JP3031283U - メガネフレームのツル継手構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 メガネフレームのツルであって、ツルがガタ
付くことなく安定するとともに、バネ蝶番にて連結した
と同じような機能を有し、そして、ツルを折り畳んだ場
合にもバタ付かないようにしたツル継手構造の提供。 【解決手段】 ツル端部にはバネ性に富む２本のアーム
３ａ、３ｂを備えて先端には軸４ａ、４ｂを形成し、ヨ
ロイ２は概略Ｃ型断面を成して内側に開口５を持つ空間
６を有し、この空間６の上下には溝７ａ、７ｂを形成す
るとともに、該溝７の両側にはテーパー面８、９を有
し、上記アーム３ａ、３ｂを溝７ａ、７ｂに嵌め、アー
ム端の軸４ａ、４ｂを溝底に形成した軸穴に嵌入する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はメガネフレームのツルの継手、特に従来のバネ蝶番としての機能とと もに、折り畳まれたツルがバタ付かないようにしたツル継手構造に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

一般のメガネフレームツルは図７に示すごとく、蝶番を介して折り畳み可能に 連結されている。ヨロイはレンズを止着している枠にロウ付けされていて、該蝶 番のそれぞれの蝶片はヨロイとツルの端部内側面にロウ付けされ、固定されたヨ ロイに対しツルが屈曲する訳であるが、該ツルは安定した折り畳み動作を持続す ることは出来ない。すなわち、小さい蝶番はその軸ネジが緩んだり、摺動面が摩 耗したりしてガタ付き、その結果ツルの安定性も無くなり、着用したメガネが位 置ズレしたり又は外れたりする。

【０００３】 それに蝶番はそのサイズが小さいこともあって製作は面倒であり、しかも最も 開いた状態が同図の実線で示すようにヨロイと一直線であって、それ以上は開か ない継手構造と成っている。勿論、単にメガネを顔に掛けるだけであればツルの 開き度はこれで十分であって、又、ツルには多少のバネ性があるため、僅かに湾 曲して顔にフィットすることが出来る。

【０００４】 ただし、ツルのバネ特性だけで顔にフィットして、掛けているメガネがガタ付 かないのは購入して僅かの期間にすぎず、上記ツル自体のバネ特性は極端に曲げ て塑性変形しない限りその材質によって常時一定で、力を除去すれば元の形状に 戻ることが出来るが、上記のように該ツルを連結している蝶番にガタ付きを生じ てしまう。又、従来の蝶番のみによるツルの継手構造では、フロントフレームに 何らかの衝撃が加わった際に、該衝撃力を吸収する手段がなく、メガネが顔から 落ちてしまったり、レンズを破損したり、時にはフレーム自体を曲げてしまうと いった事態も発生する。

【０００５】 ところで、このようなメガネフレームの問題点を解消する一手段として、ツル がヨロイとの直線状態から、さらに僅かに外方向に開くことの出来る継手構造が 望まれ、一部で使用されている。この継手構造の従来例を示しているのが図８で あり、バネ蝶番と称される。すなわち該バネ蝶番の基本的考え方は、ヨロイ(イ) には固定蝶片(ハ) をロウ付け固定し、他方の蝶片を摺動蝶片（ニ)として一定距離 の摺動を許すことによって、点線で示すごとく外方向への開きをツル(ロ) に与え ることが出来る。

【０００６】 ツル(ロ) にはガイド(ホ) を内側面に固定していて、該摺動蝶片（ニ)はガイド(ホ ) を案内として摺動する訳であるが、上記摺動蝶片（ニ)の内部にはコイルバネ（ 図示なし）が収まっていて、ツル(ロ) を外へ開く際には圧縮されるように長さが 調整されており、該コイルバネの復元力がツルに作用する。ところで、上記摺動 蝶片（ニ)にコイルバネを内蔵した蝶番構造は複雑であり、したがって製作工数も 増大し、コスト的には高価なバネ付き蝶番となってしまう。しかも構造が複雑化 しているために故障し易く、一旦故障すれば修理しにくい等の問題もある。

【０００７】 この種のバネ付き蝶番はツルにバネ力を付勢して、該ツルを外方向へ開くこと が出来る構造と成っているが、あくまでも蝶番を用いた継手構造である為に、蝶 番のガタ付きは従来と同じように発生し、それに基づくツルの安定性は損なわれ る。

【０００８】

【本考案が解決しようとする課題】

このように従来のメガネフレームのツル継手構造には上記のごとき問題がある 。本考案が解決しようとする課題はこれら問題点であり、蝶番を用いることなく 安定したツル継手構造を提供することであり、又組立が簡単で、バネ付き蝶番に 相当する機能を備えたツル継手構造の提供である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るメガネフレームのツル継手構造は従来の蝶番を用いないで折り畳 み出来る構造と成っていて、バネ蝶番として機能するように構成している。そこ で、ツル端（ヨロイ側）にはバネ性のある２本のアームを所定の間隔をおいて延 ばし、その先端には軸を屈曲させて形成している。該軸はヨロイに設けている軸 穴に嵌入して軸支され、ツルは軸を中心として折り畳まれることになる。

【００１０】 そして軸穴が設けられるヨロイはフロントフレームにロウ付けされ、又はフロ ントフレームと一体化して形成される。ところで、該ヨロイの縦断面は概略Ｃ型 を成し、内部空間は内側に開口を有すとともに、該空間の上下端には溝が形成さ れてツルのアームが嵌り込むことになる。軸穴は溝底に貫通して設けられると共 に、該溝は両側にテーパーを形成した断面と成っている。従って、ツルの両アー ムはバネ力を付勢した状態で溝に嵌り込むことでガタ付くことなく安定し、そし てツルは溝から脱出することで折り畳まれる。

【００１１】 また開口の縁面は該開口を拡大するようにフロントフレーム側へテーパーを形 成し、ツルを折り畳むと同時に両アームが拡大するように構成している。そして 溝に嵌り込んでいるアームは、ツルを外方向へ押し開く場合にはテーパー面に沿 って移動して内側に寄ることが出来、従ってツルを外方向へ押し開くにはバネ力 が作用するバネ蝶番と同じ機能を呈し得る。以下、本考案に係る実施例を図面に 基づいて詳細に説明する。

【００１２】

【実施例】

図１は本考案に係るメガネフレームのツル継手構造を示す実施例で、外観図を 表している。同図において、１はツル、２はヨロイを表し、ツル端には２本のア ーム３ａ、３ｂが延びていて、ヨロイ２と連結している。アーム３ａ、３ｂはバ ネ性に優れた金属製の線材であり、先端を外方向へ屈曲して軸４ａ、４ｂを有し ている。軸４ａ、４ｂはヨロイ側に設けている軸穴に嵌入して軸支され、上記ツ ル１が折り畳み出来るように連結している。

【００１３】 図２は図１（ｂ）のＡ−Ａ断面拡大図を示しているが、ヨロイ２の断面は概略 Ｃ型形状をなし、内側に開口５を有した空間６を形成している。そして該空間６ の上下には溝７ａ、７ｂが形成され、これら溝７ａ、７ｂにアーム３ａ、３ｂが 嵌り込んでいる。アーム３ａ、３ｂは両間隔を縮められた状態で嵌り込んでいる 為に、溝底にはバネ力が付勢された状態となって、アーム３ａ、３ｂ及びツル１ はガタ付くことなく安定する。

【００１４】 図３は溝７の拡大図であり、該溝７の両側は所定の角度α、βで立ち上がるテ ーパー面８、９を有している。従ってアーム３はこのテーパー面８、９に沿って 移動することが出来、該テーパー面８、９に沿ってアーム３が移動するならば両 アーム３ａ、３ｂの間隔は縮まり、バネ力は強化され、その結果、該アーム３ａ 、３ｂを移動させるにはある程度の抵抗が生じる。

【００１５】 ところで、ツル１が折り畳まれる場合には、図４（ａ）に示すように、テーパ ー面９に沿ってアーム３が移動し、開口５の縁面１０から脱出する。この場合、 テーパー面９を移動することで、両アーム３ａ、３ｂ間の間隔は縮まり、ツル１ を折り畳むにはある程度の抵抗がある。この折り畳み抵抗はテーパー面βの角度 、並びに溝底から縁面１０までの高さに左右される。

【００１６】 図４（ｂ）はツル１を外方向へ押し開く場合のアーム３の動きを示している。 アーム３は角度αのテーパー面８に沿って移動し、その結果、両アーム３ａ、３ ｂ間の間隔は縮まり、ツルを押し開くにはある程度の抵抗が生じる。従って、ツ ル１を手放すならばアーム３ａ、３ｂは再び広がって元の溝底へ戻ることになる 。すなわち、バネ蝶番と同じ機能を呈すことになる。この押し開き抵抗もテーパ ー面８の角度αに左右される。

【００１７】 図５は前記図１のＢ矢視拡大図である。ヨロイ２の内側には開口５が形成され ているが、縁面１０ａ、１０ｂは同一面ではなく、テーパー面１１ａ、１１ｂを 有していて、開口５はフロントフレーム側を拡大している。ツル１が折り畳まれ る場合、アーム３ａ、３ｂを円でもって表しているが、同図のようにアーム３ａ 、３ｂは矢印に沿って縁面１０ａ、１０ｂを移動し、そしてテーパー面１１ａ、 １１ｂを移動する。

【００１８】 両テーパー面１１ａ、１１ｂを矢印のように移動するならば両アーム３ａ、３ ｂ間の間隔は拡大して折り畳まれる。従って一旦折り畳まれたツル１が開く場合 には両アーム３ａ、３ｂを縮めなくてはならず、従って開き抵抗が生じる為に、 折り畳まれたツル１はバタ付くことなく安定する。

【００１９】 ところで、以上説明した実施例は全て金属製ツルを対象としたものであるが、 樹脂製ツルの場合にも適用することは出来る。図６は樹脂製ツルを表した実施例 であり、ツル端部には空洞１２を形成し、アーム３ａ、３ｂは該空洞１２内に取 付けられている。勿論、アーム３ａ、３ｂの基部はツル内に埋着され、先端に形 成した軸４ａ、４ｂはツル端から突出している。この場合、ヨロイはフロントフ レームの両サイドに埋着することが出来る。

【００２０】 以上述べたように、本考案に係るメガネフレームのツル継手構造はツル端に軸 を形成した２本のアームを有し、ヨロイは概略Ｃ型断面として内側を開口し、ア ーム軸をヨロイの軸穴に軸支したものであって、次のような効果を得ることが出 来る。

【００２１】

【考案の効果】

本考案のツル継手構造は従来のような蝶番を用いず、ヨロイに設けた軸穴にツ ル端部に設けたアーム端の軸を軸支したものであって、その構造は至って簡単で ある。そして両アームはバネ性があってヨロイの溝に嵌入してバネ力を付勢して いる為にツルがガタ付くことはない。そして溝は両側にテーパー面を有している 為にツルを押し開くことが出来ると共に、その場合には両アームの間隔が縮んで バネ力が作用して、従来のバネ蝶番と同じ機能を呈し得る。

【００２２】 又、ヨロイ開口の縁面にテーパー面を形成するならば、ツルを折り畳んだ場合 に安定し、ツルがバタ付くことはなくなる。一方、本考案のツルはヨロイの軸穴 にアーム端の軸を軸支して連結する為に、該ツルは簡単に取り外し出来、新たな ツルを取付け可能となる。従って、デザインの異なるツルを交換することで色々 なバリエーションのメガネを楽しむことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のツル継手構造を示す実施例。

【図２】図１（ｂ）のＡ−Ａ断面拡大図。

【図３】ヨロイに形成した溝の拡大図。

【図４】溝に嵌ったアームが移動する軌跡。

【図５】溝から出たアームが縁面に沿って移動し、ツル
が折り畳まれる場合。

【図６】樹脂製ツルの実施例。

【図７】従来の蝶番継手。

【図８】従来のバネ付蝶番。

【符号の説明】

１ ツル ２ ヨロイ ３ アーム ４ 軸 ５ 開口 ６ 空間 ７ 溝 ８ テーパー面 ９ テーパー面 10 縁面 11 テーパー面 12 空洞

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 メガネのフロントフレームにツルを折り
   畳み可能に連結するツル継手構造において、ツル端部に
   はバネ性に富む２本のアームを備えて先端には軸を形成
   し、フロントフレームの両サイドに設けたヨロイは概略
   Ｃ型断面を成して内側に開口をもつ空間を有し、そして
   空間の上下には溝を形成するとともに、溝の両側には所
   定角度の立ち上がりテーパー面を有し、そして溝底には
   軸穴を設けて上記アーム先端の軸を軸穴に嵌入して軸支
   したことを特徴とするメガネフレームのツル継手構造。
2. 【請求項２】 メガネのフロントフレームにツルを折り
   畳み可能に連結するツル継手構造において、ツル端部に
   はバネ性に富む２本のアームを備えて先端には軸を形成
   し、フロントフレームの両サイドに設けたヨロイは概略
   Ｃ型断面を成して内側に開口をもつ空間を有し、そして
   空間の上下には溝を形成するとともに、溝の両側には所
   定角度の立ち上がりテーパー面を有し、そして溝底には
   軸穴を設けて上記アーム先端の軸を軸穴に嵌入して軸支
   し、さらにヨロイ開口の縁面にはテーパー面を形成して
   フロントフレーム側の開口を拡大したことを特徴とする
   メガネフレームのツル継手構造。