JP3552345B2 - クラッチ断続装置 - Google Patents
クラッチ断続装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3552345B2 JP3552345B2 JP17635495A JP17635495A JP3552345B2 JP 3552345 B2 JP3552345 B2 JP 3552345B2 JP 17635495 A JP17635495 A JP 17635495A JP 17635495 A JP17635495 A JP 17635495A JP 3552345 B2 JP3552345 B2 JP 3552345B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- clutch
- pressure
- pneumatic
- hydraulic
- piston
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクラッチ断続装置に係り、特に車両のクラッチの自動化を図り得るクラッチ断続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、バスやトラック等の大型車両においても変速自動化の要請が高まっている。これらの車両は一般に車重や積載量が大きく、クラッチ形式として乗用車に採用されるような流体式トルクコンバータを用いると損失大となり燃費の面で不利であるため、このような大型車両においては、特に摩擦クラッチを自動操作により断続し、その出力を変速機に送り、この変速機をやはり自動操作するようにして、変速自動化の達成を図っている。このクラッチの自動操作を行うクラッチ断続装置としては、空圧の給排により摩擦クラッチの断続操作を行う倍力装置(クラッチブースタ)を備えたものが一般的である。
【0003】
一方、車両発進時等においてはクラッチの操作がデリケートとなり、その操作を自動制御で行おうとすると装置が複雑、高価となってしまうため、この場合にのみクラッチペダルを用いたマニュアル(手動)操作を行えるようにして、装置のシンプル化、低価格化を狙ったものがある。この場合、クラッチペダルの操作によりマスタシリンダから油圧を給排し、この油圧の給排により上記倍力装置への空圧の給排を行うようにしている。(関連技術;実公平4−8023号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発進時を除く自動変速時、倍力装置にはクラッチペダルを操作せずとも空圧が給排される。そして特に倍力装置は、空圧が供給されると内部のパワーピストンを押動させてクラッチを分断方向に操作するようになっている。
【0005】
しかし、従来の構成において、マスタシリンダからの油圧を送る通路は、上記パワーピストンの移動に応じて容積変化する倍力装置の油圧シリンダに連通しており、パワーピストンの押動により油圧シリンダ容積が増すと、油圧通路内に負圧が発生して気泡が混入し、クラッチの正確なマニュアル操作を行えなくなる虞がある。
【0006】
なお、このような負圧発生を防止するためには、前記実公平4−8023号公報のように、倍力装置の油圧出力部にマニュアル操作と自動操作とのキャンセル機構を備える必要があるが、その機構は複雑となり、信頼性にも問題がある。従って倍力装置の変更は行わずに負圧発生を防止すべく、マスタシリンダをクラッチペダルだけでなく、制御系(空圧供給回路)によっても同様に、且つ互いに干渉することなく駆動できるようにすることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空圧を供給するための空圧供給手段と、その空圧の供給によりピストンプレートがハイドロリックピストンを押動してクラッチを分断操作する倍力装置と、クラッチ分断時に前記空圧供給手段からの空圧を前記ピストンプレートの空圧導入側に導くと共にクラッチ接続時に前記空圧導入側の空圧を所定速度で抜いてクラッチを分断・接続するための互いに切替可能な第1及び第2の空圧供給路と、前記第1の空圧供給路に接続されクラッチの自動操作時に前記倍力装置でクラッチを分断・接続すべく作動される第1の弁と、クラッチペダルの操作により、クラッチのマニュアル操作時に前記クラッチペダルのストローク量に応じて油圧を前記ハイドロリックピストンに供給するマスタシリンダと、クラッチのマニュアル操作時に作動された前記マスタシリンダからの油圧を前記ハイドロリックピストンを介して導入されて作動され前記空圧供給手段からの空圧を前記第2の空圧供給路を介して倍力装置に供給するための第2の弁と、前記マスタシリンダのピストンの背面側に前記空圧供給手段からの空圧を与えるための第3の空圧供給路と、該第3の空圧供給路に接続されクラッチの自動分断操作時に空圧で作動される前記倍力装置内の前記ハイドロリックピストンに生じる負圧化を防止すべく前記第3の空圧供給路を開いて前記マスタシリンダに空圧を供給して油圧を前記ハイドロリックピストンに与えるための第3の弁とを備えたものである。この構成によれば、クラッチの自動分断操作に際して、倍力装置の分断操作と連動して第3の空圧供給路を開いてマスタシリンダに空圧を供給して、油圧をハイドロリックピストンに与えることで、ハイドロリックピストン(ハイドロリックシリンダ)及び油圧通路内を加圧することができ、ハイドロリックピストン(ハイドロリックシリンダ)及び油圧通路内の負圧化を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
空圧供給手段としては、大型車両に通常備えられているコンプレッサや、ターボチャージャーのコンプレッサ等を用いるようにする。そして空圧供給手段と倍力装置とを、互いに切替可能な配管等による二つの空圧供給路で結ぶ。これらの切替えは、電磁切替弁を用いて制御切替を行うようにしてもよいが、圧力差で切替えを行うシャトル弁を用いると特別な制御が必要なくなる。第1の弁としては電磁切替弁を用い、開(ON)のとき倍力装置への空圧供給を行い、閉(OFF) のとき空圧供給を停止し且つ倍力装置から空圧を排出するようにする。これによりクラッチの自動断続が達成される。一方、第2の弁としては、マスタシリンダからの油圧で開閉する油圧シリンダ形式の弁を用いる。こうすると、クラッチペダルを用いたクラッチのマニュアル断続が達成される。マスタシリンダのピストン背面側には、配管等による第3の空圧供給路から空圧供給がなされるが、このときクラッチペダルが動かぬよう、クラッチペダルとピストンとを切離し自在としておくのが好ましい。そしてクラッチの特に自動分断操作時、油圧通路内に負圧が生じぬよう、第3の空圧供給路から空圧供給を行って、ピストンのみをマスタシリンダ内で押動させるようにする。こうすれば、ピストンが油圧を発生し、油圧通路内を適当に加圧して負圧化を防止できる。
【0009】
【実施例】
以下本発明の好適実施例を添付図面に基づいて詳述する。
【0010】
図1は、本発明に係るクラッチ断続装置を示す全体構成図で、クラッチ断続装置1は空圧を供給するための空圧供給手段2を有する。空圧供給手段2は、エンジン(図示せず)に駆動されて比較的高圧の空圧(空気圧)を発生するコンプレッサ3と、コンプレッサ3からの空気を乾燥させるエアドライヤ4と、エアドライヤ4から送られてきた空気を高圧にて貯留するエアタンク5と、エアタンク5の入口側に設けられた逆止弁6とから主に構成される。この空圧供給手段2からの空圧は倍力装置(クラッチブースタ)7に送られ、倍力装置7はその空圧の供給により摩擦クラッチ8を分断側(右側)Aに操作するようになっている。また倍力装置7は、クラッチペダル9の操作によりマスタシリンダ10から油圧も供給されるようになっている。
【0011】
図2は倍力装置7の詳細を示す縦断面図である。なおこの倍力装置7は従来同様に構成される。図示するように、倍力装置7は、そのボディ11に接続されたシリンダシェル12を有し、このシリンダシェル12内にピストンプレート(パワーピストン)13が、リターンスプリング14により空圧導入側(図中左側)に付勢されて設けられている。シリンダシェル12の一端には空圧ニップル15が取り付けられ、この空圧ニップル15が空圧導入口を形成してエアタンク5からの空圧を空圧配管35(図1)から導入する。空圧が導入されるとピストンプレート13がクラッチ8側(図中右側)に押動され、こうなるとピストンプレート13はピストンロッド16、ハイドロリックピストン17、さらにはプッシュロッド18を押動してクラッチレバー8a(図1)を押し、クラッチ8を分断する。
【0012】
一方、ボディ11内部には、油圧導入口たる油圧ニップル19に連通する油圧通路20が形成される。油圧通路20は、ボディフランジ部11aの一端(下端)側に形成された孔21、ハイドロリックピストン17を収容するハイドロリックシリンダ(油圧シリンダ)22(ボディシリンダ部11bに形成される)、及びハイドロリックシリンダ22に小孔23aを介して連通する他端(上端)側の制御孔23によって主に形成される。油圧ニップル19から油圧配管54(図1)の油圧が導入されると、油圧は上記通路を通って制御孔23に到達し、制御ピストン24を制御シリンダ25に沿って右側に押動する。このようにボディフランジ部11aの上端側には、倍力装置7をマニュアル作動させるための制御バルブ部7aが形成される。
【0013】
制御バルブ部7aは右側に突出する制御ボディ部26によって区画される。制御ボディ部26には、前述の制御シリンダ25に同軸に連通するコントロール室27及び空圧ポート28が形成される。コントロール室27にはコントロールバルブ29が、空圧ポート28にはポペットバルブ30がそれぞれ摺動可能に収容される。空圧ポート28にはニップル31が取り付けられ、このニップル31には空圧配管67(図1)が接続されて空圧が常に供給されている。
【0014】
通常、ポペットバルブ30は、空圧とポペットスプリング32とにより左側に付勢されていて、コントロール室27及び空圧ポート28を連通する連通ポート33を閉じている。よってニップル31からの空圧はポペットバルブ30の位置で遮断される。しかしながら、クラッチペダル9の特に踏み込み操作により油圧が供給されると、制御ピストン24及びコントロールバルブ29がポペットバルブ30を右側に押動して連通ポート33を開く。こうなると、連通ポート33からコントロール室27に侵入した空圧は、コントロール室27に連通する空圧配管34,35(図1)を通じて前述のシリンダシェル12に入り、ピストンプレート13を右側に押動し、クラッチ8を分断側に操作する。
【0015】
ここで、クラッチペダル9によるクラッチ8のマニュアル(手動)操作時、倍力装置7はクラッチペダル9のストローク量に応じてクラッチ8を所定ストロークだけ作動させるようになっている。即ち、例えばクラッチペダル9が比較的小さくストローク乃至踏み込まれた場合、前述の空圧作用によりピストンプレート13が右側に押動される。ところが、これに連動してハイドロリックピストン17が所定ストロークだけ右側に押動されると、油圧通路20の容積が増し制御孔23内の油圧が下がる。こうなると、制御ピストン24がコントロールバルブ29をポペットバルブ30に押し付けつつ、ポペットバルブ30が連通ポート33を閉鎖するバランス状態が生じ、これによりコントロール室27、空圧配管34,35及びピストンプレート13背面側室内にて所定の空圧が保持され、ピストンプレート13を所定ストローク位置に保持し、クラッチ8を所定位置に保持する。
【0016】
また、クラッチペダル9を完全に戻すと、制御孔23内の油圧がさらに下がって、図示の如く制御ピストン24が最も左側の原位置に戻される。こうなると、コントロールバルブ29がポペットバルブ30から離れ、コントロールバルブ29の内部に設けられた開放ポート36がコントロール室27等と連通するようになる。すると、その空圧は開放ポート36からブリーダ37を通じ大気開放され、これによりピストンプレート13を押していた空圧が抜けて、クラッチ8が接続側(左側)Bに操作される。
【0017】
このように、倍力装置7はマニュアル操作用の制御バルブ部7aを有して、主に発進時等にクラッチ8のマニュアル操作を可能とするが、以下に述べるように、変速時の自動操作をも可能とするものである。
【0018】
なお、倍力装置7において、38は、シリンダシェル12で区画されるシリンダ室12aとハイドロリックシリンダ22とを油密に仕切るシール部材、39及び40はブリーダ37と連通する大気圧ポート、41は緩められると作動油のエア抜きを行えるブリーダである。
【0019】
図3はマスタシリンダ10の詳細を示す縦断面図である。図示するように、マスタシリンダ10は、長手方向に延出されたシリンダボディ45を有する。シリンダボディ45はその内部に所定径のシリンダボア46を有し、シリンダボア46には特に二つのピストン47,48が独立して摺動可能に装入される。シリンダボア46の一端(左端)開口部には、クラッチペダル9の踏み込み或いは戻し操作に合わせて挿抜するプッシュロッド49の先端部が挿入され、さらにその開口部はダストブーツ50で閉止される。シリンダボア46内の他端側(右側)には、第1及び第2ピストン47,48をピストンカップ51を介して一端側に付勢するリターンスプリング52が設けられる。シリンダボア46の他端は、シリンダボディ45に形成された油圧供給ポート53に連通され、この油圧供給ポート53には図1に示す油圧配管54が接続される。なおプッシュロッド49と第1ピストン47とは切離し自在である。53aはチェックバルブである。
【0020】
図示状態にあっては、クラッチペダル9の踏み込みがなされておらず第1及び第2ピストン47,48は一端側の原位置に位置されている。特にこのときのピストン47,48間に位置されて、シリンダボディ45には空圧導入ポート55が設けられている。このマスタシリンダ10においては、クラッチペダル9によるマニュアル操作のときは両方のピストン47,48が押動されて油圧を供給する。一方、自動操作による場合は、詳しくは後述するが、空圧導入ポート55から空圧が供給されて第2ピストン48のみが適宜押動されるようになっている。なおこのとき第1ピストン47の移動はスナップリング56によって規制される。またこのとき、第1ピストン47が移動しないのでクラッチペダル9は移動しない。57は、作動油のリザーバタンク58(図1)からの給油配管59に接続する給油ニップル、60及び61は、ピストンカップ51の右側及び第2ピストン48の位置にそれぞれ給油を行う小径及び大径ポートを示す。
【0021】
図1に示すように、マスタシリンダ10の空圧導入ポート55とエアタンク5とは空圧配管62で接続され、この空圧配管62には2つの分岐63,65,が設けられる。分岐63には空圧配管67が接続され、空圧配管67の他端は倍力装置7のニップル31に接続される。分岐65には空圧配管68が接続され、この空圧配管68の他端は、空圧配管34及び35にシャトル弁(ダブルチェックバルブ)69を介して接続される。シャトル弁69は、空圧配管34或いは68の一方を空圧配管35に接続するよう、圧力差に応じて切替えを行う。
【0022】
ここで、エアタンク5から分岐65、シャトル弁69、及び倍力装置7の空圧ニップル15を順に結ぶ空圧配管62,68,35は第1の空圧供給路aを形成する。またエアタンク5から分岐63を分岐して倍力装置7の空圧ニップル15までを結ぶ空圧配管62,67,34,35は第2の空圧供給路bを形成する。そしてこれら第1及び第2の空圧供給路a,bはシャトル弁69により切替可能となる。さらに第2の空圧供給路bには、これの開閉を行う制御バルブ部7aによる第2の弁が設けられることになる。
【0023】
ここで、第1の空圧供給路aの空圧配管68には、コンピュータ式制御装置(コントローラ)72により切替制御される二つの電磁切替弁78,79が設けられる。これら切替弁78,79は、ONのときには開となって下流側への空圧の供給を許容し、OFF のときには空圧供給を遮断する一方、下流側の空圧を大気開放するようになっている。そして特に上流側の切替弁78は、下流側の空圧を絞りを通じて大気開放するようになっている。
【0024】
よって、切替弁78,79のONとOFF との組合せが、ON/ON なら倍力装置7に対し空圧供給を、ON/OFFなら比較的短時間で空圧排出を、OFF/ONなら比較的長時間で空圧排出を行うようになっている。なおOFF/OFF のときはON/OFFのときと実質的に同一である。
【0025】
これは特に、二段階のクラッチ接続速度を選べることになるから、最適な組合せを選択することでクラッチ接続ショックの低減等を図ることができる。なおクラッチ8の分断は比較的速い一定速度で行われる。このようにこれら切替弁78,79は、第1の空圧供給路aの開閉を制御装置72からの制御信号に基づいて実行する第1の弁を形成する。
【0026】
一方、エアタンク5とマスタシリンダ10とを結ぶ空圧配管62は第3の空圧供給路cを形成し、特にその配管62にも電磁切替弁(第3の弁)81が設けられる。切替弁81は、前記切替弁78,79同様のもので、制御装置72により切替制御され、ONのときには空圧をマスタシリンダ10に供給し、OFF のときにはマスタシリンダ10から空圧を大気開放するようになっている。なお、切替弁81の開度をデューティ制御するようにすると、空圧の供給・排出速度を制御することもできる。
【0027】
変速機71は自動変速を行う構成がなされており、即ち、手動シフトレバーで変速ポジションが選択されると、電気スイッチによる変速信号が制御装置72に送られ、図示しないアクチュエータが動作されて実質的な変速操作を行うようになっている。従って、運転手はスイッチの切替えを行うのみである。
【0028】
他、制御装置72には、アクセルペダル75に設けられたストロークセンサ82及びアイドルスイッチ83、変速機71のシフトレバー付近に設けられた非常スイッチ84、変速機71の出力軸付近に設けられた車速センサ85、エアタンク5に設けられた圧力スイッチ86、クラッチペダル9に設けられたペダルスイッチ87、及びクラッチ8に設けられたクラッチストロークセンサ88等が接続される。
【0029】
以下、上記実施例の作用について説明する。変速時、運転手のシフト操作による変速信号の入力により、制御装置72は両方の切替弁78,79をON乃至開とし、第1の空圧供給路aを通じ倍力装置7に空圧を供給する。そしてクラッチ8が分断され、図示しないアクチュエータにより変速機71の変速操作が完了すると、切替弁78,79を所定の組合せでOFF とし、倍力装置7の空圧を所定速度で抜いてクラッチ8の接続操作を行い、変速を完了する。なおここでは、マニュアル操作ではないので空圧配管34内は低圧であり、よってシャトル弁69は空圧配管68からの高圧でその配管68のみを配管35に接続する。
【0030】
ここで図2を参照して、特にクラッチ8の自動分断操作時、ハイドロリックピストン17が右側に移動することで、作動油が充填されているハイドロリックシリンダ22の容積が増し、これにより油圧通路20及び油圧配管54内等(合わせて油圧通路内という)に負圧が生じて、作動油に気泡が混入する虞がある。こうなると油圧の正確な供給を行えず、最悪の場合クラッチ8のマニュアル操作ができなくなってしまい、発進等が不可能となる問題が生じる。
【0031】
そこで本実施例では、クラッチ8の自動分断操作時に、マスタシリンダ10の第2ピストン48背面側に空圧配管62を通じて空圧を供給し、第2ピストン48を適宜押動し、油圧をハイドロリックピストン17に与えることでハイドロリックシリンダ22及び油圧通路内を適当に加圧するようにしている。こうすると、ハイドロリックシリンダ22及び油圧通路内の負圧化を防止でき、トラブルを未然に防止することができる。
【0032】
特に本実施例では、クラッチ8の自動分断操作時に、切替弁78,79を開とする前に、切替弁81を若干早めに開として適当な初期圧を与えるようにしている。このことによって、負圧化の完全な防止を達成することができる。
【0033】
一方、クラッチ8の自動接続操作時、こんどは油圧通路内が順次増圧されるから、これに合わせて第2ピストン48背面側の空圧を切替弁81から適宜大気開放させる。こうなると第2ピストン48の原位置への復帰が可能となる。またこのときにも、切替弁78,79を閉とした後に切替弁81を遅れて閉とし、最後まで空圧を与えるようにして負圧化の完全防止を図っている。
【0034】
加えて、本実施例においては、自動操作よりもマニュアル操作が優先されるようになっており、即ち、クラッチペダル9を踏み込んだ瞬間にペダルスイッチ87から信号が送られ、切替弁78,79がOFF となる一方制御バルブ部7aが開となり、これによりシャトル弁69が切替り、空圧配管34,35同士が接続されるようになっている。そしてマニュアル操作のときには切替弁81の制御がなされないが、油圧通路内はクラッチペダル9の踏み込みによる油圧供給がなされているので負圧化は生じない。このように、マニュアル操作を優先させることで、電気系トラブル等で自動操作が不可能となっても、マニュアル操作によるクラッチ断続が可能となる。
【0035】
そして本実施例では、油圧通路内を負圧化させない程度に加圧すればよいので、第2ピストン48等を特に大径とする必要がなく、マスタシリンダ10を従来程度の外径に設定でき、大形となるのを防止することができる。
【0036】
なお、上記の如き油圧通路の加圧は、倍力装置7のハイドロリックシリンダ22周辺の内部構造を変更することによっても可能であるが、こうすると狭いスペースで複雑な構造を採用せざるを得ず、シール等の問題もあり信頼性やメンテナンス性の点で不利である。本実施例は従来同様の倍力装置7に変更を加えることなく、マスタシリンダ10の構造や空圧回路の構成によって対応しているため、上記の欠点はなく構成がシンプルとなり、十分な信頼性、メンテナンス性等を確保できる。そして、クラッチペダル9による機械的な駆動及び空圧供給制御により、それぞれが互いに干渉することなく所望の油圧を発生させることができる。
【0037】
また、本実施例ではマスタシリンダ10に空圧を送るようにしたが、別途油圧ポンプを設けて回路変更し、油圧を送るようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明の好適実施例について説明してきたが、上記実施例は本発明の単なる一形態に過ぎず、本発明は他の形態を採ることも当然可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0040】
(1) クラッチの自動操作時、油圧通路内の負圧状態となること防止でき、作動油に気泡が混入することがないので、クラッチのマニュアル操作ができなくなるなどのトラブルを未然に防げる。
【0041】
(2) 従来の装置を大きく変更することなく、シンプルな構成により(1)の効果を得ることができるので、十分な信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチ断続装置の一実施例を示す全体構成図である。
【図2】倍力装置を示す縦断面図である。
【図3】マスタシリンダを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 クラッチ断続装置
2 空圧供給手段
7 倍力装置
7a 制御バルブ部(第2の弁)
8 クラッチ
9 クラッチペダル
10 マスタシリンダ
13 ピストンプレート(パワーピストン)
17 ハイドロリックピストン
48 第2ピストン(ピストン)
72 制御装置
78 切替弁(第1の弁)
79 切替弁(第1の弁)
81 切替弁(第3の弁)
a 第1の空圧供給路
b 第2の空圧供給路
c 第3の空圧供給路
【発明の属する技術分野】
本発明はクラッチ断続装置に係り、特に車両のクラッチの自動化を図り得るクラッチ断続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、バスやトラック等の大型車両においても変速自動化の要請が高まっている。これらの車両は一般に車重や積載量が大きく、クラッチ形式として乗用車に採用されるような流体式トルクコンバータを用いると損失大となり燃費の面で不利であるため、このような大型車両においては、特に摩擦クラッチを自動操作により断続し、その出力を変速機に送り、この変速機をやはり自動操作するようにして、変速自動化の達成を図っている。このクラッチの自動操作を行うクラッチ断続装置としては、空圧の給排により摩擦クラッチの断続操作を行う倍力装置(クラッチブースタ)を備えたものが一般的である。
【0003】
一方、車両発進時等においてはクラッチの操作がデリケートとなり、その操作を自動制御で行おうとすると装置が複雑、高価となってしまうため、この場合にのみクラッチペダルを用いたマニュアル(手動)操作を行えるようにして、装置のシンプル化、低価格化を狙ったものがある。この場合、クラッチペダルの操作によりマスタシリンダから油圧を給排し、この油圧の給排により上記倍力装置への空圧の給排を行うようにしている。(関連技術;実公平4−8023号公報)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発進時を除く自動変速時、倍力装置にはクラッチペダルを操作せずとも空圧が給排される。そして特に倍力装置は、空圧が供給されると内部のパワーピストンを押動させてクラッチを分断方向に操作するようになっている。
【0005】
しかし、従来の構成において、マスタシリンダからの油圧を送る通路は、上記パワーピストンの移動に応じて容積変化する倍力装置の油圧シリンダに連通しており、パワーピストンの押動により油圧シリンダ容積が増すと、油圧通路内に負圧が発生して気泡が混入し、クラッチの正確なマニュアル操作を行えなくなる虞がある。
【0006】
なお、このような負圧発生を防止するためには、前記実公平4−8023号公報のように、倍力装置の油圧出力部にマニュアル操作と自動操作とのキャンセル機構を備える必要があるが、その機構は複雑となり、信頼性にも問題がある。従って倍力装置の変更は行わずに負圧発生を防止すべく、マスタシリンダをクラッチペダルだけでなく、制御系(空圧供給回路)によっても同様に、且つ互いに干渉することなく駆動できるようにすることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空圧を供給するための空圧供給手段と、その空圧の供給によりピストンプレートがハイドロリックピストンを押動してクラッチを分断操作する倍力装置と、クラッチ分断時に前記空圧供給手段からの空圧を前記ピストンプレートの空圧導入側に導くと共にクラッチ接続時に前記空圧導入側の空圧を所定速度で抜いてクラッチを分断・接続するための互いに切替可能な第1及び第2の空圧供給路と、前記第1の空圧供給路に接続されクラッチの自動操作時に前記倍力装置でクラッチを分断・接続すべく作動される第1の弁と、クラッチペダルの操作により、クラッチのマニュアル操作時に前記クラッチペダルのストローク量に応じて油圧を前記ハイドロリックピストンに供給するマスタシリンダと、クラッチのマニュアル操作時に作動された前記マスタシリンダからの油圧を前記ハイドロリックピストンを介して導入されて作動され前記空圧供給手段からの空圧を前記第2の空圧供給路を介して倍力装置に供給するための第2の弁と、前記マスタシリンダのピストンの背面側に前記空圧供給手段からの空圧を与えるための第3の空圧供給路と、該第3の空圧供給路に接続されクラッチの自動分断操作時に空圧で作動される前記倍力装置内の前記ハイドロリックピストンに生じる負圧化を防止すべく前記第3の空圧供給路を開いて前記マスタシリンダに空圧を供給して油圧を前記ハイドロリックピストンに与えるための第3の弁とを備えたものである。この構成によれば、クラッチの自動分断操作に際して、倍力装置の分断操作と連動して第3の空圧供給路を開いてマスタシリンダに空圧を供給して、油圧をハイドロリックピストンに与えることで、ハイドロリックピストン(ハイドロリックシリンダ)及び油圧通路内を加圧することができ、ハイドロリックピストン(ハイドロリックシリンダ)及び油圧通路内の負圧化を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
空圧供給手段としては、大型車両に通常備えられているコンプレッサや、ターボチャージャーのコンプレッサ等を用いるようにする。そして空圧供給手段と倍力装置とを、互いに切替可能な配管等による二つの空圧供給路で結ぶ。これらの切替えは、電磁切替弁を用いて制御切替を行うようにしてもよいが、圧力差で切替えを行うシャトル弁を用いると特別な制御が必要なくなる。第1の弁としては電磁切替弁を用い、開(ON)のとき倍力装置への空圧供給を行い、閉(OFF) のとき空圧供給を停止し且つ倍力装置から空圧を排出するようにする。これによりクラッチの自動断続が達成される。一方、第2の弁としては、マスタシリンダからの油圧で開閉する油圧シリンダ形式の弁を用いる。こうすると、クラッチペダルを用いたクラッチのマニュアル断続が達成される。マスタシリンダのピストン背面側には、配管等による第3の空圧供給路から空圧供給がなされるが、このときクラッチペダルが動かぬよう、クラッチペダルとピストンとを切離し自在としておくのが好ましい。そしてクラッチの特に自動分断操作時、油圧通路内に負圧が生じぬよう、第3の空圧供給路から空圧供給を行って、ピストンのみをマスタシリンダ内で押動させるようにする。こうすれば、ピストンが油圧を発生し、油圧通路内を適当に加圧して負圧化を防止できる。
【0009】
【実施例】
以下本発明の好適実施例を添付図面に基づいて詳述する。
【0010】
図1は、本発明に係るクラッチ断続装置を示す全体構成図で、クラッチ断続装置1は空圧を供給するための空圧供給手段2を有する。空圧供給手段2は、エンジン(図示せず)に駆動されて比較的高圧の空圧(空気圧)を発生するコンプレッサ3と、コンプレッサ3からの空気を乾燥させるエアドライヤ4と、エアドライヤ4から送られてきた空気を高圧にて貯留するエアタンク5と、エアタンク5の入口側に設けられた逆止弁6とから主に構成される。この空圧供給手段2からの空圧は倍力装置(クラッチブースタ)7に送られ、倍力装置7はその空圧の供給により摩擦クラッチ8を分断側(右側)Aに操作するようになっている。また倍力装置7は、クラッチペダル9の操作によりマスタシリンダ10から油圧も供給されるようになっている。
【0011】
図2は倍力装置7の詳細を示す縦断面図である。なおこの倍力装置7は従来同様に構成される。図示するように、倍力装置7は、そのボディ11に接続されたシリンダシェル12を有し、このシリンダシェル12内にピストンプレート(パワーピストン)13が、リターンスプリング14により空圧導入側(図中左側)に付勢されて設けられている。シリンダシェル12の一端には空圧ニップル15が取り付けられ、この空圧ニップル15が空圧導入口を形成してエアタンク5からの空圧を空圧配管35(図1)から導入する。空圧が導入されるとピストンプレート13がクラッチ8側(図中右側)に押動され、こうなるとピストンプレート13はピストンロッド16、ハイドロリックピストン17、さらにはプッシュロッド18を押動してクラッチレバー8a(図1)を押し、クラッチ8を分断する。
【0012】
一方、ボディ11内部には、油圧導入口たる油圧ニップル19に連通する油圧通路20が形成される。油圧通路20は、ボディフランジ部11aの一端(下端)側に形成された孔21、ハイドロリックピストン17を収容するハイドロリックシリンダ(油圧シリンダ)22(ボディシリンダ部11bに形成される)、及びハイドロリックシリンダ22に小孔23aを介して連通する他端(上端)側の制御孔23によって主に形成される。油圧ニップル19から油圧配管54(図1)の油圧が導入されると、油圧は上記通路を通って制御孔23に到達し、制御ピストン24を制御シリンダ25に沿って右側に押動する。このようにボディフランジ部11aの上端側には、倍力装置7をマニュアル作動させるための制御バルブ部7aが形成される。
【0013】
制御バルブ部7aは右側に突出する制御ボディ部26によって区画される。制御ボディ部26には、前述の制御シリンダ25に同軸に連通するコントロール室27及び空圧ポート28が形成される。コントロール室27にはコントロールバルブ29が、空圧ポート28にはポペットバルブ30がそれぞれ摺動可能に収容される。空圧ポート28にはニップル31が取り付けられ、このニップル31には空圧配管67(図1)が接続されて空圧が常に供給されている。
【0014】
通常、ポペットバルブ30は、空圧とポペットスプリング32とにより左側に付勢されていて、コントロール室27及び空圧ポート28を連通する連通ポート33を閉じている。よってニップル31からの空圧はポペットバルブ30の位置で遮断される。しかしながら、クラッチペダル9の特に踏み込み操作により油圧が供給されると、制御ピストン24及びコントロールバルブ29がポペットバルブ30を右側に押動して連通ポート33を開く。こうなると、連通ポート33からコントロール室27に侵入した空圧は、コントロール室27に連通する空圧配管34,35(図1)を通じて前述のシリンダシェル12に入り、ピストンプレート13を右側に押動し、クラッチ8を分断側に操作する。
【0015】
ここで、クラッチペダル9によるクラッチ8のマニュアル(手動)操作時、倍力装置7はクラッチペダル9のストローク量に応じてクラッチ8を所定ストロークだけ作動させるようになっている。即ち、例えばクラッチペダル9が比較的小さくストローク乃至踏み込まれた場合、前述の空圧作用によりピストンプレート13が右側に押動される。ところが、これに連動してハイドロリックピストン17が所定ストロークだけ右側に押動されると、油圧通路20の容積が増し制御孔23内の油圧が下がる。こうなると、制御ピストン24がコントロールバルブ29をポペットバルブ30に押し付けつつ、ポペットバルブ30が連通ポート33を閉鎖するバランス状態が生じ、これによりコントロール室27、空圧配管34,35及びピストンプレート13背面側室内にて所定の空圧が保持され、ピストンプレート13を所定ストローク位置に保持し、クラッチ8を所定位置に保持する。
【0016】
また、クラッチペダル9を完全に戻すと、制御孔23内の油圧がさらに下がって、図示の如く制御ピストン24が最も左側の原位置に戻される。こうなると、コントロールバルブ29がポペットバルブ30から離れ、コントロールバルブ29の内部に設けられた開放ポート36がコントロール室27等と連通するようになる。すると、その空圧は開放ポート36からブリーダ37を通じ大気開放され、これによりピストンプレート13を押していた空圧が抜けて、クラッチ8が接続側(左側)Bに操作される。
【0017】
このように、倍力装置7はマニュアル操作用の制御バルブ部7aを有して、主に発進時等にクラッチ8のマニュアル操作を可能とするが、以下に述べるように、変速時の自動操作をも可能とするものである。
【0018】
なお、倍力装置7において、38は、シリンダシェル12で区画されるシリンダ室12aとハイドロリックシリンダ22とを油密に仕切るシール部材、39及び40はブリーダ37と連通する大気圧ポート、41は緩められると作動油のエア抜きを行えるブリーダである。
【0019】
図3はマスタシリンダ10の詳細を示す縦断面図である。図示するように、マスタシリンダ10は、長手方向に延出されたシリンダボディ45を有する。シリンダボディ45はその内部に所定径のシリンダボア46を有し、シリンダボア46には特に二つのピストン47,48が独立して摺動可能に装入される。シリンダボア46の一端(左端)開口部には、クラッチペダル9の踏み込み或いは戻し操作に合わせて挿抜するプッシュロッド49の先端部が挿入され、さらにその開口部はダストブーツ50で閉止される。シリンダボア46内の他端側(右側)には、第1及び第2ピストン47,48をピストンカップ51を介して一端側に付勢するリターンスプリング52が設けられる。シリンダボア46の他端は、シリンダボディ45に形成された油圧供給ポート53に連通され、この油圧供給ポート53には図1に示す油圧配管54が接続される。なおプッシュロッド49と第1ピストン47とは切離し自在である。53aはチェックバルブである。
【0020】
図示状態にあっては、クラッチペダル9の踏み込みがなされておらず第1及び第2ピストン47,48は一端側の原位置に位置されている。特にこのときのピストン47,48間に位置されて、シリンダボディ45には空圧導入ポート55が設けられている。このマスタシリンダ10においては、クラッチペダル9によるマニュアル操作のときは両方のピストン47,48が押動されて油圧を供給する。一方、自動操作による場合は、詳しくは後述するが、空圧導入ポート55から空圧が供給されて第2ピストン48のみが適宜押動されるようになっている。なおこのとき第1ピストン47の移動はスナップリング56によって規制される。またこのとき、第1ピストン47が移動しないのでクラッチペダル9は移動しない。57は、作動油のリザーバタンク58(図1)からの給油配管59に接続する給油ニップル、60及び61は、ピストンカップ51の右側及び第2ピストン48の位置にそれぞれ給油を行う小径及び大径ポートを示す。
【0021】
図1に示すように、マスタシリンダ10の空圧導入ポート55とエアタンク5とは空圧配管62で接続され、この空圧配管62には2つの分岐63,65,が設けられる。分岐63には空圧配管67が接続され、空圧配管67の他端は倍力装置7のニップル31に接続される。分岐65には空圧配管68が接続され、この空圧配管68の他端は、空圧配管34及び35にシャトル弁(ダブルチェックバルブ)69を介して接続される。シャトル弁69は、空圧配管34或いは68の一方を空圧配管35に接続するよう、圧力差に応じて切替えを行う。
【0022】
ここで、エアタンク5から分岐65、シャトル弁69、及び倍力装置7の空圧ニップル15を順に結ぶ空圧配管62,68,35は第1の空圧供給路aを形成する。またエアタンク5から分岐63を分岐して倍力装置7の空圧ニップル15までを結ぶ空圧配管62,67,34,35は第2の空圧供給路bを形成する。そしてこれら第1及び第2の空圧供給路a,bはシャトル弁69により切替可能となる。さらに第2の空圧供給路bには、これの開閉を行う制御バルブ部7aによる第2の弁が設けられることになる。
【0023】
ここで、第1の空圧供給路aの空圧配管68には、コンピュータ式制御装置(コントローラ)72により切替制御される二つの電磁切替弁78,79が設けられる。これら切替弁78,79は、ONのときには開となって下流側への空圧の供給を許容し、OFF のときには空圧供給を遮断する一方、下流側の空圧を大気開放するようになっている。そして特に上流側の切替弁78は、下流側の空圧を絞りを通じて大気開放するようになっている。
【0024】
よって、切替弁78,79のONとOFF との組合せが、ON/ON なら倍力装置7に対し空圧供給を、ON/OFFなら比較的短時間で空圧排出を、OFF/ONなら比較的長時間で空圧排出を行うようになっている。なおOFF/OFF のときはON/OFFのときと実質的に同一である。
【0025】
これは特に、二段階のクラッチ接続速度を選べることになるから、最適な組合せを選択することでクラッチ接続ショックの低減等を図ることができる。なおクラッチ8の分断は比較的速い一定速度で行われる。このようにこれら切替弁78,79は、第1の空圧供給路aの開閉を制御装置72からの制御信号に基づいて実行する第1の弁を形成する。
【0026】
一方、エアタンク5とマスタシリンダ10とを結ぶ空圧配管62は第3の空圧供給路cを形成し、特にその配管62にも電磁切替弁(第3の弁)81が設けられる。切替弁81は、前記切替弁78,79同様のもので、制御装置72により切替制御され、ONのときには空圧をマスタシリンダ10に供給し、OFF のときにはマスタシリンダ10から空圧を大気開放するようになっている。なお、切替弁81の開度をデューティ制御するようにすると、空圧の供給・排出速度を制御することもできる。
【0027】
変速機71は自動変速を行う構成がなされており、即ち、手動シフトレバーで変速ポジションが選択されると、電気スイッチによる変速信号が制御装置72に送られ、図示しないアクチュエータが動作されて実質的な変速操作を行うようになっている。従って、運転手はスイッチの切替えを行うのみである。
【0028】
他、制御装置72には、アクセルペダル75に設けられたストロークセンサ82及びアイドルスイッチ83、変速機71のシフトレバー付近に設けられた非常スイッチ84、変速機71の出力軸付近に設けられた車速センサ85、エアタンク5に設けられた圧力スイッチ86、クラッチペダル9に設けられたペダルスイッチ87、及びクラッチ8に設けられたクラッチストロークセンサ88等が接続される。
【0029】
以下、上記実施例の作用について説明する。変速時、運転手のシフト操作による変速信号の入力により、制御装置72は両方の切替弁78,79をON乃至開とし、第1の空圧供給路aを通じ倍力装置7に空圧を供給する。そしてクラッチ8が分断され、図示しないアクチュエータにより変速機71の変速操作が完了すると、切替弁78,79を所定の組合せでOFF とし、倍力装置7の空圧を所定速度で抜いてクラッチ8の接続操作を行い、変速を完了する。なおここでは、マニュアル操作ではないので空圧配管34内は低圧であり、よってシャトル弁69は空圧配管68からの高圧でその配管68のみを配管35に接続する。
【0030】
ここで図2を参照して、特にクラッチ8の自動分断操作時、ハイドロリックピストン17が右側に移動することで、作動油が充填されているハイドロリックシリンダ22の容積が増し、これにより油圧通路20及び油圧配管54内等(合わせて油圧通路内という)に負圧が生じて、作動油に気泡が混入する虞がある。こうなると油圧の正確な供給を行えず、最悪の場合クラッチ8のマニュアル操作ができなくなってしまい、発進等が不可能となる問題が生じる。
【0031】
そこで本実施例では、クラッチ8の自動分断操作時に、マスタシリンダ10の第2ピストン48背面側に空圧配管62を通じて空圧を供給し、第2ピストン48を適宜押動し、油圧をハイドロリックピストン17に与えることでハイドロリックシリンダ22及び油圧通路内を適当に加圧するようにしている。こうすると、ハイドロリックシリンダ22及び油圧通路内の負圧化を防止でき、トラブルを未然に防止することができる。
【0032】
特に本実施例では、クラッチ8の自動分断操作時に、切替弁78,79を開とする前に、切替弁81を若干早めに開として適当な初期圧を与えるようにしている。このことによって、負圧化の完全な防止を達成することができる。
【0033】
一方、クラッチ8の自動接続操作時、こんどは油圧通路内が順次増圧されるから、これに合わせて第2ピストン48背面側の空圧を切替弁81から適宜大気開放させる。こうなると第2ピストン48の原位置への復帰が可能となる。またこのときにも、切替弁78,79を閉とした後に切替弁81を遅れて閉とし、最後まで空圧を与えるようにして負圧化の完全防止を図っている。
【0034】
加えて、本実施例においては、自動操作よりもマニュアル操作が優先されるようになっており、即ち、クラッチペダル9を踏み込んだ瞬間にペダルスイッチ87から信号が送られ、切替弁78,79がOFF となる一方制御バルブ部7aが開となり、これによりシャトル弁69が切替り、空圧配管34,35同士が接続されるようになっている。そしてマニュアル操作のときには切替弁81の制御がなされないが、油圧通路内はクラッチペダル9の踏み込みによる油圧供給がなされているので負圧化は生じない。このように、マニュアル操作を優先させることで、電気系トラブル等で自動操作が不可能となっても、マニュアル操作によるクラッチ断続が可能となる。
【0035】
そして本実施例では、油圧通路内を負圧化させない程度に加圧すればよいので、第2ピストン48等を特に大径とする必要がなく、マスタシリンダ10を従来程度の外径に設定でき、大形となるのを防止することができる。
【0036】
なお、上記の如き油圧通路の加圧は、倍力装置7のハイドロリックシリンダ22周辺の内部構造を変更することによっても可能であるが、こうすると狭いスペースで複雑な構造を採用せざるを得ず、シール等の問題もあり信頼性やメンテナンス性の点で不利である。本実施例は従来同様の倍力装置7に変更を加えることなく、マスタシリンダ10の構造や空圧回路の構成によって対応しているため、上記の欠点はなく構成がシンプルとなり、十分な信頼性、メンテナンス性等を確保できる。そして、クラッチペダル9による機械的な駆動及び空圧供給制御により、それぞれが互いに干渉することなく所望の油圧を発生させることができる。
【0037】
また、本実施例ではマスタシリンダ10に空圧を送るようにしたが、別途油圧ポンプを設けて回路変更し、油圧を送るようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明の好適実施例について説明してきたが、上記実施例は本発明の単なる一形態に過ぎず、本発明は他の形態を採ることも当然可能である。
【0039】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0040】
(1) クラッチの自動操作時、油圧通路内の負圧状態となること防止でき、作動油に気泡が混入することがないので、クラッチのマニュアル操作ができなくなるなどのトラブルを未然に防げる。
【0041】
(2) 従来の装置を大きく変更することなく、シンプルな構成により(1)の効果を得ることができるので、十分な信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチ断続装置の一実施例を示す全体構成図である。
【図2】倍力装置を示す縦断面図である。
【図3】マスタシリンダを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 クラッチ断続装置
2 空圧供給手段
7 倍力装置
7a 制御バルブ部(第2の弁)
8 クラッチ
9 クラッチペダル
10 マスタシリンダ
13 ピストンプレート(パワーピストン)
17 ハイドロリックピストン
48 第2ピストン(ピストン)
72 制御装置
78 切替弁(第1の弁)
79 切替弁(第1の弁)
81 切替弁(第3の弁)
a 第1の空圧供給路
b 第2の空圧供給路
c 第3の空圧供給路
Claims (1)
- 空圧を供給するための空圧供給手段と、その空圧の供給によりピストンプレートがハイドロリックピストンを押動してクラッチを分断操作する倍力装置と、クラッチ分断時に前記空圧供給手段からの空圧を前記ピストンプレートの空圧導入側に導くと共にクラッチ接続時に前記空圧導入側の空圧を所定速度で抜いてクラッチを分断・接続するための互いに切替可能な第1及び第2の空圧供給路と、前記第1の空圧供給路に接続されクラッチの自動操作時に前記倍力装置でクラッチを分断・接続すべく作動される第1の弁と、クラッチペダルの操作により、クラッチのマニュアル操作時に前記クラッチペダルのストローク量に応じて油圧を前記ハイドロリックピストンに供給するマスタシリンダと、クラッチのマニュアル操作時に作動された前記マスタシリンダからの油圧を前記ハイドロリックピストンを介して導入されて作動され前記空圧供給手段からの空圧を前記第2の空圧供給路を介して倍力装置に供給するための第2の弁と、前記マスタシリンダのピストンの背面側に前記空圧供給手段からの空圧を与えるための第3の空圧供給路と、該第3の空圧供給路に接続されクラッチの自動分断操作時に空圧で作動される前記倍力装置内の前記ハイドロリックピストンに生じる負圧化を防止すべく前記第3の空圧供給路を開いて前記マスタシリンダに空圧を供給して油圧を前記ハイドロリックピストンに与えるための第3の弁とを備えたことを特徴とするクラッチ断続装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17635495A JP3552345B2 (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | クラッチ断続装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17635495A JP3552345B2 (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | クラッチ断続装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0925949A JPH0925949A (ja) | 1997-01-28 |
JP3552345B2 true JP3552345B2 (ja) | 2004-08-11 |
Family
ID=16012147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17635495A Expired - Fee Related JP3552345B2 (ja) | 1995-07-12 | 1995-07-12 | クラッチ断続装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3552345B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210032106A (ko) * | 2019-09-16 | 2021-03-24 | 현대자동차주식회사 | 마모 보상장치가 구비된 클러치 액추에이터 제어 장치 및 그 제어 방법 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030024118A (ko) * | 2001-09-17 | 2003-03-26 | 현대자동차주식회사 | 자동차용 클러치시스템의 공기공급 보조장치 |
DE10163438A1 (de) | 2001-12-21 | 2003-07-03 | Zahnradfabrik Friedrichshafen | Verfahren zur Ermittlung des Kupplungsanlegepunktes |
CN107906194B (zh) * | 2017-09-30 | 2023-05-05 | 东风商用车有限公司 | 一种换挡助力器变速箱换挡保护系统及其换挡方法 |
-
1995
- 1995-07-12 JP JP17635495A patent/JP3552345B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210032106A (ko) * | 2019-09-16 | 2021-03-24 | 현대자동차주식회사 | 마모 보상장치가 구비된 클러치 액추에이터 제어 장치 및 그 제어 방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0925949A (ja) | 1997-01-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3598688B2 (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP3552345B2 (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH11344050A (ja) | 油圧制御システムのための急速接続カプラ | |
JP3567573B2 (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP3704751B2 (ja) | 流体圧発生装置 | |
JP3579974B2 (ja) | 流体圧発生装置 | |
JPH09112583A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP3567554B2 (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH0953658A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP3826529B2 (ja) | クラッチ断接装置 | |
JP3704757B2 (ja) | 流体圧発生装置 | |
JPH0925948A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP4569120B2 (ja) | 車両のオートクラッチ装置 | |
JP3888081B2 (ja) | クラッチ操作装置 | |
JPH0953659A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JP3791104B2 (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH09210091A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH09112581A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH10184724A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH10274258A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH09210090A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH09112582A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPH11173346A (ja) | クラッチ断接装置 | |
JPH10184725A (ja) | クラッチ断続装置 | |
JPS62246631A (ja) | クラツチ操作装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040413 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040426 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |