JP3705903B2 - アースアンカー併用土留め構造 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、急傾斜地等の地山を開削して建築構造物を構築する際に、その開削部の側壁を土留めする構造に関するものであり、特に、アースアンカー(グラウンドアンカー)併用土留め構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種土留め構造について、図3に従って説明する。同図に於いて符号Gは地山であり、該地山Gを地表G0 から切り開いて形成される開削部Oの側壁O1 に沿って、H形鋼から成る親杭1を所定間隔置きに打設して建て込む。該親杭1の下部は開削部Oの底面O2 の深度よりも地中深く埋設して支持力が得られるようにしておく。
【0003】
また、隣り合う親杭1,1間に横矢板2,2…を設置して、背部の地山Gを土留めする。各横矢板2は横長の矩形板状に形成されており、その左右外端部が夫々左右の親杭1の溝に差し込まれて、該親杭1のフランジ内側面に圧接引掛している。そして、斯かる横矢板2,2…を親杭1の上下方向に連接することにより、側壁O1 の略全体を覆う土留め壁3が構築される。
【0004】
更に、この土留め壁3の抵抗力を補うために、該土留め壁3の背部にアースアンカー4を構築する。このアースアンカー4は、所定の隣り合う親杭1,1の中間であって、且つ、側壁O1 の上方部分(開削部出口4OUT )から、地山奥斜め下方へ向けて配設される。また、該アースアンカー4の開削部出口4OUT の上下高さ位置に合わせて、H形鋼から成る上下2本の腹起し5,5を、親杭1,1…の前側面間に水平に架設する。
【0005】
次いで、この2本の腹起し5,5間に台座6を、丁度前記アースアンカー4の開削部出口4OUT に対向するように設置する。また、台座6の左右直近の親杭1,1にはブラケット7を配設して、腹起し5,5を下方から支承する。
【0006】
そして、台座6の前面の支圧板8上にジャッキ(図示せず)を載設するとともに、支圧板8中央の定着具9の中心孔を介してアースアンカー4のPC鋼材10の緊張端(開削部側端部)を前記ジャッキにて引張することにより、PC鋼材10を緊張させる。前記定着具9にはウエッジが内設されており、PC鋼材10が収縮しようとすると該ウエッジがPC鋼材10に喰い込んで拘止する。従って、緊張後、前記ジャッキを取り外してもPC鋼材10は緊張状態を保持する。
【0007】
尚、PC鋼材10の固定端(地山奥側端部)から手前へ所定の長さ部分(定着長部分)は一次グラウト材11にて地山Gに定着されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の此種土留め構造に於いては、アースアンカー4を構築するために腹起し5が必要であるが、その設置及び撤去には多大な手間を要する。また、該腹起し5や台座6が開削部Oの内側乃至その上方に構築される建築構造物本体に干渉するのを避けるために開削部Oを広げると、親杭1の本数が増え掘削及び埋め戻し土量も増えることとなる。一方、敷地面積等の事情から開削部Oを広げることができない場合には、建築面積を小さくせざるを得ない。
【0009】
そこで、腹起しが無くてもアースアンカーを構築することができるようにして、施工の簡素化や敷地の有効活用等を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであり、所定の間隔を隔てて向かい合わせた一対の形鋼から成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対の形鋼の間隙から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着長部分として定着し、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を前記一対の形鋼間に設置し、該台座は前記開削部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるアースアンカー併用土留め構造を提供するものである。
【0011】
また、並設した一対のH形鋼のフランジ端面同士を突き合わせて接合して成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対のH形鋼の接合部上端近傍位置に開穿された孔部から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着するとともに、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を、前記親杭の前側面に対向して設置され、該台座は前記開穿された孔部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるアースアンカー併用土留め構造を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来例と重複する部分に関しては同一符号を付して適宜その説明を省略するとともに、一部重複して説明することとする。
【0013】
図1は請求項1記載の発明の実施の形態を示し、開削部Oの側壁O1 に沿って建て込まれる親杭12は夫々一対の溝形鋼12a,12aから成り、該一対の溝形鋼12a,12aは所定の間隙dを隔ててウエブ外側面同士が向かい合わされている。この間隙dを確保するために、該一対の溝形鋼12a,12a間に鋼材13を橋絡させておく。ここでは、1つの親杭12当り1箇所に鋼材13を設けてあるが、親杭12の長さに応じて所要の強度が得られるように上下複数箇所に設けても良い。(尚、請求項1記載の発明は斯かる溝形鋼に限定されるものではなく、H形鋼等、他の形鋼を用いることとしても良い。)
また、親杭12として所要の支持力が得られるように、各溝形鋼12a,12aの下部を開削部Oの底面O2 の深度よりも充分に深く埋設する。更に、斯かる一対の溝形鋼12a,12aから成る親杭12間に横矢板2,2…を設置する。具体的には、左右に隣り合う2組の親杭12,12について、左方の親杭12に於ける右側の溝形鋼12aの溝に横矢板2の左外端部を差し込んで引掛するとともに、右方の親杭12に於ける左側の溝形鋼12aの溝に該横矢板2の右外端部を差し込んで引掛する。斯かる横矢板2,2…を親杭12の上下方向に連接することにより、側壁O1 の略全体を覆う土留め壁14が構築される。
【0014】
一方、前記一対の溝形鋼12a,12aの間隙dからは地山が露出することになるので、この間隙dの上方部分から地山奥斜め下方へアースアンカー4のアンカー孔15を削孔する。従って、前記間隙dの幅はこのアンカー孔15の直径よりも若干大きめにしておく。次いで、該アンカー孔15にPC鋼材10を挿入する。該PC鋼材10の自由長部分にはシース管16が外挿されている。そして、アンカー孔15の奥端部から所定の高さまで一次グラウト材11を注入して固化させることにより、PC鋼材10の定着長部分を地山Gに定着する。
【0015】
また、親杭12の前側面(一対の溝形鋼12a,12aの前部フランジ(開削部側フランジ)の外側面)には、丁度アースアンカー4の開削部出口4OUT に対向する位置に台座6を設置する。該台座6は箱状に形成されて、その背面左右端部が夫々の溝形鋼12a,12aの前部フランジに固定される。従って、左右一対の溝形鋼12a,12aは前記鋼材13に加えてこの台座6によっても連結されることになる。
【0016】
該台座6の前面に配設された支圧板8は、前記アンカー孔15の中心軸の延長線に対して直交するように斜め前上方に向けて斜設されており、該支圧板8の前面中央に配置された定着具9は前記アンカー孔15の中心軸の丁度延長線上に位置している。そして、該定着具9の中心孔に前記PC鋼材10の緊張端を貫挿して手前へ突出させる。
【0017】
然る後に、前記支圧板8上にジャッキ(図示せず)を載設してPC鋼材10を緊張する。緊張後はジャッキをPC鋼材10から解放して撤去することとなるが、定着具9のウエッジがPC鋼材10に喰い込んで収縮を阻止するので、該PC鋼材10は緊張されたまま保持される。そして、前記アンカー孔15に二次グラウト材17を注入して固化させる。斯くして、アースアンカー4が構築され、PC鋼材10の緊張による地山方向への反力が土留め壁14に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
【0018】
図2は請求項2記載の発明の実施の形態を示し、並設した一対のH形鋼18a,18aのフランジ端面同士を突き合わせて溶接することにより、この一対のH形鋼18a,18aを親杭18となす。各H形鋼18aの前後両フランジの突き合わせ側端面には、予め所定位置に半円状の切り欠き19aを設けておき、双方のH形鋼18a,18aを接合すると、これらの切り欠き19a,19a同士が合わさって円孔19が形成されるようにしておく。尚、ここでは親杭18の上方部分1箇所にしか円孔19が設けられていないが、アースアンカー4を上下複数段に亘って構築する場合には、それに合わせて円孔19も上下複数箇所に開穿しておく。
【0019】
また、この円孔19は、H形鋼18a,18aの前部フランジ(開削部側フランジ)に設けられたものよりも、後部フランジ(地山側フランジ)に設けられたものの方が若干下方に位置するように配置されている。従って、親杭18を開削部Oの側壁O1 に沿って建て込むと、前部フランジ側の円孔19の手前上方から該前部フランジ側の円孔19を斜め下に矢視したとき、該前部フランジ側の円孔19と後部フランジ側の円孔19とが重なって貫通することにより、後部フランジ側の円孔19の奥の地山Gを視認することができる。
【0020】
そこで、横矢板2,2…の設置による土留め壁20の構築後、これら円孔19,19同士が重なって見える矢視方向の延長線に沿って、地山奥斜め下方へアンカー孔15を削孔する。そして、該アンカー孔15にPC鋼材10を挿入し、該PC鋼材10の定着部分を一次グラウト材11にて定着する。
【0021】
また、親杭18の前側面(一対のH形鋼18a,18aの前部フランジの外側面)には、丁度前記前部フランジ側の円孔19の前方に台座6を設置し、該台座6の定着具9の中心孔に前記PC鋼材10の緊張端を貫挿して手前へ突出させる。然る後に、台座6の支圧板8上にジャッキを載設してPC鋼材10を緊張する。そして、前記アンカー孔15に二次グラウト材17を注入して固化させる。斯くして、アースアンカー4が構築され、PC鋼材10の緊張による地山方向への反力が土留め壁20に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
【0022】
このように請求項1記載の土留め構造及び請求項2記載の土留め構造ともに腹起しが不要であるので、その設置及び撤去に要する手間が省略できる。また、腹起しが無い分、建築面積が同じであれば開削部Oを狭くすることができるので、掘削及び埋め戻し土量が減少する。一方、開削部Oの広さが同じであれば建築面積を拡張することができる。(従って、例えばマンション等の床面積を広くすることができる。)
尚、地山の性状によっては、前記横矢板2に代えてロックボルトやモルタル吹き付けにより地山を保持することとしても良い。また、鉄筋コンクリート逆打ちを行うことにより、親杭12の本数を削減することもできる。
【0023】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るアースアンカー併用土留め構造では腹起しが不要となるので、その設置及び撤去に要する手間が省略できる。
また、掘削及び埋め戻し土量の低減、又は建築面積の拡張を図ることができる。
加えて、上記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記支圧板の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるので、アンカーが構築され、PC鋼材の緊張による地山方向への反力が土留め壁に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
斯くして、敷地を有効に活用しながら施工コストの低廉化及び工期の短縮を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の実施の形態を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【図2】請求項2記載の発明の実施の形態を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【図3】従来例を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【符号の説明】
d 一対の溝形鋼間の間隙
G 地山
O 開削部
O1 開削部の側壁
4 アースアンカー
6 台座
9 台座の定着具
10 アースアンカーのPC鋼材
11 一次グラウト材
12,18 親杭
12a 溝形鋼
14,20 土留め壁
15 アースアンカーのアンカー孔
17 二次グラウト材
18a H形鋼
19 円孔
19a 切り欠き
【発明の属する技術分野】
この発明は、急傾斜地等の地山を開削して建築構造物を構築する際に、その開削部の側壁を土留めする構造に関するものであり、特に、アースアンカー(グラウンドアンカー)併用土留め構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種土留め構造について、図3に従って説明する。同図に於いて符号Gは地山であり、該地山Gを地表G0 から切り開いて形成される開削部Oの側壁O1 に沿って、H形鋼から成る親杭1を所定間隔置きに打設して建て込む。該親杭1の下部は開削部Oの底面O2 の深度よりも地中深く埋設して支持力が得られるようにしておく。
【0003】
また、隣り合う親杭1,1間に横矢板2,2…を設置して、背部の地山Gを土留めする。各横矢板2は横長の矩形板状に形成されており、その左右外端部が夫々左右の親杭1の溝に差し込まれて、該親杭1のフランジ内側面に圧接引掛している。そして、斯かる横矢板2,2…を親杭1の上下方向に連接することにより、側壁O1 の略全体を覆う土留め壁3が構築される。
【0004】
更に、この土留め壁3の抵抗力を補うために、該土留め壁3の背部にアースアンカー4を構築する。このアースアンカー4は、所定の隣り合う親杭1,1の中間であって、且つ、側壁O1 の上方部分(開削部出口4OUT )から、地山奥斜め下方へ向けて配設される。また、該アースアンカー4の開削部出口4OUT の上下高さ位置に合わせて、H形鋼から成る上下2本の腹起し5,5を、親杭1,1…の前側面間に水平に架設する。
【0005】
次いで、この2本の腹起し5,5間に台座6を、丁度前記アースアンカー4の開削部出口4OUT に対向するように設置する。また、台座6の左右直近の親杭1,1にはブラケット7を配設して、腹起し5,5を下方から支承する。
【0006】
そして、台座6の前面の支圧板8上にジャッキ(図示せず)を載設するとともに、支圧板8中央の定着具9の中心孔を介してアースアンカー4のPC鋼材10の緊張端(開削部側端部)を前記ジャッキにて引張することにより、PC鋼材10を緊張させる。前記定着具9にはウエッジが内設されており、PC鋼材10が収縮しようとすると該ウエッジがPC鋼材10に喰い込んで拘止する。従って、緊張後、前記ジャッキを取り外してもPC鋼材10は緊張状態を保持する。
【0007】
尚、PC鋼材10の固定端(地山奥側端部)から手前へ所定の長さ部分(定着長部分)は一次グラウト材11にて地山Gに定着されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の此種土留め構造に於いては、アースアンカー4を構築するために腹起し5が必要であるが、その設置及び撤去には多大な手間を要する。また、該腹起し5や台座6が開削部Oの内側乃至その上方に構築される建築構造物本体に干渉するのを避けるために開削部Oを広げると、親杭1の本数が増え掘削及び埋め戻し土量も増えることとなる。一方、敷地面積等の事情から開削部Oを広げることができない場合には、建築面積を小さくせざるを得ない。
【0009】
そこで、腹起しが無くてもアースアンカーを構築することができるようにして、施工の簡素化や敷地の有効活用等を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために提案されたものであり、所定の間隔を隔てて向かい合わせた一対の形鋼から成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対の形鋼の間隙から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着長部分として定着し、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を前記一対の形鋼間に設置し、該台座は前記開削部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるアースアンカー併用土留め構造を提供するものである。
【0011】
また、並設した一対のH形鋼のフランジ端面同士を突き合わせて接合して成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対のH形鋼の接合部上端近傍位置に開穿された孔部から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着するとともに、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を、前記親杭の前側面に対向して設置され、該台座は前記開穿された孔部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるアースアンカー併用土留め構造を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1及び図2に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来例と重複する部分に関しては同一符号を付して適宜その説明を省略するとともに、一部重複して説明することとする。
【0013】
図1は請求項1記載の発明の実施の形態を示し、開削部Oの側壁O1 に沿って建て込まれる親杭12は夫々一対の溝形鋼12a,12aから成り、該一対の溝形鋼12a,12aは所定の間隙dを隔ててウエブ外側面同士が向かい合わされている。この間隙dを確保するために、該一対の溝形鋼12a,12a間に鋼材13を橋絡させておく。ここでは、1つの親杭12当り1箇所に鋼材13を設けてあるが、親杭12の長さに応じて所要の強度が得られるように上下複数箇所に設けても良い。(尚、請求項1記載の発明は斯かる溝形鋼に限定されるものではなく、H形鋼等、他の形鋼を用いることとしても良い。)
また、親杭12として所要の支持力が得られるように、各溝形鋼12a,12aの下部を開削部Oの底面O2 の深度よりも充分に深く埋設する。更に、斯かる一対の溝形鋼12a,12aから成る親杭12間に横矢板2,2…を設置する。具体的には、左右に隣り合う2組の親杭12,12について、左方の親杭12に於ける右側の溝形鋼12aの溝に横矢板2の左外端部を差し込んで引掛するとともに、右方の親杭12に於ける左側の溝形鋼12aの溝に該横矢板2の右外端部を差し込んで引掛する。斯かる横矢板2,2…を親杭12の上下方向に連接することにより、側壁O1 の略全体を覆う土留め壁14が構築される。
【0014】
一方、前記一対の溝形鋼12a,12aの間隙dからは地山が露出することになるので、この間隙dの上方部分から地山奥斜め下方へアースアンカー4のアンカー孔15を削孔する。従って、前記間隙dの幅はこのアンカー孔15の直径よりも若干大きめにしておく。次いで、該アンカー孔15にPC鋼材10を挿入する。該PC鋼材10の自由長部分にはシース管16が外挿されている。そして、アンカー孔15の奥端部から所定の高さまで一次グラウト材11を注入して固化させることにより、PC鋼材10の定着長部分を地山Gに定着する。
【0015】
また、親杭12の前側面(一対の溝形鋼12a,12aの前部フランジ(開削部側フランジ)の外側面)には、丁度アースアンカー4の開削部出口4OUT に対向する位置に台座6を設置する。該台座6は箱状に形成されて、その背面左右端部が夫々の溝形鋼12a,12aの前部フランジに固定される。従って、左右一対の溝形鋼12a,12aは前記鋼材13に加えてこの台座6によっても連結されることになる。
【0016】
該台座6の前面に配設された支圧板8は、前記アンカー孔15の中心軸の延長線に対して直交するように斜め前上方に向けて斜設されており、該支圧板8の前面中央に配置された定着具9は前記アンカー孔15の中心軸の丁度延長線上に位置している。そして、該定着具9の中心孔に前記PC鋼材10の緊張端を貫挿して手前へ突出させる。
【0017】
然る後に、前記支圧板8上にジャッキ(図示せず)を載設してPC鋼材10を緊張する。緊張後はジャッキをPC鋼材10から解放して撤去することとなるが、定着具9のウエッジがPC鋼材10に喰い込んで収縮を阻止するので、該PC鋼材10は緊張されたまま保持される。そして、前記アンカー孔15に二次グラウト材17を注入して固化させる。斯くして、アースアンカー4が構築され、PC鋼材10の緊張による地山方向への反力が土留め壁14に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
【0018】
図2は請求項2記載の発明の実施の形態を示し、並設した一対のH形鋼18a,18aのフランジ端面同士を突き合わせて溶接することにより、この一対のH形鋼18a,18aを親杭18となす。各H形鋼18aの前後両フランジの突き合わせ側端面には、予め所定位置に半円状の切り欠き19aを設けておき、双方のH形鋼18a,18aを接合すると、これらの切り欠き19a,19a同士が合わさって円孔19が形成されるようにしておく。尚、ここでは親杭18の上方部分1箇所にしか円孔19が設けられていないが、アースアンカー4を上下複数段に亘って構築する場合には、それに合わせて円孔19も上下複数箇所に開穿しておく。
【0019】
また、この円孔19は、H形鋼18a,18aの前部フランジ(開削部側フランジ)に設けられたものよりも、後部フランジ(地山側フランジ)に設けられたものの方が若干下方に位置するように配置されている。従って、親杭18を開削部Oの側壁O1 に沿って建て込むと、前部フランジ側の円孔19の手前上方から該前部フランジ側の円孔19を斜め下に矢視したとき、該前部フランジ側の円孔19と後部フランジ側の円孔19とが重なって貫通することにより、後部フランジ側の円孔19の奥の地山Gを視認することができる。
【0020】
そこで、横矢板2,2…の設置による土留め壁20の構築後、これら円孔19,19同士が重なって見える矢視方向の延長線に沿って、地山奥斜め下方へアンカー孔15を削孔する。そして、該アンカー孔15にPC鋼材10を挿入し、該PC鋼材10の定着部分を一次グラウト材11にて定着する。
【0021】
また、親杭18の前側面(一対のH形鋼18a,18aの前部フランジの外側面)には、丁度前記前部フランジ側の円孔19の前方に台座6を設置し、該台座6の定着具9の中心孔に前記PC鋼材10の緊張端を貫挿して手前へ突出させる。然る後に、台座6の支圧板8上にジャッキを載設してPC鋼材10を緊張する。そして、前記アンカー孔15に二次グラウト材17を注入して固化させる。斯くして、アースアンカー4が構築され、PC鋼材10の緊張による地山方向への反力が土留め壁20に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
【0022】
このように請求項1記載の土留め構造及び請求項2記載の土留め構造ともに腹起しが不要であるので、その設置及び撤去に要する手間が省略できる。また、腹起しが無い分、建築面積が同じであれば開削部Oを狭くすることができるので、掘削及び埋め戻し土量が減少する。一方、開削部Oの広さが同じであれば建築面積を拡張することができる。(従って、例えばマンション等の床面積を広くすることができる。)
尚、地山の性状によっては、前記横矢板2に代えてロックボルトやモルタル吹き付けにより地山を保持することとしても良い。また、鉄筋コンクリート逆打ちを行うことにより、親杭12の本数を削減することもできる。
【0023】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るアースアンカー併用土留め構造では腹起しが不要となるので、その設置及び撤去に要する手間が省略できる。
また、掘削及び埋め戻し土量の低減、又は建築面積の拡張を図ることができる。
加えて、上記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記支圧板の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させるので、アンカーが構築され、PC鋼材の緊張による地山方向への反力が土留め壁に作用することにより、強固な土留め構造が出来上がる。
斯くして、敷地を有効に活用しながら施工コストの低廉化及び工期の短縮を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の実施の形態を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【図2】請求項2記載の発明の実施の形態を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【図3】従来例を示し、所定のアースアンカーに沿った縦平面を切断面としてその奥方向を矢視した斜視図。
【符号の説明】
d 一対の溝形鋼間の間隙
G 地山
O 開削部
O1 開削部の側壁
4 アースアンカー
6 台座
9 台座の定着具
10 アースアンカーのPC鋼材
11 一次グラウト材
12,18 親杭
12a 溝形鋼
14,20 土留め壁
15 アースアンカーのアンカー孔
17 二次グラウト材
18a H形鋼
19 円孔
19a 切り欠き
Claims (2)
- 所定の間隔を隔てて向かい合わせた一対の形鋼から成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対の形鋼の間隙から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着長部分として定着し、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を前記一対の形鋼間に設置し、該台座は前記開削部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させることを特徴とするアースアンカー併用土留め構造。
- 並設した一対のH形鋼のフランジ端面同士を突き合わせて接合して成る親杭を、開削部の側壁に沿って建て込み、該一対のH形鋼の接合部上端近傍位置に開穿された孔部から地山斜め下方内部に向けてアンカー孔を削孔し、且つ、該アンカー孔にPC鋼材を挿入してその固定端を一次グラウト材にて定着するとともに、該PC鋼材の緊張用ジャッキが載設される台座を、前記親杭の前側面に対向して設置され、該台座は前記開穿された孔部出口に対向する位置に設置され、箱状に形成されるように前面に支圧板がアースアンカーと直交する如く斜め前上方に向けて斜設されてなり、然る後、前記ジャッキにて緊張されたPC鋼材の緊張端を前記台座の定着具に緊張状態のまま拘止させ、更に、上記アンカー孔に二次グラウト材を注入して固化させることを特徴とするアースアンカー併用土留め構造。
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