JP3935251B2 - 六価クロム含有廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Mg(II)及びCr(III )とともに有害濃度のCr(VI)を含有する六価クロム廃棄物の処理方法に関する。六価クロム含有物を無害化処理し、さらには、マグネシウム、さらには、クロム等の有価金属成分を効率的に分離・回収することができる六価クロム含有廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
ここでは、六価クロム含有廃棄物として、使用済のクロム−マグネシア系耐火物、いわゆる、クロム−マグネシア質レンガを例にとり説明するが、これに限られるものではない。
【0003】
【背景技術】
マグクロレンガやクロマグレンガのようなクロム−マグネシア系耐火物は、酸化マグネシウム(MgO)とともに耐食性に優れた三酸化二クロム(Cr2 O3 )を含む塩基性耐火物である。このため、アルカリ成分を取り扱う混銑炉、アーク炉、非鉄金属精練炉、セメントロータリキルン、ガラス釜蓄熱室等などに多用されている。
【0004】
そして、アルカリ成分が存在し、かつ酸素分圧が高い場合にはレンガ中のCr(III )の化合物であるクロマイト(Cr2 O3 )が上記成分との反応により、Cr(III )が部分酸化されて有害量のCr(VI)の化合物を生成する。
【0005】
従って、使用済後のクロム−マグネシア系耐火物は六価クロム含有廃棄物となり、そのままでは廃棄できない。
【0006】
このため、従来は、通常、下記のような湿式処理法によっていた(特開平6−240484号公報等参照)。
【0007】
六価クロム含有廃棄物に水を加えて六価クロムを懸濁液中に溶出させ、次いで懸濁液を固液分離し、固液分離後の液中の六価クロムを希硫酸によるや水酸化ナトリウムによるpH調整処理後、三価クロムに亜硫酸ソーダ等の還元剤を用いて還元して無害化する。さらに処理後の固体は、耐火物原料として再生する。
【0008】
しかし、上記湿式の処理では、抽出に多くの時間を要し、さらに抽出工程で発生する水洗処理水や、廃液の処理のために大型の設備を設置する必要があるため、大量の処理には適していなかった。
【0009】
これらの問題点を解決するために、下記のような乾式の六価クロムの還元処理技術が提案されている(特開平5−96265号公報参照)。
【0010】
使用済み六価クロム含有廃棄物にクロム鉱(クロム鉄鉱:FeO・Cr2 O3 )と、70重量%以上のアルミナ成分を含むアルミナ質原料とコークスとを混合し、黒鉛電極を用いる電気炉中で溶融処理し、フェロクロム(FeCr)を回収するとともに、残渣を大部分がスピネル結晶からなる固化体に添加して耐火物原料に使用する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記乾式の処理技術においては、フェロクロムを回収した残渣であるスピネル結晶からなる固化体は、組成のばらつきが大きいため用途が限定されていた。
【0012】
即ち、クロム鉱(クロム鉄鉱)およびアルミナ質原料は、天然物であり組成にばらつきがあり、更に、それらには、シリカ成分が含まれている。そして、シリカ成分(SiO2 )が残渣中に多く残ると耐火度がさがり耐火物原料としての用途範囲が限定される(同公報段落番号「0013」参照)。
【0013】
本発明は、上記にかんがみて、還元処理物から、マグネシウムさらにはクロムを効率良く回収できるとともに、残渣の耐火物原料としての用途範囲も限定されない六価クロム含有廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を下記構成により解決するものである。
【0015】
Mg(II)及びCr(III )とともに有害濃度のCr(VI)を含有する六価クロム含有廃棄物の処理方法であって、
(1) Cr(VI)及びMg(II)を還元するのに十分な量の還元剤を加えて混合物とする混合工程、
(2) 該混合物を無酸素雰囲気で加熱処理して、還元剤を酸化させるとともに、Mg(II)及びCr(VI)を還元させて、金属マグネシウムを生成させるとともに混合物を無害化する還元処理工程、
(3) 還元処理された混合物から、金属マグネシウムを気化させて分離回収する分離回収工程、
の各工程を含むことを特徴とする。
【0016】
上記において、還元剤として炭素質原料を使用することが望ましく、更には、該炭素質原料と共に鉄質原料を加えて、金属クロムを溶融金属鉄相に移行させてフェロクロムとして回収することが望ましい。
【0017】
また、還元剤として炭素質原料を使用した場合において、気化マグネシウムは、一酸化炭素を除去して若しくは急冷して金属マグネシウムとして回収するか、又は、一酸化炭素の含有雰囲気中で気化マグネシウムを、徐冷させてマグネシア及び炭素質原料として回収することができる。
【0018】
【構成の詳細な説明】
上記六価クロム含有廃棄物の処理方法について、図1に示す如く、マグネシウムを蒸気化して回収すると共にクロムをフェロクロムとして回収する場合を主として例にとり、詳細に説明をする。
【0019】
本発明の被処理物は、Mg(II)及びCr(III )とともに有害濃度のCr(VI)を含有する六価クロム含有廃棄物である。
【0020】
通常、使用済みマグクロレンガあるいはクロマグレンガが代表的なものである。
【0021】
マグクロレンガとは、MgOを50wt%以上含むもので、例えば、
セメントロータリーキルン用…MgO:71wt%、Cr2 O3 :12wt%
AOD(argon oxygen decarburization) 炉用…MgO:68wt%、Cr2 O3 :20wt%
混銑炉用…MgO:59wt%、Cr2 O3 :25wt%、
のものがある(日本化学会編「第5版化学便覧 応用化学編I」(平7−3−15)丸善、p154参照)。
【0022】
MgOが50wt%未満のクロマグレンガでもよい。マグクロレンガ、クロマグレンガのいずれにおいても、本発明の場合、Mg成分及びCr成分の分離回収の見地から、両成分共に、10wt%以上、望ましくは20wt%を含む耐火物の廃棄物を対象とする。
【0023】
上記有害濃度は、通常、Cr(VI)を5ppm以上含む場合を言う。
【0024】
そして、上記被処理物(廃棄物)は、下記混合工程、還元処理工程及び分離回収工程の各工程を経て処理される。以下の説明で、還元処理工程及び分離回収工程は、通常、同時的に行うため、まとめて説明をする。
【0025】
(1) 混合工程:
廃棄物に鉄質原料及び還元剤を加えて混合物とする。ここで、還元剤の添加量は、Mg(II)を金属マグネシウムに還元できるとともにCr(VI)を無害化還元できる量に加えて、Cr(III )を金属クロムに還元でき、更には、鉄質原料が鉄鉱を含む場合は該鉄鉱も還元できる量とする。
【0026】
ここで、無害化還元とは、Cr(VI)を、それより低位の原子価のCr(0、II、III )に還元することを言う。
【0027】
混合物の態様は、混合性の見地から、通常、粉状とするが、鉄質原料を多量に加える場合は、鉄質原料を粉状とする必然性はない。本実施形態の還元反応処理温度(1700〜2200℃)で、鉄質原料は十分に溶融化可能であり、鉄質原料が他の成分に対して分散媒的作用を奏するためである。ちなみに、鉄質原料の融点は、Fe:1530℃、Fe2 O3 :1550℃であり、還元反応処理温度で完全に溶融している。
【0028】
混合物を粉状とする場合の粒径は、標準ふるいで100メッシュ(150μm)以下、望ましくは、200メッシュ(74μm)以下とする。
【0029】
鉄質原料の混合量は、混合物中にFe換算値(廃棄物中に鉄分を含む場合はその量も合計して)で10〜70wt%、望ましくは、30wt%以上とする。鉄質原料の混合量が少なすぎると、後述の如く、還元反応が促進されず、Mg成分の気化が困難となるとともに、Cr成分のフェクロム(FeCr)としての回収効率が低下する。鉄質原料の混合量が多い方が、還元反応が促進され、かつ、Cr成分の溶融金属鉄相への移行も促進される。逆に鉄質原料が多すぎると、鉄の溶融化エネルギー、更には、鉄質原料が鉄鉱を含む場合その還元エネルギーが増大して、熱効率が低下する。
【0030】
鉄質原料が、廃棄物のMgO及びCr2 O3 の還元反応を促進させる理由は下記の通りと推定される。
【0031】
金属鉄ないし鉄鉱(Fe2 O3 )は溶融点が廃棄物の主成分であるCr2 O3 やMgOよりはるかに低い(Cr2 O3 :2435℃、MgO:2852℃)。このため、鉄質原料は、還元処理において、温度を鉄質原料の溶融温度より100℃以上高く、通常、1700℃以上に昇温させたとき溶融して、還元剤及び廃棄物に対して分散媒的作用を奏するとともに、廃棄物と還元剤との接触効率が増大するためである。
【0032】
鉄質原料としては、分離回収工程後の混合物残渣に悪影響をあたえないものなら、例えば、赤鉄鉱、クロム鉄鉱、磁鉄鉱等の酸化鉄鉱物であってもよいが、混合物残渣の組成安定、用途拡大の見地から、屑鉄等の純鉄が望ましい。
【0033】
そして、還元剤としては炭素質原料が望ましい。後述の如く、Mg成分を金属成分又はMgOとしてを選択的に回収できるためである。
【0034】
なお、炭素質原料以外の還元剤として、アルミニウム質原料等の使用も可能である。アルミニウム質原料としては、安価に入手できるアルミドロス残灰が望ましい。アルミドロス残灰とは、アルミドロス(アルミニウム溶湯残滓:Al含有量50〜70wt%)中のアルミ成分を絞って回収した後の残渣をいい、通常、Alが10〜30wt%が含まれている。
【0035】
上記炭素質原料の混合量は、炭素質原料のカーボン含有量、及び、廃棄物(被処理物)及び鉄質原料中の被還元酸化物により異なる。鉄質原料が実質的に鉄で、炭素質原料が実質的にカーボンのみの場合、通常、廃棄物(被処理物)/炭素質原料カーボン(重量比)=2/8〜8/2、望ましくは、3/7〜7/3とする。鉄質原料を含めた混合物中では、5〜30wt%、望ましくは10〜20wt%とする。少なすぎると、還元反応が十分に行われないおそれがあり、多すぎる場合は、問題はないが、非効率的である。
【0036】
炭素質原料としては、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、コークス、木炭等任意であるが、重質油灰等の未燃炭素質原料を多量に含むものも使用することが可能である。
【0037】
(2) 還元処理・分離回収工程:
混合物を無酸素雰囲気で加熱処理して、炭素質原料を酸化させて一酸化炭素とするとともに、Mg(II)、Cr(III )及びCr(VI)を還元させて、それぞれ金属マグネシウム及び金属クロムを生成させるとともに混合物を無害化する。
【0038】
当該還元処理工程と同時的に、還元処理された混合物から前記金属マグネシウムを気化させて分離回収するとともに、前記金属クロムを溶融金属鉄相に移行させてフェロクロムとして回収する。
【0039】
即ち、マグネシウムの気化温度以上の雰囲気で、使用済み耐火物中のマグネシア成分とカーボンとを反応させて下記(a) 式に示す酸化還元反応を右側に進行させて金属マグネシウムを生成させる。生成した金属マグネシウム及び一酸化炭素は、それらの気化温度以上にあるため、分散媒が溶融鉄相である反応相から気化分離する。そして、気化分離した金属マグネシウムと一酸化炭素を含む混合気相は、▲1▼急冷することより、一酸化炭素と金属マグネシウムとの融点の差(前者:−205℃、後者:649℃)を利用して、または、▲2▼一酸化炭素ガスの除去(例えば吸着除去)することにより、金属マグネシウムとして回収できる。
【0040】
なお、上記混合気相は、徐冷することにより(a) 式を左側へ進行させて、マグネシアと炭素質原料として回収することもできる。
【0041】
MgO(s)+C(s)⇔ Mg(g)+CO(g)…(a)
それと同時に、クロムがほとんど気化しない温度雰囲気であるため、六価クロムを含むクロム成分は、溶融鉄相中に移行するため、フェロクロムとして回収することができる。
【0042】
上記、無酸素雰囲気にするのは、還元処理及び分離回収を効率的に行うためであり、空気遮断雰囲気でもよいが、通常、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行う。
【0043】
そして、鉄質原料に還元剤として炭素質原料を加えて大気圧下で行う場合、加熱温度は、鉄質原料の溶融点(Fe:1530℃、Fe2 O3 :1550℃)以上、通常1700〜2200℃、望ましくは1800℃〜2000℃、更に望ましくは1800〜1900℃で行う。加熱温度の保持時間は、後述のMg及びCrの分離回収するに十分な時間、通常、昇温後30min 〜2時間とする。
【0044】
1700℃未満では、鉄質原料の溶融化が十分行えないおそれがあるとともに、図2に示す如く、Mgのガス化温度が約1700℃であるため、Mgの気化分離が十分に行えないおそれがある。また、2200℃を越えると、Crのガス化率が約30%以上と増大するため、気化させて回収するMgにCrが混入して望ましくない。
【0045】
なお、図2は、表1に示す組成のマグクロレンガに対してカーボンが30wt%となるように混合した場合を想定して理論計算したときの、Mg及びCrのガス化挙動を示す熱平衡グラフ図である。
【0046】
また、還元剤としてアルミニウム質原料を使用する場合は、下限温度は、鉄質原料の溶融が十分行える1700℃以上とする必要がある。そして、図3に示す如く、Mgの100%ガス化温度が約1800℃であり、また、Crのガス化率が1800℃及び2000℃で、それぞれ0%及び約40%である。このため、大気圧で還元処理を行う場合で、ある程度のクロムのマグネシウムへの混入が許容されるときは、上限温度は2000℃としてもよい。また、クロムのマグネシウムへの混入を避けて、かつ、マグネシウムの気化回収効率を上げたいときは、1800〜1900℃で行う。
【0047】
なお、図3は表1に示す組成のマグクロレンガに対して純アルミニウムが50wt%となるように混合した場合を想定して理論計算したときの、Mg及びCrのガス化挙動を示す熱平衡グラフ図である。
【0048】
加熱手段としては、アーク炉やプラズマ炉等のような電気式加熱炉が、不純物が混入しがたく、好適に使用できる。
【0049】
なお、上記気化Mgの回収は、昇温段階で、微量の低沸点金属類を蒸発除去した後、集塵装置等で回収することが望ましい。
【0050】
残渣は、再度、原料に添加して、同様の操作を繰り返し、クロム成分をフェロクロムとして回収する。
【0051】
(3) 上記において、鉄質原料を加えずに、廃棄物に還元剤のみ加えて、金属マグネシウムまたはマグネシアとして回収することもできる。
【0052】
このとき、還元処理・分離回収工程における加熱温度は前述の如く1700〜2200℃であるが、鉄質原料が存在しないことによる還元反応の遅延を補償するために、下限側の温度を鉄質原料が存在する場合よりも若干高めとして、1800〜2200℃とすることが望ましい。
【0053】
当然、還元剤としては、上記炭素質原料及びアルミニウムの双方を使用することができる。
【0054】
アルミニウム質原料を使用する場合は、下限温度は、鉄質原料を使用しないため、鉄質原料の溶融が十分行える1700℃以上とする必要はない。そして、図3に示す如く、Mgの約50%及び約100%ガス化温度が、それぞれ約1250℃及び約1800℃であり、また、Crのガス化率が1900℃及び2000℃で、それぞれ約で約20%及び約40%である。このため、大気圧でアルミニウム質原料を用いて還元処理を行う場合において、省エネルギーを重視するときの加熱温度は、1300〜1700℃、望ましくは1300〜1600℃とする。また、省エネルギーよりも、マグネシウムの気化回収効率を重視するときの加熱温度は、1700〜2000℃とし、更に、クロムのマグネシウムへの混入を避けて、かつ、マグネシウムの気化回収効率を上げたいときの加熱温度は、1800〜1900℃とする。
【0055】
(4) 回収物の用途
上記において有価金属であるマグネシウムとして回収した場合は、実用的な金属中で最も軽いので、合金として航空機材や自動車工業で利用することができる。金属マグネシウムは、鉄鋼製錬においても、脱硫剤、脱酸剤として使用することができる。
【0056】
マグネシアとカーボンとして回収した場合は、耐火物原料とするかあるいは、炭素質原料は再利用し、マグネシアのみ耐火物等の原料とすることも可能である。
【0057】
フェロクロムは、ステンレスの原料となるほか種々の合金の添加剤として耐食性用途に用いられる。
【0058】
また、残渣は、耐火物原料の他に、造滓剤、路盤剤、仮設路盤材等の用途に利用できるものである。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明をする。
【0060】
<実施例1>
表1に示す組成の使用済みマグクロレンガ(粉砕物、70μm以下)に、炭素質原料(カーボン粉末:13μm)40wt%となるように添加・混合して均一混合物を調製した。容積13mLの黒鉛るつぼを用いて、該均一混合物5g中に数片の鉄小片10gを略等間隔配置となるように埋め込んで、試料混合物を調製した。このとき試料混合物の組成は、マグクロレンガ:20wt%、カーボン粉末:13wt%、鉄成分:67wt%となる。また、上記使用済のマグクロレンガは、410ppm のCr(VI)を含んでいた。
【0061】
上記黒鉛るつぼに保持された試料混合物を高周波誘導炉により加熱した。なお高周波誘導炉としては、「FRT−15−100M」(富士電機工業株式会社製)、入力:220V、3相、30kVA、出力:15kW、1相、100kHzを使用した。
【0062】
アルゴン雰囲気中、大気圧下で1800℃まで昇温(昇温時間30min )し、その温度(1800±2℃)で1時間保持した後、炉冷した。
【0063】
残渣中のCr(VI)を測定したところ、検出限界(0.0025ppm )未満であり、六価クロムは完全に還元され、混合物は無害化できた。
【0064】
炉冷(徐冷)したことにより、Mgは、(a) 式の反応により、MgOとしてダストで捕集した、このときのMgOの分離回収率は、98.9%であった。
【0065】
また、Crの溶融金属鉄相中への移行回収率は、27.2%であった。当該Crの回収率は、上記回収処理を繰り返すことにより、さらに回収率が増加すると考えられる。
【0066】
なお、本実施例の混合物残渣の組成を表1に、また、FeCr回収後の金属鉄相の組成を表2にそれぞれ示す。
【0067】
<実施例2>
表1に示す組成の使用済みマグクロレンガ(粉砕物、70μm以下)に、炭素質原料(カーボン粉末:13μm)30wt%となるように添加・混合して均一混合物を調製した。容積13mLの黒鉛るつぼに、該均一混合物3gを充填した。
【0068】
上記黒鉛るつぼに保持された試料混合物を上記高周波誘導炉により加熱した。
【0069】
アルゴン雰囲気中、大気圧下で1800℃まで昇温(昇温時間30min )し、その温度(1800±2℃)で1時間保持した後、炉冷した。
【0070】
残渣中のCr(VI)を測定したところ、検出限界(0.0025ppm )未満であり、六価クロムは完全に還元され、混合物は無害化できた。
【0071】
炉冷(徐冷)したことにより、Mgは、(a) 式の反応により、MgOとしてダストで捕集した、このときのMgOの分離回収率は、65.0%であった。
【0072】
なお、本実施例の混合物残渣の組成を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の作用・効果】
本発明の六価クロム含有廃棄物の処理方法は、湿式の処理法に比べ、はるかにシステムが簡易であるため、装置も小型化でき、さらに迅速かつ大量の処理も可能といえる。
【0076】
また、Mg成分とクロム成分を分離して回収することにより、金属・鉄鋼分野や窯業分野等での広範な用途が期待できる。
【0077】
特に、Mg成分の回収効率は良好であり、Mg含有率50wt%以上のマグクロレンガの廃棄物に好適である。
【0078】
更に、従来の乾式処理法の如く、耐火物の耐火度に悪影響をあたえるシリカ成分を含むアルミナ質原料やクロム鉄鉱を多量に配合する必要がなく、混合物残渣の適用範囲もほとんど限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法を用いたマグネシウムを蒸気化して回収すると共にクロムをフェロクロムとして回収する場合のモデル工程図
【図2】マグクロレンガをカーボン還元した場合におけるガス化率の理論計算上の熱平衡グラフ図
【図3】マグクロレンガをアルミニウム還元した場合におけるガス化率の理論計算上の熱平衡グラフ図
Claims (10)
- Mg(II)及びCr(III )とともに有害濃度のCr(VI)を含有する六価クロム含有廃棄物の処理方法であって、
(1) 前記六価クロム含有廃棄物に還元剤を加えて混合物とする混合工程、
(2) 該混合物を無酸素雰囲気で加熱処理して、前記Mg(II)を金属マグネシウムに還元するとともに、前記Cr(VI)を還元無害化させる還元処理工程、
(3) 該還元処理と同時的に、還元処理された混合物から前記金属マグネシウムを気化させて分離回収する分離回収工程、
の各工程を含むことを特徴とする六価クロム含有廃棄物の処理方法。 - 前記還元剤が炭素質原料であり、前記還元処理工程において該炭素質原料を酸化させて一酸化炭素とすることを特徴とする請求項1記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記気化マグネシウムを、前記一酸化炭素を除去してまたは急冷して金属マグネシウムとして回収することを特徴とする請求項2記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記一酸化炭素の含有雰囲気中で気化マグネシウムを、徐冷させてマグネシア及び炭素質原料として回収することを特徴とする請求項2記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記混合物の加熱処理を、大気圧下で1700〜2200℃で行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- Mg(II)及びCr(III )とともに有害濃度のCr(VI)を含有する六価クロム含有廃棄物の処理方法であって、
(1) 前記六価クロム含有廃棄物に、鉄質原料及び還元剤を加えて混合物とする混合工程、
(2) 該混合物を無酸素雰囲気で加熱処理して、前記Mg(II)、Cr(III )及びCr(VI)及び必要により鉄質原料中の被還元成分を、それぞれ金属マグネシウム、金属クロム及び金属鉄に還元させるとともに前記混合物を無害化する還元処理工程、
(3) 該還元処理と同時的に、還元処理された混合物から前記金属マグネシウムを気化させて分離回収するとともに、前記金属クロムを溶融金属鉄相に移行させてフェロクロムとして回収する分離回収工程、
の各工程を含むことを特徴とする六価クロム含有廃棄物の処理方法。 - 前記還元剤が炭素質原料であり、前記還元処理工程において該炭素質原料を酸化させて一酸化炭素とすることを特徴とする請求項6記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記気化マグネシウムを、前記一酸化炭素を除去してまたは急冷して金属マグネシウムとして回収することを特徴とする請求項7記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記一酸化炭素の含有雰囲気中で気化マグネシウムを、徐冷させてマグネシア及び炭素質原料として回収することを特徴とする請求項7記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
- 前記混合物の還元処理・分離回収工程の加熱処理を、大気圧下で1700〜2200℃で行うことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の六価クロム含有廃棄物の処理方法。
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