JP3704757B2 - 流体圧発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタシリンダなど所定の流体圧を発生させる流体圧発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近来にあっては、バスやトラック等の大型車両においても変速自動化の要請が高まっている。これらの車両は一般に自重や積載量が大きく、クラッチ形式として乗用車に採用されるような流体式トルクコンバータを用いると損失大となり燃費の面で不利であるため、摩擦クラッチを自動操作により断続し、これと並行して変速機(マニュアルトランスミッション)をアクチュエータにより自動操作して、変速自動化を図っている。このクラッチの自動操作を行うクラッチ断続装置としては、空圧により摩擦クラッチの断続操作を行う倍力装置(クラッチブースタ)を利用するのが一般的である。
【0003】
一方、車両発進時等においてはクラッチの操作がデリケートとなり、その操作を自動制御で行おうとすると装置が複雑化し、高価となってしまうため、この場合にのみクラッチペダルを用いたマニュアル(手動)操作を行えるようにして、装置のシンプル化、低価格化を狙ったものが提案されている(例えば実公平4−8023号公報)。すなわちクラッチペダルの操作によりマスタシリンダから作動油圧を倍力装置に与えて、これを駆動させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種のオートクラッチシステムにおいて、自動変速を行っている時には、倍力装置に空圧が供給されて内部のパワーピストンが押動され、クラッチを分断方向に操作するようになっている。しかしながら従来の構成では、マスタシリンダからの油圧を送る通路は、パワーピストンの移動に応じて容積変化する倍力装置の油圧シリンダに連通しており、パワーピストンの押動により油圧シリンダ容積が増すと、油圧通路内に負圧が発生してエアの吸い込み等を引き起こすおそれがある。
【0005】
このような負圧発生を防止するためには、前記実公平4−8023号公報のように、倍力装置の油圧出力部にマニュアル操作と自動操作とのキャンセル機構を備える必要があるが、その機構は複雑となり、信頼性にも問題がある。従って倍力装置の変更は行わずに負圧発生を防止すべく、マスタシリンダをクラッチペダルだけでなく、制御系(空圧供給回路)によっても同様に、且つ互いに干渉することなく駆動できるようにすることが望ましい。またこの場合におけるクラッチペダルとクラッチの追従性は良好でなくてはならないが、このようなマスタシリンダに適用できる流体圧発生装置は従来なかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決すべく本発明は、作動流体を収容する第一流体室を有したシリンダボディと、第一流体室に臨んでシリンダボディ内に設けられた第一ピストンと、シリンダボディとの間に区画された第二流体室に圧力流体が供給されることによりシリンダボディ内を摺動して第一ピストンを作動流体加圧方向に移動させるべく第一ピストンに直列に隣接された第二ピストンと、第二ピストンを貫通する貫通部を有しプッシュロッドの押動によって第一ピストンを作動流体加圧方向に移動させるべく第一ピストンに直列に隣接された第三ピストンと、第三ピストンの内部に設けられ、第一ピストンと第二ピストンとの間を大気開放するための排出路と、第一ピストンを作動流体加圧方向と反対側に付勢するリターンスプリングとを備えたものである。
【0007】
この構成によって、プッシュロッドを駆動させることにより、第三ピストンはシリンダボディ内を摺動して第一ピストンを移動させ、第一流体室の作動流体を加圧する。また第二流体室に圧力流体を供給することで、第二ピストンはシリンダボディ内を摺動して第一ピストンを押動し、第一流体室の作動流体を加圧させる。これでそれぞれが互いに干渉することなく、所望の作動油圧を発生させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態である流体圧発生装置を示したものである。この流体圧発生装置は、作動流体としてオイルを、圧力流体として高圧エアを使用して、所定の油圧を発生させるようにしたもので、オイルを収容する第一流体室11を有したシリンダボディ12と、オイルを加圧するための第一ピストン13と、第一ピストン13に連設されエア圧によって駆動される第二ピストン16と、第二ピストン16とシリンダボディ12との間に区画されて、高圧エアが導入される第二流体室17と、第二ピストン16に一部が貫通して連設された第三ピストン15と、第三ピストン15を作動流体加圧方向Pに押動するためのプッシュロッド14と、第一ピストン13を作動流体加圧方向Pと反対側に付勢するリターンスプリング18とにより主として構成されている。
【0010】
シリンダボディ12は、略一定の肉厚で形成された円筒状の部材で成り、先端側のシリンダ部として第一流体室11が区画され、これに連通した油圧出口23が軸端側に開口されている。また第一流体室11の周壁にはオイルを補うためのオリフィス付きのオイル補給路(リリーフポート)25が形成されている。オイル補給路25の大径部分には調整ネジ26が螺合され、オイルのリザーバタンク(図示せず)に接続する給油パイプ27が設けられている。またオイル補給路25よりも基端側の周壁には、第二流体室17に高圧エアを導入するためのエア導入口28が形成されている。またシリンダボディ12の基端開口部には、内周壁に嵌合されたスナップリング52と、その外側に被せられた有底筒体状のキャップ19とが設けられている。スナップリング52は、第三のピストン15の基端外周縁に当接してこれを係止するようになっている。キャップ19の筒端側は、シリンダボディ12の外周壁の凹部に嵌合して軸方向に抜けないようになっており、面部にはプッシュロッド14を挿通させるための挿通穴20が形成されている。
【0011】
第一ピストン13は、略円柱状の中実体で成り、先端面がピストンカップ21を介して第一流体室11に臨んでいる。ピストンカップ21とシリンダボディ12の軸端内壁との間にはリターンスプリング18が設けられている。第一ピストン13の中間部は縮径され、シリンダボディ12のシリンダ壁との隙間にオイル補給路25の分岐路22が連通している。また第一ピストン13のシリンダ壁に摺接する部分にはシーリングカップ29が設けられている。
【0012】
第二ピストン16は、軸孔33を有した円筒状の部材で成り、先端側端面が第一ピストン13の基端面外周部分に当接するようになっていると共に、中間部が縮径されて第二流体室17を区画している。第二流体室17はエア導入口28に常時連通するように形成されている。第二ピストン16の先端側の外周壁及び基端側の内周壁には、それぞれシール部材30,31が設けられている。また第二ピストン16の基端部には軸方向に延びた連通孔32が形成され、縮径部分と基端側外方とを連通させている。
【0013】
第三ピストン15は、軸孔33に摺動自在に嵌合する貫通部38と、シリンダ径に相応した外径で成る大径部39とを有している。貫通部38は、第二ピストン16の全長よりも僅かに大きい長さで形成され、先端が第一ピストン13の基端面軸心部分に当接するようになっている。また第三ピストン15の内部には、先端面から軸心に沿って延長されて、大径部39の基端側外周面に開口したエア排出路36が形成されている。エア排出路36の基端側開口位置においては大径部39が若干縮径されており、シリンダボディ12の基端開口部に連通するようになっている。また大径部39の摺接部分の外周壁にはシール部材37が設けられている。プッシュロッド14は、シリンダボディ12の軸心に沿って設けられ、その先端が第三ピストン15の大径部39の基端凹面に当接して、加圧方向Pの力を伝達するようになっている。
【0014】
以上のように構成された油圧発生装置において、プッシュロッド14に機械的な力が加えられて図中右方向に動くと、これに押された第三ピストン15がその貫通部38を第二ピストン16の軸孔33に貫通させた状態で第一ピストン13に当接し、リターンスプリング18の付勢力に抗して第一ピストン13を押す。第一ピストン13は、シリンダボディ12内を摺動し、オイルをその移動量に相応した分だけ昇圧させ、油圧出口23に連絡した油圧駆動系を駆動させる。なお第二ピストン16は、第三ピストン15の摺動に伴って加圧方向Pに移動する。この移動は、第二流体室17内のエアによる抵抗を受けることなく行われる。
【0015】
次にプッシュロッド14の動作がない状態で、第二流体室17に高圧エアが導入されると、第二ピストン16はリターンスプリング18の付勢力に打ち勝って、エア供給量(エア圧)に相当するストロークでシリンダボディ12内を摺動し、第一ピストン13を一体的に押動して第一流体室11内のオイルを昇圧させる。このとき第三ピストン15の大径部39には後退方向(図中左方向)のエア圧が作用するが、スナップリング52によって係止される。
【0016】
このように、シリンダボディ12内に第一ピストン13と第二ピストン16とを直列に設け、プッシュロッド14の押動或いはエア圧で動作する第二ピストン16の押動によって、第一ピストン13を駆動させるようにしたので、それぞれが互いに干渉することなく、所望の作動油圧を発生させることができる。そしてプッシュロッド14は、第三ピストン15を介して第一ピストン13を押すので、第二流体室17の残圧などに影響される第二ピストン16とは無関係に駆動させることができる。すなわちプッシュロッド14の押動と油圧発生との追従性を向上させることができる。また第三ピストン15にエア排出路36を設けて、第二ピストン16と第一ピストン13との間に洩れたエアを大気開放するようにしたので、シーリングカップ29にはエア圧が作用せず、耐久性が向上すると共に、第一流体室11に流入してオイルに混入するのを確実に防止できる。そして第三ピストン15はシリンダ基端側、すなわち第二流体室17の基端側を区画する軸端部材を兼ねており、部品点数の少ないシンプルな構成とすることができる。
【0017】
なおエア圧が作用している状態でプッシュロッド14が押されると、この状態では第二ピストン16及び第一ピストン13は図中右方向に移動しており、第三ピストン15には左方への圧力が作用している。従ってプッシュロッド14にはこの圧力に相当する反力が作用するが、そのまま押動することは可能であり、プッシュロッド14の駆動系に悪影響を及ぼすことはない。また第三ピストン16が移動することにより、その大径部39と第二ピストン16との隙間の分だけシリンダ内の圧力は若干上昇するものの、エア供給源(エアタンク)の容量が充分大きければ、第一ピストン13のオーバーストローク等の悪影響は防止できる。またプッシュロッド14が駆動されている状態でエア圧が作用した場合は、エア圧は第三ピストン15及び第二ピストン16の両方に等しく作用しているためキャンセルされ、直接ピストン15,16に余分な荷重をかけることはない。
【0018】
次に図1の油圧発生装置を、図2に示すように、クラッチ断続装置1のマスタシリンダ10に適用した場合を説明する。クラッチ断続装置1は、比較的高圧の空気(圧力流体)を供給するための空圧供給手段2を有する。空圧供給手段2は、エンジン(図示せず)に駆動されて空圧(空気圧)を発生するコンプレッサ3と、コンプレッサ3からの空気を乾燥させるエアドライヤ4と、エアドライヤ4から送られてきた空気を貯留するエアタンク5と、エアタンク5の入口側に設けられた逆止弁6とから主に構成される。この空圧供給手段2からの空圧は倍力装置(クラッチブースタ)7に送られ、倍力装置7はその空圧の供給により摩擦クラッチ8を分断側(右側)Aに操作するようになっている。また倍力装置7は、クラッチペダル9の操作によりマスタシリンダ10から高圧の作動油(作動流体)即ち油圧も供給されるようになっている。
【0019】
倍力装置7は、そのボディに接続されたシリンダシェルを有し、このシリンダシェル内にピストンプレート(パワーピストン、倍力ピストン)が、リターンスプリングにより空圧導入側(図中左側)に付勢されて設けられている。シリンダシェルの一端には空圧ニップルが取り付けられ、この空圧ニップルが空圧導入口を形成してエアタンクからの空圧を空圧配管35から導入する。空圧が導入されるとピストンプレートがクラッチ8側(図中右側)に押動され、こうなるとピストンプレートはピストンロッド、ハイドロリックピストン、さらにはプッシュロッドを押動してクラッチレバー8aを押し、クラッチ8を分断する。一方、ボディ内部には、油圧導入口たる油圧ニップルに連通する油圧通路が形成される。油圧通路は、ボディフランジ部の一端(下端)側に形成された孔、ハイドロリックピストンを収容するハイドロリックシリンダ、及びハイドロリックシリンダに小孔を介して連通する他端(上端)側の制御孔によって主に形成される。油圧ニップルから油圧配管54の油圧が導入されると、油圧は上記通路を通って制御孔に到達し、制御ピストンを制御シリンダに沿って右側に押動する。このようにボディフランジ部の上端側には、倍力装置7をマニュアル作動させるための制御バルブ部7aが形成される。制御バルブ部7aは右側に突出する制御ボディ部によって区画される。制御ボディ部には、前述の制御シリンダに同軸に連通するコントロール室及び空圧ポートが形成される。コントロール室にはコントロールバルブが、空圧ポートにはポペットバルブがそれぞれ摺動可能に収容される。空圧ポートにはニップルが取り付けられ、このニップルには空圧配管67が接続されて空圧が常に供給されている。通常、ポペットバルブは、空圧とポペットスプリングとにより左側に付勢されていて、コントロール室及び空圧ポートを連通する連通ポートを閉じている。よってニップルからの空圧はポペットバルブの位置で遮断される。しかしながら、クラッチペダル9の特に踏み込み操作により油圧が供給されると、制御ピストン及びコントロールバルブがポペットバルブを右側に押動して連通ポートを開く。こうなると、連通ポートからコントロール室に侵入した空圧は、詳しくは後述するが、コントロール室に連通する空圧配管34,35を通じて前述のシリンダシェルに入り、ピストンプレートを右側に押動し、クラッチ8を分断側に操作する。ここで、クラッチペダル9によるクラッチ8のマニュアル(手動)操作時、倍力装置7はクラッチペダル9のストローク量に応じてクラッチ8を所定ストロークだけ操作することができる。即ち、例えばクラッチペダル9が比較的小さくストローク乃至踏み込まれた場合、前述の空圧作用によりピストンプレートが右側に押動される。ところが、これに連動してハイドロリックピストンが所定ストロークだけ右側に押動されると、油圧通路の容積が増し制御孔内の油圧が下がる。こうなると、制御ピストンがコントロールバルブをポペットバルブに押し付けつつ、ポペットバルブが連通ポートを閉鎖するバランス状態が生じ、これによりコントロール室、空圧配管34,35及びピストンプレート背面側室内にて所定の空圧が保持され、ピストンプレートを所定ストローク位置に保持し、クラッチ8を所定位置に保持する。また、クラッチペダル9を完全に戻すと、制御孔内の油圧がさらに下がって、制御ピストンが最も左側の原位置に戻される。こうなると、コントロールバルブがポペットバルブから離れ、コントロールバルブの内部に設けられた開放ポートがコントロール室等と連通するようになる。すると、その空圧は開放ポートからブリーザを通じ大気開放され、これによりピストンプレートを押していた空圧が抜けて、クラッチ8が接続側(左側)Bに操作される。このように、倍力装置7はマニュアル操作用の制御バルブ部7aを有して、主に発進時等にクラッチ8のマニュアル操作を可能とするが、後述するように、変速時におけるクラッチ8の自動操作をも可能とするものである。
【0020】
マスタシリンダ10のエア導入口28とエアタンク5とは空圧配管62で接続され、この空圧配管62には2つの分岐63,65が設けられる。分岐63には空圧配管67が接続され、空圧配管67の他端は倍力装置7のニップルに接続される。分岐65には空圧配管68が接続され、この空圧配管68の他端は、空圧配管34及び35にシャトル弁(ダブルチェックバルブ)69を介して接続される。シャトル弁69は、空圧配管34或いは68の一方を空圧配管35に接続するよう、圧力差に応じて切替えを行う。ここで、エアタンク5から分岐65、シャトル弁69、及び倍力装置7の空圧ニップルを順に結ぶ空圧配管62,68,35は第1の空圧供給路aを形成する。またエアタンク5から分岐63を分岐して倍力装置7の空圧ニップルまでを結ぶ空圧配管62,67,34,35は第2の空圧供給路bを形成する。そしてこれら第1及び第2の空圧供給路a,bはシャトル弁69により切替可能となる。第1の空圧供給路aの空圧配管68には、コンピュータ式制御装置(コントローラ)72により切替制御される二つの電磁切替弁78,79が設けられる。これら切替弁78,79は、ONのときには開となって下流側(倍力装置7側)への空圧の供給を許容し、OFF のときには空圧供給を遮断する一方、下流側の空圧を大気開放するようになっている。そして特に上流側(エアタンク5側)の切替弁78は、下流側の空圧を絞りを通じて大気開放するようになっている。よって、切替弁78,79のONとOFF との組合せが、ON/ON なら倍力装置7に対し空圧供給を、ON/OFFなら比較的短時間で空圧排出を、OFF/ONなら比較的長時間で空圧排出を行うようになっている。なおOFF/OFF のときはON/OFFのときと実質的に同一である。これは特に、2段階のクラッチ接続速度を選べることになるから、最適な組合せを選択することでクラッチ接続ショックの低減等を図ることができる。なおクラッチ8の分断は比較的速い一定速度で行われる。一方、エアタンク5とマスタシリンダ10とを結ぶ空圧配管62は第3の空圧供給路cを形成し、特にその配管62にも電磁切替弁81が設けられる。切替弁81は、前記切替弁78,79と同様のもので、制御装置72により切替制御され、ONのときには空圧をマスタシリンダ10に供給し、OFF のときにはマスタシリンダ10からの空圧を大気開放するようになっている。なお切替弁81の開度をデューティ制御するようにすると、空圧の供給・排出速度を制御することもできる。変速機71は自動変速を行う構成がなされており、即ち、手動シフトレバーで変速ポジションが選択されると、電気スイッチによる変速信号が制御装置72に送られ、図示しないアクチュエータが動作されて実質的な変速操作を行うようになっている。従って、運転手はスイッチの切替えを行うのみである。他、制御装置72には、アクセルペダル75に設けられたストロークセンサ82及びアイドルスイッチ83、変速機71のシフトレバー付近に設けられた非常スイッチ84、変速機71の出力軸付近に設けられた車速センサ85、エアタンク5に設けられた圧力スイッチ86、クラッチペダル9に設けられたペダルスイッチ87、及びクラッチ8に設けられたクラッチストロークセンサ88等が接続される。
【0021】
次に、上記クラッチ断続装置1の動作説明を行う。先ず、自動変速の概要に含めてクラッチ8の自動分断操作について説明する。運転手のシフト操作による変速信号の入力により、制御装置72は両方の切替弁78,79をON乃至開とし、第1の空圧供給路aを通じ倍力装置7に空圧を供給する。そしてクラッチ8が分断され、図示しないアクチュエータにより変速機71の変速操作が完了すると、切替弁78,79を所定の組合せでOFF とし、倍力装置7の空圧を所定速度で抜いてクラッチ8の接続操作を行い、変速を完了する。なおここでは、マニュアル操作ではないので空圧配管34内は低圧であり、よってシャトル弁69は空圧配管68からの高圧でその配管68のみを配管35に接続する。ここでクラッチ8の自動分断操作時、ハイドロリックピストンが右側に移動することで、作動油が充填されているハイドロリックシリンダの容積が増し、これにより油圧通路及び油圧配管内等(合わせて油圧通路内という)に負圧が生じて、作動油に気泡が混入する虞がある。こうなると油圧の正確な供給を行えず、クラッチ8のマニュアル操作が困難となる問題が生じる。そこで、かかる構成にあっては、クラッチ8の自動分断操作時に、マスタシリンダ10に空圧配管62を通じて空圧を供給し、油圧通路内を適当に加圧するようにしている。こうすると、油圧通路内の負圧化を防止でき、トラブルを未然に防止することができる。特にクラッチ8の自動分断操作時に、切替弁78,79を開とする前に、切替弁81を若干早めに開として適当な初期圧を与えるようにしている。このことによって、負圧化の完全な防止を達成することができる。他方、クラッチ8の自動接続操作時、こんどは切替弁78,79をON/OFF或いはOFF/ONのいずれかとして閉とし、倍力装置7から空圧を排出する。こうすると油圧通路内が順次増圧されるから、これに合わせて空圧を切替弁81から適宜大気開放させる。こうなると原位置への復帰が可能となる。またこのときにも、切替弁78,79を閉とした後に切替弁81を遅れて閉とし、最後まで空圧を与えるようにして負圧化の完全防止を図っている。次に、クラッチペダル9を用いたマニュアル操作時には、クラッチペダル9を踏み込んだ瞬間にマスタシリンダ10から油圧が送られ、これにより制御バルブ部7aが開となり、空圧でシャトル弁が切替り、空圧配管34,35同士が接続される。こうなると、倍力装置7には空圧が供給されてクラッチ8が分断される。特にこのマニュアル操作時には、油圧通路内を積極的に加圧するため負圧化は生じない。他方、クラッチペダル9を戻せば、倍力装置7から空圧が排出され、クラッチ8が接続される。なおこのマニュアル操作のときは、いずれの切替弁78,79,81もOFF である。こうして、電気系トラブル等で自動操作が不可能となっても、マニュアル操作によるクラッチ断続が可能となり、発進、変速等が可能となる。かかる構成にあっては、油圧通路内を負圧化させない程度に加圧すればよいので、第二ピストン16を大径とする必要がなく、マスタシリンダ10を従来程度の外径に設定でき、大形となるのを防止することができる。なお、上記の如き油圧通路の加圧は、倍力装置7のハイドロリックシリンダ周辺の内部構造を変更することによっても可能であるが、こうすると狭いスペースで複雑な構造を採用せざるを得ず、シール等の問題もあり信頼性やメンテナンス性の点で不利である。本実施例は従来同様の倍力装置7に変更を加えることなく、マスタシリンダ10の構造や空圧回路の構成によって対応しているため、上記の欠点はなく構成がシンプルとなり、十分な信頼性、メンテナンス性等を確保できる。そして、クラッチペダル9による機械的な駆動及び空圧供給制御により、それぞれが互いに干渉することなく所望の油圧を発生させることができる。
【0022】
なおこの実施の形態においては、流体圧発生装置をクラッチ断続装置1のマスタシリンダ10に適用した場合を示したが、本発明はブレーキなど、マニュアル(プッシュロッド動作)と自動制御(空圧供給)とを両立させる機構などに広く適用できるものである。また以上の実施例においては作動流体及び圧力流体としてオイルとエアとを使用したが、本発明はこの組み合わせに限るものではなく、例えば両方の流体にオイルを使用するなど、種々の組み合わせが可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、プッシュロッドの動作による機械的な駆動及び圧力流体の供給制御により、それぞれが互いに干渉することなく所望の流体圧を発生させることができる。またプッシュロッドにより駆動する際の追従性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である流体圧発生装置を示した側断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態を示した構成図である。
【符号の説明】
11 第一流体室
12 シリンダボディ
13 第一ピストン
14 プッシュロッド
15 第三ピストン
16 第二ピストン
17 第二流体室
18 リターンスプリング
36 エア排出路(排出路)
38 貫通部
P 加圧方向(作動流体加圧方向)

Claims (1)

  1. 作動流体を収容する第一流体室を有したシリンダボディと、上記第一流体室に臨んで上記シリンダボディ内に設けられた第一ピストンと、上記シリンダボディとの間に区画された第二流体室に圧力流体が供給されることにより上記シリンダボディ内を摺動して上記第一ピストンを作動流体加圧方向に移動させるべく上記第一ピストンに直列に隣接された第二ピストンと、該第二ピストンを貫通する貫通部を有しプッシュロッドの押動によって上記第一ピストンを上記作動流体加圧方向に移動させるべく上記第一ピストンに直列に隣接された第三ピストンと、該第三ピストンの内部に設けられ、上記第一ピストンと上記第二ピストンとの間を大気開放するための排出路と、上記第一ピストンを上記作動流体加圧方向と反対側に付勢するリターンスプリングとを備えたことを特徴とする流体圧発生装置。
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