JP3702150B2 - ピックアップ傾き調整機構を有するディスク記録又は再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクの信号面に対してピックアップを傾ける傾き調整機構を具えたディスク記録又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のディスク記録又は再生装置の斜視図である。シャーシ(1)上には、周知の如くディスク(7)が載置されるターンテーブル(3)と、該ターンテーブル(3)に接近離間可能に設けられたピックアップ(2)を具える。ピックアップ(2)は上面に対物レンズ(22)を具え、シャーシ(1)上の2本のガイド軸(4)(4)に移動を案内される。各ガイド軸(4)の両端部は、シャーシ(1)上のブラケット(9)(9)に嵌まる。
図7は、ディスク(7)の裏面図である。ディスク(7)の信号面には、円周方向に沿って複数のピット(73)(73)が凹設され、該ピット(73)にレーザー光を当てたときと、ピット(73)以外の箇所にレーザー光を当てたときとでは反射光の強さが異なる。これにより、0と1からなるデジタル信号を再生する。
【0003】
近年、ディスク(7)には、信号が高密度記録されたものがある。かかるディスクでは、図7に示すディスク半径方向のピット(73)(73)の間隔Hが狭い。
この高密度記録された信号を読み出すために、対物レンズ(22)の開口数(NA)を大きく設け(具体的には0.6)、ビーム径の小径化を図っている。
レーザー光の光軸がディスク(7)の信号面に対して僅かに傾いた場合、開口数の3乗とディスク厚みに比例してコマ収差が発生することが知られている。このコマ収差は再生信号波形に歪みを与え、ジッタを悪化させる。換言すれば、レーザー光の光軸がディスク(7)の信号面に対して傾くと、開口数が大きい故に、ジッタを悪化させやすいので、レーザー光の光軸の傾きを補正することが必要となる。
そこで、シャーシ(1)上にピックアップ(2)の傾きを調整する機構を設け、ディスク記録又は再生装置を製造する工程に於いて、ピックアップ(2)の傾きを微調整し、高密度記録されたディスクをスムーズに再生することが提案されている。
【0004】
図8は、図6をA−A線を含む面内にて破断した従来の傾き調整機構の断面図である。
ブラケット(9)は、ガイド軸(4)が嵌まる開口(99)を内側に向け、止めビス(50)にてシャーシ(1)に取り付けられている。各ブラケット(9)内にてシャーシ(1)上にはネジ孔(10)が開設され、シャーシ(1)の下方からは、調整ネジ(6)(6)がネジ孔(10)に螺合する。各調整ネジ(6)にてガイド軸(4)の端部を支える。ガイド軸(4)とシャーシ(1)間には、ガイド軸(4)を下向きに付勢する引張りバネ(40)が掛けられている。引張りバネ(40)と調整ネジ(6)とブラケット(9)とにより、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に垂直な面内にて、ガイド軸(4)及びピックアップ(2)を傾ける調整機構(5)を構成する。
ピックアップ(2)を傾けるには、何れか一方の調整ネジ(6)を回す。ガイド軸(4)は引張りバネ(40)に抗して持ち上がり、ピックアップ(2)を傾き調整できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、ネジ孔(10)と調整ネジ(6)の螺合部分を図8のC方向から見た正面断面図である。周知の如く、ネジ孔(10)と調整ネジ(6)のネジ部との間には、僅かにネジ嵌合用の隙間Sが存在する。従って、調整ネジ(6)はこの隙間S分だけガタ付く。
この結果、図10に示すように、本来調整ネジ(6)は一点鎖線で示す位置にあるべきにも拘わらず、実線で示すように、本来の位置から傾く。この結果、ガイド軸(4)の高さが本来の位置から図10のdだけズレて、ピックアップ(2)の傾き角が変わる。特に、シャーシ(1)が薄い場合には、調整ネジ(6)の傾き量が大きくなり、ズレ量dが大きくなる。
本発明の目的は、調整ネジのガタ付きを無くして、ガイド軸の高さズレを防止することにある。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に略垂直な面内にてガイド軸(4)の傾き角度を変える調整機構(5)は、ガイド軸(4)の端部を支持するブラケット(9)と、シャーシ(1)又はブラケット(9)に螺合して先端部がガイド軸(4)に接する調整ネジ(6)を具え、該ブラケット(9)には、ガイド軸(4)の両側を挟む側壁(92)(92)が設けられ、ブラケット(9)又はシャーシ(1)上には、調整ネジ(6)をシャーシ(1)に略平行な面内にてピックアップ(2)の移動方向に略直交し、且つ調整ネジ ( 6 ) の進行方向に略直交する向きに付勢して、一方の側壁(92)に押圧するバネ体が設けられ、
バネ体が調整ネジ ( 6 ) を側壁 (92) に押圧することにより、ガイド軸 ( 4 ) に接する調整ネジ ( 6 ) の先端部の高さズレを防ぐ。
【0007】
【作用及び効果】
調整ネジ(6)は、バネ体によって一方の側壁(92)に押圧されており、ネジ孔(10)と調整ネジ(6)の隙間の存在に起因して調整ネジ(6)がガタ付くことは規制される。これにより、従来のように、調整ネジ(6)がガタ付くことにより、ガイド軸(4)の高さが本来の調整位置からズレることはなく、ガイド軸(4)及びピックアップ(2)を安定して調整できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
(全体構成)
以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。
図1は、本例に関わるディスク記録又は再生装置の斜視図であり、ピックアップ(2)がガイド軸(4)に案内されて、ターンテーブル(3)に接近離間する構成は、従来と同様である。本例にあっては、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に垂直な面内にて、ガイド軸(4)の傾きを調整する機構(5)に特徴がある。
シャーシ(1)上の側部には、モータ(M)が設けられ、該モータ(M)は歯車機構(21)を介して、ピックアップ(2)の側部に設けられたラック(20)に連繋する。モータ(M)に通電すると、歯車機構(21)の各ギアが回転し、ピックアップ(2)がガイド軸(4)に沿って移動する。
シャーシ(1)上には、ガイド軸(4)の端部に対応して合成樹脂製のブラケット(9)が、止めビス(50)により取り付けられている。後記の如く、ブラケット(9)と調整ネジ(6)にて、ガイド軸(4)の傾き調整機構(5)を構成する。ガイド軸(4)はブラケット(9)に支持されて、シャーシ(1)との間に架けられた引張りバネ(40)によって下向きに付勢される。
【0009】
傾き調整機構
図2は、ブラケット(9)とガイド軸(4)の分解斜視図である。ブラケット(9)には、上面が開口した凹部(90)が形成され、該凹部(90)の近傍に、止めビス(50)が貫通する透孔(91)が開設されている。凹部(90)の両側に側壁(92)(92)が位置し、両側壁(92)(92)の一部は受け片(93)により繋がっている。ガイド軸(4)は凹部(90)内に嵌まり、傾き調整されるまでは、受け片(93)に支持される。
一方の側壁(92)には、凹部(90)に繋がる凹条(94)が開設され、該凹条(94)内にバネ片(8)が設けられる。バネ片(8)はブラケット(9)と一体に形成されている。
図3は、図2をA−A線を含む面にて破断した側面断面図である。シャーシ(1)上にてブラケット(9)の凹部(90)に対応した位置には、ネジ孔(10)が開設され、シャーシ(1)の下方から調整ネジ(6)がネジ孔(10)に螺合する。調整ネジ(6)をシャーシ(1)の下方から締め込み方向に回転させると、ガイド軸(4)は引張りバネ(40)に抗して、受け片(93)から離れて調整ネジ(6)により支持される。
【0010】
図5(a)、(b)は、図2をB方向から見た正面断面図である。バネ片(8)は、調整ネジ(6)のネジ部に対向し、表面が滑らかな押し面(80)を具え、該押し面(80)はネジ部の複数の山に亘って調整ネジ(6)に接する長さに形成されている。押し面(80)は、調整ネジ(6)の移行路に臨出するとともに、受け片(93)に載置されたガイド軸(4)の下方に位置している。
【0011】
傾き調整操作
図5(a)に示す状態から、調整ネジ(6)を締めると、調整ネジ(6)はバネ片(8)を側方に撓ませながら進行する。バネ片(8)は弾性力にて調整ネジ(6)を一方の側壁に向けて付勢する。側壁(92)と調整ネジ(6)間の摩擦係数をμとすると、図5(b)に示す弾性力Fにより、摩擦力μFが発生する。然るに、押し面(80)は表面が滑らかであるから、この摩擦力μFは小さく、引張りバネ(40)の付勢力より小さい。故に、ガイド軸(4)は引張りバネ(40)に引っ張られながら、端部が上昇する。
仮に摩擦力μFが引張りバネ(40)の付勢力を越えれば、調整ネジ(6)を締め込んだ後に緩めた場合に、ガイド軸(4)が摩擦力μFによって調整ネジ(6)に引っ掛かって下がらない。故に、傾き調整がスムーズにできない。本例にあっては、摩擦力μFが引張りバネ(40)の付勢力より小さいから、このような虞れはない。
【0012】
調整ネジ(6)は、バネ片(8)によって一方の側壁(92)に押圧されており、ネジ孔(10)と調整ネジ(6)の隙間分だけ調整ネジ(6)がガタ付くことは規制される。これにより、従来のように、調整ネジ(6)がガタ付くことにより、ガイド軸(4)の高さが本来の調整位置からズレることはない。従って、ガイド軸(4)及びピックアップ(2)を安定して調整できる。特に、装置の軽量化、薄型化に鑑みて、シャーシ(1)は薄型化が要望されており、本例の構成は、かかる薄いシャーシ(1)を具えた記録又は再生装置に有効である。
また、押し面(80)の上下長さが非常に短く、調整ネジ(6)のネジ部の谷間に入り込むと、押し面(80)が邪魔になり調整ネジ(6)が進行できなくなる。然るに、本例にあっては、押し面(80)はネジ部の複数の山に亘る長さに形成されているから、押し面(80)が調整ネジ(6)のネジ部の谷間に入り込む虞れはなく、調整ネジ(6)はスムーズに進行できる。
【0013】
尚、ガイド軸(4)の傾きを調整する際には、例えば、再生信号のエラーレートを確認しながら行なうことが考えられる。これは、テスト用の基準信号が記録されたディスクを再生し、該再生信号のエラーレート、即ち基準信号のビット列に対しピックアップ(2)が正しく再生しなかったビット列の割合を確認しながら、調整ネジ(6)を回してガイド軸(4)を傾き調整する。エラーレートが最良となったところで調整を止める。
本例にあっては、シャーシ(1)にネジ孔(10)を開設しているとしたが、図4に示すように、ブラケット(9)の上面にネジ孔(10)を開設し、ガイド軸(4)を圧縮バネ(41)によって上向きに付勢する構成であってもよい。
また、バネ片(8)をブラケット(9)に一体に設けているとしたが、ブラケット(9)とは別個に設けてもよい。また、バネ片(8)を板バネにて形成し、シャーシ(1)上に設けてもよい。
【0014】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスク記録又は再生装置の斜視図である。
【図2】ブラケットとガイド軸の分解斜視図である。
【図3】図2をA−A線を含む面にて破断した側面断面図である。
【図4】他の調整機構を示す側面断面図である。
【図5】(a)、(b)は、図2をB方向から見た正面断面図である。
【図6】従来のディスク記録又は再生装置の斜視図である。
【図7】ディスクの裏面図である。
【図8】図6をA−A線を含む面内にて破断した断面図である。
【図9】ネジ孔と調整ネジを図8のC方向から見た正面断面図である。
【図10】ブラケットの正面断面図であり、調整ネジのガタ付きを示す。
【符号の説明】
(1) シャーシ
(2) ピックアップ
(3) ターンテーブル
(4) ガイド軸
(6) 調整ネジ
(9) ブラケット
(92) 側壁
Claims (2)
- シャーシ(1)上にディスク(7)を回転させるターンテーブル(3)と、ターンテーブル(3)に接近離間可能に移動自在に設けられたピックアップ(2)と、ピックアップ(2)の移動方向に延びピックアップ(2)が嵌まるガイド軸(4)と、ピックアップ(2)の移動方向を含みシャーシ(1)上面に略垂直な面内にてガイド軸(4)の傾き角度を変える調整機構(5)とを具え、該調整機構(5)はガイド軸(4)の端部を支持するブラケット(9)と、シャーシ(1)又はブラケット(9)に螺合して先端部がガイド軸(4)に接する調整ネジ(6)を設けたディスク記録又は再生装置に於いて、
ブラケット(9)には、ガイド軸(4)の両側を挟む側壁(92)(92)が設けられ、ブラケット(9)又はシャーシ(1)上には、調整ネジ(6)をシャーシ(1)に略平行な面内にてピックアップ(2)の移動方向に略直交し、且つ調整ネジ ( 6 ) の進行方向に略直交する向きに付勢して、一方の側壁(92)に押圧するバネ体が設けられ、
バネ体が調整ネジ ( 6 ) を側壁 (92) に押圧することにより、ガイド軸 ( 4 ) に接する調整ネジ ( 6 ) の先端部の高さズレを防ぐことを特徴とするディスク記録又は再生装置。 - バネ体は、調整ネジ(6)のネジ部に対向し、表面が滑らかな押し面(80)を具え、押し面(80)はネジ部の複数の山に亘って調整ネジ(6)に接する長さに形成された請求項1に記載のディスク記録又は再生装置。
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