以下に、本発明の実施形態における自動倉庫の搬送車ついて、図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
また、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
まず、図1および図2を用いて、本発明の実施の形態における自動倉庫1およびスタッカクレーン30の構成概要を説明する。
図1は、実施の形態における自動倉庫1の構成概要を示す斜視図である。
図2は、実施の形態におけるスタッカクレーン30の構成概要を示す正面図である。なお、図2では、自動倉庫1が備えるラック200の図示は省略されている。
図1に示すように、実施の形態における自動倉庫1は、複数の荷物10を収容可能なラック200と、スタッカクレーン30とを備える。
スタッカクレーン30は、搬送車の一例である。本実施の形態では、スタッカクレーン30は、図1および図2に示すように、下部台車32および上部台車33と、下部台車32および上部台車33を接続する2本のマスト31と、2本のマスト31に沿って昇降する昇降台35とを備える。
下部台車32は、例えば床面に設置された下レール12に沿って走行する台車であり、上部台車33は、例えば天井面に設置された上レール13に沿って走行する台車である。
下部台車32には、走行駆動装置70が配置されており、走行駆動装置70によって、スタッカクレーン30の走行が駆動される。なお、下部台車32と上部台車33は同期して移動し、これにより、2本のマスト31は鉛直方向と略平行な姿勢に維持される。
昇降台35には、荷物10の移載を行う移載装置40が設置されている。本実施の形態における移載装置40は、スライドフォーク59によって荷物10の移載を行う装置である。スライドフォーク59は、出退部材の一例であり、例えばトッププレート、ミドルプレートおよびベースプレートで構成されるテレスコピック構造により、ラック200の方向に出退(伸縮)する。
昇降台35は、ワイヤロープで懸吊され、昇降駆動装置60が有する昇降用モータの回転に応じて、2本のマスト31にガイドされながら昇降する。
スタッカクレーン30は、軌道(下レール12および上レール13)に沿って走行し、昇降台35を昇降させ、かつ、移載装置40のスライドフォーク59を出退させる。スタッカクレーン30は、このような動作により、荷物10の搬送およびラック200およびステーション210等の間での荷物10の受け渡し(移載)を行うことができる。
なお、ステーション210は、荷物10の一時的な載置場所である。例えば、ラック200に収容されている荷物10は、スタッカクレーン30によってラック200から取り出されて搬送され、一時的にステーション210に置かれた後に、自動倉庫1の外部に運び出される。
スタッカクレーン30では、具体的には、スタッカクレーン30が備える制御装置80からの制御信号に従って、各種の駆動装置が動作し、これにより、荷物10の搬送作業(荷物10の搬送およびラック200等との間の荷物10の移載を含む)が実行される。
ラック200は、複数の支柱201を備える構造体であり、一対の支持部材で構成される棚202を複数備えている。一対の支持部材のそれぞれは、前後2本の支柱201に架橋状に設置されている。
スタッカクレーン30によって搬入された荷物10は、ラック200の前面からラック200に収容される。また、ラック200に収容された荷物10は、スタッカクレーン30によって、ラック200の前面から取り出される。
より詳細には、棚202を構成する一対の支持部材の間を、移載装置40のスライドフォーク59が上下方向に通過することで、棚202への荷物10の載置、または、棚202に載置された荷物10の取り出しのための荷物10の持ち上げが実行される。
なお、「ラック200の前面」とは、ラック200の、スタッカクレーン30の経路側の面であり、本実施の形態では、ラック200におけるY軸負の側の面(図1における奥側の面)である。
上記構成を備える自動倉庫1において、スタッカクレーン30は、外部から供給される電力(外部電力)によって動作する。本実施の形態では、例えば、下部台車32の側方に配置されたトロリー線15(図2では、点線で概念的に表示)から供給される外部電力により、スタッカクレーン30の走行、昇降台35の昇降、およびスライドフォーク59の出退等の動作が駆動される。
具体的には、スタッカクレーン30は集電子(図示せず)と接続されており、集電子がトロリー線15と接触した状態を維持しながら移動することで、スタッカクレーン30は、走行中にトロリー線15からの給電(トロリー給電)を受けることができる。
また、本実施の形態におけるスタッカクレーン30は、特徴的な構成要素として、蓄電装置90を備えている。
蓄電装置90は、簡単にいうと、トロリー給電で停電等の問題が発生した場合において、スライドフォーク59の動作のためだけに電力を供給するようにスタッカクレーン30に備えられた蓄電装置である。
以下、上記構成を有するスタッカクレーン30の、電力供給に関する構成について図3〜図5を用いて説明する。
まず、図3を用いて、実施の形態におけるスタッカクレーン30の電力供給に関する基本的な構成概要を説明する。
図3は、実施の形態におけるスタッカクレーン30の基本的な構成を示すブロック図である。なお、図3において、点線の矢印は電気の流れを示し、実線の矢印は情報(信号)の流れを示している。
図3に示すように、スタッカクレーン30に供給される外部電力は、移載装置40、制御装置80、走行駆動装置70、および蓄電装置90に供給される。
移載装置40は、出退することで荷物10の移載を行うスライドフォーク59、および、スライドフォーク59の出退を駆動する出退駆動装置50を有する。
出退駆動装置50は、第一駆動装置の一例であり、本実施の形態では、スライドフォーク59の出退を駆動するモータおよび当該モータへの給電のためのインバータを含む装置である。
走行駆動装置70は、第二駆動装置の一例であり、本実施の形態では、スタッカクレーン30の走行を駆動するモータおよび当該モータへの給電のためのインバータを含む装置である。
制御装置80は、少なくとも出退駆動装置50の動作を制御する装置である。本実施の形態では、制御装置80は、上述のように、スライドフォーク59の出退を含め、スタッカクレーン30の各種の動作を制御する。具体的には、制御装置80は、制御装置80と有線または無線で通信する上位コントローラ(図示せず)からの指示に応じて、スタッカクレーン30の各種の動作を制御する。
蓄電装置90は、例えば、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタ等の二次電池を1以上有し、外部電力によって充電される。
本実施の形態において、蓄電装置90は、出退駆動装置50および制御装置80に電力を供給し、走行駆動装置70に走行のための電力を供給しない。具体的には、本実施の形態では、走行駆動装置70に蓄電装置90が電気的に接続されていないことにより、走行駆動装置70に蓄電装置90からの電力は供給されない。
つまり、外部電力の供給において、停電または瞬低(停電等)が発生した場合、走行駆動装置70は、電力の供給が途絶えることにより、または、所定の電圧低下状態が所定の期間を超えて継続したことにより、動作を停止する。なお、「停電」には、瞬時停電(瞬停)も含まれる。
その一方で、出退駆動装置50と、出退駆動装置50を制御する制御装置80とには、蓄電装置90から電力が供給されている。そのため、仮に、スライドフォーク59が進出した(伸びた)状態であっても、スライドフォーク59の、移載装置40における正規の位置まで戻る(縮める、退避させる)動作は実行される。
このように、スライドフォーク59の動作は、蓄電装置90によってバックアップされるため、停電等の問題が発生した場合、スタッカクレーン30による搬送作業としては中断されることになるが、スライドフォーク59の動作は継続して実行される。
すなわち、蓄電装置90は、荷物10が載置された状態のスライドフォーク59を、正規の位置まで戻す動作を一回だけ実行できる程度の電力が蓄積可能であればよい。そのため、例えば、スタッカクレーン30全体の動作を可能とするような大容量のバッテリではなく、比較的に小さな容量のバッテリを蓄電装置90として採用可能である。
また、蓄電装置90は、出退駆動装置50によってスライドフォーク59の出退が駆動されていない期間に、外部電力により充電され、スライドフォーク59の出退が駆動されている期間に、出退駆動装置50および制御装置80に電力を供給することで放電する。
従って、例えば、スタッカクレーン30の走行期間に蓄電装置90の充電がなされるため、スタッカクレーン30が搬送作業を行う場合には必ず蓄電装置90の充電期間が存在する。さらに、当該走行期間には移載装置40によって蓄電装置90の電力は消費されない。そのため、例えば、スライドフォーク59の収納を可能とする程度の電力の蓄電装置90への蓄積を、通常の搬送作業の中で行うことができる。
このように、本実施の形態のスタッカクレーン30は、自動倉庫1において荷物10の搬送および移載を行う搬送車であって、外部電力の供給における停電等の問題の発生時に用いられる蓄電装置90の小型化が可能な搬送車である。
次に、図4および図5を用いて、実施の形態におけるスタッカクレーン30の、電力供給に関する構成の具体例について説明する。
図4は、実施の形態におけるスタッカクレーン30の、電力供給に関する構成の具体例を示す図である。図5は、図4に示す構成における、停電等の発生時の電力供給の方向を示す図である。
なお、図4および図5において、実線は電気配線を示し、点線の矢印は情報(信号)の流れを示している。また、図5において白抜きの矢印は、蓄電装置90からの電力の供給経路を示している。これらのことは、後述する図6においても同じである。
図4に示すように、本実施の形態におけるスタッカクレーン30は、電力供給に関する構成として、図3に示す構成に加え、昇降駆動装置60、変換器95、および各種のセンサ(停電センサ101、フォーク位置センサ102、および走行位置センサ103など)を備えている。
変換器95は、供給される電力を供給先の機器に応じた形態の直流電力に変換する装置であり、直流電力で動作する制御装置80および各種のセンサ(101、102、および103など)に、直流電力を供給する装置である。
本実施の形態では、変換器95は、フォーク用駆動回路51から供給された直流電力を変換し、制御装置80および各種のセンサに供給している。なお、変換器95への電力の供給元に特に限定はなく、変換器95は、例えば走行用駆動回路71から直流電力の供給を受けてもよい。
また、変換器95は、例えばトロリー線15から供給された交流電力を、供給先の機器に応じた形態の直流電力に変換してもよい。つまり、変換器95は、交流を直流に変換するコンバータとしての機能を有してもよい。
走行駆動装置70は、走行用駆動回路71、走行用モータ72、およびスイッチ73を有する。出退駆動装置50は、フォーク用駆動回路51、フォーク用モータ52、およびスイッチ53を有する。
昇降駆動装置60は、昇降用駆動回路61、昇降用モータ62、およびスイッチ63を有する。なお、昇降駆動装置60は、第三駆動装置の一例である。
走行用駆動回路71は、トロリー線15から供給される交流電力を整流および平滑化し、さらに、走行用モータ72の動作に必要な特性(周波数および電圧等)の交流電力に変換し、変換後の交流電力を走行用モータ72に供給する装置である。なお、どのような特性の交流電力をすべきかについての指示(制御信号)は、制御装置80から走行用駆動回路71に送信される。このことは、フォーク用駆動回路51および昇降用駆動回路61についても同じである。
走行用モータ72は、スタッカクレーン30の走行を駆動する駆動部であり、走行用駆動回路71から供給される交流電力によって動作する。つまり、スタッカクレーン30は、制御装置80からの指示に従った走行および停止を行う。
スイッチ73は、走行用駆動回路71から走行用モータ72への電力供給のオンおよびオフを、制御装置80からの指示に応じて切り替えるスイッチである。
フォーク用駆動回路51は、走行用駆動回路71と同様に、入力される交流電力を整流および平滑化し、さらに、制御装置80からの指示に応じた特性の交流電力に変換し、変換後の交流電力をフォーク用モータ52に供給する装置である。
フォーク用モータ52は、スライドフォーク59の出退を駆動する駆動部であり、フォーク用駆動回路51から供給される交流電力によって動作する。つまり、スライドフォーク59は、制御装置80からの指示に従った出退動作を行う。
スイッチ53は、フォーク用駆動回路51からフォーク用モータ52への電力供給のオンおよびオフを、制御装置80からの指示に応じて切り替えるスイッチである。
昇降用駆動回路61は、走行用駆動回路71と同様に、入力される交流電力を整流および平滑化し、さらに、制御装置80からの指示に応じた特性の交流電力に変換し、変換後の交流電力を昇降用モータ62に供給する装置である。
昇降用モータ62は、昇降台35の昇降を駆動する駆動部であり、昇降用駆動回路61から供給される交流電力によって動作する。つまり、昇降台35は、制御装置80からの指示に従った昇降動作を行う。
スイッチ63は、昇降用駆動回路61から昇降用モータ62への電力供給のオンおよびオフを、制御装置80からの指示に応じて切り替えるスイッチである。
なお、スタッカクレーン30の走行中、および、昇降台35の昇降中に、スライドフォーク59の出退は行われない(禁止される)。そのため、スタッカクレーン30では、走行駆動装置70のスイッチ73および昇降駆動装置60のスイッチ63がともにオフである場合にのみ、出退駆動装置50のスイッチ53がオンにされる。つまり、スライドフォーク59の出退と、スタッカクレーン30の走行および昇降台35の昇降とは、排他制御される。なお、スタッカクレーン30の走行と昇降台35の昇降とは同時に実行される場合もある。
また、上記駆動装置(70、50、60)のそれぞれは、スイッチ(73、53、63)を備えなくてもよい。つまり、走行用駆動回路71、フォーク用駆動回路51、および昇降用駆動回路61のそれぞれが、自身に接続されたモータへの電源のオンおよびオフを制御することで、実質的に上記の各スイッチの機能は実現される。
ここで、スタッカクレーン30の各種動作を駆動するモータ(52、62、72)に動作のための電力を供給する駆動回路(51、61、71)は、上述のように、整流および平滑化により得られた直流電力を、制御装置80からの制御信号に応じた交流電力にするインバータ機能を有している。
これら駆動回路(51、61、71)は、トロリー線15からの外部電力の供給の停止が所定の期間(例えば数十msec)を超えて継続した場合、つまり、停電が発生した場合、保護機能が働き、外部電力の変換処理および出力を停止する。また、外部電力において所定の電圧低下状態(例えば電圧が10%以上低下した状態)が、所定の期間(例えば数十msec)を超えて継続した場合、つまり、瞬時電圧低下(瞬低)が発生した場合も、保護機能が働き、外部電力の変換処理および出力を停止する。
したがって、スタッカクレーン30が、自動倉庫1において、荷物10の搬送作業を行っている最中に停電または瞬低(停電等)が発生した場合、基本的にはスタッカクレーン30による荷物10の搬送作業は停止する。
しかしながら、本実施の形態におけるスタッカクレーン30では、図4に示されるように、蓄電装置90は、出退駆動装置50および制御装置80と電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、制御装置80は、変換器95を介して蓄電装置90と電気的に接続されている。
つまり、図5に示すように、外部電力の供給における停電または瞬低の発生時には、出退駆動装置50、並びに、変換器95に接続された制御装置80および各種センサは、蓄電装置90から供給される直流電力によって動作することができる。
具体的には、フォーク用駆動回路51は、蓄電装置90から受け取る直流電力を、インバータ機能を用いて交流電力に変換し、フォーク用モータ52に出力する。
また、このとき、制御装置80も、蓄電装置90から受け取る直流電力によって動作可能であるため、フォーク用駆動回路51に、フォーク用モータ52の動作のための制御信号を出力することができる。つまり、停電等の発生時においても、制御装置80の制御による、スライドフォーク59の動作は可能である。
従って、移載装置40が、荷物10の移載のためにスライドフォーク59を動作させている期間に停電等が発生した場合であっても、制御装置80は、少なくとも、スライドフォーク59を収納させるように、出退駆動装置50を制御することができる。
さらに、変換器95と電気的に接続された各種センサも蓄電装置90から供給される直流電力によって動作可能である。
ここで、本実施の形態におけるスタッカクレーン30は、フォーク位置センサ102を備えている。フォーク位置センサ102は、第一センサの一例であり、スライドフォーク59が、移載装置40における正規の位置にあるか否か(収納されているか否か)を示す信号を制御装置80に出力するセンサである。
このフォーク位置センサ102は、変換器95を介して蓄電装置90から供給される直流電力を受け取るため、停電等の発生時においても動作可能である。従って、フォーク位置センサ102は、停電等の発生時においてスライドフォーク59が正規の位置にあるか否か、つまり、スライドフォーク59がきちんと収納されているか否かを検出することができる。
従って、制御装置80は、フォーク位置センサ102の検出結果に基づいて、スライドフォーク59が収納されているか否かを示す情報を、上位コントローラ等の外部の装置に送信することができる。
その結果、例えば、自動倉庫1の管理者は、停電等の発生時において、例えば移載装置40を目視することなく、スライドフォーク59が収容されているか否かを即座に確認できる。
これにより、スライドフォーク59が収容されていることが確認された場合において、管理者は、自動倉庫1(スタッカクレーン30)の復旧のための作業(スタッカクレーン30の強制走行など)に即座に取り掛かることができる。つまり、停電等の発生時における復旧に要する時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、スライドフォーク59の出退に関係するセンサの一例として、フォーク位置センサ102を例示した。しかし、例えば、スライドフォーク59の所定の位置から荷物10が外れていることを検出する荷検出センサ(荷はみ出し検出センサ、または、荷ずれ検出センサともいう。)も、スライドフォーク59の出退に関係するセンサであって、蓄電装置90から動作に必要な電力の供給を受けるセンサとして例示される。
例えば、制御装置80は、スライドフォーク59に荷物10が載置されているべき場合であって、荷検出センサから、荷物10が所定の位置からずれていること、または、荷物10が崩れていること等を示す信号が出力された場合、スライドフォーク59の動作を停止することができる。
また、制御装置80は、例えば、フォーク位置センサ102によって、スライドフォーク59が収納されたことが検出され、かつ、スライドフォーク59に載置されているべき荷物10が所定の位置に存在することが、停電等の発生時においても認識可能である。
つまり、停電等が発生することで、スタッカクレーン30におけるスライドフォーク59の出退以外の動作(スタッカクレーン30の走行、昇降台35の昇降)が停止した場合であっても、スライドフォーク59の安全な動作制御を実行することができる。
ここで、荷検出センサは、例えば移載装置40に配置されており、移載装置40は昇降台35に配置されている。また、出退駆動装置50は移載装置40に備えられている(図3参照)。
従って、蓄電装置90は、少なくとも出退駆動装置50を含む、昇降台35に配置された1以上の電気機器に電力を供給しており、これにより、停電等の発生時における、スライドフォーク59の安全な動作制御が実現されていると言える。
また、蓄電装置90は、走行駆動装置70および昇降駆動装置60には電力を供給しないことで、消費される電力を必要最小限に抑えることが可能である。その結果、蓄電装置90の小型化が可能となる。
また、本実施の形態におけるスタッカクレーン30は、スタッカクレーン30の状態を検出するためのセンサとして、スライドフォーク59の出退に関係しないセンサも備えている。
例えば、スライドフォーク59の出退に関係しないセンサとして、走行位置センサ103が例示される。走行位置センサ103は、第二センサの一例であり、スタッカクレーン30の走行方向(本実施の形態におけるX軸方向、図2参照)の位置を検出するセンサである。
なお、「スライドフォーク59の出退に関係しないセンサ」とは、より詳細には、スライドフォーク59の出退動作自体に必須ではないセンサであり、走行位置センサ103の他に、昇降台35の高さ位置を検出するセンサ、昇降用駆動回路61で保護機能が働いたこと検出するセンサ等が例示される。
ここで、停電等の発生時では、スタッカクレーン30の走行等の動作が停止するため、制御装置80は、走行位置センサ103等のセンサから異常を示す信号を受信することになる。
そのため、停電等の発生時に、制御装置80は、スタッカクレーン30の全ての動作を停止することも可能である。
しかし、本実施の形態におけるスタッカクレーン30は、停電等を検出する停電センサ101を備えている。そのため、停電等の発生時では、走行位置センサ103等の、スライドフォーク59の出退に関係しないセンサからの出力信号を無視することができる。
停電センサ101は、検出部の一例であり、例えばトロリー給電の電圧を監視し、所定の電圧低下状態(電圧がゼロの場合も含む)が所定の期間を超えて継続した場合、停電等の発生を示す信号を、制御装置80に出力する。つまり、停電センサ101は、停電および瞬低が検出可能なセンサである。
従って、制御装置80は、停電センサ101により停電等が検出された場合、スライドフォーク59の出退に関係しないセンサから異常を示す信号が出力された場合であっても当該信号を無視し、スライドフォーク59を収納させることができる。
また、制御装置80は、停電センサ101によって停電等が検出されていない状況であれば、スライドフォーク59の出退に関係しないセンサを含め、いずれかのセンサが異常を検出した場合に、スタッカクレーン30の全ての動作を停止することができる。これにより、スタッカクレーン30の稼働における安全の確保が図られる。
すなわち、スタッカクレーン30は、停電および瞬低を検出可能な停電センサ101を備えることで、少なくとも1つのセンサから異常を示す信号を受信した場合、その異常が停電等に起因するものか、他の要因によるものかを判断すること可能となる。
これにより、スタッカクレーン30の稼働の安全性の確保と、停電等の発生時におけるスライドフォーク59の収納動作(正規の位置まで退避する動作)の実行との両立が実現される。
なお、本実施の形態では、蓄電装置90は、出退駆動装置50および制御装置80と電気的に接続されており、かつ、走行駆動装置70と電気的に接続されていない。この構成により、蓄電装置90は、出退駆動装置50および制御装置80に電力を供給し、走行駆動装置70に走行のための電力を供給しない状況が実現されている。
しかしながら、蓄電装置90と走行駆動装置70とが電気的に接続されており、かつ、制御装置80の制御によって、出退駆動装置50および制御装置80に電力を供給し、かつ、走行駆動装置70に走行のための電力を供給しない状況が実現されてもよい。
例えば、走行用モータ72と、フォーク用モータ52とで、直接的な電力の供給元である駆動回路を共用する場合、当該駆動回路に蓄電装置90からの電力を供給することで、蓄電装置90と走行駆動装置70とが電気的に接続されてもよい。
図6は、走行用モータ72とフォーク用モータ52とで駆動回路を共用するスタッカクレーン30aの構成例を示す図である。
図6に示すスタッカクレーン30aは、上記実施の形態におけるスタッカクレーン30と比較すると、フォーク用駆動回路51を備えない点で異なる。
具体的には、図6に示すスタッカクレーン30aでは、フォーク用モータ52は、走行用駆動回路71に接続されており、走行用駆動回路71から供給される電力によってスライドフォーク59の出退が駆動される構成が採用されている。
つまり、スタッカクレーン30aでは、走行用モータ72とフォーク用モータ52とで、インバータ等を含む駆動回路(走行用駆動回路71)が共用されている。言い換えると、図6に示すように、走行用駆動回路71によって、走行駆動装置70の一部および出退駆動装置50の一部が構成されている。
ここで、上述のように、スタッカクレーン30aの走行と、スライドフォーク59の出退とは排他制御される。そのため、走行用駆動回路71を、時分割で、走行駆動用とスライドフォーク59の出退駆動用とに使い分けることが可能である。
つまり、走行用駆動回路71は、走行用モータ72とフォーク用モータ52とにより共用された場合であっても、制御装置80による制御の下で、走行用モータ72とフォーク用モータ52のそれぞれに、適切な特性(周波数、電圧等)の電力を供給可能である。
このような構成を有するスタッカクレーン30aでは、トロリー線15からの外部電力の供給において停電等が発生した場合、走行用駆動回路71の保護機能が働き、走行用駆動回路71は、外部電力の変換処理および出力を停止する。
しかし、走行用駆動回路71には蓄電装置90が接続されているため、走行用駆動回路71は、走行用モータ72とフォーク用モータ52とに動作用の電力を供給可能である。
そのため、停電等の発生時に、スライドフォーク59が動作中であっても、スタッカクレーン30aでは、実施の形態におけるスタッカクレーン30と同じく、スライドフォーク59の収納が実行される。具体的には、図6に示されるように、制御装置80にも、変換器95を介して蓄電装置90からの電力が供給されるため、制御装置80は、出退駆動装置50に制御信号を送信することで、スライドフォーク59を収納させることができる。
さらに、停電センサ101、フォーク位置センサ102、走行位置センサ103等の各種センサも、変換器95を介して蓄電装置90からの電力が供給されるため、停電等の発生時においても動作可能である。
従って、スタッカクレーン30aでは、実施の形態におけるスタッカクレーン30と同じく、停電等の発生時におけるスライドフォーク59の収納確認、および、いずれかのセンサが異常を検出した場合の要因の切り分け(停電等か、それ以外か)等が可能である。
ここで、停電等の発生時に、スタッカクレーン30が走行中である場合、蓄電装置90からの電力供給により、走行用モータ72の動作を継続させることも物理的には可能である。また、スライドフォーク59の収納の完了の直後に、蓄電装置90からの電力供給により、走行用モータ72を動作させること(スタッカクレーン30を走行させること)も物理的には可能である。
しかしながら、蓄電装置90は、スライドフォーク59の収納のためのみに電力を供給すべき装置であり、蓄電装置90に蓄積された電力を、走行駆動によって消費されないよう制御する必要がある。
そこで、制御装置80は、停電等の発生時に、例えば、走行用駆動回路71において保護機能が働いたことを走行用駆動回路71から通知された場合、走行駆動装置70のスイッチ73をオフにする。
または、制御装置80は、例えば停電センサ101から停電等の発生を示す信号を受信した場合、走行駆動装置70のスイッチ73をオフにする。
なお、いずれの場合であっても、スタッカクレーン30が走行中である場合は、例えば、走行を安全に停止させた後に、スイッチ73がオフにされる。
これにより、停電等の発生時において、スライドフォーク59が進出した(伸びた)状態である場合に、蓄電装置90から供給される電力でスライドフォーク59の収納を実行させるとともに、走行駆動装置70に、走行のための電力を供給しない構成が実現される。
例えば、停電等の発生時にスライドフォーク59が動作中である場合、走行用モータ72に給電されないが、スライドフォーク59の収納後に走行用駆動回路71から走行用モータ72へ給電されないように、スイッチ73をオフに維持することも可能である。
この場合、例えば、制御装置80は、上位コントローラからの指示に応じて、スイッチ73をオフに維持する状態を解除し、これにより、スタッカクレーン30は、通常の搬送作業を実行可能な状態に復帰する。
以上、本発明の自動倉庫の搬送車について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施形態等に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、スタッカクレーン30は、トロリー線15から外部電力を受け取るとしたが、スタッカクレーン30への外部電力の供給の手法に特に限定はない。
例えば、電力線の一端を電源装置に接続し、当該電力線を、スタッカクレーン30の走行に追随して移動が可能なように、天井に配設されたレールに吊り下げ、当該電力線の他端をスタッカクレーン30に接続する。このようにしてスタッカクレーン30に外部電力が供給されてもよい。
また、搬送車の種類はスタッカクレーンに限定されず、自動倉庫において荷物の移載および搬送を行う搬送車であれば、例えば図3に示す構成を採用することで、上記スタッカクレーン30および30aと同じ効果を奏することが可能である。
図7は、出退部材の収納のための蓄電装置を備える搬送車の別の一例である搬送台車130の概要を示す斜視図である。
図7に示す搬送台車130は、台車部132と、台車部132に配置された移載装置140と、蓄電装置90aとを有する。
移載装置140は、出退部材の一例であるアーム150によって荷物10を移載する装置である。具体的には、移載装置140は、左右一対のアーム150を有し、アーム150は、ベース部153、ミドル部152、トップ部151の3つの部材で構成され、テレスコピック構造によって出退(伸縮)する部材である。
また、トップ部151の両端には出退方向(Y軸方向)の軸を中心として回動する爪が設けられている。移載装置140は、出退する一対のアーム150の端部の爪によって、ラックに収容された荷物10を取り出すこと、および、ラックに荷物10を送り出すことができる。
台車部132は、並行して設置された2本のレールで構成された走行路160を走行する台車である。
なお、図7では図示していないが、搬送台車130は、アーム150の出退を駆動する出退駆動装置と、台車部132の走行を駆動する走行駆動装置と、少なくとも出退駆動装置を制御する制御装置とを有している。
蓄電装置90aは、上記実施の形態における蓄電装置90と同じく、出退駆動装置および制御装置に電力を供給し、走行駆動装置に走行のための電力を供給しない蓄電装置である。
このような電力供給の態様は、例えば図4に示すように、蓄電装置90aを出退駆動装置および制御装置に接続し、かつ、走行駆動装置に接続しないことで実現される。また、例えば図6に示すように、蓄電装置90aから走行駆動装置への走行のための電力の供給を、制御装置による制御によって断つことでも実現される。
なお、図7では、台車部132の内部に蓄電装置90aが保持されているが、蓄電装置90aの位置に特に限定はなく、蓄電装置90aは、例えば外部に露出した状態で台車部132に配置されていてもよい。
この搬送台車130は、例えば、上下方向(Z軸方向)に並べられた複数の棚段を有するラックの、各棚段の位置に配置された走行路160上を走行する。また、各走行路160には、例えば一台ずつ搬送台車130が配置され、搬送台車130のそれぞれは、走行する走行路160に対応する高さ位置の棚段との間で荷物10の移載を行う。
ここで、搬送台車130は、上記スタッカクレーン30と同じく、外部電力で走行およびアーム150の出退が駆動される。つまり、停電または瞬低の発生時には、荷物10の搬送作業(荷物10の搬送および移載を含む)が中断されるため、できるだけ早く復旧させることが望まれる。また、比較的に高い位置を走行する搬送台車130も存在するため、例えば、作業員が、手作業でアーム150を収納するような作業は困難であり、かつ、安全性の観点からは好ましくない。
そこで、搬送台車130では、停電等の発生時において、アーム150が進出した(伸びた)状態である場合、蓄電装置90aから供給される電力によって、アーム150が移載装置140における正規の位置まで戻される(アーム150が収納される)。
つまり、搬送台車130が、蓄電装置90aを備えることで、アーム150の異常停止は防止され、少なくともアーム150の収納を実行させることができる。これにより、停電等の発生時における復旧に要する時間を短縮することができる。
また、搬送台車130の走行の駆動には蓄電装置90aの電力が消費されないため、蓄電装置90aの容量を比較的小さくできる。つまり、蓄電装置90aの小型化が可能となる。また、例えば安価の蓄電装置90aの利用も可能となる。