JP3705472B2 - バナジウム含有廃棄物からの有用金属の回収方法 - Google Patents

バナジウム含有廃棄物からの有用金属の回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バナジウム(V)含有廃棄物からV、Mo、Niなどの有用金属を回収する方法に関する。かかるV、Mo、Niなどは、製鋼用原料などとして有効に活用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
バナジウムは、鉄鋼の耐熱性を向上させる有用な成分であり、これまで耐熱鋼や工具鋼などに添加されてきた。また、バナジウムは、微量の添加で鋼の強度を効果的に向上させる効果があり、省エネルギー、地球環境保全の機運が高まっている近年では、車体の軽量化のために自動車の高強度化を図るべく、自動車用鋼としての低合金鋼、構造用鋼、パイプ用鋼などにバナジウムが微量添加されるようになってきている。このため、近年の鉄鋼用バナジウムの需要は年々増加の一途をたどってきており、直近の5年間のバナジウム使用量は、粗鋼トン当たりで0.043kg/t から0.054kg/t と、25%以上の伸びを示している。
【0003】
製鋼時にバナジウム添加のために用いられるフェロバナジウムは、含チタンバナジウム磁鉄鉱などの鉱石を原料に五酸化バナジウムを抽出し、この五酸化バナジウムをテルミット法によりアルミニウム還元して得られるものが主流である。かかるテルミット法により得られるフェロバナジウムは、不純物が少なく、バナジウム含有率の高いものであるが、反面、製造コストが嵩み、高価である。
【0004】
そこで、近年では重油焚きボイラーからの廃棄物、あるいは石油精製業界等から廃棄処分される使用済み脱硫触媒からバナジウムを抽出しようとする機運が高まりつつある。
すなわち、発電業界においては、火力発電の燃料コストを低減するために、S量の多い重油、更には減圧残査油(VRO)、あるいはオリマルジョン(ORM)といった重質で低価格の燃料が使用されるようになってきている。これらの減圧残査油、オリマルジョンには、多量のバナジウムが含有されるため、燃焼させると重油焚きボイラの底に沈着するスラグや、電気集塵装置にて集塵される煙灰中に多量のバナジウムが凝縮されることになり、これらのスラグや煙灰が新たなV資源として脚光を浴びつつある。
【0005】
また、石油精製業界においては、その石油精製過程で触媒による脱硫装置が設けられている。かかる脱硫装置に用いられた使用済み触媒にもバナジウムが凝縮しているので、この使用済み脱硫触媒をバナジウム資源として活用することが考えられるようになってきた。
【0006】
これらの重油焚きボイラの底に沈着するスラグや電気集塵装置にて集塵される煙灰、使用済み脱硫触媒からV、Ni、Mo等の有用金属を回収することは、従来、産業廃棄物として無駄に廃棄処理されていたものから有限な資源を回収するという点でも好ましい。
【0007】
このような重油焚きボイラの底に沈着するスラグや電気集塵装置にて集塵される煙灰、使用済み脱硫触媒といったバナジウム含有廃棄物からバナジウム等の有用金属を回収することは、従来から試みられてきた。
【0008】
この方法を図2に示す工程図を用いつつ説明すると、重油焚きボイラーのスラグ、煙灰、使用済み脱硫触媒といったバナジウム含有廃棄物をミキサー21で混合し、次いでロータリーキルン 22で450 〜950 ℃に加熱して該廃棄物中のS分、N分及びC分を分解し、NO,SO及びCOとして除去する。次いで、この廃棄物に鉄源及び還元材をミキサー23で混合してから、第1の電気炉24に装入し、加熱、還元してFe、Ni、Moを主成分とするメタルとVリッチなフラックスとを生成させる。このFe、Ni、Moを主成分とするメタルは、鋳造装置25で鋳込んでFe、Ni、Mo合金インゴットを得る一方、このVリッチなフラックスは、第2の電気炉26にて還元材を投入してフラックス中のVを還元しFe−V合金を得て、鋳造装置27でFe−V合金インゴットを得る。残りのスラグは鋳型28に鋳込んで塊状スラグとする。なお、上記の技術は、本発明者の知識の範囲内のもので、未公表の技術であるが、上記の技術の基礎となる還元法は、設備としてサブマージドアーク炉を使用し、還元剤としてコークスを使用する周知の方法である(例えば非特許文献1参照)。
【非特許文献1】
改訂5版 金属便覧(平成2年3月31日、丸善株式会社発行、第82、83頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法では、以下に述べるような問題点があり、製造コストが嵩むとともに、回収されたFe、Ni、Moを主成分とするフェロアロイは不純物が多いことから鉄鋼用原料として使い難く、そのため商品価値が低かった。
【0010】
すなわち、従来の方法では、第1の電気炉24に装入されるバナジウム含有廃棄物、鉄源及び還元剤は、それぞれミキサー23でブレンド後、成形しないで粉状のまま電気炉24に装入される。したがって、この電気炉24では棚吊り、吹き上げ等が発生する場合があり、そのため、操業環境の悪化や操業の不安定さを招くおそれがあるばかりか電力原単位を上昇させる原因にもなっていた。また、原料の一部が電気炉24への装入時、あるいは電気炉操業時に散逸して有効に使用されないことがあるため、Ni、Mo等の歩留まりも悪く、電気炉の電力原単位をいっそう悪化させていた。
【0011】
更に、第1の電気炉24から得られたメタル(Fe−Ni−Mo合金)は、第1の電気炉内24で炭素により還元されるため、りん(P)含有量が非常に高い。したがって、得られたフェロアロイは鉄鋼用原料としては使い難く、そのため商品価値が低かったのである。
【0012】
一方、第1の電気炉24にて得られるVリッチなスラグは、メタルと分離したのち、第2の電気炉26にてSiやAlで還元してFe−V合金を得るのであるが、かかる還元処理に通常の電気炉を用いているため、還元反応に長時間を要する。また、通常の電気炉では還元材であるSiやAlが空気に触れて一部酸化されるため、還元材のロスが大きく、Si、Al消費量が嵩む。これらの点でも、製造コストが上昇していたのである。
【0013】
そこで、この発明は、上述した問題を有利に解決し、バナジウム含有廃棄物から有用金属を安定して、歩留まりよく、低コストに回収して、ひいては鉄鋼用原料として有用に活用することのできる方法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、バナジウム含有廃棄物を450 〜950 ℃に加熱して該廃棄物中のS分、N分及びC分を除去した後、この廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕してから粒状に成形し、次いで、1150〜1350℃に加熱して原料中のFe分、Ni分、Mo分を固相還元した後、電気炉に装入し加熱してFe、Ni、Moを主成分とするメタルとVリッチなフラックスとを生成させ、このFe、Ni、Moを主成分とするメタルには脱P処理を行って低P合金を得る一方、このVリッチなフラックスは強攪拌機能を有する容器にて還元剤を投入するとともに攪拌を行ってフラックス中のVを還元しFe−V合金を得ることを特徴とするバナジウム含有廃棄物からの有用金属の回収方法である。
【0015】
この発明においては、得られるFe−V合金中のV含有量を調整するために、バナジウム含有廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕する際、成分調整用にバナジウム原料を添加することも可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明では、バナジウム含有廃棄物を鉄源及び還元材と共に電気炉に装入するに先立って、この廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕してから粒状に成形し、次いで、1150〜1350℃に加熱して原料中のFe分、Ni分、Mo分を固相還元する。したがって、この発明では原料が焼成されて強固なペレット状又はブリケット状で電気炉に装入されるため、電気炉内で崩壊せずに棚吊りや吹き上げが生じることがなく、安定した操業が可能である。また、装入した原料が粉塵として炉外を散逸するのも防止することができるので、原料の歩留まりが高い。
【0017】
また、この発明では、廃棄物のNi分、Mo分が電気炉に装入するに先立って固相還元されるため、NiやMo等の歩留まりが高い。しかも、この固相還元は、ロータリキルンや回転炉床炉などのような燃焼炉で行うことできるので、従来技術のように電気炉でNiやMo等を還元する方法に比べて還元のコストが格段に低い。加えて、次工程の電気炉へ、原料を固相還元された直後の赤熱状態で装入することができるので、電気炉においては原料加熱のための投入エネルギーがわずかで済む。かつ、その原料中のNi、Mo等は既に大部分が固相還元されているので、電気炉では還元操業は、ほとんどしないでも良く、単に溶融させてメタル分とスラグ分を分離させるだけでも足りる。この点からも電気炉での投入エネルギーは少なくて済む。
【0018】
この発明では、電気炉内で得られたFe、Ni、Moを主成分とするメタルには更に脱P処理を行う。したがって、最終的に得られるフェロアロイはP分が少なく、鉄鋼の原料として高級鋼などにも有効に用いることができる。
【0019】
また、この発明では、VリッチなフラックスからのVの還元回収を、強攪拌機能を有する容器、例えば揺動取鍋や底吹き転炉にて行う。したがって、従来技術のように電気炉を用いて行うものではないから、高価な電力エネルギーを必要とせずにバナジウムを回収することができる。また、この揺動取鍋や底吹き転炉では強力な攪拌を行うことができるために還元材との接触反応が促進され、短時間に還元反応が完了して生産性が向上する。更に、この揺動取鍋や底吹き転炉では気密状態や非酸化性雰囲気で操業を行うのが一般的であるから、還元材のSiやAlが大気中の酸素で酸化消耗するのを極力防止できるのである。
【0020】
以下、この発明を、図1に示すこの発明の一実施例の説明図を用いながら、より具体的に説明する。
この発明で用いるバナジウム含有廃棄物は、重油焚きボイラーの底に沈着するスラグや排ガスから電気集塵機により除去、回収される煙灰や、使用済み脱硫触媒などのV、Ni、Mo等の有用金属を含有する廃棄物である。かかる廃棄物は、これまで有用金属の回収原料として注目されていたものの、従来の技術では、有用金属を回収するにはコストが嵩み過ぎるため、より低廉な処理法として廃棄処分にされていたのが実情であった。この点、この発明によれば、低コストで有用金属を回収できるので、廃棄処分にするよりもコスト面、有用資源回収の面でも優れている。
【0021】
これらのバナジウム含有廃棄物の1種又は2種以上を、ミキサー1に導いて常温で混合し、次いで450 〜950 ℃に加熱する。これは、重油焚きボイラー等から回収した煙灰には湿式脱硫処理によりNH3SO4が付着しており、また、使用済み脱硫触媒にはSが付着しているため、これらのS分、N分及びC分を加熱分解し、NOX 、SOX 及びCO2 等として除去するためである。加熱温度を450 〜950 ℃にしたのは、脱硫装置の使用済み触媒のS及びCは450 ℃以上で分解除去されるし、また煙灰のNH3SO4は、570 ℃程度以上で分解するため、これらのことを考慮して下限の温度を定めた。一方、加熱温度が高過ぎると、廃棄物中のMoが昇華するため回収量が減少してしまう。Moの昇華温度は950 ℃であるため、加熱温度は950 ℃に制限した。加熱手段には、例えば、図1に示すようなロータリーキルン2がある。
【0022】
次いで、廃棄物は、還元材及び鉄源とともに粉砕機3により直径0.03mm程度以下の微粉にすると同時に均一混合させる。これは、粒状化した原料のハンドリング性を高めるため、次工程での固相還元を均一に行うため、及びその固相還元の反応効率を高めるためである。この鉄源には、鉄鉱石、スケールなどがあり、これらの一種又は二種以上を用いることができる。また、還元材には、微粉炭、コークスなどがあり、これらの一種または二種以上を用いることができる。
【0023】
バナジウム含有廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕する際、得られるFe−V合金中のV含有量を調整するために、バナジウム原料を添加することも可能である。かかるバナジウム原料を添加すれば、廃棄物の種類、廃棄物中のV含有量などの変動があっても、最終的に得られるFe−V合金中のV含有量を一定に調整するのが容易になる。このバナジウム原料には、粗な五酸化バナジウムや、純度の高い五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウムなどがあり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
次いで、還元材及び鉄源と混合された廃棄物をペレタイザー4によって造粒する。粒の大きさは、およそは5〜10mm程度である。かくして得られた生のペレット又はブリケットを、加熱炉、例えばロータリキルンや回転炉床炉5に導いて固相還元する。固相還元温度は1150〜1350℃である。また、なお、かかる固相還元処理により、廃棄物中のNi、Moは、ほとんど還元されるが、バナジウムはほとんど還元されない。
【0025】
予備還元後は、電気炉6に導く。ここにおいて、予備還元後の原料は赤熱状態のまま電気炉に装入するのが有利である。これは、加熱炉で加えられた原料の顕熱をそのまま有効利用することにより、電気炉での投入エネルギーの軽減を図ることができるからである。この電気炉6において、Fe、Ni、Moを主成分とするメタルと、Vリッチなスラグとを生成させる。この際、必要に応じて追加の還元材及びフラックスを追装する。廃棄物中のNi、Moは、先に行われた固相還元によりほとんど還元されているので、この電気炉においては、これらの有用金属の還元処理を行うことは必ずしも要しない。単に原料を溶融させ、メタルとスラグとを分離できる程度の加熱でも十分である。したがって、電気炉に投入する電気エネルギーは、従来技術に比べて格段に軽減され、製造コストの低減が図られる。
【0026】
この電気炉で生成されたFe、Ni、Moを主成分とするメタルは、Pの濃度が高い。そこで、脱P処理を行うことにより、得られたメタルを高合金鋼の原料などとしても使用できるようになり、得られたメタルの応用範囲が広がる。この脱P手段は特に限定されないが、AOD炉7や転炉等は、大量のメタルを処理することができる点で有利である。
脱P処理後は、鋳造装置8により鋳込んでP量が低いFe−Ni−Mo合金インゴットが得る。
【0027】
一方、廃棄物中のバナジウム分は、電気炉においてフラックスとしてメタルから分離浮上されるので、このVリッチなフラックスを、電気炉から強攪拌機能を有する容器に移注して、この容器において還元剤を投入するとともに攪拌して、フラックス中のVを接触還元させてFe−V合金を得る。この強攪拌機能を有する容器には、例えば、揺動取鍋9や底吹き転炉などがある。また、これらの容器に投入する還元材としてはFe−SiやAlなどがあり、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。これらの容器は蓋により、容器内部を気密あるいは非酸化性雰囲気にすることができることから、投入された還元材の空気酸化が極力防止でき、還元剤をVの還元のために有効に使用することができる。
【0028】
反応終了後は、容器を沈静化し、Fe−Vが主要成分になるメタルとスラグとを比重により分離し、メタルは鋳造装置10によりFe−Vインゴットとし、一方スラグは鋳型11に鋳込んで塊状スラグとする。
【0029】
かくして得られたFe−V合金は、五酸化バナジウムからテルミット法により生成したフェロバナジウムと比べて、バナジウム含有率が低く、また、Mo、Niなどが混入するので不純物量は多い。しかし、この発明に従い得られたFe−V合金を鉄鋼原料として使用する場合を考えると、鋼中のV量を所定の値とするにはFe−V合金の添加量を単に増やせばいいだけの話であって、特に不具合は生じない。むしろ、V量が少ないほど融点が低くなるので、溶鋼中に容易に融解するという利点がある。そして、このFe−V合金は五酸化バナジウムからテルミット法により生成したフェロバナジウムよりも格段に安価に製造できるため、仮に添加量を増加させたとしても、五酸化バナジウムからテルミット法により生成したフェロバナジウムを鉄鋼原料と使用した場合に比べてV添加コストは低い。
【0030】
また、この発明に従い得られたFe−V合金は、Mo、Ni等の含有量が相対的に多い点に関しては、かかるFe−V合金中の不純物としてのMo、Niが、バナジウムを添加するような鋼種では特に有害な作用を示さず、むしろ強度や耐食性を向上させるので有用であることから、この発明に従い得られたFe−V合金は、鉄鋼原料として用いる場合には何ら問題を生じない。また、自動車用鋼材のようにVを、鋼中に微量添加する場合には、その微量添加されるFe−V合金中に不純物として含まれるMo、Niの添加量も僅少となり、これらMo、Niの作用効果はほとんど無視できる。この点でも、この発明に従い得られたFe−V合金は、鉄鋼原料として用いる場合には何ら問題を生じない。
【0031】
【実施例】
石油精製工場より廃棄される脱硫廃触媒、発電所の重油焚きボイラーから排出されるボイラースラグ及び煙灰の3種類の廃棄物を原料として有用金属の回収を行った。これらの廃棄物の使用量及び成分組成を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003705472
【0033】
これらの廃棄物をミキサーにかけて、軽く10分間混合した後、脱硫廃触媒中のSの酸化除去及びボイラーの煙灰中のNH3SO4の分解除去を目的としてロータリーキルンにて原料温度が650 〜750 ℃になるよう調整しながら、約2hrの焼成を行った。次いで、常温まで自然冷却した後、Fe源としてスケールを68kg、還元材としてコークスを55kg、及びバインダーとしてベントナイト15kgを添加してからボールミルにて全材料が0.03mmφ以下になるように粉砕を行った。次いで、小型皿型造粒機を用いて、水分を約10%添加しながら直径5 〜10mmφ程度の生ペレットを約700kg 製造した。
【0034】
これより先は、生ペレットを140kg ずつに分け、5回にわたりテストすることとした。まず固相還元を行った。この固相還元に使用した炉はロータリーキルンであり、140 kgの生ペレットをまとめてロータリーキルンに装入し、1250〜1280℃に加熱して固相還元を行った。その結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003705472
【0036】
ロータリーキルンにて固相還元された、赤熱状態のペレットは、直ちに高周波誘導炉Aに装入され、通電加熱により溶融された。溶融されてFe−Ni−Mo合金が生成されると、静かに炉を傾けてメタルが排出されないように注意深く排滓し、このフラックスを溶融状態で高周波誘導炉Bに装入した。一方、メタルはそのまま炉内に保持した。この時点でのメタルの重量及び成分は表3に示すとおりである。
【0037】
【表3】
Figure 0003705472
【0038】
この高周波誘導炉A内のFe−Ni−Mo合金に1kg の生石灰と250gの螢石を投入し、ランスパイプを浴中に浸漬して気体酸素の吹き込みを行って脱Pした。その結果、表4に示す低Pの、Fe−Ni−Mo合金を得ることができた。
【表4】
Figure 0003705472
【0039】
一方、高周波誘導加熱炉Bに移注されたVリッチなフラックス(推定重量80〜90kg)は、一定の流動性を確保するため再通電により加熱し、次いで50%FeSiの小粒14.0kgを投入し、空気を遮断するため蓋をし、かつ、Arを炉内に注入して攪拌しながらSiによるバナジウム還元を行った。また、バナジウムの還元の完全を期すため、Si還元の完了後にAlショットを1.0 kg炉内に投入した。かくして得られたFe−V合金の重量、組成を表5に示す。
【0040】
【表5】
Figure 0003705472
【0041】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、バナジウム含有廃棄物から、高級鋼の原料として用いることのできるP含有量の少ないFe−Ni−Mo合金及びFe−V合金を、多大な製造コストを要することなく製造することができることから、当該廃棄物のリサイクルの途を開くものであり、その工業上の効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う工程を説明する図である。
【図2】 従来の工程を説明する図である。
【符号の説明】
1 ミキサー
2 ロータリーキルン
3 粉砕機
4 ペレタイザー
5 回転炉床炉
6 電気炉
7 AOD炉
8 鋳造装置
9 揺動取鍋
10 鋳造装置
11 鋳型

Claims (2)

  1. バナジウム含有廃棄物を450 〜950 ℃に加熱して該廃棄物中のS分、N分及びC分を除去した後、この廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕してから粒状に成形し、次いで、1150〜1350℃に加熱して原料中のFe分、Ni分、Mo分を固相還元した後、電気炉に装入し加熱してFe、Ni、Moを主成分とするメタルとVリッチなフラックスとを生成させ、このFe、Ni、Moを主成分とするメタルには脱P処理を行って低P合金を得る一方、このVリッチなフラックスは強攪拌機能を有する容器にて還元剤を投入するとともに攪拌を行ってフラックス中のVを還元しFe−V合金を得ることを特徴とするバナジウム含有廃棄物からの有用金属の回収方法。
  2. バナジウム含有廃棄物を鉄源及び還元材と共に混合、粉砕する際、成分調整用にバナジウム原料を添加することを特徴とする請求項1記載のバナジウム含有廃棄物からの有用金属の回収方法。
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