JP3702512B2 - 画像形成方法及び現像剤 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真技術に関するものであり、より詳しくは電子写真現像剤及び画像形成方法、特にその2成分現像方式に用いられる改良されたキャリアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真法で使用される現像剤としてキャリアとトナーからなる2成分現像剤が多く使用されている。
【0003】
近年、キャリアの耐久性及び画質特に細線再現性の改良の点から鉄、マグネタイト、フェライト等の磁性体粒子に樹脂をコートしたコーティングキャリアが主流になっている。しかし、繰り返し画像を形成していくとコーティング樹脂が摩耗、剥離により、コアである磁性体粒子がキャリア表面に露出してくる。その結果、キャリアのトナーに対する帯電付与効果が著しく低下し、よってトナーの帯電量低下による地カブリの発生及びトナーの機内飛散が発生する。また、トナー成分の一部がキャリア表面に付着するいわゆるトナースペント現象が加速される。特に連続複写においては、トナーとキャリアに大きなせん断力がかかることからキャリアのコーティング樹脂が摩耗、剥離し易く、かつトナースペント現象が加速し耐久性が問題となる。
【0004】
また、最近大きな問題となっている環境保護対応(安全性)のひとつとして、セレン感光体から有機感光体の使用が主流になっている。更に感光体の耐久性を向上させるには現像時の感光体の表面電位を低電位にすることが有効である。しかし、通常の2成分現像剤を使用すると、電界強度が低くくなるため画像濃度が著しく低下する。これを解決するために、キャリアに対するトナー濃度を増加させたり、帯電量を低下させたりすることが提案されているが、この場合、トナー飛散が生じたり、或いは地カブリが発生したりする。
【0005】
このための解決手段としては、特開平3−213879号等にはキャリアのコーティング樹脂の層厚を薄膜化し、キャリアを低抵抗化することが有効であると提案されている。しかしこの場合、樹脂層を薄膜化するためにキャリアの耐久性は、上述した理由によりかなり低下するという問題を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、環境保護対応(安全性)のトナー側の観点からトナーを再利用するいわゆるトナーリサイクルシステムを採用することが望ましくなっている。トナーリサイクルシステムとは、転写されずに感光体に残留したトナーをクリーニング装置により回収し、回収したトナーを現像器又はトナー補給装置に戻して再利用するものである。このとき回収されたトナーは現像器又はトナー補給装置に戻るまでのリサイクルパイプによる搬送時に大きな機械的ストレスを受けるため、トナー表面上に存在する外部添加剤の埋め込みが激しくなり、トナーの流動性が低下し、キャリアと均一に混合されなかったり、或いはトナーの立ち上がり帯電性(初期帯電性)が大きく低下し、トナー飛散及び地カブリが発生する。この対策としては、現像器内でのキャリアとの混合性を向上させるために、スクリュータイプの撹拌部材の撹拌速度を上げたり、撹拌羽根の数を増加させたり、撹拌経路を長くし撹拌時間を延ばすなどの対策が取られてきたが、何れの場合もキャリアに対するせん断力が大きくなるため、キャリアの樹脂摩耗、剥離の促進或いはスペントの増加につながるものである。特にスペントに関しては、トナー表面上の外添剤が埋没するために、キャリアとトナーを構成する着色粒子(外添剤を除いたもの)とが直接接触するためにスペントが生じ易くなる傾向がある。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解消することであり、具体的には下記の課題に答えることにある。
【0012】
トナーリサイクルシステムを備えた複写装置において、コーティング樹脂の摩耗、剥離及びスペントを防止して、トナー飛散、地かぶり、キャリア付着の無い良好な画像を繰り返し複写にわたり得ることのできる画像形成方法及び現像剤を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成される。
【0014】
(1) 感光体上の静電潜像をキャリア及びトナーからなる現像剤を用いて顕像化し、顕像化された感光体上のトナー像を転写材に転写し、その後転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーング手段により回収し、回収したトナーを現像器又はトナー補給装置に戻して再利用するトナーリサイクルシステムを採用した画像形成方法において、上記キャリアはFe2O3並びに、Li,Be,Na,Mg,K,Ca及びRbからなるグループから選択される元素の酸化物の少なくとも1種を含有する磁性体粒子を樹脂により被覆してなることを特徴とする画像形成方法。
【0015】
(2) (1)記載の画像形成方法に用いられる現像剤であり、キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする現像剤。
【0016】
(3) キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする(1)記載の画像形成方法。
【0017】
(4)現像時の感光体の表面電位が400〜800V、電界強度4000〜25000V/cmである現像条件下に現像することを特徴とする(3)項記載の画像形成方法。
【0018】
(5) (1)記載の画像形成方法に用いられる現像剤であり、キャリアの磁性体粒子がグレインからなり、グレイン平均径に相当する粒径以下のトナー粒子が50個数%以下であることを特徴とする現像剤。
【0019】
(6) キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする(5)記載の現像剤。
【0020】
(7) (5)又は(6)記載の現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【0021】
電子写真画像形成装置において、2成分現像剤の耐久性を大きく支配しているのはキャリアの耐久性である。即ち繰り返し複写において、キャリア自身の諸物性特にトナーに対する帯電付与効果が変化しないことが重要である。通常コーティングキャリアの帯電付与効果はコーティング樹脂の剥離、摩耗による露出したコアの影響、スペント量の影響によって左右される。つまり、キャリアの耐久性を向上させるには、コーティング樹脂の剥離、摩耗及びスペント量を低減させることである。
【0022】
キャリア粒子はトナーに所定の帯電量を付与するために、現像器内でスクリュータイプ等の撹拌部材により機械的せん断力を受け、混合される。その際、撹拌部材及びキャリア同士でストレスを受け、その繰り返しによりコーティング樹脂の剥離、摩耗及びトナーからのスペント現象が起きる。従って、これら現象を防止するにはキャリアのコアである磁性体粒子を低比重化することでコーティング樹脂に対するストレスを低減出来ることが明かとなった。
【0023】
また、磁性体粒子自身の強度を高めることによって、ストレスによるキャリア自身の破壊をも防止することができる。
【0024】
本発明のキャリアのコアはFe2O3並びにLi,Be,Na,Mg,K,Ca及びRbからなるグループから選択される元素の酸化物の少なくとも1種を含有することを必須とし、更に望ましくはリン化合物をも含有し、そしてFe2O3及び上記軽金属グループの成分を除く他の成分の含有量が3重量%以下であるキャリアを使用することが望ましい。この時、コーティング樹脂の摩耗、剥離及びスペントを防止して、トナー飛散、地かぶりの無い良好な画像を繰り返し複写にわたり得ることのできる画像形成方法を提供することが可能である。
【0025】
本発明のキャリアのコアはFe2O3並びに周期律表IA,IIA族の低密度元素即ち密度2.0g/cm3以下の元素Li,Be,Na,Mg,K,Ca及びRbからなるグループから選択される元素の酸化物を少なくとも1種を含有し、それらの成分が相互に固溶し合うことによって、適度な磁気特性及び低比重が得られるものである。また、リン化合物を添加することによりキャリアの強度が向上させることができる。これは不明な点が多いが、リン化合物の添加により、コアのグレインの結晶化を促進し、均一な成長を実現するために、キャリアの強度が向上するものと推察される。
【0026】
更に、Fe2O3及び上記軽金属グループの成分、リン化合物を除く他の成分、たとえば焼結促進剤、グレイン径制御剤等の成分の含有量が3重量%以下にすることによって磁気特性及び低比重化に悪影響を及ぼすこと無く、その効果を発揮することができる。
【0027】
また、本発明のキャリアは磁性体粒子がトナーに対し比較的負帯電性を示すために、正帯電性現像剤に使用した場合、たとえコーティング樹脂が摩耗或いは剥離して、磁性体粒子が露出してもトナーの帯電性に対する影響を最低限に抑えられるために、トナー飛散や地かぶりを発生させること無く良好な画像が得られる。即ち、現像剤としての耐久性が向上する。
【0028】
一方、低表面電位、低電位強度である画像形成方法において、使用されるキャリアは、高画像濃度の達成の観点より、コーティング樹脂の層厚を薄膜化し、キャリアを低抵抗化したものを用いるのが好ましい。この場合、キャリアのコーティング樹脂の層厚を薄膜化しているため、通常のキャリアに比べて、コーティング樹脂の摩耗が速く、キャリアの耐久性は著しく低下する。そこで本発明の現像剤を用いると、上述した理由により、キャリアの耐久性が向上し、繰り返し複写において、高濃度で、かつトナー飛散、地かぶりの無い良好な画質を得ることができる。
【0029】
更に鋭意研究の結果、本発明者はキャリアコアのグレイン径が連続複写におけるスペント量に大きく影響していることを見いだした。
【0030】
グレイン径とは磁性体粒子100個を走査型電子顕微鏡により各粒子表面を250倍で観察し、任意にきめた一定の方向に平行に2本の線でグレインの両端を挟み、その間隔を粒子径とするフェレー(Feret)径(図6に示す径D)の平均をいう。
【0031】
キャリアコアのグレイン径は、コーティング樹脂の膜厚が薄い時、キャリア表面の凹凸形状に大きな影響を与える。即ちグレイン径が大きい場合は、キャリア表面の凹凸は少ないが、小さい場合凹凸が多くなる。又、もしコーティング樹脂の膜厚が厚い場合でも、摩耗及び剥離により、薄くなって来た時、キャリアコアのグレインが表面に出てくる。
【0032】
スペントトナーの多くは、該トナーの微粉成分がキャリア表面の凹部に付着し、その後数回の機械的ストレスによりキャリア表面に融着して行くことが解った。キャリア表面の凸部には、例えトナー微粒子成分が付着してもはずれやすい為に、スペントトナーの付着量は、多くはならないと考えられる。
【0033】
従って、スペントするトナー粒子又はその破片の大きさと、キャリア表面の凹凸の大きさの関係によっても、スペントの発生しやすさは変わってくる。即ちキャリアを形成するグレイン径が小さいということは、通常良く用いる5〜10μm程度の粒径をもつトナーに対してキャリア表面上に凹凸部が多数存在することであり、トナー微粉成分が凹部に付着しスペントは発生し易くなるのである。
【0034】
そこで、トナーの粒度分布において、キャリアコアの焼結一次粒子径(グレイン径)に相当するトナー粒径以下の個数%が50個数%以下であるトナーを使用することにより、キャリア表面の凹凸部に付着しにくくなり、スペント量が著しく低減することができることがわかった。
【0035】
【作用】
(キャリア)
具体的には、Fe2O3並びに周期律表IA,IIA族の低密度元素即ち密度2.0g/cm3以下の元素Li,Be,Na,Mg,K,Ca及びRbからなるグループから選択される元素の酸化物を少なくとも1種含有することを特徴とし、これらの成分が相互に固溶し合うことによって、適度な磁気特性及び低比重が得られるものと推察される。好ましくはLi或いはMgであり、特に好ましい酸化物はLi2Oである。ここで言う低比重とは、4.9以下、好ましくは4.7以下を指す。尚、比重の測定は気相置換法による高精度自動体積計(VM−100
エステック社製)によって行った。
【0036】
軽金属酸化物はキャリアの磁性体粒子組成物全量に対してモル比で5〜50モル%含有することが好ましく、特に10〜45モル%含有することが好ましい。軽金属酸化物が5モル%以下の場合、低比重化が達成されにくく、一方、50モル%以上の場合、感光体上に形成した静電潜像を正確に現像するために必要な磁気特性が得られにくい。
【0037】
キャリアを構成する軽金属酸化物は、原料時に必ずしも酸化物である必要はなく、焼結後に酸化物になっておればよい。たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、硫酸リチウムなどの酸素酸塩、ハロゲン化物、リチアキ石などの軽金属(リチウム)を主成分とする鉱物などを使用し、焼結後に酸化物を形成させてもよい。
【0038】
キャリアの強度を向上させるためには磁性体粒子にリン化合物を添加することが望ましい。リン化合物としては、たとえば黄リン、赤リン、白リン、黒リン、紫リン、金属リン又はリン酸化物などがある。リン化合物はキャリアの磁性体粒子組成物全量に対して2重量%以下を含有することが好ましく、特に1重量%以下含有することが好ましい。リン化合物が2重量%より多い場合キャリアの磁気特性及び低比重化に悪影響を及ぼすことがある。
【0039】
また、Fe2O3及び上記軽金属グループの成分を除く他の成分の含有量が3重量%以下にすることによって磁気特性及び低比重化に悪影響を及ぼすこと無く、且つその効果を十分に発揮することができる。
【0040】
上記他の成分としては、キャリアの磁性体粒子の電気抵抗及び帯電量を制御する成分或いは焼結促進剤としてV2O5,As2O3,Bi2O3,Sb2O3PbO2,CuO,B2O3,SiO2,CaO,Cs,Nb等の希土類化合物、Li2CO3,CuSO4,CuCl2,CaCO3などの金属化合物がある。
【0041】
キャリアコアのグレイン径は、0.5〜20μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜10μmである。
【0042】
本発明のグレイン径を有するキャリア粒子は、キャリア全重量の50重量%以上占めれば良い。
【0043】
グレイン径が20μmより大きい場合は、キャリア表面が滑らかになり、トナーとの接触機会が減少す為に、特に初期の帯電付与効果が低下する。グレイン径が0.5μmより小さい場合は、現像器内での機械的ストレスにより凸部が破壊され、キャリア微粉いわゆる茶粉が発生し、現像剤の帯電性に悪影響を与える。
【0044】
キャリアの磁性体粒子は焼結法、アトマイズ法等の製造方法によって製造でき、必要に応じて2種以上の微粉末を混合焼結することによって得られる。キャリアのグレイン径は原料の粉砕粒径、焼結時の温度、時間により制御される。
【0045】
このような組成形態をとり、感光体上に形成した静電潜像を正確に現像するためには、1000(Oe)(エルステッド)における磁化の強さ(σ1k)は35〜100(emu/g)が好ましく、より好ましくは、45〜80(emu/g)である。35(emu/g)より小さい場合は、現像スリーブへの磁気束縛力が小さいためキャリア付着が発生したり、磁気ブラシが小さくなるため、高濃度で良好な画像が得られない。100(emu/g)より大きい場合は、磁気ブラシが堅くなり、潜像に現像されたトナーを掃き取る即ちスカベージョン現象を起こし、現像方向に対して垂直な画像線を消失し易い。
【0046】
また、保持力が100(Oe)以下が好ましく、より好ましくは、50(Oe)以下である。100(Oe)以上の場合は、キャリア自身の凝集が強くなり、トナーとの混合性が低下したり、固定磁石を備えてなる現像スリーブ上においてキャリアが強く密着し、現像剤の搬送性が大きく低下するために、画像ムラが発生する。
【0047】
尚、磁気特性の測定は、直流磁化特性自動記録装置(3257−35型 横河電気製)により測定される。
【0048】
キャリアの電気抵抗は107〜1013(Ωcm)が好ましい。107(Ωcm)より小さい場合は、キャリア粒子への感光体表面から電荷の注入によるキャリア付着が発生しやすく、1013(Ωcm)より大きい場合は、高濃度の画像が得られにくい。
【0049】
電気抵抗の測定は常温常湿環境下で、二つの電極間に常温常湿下で調湿されたキャリアを厚さ約3(mm)にてはさみ込み、直流電圧500(V)を印加し、電流値を測定して、算出する。
【0050】
キャリア粒子の平均粒径は20〜300(μm)が好ましく、より好ましくは、30〜200(μm)である。20(μm)より小さい場合は、感光体へのキャリア付着が発生しやすい。300(μm)より大きい場合は、現像スリーブ上の現像ブラシが粗になり、良好な画像が得られなくなる。キャリアの平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック製)により測定される体積基準の平均粒径である。
【0051】
キャリア表面をコートする樹脂としては、公知の適当な樹脂を用いることができる。例えばフッ素含有樹脂(フッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン、フッ化ビニリデン−テトラフロロエチレン系共重合体、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系共重合体等)・シリコーン樹脂(メチルシリコーン、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン等)・スチレン系樹脂(スチレン、クロルスチレン、メチルスチレン等)・アクリル系樹脂(メチルメタクリレート、メチルアクリレート、プロピルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート等)・スチレン−アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂・エチレン系・ロジン変性樹脂・ポリアミド樹脂等またこれらを組み合わせて使用しても良い。特に好ましいのはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂である。
【0052】
コーティング樹脂の層厚は0.01〜2.0μmが好ましく、特に0.01〜1.0μmが好ましい。層厚が2.0μmより厚い場合、画像濃度が低く、良好な画像が得られない。層厚が0.01μmより薄い場合、現像スリーブから電荷が注入され、感光体表面にキャリア付着が発生しやすくなる。
【0053】
コーティング樹脂の層厚の測定はキャリア粒子を破壊し、その破断面を走査型顕微鏡で観察し、無作為に30カ所を抽出し、その平均値を層厚とした。
【0054】
樹脂コーティング方法としては、湿式法として浸積法、スプレードライ法等、乾式法として機械的衝撃力を加えて磁性粒子表面にコーティング樹脂微粒子を固着させ被覆する方法などが挙げられる。被覆樹脂量は磁性体粒子に対して0.01〜15重量%であることが好ましく、特に0.05〜10重量%であることが好ましい。
【0055】
〈画像形成方法〉
図1は、本発明の画像形成方法に適用できる画像形成装置の一例を示す。14は静電荷像担持体としての感光体であり、この感光体14は回転ドラム状の形態を有しており、特に易廃棄性の観点から有機感光体が好ましい。感光体14の周囲にはその回転方向上流側から下流側に向かって、順に帯電器1、露光光学系2、現像装置12、転写器5、分離器6、クリーニング装置15が配置されている。10は熱ローラー定着器である。
【0056】
この画像形成装置においては、帯電器1により感光体14の表面が一様な電位に帯電され、次いで露光光学系2により像様露光されて感光体14の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置12内に収容された後述する特定のトナー及びキャリアからなる現像剤により、上記の静電潜像が現像されてトナー像が形成される。このトナー像は転写器5により給紙部より給送された記録材Pに静電転写され、トナー像を転写した記録材Pは、分離器6により感光体14から分離され、その後、記録材P上のトナー像は熱ローラー定着器10により加熱定着されて定着画像が形成される。一方、転写器5を通過した感光体はクリーニング装置15により残留トナーがクリーニングされて次の画像の形成に供される。更にクリーニング装置に回収されたトナーは後述するトナーリサイクルシステムにより再び現像装置12及び又はトナー補給ボックス11に戻されて再使用に供される。
【0057】
トナーリサイクルシステムの具体例を図2及び3に示す。この例において12は現像装置、13は現像スリーブ、14は感光体、15はクリーニング装置、16はトナー搬送スクリュー1、17はトナー搬送スクリュー2、18はトナー搬送スクリュー3、11はトナー補給ボックスである。本例の装置はトナー搬送スクリュー1,2及び3により順次クリーニング装置15で回収したトナーを搬送し、現像装置に具備されたリサイクルトナー専用の分配器19(ニュートナー供給口とは別体)に供給する様にしたものである。即ち、16のトナー搬送スクリュー1、17のトナー搬送スクリュー2、18のトナー搬送スクリュー3はそれぞれ内部に回転軸とこの回転軸に沿ってスパイラル状に設けた羽根を有してなり、トナーは回転軸の回転に伴って羽根により順次搬送される。即ち、16のトナー搬送スクリュー1は、感光体14の感光面に略平行にクリーニング装置15内に設けられ、トナー搬送スクリュー1によって、搬送された回収トナーは、感光体14の端部に設けられた17のトナー搬送スクリュー2によって搬送され、そして18のトナー搬送スクリュー3によって搬送され、分配器19に供給され、それから現像装置12に戻され、このようにして回収したトナーは再び感光体14上の静電潜像の現像に供される。
【0058】
一方、図3は、回収したトナーを補給トナー補給ボックス11へ戻した例で、同図中12〜18は図2と同じで、本例の装置ではトナー搬送スクリュー1,2及び3により、順次クリーニング装置15で回収したトナーを搬送し、トナー補給ボックス15に供給するようにした例である。図3の例の図2の例との差異はトナー補給ボックス11内で新トナーと回収したリサイクルトナーを予め撹拌混合した後、現像装置12にトナーを供給するところに特徴がある。
【0059】
〈現像剤担持体(現像スリーブ)と現像プロセス条件〉
本発明に用いる現像装置は、多数のN,S極を備えたマグネットロールが、アルミニウム等の非磁性材料からなる現像剤担持体13内に収容されている。この現像剤担持体13は微小間隙(Dsd)をおいて、静電荷像担持体としての感光体14の感光面と向かい合うように設けられている。現像剤担持体13及び感光体14は各々機枠に回転可能に支持されており、そして各々は同方向又は逆方向に回転する。本発明においては、現像位置における現像剤担持体13、感光体14の移動方向が同方向(回転方向は互いに逆方向)となるように駆動されるのが望ましい。
【0060】
図4は本発明に用いられる現像装置周辺の概念図である。
【0061】
現像剤担持体13内には固定主磁極(N1)及び固定磁極(N2)、固定磁極(S1,S2,S3)が配置され、固定主磁極(N1)の傾き角度(θ)は、現像剤担持体13と静電荷像担持体14との互いの回転中心を結ぶ線(L1)と、固定主磁極とが成す角度で求められ、固定主磁極がL1よりも現像剤担持体13の回転方向上流側にある場合にはプラスの値で、固定主磁極がL1よりも現像剤担持体13の回転方向下流側にある場合にはマイナスの値で表わされる。
【0062】
この現像剤担持体13内に具備された固定主磁極(N1)の傾き角度(θ)は、+2〜+15°の範囲にあるのが本発明において好ましい。固定主磁極(N1)の傾き角度が+2°未満の場合、キャリア付着の発生が顕著となったり、静電荷像担持体14表面に傷が発生しその結果画像不良を生じてしまう可能性がある。また固定主磁極の傾き角度が+15°より大きい場合、現像剤担持体13上の現像剤が感光体14の表面を擦過できる幅(擦過幅)が過度に小さくなってしまい、その結果該感光体14表面の静電荷像を充分に現像できずにベタ部の濃度低下を引き起こしてしまう可能性がある。
【0063】
現像剤担持体13とその周縁部の間には、磁性現像剤層厚を規制し、現像剤の穂の長さを一定にできるように穂切り機構板を配置することが好ましい。現像剤担持体13と穂切り機構板との間隔(Hcut)は、300〜5000μmの範囲が好ましい。
【0064】
本発明の画像形成方法において、現像剤担持体と静電荷像担持体としての感光体の移動速度比(現像剤担持体表面の移動速度をVs、感光体表面の移動速度をVpとしたときの秒動速度比Vs/Vp)は1.0〜4.0の範囲であるのが好ましい。Vs/Vpが1.0未満では、現像領域へ十分なだけの現像剤を搬送しきれないためか、低い画像濃度のものしか得ることができないことがある。また、Vs/Vpが4.0を越えると現像剤の搬送は十分であるが、非常に速い速度で感光体表面を摺擦するために、該感光体表面に傷を生じさせることによる削れ粉が発生することがある。
【0065】
現像電界強度は以下の式により求められるものである。
【0066】
現像電界強度E=(V−Vs)/d(V/cm)
V:表面電位 Vs:直流バイアス電位
d:現像スリーブと感光体との現像ギャップ
ここにおいて現像電界強度が4000〜25000(V/cm)である現像条件に本発明の現像剤を適用することにより、好適な作用効果を生じるものである。現像電界強度が4000(V/cm)より小さい場合、高濃度の画像が得られない可能性があり、一方、現像電界強度が25000(V/cm)より大きい場合、感光体と現像スリーブとの間でリークし、画像形成ができないことがある。
【0067】
現像時の感光体(静電荷像担持体)の表面電位は耐久性の観点より400〜800(V)が好ましい。又、現像スリーブ(現像剤担持体)と感光体との現像ギャップは100〜2000μmが好ましく、特に300〜1000μmが好ましい。現像ギャップが2000μmより大きい場合、高濃度の画像が得にくく、100μmより小さい場合、現像ブラシにより感光体を掃刷し、横線が消失したり、ベタ部に掃き目がみられることがある。また、通常は現像スリーブ13と感光体14の間には現像バイアス電源(図示せず)によりバイアス電圧が印加されている。バイアスは直流バイアスのみでも良いし、交流バイアスと組み合わせても良い。何れにしろ直流バイアスは正規現像の場合50〜300Vが好ましい。
【0068】
使用できる感光体としては、通常使用されるセレン感光体、セレン−テルル感光体、アモルファスシリコン感光体、有機感光体などが挙げられる。
【0069】
〈クリーニング装置〉
クリーニング装置としては、ブレードクリーニング装置を好ましく用いることができる。また、クリーニングブレードの感光体に対する当接方法としては、カウンター当接方式やトレイル当接方式などがあるが、カウンター当接方式が低荷重領域でのクリーニング性能に優れており、有機感光体との組み合わせにおいては特に好ましく用いられる。
【0070】
図5は本発明に用いられるクリーニング装置15内部の概念図であり、感光体14表面に当接したクリーニングブレード9、クリーニングしたトナーを導くためのガイドプレート21、16はトナー搬送スクリュー1である。
【0071】
転写後の感光体14表面上に残留するトナーはクリーニングブレードにより掻き落とされ、落下したトナーはガイドプレートによりクリーニング装置15内に回収される。この回収したトナーは16のトナー搬送スクリュー1により搬送され、図2,3に記した手段により現像装置12へ供給される。
【0072】
クリーニングブレードの感光体14に対する当接角(α)は、クリーニングブレードと感光体14との接点から接線方向へ延長した線とクリーニングブレードとの成す角度で求められ、その当接角は6°〜25°の範囲で使用するのが好ましい。当接角が6°未満であると、有機感光体上に残存している転写残トナーを十分にクリーニングすることができないことがあり、また、当接角が25°より大きくなると、クリーニングブレードと感光体14との摺擦力が大きくなり、該感光体表面の摩耗が過度となったり、クリーニングブレードの反転が生じることがある。
【0073】
クリーニングブレードの感光体に対する押圧荷重(P)は、クリーニングブレード並びにそれを支持する部材の全重量をクリーニングブレードの自由長で割った値として定義されるが、その押圧荷重は、6〜30g/cmの範囲で使用するのが好ましい。押圧荷重が6g/cm未満であると、感光体上に残存している転写残トナーを十分にクリーニングすることができず、また、押圧荷重が30g/cmよりも大きくなると、有機感光体表面に傷を生じやすくなる。
【0074】
本発明においては、静電荷像担持体としての感光体は、有機光電性物質と有する有機感光体が好ましい。
【0075】
〈本発明に用いられるトナー〉
本発明にもちいるトナーは、顕電性、着色性及び定着性を有するそれ自体公知の任意のトナーであって、バインダー樹脂中に、着色剤、その他の特性改良剤を含有したものである。バインダー樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノール樹脂等、従来公知のものを用いることができる。
【0076】
本発明に用いる着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物、その他を挙げることができる。着色剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに十分な割合で含有されることが好ましく、通常バインダー樹脂に対して1〜20重量%の割合とされることが好ましい。
【0077】
本発明に用いるトナーにおいては、上記以外に特性改良剤を用いることができる。この特性改良剤として、例えば低分子量ポリエチレン、ポリプロピレンなどの低分子量オレフィン重合体若しくは共重合体、アルキレンビス脂肪酸アミド類、脂肪酸アルコールエステル類、などのオフセット防止剤を添加することができる。これらのオフセット防止剤は1種又は2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。また、その使用割合はバインダー樹脂に対して1〜20重量%の割合とされることが好ましい。
【0078】
また、ニグロシンベース(CI50415)、オイルブラック(CI20150)、スピロンブラック等の油溶性染料、ピリジニウム塩、トリフェニルメタン、アンモニウム塩等の窒素原子を含有する4級塩化合物、その他の任意の荷電制御剤を添加してもよい。
【0079】
このトナーは従来公知の製造方法によって得る事ができる。トナーの粒度分布はコールターカウンター(コールターカウンター社製)により測定する。
【0080】
トナーの体積平均粒径は2〜25μmで、4〜20μmが好ましい。
【0081】
キャリアに対するスペント量を低減するには、キャリアのグレイン径に相当するトナー粒径以下のものが個数分布基準で50個数%以下が好ましく、特に35個数%以下が好ましい。
【0082】
キャリアのグレイン径に相当するトナー粒径以下のものが個数分布基準で50個数%より大きい場合、スペント量減少の効果が小さい。
【0083】
〈その他の添加剤等〉
流動化剤については、従来公知の無機微粒子や、その他を用いることができる。
【0084】
又、無機微粒子としては、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ベリリウム、などの金属酸化物の微粒子を挙げることができる。これらの金属酸化物の微粒子は疎水化してもよい。
【0085】
また、摩擦減少物質(滑剤)として、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩を着色粒子へ添加してもよい。
【0086】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0087】
(実施例1〜6、比較例1、2)
(キャリアコアの製造)
モル比で表1のごとき組成になるように原料をそれぞれ秤量し、ボールミルで混合した。得られた混合粉を仮焼、粉砕し、バインダーを加えスプレードライヤーにより造粒した。その後、焼成し、体積平均粒径80μmの所望のキャリアコアC1〜C8を得た。
【0088】
【表1】
【0089】
(キャリアの製造)
(1)キャリアCC1、CC2及びCC7
メチルシリコーン樹脂2重量部をキシレン50重量部に溶解してなる被覆樹脂溶液中に、キャリアコアC1 100重量部を浸積した後、加熱してキシレンを除去し、更に180℃で3時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けし、キャリアCC1を得た。コアC1の代わりにC2及びC7を用いて同様に処理し、キャリアCC2及びCC7を得た。
【0090】
(2)キャリアCC3、CC4及びCC8
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体10重量部をアセトン160重量部に溶解した溶液をキャリアコアC3 1000重量部にスプレーコートし、ついで凝集物をふるい分けし、キャリアCC3を得た。コアC3の代わりにC4及びC8を用いて同様に処理し、キャリアCC4及びCC8を得た。
【0091】
(3)キャリアCC5、CC6
キャリアコアC5 1000重量部とメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体20重量部を混合した後、温度80〜90℃で高速撹拌型混合装置により機械的衝撃力を繰り返し付与して、キャリアCC5を得た。コアC5の代わりにC6を用いて同様に処理し、キャリアCC6を得た。
【0092】
(トナーの製造)
スチレン−アクリル共重合体100重量部と、カーボンブラック10重量部と、荷電制御剤(4級アンモニウム塩)1重量部、ポリプロピレン4重量部とを混合した後、溶融混練し、冷却後粉砕及び分級し体積平均径が8.5μmの着色粒子を得た。この着色粒子にシリカ微粉体を1.0重量%添加し、高速撹拌型混合機により着色粒子表面に付着させトナーを得た。
【0093】
(実施例1〜6及び比較例1、2)
各実施例及び比較例においては、トナーの含有濃度が4.5重量%になるように、それぞれのキャリアと上記トナーとを混合し、現像剤を調整した。
【0094】
実施例1〜6は、キャリアCC1〜CC6を用い、比較例1、2は、キャリアCC7、CC8を用いた。
【0095】
(現像剤の評価)
(評価項目)
〈画像濃度〉
マクベス濃度計(RD−918)によりコピー画像及びプリント画像のベタ黒部分の絶体反射濃度を4点測定し平均値を示した。
【0096】
〈かぶり〉
サクラデンシトメーター(コニカ(株)社製)により、転写紙の白地部分(反射濃度0.0)に対応するコピー画像又はプリント画像の白地部分の相対濃度を測定した。0.01未満は問題ないレベルであり、一方、0.01以上は実用上問題のあるレベルである。
【0097】
〈キャリア付着〉
コピー画像を目視によりキャリア付着の有無を判定した。
【0098】
〈スペント〉
現像剤から界面活性剤を用いてキャリアのみを分離し、そのキャリア3.0gを100mlのメチルエチルケトン中に入れ、スペント物を溶かし、その溶液の500nmにおける透過率を分光光度計(330型日立自記分光光度計)により測定し、その値をスペント量(キャリア汚染度)とした。スペント物がない場合は100%であり、スペントの増加により値は小さくなる。100〜90%の場合を「○」、90〜70%の場合を「△」、70%以下の場合現像剤の帯電量が著しく低下し、トナー飛散、かぶりを発生するので「×」とした。「△」までは実用可能水準である。
【0099】
〈トナー飛散〉
現像領域の下の部分に白紙を置き、飛散するトナーを付着させ、その白紙を同評価機と同じ定着条件で定着させ、その濃度をサクラデンシトメーターにより、紙の白地部分(反射濃度0.0)に対応する相対濃度を測定し、相対濃度が0.01未満の場合を「○」、0.01以上0.02未満の場合を「△」、0.02以上の場合を「×」とした。「△」までは実用可能水準である。
【0100】
(現像剤の評価)
負帯電性有機感光体を搭載し、トナーリサイクルシステムを備えてなる電子複写機(KonicaU−BIX 3135 コニカ(株)社製)改造機を使用して、20万コピーにわたる実写テスト(環境条件:温度25℃、湿度55%)を行い、評価結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
表2から明かなように、実施例1〜6では、20万コピーまで画像濃度が高く安定しており、かぶり、キャリア付着、トナー飛散の発生もなく、高画質な画像が得られた。またスペントの発生も殆ど無くキャリアとしても十分な耐久性が得られた。
【0103】
一方、比較例1、2は比重が大きく、現像器内で機械的ストレスを受け易く、実写評価の比較的早い時期(5万コピー)から、コーティング樹脂の剥離、摩耗及びスペント量の増加を導き、キャリアの帯電付与効果が著しく低下し、かぶり、トナー飛散、キャリア付着の発生を引き起こした。
【0104】
(実施例7〜13、比較例3、4)
(キャリアコアの製造)
モル比で表3のごとき組成になるよう原料をそれぞれ秤量し、ボールミルで混合した。得られた混合粉を仮焼、粉砕し、バインダーを加えスプレードライヤーにより造粒した。その後、焼成し、体積平均粒径65μmの所望のキャリアC9〜C16を得た。これらのトナー(後述記載)(キャリアコアに対して4重量%添加混合)に対する帯電性をブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル社製:TB−200)により測定したところC16を除いて全て負帯電性を示した。
【0105】
【表3】
【0106】
(キャリアの製造)
(1)キャリアCC9、CC10
メチルシリコーン樹脂1重量部をキシレン50重量部に溶解してなる被覆樹脂溶液中に、キャリアコアC9 100重量部を浸積した後、加熱してキシレンを除去し、更に180℃で3時間にわたり熱処理して、ついで凝集物をふるい分けし、表4に示すキャリアCC9を得た。CC10については、表3のコアを使用しメチルシリコーン樹脂量を変えることで膜厚を調整した以外は同様に製造した。
【0107】
(2)キャリアCC11〜CC13及びCC16
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体10重量部をアセトン160重量部に溶解した溶液をキャリアコアC11 1000重量部にスプレーコートし、ついで凝集物をふるい分けし、表4に示すキャリアCC11を得た。CC12,CC13及びCC16については、表3のコアを使用しフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体樹脂量を変えることで膜厚を調整した以外は同様に製造した。
【0108】
(3)キャリアCC14、CC15、CC17
キャリアコアC14 1000重量部とメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体10重量部を混合した後、温度80〜90℃で高速撹拌型混合装置により機械的衝撃力を繰り返し付与して表4に示すキャリアCC14を得た。CC15及びCC17については、表3のコアを使用しメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体樹脂量を変えることで膜厚を調整した以外は同様に製造した。
【0109】
【表4】
【0110】
(トナーの製造)
スチレン−アクリル共重合体100重量部と、カーボンブラック8重量部と、荷電制御剤(ニグロシン染料)2重量部、ポリプロピレン4重量部とを混合した後、溶融混練し、冷却後粉砕及び分級し体積平均径が8.0μmの着色粒子を得た。この着色粒子にシリカ微粉体を0.6重量%添加し、高速撹拌型混合機により着色粒子表面に付着させトナーを得た。
【0111】
(実施例7〜13及び比較例3,4)
各実施例及び比較例においては、トナーの含有濃度が5.5重量%になるように、それぞれのキャリアと上記トナーとを混合し、正帯電用現像剤を調整した。帯電性はブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル社製:TB−200)により測定し、全現像剤が正帯電性現像剤であることを確認した。
【0112】
実施例7〜13は、キャリアCC9〜CC15を用い、比較例3,4は、キャリアCC16、CC17を用いた。
【0113】
(現像剤の評価)
負帯電性有機感光体を搭載し、トナーリサイクルシステムを備えた電子複写機(Konica U−BIX 3135 コニカ(株)社製)改造機を使用して、現像条件を感光体表面電位600V、現像電界強度9000V/cm(直流バイアス電位150V、現像スリーブと感光体との現像ギャップ500μm現像スリーブと穂切り機構板との間隔(Hcut)450μm、Vs/Vp=2.3))とし、10万コピーにわたる実写テスト(環境条件:温度25℃、湿度55%)を行った。評価項目基準は実施例1に準じた。
【0114】
評価結果を表5に示す。
【0115】
【表5】
【0116】
表5で明らかなように、実施例7〜13では、10万コピーまで画像濃度が高く安定しており、かぶり、キャリア付着、トナー飛散の発生もなく、高画質な画像が得られた。またスペントの発生も殆ど無くキャリアとしても十分な耐久性が得られた。
【0117】
比較例3及び4は比重が大きく、現像器内で機械的ストレスを受け易く、コーティング樹脂の剥離、摩耗及びスペント量の増加を導き、キャリアの帯電付与効果が著しく低下し、かぶり、トナー飛散、更にキャリア付着を発生した。
【0131】
【発明の効果】
本発明により、以下の効果が得られる。
【0136】
本発明の画像形成方法及び現像剤は、トナーリサイクルシステムを備えた複写装置において、コーティング樹脂の摩耗、剥離及びスペントを防止して、トナー飛散、地かぶり、キャリア付着の無い良好な画像を繰り返し複写にわたり得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の断面図。
【図2】本発明に用いるトナーリサイクルシステムを説明する図。
【図3】本発明に用いるトナーリサイクルシステムを説明する図。
【図4】本発明に用いられる現像装置周辺の概念図。
【図5】本発明に係るクリーニング装置内部の概念図。
【図6】フェレー(Feret)径の概念図。
【符号の説明】
11 トナー補給ボックス
12 現像装置
13 現像剤担持体(現像スリーブ)
14 静電荷像担持体(感光体)
15 クリーニング装置
16 トナー搬送スクリュー1
17 トナー搬送スクリュー2
N1 固定主磁極
θ 固定主磁極の傾き角度
Claims (7)
- 感光体上の静電潜像をキャリア及びトナーからなる現像剤を用いて顕像化し、顕像化された感光体上のトナー像を転写材に転写し、その後転写されずに感光体上に残留したトナーをクリーング手段により回収し、回収したトナーを現像器又はトナー補給装置に戻して再利用するトナーリサイクルシステムを採用した画像形成方法において、上記キャリアはFe2O3並びに、Li,Be,Na,Mg,K,Ca及びRbからなるグループから選択される元素の酸化物の少なくとも1種を含有する磁性体粒子を樹脂により被覆してなることを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1記載の画像形成方法に用いられる現像剤であり、キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする現像剤。
- キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
- 現像時の感光体の表面電位が400〜800V、電界強度4000〜25000V/cmである現像条件下に現像することを特徴とする請求項3記載の画像形成方法。
- 請求項1記載の画像形成方法に用いられる現像剤であり、キャリアの磁性体粒子がグレインからなり、グレイン平均径に相当する粒径以下のトナー粒子が50個数%以下であることを特徴とする現像剤。
- キャリアの被覆樹脂の層厚が0.01〜2.0μmであることを特徴とする請求項5記載の現像剤。
- 請求項5又は6記載の現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
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