JP3706957B2 - 遊技機用制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機に用いる遊技機用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一種であるパチンコ機には、制御装置が設けられており、内部の基板上にROMやCPU等の制御素子が設置されている。かかる制御素子は、パチンコ機の作動内容を制御するものであるため、パチンコ機が遊技者にとって都合良く作動するように、不正に取り替えられたり不正に改造されたりすることがある。このため、かかる不正を防止するために、従来の遊技機用制御装置の中には、切断可能な複数のネジ保持部を左右両端縁に設けた上カバーと、その上カバーと合致する下カバーとによって、制御素子を設置した基板を覆うとともに、左右のネジ保持部の内の一つずつを、ワンウェイタイプのネジを用いて、ドライバ等では外れないように下カバーに螺着することにより、ネジ保持部を切断しなければ上カバーを取り外すことができないようにして、上カバーの取り外しの痕跡が残るように構成したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した切断可能なネジ保持部を設けた遊技機用制御装置は、ワンウェイタイプのネジのヘッドに電気ドリル等で孔をあけられると、それらの孔を利用してネジを回転させることが可能となってしまうため、ネジ保持部を切断することなく上カバーを取り外すことができてしまう。このため、制御素子の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することができなかった。
【0004】
本発明の目的は、上記従来の遊技機用制御装置の問題点を解消し、制御素子の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することが可能な遊技機用制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の内、請求項1に記載された発明の構成は、切断可能な複数のネジ保持部を端縁に設けた上カバーと、その上カバーと合致する下カバーとによって、制御素子を設置した基板が覆われているとともに、ネジ保持部の内の少なくとも1つが、ワンウェイタイプのネジによって下カバーに螺着された遊技機用制御装置であって、前記ネジの螺旋状部分より基端側に、基端側の面が軸に対して垂直で且つ先端側の面が軸に対して緩く傾斜してなるフランジを周状に設ける一方、前記ネジ保持部を円筒状に形成するとともに、各ネジ保持部の略中央に、ネジ挿通孔が穿設された仕切板を形成し、該仕切板の後面側に、弾性片を後方へと突出するように設けており、各ネジの先端を、前記仕切板の前面側から前記ネジ挿通孔に挿入し、前記弾性片に係止した状態で保持するとともに、前記下カバーへの螺着時には、保持状態にある前記ネジを前記下カバー側へとねじ込み、前記フランジの垂直面と前記下カバーに設けられた合成樹脂製の係合片とを係合させることにある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遊技機用制御装置(以下、単に制御装置という)について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】
図1〜図3は、制御装置3の正面図、斜視図、分解斜視図であり、図4は、図1におけるA−A線断面を示す説明図である(なお、図4(b)は、図4(a)の一部を拡大して示したものである)。制御装置3は、ROM8やCPU等の種々の制御素子を搭載した基板4a,4b、透明な合成樹脂製の上カバー6および下カバー5、合成樹脂製の固着部材7,7等によって形成されている。
【0008】
上カバー6は、幅広な箱形に形成されており、左右両サイドに上固着翼26,26が設けられている。各上固着翼26,26の上端縁には、それぞれ、係止孔12が穿設されている。さらに、各係止孔12,12の下方には、それぞれ、略円筒状の4個のネジ保持部9,9・・が、左右に位置した切断可能な取付片10,10によって、各上固着翼26,26の前面に一体的に連設されており、後方に突出した状態になっている。なお、図1の如く、各ネジ保持部9の略中央には、仕切板35が形成されており、仕切板35の中央には、ネジ挿通孔36が穿設されている。また、仕切板35の裏側には、2つの弾性片28,28が後方に突出するように設けられている。さらに、各ネジ保持部9,9・・の内部には、ワンウェイタイプのネジ13が、先端をネジ挿通孔36に挿入して弾性片28,28に係止させた状態で、保持されている。
【0009】
図6は、ワンウェイタイプのネジ13を示したものであり、ネジ13のヘッド19に突設されたネジ突起21,21は、ヘッド19の外面に対して垂直な面と、ヘッド19の外面に対して緩やかに傾斜した面とを有している。このため、ネジ突起21の垂直面にマイナスのドライバを押し当てて右向きに回転させた場合には、ドライバとネジ突起21,21の垂直面とが係合し回転するが、ドライバを左向きに回転させた場合には、ヘッド19上でドライバとネジ突起21,21とが係合せず回転しない。また、ネジ13の螺旋状部分24よりも基端側には、段差部である凹状溝23が設けられている。
【0010】
一方、下カバー5は、上カバー6と同一幅に形成されており、上カバー6と同様に、左右両サイドに凹状の下固着翼27,27が連設されている。そして、各下固着翼27,27の上端縁には、それぞれ、先端を矢尻状に形成した係止突片11が突設されている。また、各下固着翼27,27には、上カバー6の各ネジ保持部9,9・・と対応する位置に、取付タブ32,32・・が立設されており、左右の壁板29,29に、係止孔18,18・・が穿設されている。さらに、各下固着翼27,27には、縦長な固着部材7,7が嵌め込み設置されている。
【0011】
図5は、固着部材7を示したものであり、固着部材7は、平板部31の左右両端に、壁板30,30が前方に突出するように垂設されている。そして、左右の壁板30,30には、それぞれ、4つの支持片14,14・・が、内向きに等間隔で(取付タブ32,32・・と同じ間隔で)突設されており、左側の壁板30に突設された支持片14,14・・と、右側の壁板30に突設された支持片14,14・・とが、所定の距離を隔てて、対峙した状態になっている。一方、左右一対の支持片14,14の間には、2個の係合突起15,15が、一定の距離を隔てて突設されており、各係合突起15,15の先端に設けられた係合片16,16が、互いに向かい合った状態になっている。かかる固着部材7,7は、それぞれ、左右一対の支持片14,14と上下一対の係合突起15,15とで区画される4つの嵌合領域に、取付タブ32,32・・を挿入させ、突起体17,17・・を係止孔18,18・・に係止させた状態で、各下固着翼27,27内に嵌め込み設置されている。
【0012】
制御装置3は、図3の如く、下カバー5に設けられたネジ止めタブ33,33・・を利用して基板4a,4bを下カバー5の内面に螺着した状態で、上カバー6の各上固着翼26,26を下カバー5の各下固着翼27,27に重ね合わせ、各係止突片11,11を各係止孔12,12に係止させた状態で、ワンウェイタイプのネジ13,13によって、左側の最上方のネジ保持部9(「1」を付したネジ保持部9)を左側の最上方の取付タブ32に螺着し、右側の最下方のネジ保持部9(「1」を付したネジ保持部9)を右側の最下方の取付タブ32に螺着することによって、組み立てられている。そして、ネジ保持部9と取付タブ32との螺合部分においては、図4(b)の如く、ネジ13の凹状溝23に、固着部材7の係合片16,16が十分に係合した状態になっている。なお、下カバー5が構成樹脂によって形成されているため、係合突起15,15が高い弾性を有しているので、ネジ13によりネジ保持部9と取付タブ32とを螺着する場合には、ネジ13をねじ込むだけで、係合片16,16がネジ13の凹状溝23に係合する。また、上カバー6の左右の端縁(各上固着翼26,26の外側の端縁)には、被覆片37,37が後方へ突出するように設けられており、上カバー6と下カバー5とを合着した場合には、それらの被覆片37,37が、下カバー5の端縁(各下固着翼27,27の外側の壁板29,29)の係止孔18,18・・を覆い隠すようになっている。
【0013】
上記の如く構成された制御装置3は、パチンコ機の裏面側の機構板等に設置された状態で使用される。そして、搭載されたROM8やCPU等の種々の制御素子によって、パチンコ機の作動内容を制御する。
【0014】
また、制御装置3は、上カバー6のネジ保持部9,9と下カバー5の取付タブ32,32とが、ワンウェイタイプのネジ13,13によって螺着されているため、ネジ13を螺着時と反対方向(左回り)に回転させても、ネジ保持部9,9と取付タブ32,32との螺着状態が解除されない。それゆえ、上カバー6を取り外す場合には、取付タブ32,32と螺着したネジ保持部9,9の前方に設けられた2つの取付片10,10・・を、ニッパ等の工具で切断し、かかるネジ保持部9,9を上カバー6から切り離すことによって、上カバー6と下カバー5とを分離しなければならない。また、再度 上カバー6を下カバー5に合着させる場合には、左側の最上方のネジ保持部9および右側の最下方のネジ保持部9以外のネジ保持部9,9(すなわち、未だ取付タブ32と螺着していない同じ番号を付したネジ保持部9,9同士)を、それぞれ、ネジ13,13により同位置の取付タブ32,32と螺着すれば良い。それゆえ、一旦、上カバー6と下カバー5とを分離した後でも、再度、上カバー6を下カバー5に合着させることができ、かかる上カバー6、下カバー5の分離、合着を4回繰り返すことができる。
【0015】
さらに、ネジ保持部9,9と取付タブ32,32との螺着部分においては、各ネジ13,13の凹状溝23に、固着部材7の係合片16,16が係合した状態になっているので、ヘッド19に電気ドリル等で孔をあけて無理矢理にネジ13を回転させても、固着部材7の係合片16,16が各ネジ13の凹状溝23と係合した状態を保つので、ネジ13が外れにくい上、外れる場合には、係合片16,16が欠損して、必ずその痕跡が残る。
【0016】
制御装置3は、上記の如く、上カバー6を下カバー5と分離するためには、取付片10,10を切断することにより取付タブ32,32と螺着されたネジ保持部9,9を上カバー6から切り離さなければならないため、上カバー6が取り外された場合には、必ずその痕跡が残る。それゆえ、上カバー6の開閉の有無を容易に把握することができる。それにも拘わらず、各取付片10,10が容易に切断可能な構造を有しているため、それらの取付片10,10をニッパ等の工具で切断することによって、上カバー6を容易に取り外すことができ、基板8上に設置された制御素子の内容を簡単にチェックすることができる。
【0017】
その上、制御装置3は、ネジ13,13の螺旋状部分24より基端側に段差部が周状に設けられており、下カバー5に設けられた係合片16,16が、段差部と係合した状態になっているので、ネジ13,13のヘッド19に電気ドリル等で孔をあけて無理矢理にネジ13を回転させてもネジ13が外れにくい上、外れる場合には、係合片16,16が欠損し、必ずその痕跡が残るため、上カバー6が取付片10,10を切断することなく不正に取り外される事態を効果的に防止することができるとともに、万が一不正に取り外された場合でも、その事態を速やかに把握することができる。したがって、制御装置3によれば、ROM8やCPU等の制御素子の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することができる。
【0018】
また、制御装置3は、段差部が周状の凹状溝23であり、下カバー5に設けられた係合片16,16が、凹状溝23と強固に係合した状態になっているため、無理矢理にネジ13を回転させてもネジ13がきわめて外れにくいので、上カバー6が取付片10,10を切断することなく不正に取り外される事態を、より効果的に防止することができる。
【0019】
なお、本発明の制御装置は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、基板、上カバー、下カバー、固着部材、ワンウェイタイプのネジの形状、構造等の構成を本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができる。
【0020】
たとえば、上カバーの各上固着翼に設けるネジ保持部の個数や、下カバーの左右の各下固着翼に設ける取付タブの個数は、4個に限定されず、2個や3個でも良いし、5個以上でも良い。また、各上固着翼とネジ保持部とを連結する取付片の個数も、2個に限定されず、1個でも良いし、3個以上でも良い。さらに、上固着翼や下固着翼の設置位置は、上下カバーの左右両端縁に限定されず、上下カバーの上下両端縁でも良い。加えて、固着部材は、下カバーと別個のものに限定されず、下カバーに一体的に設けられたものでも良い。なお、上記実施形態の如く固着部材を下カバーと別個にした場合には、損傷した場合に固着部材のみ取り替えることができる、というメリットがある。また、固着部材を下カバーと別個にする場合には、固着部材を下カバーに螺着したり、接着したりすることも可能である。さらに、固着部材に設ける嵌合領域の構造も、上記実施形態の構造に何ら限定されない。
【0021】
また、ワンウェイタイプのネジは、上記実施形態の如き先端が平坦なネジに限定されず、先端の尖った木ネジ等の他の形状を有するものでも良い。加えて、ヘッドに2個のネジ突起が設けられたものに限定されず、4個のネジ突起が設けられたプラスタイプのドライバで回転可能なものでも良い。さらに、ネジは、上記実施形態の如く、段差部として凹状溝を設けたものに限定されず、別の形状の段差部を設けたものでも良い。図7は、かかる変更例を示したものであり、ネジ29には、段差部としてフランジ22が設けられており、フランジ22の基端側の面が軸に対して垂直になっており、先端側の面が軸に対して緩く傾斜している。かかる形状を有するネジ34を使用した場合でも、取付タブ32との螺着時に、下カバー5に設けた係合片16,16がフランジ22の垂直面と係合するため、無理矢理に回転させてもきわめて外れにくいので、制御装置は、上カバー6が取付片10,10を切断することなく不正に取り外される事態をより効果的に防止することができるものとなる。一方、ネジ保持部は、取付タブと螺合していないネジを保持できる構造に変更することも可能である。なお、上記実施形態においてはパチンコ機に使用される制御装置について説明したが、本発明の制御装置が使用される遊技機は、スロットマシーンやテレビゲーム等のパチンコ機以外の遊技機でも良い。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に記載された制御装置は、ネジの螺旋状部分より基端側にフランジが周状に設けられており、下カバーに設けられた係合片が、フランジと係合した状態になっているため、ヘッドに電気ドリル等で孔をあけて無理矢理にネジを回転させてもネジが外れにくい上、外れる場合には、係合片が欠損し、必ずその痕跡が残るため、上カバーが取付片を切断することなく不正に取り外される事態を効果的に防止することができるとともに、万が一不正に取り外された場合でも、その事態を速やかに把握することができる。したがって、請求項1に記載された発明の制御装置によれば、制御素子の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することができる。
また、フランジを、基端側の面が軸に対して垂直で且つ先端側の面が軸に対して緩く傾斜するように形成し、係合片とフランジの垂直面とを係合させる構成としたため、無理矢理にネジを回転させてもネジがきわめて外れにくいので、上カバーが取付片を切断することなく不正に取り外される事態をより効果的に防止することができ、制御素子の不正取り替え、不正改造を一層効果的に防止することができる。
さらに、係合片が弾性を有しているので、各ネジ保持部の前面側に保持されたネジをねじ込むだけで、係合片とフランジの垂直面とを係合させた状態で上カバーと下カバーとを螺着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】制御装置の正面図である。
【図2】制御装置の斜視図である。
【図3】制御装置の分解斜視図である。
【図4】図1におけるA−A線断面を示す説明図である。
【図5】固着部材の斜視図である。
【図6】ネジの斜視図である。
【図7】ネジの斜視図である。
【符号の説明】
3・・制御装置、4a,4b・・基板、5・・下カバー、6・・上カバー、7・・固着部材、8・・ROM、9・・ネジ保持部、10・・取付片、11・・係止突片、12・・係止孔、13・・ネジ、14・・支持片、15・・係合突起、16・・係合片、17・・突起体、18・・係止孔、19・・ヘッド、21・・ネジ突起、22・・フランジ、23・・凹状溝、24・・螺旋状部分、25・・ネジ孔、26・・上固着翼、27・・下固着翼、28・・弾性片、29,30・・壁板、31・・平板部、32・・取付タブ、33・・ネジ止めタブ、34・・ネジ、35・・仕切板、36・・ネジ挿通孔、37・・被覆片。
Claims (1)
- 切断可能な複数のネジ保持部を端縁に設けた上カバーと、その上カバーと合致する下カバーとによって、制御素子を設置した基板が覆われているとともに、ネジ保持部の内の少なくとも1つが、ワンウェイタイプのネジによって下カバーに螺着された遊技機用制御装置であって、
前記ネジの螺旋状部分より基端側に、基端側の面が軸に対して垂直で且つ先端側の面が軸に対して緩く傾斜してなるフランジを周状に設ける一方、
前記ネジ保持部を円筒状に形成するとともに、各ネジ保持部の略中央に、ネジ挿通孔が穿設された仕切板を形成し、該仕切板の後面側に、弾性片を後方へと突出するように設けており、
各ネジの先端を、前記仕切板の前面側から前記ネジ挿通孔に挿入し、前記弾性片に係止した状態で保持するとともに、前記下カバーへの螺着時には、保持状態にある前記ネジを前記下カバー側へとねじ込み、前記フランジの垂直面と前記下カバーに設けられた合成樹脂製の係合片とを係合させることを特徴とする遊技機用制御装置。
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