JP3706689B2 - 染色装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本願発明は、たとえばデニム織物用のたて糸を連続して染色加工するといった染色用途に用いられる染色装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、デニム織物用のたて糸を染色するための手段として、特公昭55−29188号公報に記載の染色装置を先に提案している。同公報に記載の染色装置によれば、多数本のたて糸をその長手方向に緊張させた状態で複数のローラによって移送させることによって、これら多数本のたて糸を染色槽内の染料溶液中に順次浸漬させることができ、長寸法の糸の全長域にわたって浸染処理を連続して施すことができる。したがって、バッチ方式のカセ染方法を採用していた従前の染色作業と比べると、たて糸の染色作業効率を飛躍的に向上させることができる。また、上記公報に記載の染色装置によれば、移送されるたて糸に適度な張力を生じさせているために、たて糸の中心部の繊維密度を高くして、たて糸の中心部がたて糸表面部よりも染料溶液を吸収し難くすることもできる。したがって、デニム織物の需要者に好まれているいわゆる中白染色を行うことも可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年においては、デニム織物によって作製されるジーパンなどの衣類をデザインする場合に、デニム織物の色合いに意図的に濃淡差を生じさせることによって、デニム織物に手染めの風合いをもたせたいという要望がある。このような要望に応えるためには、デニム織物用のたて糸を染色する場合に、このたて糸の色合いに所望の濃淡差を生じさせる必要がある。
【0004】
しかしながら、上記従来の染色装置では、多数本のたて糸を染料溶液中に各所略均一な条件で順次浸漬させてゆくために、染むらの無い染色処理を施すことは可能であるものの、たて糸の色合いに積極的に濃淡差を生じさせる染色を施すことは困難であった。従来では、たとえば染料溶液中に浸漬される多数本のたて糸が適切に整列されておらず、たて糸どうしが不規則に絡まり合っているような場合には、これに原因して染むらを生じる場合はあるが、このような染むらは、染料が適切に付着していない部分がたて糸の長手方向に不規則に存在する染色不良に過ぎず、手染めの風合いを醸し出すものとはいえない。このように、結局、従来では、たて糸を連続して染色する場合に、その染色された色合いに規則的な濃淡差を生じさせることは困難となっていた。
【0005】
本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、糸の色合いに規則的な濃淡差を積極的に生じさせて手染めの風合いを醸し出すことのできる染色処理を、能率良く適切に行うことができるようにすることをその課題としている。
【0006】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明によれば、染料溶液を収容する少なくとも1以上の染色槽と、多数本の糸が上記染色槽内を通過して上記染料溶液中に浸漬されるように上記糸の移送を行う移送手段と、を有する染色装置であって、上記染色槽内の染料溶液の外部を移送されている糸に対して上記糸に染料溶液を間欠的に浴びせる染色手段を具備しており、上記染色手段は、上記移送手段によって上記糸が略水平方向に移送される水平移送経路の上方に位置するとともにこの水平移送経路を移送される多数本の糸の幅方向に延びている可動部材と、この可動部材の上面部に染料溶液を注ぐ染料溶液供給ノズルとを具備して構成されており、かつ上記可動部材は、上記多数本の糸の幅方向に延びる板状部を有するとともにこの可動部材の上面部に注がれた染料溶液を間欠的に下方へ落下させるように回転可能であることを特徴としている。
【0009】
本願発明では、多数本の糸を連続的に移送して染色槽内の染料溶液中に浸漬させることによって糸の全長域にわたって染色不良の無い適正な染色処理を施すことができるとともに、上記糸が染料溶液の外部を移送されているときには、上記糸に対して上記染料溶液と同一または略同一色の染料溶液を間欠的に浴びせることによって、上記糸に染料を余分に付着させた部分を規則的につくることができる。また、このようにして染料が余分に付着した部分は、染色槽内の染料溶液のみによって染色された部分よりも染料濃度が高くなり、濃い色合いとなる結果、糸の長手方向に沿って色合いの濃淡差を規則的に生じさせることができる。このように、本願発明によれば、全体としては連続的な染色処理を行うにも拘わらず、手染めと同様な風合いをもつ染色が可能となり、しかもその染色作業を能率良く行うことができるという格別な効果が得られる。
【0011】
本願発明によれば、糸に染料溶液を間欠的に浴びせる手段として、略水平方向に移送する糸に対してその上方から染料溶液を間欠的に注ぎかけるだけでよいから、重力を利用して染料溶液を自然落下させるかたちで糸に対して簡単に注ぎかけることができ、染料溶液を糸に浴びせる作業が容易となる。また、重要な効果として、上記のように染料溶液を糸の上方から注ぎかけるようにすれば、染料溶液が不必要に大気中の空気に触れることを防止することができ、染料溶液の酸化を抑制することができる。たとえばデニム織物のたて糸の染色に用いられるインジゴ染料などは酸化が進むと糸に対する染着性が悪くなってしまい、染色の堅牢度も低下するという不具合を生じ易いが、上記のように染料溶液を糸の上方から注ぎかける方法によれば、そのような不具合を抑制することができる。
【0013】
また、本願発明によれば、染料溶液供給ノズルについてはたとえば染料溶液を可動部材の上面部に常時注ぐように設定しておくとともに、可動部材については適当な周期で間欠回転するように設定しておくと、可動部材の静止時においては、染料溶液供給ノズルから注がれる染料溶液が可動部材の上面部によって受けられるために、上記染料溶液供給ノズルから排出される染料溶液が糸上に直接注ぎかけられることが防止され、可動部材の上面部に染料溶液を溜めることできる。これに対し、可動部材が回転して上下反転するときには、この可動部材の上面部にそれまでの間に溜められていた染料溶液を下方へ落下させて、糸上に注ぎかけることができる。ある程度の粘性を有する染料溶液を染料溶液供給ノズルから間欠的に、かつ均一に吐出させる制御は困難であるが、上記構成によれば染料溶液を染料溶液供給ノズルから連続して吐出させておけばよいから、染料溶液を糸に対して間欠的に注ぎかける作業を簡単な機構によって容易に行うことができる。また、可動部材は、多数本の糸の幅方向に延びているために、これら多数本の糸のいずれに対しても染料溶液を注ぎかけることができることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0015】
図1は、本願発明に係る染色装置の一例を示す要部側面断面図である。図2は、図1に示す染色装置の要部概略斜視図である。
【0016】
図1に示すように、この染色装置は、糸繰出機構部1、この糸繰出機構部1から繰り出された糸Yを一定の移送経路で移送するようにガイドする複数のローラ2a〜2e、糸Yに所望の処理を施すための複数の処理槽3(3A〜3D)、および移送途中の糸Yに染料溶液を注ぎかける染料溶液供給部4を具備して構成されている。上記処理槽3としては、精練槽3A、2つの染色槽3B,3B、水洗槽3C、およびのり付槽3Dがある。なお、図1には示していないが、上記のり付槽3Dの後段には、のり付け処理が終了した糸Yを乾燥させるための乾燥室や、この乾燥室で乾燥された糸Yをビームに巻き取るための巻取機構部が設けられている。
【0017】
上記糸繰出機構部1は、染色対象となる綿糸などの糸を繰り出すための機構部であり、複数の束に束ねられた長寸法の多数本の綿糸を巻き取っている荒捲ビーム10を回転可能に支持するビームスタンド11を具備している。この糸繰出機構部1から糸Yが繰り出されるときには、図示していないオサによって複数束の糸が適当な幅に偏平状に広げられて整経されるようになっている。
【0018】
上記精練槽3Aは、苛性ソーダや洗剤などの精練剤を主成分とする精練剤溶液30を内部に収容したものである。上記染色槽3Bは、たとえばインジゴピュアなどの染料を主成分とする染料溶液31を内部に収容したものである。本実施形態に係る染色装置では、2つの染色槽3B,3Bが具備されているが、本願発明はこれに限定されない。染色槽3Bの具体的な数は、要求される染色処理の仕上げ状態などを考慮して適宜増減変更することが可能である。上記水洗槽3Cは、水32を収容したものであり、好ましくはこの水32は常に適度な清澄度を保つように上記水洗槽3C内へ順次循環式に水32を供給できるように構成されている。上記のり付槽3Dは、のり33を内部に収容したものであり、のり33が消費されると、こののり付槽3D内には新たなのりを供給して補填できるようになっている。上記精練槽3Aなどの各処理槽3(3A〜3D)は、いずれも上面が開口した箱型状に形成されている。
【0019】
上記複数のローラ2a〜2eは、糸繰出機構部1から繰り出された糸Yが上記精練槽3A、染色槽3B、水洗槽3C、およびのり付槽3Dのそれぞれの内部を順次一連に通過するように、上記糸Yを移送させるためのものである。具体的には、これら複数のローラとしては、上記処理槽3A〜3Dのそれぞれの内部に設けられている複数のガイドローラ2a、上記処理槽3A〜3Dのそれぞれの上方に設けられている複数組のプレスローラ2b、2b、これら複数組のプレスローラ2b,2bのうち前段側に位置する計3組のプレスローラ2b,2bの後段側にそれぞれ設けられている複数のダンサローラ2c、およびその他の複数のガイドローラ2d,2eなどがある。
【0020】
上記ガイドローラ2aは、糸Yを各処理槽3(3A〜3D)内に収容されている所定の処理液や水の中へ適切に浸漬させるようにガイドするためのものである。上記プレスローラ2b,2bは、処理槽3A〜3Dのそれぞれを通過してきた糸Yをその上下方向から適度な圧力で挟み付けるものであり、このプレスローラ2b,2bのプレス圧によって糸Yに付着している余分な処理液や水の搾り出しを行うことができる。このプレスローラ2b,2bは、図示しない駆動機構によって駆動回転自在であり、このプレスローラ2b,2bの回転駆動力によって糸Yを積極的に移送することができる。上記ダンサローラ2cは、定位置に設けられている一組のガイドローラ2d,2d間に存在する糸Yの寸法量を増減調整させるように昇降するものである。糸Yが移送されるときの張力は、上記ダンサローラ2cの昇降動作によって常に所定の適度な値に維持されるように制御されている。
【0021】
上記複数のガイドローラ2eは、糸Yが略水平状に移送される水平移送経路Aを設けるためのローラである。具体的には、上記糸繰出機構部1から繰り出された糸Yの移送経路は、染色装置の全長寸法を短くするなどの観点から、その殆どの移送経路部分が糸Yを略鉛直方向へ移送するように構成されているが、上記複数のガイドローラ2eは、糸Yの一連の移送経路のうち、2つの染色槽3B,3Bの相互間に位置する移送経路途中において糸Yが略水平方向に移送ガイドされる水平移送経路Aを設けるように配置されている。本願発明でいう水平移送経路Aとは、後述するように、移送されている糸Yに対してその上方から所定の染料溶液31aを注ぎかけることが可能な程度に糸Yが略水平方向(非鉛直方向)に移送ガイドされている経路の意である。
【0022】
上記染料溶液供給部4は、上記水平移送経路Aの上方に配置された可動部材40、染料溶液供給ノズル41、およびこの染料溶液供給ノズル41に染料溶液31aを供給するポンプPを具備して構成されている。
【0023】
上記染料溶液供給ノズル41は、たとえば円筒状などのパイプ部材によって構成されている。図2に示すように、この染料溶液供給ノズル41は、水平移送経路Aを移送される多数本の糸Yの幅方向(矢印N1方向)に延びるかたちに設けられており、その長さは上記多数本の糸Yの最大幅Wと略同等またはそれよりも若干長い寸法である。上記染料溶液供給ノズル41の一端部にはポンプPが接続されているとともに、上記染料溶液供給ノズル41の下面部にはその長手方向に沿って複数のノズル孔42が適当なピッチ間隔で設けられている。したがって、上記ポンプPから染料溶液供給ノズル41内に染料溶液31aを供給すると、この染料溶液31aは上記複数のノズル孔42のそれぞれから下方へ流出落下し、可動部材40の上面部に注がれることとなる。
【0024】
上記可動部材40は、上記染料溶液供給ノズル41の直下に配置されており、上記染料溶液供給ノズル41のノズル孔42から流出落下してくる染料溶液31aがそのまま糸Y上へ直接落下しないように設けられている。具体的には、上記可動部材40は、細長な棒状の本体部40aの両側面部に細長な板状部40b,40bを接合した形態を有しており、上記本体部40aの長手方向両端部には、図示しない軸受によって回転可能に支持される軸部40c,40dが設けられている。また、上記可動部材40は、たとえば別途設けられているモータMとタイミングベルト43やプーリ44,45を介して駆動連結されており、上記モータMの駆動力によって回転自在となっている。ただし、本願発明においては、上記可動部材40を回転させるための手段としては、上記のようにそれ専用のモータMを用いるのではなく、糸Yの移送ガイドを行うための駆動機構部の駆動力を適宜利用することによって上記可動部材40を回転させてもかまわない。
【0025】
本実施形態では、上記可動部材40は、上記モータMによって一定の時間間隔で間欠的に駆動回転し、しかもその回転動作は、次に説明するように、360°または180°だけ回転するように構成されている。すなわち、上記可動部材40は、回転動作を行っていない通常の待機状態時には、図3に示すように、板状部40b,40bが水平状態を維持するように静止しており、その上面部には染料溶液供給ノズル41から排出落下してくる染料溶液31aを適当量だけ溜めることができるようになっている。そして、上記可動部材40がモータMによって回転されると、この可動部材40の上下が反転されることとなるために、図4に示すように、この可動部材40の上面部に溜められていた染料溶液31aが下方へ流れることとなり、糸Yの上に注がれることとなる。上記可動部材40は、このようにして上面部に溜められていた染料溶液31aを糸Yの上に注ぐと、その後はやはり図3に示す元の待機状態に復帰し、染料溶液供給ノズル41から排出落下する染料溶液31aを受けることとなる。
【0026】
なお、上記可動部材40の上面部に比較的多量の染料溶液31aを溜めるようにする手段として、本願発明では、たとえば図6(a)に示すように、板状部40bを適当な角度θだけ傾斜させるようにしてもよい。また、同図(b)に示すように、板状部40bの先端部に起立部45を設けて、板状部40bから染料溶液31aが容易にこぼれ落ちないように構成してもかまわない。
【0027】
次に、上記構成の染色装置を用いた染色方法について、デニム織物のたて糸として利用される糸Y(綿糸)を染色する作業を具体例として説明する。
【0028】
まず、図1に示すように、糸繰出機構部1の荒捲ビーム10から繰り出された多数本の糸Yを、ダンサローラ2cによる張力付与作用などを利用して適度に緊張させた状態で、複数のローラ2a〜2eによってガイド移送させる。上記糸Yは、最初に精練槽3A内を通過するが、その際に精練剤溶液30によって精練される。
【0029】
上記精練槽3Aを通過した糸Yは、2つの染色槽3B,3Bのうち、前段側の染色槽3B内にガイドされ、インジゴピュアなどの染料を主成分とする染料溶液31内に浸漬される。したがって、この染料溶液31への浸漬処理によって、糸Yに藍染を施すことができる。上記染料溶液31内には、上記糸Yがその長手方向に連続して浸漬されてゆくために、上記染色槽3Bによれば、上記糸Yの全長域にわたって略均一な色合いの藍染処理を施すことができる。また、糸Yは適度に緊張しているために、糸Yの中心部分の繊維密度を高くして、糸Yの中心部分に対するインジゴ染料の染着度合いを少なくし、糸Yの表面部分のみに集中的に染料を付着させることができる。これは、デニム織物の需要者が好む中白状態の染色処理となる点で、好ましい。
【0030】
次いで、上記前段側の染色槽3Bによって第1回目の浸染処理が施された糸Yは、その後上記染色槽3Bを通過した後に水平移送経路Aに差し掛かるが、この水平移送経路Aにおいては、図3および図4において説明したとおり、染料溶液供給部4を動作させて、上記水平移送経路Aを連続的に移送されている糸Yに対してその上方から染料溶液31aを間欠的に注ぎかける。この染料溶液31aとしては、2つの染色槽3B,3B内に収容されている染料溶液31と同一のものを用いる。ただし、この染料溶液31aは、必ずしも上記2つの染色槽3B,3B内に収容されている染料溶液31と厳密な意味で同一である必要はなく、染色槽3B,3Bに収容されている染料溶液31と略同一の色彩の染料溶液であってもかまわない。
【0031】
このようにして、連続して移送されている糸Yに対して染料溶液31aを間欠的に注ぎかけると、図5に示すように、糸Yの長手方向には、上記染料溶液31aが注ぎかけられた藍色の濃い部分B1と、上記染料溶液31aが注ぎかけられていない藍色の薄い部分B2とが規則的に交互につくられることとなる。また、上記染料溶液供給部4によれば、糸Yの幅方向の全長域の各所に対して染料溶液31aを注ぎかけることができるために、多数本の糸Yのいずれに対しても染料溶液31aによって染められた藍色の濃い部分B1を適切に現出させることもできる。
【0032】
なお、図5では、的確に表現されていないが、藍色の濃い部分B1と薄い部分B2との境界部分はさほど明確ではなく、これらの境界部分は藍色の濃度が徐々に変化するぼかし状となる。また、藍色の濃い部分B1のピッチ間隔Lは、たとえば染料溶液供給部4の可動部材40の回転周期を短時間に設定すれば、短くすることが可能であり、可動部材40の回転周期の変更によって任意のピッチ間隔に調整することが可能である。また、藍色の濃い部分B1の長さLaも、染料溶液供給部4から糸Yに注ぎかけられる染料溶液31aの量や、糸Yの移送速度の加減によって任意に調整することが可能である。
【0033】
上記のようにして、染料溶液31aが間欠的に注ぎかけられた糸Yは、その後後段側の染色槽3B内に移送され、染料溶液31によって第2回目の浸染処理が施される。この第2回目の浸染処理が行われると、糸Yの表面の藍色が濃くなるが、この第2回目の浸染処理は、やはり糸Yの長手方向について各所略均等に行われる。したがって、上記染料溶液31aが注ぎかけられた部分と、注ぎかけられていない部分との濃度差が、上記第2回目の浸染処理によって消失することはなく、あくまでも上記糸Yの表面には、藍色が濃い部分と薄い部分とが規則的につくられていることとなる。なお、このようにして第2回目の浸染処理を終了した糸Yは、その後水洗槽3Cに移送されて水洗いされた後に、のり付槽3Dに移送されてのり付けされ、その後乾燥処理を経てビームに巻き取られることとなる。
【0034】
上記一連の作業工程によれば、多数本の長寸法の糸Yの藍染めを連続して行うことができ、効率の良い染色処理が行える。その一方、藍色が濃い部分と薄い部分とを規則的に、かつ積極的につくりだすことができ、手染めの風合いを醸しだすことができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、糸Yに染料溶液31aを注ぎかける手段として、間欠的に回転する可動部材40と、この可動部材40の上面部に染料溶液31aを注ぐ染料溶液供給ノズル41とを組み合わせた染料溶液供給部4を用いているために、ポンプPから染料溶液供給ノズル41に染料溶液31aを供給する場合には、上記ポンプPを常時稼働させておくことによって、染料溶液31aを染料溶液供給ノズル41に連続して供給させればよく、ポンプPの運転が簡単となる利点が得られる。また、糸Yの水平移送経路Aにおいて、糸Yの上方から染料溶液31aを注ぎかけるようにしているために、染料溶液31aが大気中で不必要に拡散されて酸化することも回避でき、酸化が好ましくない染料溶液を用いる場合であっても、糸Yに対する染着性を良好にすることもできるという利点も得られる。
【0036】
ただし、糸に染料溶液を浴びせる手段は、上記実施形態の手段に限定されず、たとえば図7に示すような手段を採用してもよい。すなわち、同図に示された手段は、染色槽3Bを通過して鉛直方向にガイド移送される糸Yに対し、ポンプP1に接続されたノズル4Aから染料溶液31aを間欠的に噴射して浴びせる手段である。このような手段であっても、糸Yの長手方向の色合いに規則的な濃淡差を生じさせることができる。なお、図7に示すように、染料溶液31aを噴射する手段では、染料溶液31aの酸化が促進される虞れがあるために、このような手段は、酸化を生じ難い染料溶液を用いて染色処理を施す場合に適する。
【0037】
また、上記実施形態では、2つの染色槽3B,3Bのうち、前段側の染色槽3Bを利用して第1回目の浸染処理が終了した後に、糸Yに染料溶液31aを浴びせ、その後第2回目の浸染処理を行っているが、本願発明はやはりこれに限定されない。本願発明では、たとえば糸に染色槽を利用した浸染処理を施す以前の時期に、糸に染料溶液を浴びせる処理を実行し、その後必要な回数だけ染色槽を利用した浸染処理を施すようにしてもよい。さらには、これとは逆に、染色槽を利用した浸染処理を全て終了した後に、染料溶液を糸に浴びせる処理を実行し、その後水洗い処理を行うといった順序で処理してもよい。このように、本願発明では、糸に染料溶液を浴びせる処理をいずれの過程において行うかは、とくに限定されるものではない。
【0038】
その他、本願発明に係る染色装置の各部の具体的な構成は上記実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。また同様に、本願発明に係る糸の染色方法の各処理工程の具体的な構成も上記実施形態に限定されず、種々に変更自在である。上記実施形態では、デニム織物用の綿糸としてのたて糸に藍染めを施す場合を一例として説明したが、むろん本願発明はこれに限定されず、デニム織物用の綿糸以外の様々な種類の糸の染色処理用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る染色装置の一例を示す側面断面図。
【図2】図1に示す染色装置の要部を示す概略斜視図。
【図3】図1に示す染色装置に用いられている染料溶液供給部の概略構成を示す側面説明図。
【図4】図3に示す染料溶液供給部の動作状態を示す側面説明図。
【図5】糸の染色処理状態の一例を示す要部平面図。
【図6】(a),(b)は、染料溶液供給部の可動部材の他の例を示す説明図。
【図7】染料溶液を糸に浴びせる手段の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
2a〜2e ローラ(移送手段)
3B 染色槽
4 染料溶液供給部(染色手段)
31 染料溶液
31a 染料溶液
40 可動部材
41 染料溶液供給ノズル
A 水平移送経路
Y 糸
Claims (1)
- 染料溶液を収容する少なくとも1以上の染色槽と、多数本の糸が上記染色槽内を通過して上記染料溶液中に浸漬されるように上記糸の移送を行う移送手段と、を有する染色装置であって、
上記染色槽内の染料溶液の外部を移送されている糸に対して上記糸に染料溶液を間欠的に浴びせる染色手段を具備しており、
上記染色手段は、上記移送手段によって上記糸が略水平方向に移送される水平移送経路の上方に位置するとともにこの水平移送経路を移送される多数本の糸の幅方向に延びている可動部材と、この可動部材の上面部に染料溶液を注ぐ染料溶液供給ノズルとを具備して構成されており、かつ上記可動部材は、上記多数本の糸の幅方向に延びる板状部を有するとともにこの可動部材の上面部に注がれた染料溶液を間欠的に下方へ落下させるように回転可能であることを特徴とする、染色装置。
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