JP3703417B2 - 軸方向の剛性と破壊強度が改善された包装 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば管、ボトル管、カン、ボトル、又はゼリーカンの形状をした包装容器であって、多くの家庭用品、食料品、化学用品、又は化粧品を収容する目的で使用することができるものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の包装容器が具備しなくてはならない必須の要件として、特に破壊強度が挙げられる。実際、そのような包装容器を構成する物質に関しては、包装容器が通常位置する高さ（つまり、典型的には、消費者の手又は台所の調理台）から落下した場合にも壊れない程度の強度を具備しなくてはならない。
【０００３】
更に、分配キャップ又はヘッドを包装容器にスナップ留めにより固定することが適切である場合、これに必要な軸方向圧力に対して潰されることなく耐えるだけの充分な軸方向剛性が当該物質に具備されていなくてはならない。包装容器が搭載台に積上げられて保管、輸送される場合にも当該軸方向剛性が必要となる。
【０００４】
更に、原材料に関しては、例えばインジェクション・ブロー成形、ブロー押し出し成形又は同時押し出し成形等の、包装容器が通常利用されている産業上の製造技術を用いて製造できるようなものでなくてはならない。当該目的のために、特にブロー押し出し成形を利用した場合、原材料は、例えばパリソンの底部に位置する領域で溶接可能なものでなければならない。
【０００５】
最後に、上記包装容器の製造費用は、大量流通機構を特徴とする経済上の必須の要請に適合するように、できる限り低くなくてはならない。
【０００６】
ポリプロピレン・コポリマーを基礎とする単層構造からなり、典型的には約８００ＭＰａの曲げモジュラスを有する、特に化粧品を収容するため製造されるボトルが知られている。例えば、ボレアリス株式会社（登録商標）が販売している商品名ボレアリス（登録商標）（参照ＣＨＣ３０７ＭＯ）を挙げることができる。当該物質の場合、比較的高度の柔軟性を有するため、包装容器が先に言及した軸方向強度を有するように壁を充分厚くすることが必要となる。この場合、典型的な平均厚さは、８００μｍである。当然のことながら、包装容器を製造するのに要する原材料の量が増加するほど、包装容器の費用も上昇する。
【０００７】
ポリエチレンを基礎として製造される上記のようなボトルもまた知られている。例えば、株式会社ＤＳＭ（登録商標）が販売している商品名スタミラン（登録商標）（参照ＨＤ７６２５又はＨＤ８６２１）を挙げることができる。これらの物質は、ポリプロピレン・コポリマーを参照しながら先に説明した問題と同一の問題を抱えている。典型的には、この種物質を使用した場合、壁の厚さは、約１ｍｍである。
【０００８】
その他の用途、特に食料、家庭用品、産業化学の分野において、壁の厚さは、５ｍｍ、又は更にそれ以上となる場合もある。これらの用途においては、容器の容積は、２５０リットル以上となる場合もある。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的の一つは、例えばボトル、管、又は缶タイプであって、従来物質を参照して上記で説明した問題の全て又はいくつかを解決する包装容器を製造することである。
【００１０】
特に、本発明の目的の一つは、上記のような包装容器であって、全体的にその破壊強度が改善され、特に積上げに耐えうる程度、又は当該容器に分配キャップ又はヘッドをスナップ留めすることができる程度充分に軸方向の剛性を有する包装容器を提供することである。
【００１１】
本発明の更なる目的の一つは、上記のような包装容器であって、従来の容器と比較して同一程度の、又は改善された（特に、破壊強度及び軸方向剛性の点における）機械特性を有し、更に、使用する原材料がより少ない容器を提供することである。
【００１２】
本発明の更なる他の目的は、上記のような包装容器であって、その製造費用ができる限り低く、特にインジェクション・ブロー成形、ブロー押し出成形し又はブロー同時押し出し成形等、回転成形又はいかなる種類のブロー成形であれ、空洞容器の製造業者に既知の産業技術を利用して製造することができる容器を製造することである。
【００１３】
その他の目的も更に以下に記載する詳細な説明で明らかとなるであろう。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、好適にはボトル、缶、又はボトル管の形状をした包装容器であって、少なくとも一つの層から形成された壁を具備し、当該壁は、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる包装容器を製造することにより上記の目的を達成することができる。
【００１５】
本発明によると、低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンを含有する層と同一の層かあるいは別個の層に含まれる、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンとの混合物である。
【００１６】
好適には、ポリプロピレンは、ホモポリマーである。しかしながら、必要な曲げモジュラスを有する限り、コポリマーを使用することも可能である。ホモポリマー又はコポリマーは、少なくとも一のフィラーと混合された状態であってもよい。
【００１７】
驚くべきことに、本出願人は、低密度又は非常に低密度のポリエチレンを高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレン、特にポリプロピレンホモポリマーに付加することによって、軸方向の剛性が低下する以上に、包装容器の破壊強度がよりずっと改善されることを発見した。
【００１８】
本発明により新たに提供される解決法によると、やや高度の、又はかなり高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンが使用されているが、これは、現在までボトル製造分野において通常採用されてきた、より低密度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンを使用する傾向にあった対処法とは対極に位置するものである。
【００１９】
高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンのみからなるボトルと比較して、本発明によって得られる包装容器の破壊強度は大幅に改善され、しかも、軸方向強度には認知できるほどの影響がない。このように、破壊強度と軸方向の強度の面から容器の性能が同一若しくは向上したにも拘わらず、その原材料の量は、従来の場合よりも少ない。よって、これに応じて包装容器の製造費用も低下する。
【００２０】
破壊圧力については、「落下テスト」として知られるテストを使用することができる。これについては、特定の実施例を参照しながら後に説明する。
【００２１】
軸方向の強度については、ボトルに所定のくぼみを形成するのに必要な力を測定する「定率圧縮テスト」を使用することができる。測定には約６０ｍｍ／分の割合で圧力を付加するように設定された引張試験機を使用し、所定のくぼみを形成するのに必要な力を測定する。
【００２２】
機械特性（破壊強度及び軸方向剛性）が同一程度又はさらに改善された本発明のボトルに必要な原材料の量は、同程度の機械特性を有するボトルを従来の方法で製造した場合に比べて５乃至５０％、好ましくは１０乃至３０％減少する。
【００２３】
本発明において、好ましくは、高度の曲げモジュラスとは、１２００ＭＰａ以上、好ましくは１５００ＭＰａ以上、より好ましくは１８００ＭＰａ、そして更に好ましくは２０００ＭＰａ以上の曲げモジュラスを意味すると理解される。このような曲げモジュラスは、ＩＳＯ１７８標準に規定する測定方法によって測定することができる。
【００２４】
好ましい実施例によると、参照ＡＤＳＴＩＦ６８０ＡＤＸＰで株式会社モンテル（登録商標）が販売する曲げモジュラスが２１５０ＭＰａのポリプロピレンホモポリマーが使用される。
【００２５】
また、他の実施例によると、商品名スタミラン（登録商標）（参照Ｐ１５ＥＫ１０）で株式会社ＤＳＭ（登録商標）が販売しているポリプロピレンホモポリマーが使用される。この特定物質の曲げモジュラスは、２０５０ＭＰａである。
【００２６】
また、別の実施例として、商品名スタミラン（登録商標）（参照Ｐ１２Ｅ６２）で株式会社ＤＳＭ（登録商標）が販売しているポリプロピレンホモポリマーが使用される。この特定物質の曲げモジュラスは、１５００ＭＰａである。
【００２７】
その他の実施例によると、好適ではないが、商品名スタミラン（登録商標）（参照Ｐ８３Ｅ１０Ｎ）で株式会社ＤＳＭ（登録商標）が販売しているポリプロピレンホモポリマーを使用することもできる。この特定物質の曲げモジュラスは、１３５０ＭＰａである。
【００２８】
好ましくは、ポリプロピレンの結晶度は、４０％以上、好ましくは５０％以上、より好ましくは６０％以上である。ポリプロピレンホモポリマーの結晶度は、株式会社ミリケン（登録商標）が販売する製品名ミラド（登録商標）のような核形成剤(nucleating agent)で上昇させることができる。
【００２９】
あるいは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンは、標準的なポリプロピレン（つまり、曲げモジュラスが１２００ＭＰａ以下のもの）に対して、５乃至５０重量％、好ましくは１０乃至４０重量％の少なくとも一つのフィラーを付加することで得られる。このようなフィラーは、この目的に対して通常使用されるものから選択され、グラスファイバー、タルク、チョーク又はバリウム硫酸塩からなるものであってもよい。製造者は、１２００ＭＰａ以下の従来の曲げモジュラスを有するポリプロピレンに適当な一又は複数のフィラーを押出し成形時に加える。
【００３０】
「ポリエチレン」とは、有利には、特に３乃至１０の炭素原子を有する少なくとも一の１-アルケンを最大３５％有するエチレンホモポリマー又はエチレンコポリマーを意味する。当該ポリエチレンは、直鎖又は分枝状であってもよい。
【００３１】
「低密度ポリエチレン」とは、好ましくは０．９０５ｇ／ｃｍ^３から０．９３０ｇ／ｃｍ^３の密度を有するポリエチレンを意味すると解される。低密度ポリエチレンの例としては、０．９０５ｇ／ｃｍ^３以上の密度を有し、株式会社エクソン（登録商標）が商品名エクシード（登録商標）で販売している物質を使用することができる。密度は、ＩＳＯ標準１１８３による条件の測定方法により測定することができる。
【００３２】
しかしながら、非常に低密度のポリエチレンを使用することが好ましい。非常に低密度のポリエチレンとは、０．９０５ｇ／ｃｍ^３以下の密度を有するポリエチレンと理解することができる。さらに、非常に低密度のポリエチレンの密度は、好ましくは０．８５０ｇ／ｃｍ^３以上、更に好ましくは０．８７５ｇ／ｃｍ^３以上である。
【００３３】
低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、高度の反応選択性を有する触媒による触媒作用によって得ることができる。高度の反応選択性を有する触媒とは、反応基を一種類のみ、特にメタロセン型の反応基のみを有する触媒を意味すると理解される。さらに、軸方向強度の減少に比べ、破壊強度がより大きく増加する。
【００３４】
メタロセン触媒により得られる低密度ポリエチレンの例として、密度が約０．９０２ｇ／ｃｍ^３で、株式会社デックスプラストマーズ（登録商標）により販売されている同業者照会番号エグザクト（登録商標）０２０１を使用することが可能である。
【００３５】
又、一例として、密度が約０．８８２ｇ／ｃｍ３で、株式会社デックスプラストマーズ（登録商標）により販売されている同業者照会番号エグザクト（登録商標）８２０１を使用することが可能である。
【００３６】
その他、株式会社ダウ（登録商標）により販売されている商品名エンゲージ（登録商標）、エリート（登録商標）又はアフィニティ（登録商標）を使用してもよい。
【００３７】
本発明の第一の実施態様によると、壁は、少なくとも部分的に、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンの混合物により構成される第一の層を含む。
【００３８】
有利には、上記第一の層には低密度又は非常に低密度のポリエチレンが２乃至４０％、好ましくは１０乃至２５％含まれる。ポリエチレンの量が少なすぎると包装容器の破壊強度を著しく改善することができないし、過剰に含むと、包装容器の軸方向剛性に著しく影響が及ぶ。
【００３９】
非常に有利には、本発明の包装容器には更に、低密度又は非常に低密度のポリエチレを少なくとも部分的に含有している第二の層が含まれる。当該第二の層は、好ましくは少なくとも６０重量％で、より好ましくは７０重量％で、更に好ましくは８０重量％の低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される。
【００４０】
本発明の他の実施例を参照しながら後に検討するように、当該場合においては、第一の層には低密度又は非常に低密度のポリエチレンが含まれない場合がある。
【００４１】
第二の層に含まれる低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、第一の層の組成に使用されているものと同一であってもよい。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、異なるポリエチレンが様々な層に含有することは、これらの層が有する特性を多様化させる点で有利となる場合がある。
【００４２】
適当であれば、第二の層が含有する低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、ポリプロピレン又はポリエチレン等の、ポリオレフィンとの混合物であってもよい。この特徴によると、より低価格の原材料を付加することにより、包装容器の製造費用をさらに低下させることができる。しかしながら、低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、混合物の主要構成物でなければならない。好ましくは、低密度又は非常に低密度のポリエチレンは層の６０％乃至９８重量％、より好ましくは６０％から９８重量％を占める。
【００４３】
第二の層は、包装容器の内側か外側に配置される。しかしながら、好ましくは内側に配置される。包装容器の内側へ第二の層をこのように配置すると、外側に配置される場合以上に高い破壊強度を得ることができる。
【００４４】
さらに、包装容器の壁は、低密度の又は非常に低密度のポリエチレンが少なくとも部分的に含有されている第三の層を含んでいてもよく、この場合、第一の層は、第二の層と第三の層の間に配置される。当該第三の層は、好ましくは少なくとも６０重量％で、更に好ましくは７０重量％で、更に好ましくは８０重量％で低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される。
【００４５】
上記第三の層によって、組立体の曲げモジュラスに著しい影響を与えることなく、包装容器の破壊強度が更に改善される。このような層は、より容積が大きい包装容器や破壊に弱い形状の包装容器に必要であるということがわかるかもしれない。
【００４６】
第三の層を形成する物質は、第二の層を形成する物質と同一であってもよい。この特徴によると、第二と第三の層を形成する材料に関してたった一つの供給源を用意すればよいため、同時押し出し製法にとって都合がよい。
【００４７】
他の実施態様によると、本発明の包装容器は、少なくとも部分的に、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンから形成される第一の層と、少なくとも部分的に、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される第二の層から構成される。
【００４８】
第二の層は、好ましくは少なくとも６０重量％、更に好ましくは７０重量％、更に好ましくは８０重量％で低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される。
【００４９】
上記実施態様によると、包装容器は、更に第三の層を含んでいてもよく、この場合、第一の層は、第二の層と第三の層の間に配置される。
【００５０】
第三の層は、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから少なくとも部分的に形成されていてもよく、第二の層と同一であってもよい。
【００５１】
好ましくは、多層構造の場合、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンの一層における含有率は、壁全体の厚さのうち７０乃至９５％、好ましくは８０乃至９５％である。このような範囲により包装容器の破壊強度と軸方向剛性をうまく調和させることが担保される。
【００５２】
包装容器を多層構造にすることで、破壊強度はさらに改善され、他方で、低密度又は非常に低密度のポリエチレンを同量含有する単層構造の包装容器と同じ軸方向強度も維持される。
【００５３】
化粧品分野で使用される容器に関しては、壁の全体の厚さは、４５０μｍ乃至８００μｍ、好ましくは５００μｍ乃至７００μｍである。その他の用途に於いては、容器の容積がより大きい場合、壁の厚さの範囲は、最大５ｍｍ、又はそれ以上の場合がある。これらより大型な容積の容器の場合においても、同一又は更に改善された機械特性に対して、必要な材料は、従来の包装容器に比べ著しく少ない。
【００５４】
本発明の包装容器は、特に毛髪製品、身体衛生製品、スキンケア製品又はメーキャップ製品等の化粧品、特に飲料等の食料品、特に洗剤製品等の家庭用品、又は、産業化学品の包装に使用することができる。
【００５５】
本発明の他の側面は、
ａ）少なくとも一層を有するパリソンを押し出成形により製造する工程であって、当該パリソンは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる工程；及び、
ｂ）包装容器に対応した幾何学を有する少なくとも一の腔からなる鋳型でパリソンをブローする工程からなる包装容器の製造方法を提供することである。
【００５６】
第一の実施例によると、パリソンは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンから少なくとも部分的に形成される第一の層からなる。
【００５７】
有利には、パリソンは、少なくともニつの重畳層からなり、第二の層は、好ましくはパリソンの内側に配置されており、少なくとも部分的には、低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる。
【００５８】
有利には、上記工程ａ）は、少なくとも部分的に、低密度又は非常に低密度のポリエチレンを含む第三の層を上記第一及び第二の層と共に同時に押し出すことからなり、第一の層は、第二及び第三の層の間に配置される。
【００５９】
その他の実施態様によると、パリソン は、少なくとも部分的に高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンから形成される第一の層と、少なくとも部分的に低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される第二の層からなる。
【００６０】
上記パリソンは、第三の層を含んでもよく、第一の層は、第二及び第三の層の間に配置される。
【００６１】
上記第三の層は、少なくとも部分的には、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成されていても良い。
【００６２】
更にその他の実施態様によると、包装容器の製造方法は：
ａ）射出成形によるプリフォームの製造工程であって、当該プリフォームは、高度の曲げモジュラスを有するポリエチレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなり製造工程；及び、
ｂ）当該プレフォームを包装容器の幾何学に対応する幾何学を有する少なくとも一の腔を有する最終鋳型へ吹き込む工程からなる。
【００６３】
上記で説明した実施例とは別に、本発明は、更にいくつかの実施例からなり、添付図面を参照しながら検討される非制限的な実施例について、以下で説明する。
【００６４】
【発明の実施の形態】
図１は、本発明の包装容器の一実施態様を示し、；
図２（ａ）乃び（ｂ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例を二つ図示し、；及び、
図３（ａ）乃び（ｂ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例をさらに二つ図示する。
【００６５】
図１で、本発明の一実施態様による包装容器１００は、ボトル１０１からなる。ボトル１０１には、壁５０により形成され、底１０３により閉じられている本体１０２がある。本体１０２は、細長断面を有し、二つの面１０４及び１０５から形成され、これら面は、ボトルの大きな側面に垂直な方向からの押圧に対して「伸縮自在に」変形することができる。
【００６６】
ボトルの首にはキャップ１がスナップ留めされている。キャップ１には本体２があり、スプリング効果を具備するヒンジ又は連結部材３０を介してカバー３と連結している。キャップ１の本体２には横断面４があり、凹部５が形成され、当該凹部の底面には出口オリフィスが形成されている。横断面４と対面するように形成されたカバー３はスタッド７を具備し、当該スタッドは、密閉するように凹部５と係合することができるので、蓋を確実に閉じ、もって、適当に容器を密閉することができる。
【００６７】
第一の実施態様によると、包装容器１００を形成する壁５０は、厚さが約６００μｍであって、
ａ）曲げモジュラスが２０５０ＭＰａで株式会社ＤＳＭ（登録商標）が商品名スタミラン（登録商標）（参照Ｐ１５ＥＫ１０）として販売しているポリプロピレンホモポリマー７５重量％；及び、
ｂ）メタロセン触媒により得られた非常に低密度のポリエチレン２５重量％からなる混合物からなり、単層によって形成されている。この実施態様では、相対密度が０．９０２で、会社デックスプラストマーズ（登録商標）が同業社照会番号ＥＸＡＣＴ（登録商標）０２０１で製造している物質が使用される。
【００６８】
得られる容器は、非常に良好な軸方向の剛性を示す。しかしながら、ボトルの幾何学が図１に示されたものと類似し、容量が２００ｍｌである場合、当該容器が底部の溶接線にいくつか欠点が見つかる。この欠点のためにこのような容器は、いわゆる「消費者」用途と言われる特定の用途に対して不適切なものとなる。これら用途には、消費者の安全のために、非常に高度の破壊強度を規定することが必要とされているためである。上記の破壊強度は、より低い「消費者」用途基準を有する用途に対しては問題がない可能性もある。
【００６９】
包装容器の破壊強度を測定するには、水を充填した包装容器を落下高度１４０ｃｍから落下させることからなるテストを利用する。落下高度については、特に容器の容積等の容器の特性や、そのような容器を販売する会社が課す強度に応じて、さらに高く、又は低くすることができる。
【００７０】
図２（ａ）の実施態様によると、図１に示す包装容器１００を形成する壁５０は、ニつの層：容器の外側に位置する層５１と内側に位置する層５２からなる。
【００７１】
層５１の厚さは、約５１０μｍで、層５２の厚さは、約９０μｍである。
【００７２】
層５１を形成する物質は、非常に高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンホモポリマー（ＡＤＳＴＩＦ６８０ＡＤＸＰ）８５重量％、メタロセン触媒（ＥＸＡＣＴ登録商標０２０１）から得られた非常に低密度のポリエチレン１５重量％から形成される混合物からなる。
【００７３】
層５２を形成する物質は、層５１を製造する際に使用されるのと同様の低密度ポリエチレンである。
【００７４】
二つの層５１及び５２のブロー同時押し出し成形により得られる包装容器１００は、良好な破壊強度（溶接部分を含む）と良好な軸方向の剛性双方を示した。
【００７５】
図２（ｂ）の実施態様では、図１に示された包装容器１００を形成する壁５０は、三つの層：容器外側に位置する層５３、中間層５１及び内側に位置する層５２からなる。
【００７６】
層５２及び５３厚さは、約６０μｍで、層５１の厚さは、約４８０μｍである。
【００７７】
層５１を形成する物質は、ポリプロピレンホモポリマー（スタミラン登録商標Ｐ１５ＥＫ１０）８０重量％、及びメタロセン触媒により得られる非常に低密度のポリエチレン（ＥＸＡＣＴ登録商標８２０１）２０重量％から形成される混合物からなる。
【００７８】
層５２及び５３を形成する物質は、層５１の製造に使用されるのと同様の低密度ポリエチレンである。
【００７９】
三つの層５１、５２、５３のブロー同時押し出し成形により得られる包装容器１００は、良好な破壊強度（溶接部分を含む）と良好な軸方向の剛性双方を示した。
【００８０】
図３（ａ）の実施態様では、壁５０は、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレン（スタミラン登録商標Ｐ１５ＥＫ１０）からなる層５４から形成される。層５４の厚さは、約６００μｍである。
【００８１】
壁５０には、メタロセン触媒から得られた非常に低密度のポリエチレン（ＥＸＡＣＴ登録商標８２０１）から形成され、容器の内側に配置される層５５が更に含まれている。
【００８２】
層５５の厚さは、約６６μｍである。
【００８３】
図３（ｂ）で示された実施態様によると、壁５０は、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレン（スタミラン登録商標Ｐ１５ＥＫ１０）からなる層５４を含む。層５４の厚さは、約６００μｍである。
【００８４】
層５４の各々の側には、共に厚さが約３３μｍのニつの層５５及び５６が配置されている。各層５５、５６は、メタロセン触媒（ＥＸＡＣＴ登録商標８２０１）により得られる非常に低密度のポリエチレンから形成されている。
【００８５】
これら最後ニつの実施態様において得られる包装容器１００は、良好な破壊強度と良好な軸方向の剛性の双方を示す。
【００８６】
上記の詳細な説明において、本発明の好適な実施形態をいくつか説明した。特許請求の範囲に記載された発明の範囲を逸脱しないで、変更を加えることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の包装容器の一実施態様を示す。
【図２】 （ａ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例を二つ図示する。（ｂ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例を二つ図示する。
【図３】 （ａ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例をさらに二つ図示する。（ｂ）は、図１に示された包装容器の可能な壁の構造について実施例をさらに二つ図示する。
【符号の説明】
３ カバー
１ キャップ
５０ 壁
１０１ ボトル
１０２ 本体
１０３ 底面
１００ 包装容器

Claims (27)

1. 包装容器（１００）であって、首部と長手軸を有し容器の軸方向に圧力が加えられたとき長手軸方向の剛性を改善するために、少なくとも第１の層と第２の層から形成された壁（５０）を具備し、第１の層は１２００ＭＰａ以上の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと０．９３０ｇ／ｃｍ ^３ 以下の低密度のポリエチレンの混合物からなり、第２の層は少なくとも部分的に低密度低密度のポリエチレンからなり、該第２の層が容器の内側になるように配置する包装容器。
2. 高度の曲げモジュラスを有する上記ポリプロピレンは、ホモポリマー又はコポリマーであって、少なくとも１つのフィラーとの混合物であってもよいことを特徴とする請求項１に記載の包装容器。
3. 上記ポリプロピレンは、１５００ＭＰａ以上、より好ましくは１８００ＭＰａ、そして更に好ましくは２０００ＭＰａ以上の曲げモジュラスを有することを特徴とする請求項１又は２に記載の包装容器。
4. 上記ポリプロピレンの結晶度は、４０％以上、好ましくは５０％以上、更に好ましくは６０％以上であることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項に記載の包装容器。
5. 上記ポリプロピレンは、例えばグラスファイバー、チョーク、タルク又はバリウム硫酸塩等の少なくとも一のフィラーとの混合物の状態であることを特徴とする請求項１乃至４の何れか１項に記載の包装容器。
6. 低密度又は非常に低密度のポリエチレンの密度は、０．９０５ｇ／ｃｍ^３以下、好ましくは０．８５０ｇ／ｃｍ^３以上であることを特徴とする請求項５に記載の包装容器。
7. 低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、高い反応選択性を有し、特にメタロセンタイプの触媒による触媒作用によって得られることを特徴とする請求項１乃至６の何れか１項に記載の包装容器。
8. 壁（５０）の全厚さは、４５０μｍ乃至８００μｍ、好ましくは５００μｍ乃至７００μｍであることを特徴とする請求項１乃至７の何れか１項に記載の包装容器。
9. 上記壁は、少なくとも二つの層からなり、層（５１、５４）に壁（５０）全体の厚さの７０乃至９５％又は好ましくは８０乃至９５％の占有率で高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンが含有されていることを特徴とする請求項１乃至８の何れか１項に記載の包装容器。
10. 上記の壁（５０）は、少なくとも部分的に、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンの混合物からなる第一の層（５１）を含んでいることを特徴とする請求項１乃至９の何れか１項に記載の包装容器。
11. 好ましくは包装容器の内側に配置され、少なくとも部分的に、低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる少なくとも１つの第二の層（５２）を含む請求項１０に記載の容器。
12. 上記第一の層（５１）には２乃至４０重量％、好ましくは１０乃至２５重量％の低密度又は非常に低密度のポリエチレンが含まれることを特徴とする請求項１０又は１１に記載の包装容器。
13. 上記第二の層（５２）に含まれる低密度又は非常に低密度のポリエチレンは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィンとの混合物であることを特徴とする請求項１１又は１２に記載の包装容器。
14. 上記壁（５０）は、低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる第三の層（５３）を含み、第一の層（５１）が第二の層（５２）と第三の層（５３）の間に配置されることを特徴とする請求項１１乃至１３の何れか１項に記載の装置。
15. 第三の層（５３）を形成する物質は、第二の層（５２）を形成する物質と同一であることを特徴とする請求項１４に記載の包装容器。
16. 少なくとも部分的に高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンから形成される第一の層（５４）と、少なくとも部分的に低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される第二の層（５５）からなることを特徴とする請求項１乃至９の何れか１項に記載の包装容器。
17. 第三の層（５６）含み、上記第一の層（５４）が第二の層（５５）と第三の層（５６）の間に配置されることを特徴とする請求項１６に記載の包装容器。
18. 上記第三の層（５６）は、少なくとも部分的には、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される請求項１７に記載の包装容器。
19. 例えば毛髪製品、身体衛生製品、スキンケア製品又はメーキャップ製品等の化粧品、例えば飲料等の食料品、特に洗剤製品等の家庭用品、又は、産業化学品の包装のための請求項１乃至１８のいずれか１項に記載の包装容器（１００）の使用方法。
20. ａ）同時押し出し成形により少なくとも一つの層（５１−５６）を有するパリソンを製造する工程であって、当該パリソンは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる工程；及び、
    ｂ）包装容器の幾何学に対応した幾何学を有する少なくとも一つの空隙を有する鋳型に当該パリソンを吹き込む工程からなる請求項１乃至１８のいずれか１項に記載の包装容器（１００）の製造方法。
21. 上記パリソンは、少なくとも部分的に、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成されていることを特徴とする請求項２０に記載の製造方法。
22. 上記工程ａ）は、好ましくは上記パリソンの内側へ配置され、少なくとも部分的には低密度又は非常に低密度のポリエチレンを含む第二の層（５２）を第一の層（５１）と共に同時押し出し成形することからなることを特徴とする請求項２１に記載の製造方法。
23. 上記工程ａ）は、少なくとも部分的には低密度又は非常に低密度のポリエチレンを含有する第三の層（５３）を第一及び第二の層（５１，５２）と共に同時押し出し成形することからなり、第一の層（５１）は、第二（５２）及び第三の層（５３）の間に配置されることを特徴とする請求項２２に記載の製造方法。
24. パリソンは、少なくとも部分的に、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンからなる第一の層（５４）と、少なくとも部分的に、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成される第二の層（５５）からなることを特徴とする請求項２０に記載の製造方法。
25. パリソンは、第三の層（５６）を含み、上記第一の層（５４）は、第二の層（５５）と第三の層（５６）の間に配置されていることを特徴とする請求項２４に記載の製造方法。
26. 上記第三の層（５６）は、少なくとも部分的に、低密度又は非常に低密度のポリエチレンから形成されることを特徴とする請求項２５に記載の製造方法。
27. ａ）射出成形によりプリフォームを製造する工程であって、当該プリフォームは、高度の曲げモジュラスを有するポリプロピレンと低密度又は非常に低密度のポリエチレンからなる工程；及び、
    ｂ）当該プリフォームを包装容器の幾何学に対応する幾何学を有する少なくとも一の腔を有する最終鋳型へ吹き込む工程からなる請求項１乃至１８のいずれか１項に記載の包装容器（１００）の製造方法。

Images