JPH10274258A - クラッチ断続装置 - Google Patents

クラッチ断続装置

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JPH10274258A
JPH10274258A JP9080686A JP8068697A JPH10274258A JP H10274258 A JPH10274258 A JP H10274258A JP 9080686 A JP9080686 A JP 9080686A JP 8068697 A JP8068697 A JP 8068697A JP H10274258 A JPH10274258 A JP H10274258A
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JP
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clutch
speed
pneumatic
connection
pressure
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Application number
JP9080686A
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English (en)
Inventor
Yasushi Yamamoto
康 山本
Masanori Ishihara
正紀 石原
Masaaki Saito
昌明 西頭
Nobuyuki Iwao
信幸 岩男
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シフトダウンを伴う再加速等に際し、クラッ
チの過度の滑りを防止する。 【解決手段】 本発明は、所定の信号入力によりクラッ
チ8の自動断続を実行する自動断続手段2,7,78,
79,35,62,64,68,74,72,aを有し
たクラッチ断続装置において、前記クラッチ8の自動接
続時に、エンジン回転数Neとクラッチ回転数Ncとの
回転差ΔNの変化率α+ ,α- に基づき前記クラッチ8
の接続速度を変更する接続速度変更手段72を設けたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクラッチ断続装置に
係り、特に車両のクラッチの自動化を図り得るクラッチ
断続装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は以前、クラッチペダル操作に
よりクラッチのマニュアル断続を実行するマニュアル断
続手段と、倍力装置への空圧の給排制御によりクラッチ
の自動断続を実行する自動断続手段とを有したクラッチ
断続装置(所謂セミオートクラッチシステム)を種々提
案した。これらの特徴としては、クラッチの自動断続と
同期してマスタシリンダに対し空圧の給排制御を行い、
マスタシリンダを空圧で駆動させることにより、自動断
続中の油圧通路内の負圧発生を防止する点にある。
【0003】このうち、特願平7-337023号で提案したも
のにおいては、空圧の給排制御に二つの電磁弁を用い、
これら電磁弁を適当なON/OFFの組合せで切替えることに
より、二種類の排気速度を選べ、二種類のクラッチ接続
速度(つなぎ速度)を選べるようにしている。こうし
て、クラッチの自動接続に際し、クラッチの断位置から
半クラッチ位置まではつなぎ速度を早め(急接)、半ク
ラッチ位置ではつなぎ速度を緩慢とし(緩接)、クラッ
チが完全につながってからは再びつなぎ速度を早める
(急接)といったような、実際のマニュアル接続に近い
制御が可能となる。
【0004】一方、特願平8-350913号で提案したものに
おいては、二つの電磁弁のON/OFFの組合せを4通り全て
使いきることで三種類の接続速度の選択を可能としてい
る。こうすると、電磁弁の増加を伴わず、一種類の急接
速度に加え、特に二種類の緩接速度を選べるようにな
る。一般に、半クラッチ領域におけるクラッチ緩接に際
しては、つなぎ速度が早過ぎるとクラッチ接続ショック
が増大し、つなぎ速度が遅過ぎるとクラッチに過度の滑
りが生じるという背反した問題がある。この装置では、
二種類の緩接速度を選択可能とすることにより上記問題
を一挙に解決している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この装置で
は、通常の中速に加え低速の緩接速度が選択できるの
で、例えば4速から3速、3速から2速へのシフトダウ
ンを伴うエンジンブレーキ時や、クラッチに付加される
トルクが小さいときなど、中速接でクラッチ接続ショッ
クを消失しきれなかった状況下においても、低速接を選
択し、クラッチ接続ショックの低減及びクラッチ滑りの
抑制が可能となる。
【0006】しかし、例えば4速から3速、3速から2
速へシフトダウンし再加速する場合等、特殊な運転状況
下でも低速接が選択される場合があり、このような場合
において、クラッチ滑りに対し何らかの対策を講ずる必
要がある。
【0007】また、2速から3速、3速から4速へシフ
トアップし加速する場合でも、低速接が選択される場合
があり、このような場合においてもクラッチ滑りに対し
何らかの対策を講ずる必要がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、所定の信号入
力によりクラッチの自動断続を実行する自動断続手段を
有したクラッチ断続装置において、前記クラッチの自動
接続時に、エンジン回転数とクラッチ回転数との回転差
の変化率に基づき前記クラッチの接続速度を変更する接
続速度変更手段を設けたものである。
【0009】これにおいては、エンジン回転数とクラッ
チ回転数との回転差の変化率、即ちその回転差の経時的
な変化度合いに基づき、クラッチの滑り具合を間接的に
検知し、クラッチの接続速度を変更する。特に、クラッ
チ接続中にも拘らず、その回転差が次第に増加するか又
は減少していかないようであれば、クラッチが過剰に滑
っているものと判断し、クラッチの接続速度を急接側に
変更すればよい。こうすることでクラッチがより高速で
つながれ、クラッチの滑りを抑制できるようになる。
【0010】なお、前記変化率が増加率であり、前記接
続速度変更手段が、前記増加率が所定値以上になったと
きに前記接続速度を急接側に変更するのが好ましい。ま
た、前記変化率が減少率であり、前記接続速度変更手段
が、前記減少率が所定値以下になったときに前記接続速
度を急接側に変更するのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の好適な実施の形態を
添付図面に基づいて詳述する。
【0012】図1は、本発明に係るクラッチ断続装置を
示す全体構成図で、クラッチ断続装置1は空圧を供給す
るための空圧供給手段2を有する。空圧供給手段2は、
エンジン(図示せず)に駆動されて空圧(空気圧)を発
生するコンプレッサ3と、コンプレッサ3からの空気を
乾燥させるエアドライヤ4と、エアドライヤ4から送ら
れてきた空気を貯留するエアタンク5と、エアタンク5
の入口側に設けられた逆止弁6とから主に構成される。
この空圧供給手段2からの空圧は倍力装置(クラッチブ
ースタ)7に送られ、倍力装置7はその空圧の供給によ
り摩擦クラッチ8を分断側(右側)Aに操作するように
なっている。また倍力装置7は、詳しくは後述するが、
マスタシリンダ10から油圧も供給されるようになって
いる。
【0013】図2は倍力装置7の詳細を示す縦断面図で
ある。なおこの倍力装置7は従来同様に構成される。図
示するように、倍力装置7は、そのボディ11に接続さ
れたシリンダシェル12を有し、このシリンダシェル1
2内にピストンプレート(パワーピストン、倍力ピスト
ン)13が、リターンスプリング14により空圧導入側
(図中左側)に付勢されて設けられている。シリンダシ
ェル12の一端には空圧ニップル15が取り付けられ、
この空圧ニップル15が空圧導入口を形成してエアタン
ク5からの空圧を空圧配管35(図1)から導入する。
空圧が導入されるとピストンプレート13が右側に押動
され、こうなるとピストンプレート13はピストンロッ
ド16、ハイドロリックピストン17、さらにはプッシ
ュロッド18を押動してクラッチレバー8a(図1)を
分断側Aに押し、クラッチ8を分断する。
【0014】一方、ボディ11内部には油圧路20が形
成され、油圧路20の油圧導入口は油圧ニップル19に
よって形成されている。油圧ニップル19には油圧配管
54の一端が接続される。油圧路20は、ボディフラン
ジ部11aの一端(下端)側に形成された孔21、ハイ
ドロリックピストン17を収容するハイドロリックシリ
ンダ(油圧シリンダ)22(ボディシリンダ部11bに
形成される)、及びハイドロリックシリンダ22に小孔
23aを介して連通する他端(上端)側の制御孔23に
よって主に形成される。油圧ニップル19から油圧が導
入されると、その油圧は上記通路を通って制御孔23に
到達し、制御ピストン24を制御シリンダ25に沿って
右側に押動する。このようにボディフランジ部11aの
上端側には、詳しくは後述するが、倍力装置7への空圧
供給を制御するための制御バルブ部7a(油圧作動弁)
が形成される。
【0015】制御バルブ部7aは右側に突出する制御ボ
ディ部26によって区画される。制御ボディ部26に
は、前述の制御シリンダ25に同軸に連通するコントロ
ール室27及び空圧ポート28が形成される。コントロ
ール室27には制御ピストン24のコントロール部29
が、空圧ポート28にはポペットバルブ30がそれぞれ
摺動可能に収容される。空圧ポート28にはニップル3
1が取り付けられ、このニップル31には空圧配管67
(図1)が接続されて空圧が常に供給されている。
【0016】通常、ポペットバルブ30は、空圧とポペ
ットスプリング32とにより左側に付勢されていて、コ
ントロール室27及び空圧ポート28を連通する連通ポ
ート33を閉じている。よってニップル31からの空圧
はポペットバルブ30の位置で遮断される。しかしなが
ら、油圧配管54から油圧が供給されると、制御ピスト
ン24のコントロール部29がポペットバルブ30を右
側に押動して連通ポート33を開く。こうなると、連通
ポート33からコントロール室27に侵入した空圧は、
詳しくは後述するが、コントロール室27に連通する空
圧配管34,35(図1)を通じて前述のシリンダシェ
ル12に入り、ピストンプレート13の左側の空圧作用
面13aに作用してこれを右側に押動し、クラッチ8を
分断側に操作する。
【0017】ここで、倍力装置7は、供給された油圧の
大きさに応じてクラッチ8を所定ストロークだけ操作す
ることができる。即ち、例えば比較的小さい値だけ油圧
が増加された場合、前述の空圧作用によりピストンプレ
ート13が右側に押動され、これに連動してハイドロリ
ックピストン17が所定ストロークだけ右側に押動され
る。すると、油圧路20の容積が増し制御孔23内の油
圧が下がり、こうなると、制御ピストン24のコントロ
ール部29がポペットバルブ30を押し付けつつ、ポペ
ットバルブ30が連通ポート33を閉鎖するバランス状
態が生じ、これによりコントロール室27、空圧配管3
4,35、及びピストンプレート13の空圧作用面13
a側となる空圧導入室12bにて所定の空圧が保持さ
れ、ピストンプレート13を所定ストローク位置に保持
し、クラッチ8を所定の半クラッチ位置に保持する。
【0018】また、油圧が完全に抜かれると、制御孔2
3内の油圧がさらに下がって、図示の如く制御ピストン
24が最も左側の原位置に戻される。こうなると、コン
トロール部29がポペットバルブ30から離れ、コント
ロール部29の内部に設けられた開放ポート36がコン
トロール室27等と連通するようになる。すると、保持
されていた空圧は、一部が開放ポート36から大気圧ポ
ート39を通じ空圧導入室12bと反対側の大気室12
aに導入され、これによりピストンプレート13を右側
に押していた空圧が、今度はリターンスプリング14と
協同してそれを反対側の左側に押し、クラッチ8を接続
側(左側)Bに操作する。そして残りの空圧は、ブリー
ザ37を通じ大気開放される。
【0019】特にブリーザ37には、排気のみ可能なチ
ェック弁が内蔵されている為、クラッチ接続時、大気室
12aが負圧となり、クラッチ8の接続不良が生じてし
まう。これを防止するため、空圧の一部を大気室12a
に導き、残りをブリーザ37より排出する必要が有る。
【0020】なお、倍力装置7において、38はシリン
ダ室12aとハイドロリックシリンダ22とを油密に仕
切るシール部材、40は大気圧ポート、41は緩められ
たときに作動油のエア抜きを行えるブリーダである。
【0021】このように、制御バルブ部7aは、クラッ
チペダル9の操作と連動するマスタシリンダ10からの
信号油圧に基づき、倍力装置7への空圧の供給・排出を
制御し、クラッチ8のマニュアル断続を実行する。
【0022】図3はマスタシリンダ10の詳細を示す縦
断面図である。図示するように、マスタシリンダ10
は、長手方向に延出されたシリンダボディ45を有す
る。シリンダボディ45はその内部に所定径のシリンダ
ボア46を有し、シリンダボア46には特に二つのピス
トン47,48が独立して摺動可能に装入される。シリ
ンダボア46の一端(左端)開口部には、クラッチペダ
ル9の踏み込み或いは戻し操作に合わせて挿抜するプッ
シュロッド49の先端部が挿入され、さらにその開口部
はダストブーツ50で閉止される。シリンダボア46内
の他端側(右側)には、第1及び第2ピストン47,4
8をピストンカップ51を介して一端側に付勢するリタ
ーンスプリング52が設けられる。シリンダボア46の
他端は、シリンダボディ45に形成された油圧供給ポー
ト53に連通され、この油圧供給ポート53には図1に
示す油圧配管54が接続される。53aはチェックバル
ブである。
【0023】図示状態にあっては、クラッチペダル9の
踏み込みがなされておらず第1及び第2ピストン47,
48は一端側の原位置に位置されている。特にこのとき
のピストン47,48間に位置されて、シリンダボディ
45には空圧導入ポート55が設けられている。このマ
スタシリンダ10においては、クラッチペダル9による
マニュアル操作のときは両方のピストン47,48が押
動されて油圧を供給する。一方、自動操作による場合
は、詳しくは後述するが、空圧導入ポート55から空圧
が供給されて第2ピストン48のみが適宜押動されるよ
うになっている。なおこのとき第1ピストン47の移動
はスナップリング56によって規制される。またこのと
き、第1ピストン47が移動しないのでクラッチペダル
9は移動しない。57は、作動油のリザーバタンク58
(図1)からの給油配管59に接続する給油ニップル、
60及び61は、ピストンカップ51の右側及び第2ピ
ストン48の位置にそれぞれ給油を行う小径及び大径ポ
ートを示す。
【0024】図1に示すように、エアタンク5からは空
圧配管62が延出され、この空圧配管62の分岐63か
らは空圧配管67が分岐され、この空圧配管67は倍力
装置7のニップル31に接続される。一方、空圧配管6
2はシャトル弁69に接続され、特にその途中には2ウ
ェイ式の二つの三方電磁弁78,79(第1及び第2の
三方電磁弁)が上流側と下流側とに直列に設けられてい
る。ここで空圧配管62は、エアタンク5及び上流側三
方電磁弁78を結ぶ上流部62aと、三方電磁弁78,
79間を結ぶ中間部62bと、下流側三方電磁弁79及
びシャトル弁69を結ぶ下流部62cとに分けられる。
上流側三方電磁弁78の排気側には空圧配管64が接続
され、中間部62bには空圧配管74(第1の空圧排出
路)が接続され、下流側三方電磁弁79の排気側には空
圧配管68(第2の空圧排出路)が接続されている。
【0025】三方電磁弁78,79は、コンピュータ内
蔵の制御装置(コントローラ)72からのON/OFF信号
(制御信号)に基づいて切替制御される。上流側の三方
電磁弁78は、ONのときには上流部62aと中間部62
bとを接続して空圧配管64を閉とし、OFF のときには
中間部62bと空圧配管64とを接続して上流部62a
を閉とする。また下流側の三方電磁弁79は、ONのとき
には中間部62bと下流部62cとを接続して空圧配管
68を閉とし、OFF のときには下流部62cと空圧配管
68とを接続して中間部62bを閉とする。
【0026】シャトル弁(ダブルチェックバルブ)69
は機械式三方弁であって、空圧配管62又は34の一方
のみを互いの空圧差に基づき空圧配管35に接続する。
【0027】一方、三方電磁弁79から延出する空圧配
管68は先述の倍力装置7のブリーザ37に接続され
る。そしてこの空圧配管68の途中には、中間部62b
から延出する空圧配管74の末端が接続されている。さ
らに空圧配管68にあってその接続部の下流側(ブリー
ザ37側)には、三方電磁弁78から延出する空圧配管
64の末端が接続されている。
【0028】空圧配管74には、その流路を絞るための
絞り部66(第1の絞り)と、空圧の移動方向を一方向
に規制するためのチェック弁75とが直列に設けられて
いる。絞り部66は中間部62b側に設けられ、チェッ
ク弁75は空圧配管68側に設けられている。ここで詳
しくは後述するが、クラッチ自動接続に伴う空圧排出に
際し、排気は空圧配管68側から中間部62b側に向か
って行われ、従ってその排気流れ方向に対し絞り部66
は下流側に、チェック弁75は上流側に位置されること
となる。さらにチェック弁75は、空圧配管68側から
中間部62b側への空圧ないし空気の移動のみを許容
し、逆方向の移動を規制ないし禁止している。
【0029】また、空圧配管68において、各空圧配管
74,64の接続部の間の位置には別の絞り部76(第
2の絞り)が設けられている。この絞り部76は、先の
絞り部22よりも絞り量が大きく、流路面積をより縮小
するものとなっている。ここで詳しくは後述するが、ク
ラッチ自動接続に伴う空圧排出に際し、排気は三方電磁
弁79側からブリーザ37側に向かって行われ、従って
その排気流れ方向に対し、絞り部76は、空圧配管74
の接続部の下流側に位置されることとなる。
【0030】さらに、詳しくは後述するが、エアタンク
5から三方電磁弁78,79、シャトル弁69及び倍力
装置7の空圧ニップル15を順に結ぶ空圧配管62,3
5は、クラッチ8の自動分断操作時に、倍力装置7に空
圧供給を行うための第1の空圧供給路aを形成する。
【0031】またエアタンク5から分岐63、制御バル
ブ部7a、シャトル弁69、及び倍力装置7の空圧ニッ
プル15までを順に結ぶ空圧配管62,67,34,3
5は、クラッチ8のマニュアル分断操作時に、倍力装置
7に空圧供給を行うための第2の空圧供給路bを形成す
る。
【0032】特に、空圧配管62の中間部62bには空
圧配管70が接続され、この空圧配管70は、クラッチ
8の自動分断操作時に、マスタシリンダ10に空圧供給
を行うための第3の空圧供給路cを形成する。
【0033】空圧配管70は、マスタシリンダ10の空
圧導入ポート55に接続されて第2ピストン48の背面
側に空圧を供給する。この配管70の途中には三方電磁
弁80(第3の三方電磁弁)が設けられ、三方電磁弁8
0はマスタシリンダ10への空圧の給排を制御する。三
方電磁弁80の排気側には空圧配管73が接続され、空
圧配管73の末端は空圧配管62の下流部62cに接続
されている。そして空圧配管73の途中にはチェック弁
43が設けられ、チェック弁43は、三方電磁弁80側
から下流部62c側への空圧の移動のみを許容し、逆方
向の移動を規制ないし禁止する。そして内部のスプリン
グの作用により、三方電磁弁80側の空圧が、下流部6
2c側の空圧より大きいときのみ空圧の移動を許容す
る。
【0034】三方電磁弁80はコントローラ72により
ON/OFF制御され、ONのときには空圧配管70の上流側
(エアタンク5側)と下流側(マスタシリンダ10側)
とを接続ないし連通し、空圧配管73を閉とする。また
OFF のときには、空圧配管70の下流側と空圧配管73
とを接続し、空圧配管70の上流側を閉とする。これに
より、ONのときにはマスタシリンダ10への空圧供給を
許容し、OFF のときにはマスタシリンダ10から空圧を
排出させて、それを空圧配管73を通じて空圧配管62
に送出させる。このように空圧配管70の下流側と空圧
配管73とはマスタシリンダ用の空圧排出路を構成して
いる。
【0035】かかるクラッチ断続装置1は、これとは別
に設けられた変速機71と連動されるようになってい
る。変速機71は自動変速を行う構成がなされており、
即ち、手動シフトレバーで変速ポジションが選択される
と、電気スイッチによる変速信号がコントローラ72に
送られ、図示しないアクチュエータが動作されて、運転
手の操作に代わって実質的な変速操作を行うようになっ
ている。
【0036】また、コントローラ72には、アクセルペ
ダル75に設けられたストロークセンサ82及びアイド
ルスイッチ83、変速機71のシフトレバー付近に設け
られた非常スイッチ84、変速機71の出力軸付近に設
けられた車速センサ85、エアタンク5に設けられた圧
力スイッチ86、クラッチペダル9に設けられたペダル
スイッチ87及びクラッチペダルストロークセンサ8
9、及びクラッチ8に設けられたクラッチストロークセ
ンサ88等が接続される。
【0037】次に、上記装置の動作説明を行う。なお図
4には、各クラッチモードにおける各電磁弁78,7
9,80の通電パターン(ON/OFFパターン)が示されて
いるので適宜参照されたい。これにおいて、通常時とは
マニュアル操作時のことであり、このときは全ての電磁
弁78,79,80がOFF とされる。
【0038】先ず、クラッチ8のマニュアル分断操作は
以下のようにして行われる。クラッチペダル9を踏み込
むと、マスタシリンダ10からは油圧が供給され、この
油圧は、前述したように、制御バルブ部7aを作動させ
て空圧配管67及び34を接続ないし連通させる。こう
なると、配管34の空圧はシャトル弁69を切り替えて
配管35に至り、倍力装置7の空圧導入室12bに移動
する。そして、ピストンプレート13を押動し、クラッ
チ8を分断させる。このときクラッチ8はクラッチペダ
ル9の操作に応じて適宜量だけ分断することができる。
このときコントローラ72は、ペダルスイッチ87から
の信号入力(ON信号)によりマニュアル操作であること
を判断して、三方電磁弁78,79,80をいずれもOF
F のままとする。
【0039】他方、クラッチ8のマニュアル接続操作
時、クラッチペダル9の戻し操作により油圧が抜かれる
と、前述の制御バルブ部7aの作動により空圧配管34
と大気圧ポート39とが連通されるようになる。こうな
れば、空圧導入室12bの空圧が、配管35,34を経
由して大気室12aに導入され、これによりクラッチ8
の接続が達成される。この接続の間もコントローラ72
は、ペダルスイッチ87がONのままなので、三方電磁弁
78,79,80をいずれもOFF のままとする。
【0040】ここで分かるように、制御バルブ部7a
は、マスタシリンダ10からの油圧信号(パイロット油
圧)を受けて、空圧配管34を空圧配管67或いは大気
圧ポート39のいずれか一方に連通させる三方弁の如く
機能する。また空圧供給手段2、第2の空圧供給路b、
倍力装置7、制御バルブ部7a、マスタシリンダ10及
び油圧通路54,20が、クラッチペダル操作によりク
ラッチのマニュアル断続を実行するマニュアル断続手段
を構成する。
【0041】次に、クラッチ8の自動断続操作について
説明する。先ず最初に、その内容を、自動変速の概要に
含めて簡単に説明する。
【0042】運転手がシフト操作を行うと、変速信号が
コントローラ72に入力され、これに伴ってコントロー
ラ72は三方電磁弁78,80をON、続けて三方電磁弁
79をONとする。こうなると、第1の空圧供給路aを通
じて、倍力装置7の空圧導入室12bには比較的速い速
度で(短時間で)空圧が供給され、これによりクラッチ
8は即座に分断操作される(クラッチ急断)。この後、
図示しないアクチュエータにより変速機71の変速操作
を完了し、例えば三方電磁弁78,80をOFF、電磁切
替弁79をONのままとして、空圧導入室12bの空圧を
一部は大気室12aに導入し、残りはブリーザ37から
排出して比較的速い速度でクラッチ8の接続操作を行い
(クラッチ高速接或いは急接)、変速を完了する。
【0043】このように、後にも詳述するが、空圧供給
手段2、第1の空圧供給路a、倍力装置7、三方電磁弁
78,79、空圧排出路(空圧配管35,62,64,
68,74)及び制御装置72が、所定の信号入力によ
りクラッチ8の自動断続を実行する自動断続手段を構成
している。
【0044】ところで、図2を参照して、特にクラッチ
8の自動分断操作時、ハイドロリックピストン17が右
側に移動することで、作動油が充填されているハイドロ
リックシリンダ22の容積が増し、これにより油圧路2
0及び油圧配管54内等(合わせて油圧通路内という)
に負圧が生じて、作動油に気泡が混入する虞がある。
【0045】そこで本装置1では、クラッチ8の自動分
断操作時に、三方電磁弁78,80をONとして、空圧配
管62,70を通じてマスタシリンダ10に空圧を供給
し、第2ピストン48を適宜押動することで油圧通路内
を適当に加圧するようにしている。こうすると、油圧通
路内の負圧化を未然に防止することができる。なおこの
ときには、特願平8-14536 号と異なりチェック弁を通過
しないので、上流側と下流側とで圧力差が生じることが
なく、十分な高圧を即座にマスタシリンダ10に供給で
き、これにより油圧発生の遅れや油圧量不足を防止する
ことができる。
【0046】特に、本装置1では、空圧配管62の三方
電磁弁78,79間の位置に空圧配管70を接続したの
で、マスタシリンダ10への空圧供給よりも倍力装置7
への空圧供給を遅らせることができる。即ち、クラッチ
8の自動分断操作時に、先ず三方電磁弁78,80をON
とし、所定の時間差(例えば50ms)をもって三方電磁弁
79をONとすれば、マスタシリンダ10から十分な油圧
が発生した後(つまり予圧を行った後)、倍力装置7の
作動(ピストンプレート13の移動)を開始することが
できる。これによってマスタシリンダ10による油圧発
生を早め、油圧通路内の負圧化の完全防止が図れるよう
になる。なお、極低温時(例えば−20℃以下)には油圧
発生が遅れる傾向にあるので、このときにかかる構成は
大変有利となる。
【0047】一方、クラッチ8の自動接続操作時、かか
る装置では三方電磁弁78,79のON/OFFの組み合わせ
により、特に三種類のクラッチ接続速度を選べるように
なっている。
【0048】即ち、前述の例のように三方電磁弁78が
OFF 、三方電磁弁79がONである場合、倍力装置7の空
圧導入室12bの空圧は空圧配管35、シャトル弁6
9、下流部62c、三方電磁弁79、中間部62b、三
方電磁弁78、空圧配管64、空圧配管68、ブリーザ
37という経路で順次移動する。この経路には途中に絞
り部がないので移動は速やかに行われ、中間部62bか
ら空圧配管74に入った空圧はチェック弁75で移動が
規制される。そして、ブリーザ37に至った空圧はその
殆どが倍力装置7の大気室12aに導入されるようにな
る。これによって倍力装置7のピストンプレート13
は、リターンスプリング14及びクラッチ8のリターン
スプリング(図示せず)の付勢力に加え、空圧の作用で
比較的早い速度で元の位置に復帰し、クラッチ8を比較
的高速で接続操作するようになる(クラッチ高速接)。
そして余剰分の空圧がブリーザ37から大気開放される
こととなる。
【0049】また、いずれの三方電磁弁78,79もOF
F である場合、倍力装置7から排出された空圧は空圧配
管35、シャトル弁69、下流部62c、三方電磁弁7
9、空圧配管68、空圧配管74、中間部62b、三方
電磁弁78、空圧配管64、空圧配管68、ブリーザ3
7という経路で主に移動することになる。ここで空圧配
管74中では空気がチェック弁75を押し開き、その後
絞り部66を通過するようになる。このとき絞り部66
の絞り量が比較的小さい(流路面積大)ので、空気は若
干減速されるに止どまる。また空圧配管68中の空気
は、その一部が空圧配管74に分岐せずそのまま絞り部
76に至るが、その絞り量が比較的大きい(流路面積
小)ので、その絞り部76での通過速度は先の絞り部6
6でのそれより小さい低速となる。こうして、絞り部7
6を通過した空気は空圧配管64を流れてきた空気と合
流し、結果的に空圧の排出速度は、絞り76,66の流
路面積を足した流路面積を持つ絞りを通過する時の速度
にほぼ等しくなる。そして、ブリーザ37には中速で空
圧が移動されてピストンプレート13の復帰速度、クラ
ッチ8の接続速度も中速となる(クラッチ中速接)。
【0050】さらに、三方電磁弁78がON、三方電磁弁
79がOFF の場合、倍力装置7から排出された空圧は空
圧配管35、シャトル弁69、下流部62c、三方電磁
弁79、空圧配管68、ブリーザ37という経路で移動
することになる。ここで空圧配管68から空圧配管74
に分岐する流れがあるものの、その流れの移動は次の理
由によりチェック弁75で規制されることとなる。即
ち、三方電磁弁78がONであるため、エアタンク5の空
圧が上流部62a、三方電磁弁78、中間部62b、空
圧配管74という経路で移動される。そしてその空圧が
チェック弁75を閉状態に保持し、これにより先の逆流
方向の流れが移動を禁止される。一方、空圧配管68に
は絞り量の大きい絞り部76があるため、その配管68
中の流れは絞り部76で大きく減速されてブリーザ37
に至るようになる。結局、空圧の排出速度は絞り部76
で決定され、ブリーザ37には低速で空圧が移動されて
ピストンプレート13の復帰速度、クラッチ8の接続速
度も低速となる(クラッチ低速接)。
【0051】こうして、二つの三方電磁弁78,79に
より三種類のクラッチ接続速度を選べるようになり、特
に中速、低速といった二種類の緩接速度を選べ、制御の
自由度を増すことが可能になる。これによってあらゆる
走行モードで最適な接続速度切替えを行え、クラッチ接
続ショックを低減できると共に、クラッチ摩耗等の経時
変化にも対応可能となり、チューニングも容易となる。
【0052】また、これを従来と同数の二つの電磁弁で
達成しているため、電磁弁数の増加によるコストアップ
も免れることができる。ここで二つの電磁弁のON/OFFの
組み合わせは2×2=4通りであり、特願平7-337023号
はそのうち3通りしか使っていなかったが、本装置1は
その全てを使いきっており、これにより上記効果を達成
している。そして電磁弁数が変わらないことから、コン
トローラ72の出力ポートや電磁弁の設置スペースを新
たに設ける必要がなく、故障モードの増加も防止でき信
頼性を維持できる。さらに空圧配管、絞り及びチェック
弁を追加するといった空圧回路の変更だけなので、変更
に伴うコストアップは僅かで済み、スペースの増大も招
かない。
【0053】ところで、クラッチ8の自動接続時、空圧
配管62の中間部62bから空圧配管70内に流入して
いくような空気の流れは実質的にない。なぜなら、上記
の如き電磁弁78,79の切替えと同時に三方電磁弁8
0がOFF とされるからである。
【0054】即ち、三方電磁弁80がOFF とされると、
マスタシリンダ10に向かう空圧の移動は禁止され、同
時にマスタシリンダ10からは空圧が排出されるように
なる。そしてその空圧は、空圧配管73を通じてチェッ
ク弁43を経た後、空圧配管62の下流部62c内にて
倍力装置7からの排出空圧と合流されるようになる。な
おこの合流後は、先の空圧排出ルートと同様のルートを
たどることになる。
【0055】このようにすると、マスタシリンダ10か
ら排出された空圧(マスタシリンダ排圧)を、倍力装置
7から排出された空圧(倍力装置排圧)と同等の圧力と
することができ、つまりそれら排圧を同調させ、互いの
空気の排出速度合わせを自ずと行うことができる。特
に、チェック弁43によって、マスタシリンダ排圧を倍
力装置排圧より常に高い値に保持でき、マスタシリンダ
10側の排出速度を倍力装置7側の排出速度より常に遅
らせることができる。これによって、排出速度合わせの
ために特別な調整等を何等行うことなく、マスタシリン
ダ10の第2ピストン48をクラッチ接続中常に加圧状
態にできて、油圧通路内の負圧化を完全に防止できるよ
うになる。
【0056】一方、かかる構成においては、二つの三方
電磁弁78,79を空圧配管62に直列に設けた点にも
特徴がある。即ち、例えば仮に上流側の三方電磁弁78
がショート等のトラブルでONになり続けたとする。この
場合、下流側の三方電磁弁79をOFF とすれば、上流側
の三方電磁弁78からの空圧を遮断すると共に、倍力装
置7から空圧を排出でき、これによってクラッチ8を自
動接続できるようになり、この後マニュアル操作による
クラッチ断続を行えるようになる。
【0057】また、こんどは仮に下流側の三方電磁弁7
9がショート等のトラブルでONになり続けたとする。こ
の場合も同様に、上流側の三方電磁弁78をOFF とすれ
ば、その位置でエアタンク5からの空圧を遮断すると共
に、倍力装置7からの空圧を配管64,68を通じて排
出し、クラッチ8を自動接続できるようになる。この後
はマニュアル操作によるクラッチ断続が可能となる。な
お、これら倍力装置7の排気と同期して三方電磁弁80
もOFF とし、マスタシリンダ側の排気を実行する必要が
ある。
【0058】このように、三方電磁弁78,79を直列
に設けると、一方にトラブルが生じた場合でも他方で空
圧供給制御を中止し、排気を行ってクラッチ8を接続状
態に移行させることができる。これによってマニュアル
操作によるクラッチ断続が可能となり、確実なフェール
セーフが達成されると共に、走行も可能となり、装置の
信頼性が確実に向上される。特に、両者をいずれも三方
電磁弁としたので、二方電磁弁を採用した場合に比べ排
気通路(空圧配管64又は68)の切替えを行える点で
有利であり、これにより電磁弁数をいたずらに増すこと
なく、二つの電磁弁で前述のフェールセーフ、排気速度
(クラッチ接続速度)切替え、さらにはマスタシリンダ
10の空圧給排制御をいずれも賄えるようになる。そし
てコスト的にも大変有利となる。なお、三方電磁弁80
がONとなり続けたときは上流側の三方電磁弁78をOFF
にしてやればよい。
【0059】なお、かかる変形例としては様々なものが
考えられるが、例えば、絞り部66とチェック弁75と
の配置を逆にすることができるし、絞り76を完全にふ
さぐことにより、クラッチの低速接の代りにクラッチ断
保持とする事も出来る。
【0060】次に、本装置の主たる特徴について詳述す
る。
【0061】図5は、本装置におけるクラッチ自動断続
に際しての動作内容を説明するためのタイムチャートで
ある。ここでは特にクラッチ8の接続が、高速接、低速
接、中速接、高速接の順で行われている。クラッチ8の
断保持から最初の高速接への切り替えは、変速機71か
ら送られてくる変速終了時の信号に基づいて開始され
る。ここでは変速が、低速ギヤ側でのシフトアップ(例
えば2速から3速、3速から4速)であるため、高速接
の次に低速接が選択されている訳である。なお高速段で
のシフトアップ等の場合は高速接の次に中速接が選択さ
れ、その動作内容は図7に示す通りなので適宜参照され
たい。クラッチ8の最初の高速接続中、クラッチストロ
ークセンサ88の出力値が、所定の半クラッチ領域の開
始値まで到達したならば、コントローラ72は三方電磁
弁78,79を切り替え、これによりクラッチ接続モー
ドを高速接から低速接へと変更する。なお半クラッチ領
域の開始値は、コントローラ72がその自身の学習機能
により予めRAM に記憶している。図中のM/V1,M/V2,M/
V3はそれぞれ三方電磁弁78,79,80を意味し、ク
ラッチ断信号は、シフトレバー操作に基づく変速開始信
号がこれに相当する。
【0062】特にここでは、シフトアップと同時に急激
にアクセルが踏み込まれる場合等、クラッチが滑り易い
状況を想定しており、このような場合でも、本装置は以
下のようにしてクラッチ滑りを防止している。
【0063】図6は、図5の一点鎖線で囲まれた領域Z
の内容を示す詳細図である。図示するように、図6に実
線で描かれたエンジン回転数とクラッチ回転数とは、コ
ントローラ72にデジタル信号の形で計測周期ΔT毎に
常時入力されている。ここでエンジン回転数検出手段は
エンジンに付設されるクランク角センサであり、クラッ
チ回転数検出手段は変速機71のインプットシャフトに
付設される回転数センサである。なおクラッチ回転数検
出手段は、変速機71のアウトプットシャフトの回転数
又はプロペラシャフトの回転数を検出するセンサ(車速
センサ85を使用可)と、この検出値にギヤ比を乗じて
クラッチ回転数を算出するコントローラ72とで構成し
てもよい。またクラッチ回転数検出手段は、クラッチに
付設されてそのアウトプットシャフトの回転数を直接検
知するセンサであってもよい。
【0064】これら回転数表示の下の数字は、各計測周
期ΔT毎のエンジン回転数Neとクラッチ回転数Ncと
の差ΔN=Ne−Ncの具体値であり、さらにその下の
アルファベット記号は、それぞれの具体値に対応した識
別記号である。また回転差を表す数字に付記した括弧内
の数字は、その計測周期における回転差と、4計測周期
前の回転差との差である。具体的に示せば、図中におけ
る最初の回転差はA=40(rpm) であり、その4計測周期
後の回転差はE=35(rpm) であり、これらの差はE−A
=-5(rpm) である。
【0065】さて、ここでは、図5から分かるように、
低速接から中速接に移行するときの各値が示され、その
移行は、回転差ΔNがN=30(rpm) となる計測周期で開
始されている。即ち、低速接の最中、回転差ΔNはクラ
ッチ8の接続が進むにつれ減少する傾向にあるが(A,
B,C…の値参照)、例えばアクセルペダル75が加速
のため踏み込まれている場合には、クラッチ8が滑って
回転差ΔNがなかなか減少していかなかったり、或いは
増大していってしまう。
【0066】本装置ではこれを防止するため、その回転
差ΔNの変化率を見ることにより、クラッチ8の滑り具
合を間接的に判断し、必要に応じてクラッチ接続速度を
変更するようにしている。即ち、ここでは回転差ΔNの
変化率を、4計測周期間での回転差ΔNの差である増大
率α+ =ΔNn −ΔNn-4 で定義し、この演算を各計測
周期毎にコントローラ72で行うようにしている。ここ
でΔNn は任意の計測周期における回転差ΔNの値、Δ
n-4 はその計測周期から4計測周期前における回転差
ΔNの値である。図6に示された括弧内の値はまさにこ
の増大率α+ を示すものであり、この値は図示するよう
に、回転差ΔNがN=30(rpm) となったとき、負の値か
ら正の値に転じている。(α+ =N−J=30−29=1(rp
m)) 回転差ΔNがN=30(rpm) となる以前、増大率α+ は負
の値をとりながら次第に+側に増大している。これは回
転差ΔNの減少度合いが鈍く、回転差ΔNが収束傾向に
あることを意味する。これは即ち、クラッチ8が滑って
繋がりにくい状況であることに他ならない。そして増大
率α+ が正の値をとるということは、クラッチ8が、回
転差ΔNの増大をも許容する程度に滑っている状況であ
ることを意味する。
【0067】一方、コントローラ72は、低速接から中
速接への移行判断を行うための滑り判定しきい値を予め
記憶しており、ここではその滑り判定しきい値をα+1
0(rpm) に設定している。そしてコントローラ72は、
α+ ≧α+1となった時点で、三方電磁弁78,79を切
り替え、クラッチ接続速度を1段階だけ急接側の中速に
変更する。こうしてΔN=Nとなった時点で、クラッチ
接続速度の低速から中速への移行が開始され、これによ
りクラッチ8はより高速でつながれ、その滑りが防止さ
れると共にクラッチ8の信頼耐久性も向上することとな
る。
【0068】また、これでもクラッチ8の滑りが治まら
ない場合は、クラッチ接続速度をさらに1段階急接側に
変更し、高速接に切り替える。このときの滑り判定しき
い値はα+2=5(rpm) である。ここでα+2>α+1である
ことが必要である。その理由は、低速接から中速接に切
り替えた直後ではクラッチ8が直ちに同期しないため、
なおクラッチ8が滑っていると判断し、中速接から高速
接に直ちに切り替わってしまうことがあるからである。
一方、中速接の状態でエンジンとクラッチ8との同期が
得られたならば、つまり回転差ΔNが0付近となったな
らば、高速接に切り替えてクラッチ接続時間の短縮を図
るようにする。
【0069】なお、一旦急接側への切り替えがなされた
後は、たとえクラッチ8の滑りが治まったとしても再び
緩接側への切り替えは行わない。再度滑る可能性がある
からである。そして安全のため、低速、中速といったク
ラッチ緩接の時間は、減算カウンタを用いて一定時間内
に止どめるようにしている。
【0070】上記においては、増大率α+ の単位時間を
4計測周期としている。これは回転差ΔNの変化を見る
のに適当な時間だからである。しかし、4という数字は
一例に過ぎず適宜増減が可能である。また滑り判定しき
い値α+1,α+2の値も適宜増減が可能である。
【0071】一方、回転差ΔNの変化率を増大率α+
はなく減少率α- とする方法もある。このときは減少方
向(マイナス方向)が正となるので、図6に示した括弧
内の値を正負逆にしたものがそのまま減少率α- とな
る。例えばΔN=Nのときの減少率はα- =−1(rpm)
である。またこのときは滑り判定しきい値も上記値とは
正負が逆になる。即ち、低速接から中速接への滑り判定
しきい値α-1=0(rpm)で、中速接から高速接への滑り
判定しきい値α-2=−5(rpm) である。そして、α-
α-1又はα- ≦α-2となったとき、接続速度の急接側へ
の変更を開始する。
【0072】さらに、このような制御方法は、急緩二種
類の接続速度しかもたないクラッチ断続装置にも適用で
きる。即ち、クラッチ緩接中にクラッチの滑りが判断さ
れたならば急接モードに変更すればよい。
【0073】また上記とは逆に、クラッチ8の接続が急
過ぎる場合に、接続速度を緩接側に変更するようなこと
も考えられる。このときは、上記制御と同様の手法を用
い、滑り判定しきい値の如き、急接判定しきい値のよう
なものを設定すればよい。
【0074】このように、上記構成においては、コント
ローラ72とエンジン回転数検出手段とクラッチ回転数
検出手段とが、クラッチ8の自動接続時にエンジン回転
数Neとクラッチ回転数Ncとの回転差ΔNの変化率α
+ ,α- に基づきクラッチの接続速度を変更する接続速
度変更手段を構成する。
【0075】なお、特開平6-109030号公報には、エンジ
ン回転数とクラッチ回転数との回転差が大きいときクラ
ッチを急接し、その回転差が小さいときクラッチを緩接
する技術が開示されている。
【0076】しかしこの場合、回転差の大小のみでクラ
ッチ接続速度の変更の要否を判断するため、回転差が小
で且つクラッチ滑りが生じた場合、クラッチ接続速度が
急接側に変更されず、滑った状態がそのまま維持されて
しまう欠点がある。
【0077】本発明は、回転差の変化率に基づいて変更
の要否を判断するため、回転差の大小によらずクラッチ
接続速度の変更を行え、この点で有利である。
【0078】また、上記公報の制御は、変速中にエンジ
ン制御を行うクラッチ断続装置では有効な場合もある
が、エンジン制御を行わないクラッチ断続装置ではクラ
ッチの接ショックを増大させる傾向にある。例えば、通
常最もゆっくりクラッチを接すべき3速から2速へのシ
フトダウンでは、アクセルオフのとき、シフト後のエン
ジンとクラッチとの回転差が他のギヤ段に比較して最も
大きくなるため、クラッチが急接されてしまう。また同
じ3速から2速へのシフトダウンでも、エンジン回転が
高い状態でシフトダウンを行った方がクラッチの入出力
回転差は大きく、接ショックがでやすい。これは、クラ
ッチを同じ速度でつないだ場合、半クラッチから完接ま
で達する時間は一定であるが、その一定時間内にクラッ
チが吸収するエネルギはクラッチの入出力回転差が大き
いほど大きくなるからである。従って、接ショックを一
定にするには、クラッチの入出力回転差が大きいほど、
クラッチをゆっくり接する必要がある。これに対し、上
記公報では、回転差が大きいほどクラッチを急接するた
め、より接ショックを大きくしてしまう欠点もある。
【0079】本発明の場合、前述の如く、クラッチのつ
なぎはじめで低速接となっているのでクラッチ接ショッ
クは小さい。しかも途中でクラッチ滑りを判断して急接
側へと接続速度を変更するため、クラッチ滑りも防止さ
れる。逆にいえば、途中で接続速度を早められるからこ
そつなぎはじめを緩接できるのである。この点で本発明
は有利である。
【0080】また、本発明のような滑り防止手段を持た
ない一般的なクラッチ断続装置は、クラッチの接ショッ
クとクラッチの滑り防止も両立させるために、エンジン
回転数、クラッチ回転数、アクセル開度などをパラメー
タに持つ詳細なクラッチ接続速度切替用マップを作らね
ばならないため、チューニングに時間を要する。このチ
ューニングは、当然、エンジン、クラッチ、車重、ギヤ
比が変化すればやり直さなければならないため、詳細な
クラッチ接続速度切替用マップを必要とし、これは車型
展開上も不利となる。
【0081】これに対し、本制御では、クラッチ接続速
度変更用しきい値をやや敏感にしておけば、マップを緩
接側に振ったラフなマップとしても(全て緩接としてマ
ップをなくしてもよい)クラッチが滑ることはないた
め、クラッチの接ショックと滑りを容易に両立させら
れ、この点でも有利である。
【0082】以上の構成にかかる本発明は上記実施の形
態に限定されるものではない。例えば、本発明は、マニ
ュアル断続手段を有さない完全なオートクラッチシステ
ムにも適用可能である。
【0083】
【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を発揮す
る。
【0084】(1) シフトダウンを伴う再加速等に際し、
クラッチの過度の滑りを防止でき、クラッチの耐久性を
向上できる。
【0085】(2) 従来使われてきたクラッチ接続速度変
更用マップを簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチ断続装置を示す全体構成
図である。
【図2】倍力装置を示す縦断面図である。
【図3】マスタシリンダを示す縦断面図である。
【図4】各クラッチモードに対する各三方電磁弁の通電
パターンを示す表である。
【図5】本装置の動作内容を説明するためのタイムチャ
ートである。
【図6】図5の領域Zの内容を示す詳細図である。
【図7】本装置の動作内容を参考的に示すタイムチャー
トである。
【符号の説明】
1 クラッチ断続装置 2 空圧供給手段 7 倍力装置 8 クラッチ 35,62,64,68,74 空圧配管 72 コントローラ 78,79 三方電磁弁 Ne エンジン回転数 Nc クラッチ回転数 a 第1の空圧供給路 ΔN 回転差 α+ 増大率 α- 減少率
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩男 信幸 神奈川県藤沢市土棚8番地 株式会社い すゞ中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の信号入力によりクラッチの自動断
    続を実行する自動断続手段を有したクラッチ断続装置に
    おいて、前記クラッチの自動接続時に、エンジン回転数
    とクラッチ回転数との回転差の変化率に基づき前記クラ
    ッチの接続速度を変更する接続速度変更手段を設けたこ
    とを特徴とするクラッチ断続装置。
  2. 【請求項2】 前記変化率が増加率であり、前記接続速
    度変更手段が、前記増加率が所定値以上になったときに
    前記接続速度を急接側に変更する請求項1記載のクラッ
    チ断続装置。
  3. 【請求項3】 前記変化率が減少率であり、前記接続速
    度変更手段が、前記減少率が所定値以下になったときに
    前記接続速度を急接側に変更する請求項1記載のクラッ
    チ断続装置。
JP9080686A 1997-03-31 1997-03-31 クラッチ断続装置 Pending JPH10274258A (ja)

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Cited By (5)

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