JP3707775B2 - 光ディスクシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分布ブラッグ反射(DBR)領域を有する半導体レーザなどの光源のための発振波長安定化装置に関し、また、DBR領域を有する半導体レーザと波長変換素子とから構成される短波長光源のための高調波出力安定化装置に関する。さらに、本発明は、それらを使用する光ディスクシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長780nm帯の近赤外半導体レーザや波長670nmの赤色半導体レーザを用いた光ディスクシステムの開発が、活発に行われている。光ディスクの高密度化を実現するためには、小さなスポット形状を再生することが望まれる。そのためには、集光レンズの高NA(開口数)化や光源の短波長化が必要となる。短波長化技術の一つとして、近赤外半導体レーザと擬似位相整合(以下では、「QPM」と記す)方式の分極反転型導波路デバイス(例えば、山本、他:Optics Letters Vo1.16,No.15,1156(1991)を参照)とを用いた第2高調波発生(以下では、「SHG」と記す)技術がある。
【0003】
分極反転型導波路デバイスを用いたブルー光源(SHGブルーレーザ)の概略構成図を、図17に示す。
【0004】
図17において、23は0.85μm帯の100mW級AlGaAs系DBR(分布ブラッグ反射型)半導体レーザ、24はNA=0.5のコリメートレンズ、25はλ/2板(半波長板)、26はNA=0.5のフォーカシングレンズ、及び27は分極反転型導波路デバイスである。DBR半導体レーザ23には、発振波長を固定するためのDBR部が形成され、DBR部の内部には、さらに発振波長を可変するための内部ヒータが形成されている。波長変換素子である分極反転型導波路デバイス27は、LiTaO3基板28に形成された光導波路29と周期的な分極反転領域30とより構成されている。コリメートレンズ24で平行になったレーザ光は、λ/2板25で偏光方向を回転され、フォーカシングレンズ26で分極反転型導波路デバイス27の光導波路29の端面に集光され、分極反転領域30を持つ光導波路29を伝搬する。その結果、光導波路29の出射端面より、変換された高調波及び変換されなかった基本波が出射される。
【0005】
分極反転型導波路デバイス27は、高効率に波長変換が行われる位相整合波長の許容幅が、約0.1nmと小さい。そのため、DBR半導体レーザ23のDBR部への注入電流量を制御し、発振波長を、分極反転型導波路デバイス27の位相整合波長の許容幅内に固定する。典型的には、光導波路29への入射光強度約70mWに対し、波長425nmのブルー光が約3mWの強度で得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
DBR半導体レーザは、利得を与えるための活性領域と発振波長を制御するためのDBR領域とより構成される。DBR領域は、レーザ光の波長である850nmに対して透明になるように、活性領域よりバンドギャップが大きな材料で形成されている。DBR領域には回折格子が形成されていて、発振波長は、DBR領域で反射する光の波長に制御される。
【0007】
また、DBR領域の屈折率を変化させることにより、発振波長を可変することができる。DBR領域の屈折率を変化させる方法として、(1)DBR領域に電流を注入する方法、(2)電子冷却素子(ペルチエ素子)などにより温度を変化させる方法、などがある。
【0008】
しかし、DBR領域に電流を注入して発振波長を可変する場合には、所望の波長値に正しく固定することが困難な場合がある。
【0009】
一方、温度変化を通じて発振波長の制御を行う目的で電子冷却素子などで半導体レーザの温度制御を行うためには、1W程度の吸熱容量を有する電子冷却素子が必要となり、消費電力の点で問題となる。また、使用環境温度が広くなると、信頼性に悪影響を及ぼす。さらに、温度変化により波長可変を行うと、半導体レーザの温度変化により、レーザ光の出力強度も変化する。この出力強度の変動を補償するために活性領域への注入電流を調整すると、結果として位相条件が変化するために、好ましくないモードホップが生じる。
【0010】
モードホップを解決する手段として、位相制御部を有する半導体レーザが提案されている。しかしながら、環境温度が変化しても安定に連続波長可変が行える制御方法の実現は、困難とされている。
【0011】
また、DBR領域を有する半導体レーザと波長変換素子から構成される短波長光源においても、半導体レーザの発振波長を波長変換素子の位相整合波長に一致させることが必要である。短波長光源では、環境温度変化などによる半導体レーザの発振波長と位相整合波長のずれから、得られる短波長光の出力変動が生じる。特に、波長変換素子として周期的分極反転構造を有する擬似位相整合型波長変換デバイスを用いた場合、その位相整合波長に対する波長許容幅が0.1nm程度と小さいため、半導体レーザの発振波長制御が特に重要である。
【0012】
さらに他の課題は、擬似位相整合型デバイスの基板であるLiTaO3やLiNbO3結晶の光損傷特性である。ここでいう光損傷とは、短波長光照射による屈折率変化である。屈折率が変化すると擬似位相整合型デバイスの位相整合波長がシフトするため、安定に高調波出力を得るためには、半導体レーザの波長が位相整合波長に一致するように、常に制御する必要がある。
【0013】
本発明は、DBR領域を有する半導体レーザ及びそれを用いた短波長光源における上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、(1)安定した発振波長の制御を行う半導体レーザのための発振波長安定化装置を提供すること、(2)安定した短波長出力を提供できる光源の高調波出力安定化装置を提供すること、及び、(3)それらを使用した光ディスクシステムを提供すること、である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスクシステムは、発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域を備える半導体レーザと、非線形光学結晶からなり該半導体レーザから出力される光の波長を第2高調波光に変換して出力する波長変換素子と、が一体化されている短波長光源を備え、該短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号の記録動作或いは再生動作の少なくとも一方を行う光ディスクシステムであって、前記半導体レーザが位相制御領域を有し、再生した信号を蓄積するためのメモリと、該メモリに蓄積された信号を利用して信号を外部に送出する所定の期間に、該半導体レーザの発振波長を該波長変換素子からの出力される第2高調波光の出力に基づいて、前記DBR領域への注入電流を制御するとともに、前記位相制御領域への注入電流を制御することにより、該波長変換素子の略位相整合波長に制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記半導体レーザの発振波長を前記波長変換素子の略位相整合波長に制御する際に、前記位相制御領域へ注入する電流をリセットし、その後前記位相制御領域および前記DBR領域へ注入する電流をともに変化させて再制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光ディスクシステムは、発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域を備える半導体レーザと、非線形光学結晶からなり該半導体レーザから出力される光の波長を第2高調波光に変換して出力する波長変換素子と、が一体化されている短波長光源を備え、該短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号の記録動作或いは再生動作の少なくとも一方を行う光ディスクシステムであって、前記半導体レーザが位相制御領域を有し、再生した信号を蓄積するためのメモリと、該再生した信号を該メモリに蓄積するレートが該メモリより信号を取り出すレートより大きくて、該メモリが蓄積された信号により充填されていて、該メモリに蓄積された信号を利用する期間に、該半導体レーザの発振波長を該波長変換素子から出力される第2高調波光の出力に基づいて、前記DBR領域への注入電流を制御するとともに、前記位相制御領域への注入電流を制御することにより、該波長変換素子の略位相整合波長に制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記半導体レーザの発振波長を前記波長変換素子の略位相整合波長に制御する際に、前記位相制御領域へ注入する電流をリセットし、その後前記位相制御領域および前記DBR領域へ注入する電流をともに変化させて再制御することを特徴とする。
【0021】
前記位相制御領域へ注入する電流のリセットする工程において、その設定値が略0mAであることを特徴とする。
【0022】
前記波長変換素子が、周期的分極反転領域を有する擬似位相整合方式の波長変換素子であることを特徴とする。
【0023】
前記波長変換素子が光導波路型であることを特徴とする。
【0024】
前記波長変換素子がバルク型であることを特徴とする。
【0025】
前記非線形光学結晶が、LiTa x Nb 1-x 3 ( 0≦x≦1)結晶であることを特徴とする。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明は、DBR領域を有する半導体レーザ(DBR半導体レーザ)において、その発振波長の所望の波長への安定した固定や、波長可変を行う場合の安定した発振波長の制御を、実現しようとするものである。また、そのような半導体レーザを波長変換素子と組み合わせた短波長光源において、安定な高調波出力を実現することを目的としている。
【0044】
具体的な実施形態の説明に先立って、まず、本発明に至る過程で本願発明者らによって行われた検討結果を説明する。
【0045】
図2に、DBR半導体レーザのDBR領域への注入電流(DBR電流)と発振波長の関係を、図4に、半導体レーザの温度と発振波長の関係を示す。
【0046】
図2に示すように、DBR電流を変化させて発振波長を可変する場合、発振波長は、実際には、モードホップを繰り返しながら、DBR電流の増加に対して長波長側に波長シフトしていく。また、DBR電流を上昇させるときと下降させるときで、同じ電流量に対する発振波長が異なるヒステリシスな特性を示す。そのため、DBR電流を値A〜値Bの範囲で変化させて発振波長を可変する場合に、DBR電流を値Aから徐々に増加(或いは減少)させながら所望の波長に相当する電流値を見いだし、値Bに到達した後に値Aに向けて減少(或いは増加)させて先に見いだした電流値に設定しても、得られる発振波長は所望の値ではなくなってしまう。これは、ヒステリシス特性のために、最初の上昇(或いは減少)過程と引き続く減少(或いは増加)過程との間で、同一のDBR電流に対して得られる発振波長が異なるためである。発明者らは、DBR領域に電流を注入して発振波長を可変する場合に所望の波長値に正しく固定することが困難になるのは、このようなヒステリシス特性の影響であると考えた。
【0047】
一方、半導体レーザ温度を変化させた場合は、図4に示すように連続的な波長可変が可能であり、半導体レーザ温度と発振波長が1対1の関係となる。しかし、図4に示されているように、温度変化の過程でモードホップ現象が生じて、波長変化が不連続になる場合があることが、発明者らの検討により確認された。発明者らは、使用環境温度の変化幅が大きくなると信頼性に悪影響が及ぼされるのは、このような点に起因する可能性があると考えた。
【0048】
本発明は、上記のような検討結果に基づいてなされたものである。
【0049】
以下、本発明の発振波長安定化装置及び高調波出力安定化装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
(DBR半導体レーザの発振波長安定化)
(第1の実施形態)
図1(a)は、本実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、DBR領域へ注入するDBR電流を一方向に電流制御することにより、安定に発振波長を可変する方法について説明する。
【0051】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、発振波長を検出するための波長計5と、それらの各部を制御する3つの回路系7〜9と、各回路系7〜9を制御するシステム制御部6と、から構成される。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2への注入電流を制御するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、レーザ光の波長を検出するための波長検出部9である。第3は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。
【0052】
半導体レーザ1は、MOCVD装置を用いたエピタキシャル成長により作製される。n−GaAs基板上に、n−AlGaAsを成長させた後、AlGaAsの導波領域と活性領域が形成され、クラッド層としてp−AlGaAsが積層される。次に、フォトリソグラフィー技術により、導波路が形成される。レジストがウェハ上にコートされ、干渉露光によりグレーティングパターンが形成された後、導波領域のみにエッチングによりグレーティング(DBR)が形成される。2回目のMOCVD成長では、接触抵抗を低減するため、ウェハ上にp−GaAsが形成される。DBR領域3及び活性領域2の上には、電流注入するための電極4b及び4aが形成される。得られたDBR半導体レーザ1は、典型的には、しきい電流値が約30mAで、約100mW出力時の動作電流は約150mAである。
【0053】
本実施形態の発振波長を所望の波長に調整する方法について、図1(a)及び(b)を参照して詳しく説明する。
【0054】
第1に、活性領域2上の電極4aに電流注入するように、システム制御部6からレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ11の光強度が設定値である100mWになるように、電流注入を行う。第2に、レーザ光の発振波長を波長計5により検出し、波長検出部9より信号を出力する。次に、DBR制御部8に信号を入力し、DBR領域3上の電極4bに電流を注入し、レーザ光の発振波長を調整する。
【0055】
ここで、図2に示すDBR電流と発振波長の関係図に示されるように、DBR電流を変化させて発振波長を可変すると、発振波長はモードホップを繰り返しながら、注入電流の増加に対して長波長側に波長シフトする。このときのDBR電流に対する波長シフトの傾きは、0.21nm/10mAであった。そして、DBR電流を上昇させるときと下降させるときで、電流量に対する発振波長が異なり、ヒステリシスな特性を示す。本発明では、このヒステリシス特性を回避し、発振波長を正確に調整するため、次のような方法で調整を行っている。
【0056】
第1に、DBR電流を0mAから100mAまで増加させ、発振波長をスキャンする。このとき、波長検出部9から出力される信号を検出し、レーザ光の波長が設定波長と一致するDBR電流をシステム制御部6に記憶する。第2に、100mAレベルに到達したDBR電流を、記憶されたDBR電流よりも10mA低い電流値まで下げる(DBR電流リセット)。第3に、検出時と同方向にDBR電流を変化させ(すなわち増加させ)、システム制御部6に記憶されたDBR電流に設定して、半導体レーザ1の発振波長を設定波長に調整する。
【0057】
本実施形態のように、レーザ光の波長を設定波長に調整する際、DBR電流を増加させながら設定波長に対応した電流値を検出し、その後にDBR電流を設定波長に対応した電流よりも低い値に一度設定してから、電流を再び増加させながら所望の注入電流に固定することで、DBR領域を有する半導体レーザのチューニング特性がもつヒステリシス特性を回避することができる。或いは、DBR電流をまず所定の範囲で減少させ、所定の発振波長に相当する電流値を記憶した後に、あるレベルまで一旦増加させ、再び減少させながら記憶された電流値に設定してもよい。
【0058】
DBR電流をモードホップ電流近傍に固定すると、環境温度変化などに対してモードホップを起こしやすい。そのため、本実施形態では、図2においてモードホップを生じるDBR電流I1及びI2の中間のDBR電流I0=(I1+I2)/2に固定することで、より安定な波長制御を実現している。
【0059】
DBR電流により発振波長を可変するときのもう一つの課題は、モードホップ時にノイズが発生することである。このノイズ発生は、DBR電流による波長可変が、DBR領域内部のヒータでの熱的現象であることに起因する。しかし、モードホップ現象は10ns以下の高速現象であるため、光ディスクなどで用いられる数10MHz以下の周波数帯域では無視し得る。そのため、モードホップが生じる近傍のみ電流注入のレートを遅くすることで、数10MHz以下の周波数帯域ではノイズ発生のない波長可変が実現できる。
【0060】
図18は、DBR電流の注入レートの一例である。この場合では、連続波長可変領域では1mA/10μs、モードホップが生じる電流の近傍では1mA/100μsで、DBR電流を変化させる。図18のような電流注入を行うことで、ノイズ発生のない波長可変が実現できる。
【0061】
なお、図18では、モードホップが生じる電流の近傍で1mA/100μsのレートで電流注入を行っているが、1mA/100μsよりも遅いレートで電流注入すれば、同様にノイズのない波長可変が実現できる。
【0062】
(第2の実施形態)
図3(a)は、本実施形態における電子冷却素子を用いたDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、電子冷却素子(ペルチエ素子)11により、半導体レーザ1の発振波長を可変する方法について説明する。
【0063】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、発振波長を検出するための波長計5と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、それらの各部を制御する4つの回路系7〜9及び12と、各回路系7〜9及び12を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、レーザ光の波長を検出するための波長検出部9である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。
【0064】
図3(a)及び(b)を参照して、本実施形態のレーザ光の波長を設定波長に調整する方法について、詳しく説明する。
【0065】
初期設定として、第1の実施形態と同様に、第1に、システム制御部6から活性領域2に電流を注入するようにレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ1の光強度が設定値(100mW)になるように、電流を制御する(ループI)。第2に、温度センサ16で環境温度を検出し、半導体レーザ1の温度が環境温度の近傍に一定になるように、システム制御部6からペルチエ制御部12に信号を入力し、電子冷却素子11への電流を調整する(ループII)。第3に、第1の実施形態と同様の方法により、レーザ光の発振波長が設定波長近傍になるように、波長検出部9からの出力を検出しながらシステム制御部6からDBR制御部8に信号を入力し、DBR領域3への注入電流を制御する(ループIII)。このようにして、初期設定が完了する。
【0066】
DBR電流による波長可変では、その波長可変特性が連続的でなく、約0.1nm間隔のモードホップを有する不連続な特性となる。そのため、半導体レーザ1の発振波長を0.1nm以下の精度で所望の波長に固定することが、実際には困難である。本実施形態では、半導体レーザ1の温度変化による連続波長可変を行う。
【0067】
図4に、DBR半導体レーザ温度と発振波長の関係を示す。DBR半導体レーザの場合、温度変化に対して0.07nm/℃の関係で、温度の上昇とともに発振波長は長波長側にシフトする。また、図2に示したようにモードホップを繰り返しながら波長可変するのではなく、1nm程度の波長範囲を連続的に波長可変することができる。そのため本実施形態では、初期設定後に、電子冷却素子11により半導体レーザ1の温度を変化させて、発振波長を可変する。
【0068】
まず、波長計5により発振波長が検出されて波長検出部9から信号が出力され、設定波長との差分が、信号として得られる。その波長差分を補償するように、ペルチエ制御部12に信号を入力し、電子冷却素子11への電流を調整してレーザ光の発振波長を制御する(ループIV)。
【0069】
これらのループを何回か繰り返して、設定波長にレーザ光の波長を一致させる。
【0070】
このように半導体レーザ1の温度変化による波長可変を行うことにより、0.1nm以下の精度で波長可変することが可能となる。
【0071】
本実施形態のように電子冷却素子11により半導体レーザ1の波長可変を行う場合、電子冷却素子11の吸熱容量が大きな問題となる。電子冷却素子11の吸熱容量は、周辺温度と設定温度の差に大きく依存する。本実施形態では、初期状態において半導体レーザ1の温度を環境温度に設定するので、電子冷却素子11の吸熱容量は極端に低減でき、その実用的効果は大きい。
【0072】
また、波長可変や環境温度変化により半導体レーザ1の温度と環境温度の間に温度差が生じて、その結果として電子冷却素子11の吸熱容量が増大した場合に、上記のような初期設定を繰り返すことで、半導体レーザ1の温度を環境温度に再設定し、電子冷却素子11の吸熱容量を低減することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
図5は、本実施形態における電子冷却素子11を用いたDBR半導体レーザ1の発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、動作温度変化により発生した位相変化をDBR電流により補償する方法について説明する。
【0074】
本実施形態の発振波長安定化装置は、第2の実施形態と同様に、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、発振波長を検出するための波長計5と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、それらの各部を制御する4つの回路系7〜9及び12と、各回路系7〜9及び12を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、レーザ光の波長を検出するための波長検出部9である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。
【0075】
初期設定として、第2の実施形態と同様に、活性領域2はレーザ駆動部7により電流注入され(ループI)、半導体レーザ1の温度はペルチエ制御部12により環境温度に設定され(ループII)、またDBR制御部8により発振波長は設定波長近傍に調整される(ループIII)。第2の実施形態で説明したように、温度変化により発振波長を可変する場合、1nm程度の波長範囲で連続的な波長可変が可能となる。しかしながら、それ以上の波長範囲で波長可変を行うと、図4に示すようにモードホップを生じる。これは、DBR領域3により光フィードバックされるDBR波長と、実効的DBR長により定義される共振器長に対応するファブリペローモードの温度に対するシフト量に、微妙なずれがあるためである。本実施形態では、このずれを補償するため、DBR領域3へ注入するDBR電流を調整する(ループIV)。
【0076】
図6は、動作温度変化とモードホップが生じるDBR電流(以下では、「モードホップDBR電流」とも称する)の関係を示す。動作温度が変化すると、動作電流変化に対して生じるモードホップDBR電流が大きくなる。そのため、動作温度の上昇に対して、DBR電流を増加することで位相変化を補償することが可能である。典型的には、動作温度10℃の上昇に対して、DBR電流を3mA程度増加することにより位相変化を補償でき、1nm以上の連続波長可変が実現される。
【0077】
本実施形態のように、DBR電流を調整することにより、いろいろな要因により生じる位相変化を補償することが可能であり、温度による連続波長可変を広範囲の波長領域で実現でき、その実用的効果は大きい。
【0078】
(第4の実施形態)
図7は、本実施形態における電子冷却素子11を用いたDBR半導体レーザ1の発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、動作電流変化に対して発生した位相変化を、DBR電流の可変により補償する方法について説明する。
【0079】
本実施形態の発振波長安定化装置は、第2の実施形態と同様に、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、発振波長を検出するための波長計5と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、レーザ出力を検出するための出力検出器13と、それらの各部を制御する4つの回路系7〜9及び12と、各回路系7〜9及び12を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、レーザ光の波長を検出するための波長検出部9である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。
【0080】
本実施形態では、半導体レーザ1の動作温度を電子冷却素子11により調整することにより、発振波長を可変する。一般に半導体レーザ1は、動作温度を変化させると得られるレーザ出力が変動する。図8は、動作温度とレーザ出力の関係を示している。レーザ波長を1nm程度可変しようとすると、動作温度を35℃程度変化する必要がある。しかし、動作温度が15℃程度変化すると、レーザ出力は±7.5%変動する。
【0081】
本実施形態では、レーザ出力が一定になるようにレーザ駆動部7を制御し、それにより生じた位相変化をDBR電流の可変により補償する。
【0082】
発振波長の制御方法、レーザ出力の制御方法及びDBR制御部での位相補償について詳しく説明する。
【0083】
初期設定として、第2の実施形態と同様に、活性領域2にレーザ駆動部7により設定電流が注入され(ループI)、半導体レーザ1の温度はペルチエ制御部12により環境温度に設定され(ループII)、またDBR制御部8により発振波長は設定波長近傍に調整される(ループIII)。第2の実施形態と同様に、初期設定後は、電子冷却素子11により半導体レーザ1の温度を変化させて、発振波長を可変する。
【0084】
まず、波長計5により発振波長が検出され、波長検出部9から信号が出力されて、設定波長との差分が信号として得られる。その波長差分を補償するように、ペルチエ制御部12に信号を入力して電子冷却素子11の電流を調整し、レーザ光の発振波長を制御する(ループIV)。
【0085】
これらのループを何回か繰り返し、設定波長にレーザ光を波長を一致させる。
【0086】
次に、温度変化により生じた出力変動を補償するように、レーザ駆動部7を制御する。以下では、設定波長を変化させてペルチエ制御部12により連続的に波長シフトさせる場合について、説明する。
【0087】
半導体レーザ1の波長を1nmシフトさせるためには、半導体レーザ1の温度を15℃程度可変する必要がある。このとき、レーザ出力は、7.5%程度変動する。本実施形態においては、出力検出器13によりレーザ光出力は常に検出されている。そのため、出力検出器13から得られた信号とシステム制御部6から出力される設定出力信号との差分を補償するように、レーザ駆動部7により活性領域2への注入電流量が制御され、レーザ出力が一定に保持される。
【0088】
半導体レーザ1を15℃程度温度変化させる場合には、出力変動が10%程度あるために、活性領域2への動作電流量も10%程度変化させる必要がある。図9は、動作電流と発振波長の関係を示している。動作電流が上昇すると活性領域の温度も上昇し、結果として位相変化が起こり、モードホップを生じる。波長シフトの傾きは、典型的には0.02nm/10mAである。動作電流が150mAの時に、15℃の温度変化に対して出力を一定に保持するためには、20mA程度変化させる必要がある。しかし、このような幅の電流変化では、図9に示すようにモードホップが生じる。
【0089】
本実施形態では、動作電流を調整することにより生した位相変化を、DBR領域3により補償する。20mAの動作電流変化(△I)に対して、活性領域2の位相が変化し、ファプリペローモードが0.04nmシフトする。そのため、DBR制御部8によりDBR電流を2mA(0.02nm/0.21nm×△I)程度だけ変化させることにより、モードホップを回避できる(ループV)。その後に、再びペルチエ制御部12にて、発振波長が設定波長になるように調整する。
【0090】
これらのループを何回か繰り返し、設定波長及び設定出力に調整する。
【0091】
本実施形態では、半導体レーザ1の温度変化により生した出力変動を出力検出器13で検出し、設定出力信号との差分を補償する際に、レーザ駆動部7とDBR制御部8を同時に制御して、モードホップのない制御によりレーザ出力も一定に保持される。そのため、広範囲での連続波長可変を出力一定で実現できるため、その実用的効果は大きい。
【0092】
(第5の実施形態)
図10(a)は、本実施形態における位相領域14を有するDBR半導体レーザ1の発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。
【0093】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2、DBR領域3及び位相領域14を有する半導体レーザ1と、発振波長を検出するための波長計5と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、レーザ出力を検出するための出力検出器13と、それらの各部を制御する4つの回路系7〜9及び15と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、レーザ光の波長を検出するための波長検出部9である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入する電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、位相領域14への注入電流を制御する位相制御部15である。
【0094】
図10(a)及び(b)を参照して、本実施形態による位相領域14を有するDBR半導体レーザ1の発振波長安定化方法について詳しく説明する。
【0095】
初期設定として、第1に、活性領域2に電流注入するようにシステム制御部6からレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ1の光強度が設定値である100mWになるように電流注入を行う(ループI)。第2に、レーザ光の発振波長を波長計5により検出し、波長検出部9より信号を出力する。システム制御部6から設定の波長が出力され、その波長差を補償するようにDBR制御部8に信号を入力し、DBR領域3に電流を注入してレーザ光の発振波長を調整する(ループII)。調整方法は第1の実施形態と同様で、DBR領域3への注入電流を0mA〜100mAの範囲で可変(具体的には、0mAから100mAへ増加)させ、発振波長をスキャンする。このとき、波長検出部から出力される信号を検出し、レーザ光の波長が設定波長と一致する注入電流を記憶する。次に、その注入電流よりも10mA低い電流まで注入電流を下げる。最後に、記憶された電流注入をDBR領域に注入し、レーザ光の発振波長を設定波長に調整する。
【0096】
本実施形態では、初期設定以降において位相領域14を用いて連続的な波長可変が実現される。その方法について説明する。
【0097】
DBR半導体レーザの発振波長を変化させる方法には、一般に、以下の3つの方法がある。
【0098】
(1)DBR領域への注入電流(DBR電流)の変化
(2)DBR半導体レーザの動作温度の変化
(3)活性領域への注入電流(動作電流)の変化
これらの方法では、DBR電流により波長可変させたり(波長制御)、環境温度を変化させたり(温度制御)、レーザ出力制御のために動作電流を変化させたり(出力制御)することで、発振波長を変化させるが、その際に、半導体レーザの共振器モード(ファブリペローモード)の位相状態が変化してモードホップを生じる。本実施形態では、位相領域14を用いて、モードホップのない各制御を可能にする。
【0099】
位相領域14への注入電流と発振波長の関係を、図11に示す。連続波長可変部分の注入電流変化に対する波長シフトの割合は、0.07nm/10mAである。DBR電流変化及び動作電流変化に対する波長シフトの割合は、それぞれ0.21nm/10mA及び0.02nm/10mAである。そのため、波長制御に対しては、DBR電流の変化量の3倍の電流を位相領域14に注入し、また出力制御に対しては、動作電流の変化量の約3分の1の電流を位相領域14に注入すればよいことになる。さらに、温度制御に対しては、約10℃の動作温度上昇に対して、位相領域の注入電流を約5mA低減させればよい。
【0100】
以上のことを考慮して、本実施形態では、環境温度変化、動作電流変化、及びDBR電流変化に対して、レーザ駆動部7及びDBR制御部8を用いて制御を行い、制御により生じた位相変化量の和を位相制御部15で補償することにより、連続的な波長可変が実現される(ループIII)。
【0101】
本実施形態のように、位相領域14をDBR半導体レーザ1に設けることにより、連続的な波長可変が実現できる。また、位相変化の和を位相領域14で補償することで、出力が一定で広範囲の連続波長可変が実現される。
【0102】
また、本実施形態のように位相領域14に電流注入する場合、一定の比で電流注入するとすれば、DBR電流を100mA程度注入して2nm程度の波長可変を行うには、位相領域に300mA程度の電流を注入する必要がある。これは、消費電力の上で、実用上は大きな問題である。位相領域14では、電流注入に対して位相変化が周期的に繰り返される。
【0103】
そこで、光ディスクシステムなどに応用する場合に、システムの動作待機時間などを利用して位相電流をリセットして電流値を低減すれば、大幅な消費電力低減を実現できる。
【0104】
第1〜第5の実施形態では、AlGaAs半導体レーザを例にとって説明したが、DBR領域が集積化されたII−VI族系ZnS半導体レーザや、III−V族系GaN半導体レーザについても、同様の効果が得られる。
【0105】
(短波長光源の出力安定化)
(第6の実施形態)
第1〜第5の実施形態では、DBR半導体レーザの発振波長の設定波長への制御、或いは連続的な波長可変を行う方法について説明した。一方、本実施形態においては、DBR半導体レーザと波長変換素子を用いたSHGブルーレーザの高調波出力を安定化するため、DBR半導体レーザの発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整する方法について説明する。
【0106】
図12(a)は、本実施形態における、DBR半導体レーザ1の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長に調整する高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【0107】
本実施形態の高調波出力安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、周期的な分極反転領域18と光導波路19を有する波長変換素子17と、高調波出力を検出するための出力検出器21と、それらの各部を制御する3つの回路系7、8、及び22と、各回路系7、8、及び22を制御するシステム制御部6と、から構成される。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、高調波出力を検出するための出力検出部22である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3上へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。
【0108】
波長変換素子17は、LiTaO3結晶基板上に作製された擬似位相整合方式(QPM)の光導波路型波長変換素子であり、周期的な分極反転領域18により基本波と高調波の位相ずれが補償され、高効率の波長変換が実現される。位相整合波長は851nmであり、その波長許容幅は0.13nmである。QPM−第2高調波発生(SHG)デバイス17の上の周期的分極反転領域18は、例えば、瞬間熱処理法により形成される。また、光導波路19は、例えばピロ燐酸を用いたプロトン交換法により形成される。
【0109】
半導体レーザ1の光は、図12に図示されていない結合レンズにより、波長変換素子17の上の光導波路19に結合される。半導体レーザ1の波長が波長変換素子17の位相整合波長に一致するときは、光導波路19を導波するレーザ光が高調波光に変換される。典型的には、本実施形態で用いられるDBR半導体レーザ1の発振波長は850〜852nmであり、得られる高調波光の波長は425nm(ブルー光)である。
【0110】
本実施形態における、レーザ光の波長を波長変換素子17の位相整合波長許容幅内に調整し、高調波出力を安定化する方法について、詳しく説明する。
【0111】
高調波出力を安定化するためには、半導体レーザ1の波長を波長変換素子17の位相整合波長の許容幅内に、安定して制御することが重要である。そのために、第1に、活性領域2に電流注入するようにシステム制御部6からレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ1の光強度が設定値である100mWになるように電流注入(150mA)を行う。第2に、波長変換により得られた高調波出力を出力検出器21により検出する。出力検出器21としては、典型的にはSi−PINフォトダイオードが用いられる。
【0112】
図2に示すように、DBR領域3へ注入するDBR電流を変化させて発振波長を可変すると、発振波長はモードホップを繰り返しながらDBR電流の増加に対して長波長側に波長シフトする。このとき、DBR領域3へ注入するDBR電流を上昇させるときと下降させるときで電流に対する発振波長が異なり、ヒステリシスな特性を示す。本発明では、このヒステリシス特性を回避し、DBRレーザ1の波長を波長変換素子17の位相整合波長許容幅内に制御するため、次のような方法で調整を行っている。
【0113】
第1に、DBR電流を0〜100mAまで可変(具体的には、0mAから100mAまで増加)させ、発振波長をスキャンする。このとき、出力検出部22から出力される信号を検出し、高調波出力がピークになる注入電流をシステム制御部6に記憶する。本実施形態では、典型的にはDBR電流が50mAの時に、ブルー光の最大出力2mWが得られる。第2に、100mAからその注入電流よりも10mA低い40mAに、DBR電流の値を下げる。第3に、記憶されたDBR電流値(50mA)までDBR電流を再上昇させることで、レーザ光の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長851nmに調整する。高調波出力が低下した場合に上記の制御を繰り返すことにより、長期の出力安定性が実現される。
【0114】
本実施形態のように、レーザ光の波長を設定波長に調整する際に、DBR電流を増加させながら設定波長に対応した電流値を検出し、その後にDBR電流を設定波長に対応した電流よりも低い値に一度設定してから、電流を再び増加させながら所望の注入電流に固定することで、DBR領域を有する半導体レーザのチューニング特性がもつヒステリシス特性を回避することができる。これにより、半導体レーザの波長を波長変換素子の位相整合波長に正確に一致できるため、安定な高調波出力が実現される。或いは、DBR電流をまず所定の範囲で減少させ、所定の発振波長に相当する電流値を記憶した後に、あるレベルまで一旦増加させ、再び減少させながら記憶された電流値に設定してもよい。
【0115】
特に、QPM−SHGデバイスとDBR半導体レーザから構成される短波長光源においては、QPM−SHGデバイスの位相整合波長に対する許容幅が0.1nm程度と小さいため、ヒステリシス特性により生じる0.1nmの波長変化は、大きな問題となる。そのため、DBR電流を設定波長に対応した電流よりも低い値に一度設定し、電流を増加させながら所望のDBR電流に固定する方法は、実用的に大きな効果を有する。
【0116】
(第7の実施形態)
図13は、本実施形態の電子冷却素子11を用いたSHGブルーレーザの高調波出力安定化方法の構成を示すブロック図である。
【0117】
第6の実施形態では、半導体レーザの発振波長を位相整合波長内に固定することは可能であるが、DBR電流変化による波長可変が0.1nm毎の不連続なチューニング特性である一方で、QPM−SHGデバイスの波長許容幅が0.1nmn程度と小さいために最大の変換効率が得られる位相整合波長の中心に固定することが困難である。それに対して本実施形態では、温度変化による連続波長可変により、より高効率の波長変換が実現される。
【0118】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、周期的な分極反転領域18と光導波路19を有する波長変換素子17と、高調波出力を検出するための出力検出器21と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、それらの各部を制御する4つの回路系7、8、12及び22と、各回路系7、8、12、及び22を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、高調波出力を検出するための出力検出部22である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。本実施形態において、波長変換素子17としては、第6の実施形態と同様にLiTaO3基板上に形成されたQPM−SHGデバイスが用いられた。
【0119】
本実施形態による、レーザ光の波長を波長変換素子17の位相整合波長の許容幅内に調整して、高調波出力を安定化する方法について、詳しく説明する。
【0120】
高調波出力を安定化するためには、半導体レーザ1の波長を、波長変換素子17の位相整合波長の許容幅内に安定して制御することが重要である。そのための初期設定として、第6の実施形態と同様の方法により、半導体レーザ1の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長の近傍に固定する。具体的には、第1に、活性領域2に電流を注入するようにシステム制御部6からレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ1の光強度が設定値(100mW)になるように、注入電流を150mAに制御する(ループI)。第2に、温度センサ16で環境温度(20℃)を検出し、半導体レーザ1の温度が20℃に一定になるように、システム制御部6からペルチエ制御部12に信号を入力して電子冷却素子11への電流を調整する(ループII)。第3に、第6の実施形態と同様の方法で、半導体レーザ1の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長許容幅内に固定するため、高調波出力を出力検出部22にて検出し、システム制御部6からDBR制御部8に信号を入力する(ループIII)。このようにして、初期設定が完了する。
【0121】
QPM−SHGデバイスの位相整合波長は851.05nmであり、初期設定において、DBR半導体レーザの波長は851nmに固定される。一方、DBR電流の変化による波長可変では、そのモード間隔が0.1nmであるために851.05nmに波長を制御することが不可能である。それに対して本実施形態においては、温度変化により、DBR半導体レーザ1の波長が位相整合波長に微調整される。
【0122】
図4に示すように、DBR半導体レーザの場合、温度変化に対して約0.07nm/℃の関係で、温度の上昇とともに発振波長は長波長側に連続的にシフトする。また、QPM−SHGデバイスの位相整合波長は、約0.035nm/℃の関係で長波長側にシフトする。そのため本実施形態では、初期設定後に電子冷却素子11により半導体レーザ1の温度を変化させて、発振波長を可変する。
【0123】
まず、出力検出器21により高調波出力が検出され、出力検出部22から信号が出力される。この値が、初期値(P0)としてシステム制御部6に記憶される。次に、初期設定時の設定温度を、約20.5℃上昇させる。ペルチエ制御部12に信号が入力され、電子冷却素子11への電流が調整されてレーザ光の発振波長が可変される(ループIV)。このときの高調波出力を出力検出器21により検出し、出力検出部22からシステム制御部6へ信号が出力される(P1)。P1>P0である場合には、ループを繰り返して設定温度を約21℃上昇させ、再び高調波出力を検出する(P2)。P2<P1である場合には、設定温度を約20℃降下させる(ループV)。
【0124】
本実施形態においては、ループIII及びVを繰り返すことにより、温度が約22℃の時に、高調波出力は、典型的にはピーク出力約2.3mWに安定に固定される。ループVの制御を常に繰り返すことにより、長期の高調波出力安定性が実現される。
【0125】
本実施形態のように、温度制御により高調波出力を安定化する方法は、半導体レーザの波長を連続的に可変できるため、DBR電流の変化だけでは実現できない高調波出力のピーク出力検出が可能となり、第6の実施形態よりも1割程度強度が大きいブルー出力を得ることができ、その実用的効果は大きい。特に、QPM−SHGデバイスとDBR半導体レーザから構成される短波長光源においては、QPM−SHGデバイスの位相整合波長に対する許容幅が0.1nm程度と小さいため、DBR半導体レーザの連続波長可変が必要不可欠であり、本実施形態に示す温度制御による高調波出力安定化方法は、実用的効果が大きい。
【0126】
また、電子冷却素子11により半導体レーザ1の波長可変を行う場合、電子冷却素子11の吸熱容量が大きな問題となる。本実施形態のように、初期状態において半導体レーザ1の温度を環境温度に設定することで、電子冷却素子11の吸熱容量は極端に低減でき、その実用的効果は大きい。
【0127】
また、波長可変や環境温度変化により、半導体レーザ1の温度と環境温度の間に温度差が生じ、その結果として電子冷却素子11の吸熱容量が増大した場合に、本実施形態の初期設定を繰り返して半導体レーザ1の温度を環境温度に再設定することで、電子冷却素子11の吸熱容量を低減できる。
【0128】
(第8の実施形態)
図14は、本実施形態における電子冷却素子を用いたSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【0129】
本実施形態における発振波長安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、周期的な分極反転領域18と光導波路19を有する波長変換素子17と、高調波出力を検出するための出力検出器21と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、それらの各部を制御する4つの回路系7、8、12、及び22と、各回路系7、8、12、及び22を制御するシステム制御系6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、高調波出力を検出するための出力検出部22である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。本実施形態においては、波長変換素子17として、典型的には第6の実施形態と同様にQPM−SHGデバイスが用いられる。
【0130】
初期設定として、第6の実施形態と同様の方法により、半導体レーザ1の発振波長が波長変換素子17の位相整合波長近傍に固定され、典型的には約2mWのブルー出力が得られる。活性領域2にレーザ駆動部7により電流注入され(ループI)、半導体レーザ1の温度はペルチエ制御部12により環境温度(20℃)に設定され(ループII)、またDBR制御部8により発振波長は設定波長近傍に調整される(ループIII)。
【0131】
第2の実施形態で説明したように、温度変化により発振波長を可変する場合には、1nm程度の波長範囲で連続的な波長可変が可能となる。しかしながら、それ以上の波長範囲で波長可変を行うと、図4に示すようにモードホップを生じる。これは、DBR領域3により光フィードバックされるDBR波長と、実効的DBR長により定義される共振器長に対応するファブリペローモードの温度に対するシフト量に、微妙なずれがあるためである。本実施形態では、このずれを補償するため、DBR領域3へ注入される電流も調整される(ループIV)。
【0132】
動作温度変化とモードホップ電流の関係は、先に図6を参照して説明した通りである。動作温度が変化すると、動作電流変化に対してモードホップが生じるDBR電流値が小さくなる。そのため、動作温度の上昇に対して、DBR電流を低減することで位相変化を補償することが可能である。動作温度の約10℃の上昇に対して、DBR電流を約1.5mA程度低下させることにより、位相変化を補償でき、1nm以上の連続波長可変が実現される。
【0133】
本実施形態のようにDBR電流を調整することにより、いろいろな要因により生じる位相変化を補償することが可能である。その結果、広範囲での連続波長可変が実現でき、安定な高調波出力が実現される。特に、QPM−SHGデバイスとDBR半導体レーザから構成される短波長光源においては、QPM−SHGデバイスの位相整合波長に対する許容幅が0.1nm程度と小さいため、DBR半導体レーザの連続波長可変が必要不可欠である。その方法としては、温度変化による波長可変が有利である。本実施形態のようにDBR電流による温度変化による位相変化を補償することにより、広範囲の波長領域において連続波長可変特性が得られるため、安定な短波長光源が実現される。
【0134】
(第9の実施形態)
図15は、本実施形態における電子冷却素子11を用いたSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【0135】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2及びDBR領域3を有する半導体レーザ1と、周期的な分極反転領域18と光導波路19を有する波長変換素子17と、高調波出力を検出するための出力検出器21と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、レーザ出力を検出するための出力検出器13と、半導体レーザ1を温度制御するための電子冷却素子11と、それらの各部を制御する4つの回路系7、8、12、及び22と、各回路系7、8、12及び22を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、高調波出力を検出するための出力検出部22である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR駆動部8である。第4の回路系は、半導体レーザ1を温度制御するためのペルチエ制御部12である。本実施形態において、波長変換素子17として、典型的には、第6の実施形態と同様にQPM−SHGデバイスが用いられる。
【0136】
本実施形態では、半導体レーザ1の動作温度を電子冷却素子11により調整することにより、発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整する。一般に半導体レーザは、動作温度を変化させると得られるレーザ出力が変動する。
【0137】
動作温度とレーザ出力の関係について図8を参照して先に説明したように、レーザ波長を1nm程度可変するには、動作温度を15℃程度変化する必要がある。しかし、動作温度が15℃程度変化すると、レーザ出力は±7.5%程度変動する。本実施形態では、レーザ出力が一定になるようにレーザ駆動部7を制御し、それにより生じた位相変化を、DBR領域3で補償する。
【0138】
発振波長の制御方法、レーザ出力の制御方法、及びDBR制御部8での位相補償について詳しく説明する。
【0139】
初期設定として、第6の実施形態と同様の方法により、半導体レーザ1の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長の近傍に固定する。具体的には、活性領域2にレーザ駆動部7により設定電流(150mA)が注入され(ループI)、半導体レーザ1の温度はペルチエ制御部12により環境温度(20℃)に設定され(ループII)、さらに、DBR制御部8により発振波長は設定波長近傍に調整される(ループIII)。第2の実施形態と同様に、初期設定後は、電子冷却素子11により半導体レーザ1の温度を変化させて、発振波長を制御する(ループIV)。
【0140】
これらのループを何回か繰り返して、高調波出力をピーク出力に制御する。
【0141】
次に、温度変化により生じた出力変動を補償するように、レーザ駆動部7を制御する。以下では、設定波長を変化させてペルチエ制御部12により連続的に波長シフトさせる場合について、説明する。
【0142】
半導体レーザ1の波長を1nmシフトさせるためには、半導体レーザ1の温度を15℃程度可変する必要がある。このとき、レーザ出力は、7.5%程度変動する。本実施形態においては、出力検出器13によりレーザ光出力は常に検出されている。そのため、出力検出器13から得られた信号とシステム制御部6から出力される設定出力信号との差分を補償するように、レーザ駆動部7により活性領域2への注入電流量が制御され、レーザ出力が一定に保持される。
【0143】
半導体レーザ1を15℃程度温度変化させる場合には、出力変動が7.5%程度あるために、活性領域2への動作電流量も10%程度変化させる必要がある。動作電流と発振波長の関係を先に図9に示したが、動作電流が上昇すると活性領域の温度も上昇し、結果として位相変化が起こり、モードホップを生じる。波長シフトの傾きは、典型的には0.02nm/10mAである。動作電流が150mAの時に、15℃の温度変化に対して出力を一定に保持するためには、20mA程度変化させる必要がある。しかし、このような幅の電流変化では、図9に示すようにモードホップが生じる。
【0144】
本実施形態では、動作電流を調整することにより生じた位相変化を、DBR領域3により補償する。20mAの動作電流変化(△I)に対して、活性領域2の位相が変化し、ファプリペローモードが0.04nmシフトする。そのため、DBR制御部8によりDBR電流を2mA(0.02nm/0.21nm×△I)程度だけ変化させることにより、モードホップを回避できる(ループV)。その後に、再びペルチエ制御部12にて、発振波長が設定波長になるように調整する。
【0145】
これらのループを何回か繰り返し、設定波長及び設定出力に調整する。
【0146】
本実施形態では、半導体レーザ1の温度変化により生じた出力変動を出力検出器13で検出し、設定出力信号との差分を補償する際に、レーザ駆動部7とDBR制御部8を同時に制御して、モードホップのない制御によりレーザ出力も一定に保持される。そのため、広範囲での連続波長可変を出力一定で実現できるため、安定な高調波出力が実現される。
【0147】
(第10の実施形態)
図16は、本実施形態における電子冷却素子を用いたSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【0148】
本実施形態の発振波長安定化装置は、活性領域2、DBR領域3及び位相領域14を有する半導体レーザ1と、周期的な分極反転領域18と光導波路19を有する波長変換素子17と、高調波出力を検出するための出力検出器21と、半導体レーザ1を温度を検出するための温度センサ16と、レーザ出力を検出するための出力検出器13と、それらの各部を制御する4つの回路系7、8、15及び22と、各回路系7、8、15及び22を制御するシステム制御部6と、からなる。第1の回路系は、半導体レーザ1の活性領域2へ電流を注入するためのレーザ駆動部7である。第2の回路系は、高調波出力を検出するための出力検出部22である。第3の回路系は、発振波長を所望の波長に調整するためにDBR領域3へ注入するDBR電流を制御するためのDBR制御部8である。第4の回路系は、位相領域14への注入電流を制御する位相制御部15である。本実施形態においても、波長変換素子17として、典型的には、第6の実施形態と同様にQPM−SHGデバイスが用いられる。
【0149】
本実施形態に従って、位相領域14を有するDBR半導体レーザ1の波長を波長変換素子17の位相整合波長の許容幅内に調整して高調波出力を安定化する方法について、詳しく説明する。
【0150】
初期設定として、第6の実施形態と同様の方法により、半導体レーザ1の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長近傍に固定する。具体的には、第1に、システム制御部6から活性領域2に電流注入するようにレーザ駆動部7に信号を入力し、半導体レーザ1の光強度が設定値である100mWになるように電流注入を行う(ループI)。第2に、高調波出力を出力検出器21により検出し、出力検出部22より信号を出力する。高調波出力がピークになるDBR電流をシステム制御部6に記憶し、記憶されたDBR電流を注入してレーザ光の発振波長を波長変換素子17の位相整合波長に調整する(ループII)。
【0151】
本実施形態では、初期設定以降において、位相領域14を用いて連続的な波長可変が実現される。その方法について説明する。
【0152】
DBR半導体レーザの発振波長を変化させる方法には、一般に、以下の3つの方法がある。
【0153】
(1)DBR領域への注入電流(DBR電流)の変化
(2)DBR半導体レーザの動作温度の変化
(3)活性領域への注入電流(動作電流)の変化
これらの方法では、DBR電流により波長可変させたり(波長制御)、環境温度を変化させたり(温度制御)、レーザ出力制御のために動作電流を変化させたり(出力制御)することで、発振波長を変化させるが、その際に、半導体レーザの共振器モード(ファブリペローモード)の位相状態が変化してモードホップを生じる。本実施形態では、位相領域14を用いて、モードホップのない各制御を可能にする。
【0154】
位相領域14への注入電流と発振波長の関係は、図11に示して説明した通りである。連続波長可変部分の注入電流変化に対する波長シフトの割合は、0.07nm/10mAである。DBR電流変化及び動作電流変化に対する波長シフトの割合は、それぞれ0.21nm/10mA及び0.02nm/10mAである。そのため、波長制御に対しては、DBR電流の変化量の3倍の電流を位相領域14に注入し、また出力制御に対しては、動作電流の変化量の約3分の1の電流を位相領域14に注入すればよい。さらに、温度制御に対しては、10℃の動作温度上昇に対して、位相領域の注入電流を5mA低減させればよい。
【0155】
以上のことを考慮して、本実施形態では、環境温度変化、動作電流変化、及びDBR電流変化に対して、レーザ駆動部7及びDBR制御部8を用いて制御を行い、制御により生じた位相変化量の和を位相制御部15で補償することにより、連続的な波長可変が実現される(ループIII)。
【0156】
本実施形態では、環境温度変化などで生じる位相整合波長のシフトに対して、上記の位相領域14を用いた連続波長可変により、常に高調波出力がピーク出力で一定になるように制御される。特に、QPM−SHGデバイスとDBR半導体レーザから構成される短波長光源においては、QPM−SHGデバイスの位相整合波長に対する許容幅が0.1nm程度と小さいため、DBR半導体レーザの連続波長可変が必要不可欠であり、本実施形態に示す位相制御部15を用いた高調波出力安定化方法は、実用的効果が大きい。
【0157】
なお、第6〜第10の実施形態では、波長変換素子として導波路型の擬似位相整合方式波長変換素子が用いられているが、バルク型の擬似位相整合方式の波長変換素子を用いても、同様の効果が得られる。また、複屈折性を利用した位相整合方式の波長変換素子を用いても、同様の効果が得られる。
【0158】
(第11の実施形態)
光ディスクシステムで用いられる光源は、長期の出力安定性を必要とする。DBRレーザと波長変換素子から構成される短波長光源を光ディスクシステムに応用する場合、長期の出力安定性がひとつの課題である。この課題を解決するためには、波長変換素子の位相整合波長に半導体レーザの波長が常に一致するように、制御する必要がある。
【0159】
第7〜第10の実施形態の構成では、半導体レーザの波長を連続的に可変して高調波出力を安定化する方法について説明してきた。しかしながら、環境温度の急激な変化などに対しては、電子冷却素子などが十分に応答できないために、出力変動を生じる可能性がある。また、第6の実施形態で説明した高調波出力安定化装置を有する短波長光源では、DBR領域に注入するDBR電流の制御によって発振波長を変化させるが、その変化が不連続であるために、高調波出力調整時に大きな出力変動を発生する。また、この方法の他の課題は、電子冷却素子や位相領域に注入する電流が大きくなることで、消費電力が大きくなることである。
【0160】
本実施形態では、短波長光源を光ディスクシステムに応用する場合に、システム動作待機中を利用して高調波出力の安定化や電子冷却素子や位相領域への電流のリセットを行う、或いは、読み出した情報をメモリなどに一旦蓄積した上で高調波出力の安定化や電子冷却素子や位相領域への電流のリセットを行う、などの手法を用いることによって、常に安定したディスク再生特性を実現する方法について説明する。
【0161】
図19(a)及び(b)は、記録再生可能な光ディスクシステムの動作状態を模式的に示す図である。
【0162】
具体的には、光ディスクシステムをコンピュータ用途で用いる場合、図19(a)のように、常にコンピュータと情報のやり取りを行っているのではなく、再生時や記録時のみシステムは動作している。そのため、図19(a)のシステムの動作待機中に高調波出力の安定化を図ることで、安定な記録・再生特性を実現できる。高調波出力の安定化は、各実施形態で説明した以下のような方法を用いることができる。
【0163】
第1に、DBR領域のみで波長可変を行う場合、第6の実施形態のように、位相整合波長の検出時と同方向にDBR電流を変化させて、半導体レーザの波長を波長変換素子の位相整合波長に固定することで、ヒステリシス特性を回避して安定に高調波出力を得ることはできる。
【0164】
第2に、電子冷却素子により波長可変を行う場合には、第7の実施形態のように、電子冷却素子により連続的な波長可変を行う。波長変換素子の位相整合波長が何かの要因でシフトし波長可変幅が大きくなると、環境温度と短波長光源温度に差が生じる。そうなると、電子冷却素子の吸熱容量が大きくなるため、消費電力も大きくなる。そこで、システムの動作待機中に短波長光源の温度を環境温度に再設定し、DBR電流を再調整して半導体レーザの波長を位相整合波長に固定すれば、消費電力の低減を図ることができる。
【0165】
第3に、位相領域とDBR領域で波長可変を行う場合、電子冷却素子により波長可変を行う場合と同様に、波長可変幅が大きくなると位相領域に注入する電流が大きくなる。そこで、システムの動作待機中に位相領域への電流をリセットし、再び半導体レーザの波長を位相整合波長に調整することで、消費電力の低減を図ることができる。
【0166】
一方、映画などのソフトが記録されている光ディスクを再生する場合には、図19(b)のように、2時問程度の連続再生を行う。そのため、2時間以上にわたり出力を安定に維持することが望まれる。そこで、本実施形態では、そのような場合には、再生したディスクの情報をメモリなどに一旦蓄積し、高調波出力の安定化制御を行うときにはメモリに蓄積された情報を画像として取り出すことによって、常に安定な再生特性を実現する。
【0167】
ビデオ再生システムの構成を、図20に示す。通常、メモリ34としては半導体メモリが用いられ、本実施形態では、例えばDRAM(ランダムアクセスメモリ)やフラッシュメモリが用いられる。光ピックアップ31により再生された光ディスク32の情報は、転送レートR1でメモリ34に送られ、さらに転送レートR2で、メモリ34からディスプレイ35に情報が送られる。ここでR1>R2の時に、メモリ34には、光ディスク32より再生された情報が徐々に蓄積される。メモリ34の内部に情報がフルに蓄積されると、メモリ34の情報がディスプレー35に転送され、その間に、高調波出力の安定化制御が安定化制御御回路33により行われる。安定化制御が終了すると、再びメモリ34への情報蓄積が始まる。
【0168】
この動作を繰り返すことにより、長時間安定な再生特性を実現する。
【0169】
DBR領域を有する半導体レーザは、発振波長を所望の波長に可変することができるため、いろいろな用途に有用なレーザである。QPM−SHGデバイスのような波長変換素子と半導体レーザにより構成されるSHGレーザにおいては、半導体レーザの発振波長を波長変換素子の位相整合波長の許容幅内に固定する必要がある。それに対して、DBR半導体レーザを用いれば、上記の点に起因して大きな効果を得ることができる。
【0170】
DBR半導体レーザの発振波長を可変する方法には、(1)DBR領域に電流注入する方法、(2)電子冷却素子などにより半導体レーザ全体の温度を変化させる方法、などがある。しかしながら、(1)の方法では、モードホップ現象の発生やヒステリシスな波長可変特性の発現が、実用化における大きな課題となる。また、(2)の方法では、電子冷却素子の容量などが、実用化における大きな課題となる。
【0171】
(1)の課題を解決するため、本発明では、DBR電流を検出時と同方向に上昇させながら波長可変を行うことでヒステリシス特性を回避し、安定な波長可変を可能にする。特にSHGブルーレーザにおいては、その位相整合波長許容幅が0.1nm程度と小さいため、安定な波長可変が、高調波(ブルー光)の出力安定化の絶対条件となる。これに対して、上記の波長制御を用いることで、SHGブルーレーザの立ち上がり時においても波長変換素子の位相整合波長の検出が確実に行われ、瞬時の立ち上がり特性が実現できるため、その実用的効果は大きい。
【0172】
また、温度制御による波長可変は、連続的な波長可変が可能であるために有用な方法である。特に、SHGブルーレーザにおいては、その位相整合波長許容度が0.1nm程度であり、高調波出力を安定化するためには、波長を細かく制御することが必要である。SHGブルーレーザの応用用途は、光ディスクやレーザプリンターなどであり、その低消費電力化は、実用化に対して重要な点である。温度制御による波長可変では、電子冷却素子の消費電力が大きな課題となる。電子冷却素子は、環境温度と制御温度の差が大きいと消費電力が大きくなるため、本発明のように初期設定温度を環境温度にすることで、小さな消費電力で連続的な波長可変を実現できる。
【0173】
また、温度制御による波長可変においても、環境温度や動作電流の変化に対して、安定に連続波長可変を実現することは困難である。本発明では、DBR領域を、波長可変の目的だけに用いるのではなく、位相変化を補償するためにも用いる。これによって、安定な連続波長可変が実現できる。そのため、より信頼性が高く且つブルー出力が安定化された、SHGブルーレーザが実現される。
【0174】
連続波長可変を実現する手段として、位相制御部を有する半導体レーザが提案されている。しかしながら、環境温度や動作電流の変化に対して、安定に連続波長可変を実現することは困難である。DBR半導体レーザにおいて、環境温度、DBR電流、動作電流、位相制御部電流などの変化に対する波長変化量は、それぞれ一定の値である。そのため、本発明では、環境温度、DBR電流及び動作電流の変化に対して発生する位相変化を、それぞれの位相変化量の和として求め、位相制御部電流で補償することにより、安定な連続波長可変を実現する。これにより、電子冷却素子を用いなくても連続波長可変が実現でき、低消費電力の光源が実現される。消費電力が低減されると、SHGブルーレーザなどを携帯型の光ディスクにも応用できるため、その効果は大きい。
【0175】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、を備えた半導体レーザにおいて、DBR領域へ注入する電流を可変することにより発振波長を所望の波長に固定する際に、DBR電流を一方向に増加または減少させて半導体レーザの波長を所望の波長に対応するDBR電流を検出し、検出時と同方向にDBR電流を変化する。これにより、波長可変時のヒステリシス特性を回避した安定な発振波長制御を実現する。
【0176】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、を備えた半導体レーザにおいて、DBR領域への電流注入により発振波長を所望の波長に制御する際に、モードホップが生じるDBR電流近傍と連続的に波長可変するDBR電流近傍で、DBR電流の電流注入レートを異ならせる。これによって、モードホップ時のノイズ発生を回避した発振波長制御を実現する。
【0177】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、を備え、電子冷却素子が実装された半導体レーザにおいて、初期状態においては半導体レーザは電子冷却素子により環境温度の近傍に温度設定され、DBR電流を可変することにより発振波長を所望の波長に固定し、初期状態以降は電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させて波長可変する。これによって、電子冷却素子の消費電力を低減した発振波長制御を実現する。
【0178】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、を備え、電子冷却素子が実装された半導体レーザにおいて、電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させることにより波長可変する際に、半導体レーザの温度変化に対して生じる位相変化量をDBR電流を可変して補償する。これによって、温度変化に対するモードホップを回避した連続波長可変を実現する。
【0179】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、を備え、電子冷却素子が実装された半導体レーザにおいて、電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させることにより波長可変する際に、半導体レーザの出力変化に対して活性領域への注入電流を調整し、生じる位相変化量をDBR電流を可変して補償する。これによって、レーザ出力変動を低減するとともにモードホップを回避した連続波長可変を実現する。
【0180】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と、発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と、位相制御領域と、温度センサと、を備えた半導体レーザにおいて、半導体レーザの出力が一定になるように活性領域に注入する電流を調整する第1の制御手段と、発振波長を所望の波長になるようにDBR領域へ注入する電流を調整する第2の制御手段と、第1の制御手段と第2の制御手段と環境温度変化に対して生じる位相変化量を補償するため位相制御領域へ注入する電流を調整する第3の制御手段と、を設ける。これによって、モードホップのない連続波長可変を実現する。
【0181】
さらに本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子と、から構成される短波長光源において、DBR領域へ注入する電流を可変することにより発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整する際に、DBR電流を一方向に増加または減少して発振波長を位相整合波長に対応するDBR電流を検出し、検出時と同方向にDBR電流を可変する。これによって、波長可変時のヒステリシス特性を回避し、安定な高調波出力を実現する。
【0182】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子とが、電子冷却素子とともに一体化された短波長光源において、初期状態において短波長光源は電子冷却素子により環境温度の近傍に温度設定され、DBR部領域へ注入する電流を可変することにより発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整し、初期状態以降は電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させることにより発振波長を位相整合波長に可変する。これによって、電子冷却素子の消費電力を低減するとともに、連続波長可変による高調波出力のピーク出力検出を実現する。
【0183】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子とが、電子冷却素子とともに一体化された短波長光源において、電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させることにより発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整する際に、半導体レーザの温度変化に対して生じる位相変化量をDBR電流を可変して補償する。これによって、温度変化に対するモードホップを回避した高調波出力安定化を実現する。
【0184】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子とが、電子冷却素子上に固定されている短波長光源において、半導体レーザが、活性領域への電流注入によりレーザ発振を起こし、得られたレーザ光が波長変換素子に導かれ、電子冷却素子により半導体レーザの温度を変化させることにより、発振波長を波長変換素子の位相整合波長に調整する。その際に、半導体レーザの出力変化に対して活性領域への注入電流を調整し、生じる位相変化量をDBR電流を可変して補償する。これによって、レーザ出力変動を低減し、かつモードホップを回避した高調波出力安定化を実現する。
【0185】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を固定するための分布ブラッグ反射(DBR)領域と位相制御領域と温度センサとを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子と、から構成される短波長光源において、半導体レーザの出力が一定になるように活性領域に注入する電流を調整する第1の制御手段と、発振波長を波長変換素子の位相整合波長になるようにDBR領域に注入する電流により可変する第2の制御手段と、第1の制御手段と第2の制御手段と環境温度変化に対して生じる位相変化量を補償するため位相制御領域へ注入する電流を調整する第3の制御手段と、を設ける。これによって、連続波長可変を実現し、高調波光のピーク出力検出を実現する。
【0186】
さらに本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子とが、電子冷却素子とともに一体化された短波長光源を用いて、短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号を記録または再生する光ディスクシステムにおいて、光ディスクシステムの動作待機中や、光ディスクの再生から記録動作へ移行、または記録から再生動作への移行時の頭出しに要する時間(シークタイム)中に、短波長光源の動作温度を電子冷却素子により環境温度に再調整し、さらにDBR領域への注入電流を変化させて半導体レーザの波長を波長変換素子の位相整合波長に再制御する。これによって、長時間において良好な再生特性を保証する光ディスクシステムを実現する。
【0187】
また本発明は、利得を与えるための活性領域と発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域とを備えた半導体レーザと、非線形光学結晶からなる波長変換素子とが、電子冷却素子とともに一体化された短波長光源を用いて、短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号を記録または再生する光ディスクシステムにおいて、再生した情報を蓄積するためのメモリを設ける。これによって、長時間において良好な再生特性を保証する光ディスクシステムを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図であり、(b)は、その制御方法を表すフローチャートである。
【図2】DBR半導体レーザのDBR電流と発振波長のと関係を表す図である。
【図3】(a)は、本発明の第2の実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図であり、(b)は、その制御方法を表すフローチャートである。
【図4】DBR半導体レーザの動作温度と発振波長との関係を表す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図6】DBR半導体レーザの動作温度とモードホップ現象が生じるDBR電流値との関係を表す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図8】DBR半導体レーザの動作温度とレーザ出力との関係を表す図である。
【図9】DBR半導体レーザの動作電流と発振波長との関係を表す図である。
【図10】(a)は、本発明の第5の実施形態におけるDBR半導体レーザの発振波長安定化装置の構成を示すブロック図であり、(b)は、その制御方法を表すフローチャートである。
【図11】DBR半導体レーザの位相制御部電流と発振波長との関係を表す図である。
【図12】(a)は、本発明の第6の実施形態におけるSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図であり、(b)は、その制御方法を表すフローチャートである。
【図13】本発明の第7の実施形態におけるSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第8の実施形態におけるSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第9の実施形態におけるSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第10の実施形態におけるSHGブルーレーザの高調波出力安定化装置の構成を示すブロック図である。
【図17】SHGブルーレーザの構成を示す図である。
【図18】本発明に従ったDBR領域への注入電流レートの一例を表す図である。
【図19】(a)及び(b)は、光ディスクシステムの動作状態を表す図である。
【図20】本発明に従った光ディスクシステムの構成を表す図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 活性領域
3 DBR領域
4a 電極
4b 電極
4c 電極
5 波長計
6 システム制御部
7 レーザ駆動部
8 DBR制御部
9 波長検出部
10 サブマウント
11 電子冷却素子
12 ペルチエ制御部
13 出力検出器
14 位相領域
15 位相制御部
16 温度センサ
17 波長変換素子
18 分極反転領域
19 光導波路
20 LDカットフィルタ
21 出力検出器
22 出力検出部
23 DBR(分布ブラッグ反射型)半導体レーザ
24 コリメートレンズ
25 λ/2板(半波長板)
26 フォーカシングレンズ
27 分極反転型導波路デバイス
28 LiTaO3基板
29 光導波路
30 分極反転領域
31 光ピックアップ
32 光ディスク
33 安定化制御回路
34 メモリ
35 ディスプレイ

Claims (7)

  1. 発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域を備える半導体レーザと、非線形光学結晶からなり該半導体レーザから出力される光の波長を第2高調波光に変換して出力する波長変換素子と、が一体化されている短波長光源を備え、該短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号の記録動作或いは再生動作の少なくとも一方を行う光ディスクシステムであって、
    前記半導体レーザが位相制御領域を有し、
    再生した信号を蓄積するためのメモリと、
    該メモリに蓄積された信号を利用して信号を外部に送出する所定の期間に、該半導体レーザの発振波長を該波長変換素子からの出力される第2高調波光の出力に基づいて、前記DBR領域への注入電流を制御するとともに、前記位相制御領域への注入電流を制御することにより、該波長変換素子の略位相整合波長に制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記半導体レーザの発振波長を前記波長変換素子の略位相整合波長に制御する際に、前記位相制御領域へ注入する電流をリセットし、その後前記位相制御領域および前記DBR領域へ注入する電流をともに変化させて再制御することを特徴とする光ディスクシステム。
  2. 発振波長を制御するための分布ブラッグ反射(DBR)領域を備える半導体レーザと、非線形光学結晶からなり該半導体レーザから出力される光の波長を第2高調波光に変換して出力する波長変換素子と、が一体化されている短波長光源を備え、該短波長光源からの光を光ディスク上で走査して信号の記録動作或いは再生動作の少なくとも一方を行う光ディスクシステムであって、
    前記半導体レーザが位相制御領域を有し、
    再生した信号を蓄積するためのメモリと、
    該再生した信号を該メモリに蓄積するレートが該メモリより信号を取り出すレートより大きくて、該メモリが蓄積された信号により充填されていて、該メモリに蓄積された信号を利用する期間に、該半導体レーザの発振波長を該波長変換素子から出力される第2高調波光の出力に基づいて、前記DBR領域への注入電流を制御するとともに、前記位相制御領域への注入電流を制御することにより、該波長変換素子の略位相整合波長に制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記半導体レーザの発振波長を前記波長変換素子の略位相整合波長に制御する際に、前記位相制御領域へ注入する電流をリセットし、その後前記位相制御領域および前記DBR領域へ注入する電流をともに変化させて再制御することを特徴とする光ディスクシステム。
  3. 前記位相制御領域へ注入する電流のリセットする工程において、その設定値が略0mAであることを特徴とする請求項1または2に記載の光ディスクシステム。
  4. 前記波長変換素子が、周期的分極反転領域を有する擬似位相整合方式の波長変換素子であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の光ディスクシステム。
  5. 前記波長変換素子が光導波路型であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の光ディスクシステム。
  6. 前記波長変換素子がバルク型であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の光ディスクシステム。
  7. 前記非線形光学結晶が、LiTaxNb1-x3(0≦x≦1)結晶であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の光ディスクシステム。
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