JP3707434B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穂先、繊維集合体、 ヘラ先、ボールペンチップ等の塗布先に接続した塗布液タンク内に、塗布跡を形成するために使用される塗布液と、この塗布液の逆流防止体組成物とを備える塗布具に関し、更には塗布液と逆流防止体組成物との混合を防止した塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、筒状の塗布液タンク内に、塗布液と、塗布液に不溶または難溶で後端界面に接触した逆流防止体組成物を配し、塗布先に繊維集合体やボールペンチップといったものを使用した塗布具が知られている。塗布液には筆跡により文字、図柄を描くインキと、筆跡を隠蔽する修正液とが知られている。
逆流防止体組成物の機能は、塗布液や、塗布液中の溶剤及び溶剤蒸気など塗布液成分が塗布具後端から漏れるのを防止する事である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これら逆流防止体組成物を使用した塗布具は、筒状の塗布液タンク内に塗布液、逆流防止体組成物を充填した後、塗布先を外向きにして回転させるなどして遠心し、塗布液−逆流防止体組成物間と塗布先−塗布液間に残る空気を除去する方法で作成されている。
遠心脱泡はペン先方向に遠心力がかかる為、充填した塗布液の粘度によっては逆流防止体が塗布液に混合する問題がある。遠心時、逆流防止体組成物にペン先方向に向かう力が掛かった時、塗布液は逆流防止体組成物に押される。この時塗布液の粘度が低いと塗布液が変形し、逆流防止体組成物は塗布液と混合する。よって塗布液と逆流防止体組成物との混合を防止する為には、遠心時に塗布液が逆転防止体組成物に押されても変形しにくい塗布液とする必要がある。しかし塗布性など必要とされる品質によっては塗布液が低粘度である必要が有り、塗布液と逆流防止体との混合を防止できない場合がある。
塗布液と逆流防止体が混合すると、塗布液が塗布具後端から漏れ、手や紙面を汚す事になる。また塗布液中の成分が塗布具後端から漏れると、塗布液粘度が上がる為、塗布性が悪くなり、最終的には吐出する事ができなくなる。
本発明は、塗布具に外的な力が掛かっても、塗布液タンク内における塗布液と逆流防止体組成物とが混合することのない塗布具を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塗布液タンク内に塗布液と逆流防止体組成物を配置した塗布具において、塗布液の逆流防止体組成物との接触部分に乾燥皮膜を形成させた後、逆流防止体組成物を充填することを特徴とする塗布具を要旨とするものである。
【0005】
以下、本発明の塗布具について説明する。
塗布具の塗布先は棒状物や球体の塗布部材をバネ等の弾撥体により前方付勢して塗布液吐出口の内縁に押し付けた先端弁式のものや、繊維集合体、筆穂を使用したものなど、適宜採用する事ができる。特に使用される塗布液が揮発性の溶剤を使用したものであれば、弁を使用する等、塗布先からの溶剤の蒸発を押さえるような構造にすることが好ましい。先端弁式であれば、弁体ともなる塗布部材の材質は、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂、ステンレス、真鍮などの金属が使用できる。
【0006】
塗布液タンクの材質はナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられ、耐溶剤性を考慮するとナイロン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレートが好ましいが、ポリプロピレン、ポリエチレンでも内面にナイロン、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレートをコーティングして耐溶剤性を向上した上で用いることもできる。また塗布液タンク内壁面を、算術平均荒さ(Ra)が500nm以下、最大高低差(P−V)が5000nm以下の表面荒さ(JIS B0601)とすると、塗布液や逆流防止体組成物が塗布液タンク内壁に付着しにくくなり好ましい。また、塗布液タンクの形状は、一般的な合成樹脂の押出成形パイプのような断面円形状の筒体が好ましいが、内径が部分によって異なるものであっても良いし、断面が四角などの多角形などや、自由な形状の射出成型品であってもよい。
【0007】
塗布液は筆跡や図柄を形成したり、既にある筆跡や図形を隠蔽するために使用するもので、着色剤と溶剤と定着剤を少なくとも含むものが例示できる。
【0008】
着色剤は、顔料や染料が使用できるが、その使用量は塗布液全量に対し、3〜65重量%に調整することが好ましい。顔料の具体例としては、TITONE SR−1、同650、同R62N、同R3L、同R7E(以上、堺化学工業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同480(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−602、同R−960、同R−931(以上、デュポン・ジャパン、リミテッド製)、TITANIXJR301、同JR805、同JR602、同JR701、同JR800(以上、テイカ(株)製)などの酸化チタン、Special Black 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2,同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11,#50、#52、#45、#44、#40、#33,#32、#30、CF9、#20B、#4000B(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、RAVEN7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22,同16、同14、同825Oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900,同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、低次性酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムなどの無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾンレッド、レーキレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどの有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫酸ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの無機蛍光顔料が挙げられる。
【0009】
染料の具体例としては、直接染料として、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等が挙げられる。
【0010】
酸性染料として、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等が挙げられる。
【0011】
塩基性染料として、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックレッド1などが挙げられる。
【0012】
油性染料として具体的には、ニグロシンベースEE、同EEL、同EX、同EXBP、同EB、オイルイエロー101、同107、オイルピンク312、オイルブラウンBB、同GR、オイルグリーンBG、オイルブルー613、同BOSオイルブラックHBB、同860、同BS、バリファストイエロー1101、同1105、同3108、同4120、バリファストオレンジ2210、同3209、同3210、バリファストレッド1306、同1308、同1355、同1360、同2303、同2320、同3304、同3306、同3320、バリファストピンク2310N、バリファストブラウン2402、同3405、バリファストグリーン1501、バリファストブルー1603、同1605、同1607、同1631、同2606、同2610、同2620、バリファストバイオレット1701、同1702、バリファストブラック1802、同1807、同3804、同3806,同3808、同3810、同3820、同3830、スピリットレッド102、オスピーイエローRY、ROB−B、MVB3、SPブルー105(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンイエロー3RH、同GRLHスペシャル、同C−2GH、同C−GNH、アイゼンスピロンオレンジ2RH、同GRHコンクスペシャル、アイゼンスピロンレッドGEH、同BEH、同GRLHスペシャル、同C−GH、同C−BH、アイゼンスピロンバイオレットRH、同C−RH、アイゼンスピロンブラウンBHコンク、同RH、アイゼンスピロンマホガニーRH、アイゼンスピロンブルーGNH、同2BNH、同C−RH、同BPNH、アイゼンスピロングリーンC−GH、同3GNHスペシャル、アイゼンスピロンブラックBNH、同MH、同RLH、同GMHスペシャル、同BHスペシャル、S.B.N.オレンジ703、S.B.N.バイオレット510、同521、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111、SOTピンク1、SOTブルー4、SOTブラック1、同6、同10、同12、13リキッド、アイゼンローダミンBベース、アイゼンメチルバイオレットベース、アイゼンビクトリアブルーBベース(以上、保土谷化学工業(株)製)、オイルイエローCH、オイルピンク330、オイルブルー8B、オイルブラックS、同FSスペシャルA、同2020、同109、同215、ALイエロー1106D、同3101、ALレッド2308、ネオスーパーイエローC−131、同C−132、同C−134、ネオスーパーオレンジC−233、ネオスーパーレッドC−431、ネオスーパーブルーC−555、ネオスーパーブラウンC−732、同C−733(以上、中央合成化学(株)製)、オレオゾールファストイエロー2G、同GCN、オレオゾールファストオレンジGL、オレオゾールファストレッドBL、同RL(以上、田岡化学工業(株)製)、サビニールイエロー2GLS、同RLS、同2RLS、サビニールオレンジRLS、サビニールファイアレッドGLS、サビニールレッド3BLS、サビニールピンク6BLS、サビニールブルーRN、同GLS、サビニールグリーン2GLS、サビニールブラウンGLS(以上、サンド社製、スイス国)、マゼンタSP247%、クリスタルバイオレット10B250%、マラカイトグリーンクリスタルコンク、ブリリアントグリーンクリスタルH90%、スピリットソルブルレッド64843(以上、ホリディ社製、英国)、ネプチューンレッドベース543、ネプチューンブルーベース634、ネプチューンバイオレットベース604、バソニールレッド540、バソニールバイオレット600(以上、BASF社製、独国)などが挙げられる。
【0013】
溶剤は、水性塗布液の場合、主溶剤として水を用い、その他に、ペン先の乾燥防止の為に、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の水溶性有機溶剤を用いる事もできる。
油性塗布液の場合、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラリン、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルー2−ピロリドン等が挙げられ、これらは単独もしくは混合して使用可能である。
【0014】
また油性塗布液を修正液とする場合は、隠蔽する筆跡と溶解しにくい低極性の溶剤を用いることが好ましく、具体的には、ノルマルヘキサン(沸点68.7℃)、イソペンタン、ノルマルヘプタン(沸点98.4℃)、ノルマルオクタンなど脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン(沸点49.2℃)、メチルシクロペンタン(沸点71.8℃)、シクロヘキサン(沸点80.0℃)、メチルシクロヘキサン(沸点100.9℃)、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)等の脂環属炭化水素系溶剤が挙げられ、更にその他、エクソールDSP 100/140(初留点102℃、乾点138℃)、同D30(初留点141℃、乾点172℃)、同D40(初留点153℃、乾点196℃)、同D80(初留点204℃、乾点230℃)、同D110(初留点243℃、終点272℃)、同D130(初留点277℃、終点310℃)、アイソパーC(初留点97℃、乾点104℃)、同E(初留点115℃、乾点138℃)、同G(初留点156℃、乾点175℃)、同H(初留点176℃、乾点192℃)、同L(初留点188℃、乾点210℃)、同M(初留点208℃、乾点254℃)(以上エクソン化学(株)製)などの脂肪族炭化水素系溶剤の混合品などが挙げられる。これらは、単独もしくは混合して使用可能であり、その使用量は塗布液全量に対して30〜95重量%が好ましい。
【0015】
定着剤は紙、ガラス等の被筆記面への定着性を向上すると共に、乾燥皮膜を形成する為に使用する。具体例としては水性塗布液の場合、スチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩といった水溶性樹脂を用いることができる。また、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂共重合物などの水不溶性樹脂などを用いることもできる。尚、水不溶性樹脂はエマルジョン形態で使用する。
【0016】
アルコール系及び/またはグリコール系溶剤を用いた油性塗布液の場合、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0017】
低極性の炭化水素系溶剤を用いた場合、例えば、テスラック2158−100(日立ポリマー(株)製)、フタルキッドDX615(50重量%キシレン溶液、日立化成(株)製)などのアルキド樹脂、アクリロイドB66、同B67(英国、ロームアンドハース社製)などのアクリル樹脂、カリフレックスTR−1107(シェル化学(株)製)、タフプレンA、アサプレンT−431(以上、旭化学工業(株)製)などのスチレン系エラストマー、スミテートRB−11(住友化学工業(株)製)、エバフレックス150(三井ポリケミカル(株)製)などのエチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。定着性、塗布性を考慮すると、その使用量は塗布液全体に対して1〜20重量%が好ましい。
【0018】
上記各成分の他に、粘度調整のために、水性塗布液の場合、グァーガム、ヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、ジエランガム、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、カラギーナン、サクシノグルカン等の水溶性多糖類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド共重合架橋物などの合成高分子、スメクタイト等の粘土系鉱物などを添加することもできる。これらは単独もしくは2種以上混合して使用できる。低極性の炭化水素系溶剤を使用した塗布液の場合、脂肪酸アマイドよりなる、ディスパロンA670−20M(有効成分20%)、6900−20X(有効成分20%)(楠本化成(株)製)、微粒子シリカよりなるアエロジルR972、同R974,同200(日本アエロジル(株)製)などを使用できる。
【0019】
また顔料分散安定性の為に、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリカルボン酸高分子などの陰イオン界面活性剤、ポリエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩などの分散剤を添加することができる。
【0020】
尚、着色剤に隠蔽性の高い酸化チタン、溶剤に低極性炭化水素で沸点40〜150℃の揮発性溶剤を使用すれば修正液として使用できる。
【0021】
塗布液は上記各成分をボールミル、アトライター、サンドグラインダー、インペラー等の攪拌分散機を使用して分散混合する事によって得られる。
【0022】
逆流防止体組成物は、塗布液消費に伴う塗布液界面の移動に追従して移動するものであり、塗布液の逆流を防止するものであるが、塗布液タンク内側への塗布液の付着を防止するものであってもよい。逆流防止体組成物の基材は塗布液に相溶しないか又は塗布液と相溶し難い溶剤を用いる。
水性塗布液やアルコール系、グリコール系溶剤を用いた油性塗布液の場合、具体的には、α−オレフィンよりなるモービルSHF21(40℃動粘度0.52m2/s)、同41(40℃動粘度1.75m2/s)、同61(40℃動粘度2.88m2/s)、同82(40℃動粘度4.76m2/s)、同401(40℃動粘度42m2/s)、同1003(40℃動粘度137.4m2/s)(以上、モービルケミカルプロダクツインターナショナルインク製)、ポリブテンよりなるLV−7(40℃動粘度1.1m2/s)、LV−10(40℃動粘度1.9m2/s)、LV−25(40℃動粘度5.24m2/s)、LV−50(40℃動粘度11m2/s)、LV−100(40℃動粘度20.5m2/s)、HV−15(40℃動粘度65.5m2/s)、HV−35(40℃動粘度230m2/s)、HV−50(40℃動粘度345m2/s)、HV−100(40℃動粘度950m2/s)、HV−300(40℃動粘度2600m2/s)、HV−1900(40℃動粘度16000m2/s)、HV−3000(40℃動粘度32000m2/s)(以上、日本石油(株)製)、エチレン−αオレフィンよりなるルーカントHC−10(40℃動粘度6m2/s)、HC−20(40℃動粘度15.5m2/s)、HC−40(40℃動粘度38m2/s)、HC−100(40℃動粘度130m2/s)、HC−150(40℃動粘度220m2/s)、HC−600(40℃動粘度985m2/s)、HC−2000(40℃動粘度3750m2/s)(以上、三井石油化学工業(株)製)、流動パラフィン、シリコンオイル等の低極性不揮発性、または難揮発性の溶剤が使用でき、これらは単独または混合して使用することが可能である。
極性の小さい炭化水素系の溶剤を用いた塗布液の場合、極性の大きい溶剤を使用する。具体的には水の他に、極性が大きい多価アルコールのエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、グリセリンモノアセテート、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが使用できる。これらは単独もしくは混合して使用可能である。
【0023】
上記逆流防止体組成物の粘度調整剤として、逆流防止体の基材に低極性の溶剤を用いた場合、微粒子シリカよりなるアエロジルR972、同R974、同200(日本アエロジル(株)製)、脂肪酸アマイドよりなるディスパロンA670−20M、同6900−20X(以上、楠本化成(株)製)などを用いることができ、基材に高極性の溶剤を用いた場合、グァーガム、ヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシメチルヒドロキシプロピル化グァーガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、ジェランガム、アルギン酸、アルギン酸ソーダ、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ローカストビーンガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、カラギーナン、サクシノグルカン等の水溶性多糖類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド共重架橋物などの合成高分子、スメクタイト等の粘度系鉱物などを添加することができ、これらは、単独もしくは2種以上混合して使用できる。
【0024】
また、基材に高極性溶剤を用いた逆流防止体組成物には、塗布液が塗布液タンクに付着するのを更に防止するために界面活性剤を使用することもでき、非イオン系、陰イオン系、陽イオン系、フッ素系などの界面活性剤が使用できる。非イオン系界面活性剤の具体例として、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(5〜15、オキシエチレンの付加モル数、以下同じ)グリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5〜15)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(2)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレン(30〜60)ソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20〜60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20〜100)硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(5〜30)フィトステロール、ポリオキシエチレン(25)フィトスタノール、ポリオキシエチレン(30)コレスタノール等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロールモノラウリル酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(4〜25)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜40)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2〜20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜50)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜30)ベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(7〜20)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10〜30)オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(5〜15)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(5〜15)オレイルアミン、ポリオキシエチレン(8)ステアリルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレン(4〜15)ステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン(5)オレイン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレン(5〜40)ラノリンアルコール、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)ペルフルオロオクタンスルホンアミド、ポリオキシエチレン高級脂肪酸アルコールエーテル、アセチレングリコール(サーフィノール465、同485、信越化学(株)製)、ポリオキシエチレン(3〜20)−N−プロピルペルフルオロオクタンスルホンアミド等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。陰イオン系界面活性剤の具体例として、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(2〜4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2〜4)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、、パルミトイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン(3〜6)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテルカルボン酸塩、ラウリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテル塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ミリストイルメチルタウリンナトリウム、N−パルミトイルメチルタウリンナトリム、N−ステアロリルメチルタウリンナトリウム等のN−アシルタウリン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム等、アルキルアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルフォン酸塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸リチウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸アンモニウム、N−プロピル−N−ペルフルオロオクチルスルホニルグリシンカリウム塩、リン酸ビス(2−(N−プロピルペルフルオロオクチルスルホニルアミノ)エチル)アンモニウム塩、ペルフルオロカプリル酸、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム等のフッ素界面活性剤、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハタ酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、アルキルリン酸カリウム塩などが挙げられる。陽イオン系界面活性剤の具体例として、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のアルキルアンモニウム塩、N−(3−(ペルフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル)−N,N,N,−トリメチルアンモニウムアイオダイト等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミノプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン・ラウリル硫酸ナトリウム等のイミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0025】
また基材として水を用いた場合、逆流防止体組成物のカビ発生防止のためにデヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウムなどの防腐防カビ剤を適量加えることができる。また、水などの蒸発しやすい材料では、蒸発抑制の為に、この基材に不溶及び/または難溶の不揮発性及び/または難揮発性の有機溶剤、またはこれらを粘度調整したものや、ゴム弾性を有する合成ゴムやエラストマー、プラスチックなどの成型品を乾燥防止体として、逆流防止体組成物の界面に配置して併用することもできる。乾燥防止体を液状組成物とする場合には、有機溶剤としてポリブテン、αオレフィン、エチレンαオレフィン、流動パラフィンなどが利用でき、単独または2種以上併用して使用可能であり、粘度調整のために、アエロジルR972、同R974(日本アエロジル(株)製)などの微粒子シリカ、ディスパロン305(楠本化成(株)製)などの水添ヒマシ油系のもの、ソロイド(三晶(株)製)などのセルロース系のもの、更に金属石鹸類、ベントナイト等を単独または2種以上混合して使用可能である。また、固体状の成型品による乾燥防止体と液状組成物による乾燥防止体とを併用することもできる。
【0026】
塗布液の逆流防止体組成物接触部分に形成させる乾燥皮膜は、塗布液と逆流防止体の混合を防止する為に形成させる。乾燥皮膜は、塗布液中の溶剤の蒸発に伴い、塗布液中の定着剤や着色剤などにより形成される。また乾燥皮膜は塗布液タンクに塗布液を充填した後、逆流防止体が接触する部分、つまり塗布液の後端部分に形成させる。乾燥皮膜は遠心脱泡の際、塗布液が遠心力により受ける力に耐える事が必要であるが、必要とする乾燥皮膜の強度は、使用する塗布液タンクや逆流防止体の硬さ、量により変化するので、形成させる乾燥皮膜の強度は単位面積当たりの乾燥皮膜荷重と、塗布液と逆流防止体との混合具合とを比較しながら決定する。特に単位面積当たりの乾燥皮膜破壊荷重は0.1g/mm2以上20.0g/mm2であれば、塗布液と逆流防止体の混合を防止でき、かつ塗布液タンクに残る気泡の脱泡性が良好で好ましい。単位面積当たりの乾燥被膜破壊荷重が0.1g/mm2未満であると逆流防止体組成物の混合を防ぐことができない場合があり、20.1g/mm2以上であると乾燥皮膜が塗布液タンクに残る空気を除去を阻害し、脱泡性が悪くなることがある。
塗布液の逆流防止体組成物接触部分に乾燥皮膜を形成させる方法は、乾燥皮膜が形成されれば方法は問わず種々選択できる。具体的には塗布液タンクに塗布液を充填した後、適切な温度、湿度、溶剤雰囲気下で放置する方法や、適切な温度の温風を吹き付けたりする方法などがある。
【0027】
【作用】
塗布液タンク内に塗布液と逆流防止体組成物を配置した塗布具において、塗布液の逆流防止体組成物接触部分に乾燥皮膜を形成させた後、逆流防止体組成物を充填することによって、塗布液と逆流防止体組成物との混合を防止できるのは以下の作用によると考えられる。
塗布液の逆流防止体組成物接触部分に乾燥皮膜を形成させると、塗布液が逆流防止体に押されても塗布液が変形しにくい。つまり塗布液の逆流防止体組成物接触部分の粘度を部分的に上げる事で、粘度が高い塗布液を使用した場合と同様の効果を得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例として修正液を用いて例示するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して塗布液を得た。
【0030】
上記各成分を140〜150℃にて、2時間混合攪拌して逆流防止体組成物を得た。
【0031】
上記塗布液1を内径7mm、長さ70mmの塗布液タンクを持つボールペンに2cc充填し25℃で90分放置した。その後、上記逆流防止体組成物1を0.3cc充填し、遠心機(KOKUSAN H103N(株)コクサン製)で遠心処理(800rpm、10分)を行った。
【0032】
実施例2
上記各成分をボールミルにて24時間分散処理して塗布液を得た。
【0033】
上記各成分をプロペラ型攪拌機で混合、溶解し、逆流防止体組成物を得た。
【0034】
上記塗布液2を実施例1で用いたボールペンと同様のものに2cc充填し50℃で180分放置した。その後、上記逆流防止体組成物2を0.3cc充填し、遠心機(KOKUSAN H103N((株)コクサン製)で遠心処理(800rpm、10分)を行った。
【0035】
実施例3
上記成分を塗布液1と同様になして、塗布液3を得た。
【0036】
実施例1で用いたボールペンと同様のものに上記塗布液3を2cc充填し、温風温度120℃、風速22m/sec、風量1.4m3/minの風を塗布具上部から30cmの高さで3分間当てた後、逆流防止体組成物2を0.2cc充填し、さらに逆流防止体組成物1を0.2cc充填し、実施例1と同様の遠心処理を行った。
【0037】
比較例1
実施例2の塗布液、逆流防止体組成物、塗布具を使用し、塗布液を充填したのち放置せず逆流防止体組成物を充填し、実施例1と同様の遠心処理を行った。
【0038】
単位面積当たりの被膜破壊荷重
レオメーターNRM−2010−CW(不動工業(株)製)にて、円盤形アダプターを用い、架台速度(円盤が塗布液を押す速度)2cm/分で塗布液表面から5mm押し込こむまでの荷重を測定した。使用する円盤形アダプターの面積は軸の形状により選択できるが、塗布液の開放面積に対し50%〜90%に荷重がかかるものを用いる。また単位面積当たり乾燥被膜破壊荷重は、塗布液表面から5mm押し込むまでに表れる最大荷重を使用した円盤形アダプターの面積で割り、100分の1単位で四捨五入して表す。単位面積当たり乾燥皮膜破壊荷重が0gの場合は乾燥皮膜が形成されていないと判断する。
【0039】
塗布液と逆流防止体の混合長さ
塗布液と逆流防止体との混合長さは遠心脱泡を終えた塗布具を軟X線で撮影し、塗布具中で塗布液と逆流防止体が混在している部分の長さをミリ単位で測定する。
以上、実施例1〜3、比較例1で得られた塗布具について、単位面積当たり乾燥皮膜破壊荷重、塗布液と逆流防止体組成物の混合長さについて試験を行った。
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の塗布具は塗布液と逆流防止体組成物との混合を防止できる為、実用上優れた品質を有している。
Claims (2)
- 塗布液タンク内に塗布液と逆流防止体組成物を配置した塗布具において、塗布液の逆流防止体組成物との接触部分に乾燥皮膜を形成させた後、逆流防止体組成物を充填したことを特徴とする塗布具。
- 乾燥皮膜は、単位面積当たりの乾燥被膜破壊荷重が0.1g/mm2以上20.0g/mm2以下であることを特徴とする請求項1記載の塗布具。
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