,71が上記固定部8の第1及び第2係止片53,54の間に設けられたガイド部72,72(図11、図12及び図19参照)に摺接して案内されるようになっている。
【0027】
上記ロックピン60の各突条部71は、その表面が円弧面とされているとともに、ピン部65の先端側ほど突出高さ及び幅の各寸法が小さくなっており、このうちの基端側の突出高さの寸法は、ロックピン60を本固定位置に挿入したときに、上記ガイド部72に当接してロックピン60のキャップ部64と固定部8の車室側端面とが一致するように設定されている。
【0028】
一方、各ガイド部72は、固定部8の車室側端面近傍から車体パネルP側へ固定部8の略中央部まで直線的に延びるリブ72aと、このリブ72aの車体パネルP側端部に連なって第1係止片53と第2係止片54とを繋ぐように延びるリブ72bとからなる。各リブ72aの突出方向の先端面における車室側端部は車室側ほど固定部8の内周面に近接するように傾斜する傾斜面とされる一方、この傾斜面よりも車体パネルP側は固定部8の内周面と略平行な面とされている。
【0029】
図5及び図6に示すように、上記取付座6の支持部11は全体として左右方向(グリップ本体1の長手方向)に長い有底円筒形状をなし、その左右方向の両側面のうち、グリップ本体1の軸受部3に対向する一方の側面には該側面から突出する支軸12が一体に形成されていて、この支軸12の先端部が上記軸受部3の軸受穴4に回動可能に嵌挿されている。このことで、グリップ本体1は脚部1aの軸受部3にて取付座6の支軸12に回動可能に支持されている。
【0030】
一方、上記取付座6の支持部11の他方の側面には、上記支軸12側に向かって内径が次第に小さくなるテーパ穴からなる有底の凹部13が上記支軸12と同心状に形成されるとともに、この凹部13の底部13bからその開口側に向かって、上記支軸12と同心状に延びる先細りテーパ形状の嵌入軸14が設けられている。換言すれば、上記凹部13は上記収容部2の上記外側側壁3a側に開放されている。また、脚部1aのスペーサ装着孔5には略有底筒形状のスペーサ18が回動不能に取付固定されていて、このスペーサ18の先端部が上記支持部11の凹部13内に回動可能に挿入されている。すなわち、スペーサ18の先端部は、先細りテーパ形状の挿入部19と、この挿入部19の基端側に段差状に連続する相対的に大径の大径部20とからなり、挿入部19は支持部11の凹部13内に挿入されて、その挿入状態で挿入部19外周面と凹部13内周面との間に略一定の隙間が形成されるようになっている。
【0031】
また、上記大径部20は支持部11の凹部13の開口部13aに嵌合されており、この大径部20により凹部13の開口部13aを相対回転可能とするとともに、上記スペーサ18の大径部20と凹部13の開口部13aとの間にはOリング21が介在され、後述する上記挿入部19外周面と凹部13内周面との間の隙間、及び嵌入部29内周面と支持部11の嵌入軸14外周面との間の隙間に充填された粘性剤Lの流出を防止している。
【0032】
上記スペーサ18の基端部22は、その外径形状が上述の上記グリップ本体1の脚部1aにおけるスペーサ装着孔5と略同じ形状とされ、この基端部22がスペーサ装着孔5に内嵌合されて、脚部1aの上記外側側壁3aに対するスペーサ18の軸線回りの回動を阻止するように、すなわちグリップ本体1と一体となって回動するようになっている。
【0033】
また、スペーサ18の基端部22と挿入部19との間を繋ぐスペーサ18の中間部分は、各々軸線X方向に延びる4つの中間連繋部23,24,25,26(23,24は図5に、また23,25,26は図6にそれぞれ示す)からなり、該各中間連繋部23,24,…の外周部には、スペーサ18の直径方向に対向した位置に互いに対をなす抜止め用爪27が突設されている。そして、スペーサ18をスペーサ装着孔5に挿通したときに、上記抜止め用爪27,27,…が脚部1aの収容部2の上記外側側壁3a側面に係止されて、スペーサ18のスペーサ装着孔5からの抜けを防止するようになっている。
【0034】
さらに、上記スペーサ18の挿入部19の内部には、その先端面から基端側に向かって基端側が小径のテーパ状の有底穴からなる嵌入部29が形成されている。この嵌入部29の内部には、スペーサ18が回転可能となるように上記支持部11の嵌入軸14が嵌入されるようになっており、この嵌入状態で、嵌入軸14の外周面と嵌入部29の内周面との間に隙間が形成されるとともに、該嵌入軸14の先端面と嵌入部29の底面29aとの間にも隙間が形成される。そして、それらの隙間同士が互いに連通するとともに、スペーサ18の挿入部19の先端面と凹部13の底面13bとの間の隙間を介して該挿入部19の外周面と凹部13の内周面との間の隙間にも連通していて、このように連続する4つの隙間に例えばシリコン等の高粘度(100000cps以上が望ましい)の粘性剤Lが充填されている。これにより、グリップ本体1の回動に粘性抵抗を付与する粘性ダンパ16が構成される。
【0035】
ここで、上記図5、6に示すようにスペーサ18先端側の挿入部19が支持部11の凹部13内に挿入されて、その挿入部19内の嵌入部29に上記支持部11の嵌入軸14が嵌入された状態で、スペーサ18の挿入部19の先端面と支持部11の凹部13の底面13bとの間の隙間αは、該スペーサ18の挿入部19における嵌入部29の底面29aと嵌入軸14の先端面との間の隙間βよりも大きくなっている。言い換えると、上記スペーサ18の長さ、嵌入部29の深さ、支持部11の凹部13の深さ、嵌入軸14の長さ等の寸法、及びそれら各部の相互の位置関係は、上記隙間αが隙間βよりも大きくなるように設定されており、詳しくは後述するが、このことで、取付座6へのスペーサ18の取り付けの際、それらの隙間に空気が残存するのを阻止することができる。
【0036】
一方、他方の取付座7は、図2、3、7に示すように、グリップ本体1の脚部1bに対する支持構造のみが上記取付座6とは異なっていて、この支持部7は別体の支持軸31により軸支されている。以下の説明では、上記取付座7において取付座6と同様の構成の部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。そして、上記脚部1bでは、図7に示すように収容部2の左右両側壁(グリップ本体1の長手方向に対向する2つの側壁)がいずれも軸受部3,3とされていて、図で左側の軸受部3の内面には有底状の軸受穴4aが、また右側の軸受部3には貫通状の軸受孔30がそれぞれ同心状に形成されている。
【0037】
上記取付座7には、取付座6の支持部11と同様にして固定部8と一体に支持部32が形成されている。この支持部32は、全体として左右方向(グリップ本体1の長手方向)に長い略円筒形状のもので、その左右両側の壁部にはそれぞれ軸挿通孔33,34(図7にのみ示す)が同心状に貫通形成されている。そして、それら両軸挿通孔33,34に支持軸31が貫通支持され、この支持軸31の両端部がそれぞれ支持部32の左右両側から外方に突出して、上記収容部2を形成する軸受部3,3の軸受穴4a及び軸受孔30に嵌挿されている。この構成により、取付座7の支持部32に対してグリップ本体1が支持軸31によりその中心線(軸線X)の周りに回動可能に支持されている。
【0038】
また、上記支持軸31の長さ方向中間部の周りには捩りコイルばね17が配置されている。すなわち、上記取付座7の支持部32の内部にはグリップ本体1の長手方向に長い断面略円形のコイルばね収納空間32aが形成されていて、この収納空間32aに捩りコイルばね17が収納されている。換言すれば、上記取付座7の支持部32は、捩りコイルばね17を収納するコイルばね体収納部である。また、上記支持部32内の収納空間32aの長さ方向の寸法は捩りコイルばね17の長さよりも大きく、一方、収納空間32aの径方向の寸法は捩りコイルばね17の直径よりも若干、大きく形成されており、このことで、捩りコイルばね17は、その中心線が軸線Xと略一致する状態で収納空間32a内をその長さ方向に移動可能となっている。
【0039】
より詳しくは、上記支持部32の周壁には、取付座7の車体パネルPへの固定状態で下向きとなる所定の範囲に亘ってコイルばね挿入口35が開設されるとともに、該コイルばね挿入口35とは反対側の周壁を貫通して周方向に延びる第1スリット36と、この第1スリット36に連続して支持部32の長さ方向(グリップ本体1の長手方向)に延びる第2スリット37とが形成されている。すなわち、図8に示すように捩りコイルばね17の挿入方向から見ると、コイルばね挿入口35は略矩形状とされ、その長さ方向及び幅方向についてコイルばね収納空間32aと略同じ大きさとされている。
【0040】
また、上記第1スリット36は、取付座7において固定部8との境界壁となる支持部32の周壁を該支持部32内の収納空間32a(コイルばね収納部の内側)から固定部8の内部(コイルばね収納部の外側)まで貫通するとともに、支持部32の一方の側壁(図8の左側壁)の内面(収容空間32aに臨む面)に沿って周方向(図8の上下方向)に延びている。また、第2スリット37は、上記第1スリット36の端部(図8の上端部)から支持部32の長さ方向の中間部まで延びていて、該第1スリット36と同様に支持部32の周壁を貫通するとともに、収納空間32aから固定部8側に向かって開口幅(図8の上下方向の幅)が徐々に狭まるテーパ状とされている。そして、上記第1及び第2スリット36,37は、コイルばねの挿入方向から見ると、互いに連続して略L字状をなしている。
【0041】
上記捩りコイルばね17は、その長さ方向一端部(図7の左側の端部)の外周から線材が外方に延長されてなる延長部17aを有し、この延長部17aの先端側が折り曲げられて折曲部17bが形成されている。この折曲部17bの長さは第1スリット36の長さ(図8の上下方向の長さ)よりも短くされていて、捩りコイルばね17を支持部32の長さ方向一側(図7、8の左側)に寄せた状態でコイルばね挿入口35に挿入したときに、折曲部17bが容易に第1スリット36を通過するようになっている。また、上記捩りコイルばね17は、その長さ方向の他端部(図7の右側の端部)を支持部32の右側壁内面に接近した状態(収納位置)で収納空間32aに収納されており、この状態では該捩りコイルばね17の延長部17aは第2スリット37を貫通し、その先端側の折曲部17bが固定部8の上記空間部8a内において第2スリット37の周縁部に係止されている。
【0042】
また、上記捩りコイルばね17の他端部の外周からも線材が外方に延長されて延長部17cとされており、この延長部17cは、グリップ本体1の収容部2の内底壁(図2で下側の壁)に形成した溝部38に係止されている。そして、捩りコイルばね17の捩り力によって、グリップ本体1は常時は格納位置に位置付けられるように使用位置から格納位置に向かう方向(図2〜4で反時計回り方向)に回動付勢されている。
【0043】
尚、上記図2〜4にそれぞれ示すように、上記グリップ本体1の各脚部1a,1bの先端側における収容部2の開口端部には、それぞれ当たり部39が形成されており、一方、各取付座6,7の固定部8にはそれぞれ上記当たり部39に当接可能なストッパ部40が形成されている。そして、グリップ本体1が格納位置から使用位置に回動したときにその両方の脚部1a,1bの当たり部39がそれぞれ取付座6のストッパ部40に当接することで、グリップ本体1は、それ以上の回動が規制されて使用位置に停止される。
【0044】
次に、上述の如き構成のアシストグリップGの組み立て手順について説明する。まず、取付座6については、その支軸12をグリップ本体1の脚部1aにおける軸受部3の軸受穴4に嵌挿して、支持部11を収容部2内に収容し、次いで、グリップ本体1の脚部1aにおけるスペーサ装着孔5にスペーサ18をその先端側から挿通して、挿入部19を支持部11の凹部13に挿入し、かつ嵌入部29に支持部11の嵌入軸14を嵌入させる。これによりスペーサ18の抜止め用爪27が脚部1aの収容部2の側面(外側側壁3aの側面)に係止して、スペーサ18の基端側を脚部1aに固定する。そして、上記スペーサ18の上記組み付けの前に予め上記スペーサ18の嵌入部29内に必要量の粘性剤Lを充填しておけば、上記スペーサ18の組み付けと同時に、嵌入部29に侵入する嵌入軸14によって粘性剤Lが押し出されて、凹部13内の隙間に拡がって充填される。
【0045】
より詳しくは、図9に示すように、予めスペーサ18の嵌入部29内に必要な分量の粘性剤Lを入れておき、このスペーサ18の挿入部19をグリップ本体1の脚部1aのスペーサ装着孔5を通過させて、取付座6の支持部11に開口する凹部13に軸線Xに沿うようにして挿入する。このとき、該凹部13内をその底面13bから開口部13a側に向かって延びる嵌入軸14がスペーサ18の嵌入部29に挿入される。
【0046】
そして、図10に示すように、スペーサ18をその基端側までスペーサ装着孔5に嵌挿したとき、該スペーサ18の挿入部19は取付座6の凹部13の奥側まで挿入され、これに伴い、該凹部13の嵌入軸14がスペーサ18の嵌入部29の奥側に挿入されて、その嵌入部29内の粘性剤Lを押し出すようになる。このようにして粘性剤Lが嵌入部29の内周面と嵌入軸14の外周面との間の隙間から押し出されて、スペーサ18の挿入部19の先端面と凹部13の底面13bとの間の隙間に至り、さらにそこから該スペーサ18の挿入部19外周面と凹部13内周面との間の隙間に押し出されて、この隙間を凹部13の開口部13aに向かって移動する。
【0047】
そうして、上記スペーサ18の挿入部19を支持部11の凹部13の最深部まで挿入したときには、該スペーサ18の先端面と凹部13の底面13bとの間の間隔αが該スペーサ18の嵌入部29の底面29aと嵌入軸14の先端面との間の間隔βよりも大きいことから、その嵌入軸14の先端面が嵌入部29の底面29aに当接もしくは当接直前で該嵌入部29内の粘性剤Lを十分に押し出し、この押し出された粘性剤Lが凹部13内の空気を殆ど全て排出するようになる。
【0048】
かくして、上記スペーサ18の挿入部19外周面と支持部11の凹部13内周面との間の隙間から該スペーサ18の先端面と凹部13の底面13bとの間の隙間を介して、該スペーサ18の嵌入部29内周面と嵌入軸14外周面との間の隙間に連続し、さらにその嵌入部29の底面29aと嵌入軸14の先端面との間の隙間まで連続する隙間全体に亘って粘性剤Lが充填されるとともに、この隙間、即ち凹部13内から空気が殆ど全て排出される。
【0049】
一方、取付座7については、最初に該取付座7の支持部32内に捩りコイルばね17を収納し、それから取付座7をグリップ本体1の脚部1bに組み付ける。すなわち、まず、図11(a)に示すように、捩りコイルばね17をコイルばね挿入口35に対して図の左側に寄せた状態で、即ち、捩りコイルばね17の一端部を支持部32の左側壁の内面に摺接させるようにして挿入する。こうすると、図12(a)に示すように、捩りコイルばね17の延長部17aがコイルばね挿入口35から収納空間32aに入り、さらに第1スリット36に挿通されて、同図に仮想線で示すように、捩りコイルばね17の延長部17aの先端側が支持部32の外側の空間部8aに突出して折曲部17bが固定部8の空間部8a内に位置するようになる。
【0050】
続いて、図11(b)に実線で示すように、捩りコイルばね17をその長さ方向に収納位置までずらして、該捩りコイルばね17の他端部が支持部32の右側壁内面に当接するようにする。こうすると、延長部17aが第2スリット37内を移動して、その先端の折曲部17bが空間部8a内に臨む第2スリット37の周縁部に係止されるようになり、これにより、捩りコイルばね17はその中心線を軸線Xに略一致させた状態で収納空間32aに保持されることになる。つまり、捩りコイルばね17をコイルばね挿入口35から収納空間32aに挿入して、その長さ方向にずらすだけで、容易に収納空間32a内に収納して保持することができる。尚、図11(b)では、捩りコイルばね17を収容した取付座7を明らかにするために、支持部32の一部を切り欠いて示している。
【0051】
このようにして捩りコイルばね17を収納した取付座7をグリップ本体1の脚部1bに取り付けるときには、取付座7の天地を図12に示す状態から逆転させて、図13に示すように、該取付座7の支持部32をグリップ本体1の脚部1bの収容部2に上方から差し入れ、これとともに、捩りコイルばね17の延長部17cをグリップ本体1の脚部1bの溝部38に挿入して係止させる。このとき、上記取付座7の支持部32の左右両側壁の軸挿通孔33,34とグリップ本体1の脚部1bにおける収容部2の左右両軸受部3,3の軸受穴4a及び軸受孔30とが互いに略同心状に位置付けられるとともに、それらと略同心状に捩りコイルばね17も位置付けられることになるので、この状態で支持軸31の先端側を上記脚部1bの貫通状軸受孔30から軸受穴4aに向かって挿入し、この支持軸31により取付座7の軸挿通孔33,34と捩りコイルばね17とを貫通させて、該支持軸31の先端部を他方の軸受部3の有底状軸受穴4aに嵌入させて固定する。尚、支持軸31の基端側を軸受孔30内でスナップリング等により抜け止めして、固定するようにしてもよい。
【0052】
上述のようにしてグリップ本体1の脚部1a,1bにそれぞれ取付座6,7を組み付けた後は、この取付座6,7の各固定部8を車体パネルPへ固定する。すなわち、まず、図14に示すように、アシストグリップGの取付座6,7の各固定部8にロックピン60を仮保持位置で保持させる。このとき、ロックピン60を取付座6,7の第1及び第2係止片53,54の間にこれら係止片53,54の基端側から差し込むと、リブ72a,72aの傾斜面がピン部65の先端を該両リブ72a,72aの間に導くようになる。そして、ピン部65の連繋部67の先端傾斜面が第1係止片53の仮保持位置係合部61を乗り越えて、該仮保持位置係合部61が連繋部67の溝部67a内に位置するようになって両者が係合する一方、ピン部65の第2係止片54側の側面65bに該第2係止片54の突出部63,63の先端面が当接して、ピン部65を第2係止片54側へ押しつけるようになる。尚、この状態では、ロックピン60の先端側が挿入されただけなので、両係止片53,54の先端側同士の離間距離は上記所定距離のままである。
【0053】
次いで、上記のようにしてロックピン60を仮保持位置で保持したアシストグリップGを、車体組立ラインに搬入して取付座6,7のフランジ50を車室内のトリム材52に接合させるようにして組み付ける。詳しくは、係止片53,54をそれぞれ車体パネルPの取付孔55の車室側に位置付けて取付座6,7を挿入方向へ押しつけると、取付孔55周縁部に当接した係止爪部56,57同士が接近するように両係止片53,54が撓んで、係止爪部56,57が取付孔55を通過する。
【0054】
この際、従来、第1係止片53及び第2係止片54の全体が同じ厚さとされていると、第1係止片53よりも幅の狭い第2係止片54の方が撓みが大きくなって、この第2係止片54の係止爪部57の方が先に取付孔55を通過してしまうことになり、このことで取付座6,7の装着が難しくなる場合があった。すなわち、係止爪部57が先に取付孔55を通過すると取付座6,7の全体が傾いた状態となって第1係止片53の取付孔55への挿入が困難となるので、両係止爪部53,54の挿入前に予め取付座55の第1係止片53側を強く押さえつけながら両者53,54を同時に挿入するようにしなければならず、組付作業が極めて煩雑であった。
【0055】
このことに対して、この実施形態では本発明の特徴として、第1係止片53と第2係止片54とが取付孔55周縁部から同じような力を受けたときに略同じ撓み量となるように、第2係止片54の基端側を第1係止片53の基端側よりも厚肉に形成するとともに、第1係止片53の係止爪部56の肉厚を第2係止片54の係止爪部57の肉厚よりも薄肉に形成した。
【0056】
すなわち、図19(b)に示すように、第2係止片54の側面54aには、ピン部65のリブ68,68が摺接する幅方向両端側を残して、それらの間の部分にピン部65の基端側ほど僅かに厚肉となるように膨出した厚肉部75が形成されていて、この厚肉部75の第1係止片53側の面は、略平坦とされている。一方、第1係止片53の側面53aには、同図(a)に示すように、第2係止片54と同様に、幅方向の中央部分に係止片53の先端側ほど薄肉となるように窪んだ薄肉部76が形成されている。言い換えると、組付時に取付座6,7を車体パネルP側へ押しつけると、第1係止片53及び第2係止片54は、それぞれに薄肉部76及び厚肉部75が形成されているので、幅方向の長さが相異していても全体が互いに略同じ撓み量となって係止爪部56,57が略同時に取付孔55を通過する。
【0057】
その後、係止片53,54はその弾性力により上記所定距離離れた状態に戻って取付座6,7の取付孔55からの抜けが阻止される一方、取付座6,7のそれぞれのパネル押さえ部51,51が車体パネルPに当接して、アシストグリップGは所定位置で保持される。
【0058】
このようにしてアシストグリップG(取付座6,7)の保持を行った後、ロックピン60のキャップ部64を押圧すると、図18に示すように、ピン部65の連繋部67の溝部67aが仮保持位置係合部61から外れてロックピン60全体が挿入方向へ移動し、この直後、第2係止片54の突出部63,63は、ピン部65の段差面65cに対応するようになる。すなわち、ロックピン60が仮保持位置よりも深く挿入されると、ピン部65の側面65bが突出部63,63に当接しない状態となり、このことで、ロックピン60を深く挿入する際に、該ロックピン60に対して突出部63,63との間の摺動抵抗が作用することはなく、もって、挿入時の力を小さくできる。
【0059】
また、上記したロックピン60を仮保持位置から深く挿入する際には、該ロックピンは突条部71,71がそれぞれ固定部8のリブ72a,72aに摺接して所定位置に導かれる。すなわち、ロックピン60の挿入深さが比較的、浅いときにその挿入方向から見てロックピン60が一方のガイド部72側へずれている場合では、ロックピン60の一方の突条部71の突出高さの低い部分(ピン部65の先端側)が一方のガイド部72のリブ72aに摺接し始め、そこから一方の突条部71における突出高さが高い側へ向かう緩やかな傾斜面がそのリブ72aに摺接するようになる。このことで、ロックピン60をキャップ部64と固定部8の車室側端部とが一致するようにスムーズに案内することができる。
【0060】
そして、そのように深くロックピン60を挿入していくと、ピン部65のリブ66,66,68,68の先端傾斜面が、それぞれ両係止片53,54の固定位置係合部58,58,62,62に接触して両係止片53,54の先端側の間隔を拡げるように該両係止片53,54を弾性変形させ、図2〜図4に示すように、ロックピン60がそれぞれ取付座6,7の本固定位置まで完全に挿入されて、固定位置係合部58とピン部65の溝部67aとが係合する一方、固定位置係合部62とピン部65の切欠部70とが係合して、両係止片53,54がロックピン60を本固定位置で保持するようになる。このとき、図21に示すように、ロックピン60の突条部71,71がそれぞれリブ72a,72aに当接するようになって、キャップ部64と固定部8の車室側端部とが嵌合する。そして、両係止片53,54の係止爪部56,57の基端側傾斜面が取付孔55周縁部に車体パネルPの裏側から接触して、取付座6,7は車体パネルPに固定される。
【0061】
このとき、取付座6,7のパネル押さえ部51,51を係止爪部56,57に近接させて、車体パネルPの取付孔55周縁部における係止爪部56,57の接触する部位近傍を補強しているので、アシストグリップGをより強固に車体に固定することができる。
【0062】
したがって、上述の如く構成されたアシストグリップGを車体に組み付ける場合には、まず、取付座6,7にロックピン60を仮保持位置で保持させた後、アシストグリップGを車体組立ラインに搬入する。その際、ロックピン60は第2係止片54の突出部63,63によって第1係止片53側へ押しつけられているので、第1係止片53から外れることはない。
【0063】
そして、アシストグリップGの車体パネルPへの組み付けの際には、一対の係止片53,54の幅方向の長さを、取付座6,7の形状に対応するように相異させ、そのうちの短尺係止片54の基端側を長尺係止片53の基端側よりも厚肉に形成したので、両係止片53,54の挿入時に係止部56,57が取付孔55を略同様に通過するようになり、アシストグリップGの組付作業性を良好にすることができる。
【0064】
また、この実施形態によると、アシストグリップGを車体に保持させた後に、仮保持位置にあるロックピン60を押し込むだけで取付座6,7を車体パネルPに固定できるので、ボルト等を用いる場合と比べて容易にかつ迅速に組付作業を行うことができる。
【0065】
尚、この発明に係るアシストグリップの取付構造は上記各実施形態のように車両用のものに限定されるものではない。また、この発明はグリップ本体1が上記使用位置にある状態で取付座6,7と一体成形された固定式のアシストグリップにも適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本願の請求項1の発明に係るアシストグリップの取付構造によると、グリップ本体の取付座に固定体の取付孔へ挿入されるように延びる一対の係止片を設け、該係止片の間にロックピンを挿入して係止片先端側の係止部を取付孔周縁部に係止させるものにおいて、一対の係止片が取付座の形状に対応して互いに長さの相異する短尺係止片及び長尺係止片であっても、短尺係止片の基端側を長尺係止片の基端側よりも厚肉に形成することで、両係止片の挿入時に先端側の係止部が取付孔を略同様に通過するようになり、もって、取付座のデザインによらずアシストグリップの組付作業性を良好にすることができる。
【0067】
請求項2の発明によると、短尺係止片の基端側に、長尺係止片と対向する面から膨出する厚肉部を形成したので、該厚肉部を成形型の形状設定の自由度が高い部分によって容易に成形することができる。
【0068】
請求項3の発明によると、長尺係止片の爪部の肉厚を短尺係止片よりも薄肉に形成したので、挿入時に両係止片は先端側から基端側に亘って略同じ撓み量となり、アシストグリップの組付作業をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る格納式アシストグリップの使用位置における斜視図である。
【図2】グリップ本体が格納位置にあるときの図1のII−II線断面図である。
【図3】グリップ本体が使用位置にあるときの図1のIII-III線断面図である。
【図4】粘性ダンパの構成を示す図1のIV−IV線断面図である。
【図5】粘性ダンパの構成を示す図1のV−V線断面図である。
【図6】粘性ダンパの構成を示す図5のVI−VI線断面図である。
【図7】捩りコイルばねの配置構成を示す図1のVII−VII線断面図である。
【図8】捩りコイルばねの挿入方向から見た取付座の斜視図である。
【図9】スペーサを取付座へ組み付ける作業の説明図である。
【図10】スペーサの取付座への組み付けを終える直前の図6相当図である。
【図11】捩りコイルばねを取付座の支持部へ収納する作業の説明図である。
【図12】捩りコイルばねを取付座の支持部へ収納する作業を図7のXIIa−XIIa線断面とXIIb−XIIb線断面とでそれぞれ示す説明図である。
【図13】捩りコイルばねを収納した取付座をグリップ本体の脚部に組み付ける作業の説明図である。
【図14】ロックピンが仮保持位置にあるときの図11のIX−IX線断面図である。
【図15】ロックピンを取付座への挿入時に第1係止片側に位置する側から見た斜視図である。
【図16】ロックピンを取付座への挿入時に第2係止片側に位置する側から見た斜視図である。
【図17】図15のY−Y線断面図である。
【図18】ロックピンが仮保持位置よりも深く挿入された状態を示す図14相当図である。
【図19】(a)は図7のXIIIa−XIIIa線断面図であり、(b)は同図のXIIIb−XIIIb線断面図である。
【図20】(a)は第2係止片側から見たロックピンの側面図であり、(b)は(a)のXI-XI線断面図である。
【符号の説明】
P 車体パネル(固定体)
G アシストグリップ
1 グリップ本体
6,7 取付座
53 第1係止片(長尺係止片)
54 第2係止片(短尺係止片)
55 取付孔
56,57 係止爪部
60 ロックピン
75 厚肉部
Claims (3)
- アシストグリップのグリップ本体を固定体に取り付ける取付座と、
上記取付座に設けられ、上記固定体の取付孔に向けて開口する筒状の固定部と、
上記固定体の取付孔へ挿入されるように上記固定部の内面から一体にかつ互いに離間して延び先端側が該固定部の開口から突出する一対の可撓性を有する係止片とを備え、
上記一対の係止片の先端側には、互いに離反する方向に突出する爪部が設けられ、
上記両爪部の突出方向先端間の寸法が、上記固定体の取付孔の内寸よりも長く設定され、
上記一対の係止片の爪部を固定体の取付孔へ挿入するとともに、係止片の上記取付座側から該係止片の間にロックピンを挿入して係止片の爪部を上記取付孔の周縁部に係止させるようにしたアシストグリップの取付構造において、
上記一対の係止片は、グリップ本体の長手方向の長さが互いに相異する短尺係止片と長尺係止片とからなり、
上記短尺係止片及び長尺係止片の爪部を固定体の取付孔に同時に挿入する際にこれら係止片が略同じ撓み量となるように、短尺係止片の基端側が長尺係止片の基端側よりも厚肉に形成されていることを特徴とするアシストグリップの取付構造。 - 請求項1において、
上記短尺係止片の基端側には、長尺係止片と対向する面から長尺係止片側へ膨出する厚肉部が形成されていることを特徴とするアシストグリップの取付構造。 - 請求項1または2のいずれかにおいて、
上記長尺係止片の爪部の肉厚が短尺係止片よりも薄肉に形成されていることを特徴とするアシストグリップの取付構造。
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