JP3702971B2 - ブレージングシート及び熱交換器の枠材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特に自動車用のパラレルフロータイプのラジエータやヒータコア等のサイドサポート材などの枠材に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
自動車用のパラレルフロータイプのラジエータやヒータコア等のサイドサポート材として、従来より、4〜5wt%のZn及び1〜2wt%のMgを含むAl合金(7N01)からなるAl合金の芯材にAl−Si合金からなるろう材を貼り合わせたブレージングシートを用いることが提案されている。
【0003】
しかし、このブレージングシートは、ろう材であるAl−Si合金が耐蝕性に劣り、局部腐食を起こし易い為、短期間のうちに芯材にまで侵食が起きる。このような状況に至ると、強度を向上させる為に添加したZnにより芯材層の電位は卑になっている為、芯材の侵食が優先的、かつ、激しく起き、芯材には空洞状の穴が形成されてしまい、機械的強度が損なわれ、サイドサポート材としての機能が失われてしまう。
【0004】
特に、サイドサポート材として用いた場合、ろう材が消費されていて、部分的にも芯材層が当初より露出していることが有り、このような場合には芯材の侵食が急速に進み、空洞状の穴が形成されてしまうことも有る。
すなわち、従来からのブレージングシートをサイドサポート材とした場合、耐久性に欠ける問題がある。
【0005】
【発明の開示】
本発明の目的は、サイドサポート材のように機械的強度が要求される枠材として用いた場合、空洞状の穴が形成され難く、耐久性に富み、機械的強度が長期間にわたって保証されるブレージングシートを提供することである。
この本発明の目的は、芯材と、ろう材と、前記芯材とろう材との間に設けられた中間材とを有するブレージングシートであって、
前記芯材は、3.0〜5.0wt%のZn、及び0.5〜2.0wt%のMg、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記ろう材は、3.0〜11wt%のSi、及び前記芯材中のZn含有量よりも高く、かつ、5.0〜25wt%のZn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記中間材は、不可避不純物しか含まないAlである
ことを特徴とするブレージングシートによって達成される。
【0006】
又、芯材と、ろう材と、前記芯材とろう材との間に設けられた中間材とを有するブレージングシートであって、
前記芯材は、3.0〜5.0wt%のZn、及び0.5〜2.0wt%のMg、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記ろう材は、3.0〜11wt%のSi、及び前記芯材中のZn含有量よりも高く、かつ、5.0〜25wt%のZn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記中間材は、0.1〜1.5wt%のMn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金である
ことを特徴とするブレージングシートによって達成される。
【0007】
尚、本発明のブレージングシートにおける芯材は、0.1〜0.7wt%のMn、0.01〜0.15wt%のZr、0.01〜0.20wt%のTi、0.01〜0.15wt%のVの中から選ばれる一種または二種以上を更に含有していることが好ましい。
又、本発明は、上記構成のブレージングシートからなることを特徴とする熱交換器の枠材を提供する。
【0008】
本発明においては、ブレージングシートの芯材として、機械的強度を向上させる為に、Zn及びMgを含有させた。このZn含有量は3.0〜5.0wt%であり、Mg含有量は0.5〜2.0wt%である。すなわち、Znが3wt%未満、Mgが0.5wt%未満の場合には、サイドサポート材のような枠材として必要な機械的強度が確保できないからである。逆に、多くなると、例えばZnが多くなると、芯材の電位が低くなり、腐食が起き易く、又、Mgが多くなると、融点が低下する等の問題が有ることから、Zn含有量は5wt%以下、Mg含有量は2wt%以下とした。尚、Znの好ましい含有量は4〜5wt%であり、Mgの好ましい含有量は1〜2wt%である。
【0009】
芯材には、前記Zn及びMgの他にも、0.1〜0.7wt%のMn、0.01〜0.15wt%のZr、0.01〜0.20wt%のTi、0.01〜0.15wt%のVの中から選ばれる一種または二種以上を含有させておくことが好ましい。すなわち、0.1〜0.7wt%のMnを含有させておくことにより、強度並びに耐蝕性が向上する。又、0.01〜0.15wt%のZrを含有させておくことにより、耐蝕性が向上する。又、0.01〜0.20wt%のTiを含有させておくことにより、耐蝕性が向上する。又、0.01〜0.15wt%のVを含有させておくことにより、耐蝕性が向上する。
【0010】
上記のような合金組成のAl合金芯材に対してクラッドされるろう材にはAl−Si−Zn合金を用いる。すなわち、芯材のAl合金中にはZnを含有させたことから、Al−Si合金をろう材とするのではなく、Al−Si−Zn合金をろう材とした。つまり、Znをろう材中に含有させておくことにより、ろう材層よりも芯材層の電位が貴となるようにしたのである。このことから、芯材中のZn含有量よりもろう材中のZn含有量を大きくすることが大事である。すなわち、ろう材として用いるAl合金は、3.0〜11wt%のSi、及び5.0〜25wt%のZn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金とした。尚、Siの好ましい含有量は5〜9wt%であり、Znの好ましい含有量は7〜12wt%である。
【0011】
上記の構成により、芯材の機械的強度は高く、かつ、ろう材層より電位が貴となって耐蝕性に富む。しかしながら、本発明では、一層の耐蝕性を目指した。すなわち、不可避不純物しか含まない純Al又は0.1〜1.5wt%のMn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金からなる中間層を、芯材層とろう材層との間に介在させた。このような組成の中間層を設けておくと、ろう付けが行われる前の段階では、中間層のZnは芯材層やろう材層よりも少ないことから、中間層の電位は芯材層やろう材層よりも貴である。しかし、ろう付けが行われた後では、Znが芯材層やろう材層から中間層に拡散して来て、逆に中間層の電位は芯材層よりも卑になる。例えば、ろう材(Al−8Si−10Zn)/中間材(Al−1.2Mn)/芯材(Al−1.4Mg−4.5Zn−0.1Zr)からなる1mm厚さ(ろう材及び中間材の厚さは各々10%)のブレージングシートの熱処理(600℃、5分)後における深さ(厚さ)方向の電位は図1中Aで示すものであるのに対して、ろう材(Al−8Si−10Zn)/芯材(Al−1.4Mg−4.5Zn−0.1Zr)からなる1mm厚さ(ろう材の厚さは10%)のブレージングシートの熱処理(600℃、5分)後における厚さ方向の電位は図1中Bで示すものであり、又、ろう材(Al−8Si−10Zn)/中間材(1070Al)/芯材(Al−1.4Mg−4.5Zn−0.1Zr)からなる1mm厚さ(ろう材及び中間材の厚さは各々10%)のブレージングシートの熱処理(600℃、5分)後における厚さ方向の電位は図1中Cで示すものであり、又、ろう材(Al−8Si)/中間材(Al−1.2Mn)/芯材(Al−1.4Mg−4.5Zn−0.1Zr)からなる1mm厚さ(ろう材及び中間材の厚さは各々10%)のブレージングシートの熱処理(600℃、5分)後における厚さ方向の電位は図1中Dで示すものであり、又、ろう材(Al−8Si)/中間材(1070Al)/芯材(Al−1.5Mg−4.5Zn)からなる1mm厚さ(ろう材及び中間材の厚さは各々10%)のブレージングシートの熱処理(600℃、5分)後における厚さ方向の電位は図1中Eで示すものである。このように、本発明になる組成のろう材/中間材/芯材のブレージングシートは、ろう付け後における耐蝕性が優れていることが判る。
【0012】
かつ、上記のような組成の中間層を設けておくことにより、芯材層のMgがろう材層に拡散するのを防止することになり、ろう付け性を低下させなくなる。
ろう材層や芯材層の厚さは、熱交換器の枠材として必要な機械的強度やろう付性から決められる。例えば、ろう材層の厚さは0.05〜0.15mm、芯材層の厚さは0.7〜1.5mmである。これに対して、中間材層は、芯材層のMgがろう材層に拡散するのを防止する機能をも担わせることから、0.1〜0.15mm程度の厚さであることが好ましい。すなわち、ブレージングシート全体の厚さから鑑みると、ろう材層の厚さは全厚の5〜10%、中間材層の厚さは全厚の7〜15%、芯材層の厚さが全厚の75〜85%であることが好ましい。
【0013】
そして、上記のように構成させたブレージングシートは、図2に示されるような空洞状の穴が形成され難く、耐久性に富み、機械的強度が長期間にわたって保証される。又、ろう付性も良い。
【0014】
【実施例】
下記の表−1に示す組成の芯材と中間材とろう材とをクラッド(クラッド比8:1:1。中間材がない場合は、クラッド比9:1)した1〜1.5mm厚さのブレージングシートを用意した。そして、このブレージングシートを用いてパラレルフロータイプのラジエータのサイドサポート材を構成した。
【0015】
このブレージングシートのろう付特性、及び熱処理(600℃、3分)後における機械的強度並びに耐蝕性(腐食試験は、外部腐食を想定し、芯材側を被覆して酸性塩水噴霧試験を行い、30日後のものである)を調べたので、その結果を表−2に示す。
【0016】
これから判る通り、本発明の構成のものは、ろう付性が良好なるのみならず、耐蝕性に富み、長期間にわたって機械的強度が有る。
【0017】
これに対して、本発明外の比較例になるものでは、ろう付性が悪かったり、又、耐蝕性に劣り、実用性に欠けることが判る。
尚、上記実施例では芯材/中間材/ろう材の三層構成であったが、中間材/芯材/中間材/ろう材の四層構成、ろう材/中間材/芯材/中間材/ろう材の五層構成であっても同様である。
【0018】
【効果】
サイドサポート材のように機械的強度が要求される枠材として用いた場合、空洞状の穴が形成され難く、耐久性に富み、機械的強度が長期間にわたって保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】電位特性を示すグラフ
【図2】腐食を示す概略図
Claims (4)
- 芯材と、ろう材と、前記芯材とろう材との間に設けられた中間材とを有するブレージングシートであって、
前記芯材は、3.0〜5.0wt%のZn、及び0.5〜2.0wt%のMg、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記ろう材は、3.0〜11wt%のSi、及び前記芯材中のZn含有量よりも高く、かつ、5.0〜25wt%のZn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記中間材は、不可避不純物しか含まないAlである
ことを特徴とするブレージングシート。 - 芯材と、ろう材と、前記芯材とろう材との間に設けられた中間材とを有するブレージングシートであって、
前記芯材は、3.0〜5.0wt%のZn、及び0.5〜2.0wt%のMg、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記ろう材は、3.0〜11wt%のSi、及び前記芯材中のZn含有量よりも高く、かつ、5.0〜25wt%のZn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金であり、
前記中間材は、0.1〜1.5wt%のMn、残部がAlと不可避不純物からなるAl合金である
ことを特徴とするブレージングシート。 - 芯材は、0.1〜0.7wt%のMn、0.01〜0.15wt%のZr、0.01〜0.20wt%のTi、0.01〜0.15wt%のVの中から選ばれる一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2のブレージングシート。
- 請求項1〜請求項3いずれかのブレージングシートからなることを特徴とする熱交換器の枠材。
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