JP3704298B2 - 車両の昇降ガラス付きドア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドア窓を開閉する昇降ガラスを有する車両のドアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両のドアとして、図4及び図5に示すように、ドア本体4上部に形成されたドア窓6がドアガラス7により開閉され、ドア窓6のドアガラス7による閉止状態でドアガラス7の上縁を保持するアッパフレーム8aがドア窓6の上縁に設けられ、ドアガラス7の側縁を案内するサイドフレーム8bがドア窓6の側縁に設けられ、更にドア本体4内の上縁コーナ部から側縁にかけてコーナリインフォースメント9が設けられたバックドア1が知られている。このバックドア1では、ドア本体4がドアアウタパネル2及びドアインナパネル3の外周縁を互いに接合することにより形成される(図4)。またドア窓6の下縁にはドア本体4内に臨んで出没口(図示せず)が形成され、上記ドアガラス7はこの出没口から出没してドア窓6を開閉するように構成される(図4及び図5)。更にアッパフレーム8aとサイドフレーム8bとを連結するチャンネル状のコーナフレーム5の一方の側壁5aがコーナリインフォースメント9とともにドアインナパネル3に溶着され、コーナフレーム5の他方の側壁5bがドアアウタパネル2に接合される(図4)。なお、図4の符号5cはコーナフレーム5に装着されたゴム製のガラスランである。
【0003】
このように構成されたバックドア1では、ドアガラス7が上昇してドア窓6を閉止したときに、アッパフレーム8aがドアガラス7の上縁をガラスランを介して確実に保持し、サイドフレーム8bがドアガラス7の側縁をガラスランを介して確実に保持し、更にコーナフレーム5がドアガラス7の上縁コーナ部をガラスラン5cを介して確実に保持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の車両のドアでは、コーナフレームの曲率半径が小さいため、比較的多くの工数を要する深絞り加工を施さなければならず、加工工数を増大する不具合があった。
また、上記従来の車両のドアでは、コーナフレームが深絞りにより形成されているため、フレーム全体(アッパフレーム、サイドフレーム及びコーナフレーム)を一体とすることができず分割構造となり、この分割されたコーナフレームの両端をアッパフレーム及びサイドフレームにそれぞれ溶着しなければならず、更に加工工数を増大する問題点があった。
更に、上記従来の車両のドアでは、ドアの上縁コーナ部にドアの強度を確保するためのコーナリインフォースメント及びコーナフレームが設けられているので、ドアの重量が増大する問題点もあった。
本発明の目的は、部品の一部を省略することにより、加工工数の低減及び軽量化を図ることができるとともに、上縁コーナ部の強度を確保できる、車両の昇降ガラス付きドアを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1及び図2に示すように、ドア窓16を有しドアアウタパネル12及びドアインナパネル13の外周縁を互いに接合することにより形成されたドア本体14と、ドア窓16の下縁にドア本体14内に臨んで形成された出没口から出没しドア窓16を開閉するドアガラス17と、ドア窓16の上縁に設けられドア窓16がドアガラス17により閉止された状態でドアガラス17の上縁を保持するチャンネル状のアッパフレーム18と、ドア窓16の側縁に設けられドアガラス17の側縁を案内するチャンネル状のサイドフレーム19と、ドア本体14内の上縁コーナ部から側縁にかけて設けられたコーナリインフォースメント21とを備えた車両の昇降ガラス付きドアの改良である。
その特徴ある構成は、アッパフレーム18とサイドフレーム19とを連結するチャンネル状のコーナフレーム22の底壁22a及びインナ側壁22bがコーナリインフォースメント21の一部により形成され、コーナフレーム22のアウタ側壁22cがコーナリインフォースメント21及びドアアウタパネル12を連結するフレームリインフォースメント23の一部により形成されたところにある。
【0006】
この請求項1に記載された車両の昇降ガラス付きドアでは、コーナリインフォースメント21とフレームリインフォースメント23とにより、ドアガラス17を保持するチャンネル状のコーナフレーム22が形成されるので、従来の専用のコーナフレームが不要になり、ドア11の加工工数及びドア11の重量を低減できるとともに、コーナリインフォースメント21及びフレームリインフォースメント23によりドア11の上縁コーナ部の所定の強度を確保できる。
【0007】
請求項2に係る発明は、図3に示すように、アッパフレームとサイドフレームとを連結するチャンネル状のコーナフレーム52のアウタ側壁52bがコーナリインフォースメント51の一部により形成され、コーナフレーム52の底壁52a及びインナ側壁52cがコーナリインフォースメント51及びドアインナパネル13を連結するフレームリインフォースメント53の一部により形成されたことを特徴とする。
この請求項2に記載された車両の昇降ガラス付きドアでは、請求項1と同様に、コーナリインフォースメント51とフレームリインフォースメント53とにより、ドアガラス17を保持するチャンネル状のコーナフレーム52が形成されるので、従来の専用のコーナフレームが不要になり、ドア41の加工工数及びドア41の重量を低減できるとともに、コーナリインフォースメント51及びフレームリインフォースメント53によりドア41の上縁コーナ部の所定の強度を確保できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2に示すように、車両10の背面にはバックドア11が設けられ、このバックドア11は、上部に設けられたヒンジを中心に上下方向に回転することにより開閉可能に構成される。またバックドア11はドアアウタパネル12及びドアインナパネル13の外周縁を互いに接合することにより形成されたドア本体14と、ドア本体14の上部に形成されたドア窓16とを有する(図1及び図2)。更にドア窓16の下縁にはドア本体14内に臨む出没口(図示せず)が形成され、この出没口からドアガラス17が昇降して出没することにより、ドアガラス17がドア窓16を開閉するように構成される。
【0009】
一方、ドアガラス17がドア窓16を閉止した状態で、ドアガラス17の上縁を保持するチャンネル状のアッパフレーム18がドア窓16の上縁に設けられ、ドアガラス17の両側縁を案内するチャンネル状のサイドフレーム19がドア窓16の両側縁にそれぞれ設けられる(図2)。バックドア11は左右が略対称であるため、この実施の形態では、バックドア11の左側を代表して説明する。ドア本体14内の上縁コーナ部から側縁にかけてコーナリインフォースメント21が設けられ(図1及び図2)、アッパフレーム18とサイドフレーム19とはチャンネル状のコーナフレーム22により連結される(図1)。このコーナフレーム22の底壁22a及びインナ側壁22bはコーナリインフォースメント21の一部により形成され、コーナフレーム22のアウタ側壁22cはコーナリインフォースメント21及びドアアウタパネル12を連結するフレームリインフォースメント23の一部により形成される。
【0010】
具体的には、コーナリインフォースメント21の上部上縁から外側縁に達する第1アッパアウトサイド部21aは、ドアインナパネル13の上縁近傍から外側縁近傍の内面にかけて溶着され、コーナリインフォースメント21の上部下縁から内側縁に達する第1ロアインサイド部21bは、ドアインナパネル13のドア窓16の上縁から側縁にかけて溶着される。またコーナリインフォースメント21の上部中央には、ドアアウタパネル12に向って突出しかつドア窓16周縁に沿って延びる突条21cが形成される。この突条21cはアッパアウトサイド片21dと、ロアインサイド片21eと、アッパアウトサイド片21d及びロアインサイド片21eを連結する連結片21fとからなる。
【0011】
フレームリインフォースメント23の上部上縁から外側縁に達する第2アッパアウトサイド部23aは、上記突条21cの連結片21fの外面に溶着され、フレームリインフォースメント23の上部下縁から内側縁に達する第2ロアインサイド部23bは、ドアアウタパネル12のドア窓16の上縁から側縁にかけて溶着される。即ち、コーナリインフォースメント21の突条21cのロアインサイド片21eによりコーナフレーム22の底壁22aが形成され、コーナリインフォースメント21の第1ロアインサイド部21bによりコーナフレーム22のインナ側壁22bが形成され、更にフレームリインフォースメント23の第2ロアインサイド部23bによりコーナフレーム22のアウタ側壁22cが形成される。なお、図1の符号24はコーナフレーム22に装着されかつドアガラス17を挟持するゴム製のガラスランである。また、フレームリインフォースメント23は比較的形状が小さいため重量は軽く、フレームリインフォースメント23の形状は略平板状であるため曲げ加工(プレス加工)が比較的容易である。
【0012】
このように構成されたバックドア11では、コーナリインフォースメント21とフレームリインフォースメント23とにより、ドアガラス17を保持するチャンネル状のコーナフレーム22が形成されるので、従来の専用のコーナフレームが不要になり、バックドア11の加工工数を低減できるとともに、従来の車両のドアのコーナフレームの底壁を1枚の板で構成できるので、バックドア11の重量を低減することができる。更にコーナリインフォースメント21の突条21cとドアアウタパネル12とをフレームリインフォースメント23を介して連結することにより、ドアアウタパネル12とコーナリインフォースメント21とフレームリインフォースメント23で閉断面が構成され、またコーナリインフォースメント21及びドアインナパネル13により作られる閉断面をフレームリインフォースメント23を介してドアアウタパネル12に繋げる。この結果、ドアインナパネル13やコーナリインフォースメント21等に作用する荷重がドアアウタパネル12に分散されるので、バックドア11の上縁コーナ部の剛性を向上できる。
【0013】
図3は本発明の第2の実施の形態を示す。図3において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、アッパフレームとサイドフレームとを連結するチャンネル状のコーナフレーム52のアウタ側壁52bがコーナリインフォースメント51の一部により形成され、コーナフレーム52の底壁52a及びインナ側壁52cがコーナリインフォースメント51及びドアインナパネル13を連結するフレームリインフォースメント53の一部により形成される。
【0014】
具体的には、コーナリインフォースメント51は断面略クランク状に形成される。コーナリインフォースメント51の上部上縁から外側縁に達する第1アッパアウトサイド部51aは、ドアインナパネル13の上縁近傍から外側縁近傍の内面にかけて溶着され、コーナリインフォースメント51の上部下縁から内側縁に達する第1ロアインサイド部51bは、ドアアウタパネル12のドア窓16の上縁から側縁にかけて溶着される。
【0015】
フレームリインフォースメント53は断面略クランク状に形成される。このフレームリインフォースメント53は、フレームリインフォースメント53の上部上縁から外側縁に達する第2アッパアウトサイド部53aと、フレームリインフォースメント53の上部下縁から内側縁に達する第2ロアインサイド部53bと、第2アッパアウトサイド部53a及び第2ロアインサイド部53bを連結する連結部53cとを有する。第2アッパアウトサイド部53aは第1ロアインサイド部51b近傍の内面に溶着され、第2ロアインサイド部53bはドアインナパネル13のドア窓16の上縁から側縁にかけて溶着される。即ち、フレームリインフォースメント53の連結部53cによりコーナフレーム52の底壁52aが形成され、コーナリインフォースメント51の第1ロアインサイド部51bによりコーナフレーム52のアウタ側壁52bが形成され、更にフレームリインフォースメント53の第2ロアインサイド部53bによりコーナフレーム52のインナ側壁52cが形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0016】
このように構成されたバックドア41では、第1の実施の形態と同様に、コーナリインフォースメント51とフレームリインフォースメント53とにより、ドアガラス17を保持するチャンネル状のコーナフレーム52が形成されるので、従来の専用のコーナフレームが不要になり、バックドア41の加工工数及びバックドア41の重量を低減できるとともに、バックドア41の上縁コーナ部の剛性を向上できる。更にフレームリインフォースメント53の曲げ角度は第1の実施の形態のフレームリインフォースメントより大きいけれども、略同一の加工工数でプレス成形できるのに対し、フレームリインフォースメント53より大きな部品であるコーナリインフォースメント51は比較的曲げ角度の小さいクランク状に形成されているので、第1の実施の形態の突条を有するコーナリインフォースメントより成形性を向上できる。
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、ドアとしてバックドアを挙げたが、昇降ガラスを有するドアであれば、サイドドア等でもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、アッパフレームとサイドフレームとを連結するチャンネル状のコーナフレームの底壁及びインナ側壁をコーナリインフォースメントの一部により形成し、コーナフレームのアウタ側壁をコーナリインフォースメント及びドアアウタパネルを連結するフレームリインフォースメントの一部により形成したので、即ちコーナリインフォースメント及びフレームリインフォースメントがコーナフレームを兼ねるので、比較的多くの工数を要する深絞り加工を施し、かつコーナフレームの両端をアッパフレーム及びサイドフレームにそれぞれ溶着する必要のあった従来の車両のドアと比較して、本発明では、専用のコーナフレームが不要になり、ドアの加工工数及びドアの重量を低減できるとともに、コーナリインフォースメント及びフレームリインフォースメントによりドアの上縁コーナ部の所定の強度を確保できる。
【0018】
またアッパフレームとサイドフレームとを連結するチャンネル状のコーナフレームのアウタ側壁をコーナリインフォースメントの一部により形成し、コーナフレームの底壁及びインナ側壁をコーナリインフォースメント及びドアインナパネルを連結するフレームリインフォースメントの一部により形成すれば、上記と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態の車両の昇降ガラス付きドアを示す図2のA−A線断面図。
【図2】そのドアを含む車両の背面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す図1に対応する断面図。
【図4】従来例の昇降ガラス付きドアを示す図1に対応する断面図。
【図5】そのドアを含む車両の背面図。
【符号の説明】
10 車両
11,41 バックドア(ドア)
12 ドアアウタパネル
13 ドアインナパネル
14 ドア本体
16 ドア窓
17 ドアガラス
18 アッパフレーム
19 サイドフレーム
21,51 コーナリインフォースメント
22,52 コーナフレーム
22a,52a 底壁
22b,52c インナ側壁
22c,52b アウタ側壁
23,53 フレームリインフォースメント
Claims (2)
- ドア窓(16)を有しドアアウタパネル(12)及びドアインナパネル(13)の外周縁を互いに接合することにより形成されたドア本体(14)と、前記ドア窓(16)の下縁に前記ドア本体(14)内に臨んで形成された出没口から出没し前記ドア窓(16)を開閉するドアガラス(17)と、前記ドア窓(16)の上縁に設けられ前記ドア窓(16)が前記ドアガラス(17)により閉止された状態で前記ドアガラス(17)の上縁を保持するチャンネル状のアッパフレーム(18)と、前記ドア窓(16)の側縁に設けられ前記ドアガラス(17)の側縁を案内するチャンネル状のサイドフレーム(19)と、前記ドア本体(14)内の上縁コーナ部から側縁にかけて設けられたコーナリインフォースメント(21)とを備えた車両の昇降ガラス付きドアにおいて、
前記アッパフレーム(18)と前記サイドフレーム(19)とを連結するチャンネル状のコーナフレーム(22)の底壁(22a)及びインナ側壁(22b)が前記コーナリインフォースメント(21)の一部により形成され、
前記コーナフレーム(22)のアウタ側壁(22c)が前記コーナリインフォースメント(21)及び前記ドアアウタパネル(12)を連結するフレームリインフォースメント(23)の一部により形成された
ことを特徴とする車両の昇降ガラス付きドア。 - ドア窓(16)を有しドアアウタパネル(12)及びドアインナパネル(13)の外周縁を互いに接合することにより形成されたドア本体(14)と、前記ドア窓(16)の下縁に前記ドア本体(14)内に臨んで形成された出没口から出没し前記ドア窓(16)を開閉するドアガラス(17)と、前記ドア窓(16)の上縁に設けられ前記ドア窓(16)が前記ドアガラス(17)により閉止された状態で前記ドアガラス(17)の上縁を保持するチャンネル状のアッパフレームと、前記ドア窓(16)の側縁に設けられ前記ドアガラス(17)の側縁を案内するチャンネル状のサイドフレームと、前記ドア本体(14)内の上縁コーナ部から側縁にかけて設けられたコーナリインフォースメント(51)とを備えた車両の昇降ガラス付きドアにおいて、
前記アッパフレームと前記サイドフレームとを連結するチャンネル状のコーナフレーム(52)のアウタ側壁(52b)が前記コーナリインフォースメント(51)の一部により形成され、
前記コーナフレーム(52)の底壁(52a)及びインナ側壁(52c)が前記コーナリインフォースメント(51)及び前記ドアインナパネル(13)を連結するフレームリインフォースメント(53)の一部により形成された
ことを特徴とする車両の昇降ガラス付きドア。
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