JP3701780B2 - 1,3−ジ置換尿素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,3−ジ置換尿素の製造方法に関する。さらに詳しくは、医薬、農薬の中間体として有用な1,3−ジ置換尿素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、1,3−ジ置換尿素の製造方法としては、例えば、(1)第1級アミンとホスゲンとを反応させる方法〔ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)16巻、1879−1890頁、1951年〕、(2)第1級アミンとイソシアネートとを反応させる方法〔ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)16巻、1879−1890頁、1951年〕、(3)第1級アミンまたは第2級アミンと一酸化炭素とを反応させる方法(特開昭60−163853号公報)、(4)第1級アミンと二酸化炭素とを反応させる方法(特公昭62−9107号公報)、(5)第1級アミンと環状炭酸エステルとを反応させる方法(特公昭62−17572号公報)、(6)第1級アミンまたは第2級アミンと炭酸ビス(4−ニトロフェニル)とを反応させる方法〔シンセシス(Synthesis)、6巻、423−425頁、1989年〕などが知られている。
【0003】
しかしながら、前記(1)および(2)の方法は、毒性が強いホスゲンおよびイソシアネートが原料として用いられているため、作業性および安全性に欠点がある。また、前記(3)〜(5)の方法は、1,3−ジ置換尿素の収率が低く、収率を向上させるためには、高温高圧といった過酷な反応条件を必要とするため、大型で複雑な製造設備を必要とするのみならず、第1級アミンを過剰に用いた場合には、その分離、回収が困難であるという欠点がある。また、前記(6)の方法は、高価な炭酸ビス(4−ニトロフェニル)が原料として用いられているため、経済性に欠けるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、作業性、安全性、収率および経済性に優れた1,3−ジ置換尿素の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
(1) 一般式(I):
【0006】
【化5】
【0007】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して水素原子または直鎖もしくは分岐鎖を有する炭素数1〜5のアルキル基であり、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは環を形成していてもよい)
で表わされる環状炭酸エステルと、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンとを、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で反応させることを特徴とする一般式(III):
【0008】
【化6】
【0009】
(式中、R5 は前記と同じ)
で表わされる対称1,3−ジ置換尿素の製造方法、
(2) 一般式(II)で表わされるアミンの量が、環状炭酸エステル1モルに対して2〜20モルである請求項1記載の対称1,3−ジ置換尿素の製造方法、ならびに
(3) 一般式(I):
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して水素原子または直鎖もしくは分岐鎖を有する炭素数1〜5のアルキル基であり、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは環を形成していてもよい)
で表わされる環状炭酸エステルを、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと、塩基の非存在下で0〜180℃の温度で反応させた後、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で一般式(IV):
R6 −NH2 (IV)
(式中、R6 は、R5 とは異なり、フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと反応させることを特徴とする一般式(V):
【0012】
【化8】
【0013】
(式中、R5 およびR6 は前記と同じ)
で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素の製造方法
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法によれば、一般式(I):
【0015】
【化9】
【0016】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して水素原子または直鎖もしくは分岐鎖を有する炭素数1〜5のアルキル基であり、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは環を形成していてもよい)
で表わされる環状炭酸エステルを出発物質とし、該環状炭酸エステルと、特定のアミンとを反応させることにより、1,3−ジ置換尿素が得られる。
【0017】
前記1,3−ジ置換尿素には、対称1,3−ジ置換尿素および非対称1,3−ジ置換尿素がある。前記対称1,3−ジ置換尿素と非対称1,3−ジ置換尿素とでは、出発物質である環状炭酸エステルが同一であるが、それらの製造方法が異なる。
【0018】
前記対称1,3−ジ置換尿素の製造方法としては、前記一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルと、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンとを、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で反応させる方法〔以下、方法Iという〕があげられる。
【0019】
かかる方法Iによれば、一般式(III):
【0020】
【化10】
【0021】
(式中、R5 は前記と同じ)
で表わされる対称1,3−ジ置換尿素が得られる。
【0022】
前記非対称1,3−ジ置換尿素の製造方法としては、前記一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルを、前記一般式(II)で表わされるアミンと、塩基の非存在下で0〜180℃の温度で反応させた後、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で一般式(IV):
R6 −NH2 (IV)
(式中、R6 は、R5 とは異なり、フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと反応させる方法〔以下、方法IIという〕があげられる。
【0023】
かかる方法IIによれば、一般式(V):
【0024】
【化11】
【0025】
(式中、R5 およびR6 は前記と同じ)
で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素が得られる。
【0026】
まず、方法Iについて説明する。
【0027】
方法Iに用いられる環状炭酸エステルは、前記したように、一般式(I)で表わされる。
【0028】
一般式(I)において、R1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ独立して水素原子または直鎖もしくは分岐鎖を有する炭素数1〜5のアルキル基であり、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは環を形成していてもよい。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などがあげられる。これらの中では、水素原子およびメチル基が好ましい。
【0029】
R1 またはR2 とR3 またはR4 とで形成される環は、炭素数5〜8のシクロアルキルであることが好ましい。
【0030】
前記一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルの具体例としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、3−メチル−1,2−ブチレンカーボネート、2−メチルプロピレンカーボネート、2−メチル−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ヘキシレンカーボネート、2,3−ヘキシレンカーボネート、3,4−ヘキシレンカーボネート、3−エチル−3,4−ブチレンカーボネート、2−メチル−1,2−ペンチレンカーボネート、シクロヘキシレンカーボネート、シクロペンチレンカーボネート、シクロオクチレンカーボネートなどがあげられる。
【0031】
方法Iに用いられるアミンは、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンである。
【0032】
前記フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有する非置換アルキル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基などの炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有する置換アルキル基などがあげられる。これらのアルキル基のなかでは、本発明においては炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が好ましい。
【0033】
前記フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基などがあげられる。これらのアルケニル基のなかでは、本発明においては炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルケニル基が好ましい。
【0034】
前記フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基などがあげられる。これらのアルキニル基のなかでは、本発明においては炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルケニル基が好ましい。
【0035】
前記炭素数3〜8のモノシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがあげられる。
【0036】
前記炭素数6〜12のビシクロアルキル基としては、例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基などがあげられる。
【0037】
前記炭素数6〜13のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などがあげられる。かかるアリール基は、炭素数1〜5の低級アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。
【0038】
炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基などがあげられる。本発明においては、かかるアラルキル基の中では、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
【0039】
前記アラルキル基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基などの置換基を有していてもよい。
【0040】
前記一般式(II)で表わされるアミンの具体例としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロブチルアミン、1−ペンチルアミン、2−ペンチルアミン、3−ペンチルアミン、3−メチル−2−ブチルアミン、ネオペンチルアミン、シクロペンチルアミン、2−メチル−2−ブチルアミン、1−ヘキシルアミン、2−ヘキシルアミン、3−ヘキシルアミン、3−メチル−2−ペンチルアミン、4−メチル−2−ペンチルアミン、2,2−ジメチルブチルアミン、2−メチル−2−ペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、1−ヘプチルアミン、2−ヘプチルアミン、3−ヘプチルアミン、4−ヘプチルアミン、3−メチル−2−ヘキシルアミン、4−メチル−2−ヘキシルアミン、5−メチル−2−ヘキシルアミン、2,2−ジメチルペンチルアミン、3,3−ジメチル−2−ペンチルアミン、2−メチル−2−ヘプチルアミン、シクロヘプチルアミン、1−オクチルアミン、2−オクチルアミン、3−オクチルアミン、4−オクチルアミン、3−メチル−2−オクチルアミン、4−メチル−2−オクチルアミン、5−メチル−2−オクチルアミン、2,2−ジメチルヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、3−メチル−2−ヘプチルアミン、4−メチル−2−ヘプチルアミン、5−メチル−2−ヘプチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、1−メトキシ−2−エチルアミン、1−メトキシ−2−プロピルアミン、1−メトキシ−3−プロピルアミン、1−メトキシ−2−ブチルアミン、1−メトキシ−3−ブチルアミン、1−メトキシ−4−ブチルアミン、1−メトキシ−5−ペンチルアミン、1−メトキシ−6−ヘキシルアミン、1−メトキシ−7−ヘプチルアミン、1−メトキシ−8−オクチルアミン、1−メトキシ−9−ノニルアミン、1−メトキシ−10−デシルアミン、1−エトキシ−2−エチルアミン、1−エトキシ−3−プロピルアミン、1−エトキシ−4−ブチルアミン、1−エトキシ−5−ペンチルアミン、1−エトキシ−6−ヘキシルアミン、1−エトキシ−7−ヘプチルアミン、1−エトキシ−8−オクチルアミン、1−エトキシ−9−ノニルアミン、1−エトキシ−10−デシルアミン、1−プロポキシ−2−エチルアミン、1−ブトキシ−2−エチルアミン、1−ペンチルオキシ−2−エチルアミン、1−ヘキシルオキシ−2−エチルアミン、1−ヘプチルオキシ−2−エチルアミン、1−オクチルオキシ−2−エチルアミン、1−ノニルオキシ−2−エチルアミン、1−デシルオキシ−2−エチルアミン、1−ウンデシルオキシ−2−エチルアミン、1−ドデシルオキシ−2−エチルアミン、1−トリデシルオキシ−2−エチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、α−メチルベンジルアミン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−アミノピリジン、2−フェニルエチルアミン、3−フェニル−1−プロピルアミン、3−フェニル−2−プロピルアミン、3−フェニル−3−プロピルアミン、4−フェニル−2−ブチルアミン、1−イソプロポキシ−2−エチルアミン、1−イソプロポキシ−2−プロピルアミン、1−イソプロポキシ−3−プロピルアミン、1−イソプロポキシ−3−ブチルアミン、1−フェノキシ−2−エチルアミン、1−フェノキシ−2−プロピルアミン、1−フェノキシ−3−プロピルアミン、1−フェノキシ−4−ブチルアミン、2−ノルボルニルアミン、エテニルアミン、1−プロペニルアミン、2−プロペニルアミン、2−ブテニルアミン、1,3−ブタジエニルアミン、エチニルアミン、2−プロピニルアミンなどがあげられる。
【0041】
前記一般式(II)で表わされるアミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して理論上、2モルである。したがって、方法Iにおいては、前記アミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して2モル以上、好ましくは2.5モル以上、より好ましくは3モル以上であることが望ましい。なお、経済性の点から、該アミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して、20モル以下、好ましくは10モル以下、より好ましくは5モル以下であることが望ましい。
【0042】
本発明では、前記一般式(II)で表わされるアミンを大過剰量で用いる必要がないため、反応終了後にアミンを回収する必要がなく、また大過剰に使用したとしても反応に何ら支障をきたさない。
【0043】
方法Iにおいては、前記環状炭酸エステルと、一般式(II)で表わされるアミンとを、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で反応させる。
【0044】
方法Iにおいては、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンを使用する点に、1つの大きな特徴がある。かかる塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンを用いた場合には、その触媒作用によって反応の際に高温高圧条件を必要とせず、また大過剰量の一般式(II)で表わされるアミンを使用することなく、高収率で対称1,3−ジ置換尿素を製造することができる。
【0045】
前記炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム、チタニウムイソプロポキシドなどがあげられる。
【0046】
前記炭素数3〜12のトリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどがあげられる。
【0047】
なお、前記炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドおよび炭素数3〜12のトリアルキルアミンは、必要に応じてメタノールなどの溶媒に溶解させて使用してもよい。
【0048】
前記炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドおよび炭素数3〜12のトリアルキルアミンの使用量は、反応を速やかに進行させるために、前記環状炭酸エステル1モルに対して、0.1ミリモル以上、好ましくは10ミリモル以上、さらに好ましくは0.1モル以上であることが望ましく、経済性の点から、前記環状炭酸エステル1モルに対して、5モル以下、好ましくは1モル以下、さらに好ましくは0.5モル以下であることが望ましい。
【0049】
方法Iにおいては、溶媒を用いなくても反応を行なうことができるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。
【0050】
前記溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ピナン、ノナン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、沸点が70〜190℃のベンジン留分、メチルシクロヘキサン、デカリン、石油エーテル、リグロイン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタリン、テトラリンなどの炭化水素;ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルtertーブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、チオアニソールなどのエーテル;アセトニトリル、プロピオンニトリルなどのニトリル;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコールなどがあげられる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの溶媒のなかでは、トルエンおよびシクロヘキサンが好ましい。
【0051】
前記溶媒の使用量は、溶媒100重量部に対して、一般式(I)で表わされる環状炭酸エステル量が1〜200重量部程度となるように使用することが望ましい。
【0052】
反応温度は、反応を速やかに進行させるために、50℃以上、好ましくは90℃以上であることが望ましい。また、該反応温度は、操作性を向上させる観点から180℃以下、好ましくは140℃以下であることが望ましい。
【0053】
反応時間は、反応温度などによっても異なるので一概には決定することができない。かかる反応時間は、通常1〜5時間程度であればよい。
【0054】
反応時の圧力は、方法Iにおいては、前記反応温度で反応が速やかに進行するので特に限定がない。かかる圧力は、通常0〜3kgf/cm2 程度であればよい。
【0055】
また、反応中の雰囲気には特に限定がない。例えば、雰囲気は、大気であってもよく、また窒素ガスのような不活性ガス雰囲気であってもよい。
【0056】
反応終了後、一般式(III):
【0057】
【化12】
【0058】
(式中、R5 は前記と同じ)
で表わされる対称1,3−ジ置換尿素は、通常は結晶として回収することができる。
【0059】
前記溶媒が用いられいない場合および前記溶媒として、対称1,3−ジ置換尿素に対する貧溶媒が用いられている場合には、反応終了後、対称1,3−ジ置換尿素の結晶が反応生成物に析出しているが、10〜30℃程度に冷却することにより、さらに該結晶を回収することができる。
【0060】
前記溶媒として、対称1,3−ジ置換尿素に対する良溶媒が用いられている場合には、収率を向上させるために、得られた反応溶液を10〜30℃程度に冷却し、該対称1,3−ジ置換尿素に対する貧溶媒を該反応溶液に添加し、0.5〜2時間程度攪拌することが望ましい。
【0061】
前記貧溶媒としては、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどがあげられる。
【0062】
次に、得られた対称1,3−ジ置換尿素の結晶は、常法により、これを濾過し、洗浄し、乾燥することにより、単離することができる。
【0063】
なお、方法Iにおいては、得られた対称1,3−ジ置換尿素は、必要に応じて再結晶などの手段によりさらに精製することができる。
【0064】
かくして方法Iによって得られた対称1,3−ジ置換尿素は、医薬、農薬などの中間体として有用であり、例えば、特開平4−221384号公報および国際公開第95/23148号パンフレット(1995)に記載されているアルキルキサンチン、特開昭58−189181号公報に記載されているフェニルキサンチン化合物の中間体として有用である。
【0065】
次に、方法IIについて説明する。
【0066】
方法IIにおいては、前記一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルを、前記一般式(II)で表わされるアミンと、塩基の非存在下で0〜180℃の温度で反応させた後、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で一般式(IV):
R6 −NH2 (IV)
(式中、R6 は、R5 とは異なり、フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと反応させることにより、一般式(V):
【0067】
【化13】
【0068】
(式中、R5 およびR6 は前記と同じ)
で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素が得られる。
【0069】
方法IIに用いられる一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルは、方法Iで用いられるものと同様であればよい。
【0070】
前記環状炭酸エステルと反応させるアミンとしては、方法Iにおいて用いられる一般式(II)で表わされるアミンと同様のものを用いることができる。
【0071】
前記一般式(II)で表わされるアミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して理論上、1モルである。したがって、方法IIにおいては、前記アミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して1モル以上であることが望ましい。また、前記一般式(II)で表わされるアミンを大過剰量で用いた場合、反応終了後に過剰のアミンの除去操作を必要とするため、前記アミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して、10モル以下、好ましくは3モル以下、より好ましくは1.5モル以下であることが望ましい。
【0072】
方法IIにおいては、一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルを、一般式(II)で表わされるアミンと反応させる1段階目の反応の際には、方法Iとは異なり、塩基の非存在下で反応を行ない、2段階目の反応の際に、前記塩基、すなわち炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で反応を行なうという操作が採られているので、一般式(V)で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素が得られる。
【0073】
前記環状炭酸エステルと一般式(II)で表わされるアミンとを反応させる際の温度は、反応を円滑に進行させるために、0℃以上、好ましくは50℃以上とされ、アミンを環状炭酸エステルの片側にのみ付加させるために、180℃以下、好ましくは140℃以下とされる。
【0074】
反応時間は、反応温度などによって異なるので一概には決定することができない。かかる反応時間は、通常0.5〜3時間程度である。
【0075】
また、反応中の雰囲気には特に限定がない。例えば、雰囲気は、大気であってもよく、また窒素ガスのような不活性ガス雰囲気であってもよい。
【0076】
なお、前記反応の際には、溶媒を用いなくとも反応を行なうことができるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、方法Iにおいて用いることができる溶媒を例示することができる。
【0077】
前記溶媒の使用量は、溶媒100重量部に対して、一般式(I)で表わされる環状炭酸エステル量が1〜200重量部程度となるように使用することが好ましい。
【0078】
前記環状炭酸エステルと一般式(II)で表わされるアミンとを反応させた後、得られた反応生成物は、そのまま用いてもよく、または過剰に残存するアミンを留去などの手段で除去した後に用いてもよい。得られた反応生成物は、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で前記一般式(IV)で表わされるアミンと反応させる。
【0079】
方法IIに用いられる炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドとしては、方法Iにおいて用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0080】
方法IIに用いられる炭素数3〜12のトリアルキルアミンとしては、方法Iにおいて用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0081】
なお、前記炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドおよび炭素数3〜12のトリアルキルアミンは、必要に応じてメタノールなどの溶媒に溶解させて使用してもよい。
【0082】
前記炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドおよび炭素数3〜12のトリアルキルアミンの使用量は、方法Iにおいて用いられる使用量と同様であればよい。
【0083】
方法IIに用いられる一般式(IV) で表わされるアミンとしては、前記一般式(II)で表わされるアミンと同じものが例示される。しかしながら、方法IIにおいては、非対称1,3−ジ置換アミンを得るために、R6 は一般式(II)で表わされるアミンにおけるR5 とは異なる基である。
【0084】
前記一般式(IV) で表わされるアミンの使用量は、前記環状炭酸エステル1モルに対して理論上では1モル必要とするため、前記環状炭酸エステル1モルに対して1モル以上であることが望ましく、経済性の点から、前記環状炭酸エステル1モルに対して、10モル以下、好ましくは3モル以下、さらに好ましくは1.5モル以下であることが望ましい。
【0085】
前記環状炭酸エステルと一般式(II)で表わされるアミンとの反応生成物と、一般式(IV) で表わされるアミンとを反応させる際の温度は、反応を円滑に進行させるために、50℃以上、好ましくは90℃以上であることが望ましく、副生物の生成を抑制するために、180℃以下、好ましくは140℃以下であることが望ましい。
【0086】
反応時間は、反応温度などによって異なるので一概には決定することができない。かかる反応時間は、通常0.5〜3時間程度である。
【0087】
また、反応中の雰囲気には特に限定がない。雰囲気は、大気であってもよく、また窒素ガスのような不活性ガス雰囲気であってもよい。
【0088】
なお、前記反応の際には、溶媒を用いなくとも反応を行なうことができるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、前記一般式(I)で表わされる環状炭酸エステルを、前記一般式(II)で表わされるアミンと反応させる際に用いることができる溶媒を例示することができる。
【0089】
前記溶媒の使用量は、溶媒100重量部に対して、一般式(I)で表わされる環状炭酸エステル量が1〜200重量部程度となるように使用することが好ましい。
【0090】
反応終了後、一般式(V):
【0091】
【化14】
【0092】
(式中、R5 およびR6 は前記と同じ)
で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素は、結晶として回収することができる。
【0093】
前記溶媒が用いられていない場合および前記溶媒として、非対称1,3−ジ置換尿素に対する貧溶媒が用いられている場合には、反応終了後、非対称1,3−ジ置換尿素の結晶が反応生成物に析出しているが、10〜30℃程度に冷却することにより、さらに該結晶を回収することができる。
【0094】
前記溶媒として、非対称1,3−ジ置換尿素に対する良溶媒が用いられている場合には、収率を向上させるために、得られた反応溶液を10〜30℃程度に冷却し、該非対称1,3−ジ置換尿素に対する貧溶媒を該反応溶液に添加し、0.5〜2時間程度攪拌すればよい。
【0095】
前記貧溶媒としては、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどがあげられる。
【0096】
次に、得られた非対称1,3−ジ置換尿素の結晶は、常法によりこれを濾過し、洗浄し、乾燥することにより、単離することができる。
【0097】
なお、方法IIにおいては、得られた非対称1,3−ジ置換尿素は、必要に応じて再結晶などの手段によりさらに精製することができる。
【0098】
かくして、方法IIによって得られた非対称1,3−ジ置換尿素は、医薬、農薬などの中間体として有用であり、例えば、特開昭58−189181号公報に記載されているフェニルキサンチン化合物の中間体として有用である。
【0099】
方法Iおよび方法IIのいずれにおいても、従来のような毒性が強いホスゲンおよびイソシアネートを必要としないため、1,3−ジ置換尿素を安全に、作業性よく製造することができる。
また、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドおよび炭素数3〜12のトリアルキルアミンの触媒作用により、高温高圧といった過酷な反応条件なしに、収率よく1,3−ジ置換尿素を製造することができるため、大型で複雑な製造設備を必要とせず、安全に作業性よく1,3−ジ置換尿素を製造することができる。
【0100】
さらに、高価な炭酸ビス(4−ニトロフェニル)を原料として必要としないため、1,3−ジ置換尿素を低コストで製造することができる。
【0101】
したがって、本発明の製造方法は、作業性、安全性および経済性に優れた方法である。
【0102】
【実施例】
次に、本発明の1,3−ジ置換尿素の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0103】
実施例1
150ml容の耐圧容器内のプロピルアミン31.0g(0.525モル)に、炭酸エチレン15.4g(0.175モル)を添加したのち、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.38g(0.0175モル)を前記耐圧容器に流入させ、95〜100℃で3時間加熱攪拌した。このとき、内圧は3kgf/cm2 に達した。
【0104】
反応終了後、25℃まで冷却し、水150mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジプロピル尿素21.5g(0.149モル、収率85.1%)を得た。
【0105】
得られた結晶が1,3−ジプロピル尿素であることは、以下の物性に基づいて確認された。
融点:105℃ (lit.105℃)
1 H−NMR(270 MHz ,CDCl3 )δ(ppm) :0.91(t,6H)、1.50(dt,4H)、3.11(t,4H)、5.11−5.23(br,2H)
【0106】
実施例2
150ml容の耐圧容器内のプロピルアミン27.8g(0.470モル)に、炭酸プロピレン16.0g(0.157モル)を添加したのち、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.03g(0.0157モル)を前記耐圧容器に流入させ、95〜105℃で3時間加熱攪拌した。このとき、内圧は3kgf/cm2 に達した。
【0107】
反応終了後、25℃まで冷却し、水150mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジプロピル尿素18.2g(0.126モル、収率80.3%)を得た。
【0108】
得られた結晶が1,3−ジプロピル尿素であることは、実施例1と同様にして確認された。
【0109】
実施例3
150ml容の耐圧容器内のプロピルアミン31.0g(0.525モル)に、炭酸エチレン15.4g(0.175モル)を添加したのち、トリエチルアミン1.8g(0.0175モル)を前記耐圧容器に流入させ、95〜100℃で3時間加熱攪拌した。このとき、内圧は3kgf/cm2 に達した。
【0110】
反応終了後、25℃まで冷却し、水150mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジプロピル尿素14.5g(0.101モル、収率57.7%)を得た。
【0111】
得られた結晶が1,3−ジプロピル尿素であることは、実施例1と同様にして確認された。
【0112】
実施例4
300ml容の四つ口フラスコ内に、アニリン57.0g(0.613モル)および炭酸エチレン15.4g(0.175モル)を仕込んだのち、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.38g(0.0175モル)を前記四つ口フラスコに流入させ、95〜100℃で3時間加熱攪拌した。
【0113】
反応終了後、25℃まで冷却し、アセトン150mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、アセトン25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジフェニル尿素24.1g(0.114モル、収率65.0%)を得た。
【0114】
得られた結晶が1,3−ジフェニル尿素であることは、以下の物性に基づいて確認された。
融点:238℃ (lit.238℃)
1 H−NMR(270 MHz ,CDCl3 +DMSO-d6 )δ(ppm) :6.90−6.98(m,2H)、7.15−7.27(m,4H)、7.43−7.48(m,4H)、8.41−8.52(br,2H)
【0115】
実施例5
200ml容の四つ口フラスコ内のシクロヘキシルアミン6.75g(68.1ミリモル)に、炭酸エチレン2.00g(22.7ミリモル)を添加したのち、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.44g(2.3ミリモル)を前記四つ口フラスコに流入させ、95〜100℃で3時間加熱攪拌した。
【0116】
反応終了後、25℃まで冷却し、メタノール50mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、メタノール25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジシクロヘキシル尿素2.76g(12.3ミリモル、収率54.2%)を得た。
【0117】
得られた結晶が1,3−ジシクロヘキシル尿素であることは、以下の物性に基づいて確認された。
融点:232℃ (lit.232〜233℃)
1 H−NMR(270 MHz ,CDCl3 )δ(ppm) :1.18−1.50(m,10H)、1.66−2.11(m,10H)、3.54−3.69(m,2H)
【0118】
実施例6
150ml容の耐圧容器内に、アリルアミン46.6g(0.816モル)および28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.57g(0.019モル)を仕込んだのち、攪拌しながら、炭酸エチレン32.7g(0.371モル)を徐々に添加した。添加終了後、液温を100〜115℃に調整し、3時間加熱攪拌した。この時、内圧は、1.5kgf/cm2 に達した。
【0119】
反応終了後、得られた反応液を25℃に冷却し、該反応液を、あらかじめ水160mlを仕込んだ300ml容の四つ口フラスコに流入させ、10℃で1時間攪拌した。
【0120】
攪拌終了後、晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄したのち、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させ、1,3−ジ−(2−プロペニル)尿素37.0g(0.264モル)を得た(収率71.2%)。
【0121】
実施例7
300ml容の四つ口フラスコ内に、プロピルアミン4.02g(0.0681モル)および炭酸エチレン6.00g(0.0681モル)を仕込み、約50℃で1時間加熱還流した。次に、シクロヘキシルアミン6.75g(0.0681モル)と28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.3g(0.0067モル)を前記四つ口フラスコに添加し、110℃で2時間加熱攪拌した。このとき、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した炭酸エチレンの反応率は、93%であった。
【0122】
反応終了後、25℃まで冷却し、アセトン100mlを反応液に加えて30分間攪拌し、さらに水100mlを加えて晶析させ、1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1−シクロヘキシル−3−プロピル尿素11.7g(0.0635モル、収率93.1%)を得た。
【0123】
得られた結晶が1−シクロヘキシル−3−プロピル尿素であることは、以下の物性に基づいて確認された。
融点:108−109℃ (lit.106−107℃)
1 H−NMR(270 MHz ,DMSO-d6 )δ(ppm) :0.90(t,3H)、1.43(m,2H)、1.06−1.83(m,10H)、3.00(dd,2H)、3.36−3.47(m,1H)、5.72−5.79(m,2H)
【0124】
実施例8
300ml容の四つ口フラスコ内に、プロピルアミン10.3g(0.175モル)および炭酸エチレン15.4g(0.175モル)を仕込み、約50℃で1時間加熱還流した。次に、アニリン16.3g(0.175モル)および28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.3g(0.0067モル)を前記四つ口フラスコに添加し、110℃で3時間加熱攪拌した。このとき、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した炭酸エチレンの反応率は、90%であった。
【0125】
反応終了後、25℃まで冷却し、水100mlを反応液に加え、濃塩酸15gを滴下して晶析させ、さらに1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1−フェニル−3−プロピル尿素17.7g(0.0993モル、収率56.7%)を得た。
【0126】
得られた結晶が1−フェニル−3−プロピル尿素であることは、以下の物性に基づいて確認された。
融点:106〜107℃ (lit.114℃)
1 H−NMR(270 MHz ,DMSO-d6 )δ(ppm) :0.90(t,3H)、1.43−1.50(m,2H)、3.00−3.11(m,2H)、6.90−6.98(m,1H)、7.15−7.27(m,2H)、7.43−7.48(m,2H)
【0127】
実施例9
300ml容の四つ口フラスコ内に、プロピルアミン4.02g(0.0681モル)および炭酸エチレン6.00g(0.0681モル)を仕込み、約50℃で1時間加熱還流した。次に、シクロヘキシルアミン6.75g(0.0681モル)とトリエチルアミン0.63g(0.0061モル)を前記四つ口フラスコに添加し、110℃で2時間加熱攪拌した。このとき、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した炭酸エチレンの反応率は、90%であった。
【0128】
反応終了後、25℃まで冷却し、アセトン100mlを反応液に加えて30分間攪拌し、さらに水100mlを加えて晶析させ、1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄した後、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1−シクロヘキシル−3−プロピル尿素7.23g(0.0392モル、収率57.4%)を得た。
【0129】
得られた結晶が1−シクロヘキシル−3−プロピル尿素であることは、実施例7と同様にして確認された。
【0130】
比較例1
ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様にして行った。
【0131】
その結果、1,3−ジプロピル尿素の収率は1.0%であった。
【0132】
比較例2
150ml容の耐圧容器内のプロピルアミン31.0g(0.525モル)に、炭酸エチレン15.4g(0.175モル)を添加し、111℃で3時間加熱攪拌した。このとき、内圧は5kgf/cm2 に達した。
【0133】
反応終了後、25℃まで冷却し、水150mlを反応液に加えて1時間攪拌した。晶析した結晶を濾取し、水25mlで2回洗浄したのち、得られた白色結晶を減圧下で乾燥させたところ、1,3−ジプロピル尿素5.26g(0.0365モル、収率20.8%)を得た。
【0134】
得られた結晶が1,3−ジプロピル尿素であることは、実施例1と同様にして確認された。
【0135】
実施例1〜9の結果から、本発明の1,3−ジ置換尿素の製造方法により、毒性が強いホスゲンおよびイソシアネートを必要とせず、大型で複雑な製造設備を必要とする高温高圧といった過酷な反応条件が必要でなく、さらに、高価な炭酸ビス(4−ニトロフェニル)を原料として使用しないので、作業性、安全性、収率および経済性よく1,3−ジ置換尿素が得られることがわかる。
【0136】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、1,3−ジ置換尿素を、作業性、安全性、収率および経済性よく製造することができるという効果が奏される。
Claims (3)
- 一般式(I):
で表わされる環状炭酸エステルと、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンとを、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で反応させることを特徴とする一般式(III):
で表わされる対称1,3−ジ置換尿素の製造方法。 - 一般式(II)で表わされるアミンの量が、環状炭酸エステル1モルに対して2〜20モルである請求項1記載の対称1,3−ジ置換尿素の製造方法。
- 一般式(I):
で表わされる環状炭酸エステルを、一般式(II):
R5 −NH2 (II)
(式中、R5 はフェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと、塩基の非存在下で0〜180℃の温度で反応させた後、塩基として炭素数1〜12のアルカリ金属アルコキシドまたは炭素数3〜12のトリアルキルアミンの存在下で一般式(IV):
R6 −NH2 (IV)
(式中、R6 は、R5 とは異なり、フェノキシ基もしくは炭素数1〜13のアルコキシ基を有していてもよい、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキル基、炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルケニル基もしくは炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖を有するアルキニル基、炭素数3〜8のモノシクロアルキル基、炭素数6〜12のビシクロアルキル基、炭素数6〜13のアリール基、フリル基、ピリジル基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す)
で表わされるアミンと反応させることを特徴とする一般式(V):
で表わされる非対称1,3−ジ置換尿素の製造方法。
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