JP3704922B2 - グラフ表示装置、グラフ表示制御方法、およびグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

グラフ表示装置、グラフ表示制御方法、およびグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラフデータを表示するグラフ表示装置、グラフ表示制御方法、及びグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
関数計算機能を備えた電子計算機において、グラフモードを設定して任意の関数式や統計データ等を入力し、グラフの描画を指示すると、当該入力された関数式や統計データに対応するグラフが描画表示されるグラフ関数電卓なる電子計算機が実用化されている。
【0003】
そして、このようなグラフ関数電卓では、複数の関数式を入力してグラフの描画を行なった際には、該複数の関数式のそれぞれに対応した複数のグラフが共に描画表示されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のグラフ表示機能を有する電子計算機では、例えば異なる関数表現形態で2つの関数式を入力して各対応するグラフの描画表示を行なった際に、グラフとしての描画軌跡が全域で重なるような場合には、計算機内部では2つの関数式に対応する各グラフデータの描画表示が二重に実行されているものの、見掛上は1つのグラフデータしか描画表示されないことになり、ユーザは2つの関数式に対応する各グラフデータが同一軌跡で重なっていることを容易に知ることができない問題がある。
【0005】
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、例えば複数のグラフ式に対応する各グラフデータの描画軌跡が全域で重なってしまうような場合でも、同一軌跡の複数のグラフデータが重なって表示されていることを容易に知ることが可能になるグラフ表示装置、グラフ表示制御方法、及びグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の請求項1に係わるグラフ表示装置では、式記憶手段に記憶された関数式に対応するグラフの表示画面上での描画点が、グラフ描画点計算手段により順次計算され、このグラフ描画点計算手段により順次計算されたグラフの描画点が、グラフ表示制御手段により前記表示画面に対して順次表示される。前記グラフ表示制御手段は、前記グラフ描画点計算手段により計算された最新の先端の描画点を消灯し、前記グラフ描画点計算手段により前回に計算された描画点を描画するように制御するので、例えば2つのグラフが完全二重に重なった場合でも、1つ目のグラフ上で消灯する描画点が移動表示され、2つ目のグラフを表現できることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明のグラフ表示装置の実施形態に係わる関数計算機能付き電子計算機の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0012】
この電子計算機は、コンピュータ等からなる制御部(CPU)11を備えている。
制御部(CPU)11は、キー入力部12から入力されるキー入力データや、カラー表示を行なうことができる液晶表示部13の表示画面上に重ねて設けられたタブレット14から位置検出回路15を介して入力されるタッチペンによるタッチ位置データに応じて、ROM16に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、あるいは外部記録媒体20に予め記憶されている計算機制御用プログラムを記録媒体読み取り部19により読み取らせて起動させ、RAM17をワークメモリとして回路各部の動作制御を行なうものである。
【0013】
この制御部(CPU)11には、前記キー入力部12、液晶表示部13、タブレット14、位置検出回路15、ROM16、RAM17、記録媒体読み取り部19が接続され、また、液晶表示部13は表示駆動回路18を介して接続される。
【0014】
キー入力部12には、テンキー,アルファベットキー,演算子キー,関数キー等の文字・記号キー群からなるデータ入力キー12aが備えられると共に、任意の関数式に対応するグラフ表示処理を行なうグラフモード,任意の入力式に対応する計算処理を行なう計算モード,任意の入力プログラムに対応する計算処理を行なうプログラムモード等の各種動作モードを選択設定する際に操作される「モード」キー12b、前記グラフモードにおいて入力された関数式に対応するグラフの描画を指示する際に操作される「グラフ」キー12c、前記グラフモードにおいて入力された関数式に対応するグラフの描画表示色を指定する際に操作される「カラー」キー12d、表示されたデータの選択,送り操作やポインタP,カーソルKの移動操作を行なう際に操作される上下左右の各カーソルキー12e等が備えられる。
【0015】
タブレット14は、液晶表示部13の表示画面上に重ねて設けられ、ペンによりタッチされた位置に応じた電圧信号を発生するもので、このタブレット14から出力されるタッチ位置に応じた電圧信号に基づき、位置検出回路15により表示画面に対応させた座標が検出され、このタッチ位置座標に応じて制御部(CPU)11により操作の内容が判断される。
【0016】
ROM16には、本電子計算機の電子回路におけるの全体の処理を司るシステムプログラムデータが予め記憶されると共に、図2に示すグラフモード等、各種の動作モードの処理を司るサブプログラムデータである制御プログラムデータも予め記憶される。
【0017】
RAM17には、液晶表示部13に表示すべき表示データがビットマップのパターンデータとして記憶される表示データメモリ17a、グラフモード処理において入力された複数のグラフ式(関数式)データがその個々の表示指定色と対応付けられて記憶されるグラフ式データメモリ17b、オペレータにより任意に入力され、前記グラフ式データメモリ17bに記憶されたグラフ式に対応するグラフデータの描画範囲を指定するレンジデータ(Xmin,Xmax,Ymin,Ymax)が記憶されるレンジデータメモリ17c、このレンジデータメモリ17cに記憶されたレンジデータに従い前記グラフ式データメモリ17bに記憶されたグラフ式に対応するグラフの各描画ドット点の座標が1描画ドット毎に計算されて一時記憶されるAレジスタ17d、該Aレジスタ17dに記憶されたグラフの描画ドット点の座標が表示すべき座標データとして転送されて記憶されるBレジスタ17e、前記Aレジスタ17dに記憶される1描画ドット毎の座標データに応じて順次その描画点がビットマップデータとして書き込まれグラフデータとして描画記憶されるグラフデータメモリ17f、及び各種動作モードの制御処理に伴ない制御部(CPU)11により入出力されるデータを一時的に記憶するワークメモリ等のデータメモリが備えられる。
【0018】
次に、前記構成による関数計算機能付き電子計算機の第1実施形態の動作について説明する。
図2は前記電子計算機の第1実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャートである。
【0019】
図3は前記電子計算機の第1実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図である。
キー入力部12の「モード」キー12bの操作によりグラフモードに設定され、図2におけるグラフモード処理が起動された状態で、データ入力キー12aの操作によりグラフ化したい任意の関数式(グラフ式)が入力されると、この入力されたグラフ式はRAM17内のグラフ式データメモリ17bに記憶されると共に、液晶表示部13に表示される(ステップS1→S2,S3)。
【0020】
また、前記入力されたグラフ式をグラフ化した場合の描画範囲を設定するためのXY座標レンジ(Xmin,Xmax/Ymin,Ymax)が入力されると、この入力された座標レンジはRAM17内のレンジデータメモリ17cに記憶されると共に、液晶表示部13に表示される(ステップS1→S2,S3)。
【0021】
こうして、任意のグラフ式とレンジデータが入力されて記憶された状態で、「グラフ」キー12cが操作されると、液晶表示部13の画面領域に対応させた前記レンジデータメモリ17cに記憶されているXY座標のレンジデータに従って、前記グラフ式データメモリ17bに記憶されているグラフ式に対応するグラフの1描画ドット点の座標が計算され、Aレジスタ17dに記憶される(ステップS4→S5,S6)。
【0022】
この際、前記Aレジスタ17dに記憶されたグラフ描画ドット点に対応する液晶表示部13上の座標位置は、点灯表示されずに消灯される(ステップS7)。
そして、Bレジスタ17eに記憶されているグラフ描画ドット点に対応する液晶表示部13上の座標位置が点灯表示される(ステップS8)。
【0023】
初めは、Bレジスタ17eには何も記憶されていないので、液晶表示部13上の座標位置は点灯しない。
すると、前記Aレジスタ17dに記憶されたグラフ描画ドット点の座標データは前記Bレジスタ17eに転送され、前記レンジデータの範囲内での前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点座標の算出が終了したか否か判断される(ステップS9,S10)。
【0024】
ここで、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標算出は終了してないと判断されると、再び前記ステップS5以降の処理に戻り、前記設定座標レンジ内における前記グラフ式に対応するグラフの次の描画ドット点の座標が算出されAレジスタ17dに記憶される(ステップS10→S5,S6)。
【0025】
この際、前記Aレジスタ17dに記憶されたグラフ描画ドット点に対応する液晶表示部13上の座標位置は、点灯表示されずに消灯される(ステップS7)。
そして、前記前回のグラフ描画ドット点の算出時においてBレジスタ17eに転送されて記憶されているグラフ描画ドット点に対応する液晶表示部13上の座標位置が点灯表示される(ステップS8)。
【0026】
すると、前記Aレジスタ17dに記憶された次のグラフ描画ドット点の座標データが続いて前記Bレジスタ17eに転送され、前記レンジデータの範囲内での前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点座標の算出が終了したか否か判断される(ステップS9,S10)。
【0027】
すなわち、前記ステップS5〜S10における処理が繰り返されると、レンジデータに基づき算出されるグラフの各描画ドット点の座標位置は、その算出時点ではAレジスタ17dに記憶されて表示されず、続く次の描画ドット点の座標位置が算出されてからBレジスタ17eから読み出されて描画表示されるもので、つまり、座標レンジに従ってグラフの描画軌跡が順次算出されて表示されて行く過程において、その最新の先端の描画ドットは常に消された状態で描画表示されて行くことになる。
【0028】
そして、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標算出が終了したと判断されると、設定座標レンジ内で最後に算出されたグラフの最終先端部の描画ドット点の座標がBレジスタ17eより読み出され、液晶表示部13に表示される(ステップS10→S11)。
【0029】
これにより、前記入力されたグラフ式に対応する設定座標レンジ内でのグラフの描画軌跡が全て表示された状態となる。
例えば「Xt=sinT,Yt=cos2T」なる第1のグラフ式が入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記図2におけるグラフモード処理に従い、図3(A)に示すように、液晶表示部13に対しグラフの描画表示が行なわれた状態で、さらに、前記第1のグラフ式「Xt=sinT,Yt=cos2T」のグラフの描画軌跡と同一のグラフ軌跡となる第2のグラフ式「Y=1−2X2 」が入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記同様のグラフモード処理に従い、グラフの描画表示が行なわれた場合には、前述したように、座標レンジに基づき順次算出されるグラフの先頭の描画ドット点a1 ,a2 ,…,aN は、該描画ドット点a1 ,a2 ,…,aN それぞれの座標算出時点では消灯されて表示されず、次の先頭の描画ドット点の座標が算出されてからb1 ,b2 ,…,bN として点灯表示されるので、このように2重になった第2のグラフの描画表示の際には、図3(B)〜図3(G)に示すように、その先頭の描画ドットに対応するグラフ部分a1 ,a2 ,…,aN が第1のグラフ上で空白となって表示され描画に伴ない移動して行くようになり、第2のグラフが第1のグラフと同一軌跡で描画表示されている状態を明確に確認できるようになる。
【0030】
したがって、前記構成の関数計算機能付き電子計算機の第1実施形態によれば、グラフ式及び液晶表示部13上でのグラフ描画範囲となるXY座標レンジを入力して「グラフ」キー12cを操作し、入力されたグラフ式に対応するグラフの描画表示を指示すると、前記座標レンジに従って前記グラフ式に対応する各グラフ描画ドット点の座標が1描画ドット毎に順次計算され、最新に計算されたグラフ描画先端のドット座標の位置は液晶表示部13において消灯されて(空白状態で)表示され、連続する次の描画ドット座標が計算された時点で点灯表示されるので、例えばグラフの描画軌跡が同一となる2つの異なる表現形態のグラフ式が入力されグラフ化された場合には、第1のグラフ式に対応するグラフが描画表示された後、該第1のグラフ上に第2のグラフの描画ドット点が消灯表示として移動されながら描画表示されるようになり、ユーザは前記2つのグラフ式に対応する各グラフデータが同一軌跡で重なっていることを容易に知ることができるようになる。
【0031】
なお、この第1実施形態では、座標レンジに従って計算されたグラフ描画先端のドット座標の位置を単に消灯して表示することで、グラフが重なった場合に、その描画中のドット位置が消灯されて識別できる構成としたが、既に表示されているデータ位置との重なり一致を判断した場合にのみ、前記同様の消灯表示を行なう構成としてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
図4は前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャートである。
【0033】
図5は前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図である。
ステップA1〜A3の処理を経て、任意のグラフ式と該グラフ式に対応するグラフの表示画面領域での座標レンジ(Xmin,Xmax/Ymin,Ymax)が入力されて、それぞれRAM17内のグラフ式データメモリ17b及びレンジデータメモリ17cに記憶された状態で、「グラフ」キー12cが操作されると、液晶表示部13の画面領域に対応させた前記レンジデータメモリ17cに記憶されているXY座標のレンジデータに従って、前記グラフ式データメモリ17bに記憶されているグラフ式に対応するグラフの各描画ドット点の座標が1描画ドット点ずつ計算され、グラフデータメモリ17fにビットマップデータとして描画されて記憶されると共に、表示データメモリ17aに書き込まれ、液晶表示部13に表示される(ステップA4→A5,A6)。
【0034】
この際、既にグラフデータメモリ17f及び表示データメモリ17aに書き込まれて液晶表示部13に表示されているグラフデータの描画座標位置とステップA5,A6にて計算,記憶,表示された1描画ドット点の座標位置とが比較され、各座標位置が一致しているか否か、つまり、今回のグラフ描画ドット点が既に描画表示されているグラフ上に重なったか否か判断される(ステップA7,A8)。
【0035】
ここで、今回、計算,記憶,表示された1描画ドット点の座標位置と、既に表示されているグラフデータの描画座標位置とが一致し重なったと判断されると、その描画ドット点は、通常の描画ドットサイズのn倍の描画ドットサイズで表示データメモリ17aに書き込まれ、液晶表示部13に対し太ドットで表示される(ステップA8→A9)。
【0036】
そして、前記設定レンジデータの範囲内での前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点座標の計算,表示が終了したか否か判断される(ステップA10)。
【0037】
一方、今回、計算,記憶,表示された1描画ドット点の座標位置が既に表示されているデータ位置に一致せず重なりは無いと判断された場合には、その描画ドット点は通常描画ドットサイズで表示されたままとなる(ステップA8→A10)。
【0038】
ここで、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標計算,表示は終了してないと判断されると、再び前記ステップA5以降の処理に戻り、前記設定座標レンジ内における前記グラフ式に対応するグラフの次の描画ドット点の座標計算,記憶,表示処理、及び既表示データとの位置比較,判断による描画ドットサイズの設定処理が繰り返される(ステップA10→A5〜A9)。
【0039】
そして、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標計算,表示が終了したと判断されると、ステップA9を経て太ドットとして表示された描画ドットの全ての部分が通常の描画ドットサイズに戻されて表示される(ステップA10→A11)。
【0040】
これにより、前記入力されたグラフ式に対応する設定座標レンジ内でのグラフの描画軌跡が全て表示された状態となる。
例えば「Xt=sinT,Yt=cos2T」なる第1のグラフ式が入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記図4におけるグラフモード処理に従い、図5(A)に示すように、液晶表示部13に対しグラフの描画表示が行なわれた状態で、さらに、前記第1のグラフ式「Xt=sinT,Yt=cos2T」のグラフの描画軌跡と同一のグラフ軌跡となる第2のグラフ式「Y=1−2X2 」が入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記同様のグラフモード処理に従い、グラフの描画表示が行なわれた場合には、該第2のグラフ式に対応して1描画ドット点ずつ順次、計算,記憶,表示される個々の描画ドットサイズは、全てステップA8→A9の処理を経て太ドットF1,F2,…,FN として表示されていくので、このように2重になった第2のグラフの描画表示の際には、図5(B)〜図5(G)に示すように、その先頭の描画ドットに対応するグラフ部分F1 ,F2 ,…,FN が太いグラフ線に変更されて表示され描画に伴ない移動して行くようになり、第2のグラフが第1のグラフと同一軌跡で描画表示されている状態を明確に確認できるようになる。
【0041】
したがって、前記構成の関数計算機能付き電子計算機の第2実施形態によれば、グラフ式及び液晶表示部13上でのグラフ描画範囲となるXY座標レンジを入力して「グラフ」キー12cを操作し、入力されたグラフ式に対応するグラフの描画表示を指示すると、前記座標レンジに従って前記グラフ式に対応する各グラフ描画ドット点の座標が1描画ドット毎に順次計算され、既に表示されているグラフデータとその描画ドット位置が重なった場合には太い描画ドットサイズに変更されて表示されるので、例えばグラフの描画軌跡が同一となる2つの異なる表現形態のグラフ式が入力されグラフ化された場合には、第1のグラフ式に対応するグラフが描画表示された後、該第1のグラフが第2のグラフの描画表示に合わせて太いグラフ線に変更されて移動されながら描画表示されるようになり、ユーザは前記2つのグラフ式に対応する各グラフデータが同一軌跡で重なっていることを容易に知ることができるようになる。
【0042】
図6は前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理に伴ない2つのグラフが交差する場合のグラフ描画処理状態を示す図である。
この場合にも、前記2つのグラフ軌跡が完全に重なる場合と同様に、第2のグラフ式に対応するグラフの描画ドット点が、既に表示されている第1のグラフと重なる部分F1,F2において太い描画ドットサイズに変更されて表示(ステップA5〜A9)され、描画終了時点において通常ドットサイズに戻されて表示されるので、既に表示されているグラフに対し、新たに描画表示するグラフの交差部分を明確に表現できるようになる。
【0043】
(第3実施形態)
図7は前記電子計算機の第3実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャートである。
【0044】
図8は前記電子計算機の第3実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図である。
ステップB1〜B3の処理を経て、任意のグラフ式とその表示指定色及び該グラフ式に対応するグラフの表示画面領域での座標レンジ(Xmin,Xmax/Ymin,Ymax)が入力されて、それぞれRAM17内のグラフ式データメモリ17b及びレンジデータメモリ17cに記憶された状態で、「グラフ」キー12cが操作されると、液晶表示部13の画面領域に対応させた前記レンジデータメモリ17cに記憶されているXY座標のレンジデータに従って、前記グラフ式データメモリ17bに記憶されているグラフ式に対応するグラフの各描画ドット点の座標が1描画ドット点ずつ計算され、Aレジスタ17dに記憶されると共に、表示データメモリ17aにビットマップデータとして描画されて書き込まれ、液晶表示部13に指定色で表示される(ステップB4→B5,B6)。
【0045】
この際、既にグラフデータメモリ17f及び表示データメモリ17aに書き込まれて液晶表示部13に表示されているグラフデータの描画座標位置とステップB5,B6にて計算,記憶,表示された1描画ドット点の座標位置とが比較され、各座標位置が一致しているか否か、つまり、今回のグラフ描画ドット点が既に描画表示されているグラフ上に重なったか否か判断される(ステップB7,B8)。
【0046】
ここで、今回、計算,記憶,表示された1描画ドット点の座標位置と、既に表示されているグラフデータの描画座標位置とが一致し重なったと判断されると、当該重なった2つのグラフは同一の表示指定色で表示されているか否か、グラフ式データメモリ17bに記憶されている各対応グラフ式の色指定データに基づき判断される(ステップB8→B9)。
【0047】
そして、今回描画表示された1描画ドット点の座標位置と、既に表示されているグラフデータの描画座標位置とが一致し重なったと判断され、しかも、該既に表示されているグラフの表示色とこれに重ねて表示された今回のグラフ描画点の表示指定色とが同じであると判断され、今回のグラフ描画点の描画動作が見掛上の表示の変化として現れない場合には、該当する描画ドット点が指定色と異なる色、つまり、既に表示されているグラフの表示色と異なる色に変更されて表示され、その描画動作が表現される(ステップB9→B10)。
【0048】
これと共に、前回の描画ドット点の計算,記憶,表示に際し、前記既表示グラフとの描画位置の一致、及び同一色表示という同様の判断処理を経て指定色と異なる色で表示されBレジスタ17eにその座標データが保存されていた描画ドット点は、表示指定色通りの色に戻されて表示され、前記今回異なる色に変更されて表示された描画ドット点の座標データが新たにAレジスタ17dからBレジスタ17eに転送されて保存される(ステップB11,B12)。
【0049】
すると、前記レンジデータの範囲内での前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点座標の計算が終了したか否か判断される(ステップB13)。
ここで、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標計算,表示は終了してないと判断されると、再び前記ステップB5以降の処理に戻り、前記設定座標レンジ内における前記グラフ式に対応するグラフの次の描画ドット点の座標計算,記憶,表示処理、及び既表示データとの位置比較判断,色比較判断による表示色の変更設定処理、表示色変更された前の描画ドット点の指定表示色への復帰処理が繰り返される(ステップB13→B5〜B12)。
【0050】
一方、今回描画表示された1描画ドット点の座標位置が既表示データの表示位置と一致しないと判断された場合、及び既表示データの表示位置と一致したと判断されても、同一色による表示ではなく、今回のグラフ描画点の描画動作が見掛上の表示の変化として現れていると判断された場合には、前記ステップB11〜B13の処理を経て前記ステップB5以降の処理に戻り、前記設定座標レンジ内における前記グラフ式に対応するグラフの次の描画ドット点の座標計算,記憶,指定色による表示処理が順次繰り返される(ステップB8orB9→B11〜B13→B5〜B7)。
【0051】
そして、前記グラフ式に対応するグラフの全描画ドット点の座標計算,表示が終了したと判断されると、設定座標レンジ内で最後に算出されたグラフの最終先端部の描画ドット点の座標がBレジスタ17eより読み出され、液晶表示部13に指定された表示色で表示される(ステップB13→B14)。
【0052】
これにより、前記入力されたグラフ式に対応する設定座標レンジ内でのグラフの描画軌跡が指定色で全て表示された状態となる。
例えば「Xt=sinT,Yt=cos2T」なる第1のグラフ式が入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記図7におけるグラフモード処理に従い、図8(A)に示すように、液晶表示部13に対しグラフの描画表示がその指定色の青色(B)にて行なわれた状態で、さらに、前記第1のグラフ式「Xt=sinT,Yt=cos2T」のグラフの描画軌跡と同一のグラフ軌跡となる第2のグラフ式「Y=1−2X2 」が同一指定色(B)で入力されて「グラフ」キー12cが操作され、前記同様のグラフモード処理に従い、グラフの描画表示が行なわれた場合には、前述したように、座標レンジに基づき順次算出される第2のグラフの先頭の描画ドット点a1 ,a2 ,…,aN は、指定色と異なる色の赤色(R)で表示されて行き、次の先頭の描画ドット点の座標が算出されてからb1 ,b2 ,…,bN として指定色の青色(B)に戻されて表示されるので、このように2重になった第2のグラフの描画表示の際には、図8(B)〜図8(G)に示すように、その先頭の描画ドットに対応するグラフ部分a1 ,a2 ,…,aN が第1のグラフ上で異なる色となって表示され描画に伴ない移動して行くようになり、第2のグラフが第1のグラフと同一軌跡で描画表示されている状態を明確に確認できるようになる。
【0053】
したがって、前記構成の関数計算機能付き電子計算機の第3実施形態によれば、グラフ式とその表示指定色及び液晶表示部13上でのグラフ描画範囲となるXY座標レンジを入力して「グラフ」キー12cを操作し、入力されたグラフ式に対応するグラフの描画表示を指示すると、前記座標レンジに従って前記グラフ式に対応する各グラフ描画ドット点の座標が1描画ドット毎に順次計算され、既に表示されているグラフデータとその描画ドット位置が重なり且つ指定された表示色も同じである場合には最新に計算されたグラフ描画先端のドット座標の位置は液晶表示部13において指定色と異なる色に変更されて表示され、連続する次の描画ドット座標が計算された時点で指定色に戻されて表示されるので、例えばグラフの描画軌跡が同一となる2つの異なる表現形態のグラフ式が入力されグラフ化された場合には、第1のグラフ式に対応するグラフが指定色で描画表示された後、該第1のグラフ上に第2のグラフの描画ドット点が異なる色の表示として移動されながら描画表示されるようになり、ユーザは前記2つのグラフ式に対応する各グラフデータが同一軌跡で重なっていることを容易に知ることができるようになる。
【0054】
なお、前記実施形態において記載した手法、すなわち、図2,図4,図7の各実施形態のフローチャートに示すグラフモード処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体20に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、この外部記録媒体20に記録されたプログラムを記録媒体読み取り部19によって読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明したグラフの描画表示機能を実現し、前述した手法による同様の重複グラフの識別表示処理を実行することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1に係わるグラフ表示装置によれば、式記憶手段に記憶された関数式に対応するグラフの表示画面上での描画点が、グラフ描画点計算手段により順次計算され、このグラフ描画点計算手段により順次計算されたグラフの描画点が、グラフ表示制御手段により前記表示画面に対して順次表示される。前記グラフ表示制御手段は、前記グラフ描画点計算手段により計算された最新の先端の描画点を消灯し、前記グラフ描画点計算手段により前回に計算された描画点を描画するように制御するので、例えば2つのグラフが完全二重に重なった場合でも、1つ目のグラフ上で消灯する描画点が移動表示され、2つ目のグラフが1つ目のグラフと同一軌跡で描画表示されている状態を明確に表現できるようになる。
【0060】
よって、本発明によれば、例えば複数のグラフ式に対応する各グラフデータの描画軌跡が全域で重なってしまうような場合でも、同一軌跡の複数のグラフデータが重なって表示されていることを容易に知ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のグラフ表示装置の実施形態に係わる関数計算機能付き電子計算機の電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記電子計算機の第1実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャート。
【図3】前記電子計算機の第1実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図。
【図4】前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャート。
【図5】前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図。
【図6】前記電子計算機の第2実施形態によるグラフモード処理に伴ない2つのグラフが交差する場合のグラフ描画処理状態を示す図。
【図7】前記電子計算機の第3実施形態によるグラフモード処理を示すフローチャート。
【図8】前記電子計算機の第3実施形態によるグラフモード処理に伴なうグラフの描画処理状態を示す図。
【符号の説明】
11 …制御部(CPU)、
12 …キー入力部、
12a…データ入力キー、
12b…「モード」キー、
12c…「グラフ」キー、
12d…「カラー」キー、
13 …カラー液晶表示部、
14 …タブレット、
16 …ROM、
17 …RAM、
17a…表示データメモリ、
17b…グラフ式データメモリ、
17c…レンジデータメモリ、
17d…Aレジスタ、
17e…Bレジスタ、
17f…グラフデータメモリ、
19 …記録媒体読み取り部、
20 …外部記録媒体。

Claims (3)

  1. 関数式を記憶する式記憶手段と、
    グラフを表示する表示画面を備えた表示手段と、
    前記式記憶手段に記憶された関数式に対応するグラフの前記表示画面上での描画点を順次計算するグラフ描画点計算手段と、
    このグラフ描画点計算手段により順次計算されたグラフの描画点を前記表示手段に対して順次表示するグラフ表示制御手段と、
    を具備し、
    前記グラフ表示制御手段は、前記グラフ描画点計算手段により計算された最新の先端の描画点を消灯し、前記グラフ描画点計算手段により前回に計算された描画点を描画するように制御する先端消灯描画表示制御手段を、
    具備することを特徴とするグラフ表示装置。
  2. グラフ表示装置の表示部に関数式に対応するグラフを表示させるように制御するためのグラフ表示制御方法であって、
    メモリに記憶された関数式に対応するグラフの前記表示部の表示画面上での描画点を順次計算するグラフ描画点計算ステップと、
    このグラフ描画点計算ステップにおいて順次計算されたグラフの描画点を前記表示部の表示画面に対して順次表示するグラフ表示制御ステップと、
    を具備し、
    前記グラフ表示制御ステップは、前記グラフ描画点計算ステップにより計算された最新の先端の描画点を消灯し、前記グラフ描画点計算ステップにより前回に計算された描画点を描画するように制御することを特徴とするグラフ表示制御方法。
  3. グラフ表示装置のコンピュータを制御して関数式に対応するグラフを表示部に表示させるためのグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体であって、
    前記コンピュータを、
    メモリに記憶された関数式に対応するグラフの前記表示部の表示画面上での描画点を順次計算するグラフ描画点計算手段、
    このグラフ描画点計算手段により順次計算されたグラフの描画点を前記表示部の表示画面に対して順次表示するグラフ表示制御手段、
    として機能させ、
    前記グラフ表示制御手段は、前記グラフ描画点計算手段により計算された最新の先端の描画点を消灯し、前記グラフ描画点計算手段により前回に計算された描画点を描画するように制御するように機能させることを特徴とするグラフ表示制御プログラムを記録した記録媒体。
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