JP3702383B2 - メガネフレームのツル継手構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁石の反発力を付勢して、従来のバネ蝶番と同じような機能を備えたメガネフレームのツルの継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般のメガネフレームツルは蝶番を介して折畳み可能に連結されている。ヨロイはレンズを嵌めているリムの外側にロウ付けされていて、該蝶番を構成する両蝶片はヨロイとツルの端部内側面にロウ付けされ、フロント部に固定されたヨロイに対してツルは折畳み出来る。しかし小さな蝶番を介して繋がれたツルは安定した折畳み動作を持続することは出来ない。すなわち、小さな蝶番はその軸ネジが緩んだり、摺動面が磨耗したりしてガタ付き、その結果、ツルの安定性も損なわれて、着用したメガネが位置ズレしたり又は外れたりする。
【0003】
それに蝶番はそのサイズが小さいこともあって製作は面倒であり、しかも最も開いた状態がヨロイの側片と一直線であって、それ以上は開かない継手構造と成っている。勿論、単にメガネを顔に掛けるだけであればツルの開き度はこれで十分であって、又ツルには多少のバネ性がある為に僅かに湾曲して顔にフィットすることが出来る。
【0004】
ただし、ツルのバネ特性だけで顔にフィットさせ、掛けているメガネがガタ付かないのはメガネを購入して僅かの期間に過ぎない。上記ツル自体のバネ特性は極端に曲げて塑性変形しない限りその材質によって常時一定で、力を除去すれば元の形状に戻ることが出来るが、上記のように該ツルを連結している蝶番にガタ付きを生じてしまう為に、従来の蝶番のみによるツルの継手構造では、フロントフレームに何らかの衝撃が加わった際に、該衝撃力を吸収する手段がなく、メガネは顔から落ちたり、レンズを破損したり、時にはフレーム自体を曲げてしまうといった事態も発生する。
【0005】
ところで、このようなメガネフレームの問題点を解消する一手段として、ツルがヨロイ側片との直線状態から、さらに僅かに外方向へ開くことが出来る継手構造が望まれて一部で使用されている。この継手構造の従来例を示しているのが図5であり、バネ蝶番と称される。すなわち、該バネ蝶番の基本的な考えは、ヨロイ(イ)には固定蝶片(ロ)をロウ付け固定し、他方の蝶片を摺動蝶片(ハ)として一定距離の摺動を許すことによって外方向への開きをツル(ニ)に与えることが出来る。
【0006】
ツル(ニ)にはガイド溝が形成され、摺動蝶片(ハ)はガイド溝を案内として摺動する訳であるが、上記摺動蝶片(ハ)の内部空洞にはコイルバネ(ホ)が収まっていて、ツル(ニ)を外ヘ開く際には摺動蝶片(ハ)が固定蝶片(ロ)側へ引張られて圧縮される。該コイルバネ(ホ)は摺動蝶片(ハ)の内部空洞入口に設けられてツル(ニ)の溝穴(ヘ)に係止したツメ(ト)に当たり、該ツメ(ト)はストッパーとして機能している。その結果、コイルバネ(ホ)の復元力がツル(ニ)に作用して、該ツル(ニ)を元の位置に戻そうとする。
【0007】
ところで、上記摺動蝶片(ハ)にコイルバネ(ホ)を内臓した蝶番構造は同図に示すごとく複雑であり、したがって製作工数も増大し、コスト的には高価なバネ付き蝶番と成ってしまう。しかも構造が複雑化している為に故障し易く、一旦故障すれば修理し難い等の問題もある。摺動蝶片(ハ)の内部空洞にコイルバネ(ホ)と芯金を押し込んでツメ(ト)に係止するならば、該ツメ(ト)並びにコイルバネ(ホ)を取り外すことが出来ない。すなわち、ツメ(ト)は摺動蝶片(ハ)のガイドに拘束された状態でツメ(ト)の係止片(チ)が溝穴(ヘ)に嵌入し、芯金の頭(リ)はバネ力を持ってツメ(ト)に当接し、係止片(チ)を溝穴(ヘ)へ押し込む力が働くことになる。したがって、このツメ(ト)を摺動蝶片(ハ)から取外すことが出来なくなると同時に、修理は不能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のバネ付き蝶番には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、非常にコンパクトであって、又構造が簡単な故に故障することがないメガネフレームのツル継手構造を提供する。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
本発明のツル継手構造は従来のバネ蝶番と同じ作用・効果を備えるものであるが、その構成要素としてコイルバネは使用しない。本発明では従来のバネ蝶番の構成要素であるコイルバネの代わりに一対の永久磁石を使用し、この磁石の反発力を利用してツルに弾性力を付与することが出来る。蝶番は従来と同じように固定蝶片と摺動蝶片から成り、ヨロイ側には固定蝶片をロウ付け固定し、ツル側には摺動蝶片を有し、ツルは摺動蝶片のガイドに沿ってスライド可能な状態で取着されている。時には固定蝶片と摺動蝶片の位置関係を反対にすることも可能である。
【0010】
磁石は摺動蝶片とツルとの間に形成された空間に収容されており、両磁石は互いに反発力を作用し合う向きに配置される。一方の磁石後端は摺動蝶片に形成した空間の後端面に当り、他方の磁石後端はツルに形成した空間の後端面に当接して位置決めされている。両磁石は互いに反発し合う為に、後方端は空間の後端面と隙間なく当接し、対向面間の隙間が小さくなるとその反発力はさらに大きくなる。
【0011】
そこで、ツルを折畳む際には両磁石は対向面間の隙間をそのままの状態で移動することなく、摺動蝶片は固定蝶片との連結軸を中心として回動し、摺動蝶片に取付けられているツルも同時に旋回して折畳まれる。そしてツルを開いた状態ではヨロイ先端面とツル端面は当接するが、従来のバネ蝶番の場合と同じようにツルは外方向へ僅かに押し開くことが出来る。
【0012】
この場合、ヨロイ先端面とツル端面の接合面が基点と成ってツルは旋回し、その結果、摺動蝶片側の空間の後端面に当って嵌っている磁石は摺動蝶片と共にツル側の空間に嵌っている磁石に近づく。そこで両磁石間の反発力はさらに大きくなることから、ツルを元の位置に戻そうとする復元力が発生する。
【0013】
一対の磁石の配置方法は必ずしも互いに反発する場合に限らず、互いに引き合う向きに配置することも可能である。摺動蝶片とツルにそれぞれ磁石を固定して互いに突き合わせておき、押し開く場合には摺動蝶片とツル間に滑りが生じることで両磁石が離れるようにし、そして両磁石の引き合い力を利用してツルに復元力を付与することが出来る。しかし、両磁石の引き合い力がゼロに成らない範囲以上ツルが押し開かないようにストッパーを設ける。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
【実施例】
図1は本発明のツル継手構造を備えているメガネフレームを示し、図2は図1のA部断面拡大図を表わしている。フロントフレーム1の外側にはヨロイ2,2がロウ付けされ、そしてヨロイ2,2にはツル3,3が蝶番4,4を介して折畳み出来るように取付けられている。ツル3は折畳み出来るだけでなく、図1に示す状態から外方向へ僅かに押し開くことが出来、押し開いた場合には復元力が発生してツル3を元の位置へ戻すように働く。
【0015】
本発明のツル継手構造を図2に示すように、蝶番4はヨロイ2にロウ付けされる固定蝶片5とツル3に取付けられる摺動蝶片6からなり、両蝶片5,6は軸ネジ7にて連結され、互いに屈曲することが出来、摺動蝶片6が屈曲することでツル3は折畳まれる。同図はツル3が開いた状態であり、ツル3の端面8はヨロイ先端面9に当り、ツル3の開き度は一応規制されている。
【0016】
本発明のツル3は同図に示す状態から、さらに外方向ヘ僅かに押し開くことが出来る構造と成っている。上記ツル3は摺動蝶片6にロウ付けされておらず、B―B断面を(b)に示しているように、ツル3は摺動蝶片6に形成しているガイドに嵌っていて、スライドすることが出来る。そしてツルの端部には空間10が形成され、同じく摺動蝶片6にも空間11が形成されている。
【0017】
この空間10,11は連続し、内部には磁石12,13が収容されていて、両磁石12,13はその形状を直角三角形として、互いに反発する力を作用し合っている。図3は両磁石12,13の斜面間で作用する反発力P,Pを表わしていて、この反発力Pは水平分力Lと垂直分力Hに分力されて、水平分力Lは空間10,11の後端面14,15に作用して磁石12,13の後端はこれら後端面14,15に当接している。一方の垂直分力Hは空間10,11の底面16,17に作用し、磁石12,13の底はこれら底面16,17に当接している。
【0018】
すなわち、対向する両磁石12,13が反発することで、磁石12,13は空間10,11のコーナに当って正しく位置決めされる。ツル端部は内側が開口した空間10と成っていて、この空間の長手方向に形成されている溝に摺動蝶番6に設けた脚18,18が嵌ってガイドされ、そしてツル3は摺動蝶片6から抜かない限り外れない。摺動蝶片6の空間11は両脚18,18間に形成される。
【0019】
ところで、空間10,11に収容した磁石12,13は互いに反発して離れようとするが、摺動蝶片6の先端にはストッパー19が設けられ、ツルの空間の端面に当って位置決めされている。したがってツル3を折畳む際には、両磁石12,13はそのままの状態でツル3及び摺動蝶片6と共に旋回する。
【0020】
図4は前記図2の状態からツル3を外方向へ僅かに押し開いた場合を示している。ツルの端面8はヨロイ先端に当接し、この当接点を基点としてツル3は旋回するが、この場合、摺動蝶片6もツル3と共に旋回し、同時にツル3は先端方向(同図の左方向)ヘ移動し、両磁石12,13間の隙間はより小さくなる。そして摺動蝶片6のストッパー19と空間10との間に隙間20が形成される。
【0021】
したがって、外方向へ押し開いたツル3は磁石12,13の反発力によってもとの位置に戻ろうとするモーメントが働き、従来のバネ蝶番と同じ作用を成す。ここで、空間10,11に収容される磁石12,13は実施例に示すような直角三角形に限るものではなく、互いに反発する方向に向けてツル側と摺動蝶片側にそれぞれ取付ける。
【0022】
図5は本発明の他の実施例であって、両磁石21,22が互いに引き合うように配置している。磁石21は摺動蝶片6に固定され、一方の磁石22はツル3に固定されていて、両磁石は互いに突き合わされている。そしてツル3が押し開かれるならば、突き合わされている磁石21,22は離れることに成る。しかし互いに引き合う力が発生する為に、ツル3は元の位置に戻る復元力が発生する。
【0023】
そして摺動蝶片6にはストッパー23が取着されていて、ツル3に形成したガイド溝24に沿ってストッパー23は移動するが、ストッパー23の移動距離はガイド溝24の長さの範囲に限定される。すなわち、両磁石21,22の引き合う力が存在するする範囲内で移動出来るようにガイド溝24の長さが設定される。以上述べたように、本発明のツル継手構造はツルと摺動蝶片間に磁石を配置し、両磁石間に作用する反発力、又は引き合い力を利用して押し開いたツルに復元力を付与したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0024】
【発明の効果】
本発明のツル継手構造はツル側と摺動蝶片側に形成した空間に両磁石が互いに反発する方向に配置したものであり、ツルを開いた状態からさらに外方向ヘ僅かに押し開くことが出来、この場合、両磁石の反発力の作用でツルは元の位置へ戻される。すなわち、磁石の反発力を利用することで従来のバネ蝶番と同じ作用を行うことが出来る。そして本発明は両磁石をツル側と摺動蝶片側に形成した空間に配置した至って簡単な構造であり、故障することはなく、製作コストも非常に安くなる。同じように、ツルと摺動蝶片間に互いに引き合う一対の磁石を配置することでバネ蝶番と同じ作用・効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】メガネフレームの平面図。
【図2】本発明のツル継手構造を示す実施例。
【図3】両磁石間に作用する反発力。
【図4】ツルを外方向へ押し広げた場合。
【図5】本発明のツル継手構造を示す他の実施例。
【図6】従来のバネ蝶番。
【符号の説明】
1 フロントフレーム
2 ヨロイ
3 ツル
4 蝶番
5 固定蝶片
6 摺動蝶片
7 軸ネジ
8 端面
9 先端面
10 空間
11 空間
12 磁石
13 磁石
14 後端面
15 後端面
16 底面
17 底面
18 脚
19 ストッパー
20 隙間
21 磁石
22 磁石
23 ストッパー
24 ガイド溝
【発明の属する技術分野】
本発明は磁石の反発力を付勢して、従来のバネ蝶番と同じような機能を備えたメガネフレームのツルの継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般のメガネフレームツルは蝶番を介して折畳み可能に連結されている。ヨロイはレンズを嵌めているリムの外側にロウ付けされていて、該蝶番を構成する両蝶片はヨロイとツルの端部内側面にロウ付けされ、フロント部に固定されたヨロイに対してツルは折畳み出来る。しかし小さな蝶番を介して繋がれたツルは安定した折畳み動作を持続することは出来ない。すなわち、小さな蝶番はその軸ネジが緩んだり、摺動面が磨耗したりしてガタ付き、その結果、ツルの安定性も損なわれて、着用したメガネが位置ズレしたり又は外れたりする。
【0003】
それに蝶番はそのサイズが小さいこともあって製作は面倒であり、しかも最も開いた状態がヨロイの側片と一直線であって、それ以上は開かない継手構造と成っている。勿論、単にメガネを顔に掛けるだけであればツルの開き度はこれで十分であって、又ツルには多少のバネ性がある為に僅かに湾曲して顔にフィットすることが出来る。
【0004】
ただし、ツルのバネ特性だけで顔にフィットさせ、掛けているメガネがガタ付かないのはメガネを購入して僅かの期間に過ぎない。上記ツル自体のバネ特性は極端に曲げて塑性変形しない限りその材質によって常時一定で、力を除去すれば元の形状に戻ることが出来るが、上記のように該ツルを連結している蝶番にガタ付きを生じてしまう為に、従来の蝶番のみによるツルの継手構造では、フロントフレームに何らかの衝撃が加わった際に、該衝撃力を吸収する手段がなく、メガネは顔から落ちたり、レンズを破損したり、時にはフレーム自体を曲げてしまうといった事態も発生する。
【0005】
ところで、このようなメガネフレームの問題点を解消する一手段として、ツルがヨロイ側片との直線状態から、さらに僅かに外方向へ開くことが出来る継手構造が望まれて一部で使用されている。この継手構造の従来例を示しているのが図5であり、バネ蝶番と称される。すなわち、該バネ蝶番の基本的な考えは、ヨロイ(イ)には固定蝶片(ロ)をロウ付け固定し、他方の蝶片を摺動蝶片(ハ)として一定距離の摺動を許すことによって外方向への開きをツル(ニ)に与えることが出来る。
【0006】
ツル(ニ)にはガイド溝が形成され、摺動蝶片(ハ)はガイド溝を案内として摺動する訳であるが、上記摺動蝶片(ハ)の内部空洞にはコイルバネ(ホ)が収まっていて、ツル(ニ)を外ヘ開く際には摺動蝶片(ハ)が固定蝶片(ロ)側へ引張られて圧縮される。該コイルバネ(ホ)は摺動蝶片(ハ)の内部空洞入口に設けられてツル(ニ)の溝穴(ヘ)に係止したツメ(ト)に当たり、該ツメ(ト)はストッパーとして機能している。その結果、コイルバネ(ホ)の復元力がツル(ニ)に作用して、該ツル(ニ)を元の位置に戻そうとする。
【0007】
ところで、上記摺動蝶片(ハ)にコイルバネ(ホ)を内臓した蝶番構造は同図に示すごとく複雑であり、したがって製作工数も増大し、コスト的には高価なバネ付き蝶番と成ってしまう。しかも構造が複雑化している為に故障し易く、一旦故障すれば修理し難い等の問題もある。摺動蝶片(ハ)の内部空洞にコイルバネ(ホ)と芯金を押し込んでツメ(ト)に係止するならば、該ツメ(ト)並びにコイルバネ(ホ)を取り外すことが出来ない。すなわち、ツメ(ト)は摺動蝶片(ハ)のガイドに拘束された状態でツメ(ト)の係止片(チ)が溝穴(ヘ)に嵌入し、芯金の頭(リ)はバネ力を持ってツメ(ト)に当接し、係止片(チ)を溝穴(ヘ)へ押し込む力が働くことになる。したがって、このツメ(ト)を摺動蝶片(ハ)から取外すことが出来なくなると同時に、修理は不能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のバネ付き蝶番には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、非常にコンパクトであって、又構造が簡単な故に故障することがないメガネフレームのツル継手構造を提供する。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
本発明のツル継手構造は従来のバネ蝶番と同じ作用・効果を備えるものであるが、その構成要素としてコイルバネは使用しない。本発明では従来のバネ蝶番の構成要素であるコイルバネの代わりに一対の永久磁石を使用し、この磁石の反発力を利用してツルに弾性力を付与することが出来る。蝶番は従来と同じように固定蝶片と摺動蝶片から成り、ヨロイ側には固定蝶片をロウ付け固定し、ツル側には摺動蝶片を有し、ツルは摺動蝶片のガイドに沿ってスライド可能な状態で取着されている。時には固定蝶片と摺動蝶片の位置関係を反対にすることも可能である。
【0010】
磁石は摺動蝶片とツルとの間に形成された空間に収容されており、両磁石は互いに反発力を作用し合う向きに配置される。一方の磁石後端は摺動蝶片に形成した空間の後端面に当り、他方の磁石後端はツルに形成した空間の後端面に当接して位置決めされている。両磁石は互いに反発し合う為に、後方端は空間の後端面と隙間なく当接し、対向面間の隙間が小さくなるとその反発力はさらに大きくなる。
【0011】
そこで、ツルを折畳む際には両磁石は対向面間の隙間をそのままの状態で移動することなく、摺動蝶片は固定蝶片との連結軸を中心として回動し、摺動蝶片に取付けられているツルも同時に旋回して折畳まれる。そしてツルを開いた状態ではヨロイ先端面とツル端面は当接するが、従来のバネ蝶番の場合と同じようにツルは外方向へ僅かに押し開くことが出来る。
【0012】
この場合、ヨロイ先端面とツル端面の接合面が基点と成ってツルは旋回し、その結果、摺動蝶片側の空間の後端面に当って嵌っている磁石は摺動蝶片と共にツル側の空間に嵌っている磁石に近づく。そこで両磁石間の反発力はさらに大きくなることから、ツルを元の位置に戻そうとする復元力が発生する。
【0013】
一対の磁石の配置方法は必ずしも互いに反発する場合に限らず、互いに引き合う向きに配置することも可能である。摺動蝶片とツルにそれぞれ磁石を固定して互いに突き合わせておき、押し開く場合には摺動蝶片とツル間に滑りが生じることで両磁石が離れるようにし、そして両磁石の引き合い力を利用してツルに復元力を付与することが出来る。しかし、両磁石の引き合い力がゼロに成らない範囲以上ツルが押し開かないようにストッパーを設ける。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
【実施例】
図1は本発明のツル継手構造を備えているメガネフレームを示し、図2は図1のA部断面拡大図を表わしている。フロントフレーム1の外側にはヨロイ2,2がロウ付けされ、そしてヨロイ2,2にはツル3,3が蝶番4,4を介して折畳み出来るように取付けられている。ツル3は折畳み出来るだけでなく、図1に示す状態から外方向へ僅かに押し開くことが出来、押し開いた場合には復元力が発生してツル3を元の位置へ戻すように働く。
【0015】
本発明のツル継手構造を図2に示すように、蝶番4はヨロイ2にロウ付けされる固定蝶片5とツル3に取付けられる摺動蝶片6からなり、両蝶片5,6は軸ネジ7にて連結され、互いに屈曲することが出来、摺動蝶片6が屈曲することでツル3は折畳まれる。同図はツル3が開いた状態であり、ツル3の端面8はヨロイ先端面9に当り、ツル3の開き度は一応規制されている。
【0016】
本発明のツル3は同図に示す状態から、さらに外方向ヘ僅かに押し開くことが出来る構造と成っている。上記ツル3は摺動蝶片6にロウ付けされておらず、B―B断面を(b)に示しているように、ツル3は摺動蝶片6に形成しているガイドに嵌っていて、スライドすることが出来る。そしてツルの端部には空間10が形成され、同じく摺動蝶片6にも空間11が形成されている。
【0017】
この空間10,11は連続し、内部には磁石12,13が収容されていて、両磁石12,13はその形状を直角三角形として、互いに反発する力を作用し合っている。図3は両磁石12,13の斜面間で作用する反発力P,Pを表わしていて、この反発力Pは水平分力Lと垂直分力Hに分力されて、水平分力Lは空間10,11の後端面14,15に作用して磁石12,13の後端はこれら後端面14,15に当接している。一方の垂直分力Hは空間10,11の底面16,17に作用し、磁石12,13の底はこれら底面16,17に当接している。
【0018】
すなわち、対向する両磁石12,13が反発することで、磁石12,13は空間10,11のコーナに当って正しく位置決めされる。ツル端部は内側が開口した空間10と成っていて、この空間の長手方向に形成されている溝に摺動蝶番6に設けた脚18,18が嵌ってガイドされ、そしてツル3は摺動蝶片6から抜かない限り外れない。摺動蝶片6の空間11は両脚18,18間に形成される。
【0019】
ところで、空間10,11に収容した磁石12,13は互いに反発して離れようとするが、摺動蝶片6の先端にはストッパー19が設けられ、ツルの空間の端面に当って位置決めされている。したがってツル3を折畳む際には、両磁石12,13はそのままの状態でツル3及び摺動蝶片6と共に旋回する。
【0020】
図4は前記図2の状態からツル3を外方向へ僅かに押し開いた場合を示している。ツルの端面8はヨロイ先端に当接し、この当接点を基点としてツル3は旋回するが、この場合、摺動蝶片6もツル3と共に旋回し、同時にツル3は先端方向(同図の左方向)ヘ移動し、両磁石12,13間の隙間はより小さくなる。そして摺動蝶片6のストッパー19と空間10との間に隙間20が形成される。
【0021】
したがって、外方向へ押し開いたツル3は磁石12,13の反発力によってもとの位置に戻ろうとするモーメントが働き、従来のバネ蝶番と同じ作用を成す。ここで、空間10,11に収容される磁石12,13は実施例に示すような直角三角形に限るものではなく、互いに反発する方向に向けてツル側と摺動蝶片側にそれぞれ取付ける。
【0022】
図5は本発明の他の実施例であって、両磁石21,22が互いに引き合うように配置している。磁石21は摺動蝶片6に固定され、一方の磁石22はツル3に固定されていて、両磁石は互いに突き合わされている。そしてツル3が押し開かれるならば、突き合わされている磁石21,22は離れることに成る。しかし互いに引き合う力が発生する為に、ツル3は元の位置に戻る復元力が発生する。
【0023】
そして摺動蝶片6にはストッパー23が取着されていて、ツル3に形成したガイド溝24に沿ってストッパー23は移動するが、ストッパー23の移動距離はガイド溝24の長さの範囲に限定される。すなわち、両磁石21,22の引き合う力が存在するする範囲内で移動出来るようにガイド溝24の長さが設定される。以上述べたように、本発明のツル継手構造はツルと摺動蝶片間に磁石を配置し、両磁石間に作用する反発力、又は引き合い力を利用して押し開いたツルに復元力を付与したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0024】
【発明の効果】
本発明のツル継手構造はツル側と摺動蝶片側に形成した空間に両磁石が互いに反発する方向に配置したものであり、ツルを開いた状態からさらに外方向ヘ僅かに押し開くことが出来、この場合、両磁石の反発力の作用でツルは元の位置へ戻される。すなわち、磁石の反発力を利用することで従来のバネ蝶番と同じ作用を行うことが出来る。そして本発明は両磁石をツル側と摺動蝶片側に形成した空間に配置した至って簡単な構造であり、故障することはなく、製作コストも非常に安くなる。同じように、ツルと摺動蝶片間に互いに引き合う一対の磁石を配置することでバネ蝶番と同じ作用・効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】メガネフレームの平面図。
【図2】本発明のツル継手構造を示す実施例。
【図3】両磁石間に作用する反発力。
【図4】ツルを外方向へ押し広げた場合。
【図5】本発明のツル継手構造を示す他の実施例。
【図6】従来のバネ蝶番。
【符号の説明】
1 フロントフレーム
2 ヨロイ
3 ツル
4 蝶番
5 固定蝶片
6 摺動蝶片
7 軸ネジ
8 端面
9 先端面
10 空間
11 空間
12 磁石
13 磁石
14 後端面
15 後端面
16 底面
17 底面
18 脚
19 ストッパー
20 隙間
21 磁石
22 磁石
23 ストッパー
24 ガイド溝
Claims (1)
- ツルが開いた状態からさらに外方向へ僅かに押し開くことが出来るツルの継手構造において、ヨロイ側には固定蝶片を設け、摺動蝶片にはツルをスライド可能に取付け、ツルと摺動蝶片間に形成した空間には一対の磁石を配置すると共に両磁石は互いに反発し合う方向に向けられ、そして上記磁石の形状を直角三角形とし、斜辺を対向する面として配置したことを特徴とするメガネフレームのツル継手構造。
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