JP3573551B2 - 一酸化炭素ガス検知素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガスや石油分解ガス等の化石燃料の燃焼器に取り付けて、燃焼器が不完全燃焼を起こした時に発生する一酸化炭素(CO)を定量的に検知する一酸化炭素ガス検知素子に関する。更に詳しく述べると、電気化学的反応を利用する固体電解質式一酸化炭素ガス検知素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス器具などの燃焼器が不完全燃焼を起こした場合に発生する人体に有毒なCOを検知する方法として、COセンサによる直接検知法が従来から検討されている。このような目的に使用されるCOセンサとして半導体式、接触燃焼式及び固体電解質式COセンサが知られている。しかし、半導体式COセンサは酸素濃度変化の影響を受けやすいという問題点がある。従って、燃焼負荷の変動が大きい燃焼器の排ガスにこれを使用する場合は、正常燃焼であっても燃焼負荷変動により排ガスの酸素濃度が変化するため、不完全燃焼が起きたと誤認するおそれがあり、検知の信頼性が悪い。
【0003】
また、接触燃焼式COセンサは、排ガス温度の変化が及ぼすセンサ出力への影響を補正する回路及びCOの接触燃焼熱の変化を白金線の電気抵抗変化として取り出すためのブリッヂ回路が必要で回路構成が複雑である。さらに、低濃度COの検知感度が悪いので、不完全燃焼を低レベルのうちに逸早く検知するには不満足である。
【0004】
一方、固体電解質式COセンサは、固体電解質の表面に一対の電極を被着して設け、この一対のうち片方の電極を可燃性ガス酸化触媒で被覆し、他方の電極を露出した状態に構成したものである。このCOセンサは、例えば微量の可燃性ガスを含む空気などが露出した電極と直接に接触すると、この電極に吸着された可燃性ガスと酸素の電気化学的反応が起こり、一方、可燃性ガス酸化触媒によって覆われた電極においては、可燃性ガスは触媒によって酸化されるので電極には到達せず、その結果両電極での電気化学反応の間に差が生じるため、その差に応じた起電力が発生するという原理を利用するものである。
【0005】
例えば特公昭58−4985号明細書には、固体電解質として酸素イオン伝導性固体電解質を利用した固体電解質式COセンサが開示されている。このCOセンサを排ガス中で用いると、可燃性ガスが存在しなければたとえ温度や酸素濃度が変化しても起電力を生じないので、不完全燃焼の誤認は起こらず、検知の信頼性が高い。然し、不完全燃焼時に発生するCOの濃度を定量的に求めたい場合には問題がある。
【0006】
すなわち、化石燃料の不完全燃焼時にはCOと共に水素(H 2 )が発生し、両者の発生比率が燃焼負荷により変化するので、CO濃度を定量的に検知するためには、妨害ガスであるH 2 に関して検知感度が低いことが必要である。然しながら、従来の固体電解質式COセンサは、H 2 検知感度がCO検知感度を上回るため、定量的なCO濃度検知は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、化石燃料を使用する燃焼器の不完全燃焼を検知するに当たり、このような従来技術の欠点を克服して、燃焼負荷変動が大きい燃焼器の排ガス用に適し、信頼性の高い一酸化炭素ガス検知素子及びその製造方法を提供することを目的とする。すなわち、本発明は従来の固体電解質式COセンサを改良して、H 2 検知感度を相対的に低下させることによって、排ガス中のCO濃度を定量的に検知できるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、固体電解質式COセンサの或る種の電極材料を特定の遷移金属酸化物で修飾することにより、化石燃料の燃焼排ガス中のCOに対して通常半量乃至同量程度存在するH 2 がCOの検知感度に対して妨害的に及ぼす影響を顕著に低減乃至は排除できるという事実を見出し、検知素子に関する本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明の一酸化炭素ガス検知素子は、(ア)白金族金属と(イ)酸素イオン伝導性固体電解質との混合物からなる電極材料を(ウ)長周期型周期表の第4周期元素、第5周期元素(但しAg、Cdは除く)、ReまたはIrからなるd−ブロック遷移元素群から選ばれた少なくとも1種の遷移金属酸化物により修飾したもの一対を、(エ)酸素イオン伝導性固体電解質からなる基板の表面に被着して設け、該一対の電極の片方を(オ)可燃性ガス酸化触媒で被覆し、他方の電極は排ガスに露出したままの状態にあるように構成することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の構成に用いる(エ)酸素イオン伝導性固体電解質は、電極を被着するための基板として使用するものであり、一般的に融点よりかなり低い温度で高いイオン伝導性を示す固体を意味するが、酸素イオン(O 2− )伝導性を有することが必須であり、ジルコニア(ZrO 2 )を主成分とし、これにアルカリ土類元素または希土類元素の酸化物を混合し固形化したものが用いられる。一般的には次に列記するような物質がO 2− 伝導効果を有している。
【0011】
(a)希土類酸化物を添加したジルコニア
(b)MgOまたはCaOで安定化したジルコニア
(c)希土類酸化物を添加した二酸化トリウム
(d)希土類酸化物またはCaOを添加した酸化セリウム
(e)SrO、BaO、Y 2 O 3 、La 2 O 3 、Gd 2 O 3 、Nb 2 O 5 またはWO 3 を添加した三酸化二ビスマス
特に、ジルコニアを主成分とした酸素イオン伝導性固体電解質は公知の酸素センサなどに多数適用されている。本発明では、O 2− 伝導性に加えて耐久性等の実用的観点から特に優れている上記(a)または(b)を(エ)酸素イオン伝導性固体電解質として用いる。
【0012】
一般的に、サ−メット電極の材料としては、(ア)白金族金属とジルコニア、二酸化トリウム、酸化セリウム、三酸化二ビスマス、または酸素イオン伝導性固体電解質として列記したようにこれらの1種に希土類酸化物、アルカリ土類金属酸化物等を添加してなる(a)乃至(e)群の酸化物の1種とを混合し、成型したものが使用できる。しかし、本発明の電極の構成要素である(イ)酸素イオン伝導性固体電解質としては実用的見地から、上記(a)または(b)が特に好ましく用いられる。
【0013】
(ア)白金族金属として、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の単体金属または2種以上の合金が使用できる。好ましい電極材料として、例えばPt−ZrO 2 、Pt−ZrO 2 −MgO、Pt−ZrO 2 −CaO、Pt−YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を例示するが、これに限定されるものではない。
【0014】
上記(ア)と混合する(イ)酸素イオン伝導性固体電解質は、(エ)酸素イオン伝導性固体電解質と同種であっても、または異なっても効果が有るが、検知素子の耐久性の点から同種であることが好ましい。特に、(エ)酸素イオン伝導性固体電解質としてYSZを用いる場合は、電極材料としてPt−YSZが好ましい。
【0015】
本発明の構成に用いる電極は、上記電極材料を(ウ)長周期型周期表の第4周期元素、第5周期元素(但しAg、Cdは除く)、IrまたはReからなるd−ブロック遷移元素群から選ばれた少なくとも1種の遷移金属酸化物によって修飾したものである。すなわち、d−ブロック遷移元素として知られる元素のなかでSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、ReまたはIrの酸化物の少なくとも1種が用いられる。これらは、検知素子の作動温度、素子のまわりの雰囲気中に存在するCO及びH2 の濃度などの使用条件を選択すれば、有効に使用することができる。特にV、Mn、Fe、Ni、Cu、Znは後に実施例で示すように広い使用条件下で、またCoは添加量が或る程度以上であれば同様に広い使用条件下で、顕著な効果が有り、また作動温度やガス濃度などの条件によっては、この他にTi、Cr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Re、Irなども効果があり、好ましい。
【0016】
本発明において、上記電極材料の修飾は、電極材料に少量の(ウ)遷移金属酸化物を結果的に添加することを意味するが、添加の態様は均一混合であっても良く、また電極表面に比較的多く内部に少ないように不均一であっても良い。
【0017】
本発明において、電極材料の修飾の方法は、当業界で常用される全ての方法を使用することができる。例えば、上記遷移金属の無機化合物或は錯化合物を溶解した水溶液中に成型した電極材料を浸漬し乾燥し焼成する方法、上記遷移金属酸化物等をタ−ゲットとし不活性ガスをスパッタガスとして用いるスパッタリング法、あるいは電極材料の粉末に遷移金属酸化物の粉末を混合し成型し焼成する方法などを例示することができるが、これに限定されるものではない。
更に、遷移金属酸化物による修飾は、電極材料のみを修飾しても良く、先に電極材料を酸素イオン伝導性固体電解質である基板に被着したもの全体を浸漬法などで修飾しても良い。
【0018】
本発明の構成に用いる(オ)可燃性ガス酸化触媒は、CO、H 2 などの可燃性ガスを酸化する触媒作用を有するものであれば良い。例えば、Pt、Ru、Rh、PdまたはAuの単体、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、AgまたはCeの酸化物、或はこれらの2種以上の組み合わせが用いられ、通常、これらをSiO 2 、TiO 2 、SnO 2 、MgO、Al 2 O 3 などの担体に担持させて使用する。特にγ−Al 2 O 3 の粉末を塩化白金酸水溶液に浸漬し、乾燥後還元してPtをγ−Al 2 O 3 に担持させたものが好ましく常用されるが、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明において、(オ)可燃性ガス酸化触媒による電極の被覆は、可燃性ガスが触媒に接触せずに直接に電極に到達することの無いように、完全に閉鎖的でなければならない。しかし、電極と触媒を必ずしも密着させる必要は無く、触媒からなる被覆層と電極との間に空隙が有っても良い。
【0020】
本発明の電極と(エ)酸素イオン伝導性固体電解質である基板との被着は、電極と基板と排ガスが接する3相界面がなるべく多くなるような態様であれば良く、当業界で常用される全ての方法が用いられる。例えば、基板上に白金族金属コロイドを塗布し乾燥しさらに遷移金属化合物溶液を散布し焼成する方法、或は基板上に白金族金属を電子線蒸着法により被着したのち遷移金属酸化物を添加する方法などを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の検知素子の構成を模式的に表わす図1により、本発明の素子の作用を簡単に説明する。化石燃料の燃焼で生じる排ガス6が矢印の方向に流れる中で、本発明の検知素子をヒ−タ−5により適正な作動温度に保持して使用すると、不完全燃焼が起こった場合は排ガス中にCO及びH 2 が同時に含有されるが、このCO及びH 2 は、排ガスとこれに露出した修飾電極1と酸素イオン伝導性固体電解質である基板3とが接する3相界面において、酸素イオン伝導性である基板3から供給される酸素イオンO 2− と電気化学的に反応する。そして、本発明の修飾電極1はCOの電気化学反応を定量的に進めるが、一方、H 2 の電気化学反応は比較的に抑制するという選択性に顕著な効果がある。他方、可燃性ガス酸化触媒4で被覆された修飾電極2においては、COおよびH 2 は酸化触媒4で酸化されてそれぞれCO 2 及びH 2 Oに変わるので、修飾電極2には到達せず、上記の電気化学反応は起こらない。この違いにより、両電極の間には起電力が生じ、この値が指示計器7に表示される。
【0022】
【実施例】
本発明の検知素子の製作方法について代表例を記し、CO及びH 2 の検知感度について、本発明の検知素子を用いた結果と従来技術の検知素子を用いた結果を比較して記載した。
【0023】
[実施例1]
酸素イオン伝導性固体電解質基板上への電極の被着とヒ−ターの形成
イットリア(Y 2 O 3 )5モル%とジルコニア(ZrO 2 )95モル%とからなるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の粉末と白金(Pt)の粉末を、全粉末中のPtの体積比率が50体積%となるように混合し、常用の有機溶媒、バインダー、界面活性剤の適量と共に良く混合して、電極材料用のペーストを調製した。次いで、Y 2 O 3 を5モル%含有するYSZのグリーンシート(厚さ0.3mm)を基板として用い、この基板上の同一面に上記ペーストを約1mm角の正方形の形状で、互いに0.3mm間隔に離した一対としてスクリーン印刷した。また、基板の裏面にはアルミナ(Al 2 O 3 )ペースト及び白金(Pt)ペーストを用いて、スクリーン印刷によりアルミナ絶縁膜及びヒーターを形成した。これを十分に乾燥した後、1450℃で焼成した。こうして得られた電極材料の厚さは10μmであった。この電極に接するように起電力の出力取り出し用リード線を白金(Pt)ペーストで印刷して形成し、1450℃で焼成した。
【0024】
電極材料の修飾
硝酸ニッケル、硝酸コバルトなど、水溶性の各種遷移金属およびアルカリ土類金属無機化合物を0.02モル/lの濃度(但し、塩化カルシウム、臭化セリウムは0.01モル/l)に溶解した水溶液を用意し、上記のようにして電極材料を被着した基板全体をそれぞれの溶液中に常温で約1分間程度浸漬した後、よく乾燥し、600℃で10分間焼成し、本発明の修飾電極を得た。
【0025】
可燃性ガス酸化触媒による電極の被覆
アルミナ粉末(γ−Al 2 O 3 )にPtを1.5重量%含浸させた酸化触媒の粉末を常用の有機溶媒、バインダー、界面活性剤の適量と共に混合してペーストを調製した。これを一対の修飾電極の片方のみを覆うように約0.05mmの厚さに印刷して酸化触媒層を形成し、900℃で3時間焼成した。こうして、修飾する遷移元素及びアルカリ土類元素19種類について、一酸化炭素ガス検知素子を製作した。
センサの組み立て
この検知素子を台座に取り付け、ヒーター制御回路、出力取り出し回路、出力表示回路を組み込み、COセンサを構成した。
【0026】
検知試験
上記のようにして構成したCOセンサのヒーター部分に一定電圧を印加することにより、検知素子を作動温度400℃及び500℃に保ち、それぞれ空気とCOの混合ガス及び空気とH 2 の混合ガスを用いて、ガスの濃度を変えてセンサの起電力を測定した。測定値及びこの値から求めた感度比(COの起電力/H 2 の起電力)を表1及び表2に示した。
【0027】
[比較例1]
上記実施例1において電極材料を被着した基板を遷移金属化合物水溶液に浸して焼成する操作を行わなかった以外は、実施例1と同様にして製作した検知素子を用いて、ガス組成などを上記と同様に変えて起電力を測定し、表1及び表2に併せて示した。
【0028】
表1及び表2から、COとH 2 での検知素子の出力比を比較した時、COでの出力の方がH 2 での出力より大きくなる(CO/H 2 感度比>1)、すなわちCO検知の選択性に特に良い効果を示す修飾用遷移元素としてV、Mn、Fe、Ni、Cu、Znが挙げられることが判る。またCr(試料No.3)は全ての測定条件を通じて比較例1(試料No.IV)と比べると、CO検知選択性が良くなり、修飾効果が有ることが判る。更にTi(試料No.1)は作動温度を400℃に選べば、比較例1(試料No.IV)と対比してCO検知選択性が良くなることが判る。この他に、作動温度やガス濃度などの条件を適当に選択することによって、Co、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Re、Irも比較例1(試料No.IV)と比べてCO検知選択性が改良され、好ましいことが判る。
【0029】
[実施例2]
実施例1と同様にしてYSZ基板に電極材料とヒーターを取り付けたものを、それぞれ濃度0.2モル/l及び0.5モル/lの硝酸コバルト水溶液に常温で1分間程度浸した後、よく乾燥し、600℃で10分間焼成した以後は実施例1と同様にして、それぞれ本発明の検知素子を製作した。この素子を用いて実施例1と同様にガス濃度を変えて、センサの出力を測定した。測定値及びこれから求めた感度比を表3及び表4に示した。
この結果から、Coは浸漬溶液の濃度を上げることにより感度比>1となり特に好ましいことが判る。また総じて、電極を修飾するための遷移金属化合物溶液の濃度を濃くすると、CO検知の選択性に顕著な効果が有ること、更にまた遷移金属元素の添加量によらず修飾の効果が有ることが理解される。
【0030】
[実施例3]
Niで修飾した実施例1の検知素子を用いて、空気にCO及びH 2 の両方を混合した混合ガスについて、作動温度400℃においてガス組成を変えてセンサ出力を測定し、結果を図2に示した。
この結果から、混合ガス中のCO濃度が500ppm乃至1000ppmの場合には、H 2 濃度をCOに対して0−80%の範囲で変動させてもセンサ出力は殆ど一定の値を示し、更にCO濃度が2000ppmの場合にもH 2 濃度の増加がセンサ出力に及ぼす影響は極く僅かであり、COの定量的検知の信頼性が高いことが判る。
【0031】
【表 1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
表1、表 2、表 3及び表4から明らかな通り、従来技術の検知素子ではCOによる起電力の出力がH 2 のものよりも約1対3の割合で小さい。これに対して、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどで修飾した本発明の検知素子では逆にCOによる起電力の出力がH 2 によるものより大きく、人命に危険の有るCOの検知感度において著しく優れている。また、その他のd−ブロック遷移元素で修飾した場合についてもCO検知の選択性の点で従来技術より優れた効果が有る。
然も、図2から明らかなように本発明の検知素子は、化石燃料の不完全燃焼のようなCOとH 2 が共存する排ガスにおいて、センサ出力は一定のCO濃度についてはH 2 濃度が変化しても一定の値を示し、特に、CO濃度が希薄な状態でのCOの定量的検知の信頼性が極めて優れている。その結果、燃料の組成が変化した場合や僅かに不完全燃焼が始まったばかりの場合でも、CO濃度の変化を逸早く検知して燃焼を正常化させる制御信号を発信できるなど、実用上の利点が大きい。
【0036】
また、本発明の検知素子は適正な作動温度が400℃−500℃であり、通常の排ガス温度の変動範囲50℃−200℃より画然として高いので、起電力の温度補正回路を要しない簡素なCOセンサを構成できるのに加えて、燃焼負荷の大きい燃焼器に信頼性良く使用できる。
【0037】
なお、Niで修飾した本発明の検知素子を用いて、空気の流れに夫々COまたはH 2 を導入した瞬間、または導入を止めた瞬間からセンサ出力が一定になる迄の所要時間(応答時間、単位は分)を測定し、結果を図3に示したが、応答時間はいずれの場合も高々1分であり、電極を修飾することによりガス応答性が悪化するような不利な点は見られない。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検知素子の構成を説明するための模式図。
【0039】
【図2】空気とCOとH 2 の混合ガスについて、種々の水準においてCO濃度を一定にしてH 2 濃度を変えた時、本発明の検知素子を組み込んだCOセンサの出力が変化しないことを示す図。
【0040】
【図3】本発明の検知素子を組み込んだCOセンサのガス応答性を示す図。
【0041】
【符号の説明】
1、2・・・修飾電極
3 ・・・酸素イオン伝導性固体電解質である基板
4 ・・・可燃性ガス酸化触媒
5 ・・・作動用ヒーター
6 ・・・排ガス
7 ・・・出力指示計器
Claims (6)
- (ア)白金族金属及び(イ)酸素イオン伝導性固体電解質の混合物からなる電極材料を(ウ)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、ReまたはIrからなるd−ブロック遷移元素群から選ばれた少なくとも1種の遷移金属酸化物により修飾したもの一対を、(エ)酸素イオン伝導性固体電解質からなる基板の表面に被着して設け、該一対の電極の片方を(オ)可燃性ガス酸化触媒で被覆したことを特徴とする一酸化炭素ガス検知素子。
- 前記電極材料を構成する(イ)酸素イオン伝導性固体電解質がCaO、MgO、またはM2O3 (ここでMはY、またはランタノイド元素から選ばれた1種の希土類元素)で安定化されたZrO2である請求項1記載の一酸化炭素ガス検知素子。
- 前記(エ)酸素イオン伝導性固体電解質がCaO、MgO、またはM2O3 (MはY、またはランタノイド元素から選ばれた1種の希土類元素)で安定化されたZrO2である請求項1または2記載の一酸化炭素ガス検知素子。
- 前記(オ)可燃性ガス酸化触媒がSiO2 、TiO2 、SnO2 、MgOまたはAl2O3 から選ばれた少なくとも1種の担体にPt、Ru、Rh、PdまたはAuの単体、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cu、AgまたはCeの酸化物から選ばれた少なくとも1種を担持させたものである請求項1、2または3記載の一酸化炭素ガス検知素子
- 前記(ア)白金族金属と(イ)酸素イオン伝導性固体電解質からなる一対の電極材料を前記(エ)酸素イオン伝導性固体電解質からなる基板に被着した後、(ウ)d−ブロック遷移金属酸化物により、該電極材料を該基板と共に修飾してなる請求項1、2、3または4記載の一酸化炭素ガス検知素子。
- 予め前記一対の電極材料を(エ)酸素イオン伝導性固体電解質からなる基板に被着したもの全体を、前記d−ブロック遷移金属の化合物が溶解された溶液に浸漬したのち焼成することにより、前記(ウ)d−ブロック遷移金属酸化物によって修飾された電極を製作することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の一酸化炭素ガス検知素子の製造方法。
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