JP2002105550A - 亜鉛回収法 - Google Patents

亜鉛回収法

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JP2002105550A JP2000291982A JP2000291982A JP2002105550A JP 2002105550 A JP2002105550 A JP 2002105550A JP 2000291982 A JP2000291982 A JP 2000291982A JP 2000291982 A JP2000291982 A JP 2000291982A JP 2002105550 A JP2002105550 A JP 2002105550A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄製錬で発生する
酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(:酸化亜鉛含
有原料)から、直接、有価金属である金属亜鉛を回収す
ることが可能な亜鉛回収法並びに還元剤の使用量を削減
し省資源を達成することが可能な亜鉛回収法の提供。 【解決手段】 酸化亜鉛含有原料および金属鉄含有粉末
を、好ましくは結合剤および水を用いて混練、成型した
後、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛
を回収する亜鉛回収法、並びに、酸化亜鉛および酸化鉄
を含有する原料に還元剤を添加、加熱し、生成した金属
亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成し
た金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛
および金属鉄含有物を、好ましくは結合剤またはさらに
水を添加、混練、成型した後、加熱し、生成した金属亜
鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛回収法に関
し、特に、鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄製錬で発生する
酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(以下、酸化亜
鉛含有原料とも記す)から有価金属である金属亜鉛およ
び鉄原料を回収する亜鉛回収法に関する。
【0002】
【従来の技術】年産1億トンに及ぶ我が国の鉄鋼生産量
の30%以上を電気炉製鋼が占めており、電気炉製鋼にお
いては主原料としてスクラップを用いている。このた
め、電気炉製鋼ダスト中には亜鉛めっき鋼板に起因する
亜鉛分が濃縮し、ダスト中の亜鉛含有量は20〜30%とな
っている。
【0003】一方、産業廃棄物である電気炉製鋼ダスト
は、2次公害を防ぐため、廃棄も埋め立ても禁止され、
処理費を負担して専門業者に処理を委託せざるを得ない
のが現状である。しかしながら、電気炉製鋼ダスト中の
亜鉛量は15万トンにも達し、我が国の年間亜鉛生産量:
70万トンの20%にも相当し、ダストからの亜鉛回収は資
源確保、省資源の観点から極めて重要かつ緊急の技術課
題である。
【0004】これに対して、現在実施されている電気炉
製鋼ダストの処理法は、ダストに石炭、粉コークスなど
を添加して還元揮発させ、再酸化された低純度の酸化亜
鉛(以下、粗酸化亜鉛とも記す)を回収し、再度コーク
スを還元剤として乾式製錬する方式である。上記した電
気炉製鋼ダストの還元揮発法は、ダスト中の亜鉛の濃縮
には有効であるが、上記したように、還元揮発後に、ガ
ス中に含まれる生成CO2 、還元時の加熱用バーナの未反
応O2(未燃O2:過剰空気中のO2)などの酸化性ガスによ
って金属亜鉛の再酸化が生じ、生成した酸化亜鉛を主体
とする粗酸化亜鉛を再度コークスを還元剤として還元す
る必要がある。
【0005】すなわち、従来の酸化亜鉛含有ダストの処
理法は、2段階の還元工程が必要であり非効率的な処理
法であると共に、多量のコークスが必要であり省資源の
面で問題がある。また、粗酸化亜鉛を処理し、金属亜鉛
を製造することが可能な製錬所が限定されるという問題
もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、鉄屑精錬炉、鉄鋼製錬、非鉄
製錬で発生する酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物
(:酸化亜鉛含有原料)から、直接、有価金属である金
属亜鉛を回収することが可能な亜鉛回収法並びに還元剤
の使用量を削減し省資源を達成することが可能な亜鉛回
収法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、酸化亜鉛
含有原料に金属鉄含有粉末を添加、加熱し、生成した金
属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴と
する亜鉛回収法である。前記した第1の発明において
は、前記酸化亜鉛含有原料が、予め加熱処理によって鉛
含有量を1.0 %以下とした酸化亜鉛含有原料であること
が好ましい(第1の発明の好適態様)。
【0008】第2の発明は、酸化亜鉛および金属鉄を含
有する粉末原料を、結合剤および水を用いて混練、成型
して得られた成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を
凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収
法である。前記した第2の発明においては、前記粉末原
料が、酸化亜鉛含有原料と金属鉄含有原料との混合物で
あって、前記酸化亜鉛含有原料が、予め加熱処理によっ
て鉛含有量を1.0 %以下とした酸化亜鉛含有原料である
ことが好ましい(第2の発明の第1の好適態様)。
【0009】また、前記した第2の発明、第2の発明の
第1の好適態様においては、前記した混練時の混練物の
水分含有量が、結合剤および水分を含めた全配合原料中
で、好ましくは1.0 %以上、より好ましくは2.0 %以
上、さらに好ましくは2.0 %以上、10.0%以下であるこ
とが好ましい(第2の発明の第2の好適態様、第3の好
適態様)。
【0010】なお、前記した第2の発明、第2の発明の
第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記した
水は混練に際して添加する水に限定されることはなく、
予め粉末原料中および/または結合剤中に所定量以上の
水が含まれている場合は、必ずしも混練に際して新たに
水を添加する必要はない。第3の発明は、酸化亜鉛およ
び酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加、加熱し、生成
した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛
と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた
粗酸化亜鉛および金属鉄含有物を混合、加熱し、生成し
た金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特
徴とする亜鉛回収法である。
【0011】前記した第3の発明においては、前記回収
によって得られた金属鉄含有物を粉砕し、得られた粉末
と前記回収によって得られた粗酸化亜鉛との混合物を加
熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収
することが好ましい(第3の発明の第1の好適態様)。
なお、上記した第3の発明の第1の好適態様において
は、前記回収によって得られた金属鉄含有物および粗酸
化亜鉛の両者を別個にもしくは混合状態で粉砕した後、
金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の混合粉末を加熱し、生
成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収してもよ
い。
【0012】また、前記した第3の発明、第3の発明の
第1の好適態様においては、前記回収によって得られた
粗酸化亜鉛を加熱処理し鉛含有量を1.0 %以下とし、得
られた精製酸化亜鉛もしくは該精製酸化亜鉛を粉砕して
得られた粉末と、前記回収によって得られた金属鉄含有
物もしくは該金属鉄含有物を粉砕して得られた粉末との
混合物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属
亜鉛を回収することがより好ましい(第3の発明の第2
の好適態様、第3の好適態様)。
【0013】第4の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄を含
有する原料に還元剤を添加、加熱し、生成した金属亜鉛
蒸気の再酸化によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金
属鉄含有物をそれぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛およ
び金属鉄含有物に、結合剤またはさらに水を添加、混
練、成型し、得られた成型物を加熱し、生成した金属亜
鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収することを特徴とする
亜鉛回収法である。
【0014】前記した第4の発明においては、前記回収
によって得られた金属鉄含有物を粉砕し、得られた粉末
および前記回収によって得られた粗酸化亜鉛に、結合剤
またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物
を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を
回収することが好ましい(第4の発明の第1の好適態
様)。
【0015】なお、上記した第4の発明の第1の好適態
様においては、前記回収によって得られた金属鉄含有物
および粗酸化亜鉛の両者を別個にもしくは混合状態で粉
砕した後、金属鉄含有物および粗酸化亜鉛の混合粉末に
結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた
成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属
亜鉛を回収してもよい。
【0016】また、前記した第4の発明、第4の発明の
第1の好適態様においては、前記回収によって得られた
粗酸化亜鉛を加熱処理し鉛含有量を1.0 %以下とし、得
られた精製酸化亜鉛もしくは該精製酸化亜鉛を粉砕して
得られた粉末および前記回収によって得られた金属鉄含
有物もしくは該金属鉄含有物を粉砕して得られた粉末
に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得ら
れた成型物を加熱することがより好ましい(第4の発明
の第2の好適態様、第3の好適態様)。
【0017】また、前記した第4の発明、第4の発明の
第1の好適態様〜第3の好適態様においては、前記した
混練時の混練物の水分含有量は、結合剤および水分を含
めた全配合原料中で、好ましくは1.0 %以上、より好ま
しくは2.0 %以上、さらに好ましくは2.0 %以上、10.0
%以下であることが好ましい(第4の発明の第4の好適
態様〜第7の好適態様)。
【0018】また、前記した第3の発明、第3の発明の
第1の好適態様〜第3の好適態様、第4の発明、第4の
発明の第1の好適態様〜第7の好適態様においては、前
記した生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって生じた粗
酸化亜鉛が、生成した金属亜鉛蒸気を含有するガス中に
随伴されるCO2 および/または前記した還元剤を添加、
加熱時に該加熱・還元炉に流入する空気中O2の未反応O2
である酸化性ガスおよび/または上記した金属亜鉛蒸気
を含有するガス中に導入する空気中のO2によって再酸化
された粗酸化亜鉛であることが好ましい(第3の発明の
第4の好適態様〜第7の好適態様、第4の発明の第8の
好適態様〜第15の好適態様)。
【0019】さらに、前記した第2の発明、第2の発明
の第1の好適態様〜第3の好適態様、第4の発明、第4
の発明の第1の好適態様〜第15の好適態様においては、
前記した結合剤としてアルカリ土類金属の水酸化物およ
び/またはベントナイトを用いることが好ましく、アル
カリ土類金属の水酸化物としては水酸化カルシウムを用
いることが特に好ましい。
【0020】また、上記した結合剤の添加量は、その合
計量として、該結合剤を含む全配合原料(乾量)中にお
いて乾量で1〜15%であることが好ましく、さらには1
〜10%であることがより好ましい。なお、前記した第3
の発明、第4の発明における粗酸化亜鉛とは、酸化亜鉛
以外の不純物と酸化亜鉛とを含有する物質を示す。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。通常、亜鉛製錬工程で酸化亜鉛を還元して金属亜
鉛を製造する場合、還元剤としてコークスなど炭素質還
元剤を使用し、生成する亜鉛蒸気を冷却捕集する。ま
た、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精錬炉発生ダストから
金属亜鉛を製造する場合は、前記したように、ダストに
石炭、粉コークスなどを添加して還元揮発させる。
【0022】上記で還元揮発した金属亜鉛は、随伴され
る雰囲気ガス中のCO2 、還元時の加熱用バーナの未反応
O2(未燃O2:過剰空気中のO2)並びにZnO フューム形成
によるZn回収率の増加および冷却のために導入する空気
中のO2などによってほとんど再酸化され、再酸化によっ
て生成した粗酸化亜鉛を、従来の亜鉛製錬工程で金属亜
鉛とする。
【0023】上記した方法は、乾式亜鉛製錬発生ダス
ト、鉄屑精錬炉発生ダストからの亜鉛の回収方法それぞ
れにおいて共通する普遍的な技術として常用されてい
る。しかしながら、上記した還元揮発法は、ダスト中の
低濃度の亜鉛の濃縮法であり、還元揮発後に、ガス中に
含まれる生成CO2 、未反応O2(未燃O2)などの酸化性ガ
スによって金属亜鉛の再酸化が生じ、生成した酸化亜鉛
を主成分とする粗酸化亜鉛を再度コークスを還元剤とし
て還元する必要がある。
【0024】すなわち、従来の酸化亜鉛含有ダストの処
理法は、2段階の還元工程が必要であり非効率的な処理
法であると共に、多量のコークスが必要であり省資源の
面で問題がある。これに対して、本発明の亜鉛回収法
は、金属鉄と金属亜鉛の対酸素親和力の温度依存性が逆
であることを利用し、酸化亜鉛と金属鉄を共存せしめる
ことによって、直接、金属亜鉛を回収するものである。
【0025】本発明における主反応は、下記式(1) で示
される。 ZnO(S)+Fe(S) =Zn(g) +FeO(S)………(1) 本発明者らは、上記した式(1) の反応によって生成する
Zn(g) の平衡分圧は、熱力学的計算によると、1200℃に
おいて1気圧を超え、工業的応用が可能であると考え
た。
【0026】このため、本発明者らは、上記した反応に
関して鋭意実験を行い、スケールアップ実験によって、
下記知見(1) 〜(3) を見出し、酸化亜鉛含有原料から金
属亜鉛を高収率で回収することに成功し、本発明を完成
した。 (1) 酸化亜鉛と金属鉄含有粉末との固相−固相反応によ
る金属亜鉛の回収(第1の発明、第2の発明):酸化亜
鉛と金属鉄粉などの金属鉄含有粉末は固相−固相反応に
おいても前記した式(1) の反応が迅速に進行し、酸化亜
鉛から金属亜鉛を製造することができる。
【0027】さらに、上記した方法の場合、前記した式
(1) に示されるように、雰囲気中にCO2 などの酸化性ガ
スが生成しないため、金属亜鉛の再酸化が生じず、直
接、高純度の金属亜鉛を効率よく回収することができる
(第1の発明、第2の発明)。 (2) 酸化亜鉛−酸化鉄含有原料を用いた粗酸化亜鉛製造
時の金属鉄含有副生物の活用による金属亜鉛の回収(第
3の発明、第4の発明):本発明は、前記したように、
酸化亜鉛の還元剤として金属鉄粉などの金属鉄含有粉末
を用いることに一つの大きな特徴を有する。
【0028】このため、上記した金属鉄含有粉末の供給
源が重要となる。本発明においては、上記した金属鉄含
有粉末として、好ましくは、例えば、鉄鋼製造工程で生
じる転炉ダスト、厚板のショットブラストで使用後の細
かいショット粒(以下、厚板ショットと記す)などの廃
鉄粉を用いることができる。さらに、本発明者らは、本
発明において重要な金属鉄含有粉末の供給源について鋭
意検討した。
【0029】その結果、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精
錬炉発生ダストから粗酸化亜鉛を回収する際に発生する
クリンカー(:ウエルツからみ)などの金属鉄含有副生
物に着目し、下記式(2) 〜(4) の反応で構成される亜鉛
回収法に想到した(第3の発明、第4の発明)。 反応装置A:ZnO(S)+Fe2O3(S)+ 2C=Zn(g) +2Fe(S) +2CO2……(2) 蒸発金属亜鉛回収装置:Zn(g) +αO2+βCO2 =ZnO(S)………………(3) 反応装置B:ZnO(S)+Fe(S) =Zn(g) +FeO(S)…………………………(4) すなわち、電気炉製鋼ダストなどの鉄屑精錬炉発生ダス
トから上記反応装置A、蒸発金属亜鉛回収装置によって
コークスなどの還元剤を用いて上記式(2) 、(3) に従っ
て亜鉛を濃縮し、粗酸化亜鉛を回収する場合、反応装置
Aにおいて発生する副生物〔クリンカー(:ウエルツか
らみ)〕は、上記式(2) によって生成する金属鉄を含有
し、従来はセメント製造の際の鉄原料として使用されて
いたが、その使用量は限定されていた。
【0030】これに対して、本発明によれば、鉄屑精錬
炉発生ダストなどの酸化亜鉛および酸化鉄を共に含有す
る原料にコークスなどの還元剤を添加、加熱する際に得
られる金属鉄含有副生物を、前記反応装置Bにおいて酸
化亜鉛の還元剤として用いることによって、高収率で金
属亜鉛の回収が可能となると共に、本発明において重要
な金属鉄含有粉末の供給源が確保でき、従来の亜鉛製錬
工程で必要であったコークスが不要となり、省資源を達
成することができる。
【0031】また、従来、酸化亜鉛の濃縮、回収にとど
まっていた鉄屑精錬炉発生ダストなどの酸化亜鉛含有原
料を用いた酸化亜鉛の回収設備において、金属亜鉛の回
収が可能となる。 (3) 結合剤を添加した混合原料成型物の使用によるハン
ドリング性の向上および反応率の向上(第2の発明、第
4の発明):結合剤および水を用いて混練、成型して得
られた成型物を用いることによって、金属亜鉛回収時の
原料のハンドリング性および回収後の副生物のハンドリ
ング性が向上するばかりでなく、前記した式(1)[式(4)]
における反応率が向上し、生産性に優れた方法で金属亜
鉛を回収できる。
【0032】以下、第1の発明、第2の発明および第3
の発明、第4の発明の順に述べる。〔第1の発明、第2
の発明:〕 (第1の発明:)第1の発明は、酸化亜鉛含有原料に金
属鉄含有粉末を添加、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を
凝縮して、直接、金属亜鉛を回収する亜鉛回収法であ
る。
【0033】前記したように、酸化亜鉛の還元剤とし
て、重油、石炭もしくはコークスと空気との部分酸化で
生成するCOを含有する還元性ガスを用いた場合、CO2
生成し、生成したCO2 、未反応のO2並びにZnO フューム
形成によるZn回収率の増加および冷却のために導入する
空気中のO2が金属亜鉛を再酸化する逆反応が生じる。こ
の結果、得られる蒸発、凝縮物中の亜鉛含有量は大であ
るが、亜鉛の形態は全て酸化亜鉛であり金属亜鉛は含ま
れない。
【0034】これに対して、本発明にしたがって酸化亜
鉛の還元剤として金属鉄粉などの金属鉄含有粉末を用い
た場合は、前記した式(1)[式(4)]に従って反応が進行
し、反応系および反応後の移送系の気相中にはCO2 、O2
などの酸化性ガスが存在しないため、酸化亜鉛の還元に
よって生成した亜鉛蒸気から、直接、高純度の金属亜鉛
を効率よくしかも容易に得ることができる。
【0035】本発明における加熱時の温度、すなわち反
応温度は、好ましくは1000〜1200℃、より好ましくは11
00〜1200℃である。これは、加熱時の温度(反応温度)
が1000℃未満の場合、反応速度が遅く、反応炉内(還元
炉内)における必要滞留時間が長くなり、生産性が低下
し、逆に1200℃を超える場合は、エネルギー消費量が過
大となり経済的でないと共に、炉内装入物が溶融するな
ど操業上の問題が生じる。
【0036】また、本発明においては、加熱時の雰囲気
ガスの圧力(絶対圧)は、好ましくは1×103Pa(:7.5T
orr)以下、より好ましくは4×102Pa(:3.0Torr)以下で
ある。これは、雰囲気ガスの圧力(絶対圧)を1×103P
a 以下とすることによって、前記した式(1)[式(4)]の反
応の反応速度が増加し、生産性の向上、反応温度の低下
が可能となるためである。
【0037】加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)の下
限値は、特に制限されるものではない。さらに、本発明
においては、酸化亜鉛含有原料として、予め加熱処理
(以下、予備加熱処理とも記す)によって鉛(:Pb)含
有量を1.0 %以下とした酸化亜鉛含有原料を用いること
が好ましい。
【0038】これは、酸化亜鉛含有原料中にPbが含まれ
ている場合、上記予備加熱処理によって酸化亜鉛含有原
料中のPbが除去され、得られた酸化亜鉛含有原料を用い
ることによって、回収する金属亜鉛の純度がさらに向上
するためである。予備加熱処理における処理温度は、60
0 〜1100℃であることが好ましい。これは、処理温度が
600 ℃未満の場合は、Pbの除去率が低下し、1100℃を超
える場合は、Pbの除去効果が実用上飽和し経済的でない
ためである。
【0039】(第2の発明:)第2の発明は、酸化亜鉛
および金属鉄を含有する粉末原料を、結合剤および水を
用いて混練、成型して得られた成型物を加熱し、生成し
た金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収
法である。上記した第2の発明によれば、結合剤および
水を用いて混練、成型して得られた成型物を反応せしめ
ることによって、酸化亜鉛の金属鉄含有粉末による還元
時の原料のハンドリング性および還元後に生成する副生
物である酸化鉄のハンドリング性が向上するばかりでな
く、酸化亜鉛の反応性が向上し、後記する実施例に示す
ように、単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率が増加し、
生産性が向上する。
【0040】本発明における成型法としては、特に制限
を受けるものではなく、転動造粒法、プレス成型法、押
し出し成型法などを用いることができる。また、結合剤
の種類としては、酸化亜鉛含有原料粒子と金属鉄含有粉
末粒子との結合を強化することが可能な結合剤であれば
特に制限を受けるものではなく、好ましくはアルカリ土
類金属の水酸化物、ベントナイトまたはパルプ廃液など
が例示され、これら2種以上を併用してもよい。
【0041】本発明においては、単位時間当たりの金属
亜鉛蒸発率の増加効果の面から、結合剤としてアルカリ
土類金属の水酸化物および/またはベントナイトを用い
ることがより好ましい。また、上記した結合剤の添加量
は、その合計量として、該結合剤を含む全配合原料(乾
量)中において乾量で1〜15%であることが好ましく、
さらには1〜10%であることがより好ましい。
【0042】上記した結合剤の添加量が1%未満の場合
は、前記した本発明における結合剤の添加効果が小さ
く、15%を超える場合は本発明における結合剤の添加効
果が実用上飽和し、経済的でない。前記したアルカリ土
類金属の水酸化物としては、Ca(OH)2 および/またはMg
(OH)2 を用いることが好ましい。
【0043】なお、本発明においては、アルカリ土類金
属の水酸化物に代えて、CaO および/またはMgO などの
アルカリ土類金属の酸化物を用いてもよい。これは、ア
ルカリ土類金属の酸化物を用いた場合、原料の混練時に
原料中水分との反応によってアルカリ土類金属の水酸化
物が生成するためである。さらに、本発明においては、
前記した式(1)[式(4)]における反応面、さらには式(1)
[式(4)]によって生成する副生物(酸化鉄と未反応金属
鉄を含有する残渣)の電気炉製鋼などにおける鉄源とし
ての再利用の面から、結合剤としては、Ca(OH)2 を用い
ることが特に好ましい。
【0044】すなわち、結合剤としてCa(OH)2 を用いる
ことによって、酸化亜鉛の活量係数および原料粉末粒子
同士の結合力が増加し、反応性が向上すると共に、生成
する酸化鉄と未反応金属鉄を含有する残渣を電気炉製鋼
などにおける鉄源として用いる場合、Ca(OH)2 および/
またはCa(OH)2 の熱分解生成物であるCaO が電気炉製鋼
などにおける造滓剤として有効に活用される。
【0045】また、本発明においては、混練時の混練物
の水分含有量は、結合剤および水分を含めた全配合原料
中で、好ましくは1.0 %以上、より好ましくは2.0 %以
上、さらに好ましくは2.0 %以上、10.0%以下であるこ
とが好ましい。これは、上記した水分含有量が1.0 %未
満の場合は、原料粉末粒子同士の結合が不十分となり、
得られる成型物の強度が低下するばかりでなく、成型物
加熱時の単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率が低下し、
生産性が低下し、逆に水分含有量が10.0%を超える場合
は、得られる成型物の強度向上効果が実用上飽和し、ま
た得られた成型物の加熱時に過剰のエネルギーを消費す
る結果となるためである。
【0046】なお、本発明においては、上記した水分は
混練に際して添加する水に限定されることはなく、予め
粉末原料中および/または結合剤中に所定量以上の水分
が含まれている場合は、必ずしも混練に際して新たに水
を添加する必要はない。また、上記した第2の発明にお
けるさらに具体的な成型工程としては、下記〜の方
法が例示される。
【0047】:酸化亜鉛含有原料の粉末に、金属鉄粉
などの金属鉄含有粉末、結合剤および水を添加、混練、
成型する。 :酸化亜鉛および金属鉄を含有する粉末に、結合剤お
よび水を添加、混練、成型する。 :酸化亜鉛、金属鉄および結合剤を含有する粉末に、
水を添加、混練、成型する。
【0048】また、上記した成型工程においては、水を
添加する前に、上記した原料粉末と結合剤を予め混合す
ることが好ましい。なお、Ca(OH)2 のような水溶性の結
合剤を用い、水の添加量が多い場合は、上記した原料粉
末に結合剤を溶解した水を添加してもよい。第2の発明
における加熱時の温度、すなわち反応温度は、前記した
第1の発明と同様の理由で、好ましくは1000〜1200℃、
より好ましくは1100〜1200℃である。
【0049】また、第2の発明においては、前記した第
1の発明と同様の理由で、加熱(反応)時の雰囲気ガス
の圧力(絶対圧)を1×103Pa(:7.5Torr)以下とするこ
とが好ましく、さらには4×102Pa(:3.0Torr)以下とす
ることがより好ましい。加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶
対圧)の下限値は、特に制限されるものではない。
【0050】また、第2の発明においては、粉末原料が
酸化亜鉛含有原料と金属鉄含有原料との混合物で、酸化
亜鉛含有原料中にPbが含まれている場合は、前記した第
1の発明と同様の理由で、酸化亜鉛含有原料として、好
ましくは処理温度:600 〜1100℃の条件下で予め加熱処
理(:予備加熱処理)によってPb含有量を1.0 %以下と
した酸化亜鉛含有原料を用いることがより好ましい。
【0051】〔第3の発明、第4の発明:〕 (第3の発明:)第3の発明は、酸化亜鉛および酸化鉄
を含有する原料に還元剤を添加、加熱(以下、前段加熱
とも記す)し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって
生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ
回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物を混
合、加熱(以下、後段加熱とも記す)し、生成した金属
亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収法であ
る。
【0052】本発明においては、上記した前段加熱時の
温度は、好ましくは1000〜1200℃、さらには1100〜1200
℃であることがより好ましい。これは、前段加熱時の温
度が1000℃未満の場合は、酸化亜鉛の還元、蒸発速度お
よび酸化鉄の還元速度が遅くなり、生産性が低下し、逆
に1200℃を超える場合は、上記還元、蒸発速度および還
元速度の増加効果が小さくなると共に、エネルギー消費
量が増加し、また炉内滞留物の溶融が生じるなど操業面
の問題が生じるためである。
【0053】また、上記した後段加熱時の温度は、前記
した第1の発明と同様の理由で、ましくは1000〜1200
℃、より好ましくは1100〜1200℃である。また、上記し
た後段加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対圧)は、前記し
た第1の発明と同様の理由で、好ましくは1×103Pa(:
7.5Torr)以下、より好ましくは4×102Pa(:3.0Torr)以
下である。
【0054】上記した後段加熱時の雰囲気ガスの圧力
(絶対圧)の下限値は、特に制限されるものではない。
なお、本発明における還元剤としては、コークス、石
炭、重油または灯油などを用いることができ、またこれ
らを2種以上併用して用いることもできる。また、本発
明においては、COおよび/またはH2を含有する還元性ガ
スを用いることもできる。
【0055】さらに、本発明においては、出発原料であ
る酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料が、鉄屑精錬炉
発生ダストなど酸化亜鉛および酸化鉄を含有する物質の
成型物であることが好ましい。これは、前記した酸化亜
鉛および酸化鉄を含有する原料として成型物を用いるこ
とによって、原料のハンドリング性が良好となると共
に、後記する傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリーキル
ン式加熱炉)など工業的に好適な加熱炉を使用し易くな
るためである。
【0056】次に、図1に、本発明(:第3の発明)の
亜鉛回収法の工程図の一例を、反応式と併せて示す。図
1において、1は傾斜型筒状回転式加熱炉(ロータリー
キルン式加熱炉)など加熱炉(以下、前段加熱炉とも記
す)、2は還元炉(以下、後段加熱炉とも記す)、3は
粗酸化亜鉛捕集槽、4、6は電気集塵機、5は金属亜鉛
捕集槽、7は排ガス浄化装置、8aは粉砕機、9は選別
機、10a 、10b はガス・生成物送給配管、10c はガス送
給配管を示す。
【0057】還元炉2(:後段加熱炉)としては、傾斜
型筒状回転式加熱炉の外周の壁内に抵抗発熱体(電気ヒ
ータ)などを配設した外熱式の傾斜型筒状回転式加熱
炉、固定式竪型加熱炉などを用いることができ、その方
式、型式は特に制限されるものではない。なお、上記し
た還元炉2内は、非酸化性雰囲気とすることが必要であ
り、このためには、還元炉2内にN2などの不活性ガスを
吹き込むことが好ましく、また、不活性ガスの吹き込み
に代えて、真空ポンプなど排気装置によって炉内ガスを
吸引し、還元炉2内を減圧条件とすることがさらに好ま
しい。
【0058】すなわち、本発明においては、還元炉
2(:後段加熱炉)内を減圧条件とすることによって、
還元炉2における反応温度を低下させることが可能であ
り、還元炉2の設備面での制約を軽減できる。図1に示
す亜鉛回収工程においては、下記(1) 〜(3) の工程によ
って、電気炉製鋼ダスト(以下、製鋼煙灰とも記す)か
ら金属亜鉛を回収する。
【0059】(1) 粗酸化亜鉛の製造工程:製鋼煙灰〔造
粒物(ペレット)〕およびコークスなどの還元剤を加熱
炉1に供給すると共に、バーナの燃焼ガスなどの高温燃
焼ガスを加熱炉(:前段加熱炉)1に吹き込む。加熱炉
1内で生成した金属亜鉛の蒸気は、粗酸化亜鉛捕集槽3
へ送給される過程で、随伴されるガス中のCO2 、加熱用
高温燃焼ガス中の未反応O2(過剰空気中のO2)並びにZn
O フューム形成によるZn回収率の増加および冷却のため
に導入する空気中のO2によって再酸化され、粗酸化亜鉛
捕集槽3、電気集塵機4で純度の低い酸化亜鉛(:粗酸
化亜鉛)として捕集される。
【0060】一方、加熱炉1内においては、製鋼煙灰中
の酸化鉄が還元され、金属鉄(以下、M.Feとも記す)を
含有する物質(金属鉄含有物)が生成する。 (2) 金属亜鉛の回収工程:図1に示す本発明の亜鉛回収
工程においては、上記した粗酸化亜鉛の製造工程で得ら
れた粗酸化亜鉛と金属鉄含有物を還元炉(:後段加熱
炉)2に供給する。
【0061】また、加熱炉1から排出される金属鉄含有
物中にスラグ、未燃コークスが混入する場合は、図1に
示すように、粉砕機8aによって金属鉄含有物を粉砕し、
選別機9によって、金属鉄粉(M.Fe)とスラグ、未燃コ
ークスとを分離し、得られた金属鉄粉(M.Fe)を還元炉
2に供給することが好ましい。選別機9としては、比重
選鉱機、磁選機、篩分け機などを用いることができる。
【0062】なお、加熱炉1から排出される金属鉄含有
物中のスラグ、未燃コークスが少ない場合は、選別機9
を用いず粉砕機8aによって粉砕した金属鉄(M.Fe)含有
物を還元炉2に供給してもよい。また、粗酸化亜鉛は、
必要に応じて粉砕機によって粉砕した後、還元炉2に供
給してもよい。
【0063】炉内雰囲気を非酸化性条件に保った還元炉
(:後段加熱炉)2においては、前記した式(1)[式(4)]
にしたがって、酸化亜鉛が金属亜鉛に還元され、金属亜
鉛は亜鉛蒸気となる。還元炉2内で生成した金属亜鉛の
蒸気は、ガス・生成物送給配管10a を経由して金属亜鉛
捕集槽5へ送給され、凝縮されて、金属亜鉛捕集槽5で
高純度の金属亜鉛が回収される。
【0064】一方、還元炉2内で生成した酸化鉄・金属
鉄混合固形物は、製鉄所の鉄源、セメント原料などとし
て有効活用できる。なお、図1に示す亜鉛回収工程にお
いては、前記したように、好ましくは還元炉2と金属亜
鉛捕集槽5との間のガス・生成物送給配管10a 、もしく
は金属亜鉛捕集槽5の後流側のガス・生成物送給配管10
b 、ガス送給配管10c に真空ポンプなどの排気装置(減
圧装置)を配設し、還元炉2内を減圧することによっ
て、還元炉2における反応速度を大とするか、もしくは
反応温度を低下することが可能である。
【0065】この場合の還元炉2内の圧力(絶対圧)
は、前記した第1の発明と同様の理由で、1×103Pa(:
7.5Torr)以下であることが好ましく、さらには4×102P
a(:3.0Torr)以下であることがより好ましい。なお、還
元炉2内の圧力(絶対圧)の下限値は、特に制限される
ものではない。
【0066】(3) 排ガスの浄化工程:図1に示す亜鉛回
収工程において発生する排ガスは電気集塵機4、6で除
塵された後、排ガス浄化装置7に送給され、さらに浄化
され、清浄ガスが系外へ放散される。排ガス浄化装置7
としては、ガス洗浄塔を配設することが好ましい。
【0067】〔第4の発明:〕第4の発明は、酸化亜鉛
および酸化鉄を含有する原料に還元剤を添加、加熱(:
前段加熱)し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化によって
生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物をそれぞれ
回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に、結
合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成
型物を加熱(:後段加熱)し、生成した金属亜鉛蒸気を
凝縮して金属亜鉛を回収する亜鉛回収法である。
【0068】図2に、本発明の亜鉛回収法の工程図の一
例を、反応式と併せて示す。図2において、11は混練
機、12は成型機を示し、その他の符号は前記した図1と
同様の内容を示す。図2に示す亜鉛回収工程において
は、前記した図1に示す亜鉛回収工程の各工程(1) 〜
(3) と同様の工程によって、電気炉製鋼ダスト(:製鋼
煙灰)から金属亜鉛を製造するが、粗酸化亜鉛捕集槽3
および電気集塵機4で捕集された粗酸化亜鉛および加熱
炉(:前段加熱炉)1から排出される金属鉄(M.Fe)含
有物に結合剤またはさらに水を添加し、混練機11で混練
した後、成型機12で成型し、得られた成型物を還元
炉(:後段加熱炉)2に供給する。
【0069】なお、結合剤またはさらに水に加えて必要
に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加してもよい。本発
明によれば、粗酸化亜鉛および金属鉄含有物に結合剤ま
たはさらに水を添加、混練、成型し、得られた成型物を
用いて反応せしめることによって、酸化亜鉛の金属鉄に
よる還元時の原料のハンドリング性および生成する酸化
鉄のハンドリング性が向上するばかりでなく、酸化亜鉛
の反応性が向上し、単位時間当たりの金属亜鉛の蒸発率
が増加し、生産性が向上する。
【0070】本発明における成型法としては、特に制限
を受けるものではなく、転動造粒法、プレス成型法、押
し出し成型法などを用いることができる。また、結合剤
の種類としては、酸化亜鉛含有原料粒子と金属鉄粉粒子
との結合を強化することが可能な結合剤であれば特に制
限を受けるものではなく、好ましくはアルカリ土類金属
の水酸化物、ベントナイトまたはパルプ廃液などが例示
され、これら2種以上を併用してもよい。
【0071】本発明においては、単位時間当たりの金属
亜鉛蒸発率の増加効果の面から、結合剤としてアルカリ
土類金属の水酸化物および/またはベントナイトを用い
ることがより好ましい。また、上記した結合剤の添加量
は、その合計量として、該結合剤を含む全配合原料(乾
量)中において乾量で1〜15%であることが好ましく、
さらには1〜10%であることがより好ましい。
【0072】上記した結合剤の添加量が1%未満の場合
は、前記した本発明における結合剤の添加効果が小さ
く、15%を超える場合は本発明における結合剤の添加効
果が実用上飽和し、経済的でない。前記したアルカリ土
類金属の水酸化物としては、Ca(OH)2 および/またはMg
(OH)2 を用いることが好ましい。
【0073】さらに、本発明においては、前記した第2
の発明と同様の理由で、結合剤としては、Ca(OH)2 を用
いることが特に好ましい。なお、混練時の混練物の水分
含有量は、前記した第2の発明と同様の理由で、結合剤
および水分を含めた全配合原料中で、好ましくは1.0 %
以上、より好ましくは2.0 %以上、さらに好ましくは2.
0 %以上、10.0%以下であることが好ましい。
【0074】なお、本発明においては、上記した水分
は、混練に際して添加する水に限定されることはなく、
予め原料中および/または結合剤中に所定量以上の水分
が含まれている場合は、必ずしも混練に際して新たに水
を添加する必要はない。酸化亜鉛および酸化鉄を含有す
る原料に還元剤を添加した後の加熱時の温度、すなわち
前段加熱時の温度は、前記した第3の発明と同様の理由
で、好ましくは1000〜1200℃、さらには1100〜1200℃で
あることがより好ましい。
【0075】また、成型物の加熱(:後段加熱)時の温
度、すなわち反応温度は、前記した第1の発明と同様の
理由で、好ましくは1000〜1200℃、より好ましくは1100
〜1200℃である。また、成型物の加熱時の雰囲気ガスの
圧力(絶対圧)は、前記した第1の発明と同様の理由
で、好ましくは1×103Pa(:7.5Torr)以下、より好まし
くは4×10 2Pa(:3.0Torr)以下である。
【0076】成型物の加熱時の雰囲気ガスの圧力(絶対
圧)の下限値は、特に制限されるものではない。また、
図2に示す亜鉛回収工程においては、加熱炉1から排出
される金属鉄含有物中にスラグ、未燃コークスが混入す
る場合は、図2に示すように、粉砕機8aによって金属鉄
含有物を粉砕し、選別機9によって、金属鉄粉(M.Fe)
とスラグ、未燃コークスとを分離し、得られた金属鉄粉
(M.Fe)を混練機11に供給することが好ましい。
【0077】選別機9としては、比重選鉱機、磁選機、
篩分け機などを用いることができる。なお、加熱炉1か
ら排出される金属鉄含有物中のスラグ、未燃コークスが
少ない場合は、選別機9を用いず粉砕機8aによって粉砕
した金属鉄(M.Fe)含有物を混練機11に供給してもよ
い。
【0078】また、粗酸化亜鉛は、必要に応じて粉砕機
によって粉砕した後、混練機11に供給してもよい。上記
した図2に示す亜鉛回収工程によれば、還元炉2の原料
として粗酸化亜鉛、金属鉄含有物および結合剤を含有す
る混合原料の成型物を用いることによって、酸化亜鉛の
金属鉄による還元時の原料のハンドリング性および生成
する副生物である酸化鉄のハンドリング性が向上するば
かりでなく、酸化亜鉛の反応性が向上し、単位時間当た
りの金属亜鉛の蒸発率が増加し、生産性が向上する。
【0079】図3に、上記した第4の発明の亜鉛回収法
の工程図の他の一例を、反応式と併せて示す。図3にお
いて、8bは粉砕機、15は傾斜型筒状回転式加熱炉(ロー
タリーキルン式加熱炉)など加熱炉(以下、精製炉とも
記す)、16は排ガス洗浄塔、17は電気集塵機を示し、そ
の他の符号は前記した図1、図2と同様の内容を示す。
【0080】図3に示す亜鉛回収工程においては、前記
した図2に示す亜鉛回収工程の各工程と同様の工程によ
って、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)から金属亜鉛を
回収するが、粗酸化亜鉛捕集槽3および電気集塵機4で
捕集された粗酸化亜鉛をさらに加熱炉(:精製炉)15に
よって熱処理し、Pb、Cd、Na、K、Cl、Fなどの不純物
を揮発除去する。
【0081】すなわち、第4の発明においては、粗酸化
亜鉛中にPbが含まれている場合は、前記した第1の発明
と同様の理由で、粗酸化亜鉛を、好ましくは処理温度:
600〜1100℃の条件下で予め加熱処理(:予備加熱処
理)し、Pb含有量を1.0 %以下とし、得られた精製酸化
亜鉛を用いることが好ましい。また、不純物を揮発除去
して得られる精製酸化亜鉛および加熱炉1から排出され
る金属鉄(M.Fe)含有物に、結合剤またはさらに水を添
加し、混練機11で混練した後、成型機12で成型し、得ら
れた成型物を還元炉2に供給する。
【0082】なお、結合剤またはさらに水に加えて必要
に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加してもよい。ま
た、図3に示す亜鉛回収工程においては、加熱炉1から
排出される金属鉄含有物中にスラグ、未燃コークスが混
入する場合は、図3に示すように、粉砕機8aによって金
属鉄含有物を粉砕し、選別機9によって、金属鉄粉(M.
Fe)とスラグ、未燃コークスとを分離し、得られた金属
鉄粉(M.Fe)を混練機11に供給することが好ましい。
【0083】選別機9としては、比重選鉱機、磁選機、
篩分け機などを用いることができる。なお、加熱炉1か
ら排出される金属鉄含有物中のスラグ、未燃コークスが
少ない場合は、選別機9を用いず粉砕機8aによって粉砕
した金属鉄(M.Fe)含有物を混練機11に供給してもよ
い。
【0084】また、図3に示すように、精製酸化亜鉛
は、粉砕機8bによって粉砕した後、混練機11に供給する
ことが好ましい。上記した図3に示す亜鉛回収工程によ
れば、電気炉製鋼ダストに含まれるPbなどの不純物が加
熱炉(:精製炉)15において揮発除去されるため、最終
的に金属亜鉛捕集槽5で得られる金属亜鉛の純度がさら
に向上する。
【0085】以上、本発明(第1の発明〜第4の発明)
について述べたが、本発明によれば、酸化亜鉛と金属鉄
との混合原料、好ましくはさらに結合剤および水もしく
はさらに必要に応じて廃鉄粉などの金属鉄粉を添加、混
練、成型して得られたブリケットあるいはペレットなど
の成型物(造粒物)を、好ましくは不活性ガス雰囲気
下、さらに好ましくは減圧下で、加熱することによっ
て、迅速に金属亜鉛蒸気が生成し、得られた蒸気を冷却
することによって、高純度の金属亜鉛を効率よく生産性
に優れた方法で回収することができる。
【0086】なお、前記した式(1)[(4)]の反応における
生成ガスは、Zn(g) のみであり、本発明は、CO2 、O2
COなどの共存気体との反応によって、酸化亜鉛の再酸化
が不可避な前記した従来技術とは基本的に異なり、直
接、高純度の金属亜鉛が容易に得られることが本発明の
大きな特徴の一つである。さらに、本発明によれば、産
業廃棄物を有効活用し、貴重な有価金属である金属亜鉛
を直接回収することが可能となると共に、金属亜鉛回収
後に得られる酸化鉄および未反応金属鉄を含有する残渣
は、そのまま自溶性還元ペレットなどの形態で電気炉な
どに鉄源としてリサイクルでき、省資源および省エネル
ギーに大きく寄与することが可能となった。
【0087】また、本発明によれば、粗酸化亜鉛の製造
工程で副生し、従来セメント製造の際の鉄原料として使
用されていたクリンカー(:ウエルツからみ)を還元剤
として用いることによって、従来の亜鉛製錬におけるコ
ークスなどの還元剤の使用量を削減し省資源を達成する
ことができる。
【0088】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。 (実施例1)精製酸化亜鉛並びに金属鉄粉を用いて、金
属亜鉛の回収実験を行った。精製酸化亜鉛としては、電
気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)をコークスで還元し、金
属亜鉛を蒸発せしめ、回収工程における再酸化で得られ
た粗酸化亜鉛を加熱処理、粉砕して得られた表1に示す
組成の精製酸化亜鉛の粉末を用いた。
【0089】また、金属鉄粉としては、表1に示す組成
の厚板ショット(:鉄鋼製造工程における厚板のショッ
トブラストで使用後の細かいショット粒)を用いた。反
応器としては、図4に示す実験還元炉を用いた。なお、
図4において、20は精製酸化亜鉛・金属鉄粉(M.Fe)・
結合剤混合成型物(以下、混合原料成型物とも記す)、
21は溶融金属亜鉛、22は反応室、23はルツボ、24は金属
亜鉛凝縮室、25はコンデンサー(凝縮器)、26は冷却用
ジャケット、26a は冷却水、27はリザーバー、28は抵抗
発熱体、29は排気管、30は真空ポンプ、31a 、31b は熱
電対、32は破砕シャモットレンガ、33は破砕シャモット
レンガの支持材(多孔板)、34は蓋(多孔板)、35は黒
鉛製のリング、36はドラフトチャンバを示す。
【0090】なお、コンデンサー25の上部は多孔板で構
成し、炉内(反応室、金属亜鉛凝縮室)のガスを真空ポ
ンプ30で排気した。また、破砕シャモットレンガ32は、
生成した液体金属亜鉛の液滴が高温の反応室22内に滴下
し再蒸発を繰り返したり、飛沫同伴により不純分が金属
亜鉛を汚染することを防止するために配設した。
【0091】本実験においては、先ず、精製酸化亜鉛の
粉末と厚板ショットに、結合剤として消石灰の粉末およ
び水を添加し、混練した後、プレス成型し、精製酸化亜
鉛・厚板ショット・結合剤混合原料成型物(:混合原料
成型物、以下ブリケットとも記す)を製造した。なお、
厚板ショットおよび消石灰の添加量は、全配合原料(乾
量)中において乾量でそれぞれ57%および5%とし、混
練物の水分は3.5 %に調整した。
【0092】次に、得られた混合原料成型物(:ブリケ
ット)を、図4に示す実験還元炉の反応室22内に充填し
た後、抵抗発熱体28に通電し、反応室22周囲温度を1050
℃に昇温した。反応室22周囲温度=1050℃、反応室22内
圧力(絶対圧)=(3〜4)×102Pa(2〜3Torr)に保
持し、1時間経過後、降温した。
【0093】次に、下記方法で本実験還元炉における金
属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率を調査した。 〔金属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率:〕 (金属亜鉛回収量A:)上記した実験終了後、実験還元
炉炉内から、混合原料成型物(ブリケット)20、ルツボ
23、コンデンサー25、リザーバー27、破砕シャモットレ
ンガ32、支持材(多孔板)33、蓋(多孔板)34、リング
35を取り出した。
【0094】次に、ブリケット以外の上記各部材のそれ
ぞれの質量を測定し、得られたそれぞれの質量とそれぞ
れの実験前の質量との差を合計し、その合計値を金属亜
鉛回収量A(g) とした。表2に、上記測定結果を示す。 (金属亜鉛蒸発量B:)実験前のブリケットの質量M
1(g) 、Zn含有量Zn1 (%)、実験後のブリケットの質
量M2(g) 、Zn含有量Zn2 (%)から、下記式(5) に基づ
き、金属亜鉛蒸発量Bを求めた。
【0095】 金属亜鉛蒸発量B(g) =(M1×Zn1 −M2×Zn2 )/100……………………(5) (金属亜鉛蒸発率:)上記の測定値、分析値から、下記
式(6) に基づき、金属亜鉛蒸発率を求めた。 金属亜鉛蒸発率(%)=[(M1×Zn1 −M2×Zn2)/(M1×Zn1)] ×100 ……(6) (金属亜鉛回収率:)前記で求めた金属亜鉛回収量A
(g) および金属亜鉛蒸発量B(g) に基づき、下記式(7)
から金属亜鉛回収率を求めた。
【0096】 金属亜鉛回収率(%)=(金属亜鉛回収量A/ 金属亜鉛蒸発量B)/100…(7) 表3に、得られた結果を示す。また、表4に、コンデン
サー25、リザーバー27各々に付着、蓄積した回収亜鉛の
成分分析結果を示す。表3および表4に示されるよう
に、本発明によれば、酸化亜鉛含有原料から、従来の亜
鉛製錬による酸化亜鉛のコークスを用いた再還元工程を
経ることなく、直接、有価金属である金属亜鉛を、高純
度かつ高収率で回収することが可能であることが分かっ
た。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】(実施例2)前記した実施例1において、
消石灰の添加量および実験還元炉の反応室22内の条件を
表5に示す条件とした以外は実施例1と同様の方法およ
び条件で金属亜鉛の回収実験を行い、実施例1と同様の
方法で金属亜鉛蒸発率を求めた。図5に、得られた実験
結果を示す。
【0102】図5に示されるように、本発明によれば、
酸化亜鉛含有原料および金属鉄粉に結合剤として消石灰
を添加、混練、成型し、得られた成型物を加熱すること
によって、単位反応時間当たりの金属亜鉛蒸発率を増加
し、生産性を向上することが可能であることが分かっ
た。
【0103】
【表5】
【0104】(実施例3)前記した実施例1において、
結合剤の種類、添加量および実験還元炉の反応室22内の
条件を表6に示す条件とした以外は実施例1と同様の方
法および条件で金属亜鉛の回収実験を行い、実施例1と
同様の方法で金属亜鉛蒸発率を求めた。図6に、得られ
た実験結果を示す。
【0105】図6に示されるように、酸化亜鉛含有原料
および金属鉄粉に結合剤としてベントナイトを添加、混
練、成型し、得られた成型物を加熱することによって、
消石灰添加の場合と同程度に、単位反応時間当たりの金
属亜鉛蒸発率を増加し、生産性を向上することが可能で
あることが分かった。
【0106】
【表6】
【0107】(実施例4)図7に示す亜鉛回収工程にし
たがって、電気炉製鋼ダスト(:製鋼煙灰)(ペレッ
ト)から金属亜鉛を回収した。なお、図7において、40
は還元実験装置、41は実験還元炉を示し、その他の符号
は前記した図1、図2と同様の内容を示す。
【0108】なお、図7に示す加熱炉1としては、傾斜
型筒状回転式加熱炉(ロータリーキルン式加熱炉)を用
い、実験還元炉41としては、前記した図4に示す実験還
元炉を用いた。本実施例においては、図7に示す亜鉛回
収工程において、表7に示す組成の電気炉製鋼ダス
ト(:製鋼煙灰)のペレットおよびコークスを加熱炉1
に供給すると共に、バーナによる重油燃焼高温燃焼ガス
を加熱炉1に吹き込んだ。
【0109】また、加熱炉1内で生成した金属亜鉛の蒸
気を、粗酸化亜鉛捕集槽3、電気集塵機4に送給し、金
属亜鉛の再酸化生成物である粗酸化亜鉛として捕集し、
加熱炉1内で生成した金属鉄(M.Fe)を含有する金属鉄
含有物を加熱炉1の炉尻から排出し、粉砕、回収した。
表7に、上記で得られた粗酸化亜鉛粉末および金属鉄含
有物粉末の組成を示す。
【0110】次に、上記で得られた粗酸化亜鉛粉末と金
属鉄含有物粉末に、金属鉄補給用廃鉄粉(厚板ショッ
ト)、消石灰粉末および水を添加し、混練した後、プレ
ス成型し、粗酸化亜鉛・金属鉄含有物・廃鉄粉・結合剤
混合原料成型物(:ブリケット)を製造した。なお、金
属鉄含有物、金属鉄補給用廃鉄粉および消石灰の添加量
は、全配合原料(乾量)中において乾量でそれぞれ53
%、18%および5%とし、混練物の水分は3.5 %に調整
した。
【0111】次に、上記した混合原料成型物(:ブリケ
ット)を、図4に示す実験還元炉の反応室22内に充填し
た後、抵抗発熱体28に通電し、反応室22周囲温度を1050
℃に昇温した。反応室22周囲温度=1050℃、反応室22内
圧力(絶対圧)=(3〜4)×102Pa(2〜3Torr)に保
持し、1時間経過後、降温した。
【0112】次に、前記した実施例1と同じ方法で、本
実験還元炉における金属亜鉛蒸発率、金属亜鉛回収率を
調査した。表8に、得られた実験結果を示す。また、表
9に、コンデンサー25、リザーバー27各々に付着、蓄積
した回収亜鉛の成分分析結果を示す。
【0113】表8および表9に示されるように、本発明
によれば、酸化亜鉛含有ダストなど酸化亜鉛含有物(酸
化亜鉛含有原料)から、粗酸化亜鉛の揮発精製工程およ
び従来の亜鉛製錬における酸化亜鉛のコークスを用いた
再還元工程を経ることなく、直接、有価金属である金属
亜鉛を、高純度かつ高収率で回収することが可能である
ことが分かった。
【0114】
【表7】
【0115】
【表8】
【0116】
【表9】
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、鉄屑精錬炉、鉄鋼製
錬、非鉄製錬などで発生する酸化亜鉛含有ダストなど酸
化亜鉛含有物から、従来の亜鉛製錬における酸化亜鉛の
コークスを用いた再還元工程を経ることなく、直接、有
価金属である金属亜鉛を、高純度かつ高収率で、さらに
は生産性に優れた方法で回収することが可能となった。
【0118】また、本発明によれば、産業廃棄物の合理
的処理と貴重な有価金属である亜鉛の直接リサイクルが
可能となり、さらには、金属亜鉛回収後に得られる酸化
鉄および未反応金属鉄を含有する残渣はそのまま自溶性
ペレットなどの形態で電気炉などに鉄源としてリサイク
ル可能であり、省資源および省エネルギーの両面に大い
に寄与する。
【0119】さらに、本発明によれば、従来の亜鉛製錬
における酸化亜鉛のコークスを用いた再還元工程が不要
となるため、還元剤の使用量を削減し省資源を達成する
ことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図であ
る。
【図2】本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図であ
る。
【図3】本発明の亜鉛回収法の一例を示す工程図であ
る。
【図4】実施例で用いた還元炉(実験還元炉)を示す側
断面図である。
【図5】消石灰の添加量、反応温度、雰囲気条件および
反応時間と金属亜鉛蒸発率との関係を示すグラフであ
る。
【図6】消石灰またはベントナイト添加時の反応温度、
雰囲気条件および反応時間と金属亜鉛蒸発率との関係を
示すグラフである。
【図7】実施例の亜鉛回収法を示す工程図である。
【符号の説明】
1 加熱炉(:前段加熱炉)〔傾斜型筒状回転式加熱
炉〕 2 還元炉(:後段加熱炉) 3 粗酸化亜鉛捕集槽 4、6、17 電気集塵機 5 金属亜鉛捕集槽 7 排ガス浄化装置 8a、8b 粉砕機 9 選別機 10a 、10b ガス・生成物送給配管 10c ガス送給配管 11 混練機 12 成型機(造粒機) 15 加熱炉(:精製炉)〔傾斜型筒状回転式加熱炉〕 16 排ガス洗浄塔 20 混合原料成型物(ブリケット) 21 溶融金属亜鉛 22 反応室 23 ルツボ 24 金属亜鉛凝縮室 25 コンデンサー(凝縮器) 26 冷却用ジャケット 26a 冷却水 27 リザーバー 28 抵抗発熱体 29 排気管 30 真空ポンプ 31a 、31b 熱電対 32 破砕シャモットレンガ 33 破砕シャモットレンガの支持材(多孔板) 34 蓋(多孔板) 35 リング 36 ドラフトチャンバー 40 還元実験装置 41 実験還元炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22B 5/10 C22B 5/10 Fターム(参考) 4K001 AA10 AA30 BA05 BA14 CA26 CA29 DA06 DA07 EA02 EA03 EA05 GA08 HA01 HA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛含有原料に金属鉄含有粉末を添
    加、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属亜鉛
    を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
  2. 【請求項2】 酸化亜鉛および金属鉄を含有する粉末原
    料を、結合剤および水を用いて混練、成型して得られた
    成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金属
    亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
  3. 【請求項3】 酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に
    還元剤を添加、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化
    によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物を
    それぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有
    物を混合、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮して金
    属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
  4. 【請求項4】 酸化亜鉛および酸化鉄を含有する原料に
    還元剤を添加、加熱し、生成した金属亜鉛蒸気の再酸化
    によって生じた粗酸化亜鉛と、生成した金属鉄含有物を
    それぞれ回収し、得られた粗酸化亜鉛および金属鉄含有
    物に、結合剤またはさらに水を添加、混練、成型し、得
    られた成型物を加熱し、生成した金属亜鉛蒸気を凝縮し
    て金属亜鉛を回収することを特徴とする亜鉛回収法。
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