JP3706568B2 - 硫黄検出センサ及び硫黄検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硫黄検出センサ及び硫黄検出装置に関し、更に詳細には硫黄含有ガス流中の硫黄成分が通過した積算量を検出し得る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラーの煙道から排出される排煙ガス流等の硫黄含有ガス流中の硫黄成分濃度を測定するセンサについては、例えば特開平9−80017号公報や特開平9−80018号公報において提案されている。
かかる公報に提案されたセンサを図9に示す。図9に示すセンサは、固体電解質材料であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る固体電解質基板100(以下、単に基板100と称することがある)の一面側に形成された枠体118内に、硫酸銀を含む硫酸塩から成る作用極102が形成されている。更に、基板100の他面側にも、対極としての白金極104が形成され、作用極102の表面には、銀含有極106が形成されている。これら白金極104と銀含有極106との各々は、白金ワイヤ108、110を介して電圧計112に連結されている。かかる作用極102と基板100との接合境界面には、白金化合物を熱分解して生成した白金116が存在している。
図9に示すセンサは、その作用極102を含む部分が、煙道ガス流が導入される筒体114内に挿入され、白金極104を含む部分が筒体114の外側に位置する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示すセンサによれば、筒体114内に亜硫酸ガス流を含む煙道ガス流が導入されると、空気に晒される白金極104、基板100、作用極102及び銀含有極106内で進行する電気化学反応に起因する起電力が発生し、この起電力を測定することによって煙道ガス流中の硫黄分を測定できる。
しかし、図9に示すセンサは、ボイラの煙道から排出される排煙ガス流等の酸素含有ガス流中の硫黄分を測定できるが、実質的に無酸素のガス流中の硫黄分、例えば家庭用又は車載用の燃料電池に、商用燃料ガスやガソリンを改質して水素ガスを供給する改質工程で扱われるガス流中の硫黄分を測定できない。
かかる改質工程を図10に示す。図10に示す改質工程では、原油由来の硫黄化合物を含有するガソリンや臭い付け等の目的で硫黄化合物が添加された商用ガス等の燃料に含有されている硫黄化合物を除去すべく、ガス化した燃料ガス流を脱硫器に供給し、硫黄化合物を除去する。次いで、硫黄化合物を除去した燃料ガス流を、リフォーマで水素化した後、含有されているCOをCO2化するシフターを通過した水素を、燃料電池に供給する。
【0004】
しかしながら、脱硫器に充填されている脱硫触媒等の吸着機能が低下すると、充分に脱硫されない燃料ガス流がリフォーマ及びシフターに供給され、リフォーマ及びシフターの機能を低下し、更には燃料電池の発電能力を低下する。
このため、脱硫器で脱硫された燃料ガス流中の硫黄成分を測定し得る測定手段を脱硫器とリフォーマとの間に設置することが要請される。
かかる測定手段としては、実質的に無酸素のガス流中での硫黄成分を連続して測定し得る測定手段であることを要する。
また、脱硫器で脱硫された燃料ガス流中の硫黄化合物の含有量が、リフォーマ及びシフターの機能を維持できる程度の少量であっても、硫黄化合物を含有する燃料ガス流が連続的に供給されると、供給された硫黄化合物の累積量に応じてリフォーマ及びシフターの機能が次第に低下する。このため、リフォーマ及びシフターに供給された硫黄化合物の累積量も測定することが必要である。
そこで、本発明の課題は、酸素が実質的に非含有のガス流中の硫黄成分も測定できる硫黄検出センサ及び硫黄検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく、硫化水素(H2S)を含有する窒素ガス流について検討した結果、硫化水素、酸素及び銀が反応して生成する硫酸銀(Ag2SO4)は、銀に比較して著しく高い電気抵抗値を示すことを知った。
したがって、銀から成る作用極に接触する窒素ガス流中の硫化水素を酸化し得る充分な酸素イオンが作用極内に存在すると、作用極内では、酸素イオン、硫化水素及び銀が反応して生成した硫酸銀の存在割合が増加する。このため、作用極の電気抵抗値について、単位時間当たりの増加量を測定することにより、単位時間当たりの硫化水素の通過量を知ることができるものと考え、検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、硫黄含有ガス流中の硫黄成分の積算量を検出し得る硫黄検出センサであって、該硫黄検出センサには、酸素イオンが移動可能な固体電解質材料で形成された固体電解質基板と、前記硫黄含有ガス流と接触する前記基板の一面側に形成され、硫黄含有ガス流中の硫黄成分及び固体電解質基板を移動してきた酸素イオンと反応して電気抵抗値が上昇する材料及び/又は前記基板の一面側近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化する反応生成物を生成する材料から成る作用極と、酸素含有ガス流と接触する前記基板の他面側に形成され、前記酸素含有ガス流から酸素イオンを固体電解質基板に供給する対極とが設けられ、前記作用極と対極とを電気的に接続する外部回路が設けられていることを特徴とする硫黄検出センサにある。
【0006】
また、本発明は、硫黄含有ガス流中の硫黄成分の積算量を検出し得る硫黄検出装置であって、該硫黄検出装置には、酸素イオンが移動可能な固体電解質材料で形成された固体電解質基板と、硫黄成分を含有する硫黄含有ガス流と接触する前記基板の一面側に形成され、前記硫黄含有ガス流中の硫黄成分及び固体電解質基板を移動してきた酸素イオンと反応して電気抵抗値が上昇する材料及び/又は前記基板の一面側近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化する反応生成物を生成する材料から成る作用極と、酸素含有ガス流と接触する前記基板の他面側に形成され、前記酸素含有ガス流から酸素イオンを固体電解質基板に供給する対極とが設けられ、前記作用極と対極とを電気的に接続する外部回路とが形成されている硫黄検出センサを具備し、前記硫黄検出センサの作用極の電気抵抗値を測定する電気抵抗測定手段が設けられていることを特徴とする硫黄検出装置にある。
【0007】
かかる本発明において、固体電解質基板として、イットリア安定化ジルコニアから成る基板を、好適に用いることができ、作用極を、固体電解質基板のイオン導性が発揮され得る温度で安定な材料で形成することによって、作用極が熱で変形或いは溶解することを防止できる。
かかる作用極を形成する材料中に、硫黄成分の酸化触媒を配合することにより、作用極内での硫黄分の酸化速度を速め、作用極内の硫黄分を確実に酸化できる。このため、ガス流中の硫黄分量を正確に測定できる。
更に、対極を、白金含有電極とすることによって、空気中の酸素を容易に酸素イオンとすることができる。
また、外部回路を、導電性のワイヤで形成することにより、確実に作用極と対極とを電気的に直接接続できる。かかる外部回路に、対極から作用極の方向に直流電流を流す電流供給手段を設けることにより、固体電解質基板に多量の酸素イオンを供給できる。
尚、作用極の電気抵抗値を測定する接続端子を、前記作用極に形成することにより、作用極の電気抵抗値を容易に測定できる。
【0008】
本発明に係る硫黄検出センサによれば、対極から固体電解質基板に供給した酸素イオンが作用極内でガス流中の硫黄成分を酸化する。このため、作用極に接触する硫黄成分含有ガス流が、その中に実質的に酸素が存在しない無酸素ガス流であっても、硫黄成分は酸化されて作用極を形成する材料と反応する。
しかも、ガス流中の硫黄成分及び作用極を形成する材料が反応して生成した反応生成物は、反応前の材料よりも高い電気抵抗値を示し及び/又は作用極近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化するため、この反応生成物の存在量に応じて作用極の電気抵抗値が上昇する。
したがって、センサの作用極の電気抵抗値について、単位時間当たりの増加量を測定することによって、単位時間当たりセンサに接触したガス流中の硫黄成分量を測定できる。
更に、測定した作用極の電気抵抗値を、硫黄含有ガス流に晒す直前に測定した作用極の電気抵抗値と比較することにより、硫黄含有ガス流の導通開始からセンサに接触した硫黄成分の累積量を測定できる。
また、本発明に係る硫黄検出センサは、固体電解質基板、作用極、対極及び街路回路から成り、その構造が簡単で小型化できるため、例えば家庭用又は車載用の燃料電池の改質工程で扱われるガス流中の硫黄成分の積算量測定に使用可能である。
尚、本発明において言う「硫黄含有ガス流中の硫黄成分の積算量」とは、硫黄検出センサの作用極に接触した硫黄成分の積算量をいう。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る硫黄検出装置の一例を図1に示す。図1に示す硫黄検出装置を構成する硫黄検出センサは、固体電解質材料であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る固体電解質基板10(以下、単に基板10と称することがある)の一面側に、作用極12が形成されており、基板10の他面側にも、白金から成る対極14が形成されている。
かかる作用極12と対極14とは、基板10を介することなく白金製のワイヤ16、18によって形成される外部回路によって電気的に直接接続されている。この作用極12に一端が接続されているワイヤ16の他端と、対極14に一端が接続されているワイヤ18の他端との間には、スイッチ20が設けられている。
【0010】
図1に示す硫黄検出装置では、図1に示す硫黄検出センサの作用極12における電気抵抗値の増加量を測定すべく、作用極12に一端が接続されているワイヤ16と、対極14に一端が接続されているワイヤ18とに、電気抵抗値測定器22が接続ワイヤ24,26を介して接続されて測定回路を形成している。この測定回路を形成する接続ワイヤ24にも、スイッチ28が設けられている。
かかる図1に示す電気抵抗測定器22で測定される電気抵抗値は、作用極12、基板10及び対極14を含む電気抵抗値であるが、基板10及び対極14は、ガス流中に含まれている硫黄成分に対して安定しており、ガス流中の硫黄成分によって電気抵抗値は実質的に変化しない。このため、電気抵抗測定器22で測定される電気抵抗値の変化量は、作用極12の電気抵抗値の変化と等しい。
また、図1に示す作用極12は、ガス流中の硫黄成分及び基板10を移動してきた酸素イオンと反応して電気抵抗値が上昇し及び/又は基板10の一面側近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化する反応生成物を生成する材料で形成されている。
ここで、「相変化」とは、生成した反応生成物が、基板10の一面側近傍の温度で溶融、昇華、熱分解されてガス流により飛散され易い状態となることをいう。
かかる反応生成物を形成し易い材料としては、固体電解質から成る基板10のイオン伝導性が発揮され得る温度で安定な材料を用いることによって、形成した作用極12の熱変形等を防止できる。
例えば、基板10をイットリア安定化ジルコニア(YSZ)で形成した場合、基板10のイオン伝導性を発揮し得る温度、すなわち基板10内を酸素イオンが移動できる温度は、約500℃である。かかる温度に耐久性を有する作用極12を形成し得る材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)を挙げることができる。
ここに挙げた材料のうち、銀(Ag)、ニッケル(Ni)の硫黄化合物は、金属状態の銀(Ag)、ニッケル(Ni)よりも電気抵抗値が上昇する。
また、鉄(Fe)の硫黄化合物は、金属状態の鉄(Fe)よりも融点が低下し、基板10のイオン伝導性を発揮し得る温度である約500℃では溶融状態となる。更に、銅(Cu)の硫黄化合物は、良電導体であるものの、基板10のイオン伝導性を発揮し得る約500℃の温度では昇華し易い。
このため、鉄(Fe)や銅(Cu)から成る作用極12では、基板10のイオン伝導性を発揮し得る約500℃の温度下において、硫黄成分と反応した鉄(Fe)や銅(Cu)の硫黄化合物は溶融又は昇華し、作用極12の導体断面積が減少して電気抵抗値が高くなる。
【0011】
この様な材料で形成された作用極12における硫黄成分の酸化速度を速めるべく、作用極12を形成する材料中に酸化触媒を混在させることも好ましい。この酸化触媒としては、酸化ロジウム(Rh2O3)、白金(Pt)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化タングステン(WO3)を挙げることができ、更に、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)及びこれらの酸化物も用いることができる。
また、酸化触媒として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びこれらの酸化物を用いることができる。
【0012】
図1に示すセンサを作る際には、先ず、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の固体電解質材料から成る基板10を所定温度で焼成して形成した後、基板10の一面側に銀等の作用極12を形成する材料が配合されたペーストを塗布し、焼成して作用極12を形成する。
次いで、基板10の他面側に、白金ペーストを塗布した後、焼成することによって対極14を形成できる。
この様にして形成したセンサの作用極12と対極14とを、白金製のワイヤ16、18及びスイッチ20を介して電気的に直接接続した後、図1に示す様に、矢印A方向に硫黄成分を含有するガス流が流れる管体30にセンサを装着する。その際に、硫黄成分を含有するガス流に作用極12が接触し、対極14が空気と接触するように、センサを管体30に装着する。
【0013】
ここで、管体30内に矢印A方向に、硫黄成分を含有するガス流(実質的に酸素を含有しない無酸素ガス流)を流しつつ、基板10を形成する固体電解質材料が、そのイオン伝導性を発揮し得る温度まで昇温すると、管体30外の空気中の酸素が対極14の白金触媒の存在下でイオン化された酸素イオン(O2-)が基板10内を移動し、銀から成る作用極12に到る。
かかる作用極12内では、作用極12を形成する銀、ガス流中の硫黄成分及び基板10内を移動してきた酸素イオン(O2-)が反応し、硫酸銀(Ag2SO4)を形成する。
この作用極12での反応は、電気化学的反応を含む反応である。すなわち、図1に示すセンサでは、固体電解質材料から成る基板10を挟み酸素イオン濃度を異にする気体が存在し、いわゆる濃淡電池的な機能も奏するからである。
かかるセンサを形成する作用極12と対極14とは、ワイヤ16、18及びスイッチ20から成る外部回路を介して電気的に直接接続されている。このため、外部回路を介して作用極12から対極14に電子が流れるため、対極14での酸素のイオン化を促進し、基板10内を移動する酸素イオン(O2-)を増加する、いわゆるポンプ作用を奏する。
【0014】
この様に、基板10を移動してきた酸素イオン(O2-)、作用極12を形成する銀及びガス流中の硫黄成分は、反応して硫酸銀(Ag2SO4)を形成する。硫酸銀は、電気抵抗値が銀よりも著しく高いため、作用極12内に硫酸銀が次第に蓄積されると、作用極12の電気抵抗値が増加する。
図1に示すセンサでは、作用極12に一端が接続されているワイヤ16と、対極14に一端が接続されているワイヤ18とに接続された、電気抵抗値測定器22を含む測定回路のスイッチ28を閉じることによって、作用極12、基板10及び対極14を含む電気抵抗値を測定する。
但し、基板10及び対極14は、ガス流中の硫黄化合物と反応しないため、前回測定値と今回測定値との差が、前回測定と今回測定との間に新たに作用極12内に形成された硫酸銀(Ag2SO4)に因るものである。
したがって、所定時間内における作用極12の電気抵抗値の増加量を測定することによって、所定時間内に作用極12に接触したガス流中の硫黄成分の積算量を測定できる。
このため、単位時間当たりの作用極12の電気抵抗値の増加量を測定すると、単位時間当たりセンサに接触したガス流中の硫黄成分の積算量を測定できる。
或いは、測定した作用極12の電気抵抗値を、硫黄含有ガス流に晒す直前に測定した作用極12の電気抵抗値と比較することにより、硫黄含有ガス流の導通開始からセンサに接触した硫黄成分の累積量を測定できる。
尚、電気抵抗値測定器22による電気抵抗値の測定の際には、外部回路に設けたスイッチ20を開き、作用極12と対極14との間の外部回路を断線した状態で測定してもよく、スイッチ20を閉じた状態で測定してもよい。
【0015】
図1に示すセンサでは、作用極12と対極14との間をワイヤ16、18のみから成る外部回路によって電気的に接続し、作用極12の電子を対極14に移動できるようにしている。
しかし、センサ自身の有する濃淡電池としての機能のみでは、作用極12での酸素が不足するような場合には、対極14に電子を充分に補充し、基板10に供給する酸素イオン(O2-)を増加すべく、図2に示す様に、ワイヤ16、18から成る外部回路に、対極14から作用極12の方向に直流電流を流す電流供給手段としての電池31を設置することが好ましい。
図2に示すセンサの作用極12の電気抵抗値を測定する際には、電池31の影響を排除すべく、スイッチ20を開いて測定することが好ましい。
尚、図2において、図1に示すセンサと同一部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0016】
図1及び図2に示すセンサでは、測定した電気抵抗値は、作用極12、基板10及び対極14の合計の電気抵抗値であるため、基板10及び対極14に影響され、作用極12の微細な電気抵抗値の変化量を測定できないおそれがある。
この点、図3に示すセンサによれば、基板10及び対極14の影響を排除して作用極12の電気抵抗値のみを測定できる。図3に示すセンサでは、その外部回路は、図1に示すセンサと同一構造であるが、測定回路は、作用極12の一端に接続されたワイヤ16に接続されている接続ワイヤ26と、作用極12の他端に接続された接続ワイヤ32とを介して電気抵抗値測定器22が接続されている。この接続ワイヤ32の途中に、スイッチ34が設けられている。
かかる図3に示すセンサでは、測定回路のスイッチ34を閉とすることによって、作用極12の一端と他端との間の電気抵抗値を電気抵抗値測定器22で直接測定できる。このため、作用極12の微細な電気抵抗値の変化量も測定可能である。
この様に、作用極12の電気抵抗値を測定する際には、ワイヤ16,18の外部回路による影響を排除すべく、ワイヤ18に設けたスイッチ20を開の状態とすることが好ましい。
ここで、図3に示すセンサの外部回路には、電池が設けられていないが、センサ自身の有する濃淡電池としての機能のみでは、作用極12での酸素が不足するような場合には、図2と同様に、外部回路に電池31を設けてもよい。
尚、図3において、図1に示すセンサと同一部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0017】
基板10及び対極14の影響を排除するには、図4に示すセンサの様に、作用極12と対極14とを直接電気的に接続するワイヤ16,18から成る外部回路と、作用極12の電気抵抗値を測定する接続ワイヤ32、スイッチ34及び接続ワイヤ36から成る測定回路とを別回路とすることにより、基板10及び対極14の影響を完全に排除できる。
図4に示すセンサにおいても、センサ自身の有する濃淡電池としての機能のみでは、作用極12での酸素が不足するような場合には、図2と同様に、外部回路に電池31を設けてもよい。
尚、図4においても、図1に示すセンサと同一部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0018】
図3及び図4に示す様に、作用極12の両端部の各々にワイヤを接続する場合には、図5に示す様に、作用極12の両端部の各々に、接続端子としての電極38a,38bを設けることによって、ワイヤとの電気的な接続を容易に行うことができる。
図1〜図5に示すセンサでは、固体電解質材料から成る基板10を移動してきた酸素、ガス流中の硫黄成分及び作用極12を形成する材料との反応によって生成される反応生成物が、作用極12を当初に形成する材料よりも電気抵抗値の高いことを利用してガス流中の硫黄成分量を測定する。このため、従来の硫黄測定センサでは測定できなかった実質的に無酸素状態のガス流中の硫黄成分量を測定可能とした。
また、基板10を移動してきた酸素、ガス流中の硫黄成分及び作用極12を形成する材料との反応によって生成される反応生成物が、作用極12の近傍温度で溶融する反応生成物であっても、作用極12の電気抵抗値は増加するため、実質的に無酸素状態のガス流中の硫黄成分量を測定可能である。
以上、無酸素ガス流中の硫黄成分の測定について説明してきたが、酸素含有ガス流中の硫黄成分であっても、実質的に無酸素ガス流中の硫黄成分と同様に、作用極12を当初に形成する材料よりも電気抵抗値の高い反応生成物を形成、或いは作用極12の近傍温度で溶融する反応生成物を形成するため、本発明に係るセンサを用いて酸素含有ガス流中の硫黄成分の積算量を測定できる。
更に、ガス流でなくても、硫黄成分を含有するガス雰囲気であっても、同様に本発明に係るセンサによって硫黄成分を測定できる。
【0019】
【実施例】
本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
実施例1
図6に示す様に、固体電解質材料であるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)から成る基板10の一面側に、酸化触媒としての酸化ロジウムを添加した銀ペーストを塗布し焼成して作用極12形成した後、作用極12の両端部及び基板10の他面側に白金ペーストを塗布し焼成した。
得られたセンサは、その基板10の一端側には、酸化ロジウムが配合された銀から成る作用極12の両端部に、白金から成る電極38a,38bが形成され、基板10の他面側に、白金から成る対極14が形成されている。
次いで、作用極12と対極14とを白金から成るワイヤ16,18及びスイッチ20によって電気的に直接接続すると共に、対極14から作用極12の方向に電流が流れるように(電子が作用極12から対極14に流れるように)電池31を配設した外部回路を形成した。
更に、作用極12の電極38a,38bに接続された接続ワイヤ32,36、スイッチ34及び電気抵抗値測定器22から成る測定回路を形成した。
【0020】
形成したセンサを、図6に示す様に、管体30の中心軸に対して直角となるように装着し、電池31、スイッチ20,34及び電気抵抗値測定器22を除く部分を電気炉内に挿入した。電気炉内を基板10のイオン伝導性が発現する600℃に加熱し、作用極12の電極38a,38b間の電気抵抗値を電気抵抗値測定器22で測定したところ、測定値は1.9Ωであった。
尚、電池31の影響を排除すべく、電極38a,38b間の電気抵抗値を測定する際には、スイッチ20を開の状態として外部回路を遮断して測定した。
【0021】
次いで、電気炉内を600℃に加熱しつつ、作用極12側に50ppmの硫化水素を混入した窒素ガス流から成る検知ガス流を矢印X方向から管体30内に挿入された窒素導入管30aに導入すると共に、対極14側に空気を矢印Y方向から管体30内に挿入された空気導入管30bに導入し、電池31によって対極14から作用極12の方向に100mAの電流を流した状態を95時間保持した。
その後、作用極12の電極38a,38b間の電気抵抗値を電気抵抗値測定器22で測定したところ、測定値は1.2kΩであった。
尚、この場合も、電池31の影響を排除すべく、電極38a,38b間の電気抵抗値を測定する際には、スイッチ20を開の状態として外部回路を遮断して測定した。
【0022】
実施例2
実施例1と同様にして得たセンサを、実施例1と同様にして図6に示す様に管体30に装着し、実施例1と同一条件下で加熱しつつ、作用極12側に50ppmの硫化水素を混入した窒素ガス流から成る検知ガス流を矢印X方向から管体30内に導入すると共に、対極14側に空気を矢印Y方向から管体30に導入し、電池31によって対極14から作用極12の方向に100mAの電流を流した。
作用極12の電極38a,38b間の電気抵抗値の経時変化を、電気抵抗値測定器22で測定し、その結果を図7に示した。
ここで、管体30に硫化水素を混入した窒素ガス流の導入開始から所定時間経過後に、電極38a,38b間の電気抵抗値を測定する際には、電池31の影響を排除すべく、スイッチ20を開の状態として外部回路を遮断して測定した。
図7から明らかな様に、電極38a,38b間の電気抵抗値は、時間の経過と共に略直線状に上昇しており、管体30に硫化水素を混入した窒素ガス流の導入開始時点における電極38a,38b間の電気抵抗値と所定時間経過後の電気抵抗値との差からは、センサに接触した硫化水素の累積値を測定可能である。
更に、電気抵抗値の単位時間当りの上昇率からは、センサに接触した単位時間当りの硫化水素の通過量も測定可能である。
【0023】
図7に示す電極38a,38b間の電気抵抗値の経時変化は、管体30に硫化水素を混入した窒素ガス流の導入開始から90時間経過した時点までの経時変化であるが、更に長時間の経時変化を含めた電極38a,38b間の電気抵抗値の経時変化を図8に示す。
図8において、横軸は経時時間を示し、縦軸は電極38a,38b間の電気抵抗値を示す。
図8から明らかな様に、管体30に硫化水素を混入した窒素ガス流の導入開始から略100時間経過すると、電極38a,38b間の電気抵抗値が急激に上昇する。このことは、電極38a,38b間の作用極12を形成する銀の殆どが硫酸銀となり、作用極12の電気抵抗値が急激に上昇したものと考えられる。
したがって、この様に、作用極12の電気抵抗値が急激に上昇した際に、警報を発することによって、センサに接触した硫化水素量が所定量以上に達したこを知らせることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置によれば、従来の硫黄測定センサでは測定できなかった実質的に無酸素状態のガス流中の硫黄成分量を測定可能にできる。このため、燃料電池に供給する水素ガス流をガソリン等から改質する改質工程における燃料ガス流中の硫黄成分の積算量を測定できる。
また、本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置は、小型であり、家庭用又は車載用の燃料電池に用いられる改質工程で採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置の説明する概略図である。
【図2】本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置の他の例を説明する概略図である。
【図3】本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置の他の例を説明する概略図である。
【図4】本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置の他の例を説明する概略図である。
【図5】本発明に係る硫黄検出センサの他の例を説明する概略図である。
【図6】本発明に係る硫黄検出センサ及び硫黄検出装置の他の例を説明する概略図である。
【図7】図6に示す硫黄検出装置を使用し、作用極側に硫化水素含有ガスを流した場合、作用極の電気抵抗値の経時変化を示すグラフである。
【図8】図6に示す硫黄検出装置を使用し、作用極側に硫化水素含有ガスを流した場合、作用極における長時間の電気抵抗値の経時変化を示すグラフである。
【図9】従来の硫黄検出センサ及び硫黄検出装置を説明する概略図である。
【図10】燃料電池に燃料ガス流を供給する改質工程を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 基板
12 作用極
14 対極
16,18,24,26,32,36 ワイヤ
20,28,34 スイッチ
22 電気抵抗値測定器
31 電池
38a,38b 電極
Claims (10)
- 硫黄含有ガス流中の硫黄成分の積算量を検出し得る硫黄検出センサであって、
該硫黄検出センサには、酸素イオンが移動可能な固体電解質材料で形成された固体電解質基板と、
前記硫黄含有ガス流と接触する前記基板の一面側に形成され、硫黄含有ガス流中の硫黄成分及び固体電解質基板を移動してきた酸素イオンと反応して電気抵抗値が上昇する材料及び/又は前記基板の一面側近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化する反応生成物を生成する材料から成る作用極と、
酸素含有ガス流と接触する前記基板の他面側に形成され、前記酸素含有ガス流から酸素イオンを固体電解質基板に供給する対極とが設けられ、
前記作用極と対極とを電気的に接続する外部回路が設けられていることを特徴とする硫黄検出センサ。 - 固体電解質基板が、イットリア安定化ジルコニアから成る基板である請求項1記載の硫黄検出センサ。
- 作用極が、固体電解質基板のイオン伝導性が発揮され得る温度で安定な材料で形成されている請求項1又は請求項2記載の硫黄検出センサ。
- 作用極を形成する材料中に、硫黄成分の酸化触媒が配合されている請求項1〜3のいずれか一項記載の硫黄検出センサ。
- 対極が、白金含有電極である請求項1〜4のいずれか一項記載の硫黄検出センサ。
- 外部回路が、導電性のワイヤで形成されている請求項1〜5のいずれか一項記載の硫黄検出センサ。
- 外部回路に、対極から作用極の方向に直流電流を流す電流供給手段が設けられている請求項1〜6記載のいずれか一項記載の硫黄検出センサ。
- 作用極の電気抵抗値を測定する接続端子が、前記作用極に形成されている請求項1〜7のいずれか一項記載の硫黄検出センサ。
- 硫黄含有ガス流中の硫黄成分の積算量を検出し得る硫黄検出装置であって、
該硫黄検出装置には、酸素イオンが移動可能な固体電解質材料で形成された固体電解質基板と、前記硫黄含有ガス流と接触する前記基板の一面側に形成され、硫黄含有ガス流中の硫黄成分及び固体電解質基板を移動してきた酸素イオンと反応して電気抵抗値が上昇する材料及び/又は前記基板の一面側近傍の温度で硫黄含有ガス流により飛散され易い相に相変化する反応生成物を生成する材料から成る作用極と、酸素含有ガス流と接触する前記基板の他面側に形成され、前記酸素含有ガス流から酸素イオンを固体電解質基板に供給する対極と、前記作用極と対極とを電気的に接続する外部回路とが設けられている硫黄検出センサを具備し、
前記硫黄検出センサの作用極の電気抵抗値を測定する電気抵抗測定手段が設けられていることを特徴とする硫黄検出装置。 - 作用極の電気抵抗値を測定する接続端子が、前記作用極に形成されている請求項9記載の硫黄検出装置。
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