JP3707139B2 - 移動体の停止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は移動体の停止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図6に示すように、自動倉庫51は左右一対の枠組棚52を備え、各枠組棚52には荷を収納するための複数の収納部53が設けられている。各枠組棚52の間には直線状に延びる走行用レール54が配置され、その走行用レール54に沿ってスタッカクレーン55が走行するようになっている。このスタッカクレーン55によって、各収納部53との間で荷の受渡し及び搬送が行われる。
【0003】
前記走行用レール54には、各収納部53が位置する各連の位置に第1光反射板D1が設けられている。又、走行用レール54にはスタッカクレーン55の走行速度を高速から中速へと減速させる高速カット区間を示す第2光反射板D2、中速から低速へと減速させる区間を示す中速カット区間を示す第3光反射板D3、スタッカクレーン55の走行原点を示す第4光反射板D4、スタッカクレーン55が走行する軌道の終端(ホームポジション)を示す第5光反射板D5が設けられている。又、スタッカクレーン55側にはこれら各第1〜第5光反射板D1〜D5を検出する第1〜第5光センサが設けられている。これら第1〜第5光センサは取付プレートPに取り付けられている。
【0004】
このスタッカクレーン55は、当該スタッカクレーン55側に設けられたクレーンコントローラ56と地上側に設けられた地上コントローラとによって制御される。即ち、地上コントローラはクレーンコントローラ56に作業データを出力し、クレーンコントローラ56は作業データに基づいてスタッカクレーン55を制御する。この場合、クレーンコントローラ56は第2光反射板D2の検出に基づいてスタッカクレーン55が高速カット区間を走行していると判断した場合には、スタッカクレーン55の走行速度を最高走行速度である高速から中速へと減速する。又、クレーンコントローラ56は、第3光反射板D3の検出に基づいてスタッカクレーン55が中速カット区間を走行していると判断した場合には、スタッカクレーン55の走行速度を中速から低速へと減速する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように構成された制御装置では、例えばスタッカクレーン55をホームポジションに停止させる場合、クレーンコントローラ56は高速カット区間にて高速から中速へと減速させ、中速カット区間にて中速から低速へと減速させた後、ホームポジションへ停止させる。従って、スタッカクレーン55の最高走行速度がより速くなると、高速カット区間の長さを長くする必要がある。このため、高速カット区間を指示する指示部材である第2光反射板D2の長さを長くする必要がある。即ち、スタッカクレーン55の最高走行速度に応じた長さの第2光反射板D2を製作しなければならず、手間がかかるという問題がある。
【0006】
又、図6に示すように、スタッカクレーン55が高速カット区間にある位置から高速カット区間の収納部53まで走行する場合には、スタッカクレーン55の最高走行速度は中速となる。従って、荷の搬送効率が低下するという問題がある。
【0007】
例えば有軌道台車Mを直線の軌道に沿って往復動させるようなシャトル式の移動体の場合にも同様の問題がある。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、荷の搬送効率を向上させることが可能な移動体の停止装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1記載の発明は、予め定められた軌道に沿って走行し、荷の搬送を行う移動体と、前記軌道に設けられた移動体の通過時間を計時する計時区間における移動体の許容される最短の通過時間である最短通過時間を記憶する記憶手段と、前記計時区間を移動体が通過するために要する実通過時間を計時する計時手段と、前記最短通過時間と実通過時間とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて実通過時間が最短通過時間よりも短い場合には、移動体を緊急停止させる緊急停止手段とを備え、前記移動体は自動倉庫に設けられたクレーン装置であって、前記クレーン装置は自動倉庫の軌道に沿って走行し、自動倉庫の収納部との間で荷の受渡しを行うことにより荷役作業を行うものであり、前記計時区間は、軌道に設けられたクレーン装置の所定の停止可能な停止位置間の区間であって該区間のうち軌道の終端に向かう区間を除く第1区間と、該軌道の終端に向かう区間に複数設けられた第2区間とを備え、各第2区間の長さをクレーン装置が走行基準位置に停止するための減速走行を行う場合に、その通過時間が一定となるように設定したことをその要旨とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記クレーン装置は前記記憶手段、計時手段、比較手段及び緊急停止手段を備えるとともに、クレーン装置に荷役作業を指示する作業データに基づいてクレーン装置の各走行位置に対する走行速度を演算し、その走行速度に基づいて前記最短通過時間を演算する最短時間演算手段を備えたことをその要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記軌道の各停止位置には当該停止位置を特定するための停止位置特定部材が設けられ、クレーン装置には停止位置特定部材を検出するための停止位置検出手段が設けられるとともに、前記停止位置検出手段による停止位置特定部材の検出に基づいて停止位置を特定することをその要旨とする。
【0014】
従って、請求項1記載の発明によれば、移動体は予め定められた軌道に沿って走行し、荷の搬送を行う。この移動体の走行時において計時手段は計時区間での実通過時間を計時する。そして、比較手段は計時した実通過時間と記憶手段に記憶された最短通過時間とを比較する。緊急停止手段は、比較手段の比較結果に基づいて実通過時間が最短通過時間よりも短い場合には、移動体を緊急停止させる。
【0015】
また、前記移動体は自動倉庫に設けられたクレーン装置であって、前記クレーン装置は自動倉庫の軌道に沿って走行し、自動倉庫の収納部との間で荷の受渡しを行うにより荷役作業を行う。この場合、緊急停止手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて実通過時間が最短通過時間よりも短い場合には、クレーン装置を緊急停止させる。また、前記計時区間は、軌道に設けられたクレーン装置が停止可能な停止位置間の区間であって該区間のうち軌道の終端に向かう区間を除く第1区間を備える。例えば第1区間は各収納部間の区間であって、計時手段は第1区間を通過する毎に通過時間を演算する。また、前記計時区間は、軌道の走行終端位置に向かう区間に複数設けられた第2区間を備える。各第2区間の長さは、クレーン装置が走行終端位置に停止するための減速走行を行う場合に、各第2区間の通過時間が同一となるように設定されている。従って、各第2区間での最短通過時間を同一とすることができるので、比較手段は計時手段が計時した各第2区間での通過時間を、同一の最短通過時間と比較する。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、前記クレーン装置は前記記憶手段、計時手段、比較手段及び緊急停止手段を備えているので、前記クレーン装置を緊急停止させる制御はクレーン装置側で行われる。又、前記最短通過時間は最短時間演算手段にて演算され、前記記憶手段に記憶される。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、前記軌道の各停止位置には当該停止位置を特定するための停止位置特定部材が設けられ、クレーン装置には停止位置特定部材を検出するための停止位置検出手段が設けられている。この場合、前記停止位置検出手段による停止位置特定部材の検出に基づいて停止位置を特定する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動倉庫のクレーン装置に具体化した一実施の形態を図1〜図4に従って説明する。
【0021】
図1は、工場等に設置される自動倉庫1を示している。自動倉庫1の左右両側には一対の枠組棚2a,2bが形成され、各枠組棚2a,2bには荷を収納するための複数の収納部3が形成されている。収納部3は、上下方向に延びる段方向及び前後方向に延びる連方向にそれぞれ複数形成されている。各枠組棚2a,2b間には軌道を構成する走行用レール4が直線状に敷設されている。この走行用レール4には移動体及びクレーン装置としてのスタッカクレーン5が走行可能に設けられている。スタッカクレーン5は走行台6と、走行台6の前後両側に立設されたマスト7と、当該マスト7間を昇降する昇降キャリッジ8等とから構成されている。
【0022】
走行台6の後側には、走行モータ9及び昇降モータ10が設けられるとともに、前側には比較手段、緊急停止手段及び最短時間演算手段としてのクレーンコントローラ11が設けられている。走行台6の前後両側には走行輪12,13が設けられ、走行用レール4の上面、即ち、走行面4aを転動するようになっている。この場合、スタッカクレーン5は、走行モータ9によって後側の走行輪13が駆動されることにより走行用レール4に沿って走行するようになっている。スタッカクレーン5は、走行用レール4の各端側にそれぞれ設定された走行基準位置としてのホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間を走行するようになっている。即ち、ホームポジションHPとオポジットポジションOPとの間がスタッカクレーン5の走行区間となっている。又、昇降キャリッジ8は昇降モータ10の駆動に基づいて昇降するようになっている。
【0023】
前記走行用レール4は断面I字型に形成され、その上面が前記走行面4aを形成している。図2に示すように、走行用レール4の側面には、上下に複数段(本実施の形態では上下に例えば3段)の第1〜第3溝が形成されている。各第1〜第3溝にはスタッカクレーン5の走行を制御するための停止位置特定部材としての第1〜第3光反射板R1〜R3が取着される。
【0024】
第1光反射板R1は第1溝において各収納部3の各連の位置に配設され、各連の位置を特定する。
第2光反射板R2は第2溝においてホームポジションHP及びオポジットポジションOPと対応する位置に配設され、ホームポジションHP及びオポジットポジションOPの位置を特定する。
【0025】
第3光反射板R3は第3溝において各ホームポジションHP及びオポジットポジションOP側の終端を示す位置に配設され、各ホームポジションHP及びオポジットポジションOP側の終端を示す。尚、本実施の形態において、停止位置とは、各収納部3に対応する連の位置、ホームポジションHP、オポジットポジションOP及び終端の位置等である。
【0026】
又、走行用レール4の前端(ホームポジションHP側の端部)にはストッパ14が、後端(オポジットポジション側の端部)にはストッパ15が設けられている。これらストッパ14,15にて、スタッカクレーン5が走行用レール4から外れることを防止している。
【0027】
スタッカクレーン5の走行台6には、取付プレート16が取り付けられている。この取付プレート16は走行台6の側方に、走行用レール4と対向するように取り付けられている。この取付プレート16の内側(走行用レール4側)には、前記第1〜第3光反射板R1〜R3(図4参照)を検出するための停止位置検出手段としての第1〜第3光センサS1〜S3が上から順番に取り付けられている。各第1〜第3光センサS1〜S3はスタッカクレーン5の長手方向における中央位置(以下、「クレーン中央位置」という。)に設けられている。即ち、各第1〜第3光センサS1〜S3はクレーン中央位置に上下一列に配設されている。
【0028】
第1〜第3光センサS1〜S3は、その発光部から光を発光し、対応する光反射板R1〜R3からの反射光を受光部が受光することにより、光反射板R1〜R3を検出するようになっている。即ち、第1光センサS1は光反射板R1を検出し、第2光センサS2は光反射板R2を検出し、第3光センサS3は光反射板R3を検出する。
【0029】
前記走行台6には、走行用レール4の走行面4aを転動する転動輪17aを備えたエンコーダ17が設けられている。即ち、エンコーダ17は転動輪17aの回転に基づいてスタッカクレーン5の走行位置を計測するようになっている。更に、走行台6の前部には、光通信器Haが取り付けられている。
【0030】
又、図1に示すように、走行用レール4の前方位置には、スタッカクレーン5を手動又は自動で操作・制御するための地上制御盤20が設置されている。地上制御盤20には、地上コントローラ21、キーボード22、ディスプレイ23及び光通信器Hb等が設けられ、これら光通信器Ha,Hbを介して地上制御盤20はクレーンコントローラ11と通信可能になっている。
【0031】
次に、移動体の停止装置の電気的構成について図4に従って説明する。
地上コントローラ21はCPU(中央処理演算装置)等からなり、メモリ21aを備えている。地上コントローラ21にはキーボード22及びディスプレイ23が接続されている。又、地上コントローラ21には光通信器Hbが接続され、地上コントローラ21とクレーンコントローラ11とは光通信器Ha,Hbを介して通信可能となっている。この場合、例えば地上コントローラ21はスタッカクレーン5に入庫又は出庫作業等を行わせるための作業データをクレーンコントローラ11に出力するようになっている。
【0032】
地上制御盤20には、電源を供給するための電源装置25が設けられている。電源装置25は地上コントローラ21からの指令に基づいてオン・オフされ、電源装置25がオンされると、電源をクレーンコントローラ11側へ供給する。電源装置25がオフされると、クレーンコントローラ11側への電源の供給を中止する。
【0033】
クレーンコントローラ11はCPU等からなり、各種データを記憶する記憶手段としてのメモリ11a及び時間の計時を行う計時手段としてのタイマ11bを備えている。クレーンコントローラ11は地上コントローラ21からの作業データに基づいてスタッカクレーン5の走行及び昇降キャリッジ8の昇降等を制御して荷の入庫又は出庫作業を行わせる。
【0034】
クレーンコントローラ11は、前記走行モータ9及び昇降モータ10等に電源を供給するための三相交流電源からなる電源装置31と接続され、クレーンコントローラ11は電源装置31を制御するようになっている。この電源装置31は、走行用レール4に沿って床面に配設された給電トロリー線Uを介して地上側の電源装置25に接続されている。即ち、電源装置31には、地上制御盤5の電源側から電源が供給される。
【0035】
電源装置31には、インバータ32及びスイッチ33を介して前記走行モータ9が接続されている。又、これらインバータ32及びスイッチ33はクレーンコントローラ11に接続されている。クレーンコントローラ11は、インバータ32を制御することにより、走行モータ9に供給される電源を制御するようになっている。即ち、スタッカクレーン5の走行速度及び走行方向を制御するようになっている。この場合、クレーンコントローラ11は、スイッチ33をオンすることにより、インバータ32からの電源を走行モータ9に供給し、スイッチ33をオフすることによりインバータ32からの電源の供給を中止する。
【0036】
電源装置31にはスイッチ34を介して電磁ブレーキ35が接続されている。電磁ブレーキ35は走行モータ9に機械的に制動をかけるブレーキである。又、スイッチ34はクレーンコントローラ11に接続されている。クレーンコントローラ11がスイッチ34をオンし、電源が電磁ブレーキ35に供給されている時には、電磁ブレーキ35は作動せず、走行モータ9に制動をかけない。クレーンコントローラ11がスイッチ34をオフし、電源が電磁ブレーキ35に供給されていない時には、電磁ブレーキ35が作動して走行モータ9に制動をかける。
【0037】
通常、クレーンコントローラ11は、スイッチ33,34を共にオフして、インバータ32からの電源の供給を中止するとともに、電磁ブレーキ35にて制動をかけることにより、スタッカクレーン5を例えば目的の収納部3に対応する連方向の位置、ホームポジションHP及びオポジットポジションOP等に正常に停止させる。
【0038】
電源装置31にはインバータ36及びスイッチ37を介して前記昇降モータ10が接続されている。又、これらインバータ36及びスイッチ37はクレーンコントローラ11に接続されている。クレーンコントローラ11は、インバータ36を制御して、昇降モータ10に供給される電源を制御するようになっている。即ち、スタッカクレーン5の昇降速度及び昇降方向を制御するようになっている。この場合、クレーンコントローラ11が、スイッチ37をオンすることにより、インバータ36からの電源が昇降モータ10に供給され、スイッチ37をオフすることにより電源の供給が中止される。
【0039】
電源装置31には、スイッチ38を介して電磁ブレーキ39が接続されている。電磁ブレーキ39は昇降モータ10に機械的に制動をかけるブレーキである。又、スイッチ38はクレーンコントローラ11に接続されている。クレーンコントローラ11がスイッチ38をオンし、電源が電磁ブレーキ39に供給されている時には、電磁ブレーキ39は作動せず、昇降モータ10に制動をかけない。クレーンコントローラ11がスイッチ38をオフし、電源が電磁ブレーキ39に供給されていない時には、電磁ブレーキ39が作動して昇降モータ10に制動をかける。
【0040】
尚、前記電磁ブレーキ35,39への電源の供給を制御するスイッチ34,38のオン・オフは、クレーンコントローラ11内のCPUとは別に設けられたリレー等からなるハード回路によって行われる。
【0041】
通常、クレーンコントローラ11は、スイッチ37,38を共にオフして、インバータ36からの電源の供給を中止するとともに、電磁ブレーキ39にて制動をかけることにより、昇降キャリッジ8を例えば目的の収納部3と対応する段方向の位置等に正常に停止させる。
【0042】
クレーンコントローラ11は、地上コントローラ21からの作業データに基づいてスタッカクレーン5の走行速度を演算し、その走行速度に基づいてインバータ32を介して走行モータ9を駆動制御し、スタッカクレーン5を走行させる。クレーンコントローラ11は、地上コントローラ21からの作業データに基づいて昇降キャリッジ8の昇降速度を演算し、その昇降速度に基づいてインバータ36を介して昇降モータ10を駆動制御し、昇降キャリッジ8を昇降させる。
【0043】
更に、クレーンコントローラ11は、電源装置31のオン・オフを行うようになっている。電源装置31がオンしているとは、地上側からの電源を電源装置31は走行及び昇降モータ9,10並びに電磁ブレーキ35,39側に供給可能な状態である。電源装置31がオフしているとは、電源装置31が地上側からの電源を走行及び昇降モータ9,10並びに電磁ブレーキ35,39に供給できない状態である。
【0044】
例えば、クレーンコントローラ11は、電源装置31をオフすることにより、スタッカクレーン5を緊急停止として非常停止させる。このスタッカクレーン5の非常停止時には、電源装置31からの電源の供給が中止されるので、走行及び昇降モータ9,10が停止するとともに、電磁ブレーキ35,39が作動する。従って、走行及び昇降モータ9,10の回転が停止され、スタッカクレーン5が停止する。
【0045】
クレーンコントローラ11にはエンコーダ17及び第1〜第3光センサS1〜S3が接続されている。
クレーンコントローラ11は、エンコーダ17からの信号に基づいてスタッカクレーン5のホームポジションHPからの走行位置を演算するとともに、スタッカクレーン5の走行速度を演算するようになっている。
【0046】
第1〜第3光センサS1〜S3は対応する第1〜第3光反射板R1〜R3を検出すると、その旨を示す検出信号をクレーンコントローラ11に出力するようになっている。
【0047】
クレーンコントローラ11は、第1光センサS1からの検出信号に基づいて自動倉庫1の収納部3の各連の位置を判断するようになっている。連の位置とは、その連に位置する収納部3に対して荷の受渡しを行うことが可能な位置であり、例えば第1光センサS1の検出部が第1光反射板R1の連方向における中央位置にある時の位置である。この場合、クレーンコントローラ11は、例えば第1光センサS1からの検出信号に基づいて、ホームポジションHPからの第1光反射板R1の数をカウントすることにより、その第1光反射板R1がどの連を示すかを判断し、その連の位置を判断するようになっている。
【0048】
クレーンコントローラ11は、第2光センサS2からの検出信号に基づいてスタッカクレーン5がホームポジションHP又はオポジットポジションOPに位置すると判断する。即ち、クレーンコントローラ11は、例えば第2光センサS2の検出部が第2光反射板R2の中央位置にある時の位置、スタッカクレーン5はホームポジションHP又はオポジットポジションOPに位置すると判断するようになっている。この時、例えばクレーンコントローラ11は、エンコーダ17からの信号に基づいて演算した走行位置に従ってスタッカクレーン5がホームポジションHP又はオポジットポジションOPのいずれ側に位置するかを判断する。
【0049】
クレーンコントローラ11は、作業データに基づいてスタッカクレーン5の走行先である目的の収納部3が位置する連、又は、ホームポジションHP及びオポジットポジション等の位置を判断し、スタッカクレーン5の現在の走行位置(現在位置)から走行先までの各走行位置における走行速度を演算し、各走行速度をメモリ11aに記憶するようになっている。即ち、クレーンコントローラ11は、現在位置から走行先までの各走行位置での走行速度を示す走行速度パターンPを演算(作成)し、メモリ11aに記憶するようになっている。そして、クレーンコントローラ11はその走行速度パターンPに従ってスタッカクレーン5を走行させるようになっている。図3は、走行速度パターンPの一例であって、スタッカクレーン5の現在位置である第6連の位置から走行先であるホームポジションHPの位置までの走行速度を示す走行速度パターンPを示している。
【0050】
クレーンコントローラ11は、走行速度パターンPに従って、現在位置から走行先までの間で、隣接する連の位置間並びに最前連の位置とホームポジションとの間及び最後連の位置とオポジットポジションOPとの間を通過する時の最短の時間である最短通過時間Tを演算し、それら各最短通過時間Tをメモリ11aに記憶するようになっている。この場合、隣接する連の位置間並びに最前連の位置とホームポジションとの間及び最後連の位置とオポジットポジションOPとの間が計測区間となる。即ち、メモリ11aにはスタッカクレーン5が走行する各計測区間での最短通過時間Tが記憶される。
【0051】
クレーンコントローラ11は、スタッカクレーン5の走行時において、第1光センサR1からの検出信号に基づいて隣接する連の位置間並びに最前連とホームポジションとの間及び最後連とオポジットポジションとの間を通過する通過時間(以下、「実通過時間」という。)Xをタイマ11bによる計時に基づいて判断するようになっている。
【0052】
クレーンコントローラ11は、第1光センサR1からの検出信号に基づいて計時した実通過時間Xとメモリ11aに記憶された対応する最短通過時間Tとを比較し、実通過時間Xが最短通過時間Tよりも短い場合には、クレーンコントローラ11はスタッカクレーン5を非常停止させるようになっている。
【0053】
次に、移動体の停止装置の作用及び効果について説明する。
地上コントローラ21は、入庫又は出庫の搬送計画等に従って作業データを作成し、その作業データをクレーンコントローラ11に出力する。クレーンコントローラ11は、作業データに従って、現在位置から走行先である例えば収納部3又はホームポジションHP等までの走行速度パターンを演算し、メモリ11aに記憶する。
【0054】
例えば図3に示すスタッカクレーン5の現在位置(第6連の位置)から走行先であるホームポジションHPまでの走行速度パターンPの場合には、クレーンコントローラ11は、走行速度パターンPに従って第6連の位置から第5連の位置までの最短通過時間T5、第5連の位置から第4連の位置までの最短通過時間T4、第4連の位置から第3連の位置までの最短通過時間T3、第3連の位置から第2連の位置までの最短通過時間T2、第2連の位置から第1連の位置までの最短通過時間T1、第1連の位置からホームポジションHPまでの最短通過時間THPを演算し、メモリ11aに記憶する。
【0055】
そして、クレーンコントローラ11は、前記走行速度パターンPに従ってスタッカクレーン5を走行させる。クレーンコントローラ11は、各連の位置を通過する毎に、先に通過した連の位置と現在通過した連の位置との間の実通過時間Xを演算し、その実通過時間Xと対応する最短通過時間Tとを比較する。
【0056】
例えば図3に示す走行速度パターンPにおいて、第5連の位置を通過すると、クレーンコントローラ11は、第6連の位置と第5連の位置との間の実通過時間X5を演算し、実通過時間X5と最短通過時間T5とを比較する。第4連を通過すると、クレーンコントローラ11は、第5連の位置と第4連の位置との間の実通過時間X4を演算し、実通過時間X4と最短通過時間T4とを比較する。第3連を通過すると、クレーンコントローラ11は、第4連の位置と第3連の位置との間の実通過時間X3を演算し、実通過時間X3と最短通過時間T3とを比較する。第2連を通過すると、クレーンコントローラ11は、第3連の位置と第2連の位置との間の実通過時間X2を演算し、実通過時間X2と最短通過時間T2とを比較する。第1連を通過すると、クレーンコントローラ11は、第2連の位置と第1連の位置との間の実通過時間X1を演算し、実通過時間X1と最短通過時間T1とを比較する。第2光センサS2からの検出信号を入力すると、クレーンコントローラ11は、第1連の位置とホームポジションとの間の実通過時間XHPを演算し、実通過時間XHPと最短通過時間THPとを比較する。
【0057】
そして、クレーンコントローラ11は、前記各実通過時間Xと最短通過時間Tとの比較時において、実通過時間Xが最短通過時間Tよりも長時間である場合には、スタッカクレーン5を前記走行速度パターンPに従って走行させる。又、実通過時間Xが最短通過時間Tよりも短時間である場合には、スタッカクレーン5を非常停止走行させる。
【0058】
上記実施の形態によれば、以下(イ)〜(ホ)に示す効果を有する。
(イ)クレーンコントローラ11は、各計測区間毎にメモリ11aに記憶された最短通過時間Tと、実通過時間Xとを比較することにより、容易且つ確実にスタッカクレーン5の走行速度異常を判断することができる。この場合、クレーンコントローラ11は実際に計測した実通過時間Xに基づいてスタッカクレーン5の速度異常を判断するので、クレーンコントローラ11からは正常な走行速度を示す指令が出力されているにも関わらず、スタッカクレーン5の走行速度が異常である場合(例えば減速しなかったことによる走行速度の異常の場合等)にも、クレーンコントローラ11は確実にスタッカクレーン5を非常停止させることができる。しかも、スタッカクレーン5の走行速度を計測区間の実通過時間Xにて容易に判断できる。
【0059】
(ロ)従来例のように、高速及び中速カット区間等の速度カット区間を設定することなく、各計測区間毎にメモリ11aに記憶された最短通過時間Tと、実通過時間Xとを比較することにより、スタッカクレーン5の速度異常を検出する。従って、従来のように各速度カット区間での走行時における制約、例えば高速カット区間内での走行の場合には、中速以上の走行速度を出すことができないという制約がないので、スタッカクレーン5による荷の搬送を効率良く行うことができる。即ち、自動倉庫1での入出庫作業等による荷の搬送を効率良く行うことができる。
【0060】
(ハ)クレーンコントローラ11は、地上コントローラ21からの荷役作業を指示する作業データに基づいて走行速度パターンPを作成し、その走行速度パターンPに基づいて各計測区間での最短通過時間Tを演算する。従って、クレーンコントローラ11は、荷役作業に応じた各計測区間での最短通過時間Tを迅速に演算することができ、メモリ11aに記憶することができる。更に、クレーンコントローラ11がメモリ11aに記憶した最短通過時間Tと実通過時間Xとを比較し、実通過時間Xの方が短い場合にはスタッカクレーン5を非常停止させるので、迅速にスタッカクレーン5を非常停止させることができる。
【0061】
(ニ)クレーンコントローラ11は、隣接する連の位置(収納部3)間、ホームポジションHPと最前連の位置間及びオポジットポジションOP間と最後連の位置間を計測区間として、連の位置等の通過毎に実通過時間Xを計測し、その実通過時間Xと最短通過時間Tとの比較を行い、スタッカクレーン5の速度異常を判別する。即ち、スタッカクレーン5の走行時において各連の位置の通過毎にクレーンコントローラ11は、スタッカクレーン5の走行速度異常を判断するので、頻繁にスタッカクレーン5の走行速度異常を判断でき、より正確にスタッカクレーン5を制御できる。
【0062】
(ホ)クレーンコントローラ11は、軌道上において、各連の位置、ホームポジションHP及びオポジットポジションOPに第1,第2光反射板R1,R2が配置されている。従って、第1,第2光センサS1,S2による第1,第2光反射板R1,R2の検出に基づいて、クレーンコントローラ11は容易且つ確実に各連の位置、ホームポジションHP及びオポジットポジションOPを判断でき、確実に実通過時間Xを判断できる。
【0063】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更して次のように実施することもできる。
(1)上記実施の形態において、図5に示すように、ホームポジションHP付近における走行用レール4に、複数の速度異常判定板Pa〜Pdを連方向に取着する。スタッカクレーン5には、速度異常判定板Paを検出する判定用センサを設ける。各速度異常判定板Pa〜Pdの長さは、ホームポジションHPに近い速度異常判定板Pa程、短くすることによって、スタッカクレーン5のホームポジションHPへ停止するための減速走行時における各速度異常判定板Pa〜Pdの通過時間(実通過時間)Xを同一時間(例えば500msec)となる長さとなるように設定されている。この場合、メモリ11aには、全速度異常判定板Pa〜Pdに対して共通(同一)の最短通過時間Tが記憶される。従って、クレーンコントローラ11は、各速度異常判定板Pa〜Pdの通過毎に、各速度異常判定板Pa〜Pdの実通過時間Xと、同一の最短通過時間Tとを比較し、実通過時間Xの方が短い場合には、スタッカクレーン5を非常停止させる。即ち、クレーンコントローラ11は同一の最短通過時間Tと、計測した実通過時間Xとを比較すればよいので、最短通過時間Tと実通過時間Xとの比較を容易に行うことができる。
【0064】
(2)上記実施の形態では、第1〜第3光反射板R1〜R3にて連の位置等を特定したが、停止位置特定部材として光を遮蔽するプレートからなるドグを使用して連の位置等を特定してもよい。この場合、停止位置検出手段は光センサS1〜S3に代えて前記ドグを検出するドグセンサが使用される。
【0065】
(3)上記実施の形態では、クレーンコントローラ11は作業データに基づいて走行速度パターンPを演算し、その走行速度パターンPに基づいて各計測区間毎の最短通過時間Tを演算し、メモリ11aに記憶した。これを、例えばクレーンコントローラ11のメモリ11aに図示しない操作手段を使用して各最短通過時間Tを記憶させるように構成してもよい。
【0066】
(4)上記実施の形態では、クレーンコントローラ11のメモリ11aに各計測区間毎の最短通過時間Tを記憶させ、クレーンコントローラ11が最短通過時間Tと実通過時間Xとの比較を行った。これを、例えば地上側、即ち、地上コントローラ21が作業データに基づいて走行速度パターンPを演算し、その走行速度パターンPに従って最短通過時間Tを演算し、メモリ21aに記憶させる。そして、クレーンコントローラ11側から光通信器Ha,Hbに基づいて通信された実通過時間Xと、メモリ21aに記憶された最短通過時間Tとを地上コントローラ21が比較する。地上コントローラ21は、実通過時間Xの方が短い場合には、クレーンコントローラ11にスタッカクレーン5を非常停止させる旨の信号を出力する。
【0067】
(5)上記実施の形態では、クレーンコントローラ11は、実通過時間Xが最短通過時間Tよりも短い場合には、スタッカクレーン5を緊急停止として非常停止させたが、正常に停止させてもよい。
【0068】
(6)上記実施の形態において、スタッカクレーン5の緊急停止として、地上コントローラ21側の電源装置25をオフすることによりスタッカクレーン5を非常停止させてもよい。
【0069】
(7)上記実施の形態において、移動体として例えば直線の軌道に沿って往復動するシャトル式の有軌道台車に応用してもよい。
上記実施の形態から把握される技術思想を以下に効果とともに記載する。
【0070】
前記停止位置は、収納部の連方向の位置を特定する連の位置並びにホームポジションHP及びオポジットポジションOPである。この停止装置によれば、各連の位置毎に通過時間を計測し、スタッカクレーン5の速度異常を判断できるので、より正確にスタッカクレーン5を制御できる。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように各請求項記載の発明によれば、実通過時間と最短通過時間とを比較し、実通過時間の方が短い場合には、移動体を緊急停止させるので、容易且つ確実に移動体の速度異常時には、移動体を緊急停止させることができる。更に、実通過時間と最短通過時間との比較に基づいて移動体の速度異常を検出するので、例えば速度カット区間を設ける必要が無く、荷の搬送効率を向上させることができる。
【0072】
また、クレーン装置による荷の搬送効率を向上させることができる。また、例えば連の位置等の停止位置間毎に頻繁にクレーン装置の速度異常を判断できるので、より正確にクレーン装置を制御できる。また、各第2区間での最短通過時間を同一とすることができるので、比較手段は計時手段が計時した各第2区間での実通過時間を、同一の最短通過時間と比較でき、その通過時間と最短通過時間の比較を容易に行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、記憶手段、比較手段、緊急停止手段及び最短時間演算手段はクレーン装置側に設けられているので、当該比較手段の比較結果に基づいてクレーン装置を非常停止させることができる。
【0073】
請求項3記載の発明によれば、停止位置特定部材及び停止位置検出手段に基づいて確実にクレーン装置の停止位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動倉庫を示す斜視図。
【図2】 自動倉庫を示す側面図。
【図3】 走行速度パターンを示す説明図。
【図4】 自動倉庫のスタッカクレーンを制御するための電気ブロック図。
【図5】 別例におけるスタッカクレーンの各走行位置と走行速度とを示す説明図。
【図6】 従来例における自動倉庫の側面図。
【符号の説明】
1…自動倉庫、3…収納部、4…軌道を構成する走行用レール、5…移動体及びクレーン装置としてのスタッカクレーン、11…比較手段、緊急停止手段及び最短時間演算手段としてのクレーンコントローラ、11a…記憶手段としてのメモリ、11b…計時手段としてのタイマ、T…最短通過時間、X…実通過時間、R1〜R3…停止位置特定部材としての第1〜第3光反射板、S1〜S3…停止位置検出手段としての第1〜第3光センサ。
Claims (3)
- 予め定められた軌道に沿って走行し、荷の搬送を行う移動体と、
前記軌道に設けられた移動体の通過時間を計時する計時区間における移動体の許容される最短の通過時間である最短通過時間を記憶する記憶手段と、
前記計時区間を移動体が通過するために要する実通過時間を計時する計時手段と、
前記最短通過時間と実通過時間とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて実通過時間が最短通過時間よりも短い場合には、移動体を緊急停止させる緊急停止手段とを備え、
前記移動体は自動倉庫に設けられたクレーン装置であって、前記クレーン装置は自動倉庫の軌道に沿って走行し、自動倉庫の収納部との間で荷の受渡しを行うことにより荷役作業を行うものであり、
前記計時区間は、軌道に設けられたクレーン装置の所定の停止可能な停止位置間の区間であって該区間のうち軌道の終端に向かう区間を除く第1区間と、該軌道の終端に向かう区間に複数設けられた第2区間とを備え、各第2区間の長さをクレーン装置が走行基準位置に停止するための減速走行を行う場合に、その通過時間が一定となるように設定した移動体の停止装置。 - 前記クレーン装置は前記記憶手段、計時手段、比較手段及び緊急停止手段を備えるとともに、クレーン装置に荷役作業を指示する作業データに基づいてクレーン装置の各走行位置に対する走行速度を演算し、その走行速度に基づいて前記最短通過時間を演算する最短時間演算手段を備えた請求項1記載の移動体の停止装置。
- 前記軌道の各停止位置には当該停止位置を特定するための停止位置特定部材が設けられ、クレーン装置には停止位置特定部材を検出するための停止位置検出手段が設けられるとともに、前記停止位置検出手段による停止位置特定部材の検出に基づいて停止位置を特定する請求項1又は2記載の移動体の停止装置。
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