JP3701365B2 - 再剥離性感圧接着シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親展葉書、ダイレクトメール、通知書、パンフレット、クジ等に使用され、一時的に仮接着した接合面を剥離すると内部に記載された情報を視認できる再剥離性感圧接着シートに関する。特に、プレヒータ板を有する熱定着式のノンインパクトプリンタ(以下NIP)における搬送性に優れた再剥離性感圧接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、剥がして開くと内部の情報を見ることができる親展葉書やダイレクトメール等が、セキュリティ性や情報記載量の点から普及している。
例えば、その一つに、情報記載前に、対面する仮接着予定面に再剥離型粘着層を予め形成しておき、該粘着層の上に文字等をノンインパクトプリンタ(NIP)等で印字後に折り込んで葉書とする再剥離性感圧接着シートである。この様なシートに形成される再剥離型粘着層は、一般に天然ゴムラテックス等の再剥離不能な通常の感圧性接着剤、即ち非剥離性感圧粘着剤に、シリカ、澱粉等の充填剤を添加した接着剤を塗布形成したものであり、塗工形成タイプの再剥離性感圧接着シートといえる。
【0003】
ところで、前記NIP装置による再剥離型粘着層上への印字手段としては、印字が綺麗でしかも高速印字ができることから、トナーを用いた電子写真方式が普及しており、再剥離型粘着層の表面に付着させたトナーは熱により定着させている。しかし、トナーを熱定着するにはかなりの高温度を要し、連続帳票形態の再剥離性感圧接着シートを高速印字処理するには、熱定着ロールでは線接触に近く短時間の接触となるため、トナーが溶融して定着するに十分な温度まで加熱することができない。そこで、図4のNIP装置の概念図に示す如く、実際には、熱定着ロールにシートが供給される前段階で、プレヒータ板にシートを接触させてシートを予備加熱することで高速処理を可能としている。
すなわち、図4のNIP装置100において、再剥離性感圧接着シート10はシート供給部110からジグザク折りの連続帳票となって供給され、印字部の印字ドラム120より(未定着の)トナーが転写印字される。その後、シートはテンション調整用のバッファプレート130を通過して、予備加熱部のプレヒータ板140にシート裏面が接触する様にして走行し予備加熱され、熱定着ロール150で最終的な熱定着が行われる。そしてシート排出部160に積層される。
ところで、上記プレヒータ板は、熱定着ロールがシートを表裏から挟んで加熱するのに対して、トナーが付着したシートの裏面からシートに接触して加熱する。また、プレヒータ板はシート流れ方向にやや凸状に湾曲した形状とし、これに走行するシートに与えるテンションの力を利用して、プレヒータ板にシートが沿って浮かずに接触するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シートの搬送は、印字部ではピン送りにより常に一定量のシートを搬送しているのに対して、その後は熱定着ロール150によるニップ送りで、前記ピン送り量に等しいバランスした量を引き込む様にしている。このため、プレヒータ板に対するシートの接触が何らかの原因で強すぎると、シートの走行抵抗が大きくなりニップ送り量が減少する。すると、印字部と熱定着部間でシートがあまり気味となり、その度合いが多くなるとバッファプレートによるテンションコントロールの限界を越えるというバッファアッパーエラーを発生し易い。特に、再剥離性感圧接着シートの再剥離型粘着層の表面凹凸が少ないものでは、傾向が顕著である。
【0005】
例えば、再剥離型粘着層の表面のザラツキを抑え、NIPによる印字、或いはオフセット印刷による印刷画像等について、光沢感を与え高品質な情報記載面を提供できる再剥離性感圧接着シートである場合は、再剥離型粘着層の表面凹凸が少ないが故に、特に再剥離型粘着層が形成された仮接着予定面側をプレヒータ板側にして走行させるときは、NIPに対する適切な走行適性設計に注意を要する。なお、本発明者は、このような再剥離性感圧接着シートとして、オフセット印刷等によって印刷形成する情報を再剥離型粘着層上とはせずに基材と再剥離型粘着層との間とし、さらに、再剥離型粘着層の材料にNBR系等の粘着主剤とポリスチレン粒子等の充填剤を使用したものが材料的には優れていることを既に見いだしている。しかし、例えば上記NBR系の粘着主剤等を用いた再剥離型粘着層等の表面凹凸が少ない再剥離性感圧接着シート等について、如何にすれば的確且つ優れたNIP走行適正を具備させることができるかは、知られていない。
そこで、本発明の課題は、プレヒータ板を有するNIPにおいて、安定的なシート走行が得られるプリント環境を実現する再剥離性感圧接着シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の再剥離性感圧接着シートは、上記課題を解決するために、該シートのプレヒータ板に接触する側となる少なくとも片面、すなわち、接着前及び剥離後は通常の状態では接着せず少なくとも圧力により接着する再剥離型粘着層の表面の動摩擦係数μK と、該シートの透気度xとについて、0.2≦μK ≦0.8、且つx≧20、且つμK ≦−0.5×log(x)+1.6を満足する範囲の値とすることで、NIPにおける安定的なシート走行を実現する搬送性を持たせた。透気度の値を規定する理由は、後述する様にシートが吸引空気でプレヒータ板に押しつけられるからである。或いは、上記動摩擦係数を持つ面は再剥離型粘着層が片面に形成されている場合は、形成されていない側の基材面でも良い。
また、特に上記特定の動摩擦係数及び透気度を満足する再剥離型粘着層を、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス及びアクリル系樹脂ラテックスの群から選ばれた粘着主剤と、充填剤とを主成分とすることで、再剥離型粘着層の表面のザラツキを抑えて、NIPによる印字、或いはオフセット印刷による印刷画像等について、光沢感を与え高品質な情報記載面を提供できる再剥離性感圧接着シートとした。
また、上記充填剤は、ポリスチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子の何方か一方、又は両方とすると光沢感が良い。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、一実施例として葉書用紙を例に図面を参照しながら、本発明の再剥離性感圧接着シートについて詳述する。本発明の再剥離性感圧接着シートは、シート表面、なかでもその再剥離型粘着層面の動摩擦係数、及びシートの透気度を特定のものとする点以外は、基本的な層構成、形状などは従来公知の再剥離性感圧接着シートと同一であるが、以下説明する再剥離性感圧接着シートは、再剥離型粘着層の下にもオフセット印刷等により情報を形成できるものについて主として説明する。但し、これに限定されるものではない。
【0008】
先ず、図2(a)は、本発明の再剥離性感圧接着シートの一実施例として二つ折りの葉書用紙10について連続帳票の一単位についてその親展面を示す平面図であり、図2(b)は図2(a)の葉書用紙10のA−A線での要部断面図であり、図3は図2の葉書用紙10の裏面図であり、図4は図2の葉書用紙10を二つ折りにして一枚の葉書20としたときの断面図である。
図に示す葉書用紙10は、左右に切り取り用ミシン目7を介して多数のマージナル孔61が設けられたマージナル部6を有する連続帳票の葉書用紙について一枚の葉書を形成する一単位を示すものであり、左右のマージナル部6と、中央の折込線5で区分された同一サイズの第1シート11及び第2シート12とから成る。第1シート11及び第2シートの基材1上には、印刷による印刷情報3が形成され、印刷情報3が形成されたこれら各シートの仮接着予定面の表面全面には透明な再剥離型粘着層2が塗工形成されている。なお、図2(a)及び(b)では、この本発明の再剥離性感圧接着シートの仮接着予定面(再剥離型粘着層上)に、さらに前記したNIPにって情報5を印字した後の状態を示している。
また、図3の如く当実施例の葉書用紙10の裏面は第1シート11側が宛先欄である。そして、この葉書用紙を一枚の葉書としたのが図4であり、第1シート及び第2シートの再剥離型粘着層同士が仮接着面となる。
【0009】
そして、本発明の再剥離性感圧接着シートは、NIPにおける優れた搬送性を実現するために、図1に示す如く、特に仮接着前の再剥離型粘着層面の動摩擦係数と、シートの透気度の両方を特定の領域の値とした。図1でx軸は透気度xを示し、y軸は動摩擦係数μK を示す。なお、動摩擦係数μK はJIS P−8147の規定により測定した値である。また、透気度x〔秒/100cc〕はJIS P−8117の規定により測定した値である。なお、ここでの動摩擦係数はNIPでトナー印字前の値であるが、動摩擦係数の対象となる注目面はトナー付着面に対して裏面となるので影響はない。また、シートが静止している状態から動きだすときは、動摩擦係数ではなく静摩擦係数が影響するが、静摩擦係数は動摩擦係数に対して通常0.02程度高めとなるので、動摩擦係数を規定すれば静摩擦係数も同時に規定したことなり、こと足りる。
【0010】
一般的には、動摩擦係数は小さければ走行時の接触抵抗が小さく好ましいが、動摩擦係数のみに捕らわれていたのでは不十分である。なぜならば、NIPのプレヒータ板は、シートを充分に接触させて熱伝導による加熱を行う為に、表面に吸引孔が多数設けられており、吸引される空気によってもシートをプレヒータ板に押しつけている。このため、シートの透気性が大きければプレヒータ板に押しつけられる力は弱くなり、動摩擦係数は大きくても良いからである。また、逆に、透気性が小さければ動摩擦係数が小さくても搬送性が悪い。
或いは、透気度のみ捕らわれて例えば100〔秒/100cc〕以下とすれば、吸引空気によるシートの押さえつけが弱くなり搬送性が良好なるというものでもない。透気度が100以下でも動摩擦係数が高すぎるとバッファアッパーエラーが発生し、また動摩擦係数が低ければ透気度は100以上でもバッファアッパーエラーは発生しないということもある。
【0011】
そこで、最適な動摩擦係数及び透気度の組み合わせの範囲を明確にすべく研究した結果、図1に示す領域Rに含まれる値とすれば良いことが分かった。
先ず、(イ) 動摩擦係数μK の取り得る範囲は0.2〜0.8とする。動摩擦係数μK が0.2未満と小さく表面が粗いものは再剥離性感圧接着シートの基材用紙の製造が困難となる。また、逆に0.8を越えるとバッファアッパーエラーが発生し易く、またパイリングも生じ易い。一方、(ロ) 透気度は最低でも20〔秒/100cc〕以上が必要である。20未満では、基材用紙の強度が低下し過ぎる。さらに、これら動摩擦係数及び透気度の条件を満足する範囲において、(ハ) 動摩擦係数μK と透気度xとの関係が、下記式1を満たす領域の動摩擦係数μK 及び透気度xとする。
μK ≦−0.5×log(x)+1.6 〔式1〕
以上の、(イ) 、(ロ) 及び(ハ) を同時に満足する領域が、図1の斜線で示す領域Rであり、この領域R内の動摩擦係数μK 及び透気度xの組み合わせで、バッファアッパーエラーが発生せず、良好な搬送性が得られる。また、式1の右辺の1.6の値を1.5とした領域Rとすると、良好な搬送性をより確実に得られる。なお、図1には後述する実施例及び比較例の表面と裏面のデータについて、走行性が良好なものを○、不良なものを×でプロットで示してある。
このように、再剥離型粘着層の表面の動摩擦係数(及びシートの透気度)を規定することにより、例えば再剥離性感圧接着シートが二つ折り葉書用紙で裏面側のみ再剥離型粘着層があり、表面側に宛て名印字するときや、Z折りの葉書用紙で表裏両面の全面に再剥離型粘着層がある等で再剥離型粘着層上に印字するとき等で、良好な搬送性が得られる。なお、上記特定範囲の動摩擦係数は、その規定面を再剥離型粘着層がない側の基材露出面に適用しても良好な結果が得られる。例えば、上記二つ折り葉書用紙で再剥離型粘着層上に印字するとき等である。
特に再剥離型粘着層の表面は、基材自身の表面とは異なり、再剥離性等の所望の物性を満足させた上で、搬送性等に悪影響しない様にする必要があり、(シートの透気度とともに)再剥離型粘着層面についての動摩擦係数を上記の様に特定することで、優れた再剥離性感圧接着シートが得られる。
【0012】
以下、上記動摩擦係数及び透気度を実現する望ましい基材、再剥離型粘着層等の材料について説明する。
本発明の再剥離性感圧接着シートに用いる基材1としては、情報を印刷等により形成できる従来公知の、NIP(ノンインパクトプリンタ)用紙等の紙類の他、合成紙、ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の樹脂フィルム類、不織布類及びこれらの複合体等が使用できる。また、再剥離性感圧接着シートとして所望の透気度とするために、基材は基材自身の透気度の点からも適宜選択する。なお、合成紙やフィルム類等を基材とする場合は、コロナ処理を強く行い、表裏が貫通した空隙を設ける等の方法によって、適度な透気度とする。
【0013】
印刷情報3は、再剥離型粘着層を形成する前に基材上に形成しておく(おける)情報である。したがって、印刷情報は各葉書用紙で共通の情報、例えば、利用明細書の枠線、記号、図形、定型文、絵柄等の固定情報であり、通常は印刷によるインク層である。特に、後述するNBR系の粘着主剤とポリスチレン粒子等の充填剤を用いた再剥離型粘着層を用いる場合には、基材と再剥離型粘着層との中間層となるインキ層が面積割合が広くても、再剥離型粘着層の基材に対する接着性が低下しないので、面積割合が広くなりがちなオフセット印刷によるフルカラー印刷の写真調の画像情報等も、印刷情報として使用できる。したがって、印刷情報3の形成手段は、プリンタ等のみならず、上記オフセット印刷、或いは、グラビア印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、電子写真印刷、インクジェット印刷等の手段で挙げられる。また、用いる印刷インクは、オフセットインク、グラビアインク、紫外線硬化型のオフセット用等のインクでも良い。
【0014】
印字情報4は、再剥離型粘着層上にNIPによって印字形成される情報である。印字情報は、再剥離型粘着層が仮接着後に剥離される際に、印字形成された再剥離型粘着層上に残るものである。
【0015】
再剥離型粘着層2は、その面を本発明で特定する動摩擦係数(と透気度の関係と)することが望ましく、さらに基本的物性として、下の印刷情報3が視認できる程度に透明で、接着前及び剥離後は粘着性がなくて通常の状態では他のものと接着せず、圧力で、また必要に応じ熱を併用することで対面する再剥離型粘着層と接着し、剥離時は再剥離型粘着層同士の界面(もちろん、再剥離型粘着層上に形成されたNIPによるトナー層は形成された側の再剥離型粘着層にそのまま残る。)で剥離するものであれば、いかなるものでも良い。
【0016】
上記望ましい動摩擦係数が得られる再剥離型粘着層を構成する粘着主剤としては、例えば、ソープフリー乳化重合で得た、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)やアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)のゴムラテックス、或いはポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂ラテックス等が挙げられる。これらは優れた感圧接着性を示し且つ再剥離型粘着層の下となる(印刷情報の)印刷インクへの接着力が強い。なお、ソープフリー乳化重合法によるラテックスは低分子量乳化剤を含まない為、ドライタック(べたつき感)が少ない点で好ましい。また、これらソープフリー乳化重合によるラテックスのエマルションはイソプロピルアルコールを消泡剤として使用でき塗工液の固型分調整も任意の割合に出来、グラビア塗工適性にも優れる等の性能を有している。
【0017】
なお、上記ソープフリー乳化重合によるラテックスに、通常の乳化重合によるラテックスとして、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシ変性SBR(XSBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、或いは、アクリル変性天然ゴム(PMMA−NR)、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂系ラテックスの粘着剤等を、種々の特性向上の為に併用することもある。
また、再剥離型粘着層の下に印刷形成する印刷情報の仮接着予定面に対する面積割合が少なければ、該印刷情報による再剥離型粘着層の基材に対する接着力低下は少ないから、上記した通常の乳化重合によるラテックス主体の粘着主剤でも使用できる。
【0018】
再剥離型粘着層の形成には、動摩擦係数及び透気度を所定の範囲とし、またNIPによる印字適性(トナーの定着性)やドライタックを良好にするために、更に、上記した粘着主剤に充填剤を配合する。
上記ソープフリー乳化重合のラテックスを粘着主剤として用いる場合の充填剤としては、例えば平均粒子径が3〜10μm程度のポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子は再剥離型粘着層の白化を防ぎ透明な再剥離型粘着層を与えて、該層の下に印刷情報を形成する場合に特に適している。また、再剥離型粘着層が白化しても良く透明性が要求されないのであれば、従来公知のシリカ等の無機粒子や澱粉等の有機粒子等の充填剤を使用、或いは併用しても良い。これら充填剤を適量混合することにより、良好に調整された接着力と動摩擦係数及び透気度を与え、その結果優れたNIPにおける走行適性、或いはシリコンオイル吸収性が得られる。
【0019】
充填剤の配合量は、例えばポリスチレン等の樹脂粒子では、粘着主剤100重量部当たり5〜20重量部で使用し、動摩擦係数、透気度、ドライタック等の物性の点から適宜調整する。また、シリカや澱粉等の再剥離型粘着層が白色化する充填剤で再剥離型粘着層の下に印刷情報がある場合は、それを透視できる程度の再剥離型粘着層の透明性を確保できる範囲で用いる。
【0020】
なお、上記再剥離型粘着層の形成は、通常、粘着主剤がエマルションで供給されるから、これに所望の充填剤やその他の添加剤を適宜加えた塗液又はインキ状の再剥離型粘着剤を、グラビアコート、エアナイフコート等の従来公知の塗工手段、或いはフレキソ印刷等で、基材に塗工して形成する。
また、再剥離型粘着層を設ける面は、最低限、仮接着予定面であり、それは基材全面であっても基材の一部であってもよい。再剥離型粘着層を、基材の必要部のみ部分形成すれば無駄を省き低コストにできる。
【0021】
以上、本発明の再剥離性感圧接着シートの適用例として、二つ折り葉書を一例に説明したが、本発明の再剥離性感圧接着シートは、この他にも、プレヒータ板を備えたNIPで印字する、連続帳票タイプのものであれば、特に限定されない。例えば、葉書用紙の場合は、図示した二つ折りタイプ以外に、Z折りタイプ、三つ折りタイプ、四つ折りタイプ、或いは、折込線を介して葉書大のサイズの第1シートと該第1シートより小さい第2シートとからなり、折込線5折り込むと一枚の葉書となる半折りタイプ等の従来公知の各種形態を取り得るものである。また、折込線も葉書の縦方向に限らず横方向でも良い。また、一枚の用紙を折らずに、複数枚の用紙を積層するタイプでも良い。また、用途はダイレクトメール、親展葉書等の葉書用紙に限らず、パンフレット、通知書、クジ等の各種用途のシートに使用できる。
また、従来公知の方法により、仮接着時の形態において周縁部となる部分等について再剥離型粘着層の表面にインク等で剥離層を設けたり、当該部分に粘着剤を塗布せずに接着しない様にしたり、対面する片方のシートの角をカットする等して、剥がす時の剥離のきっかけを作っておいたものでも良い。
また、再剥離型粘着層は、仮接着予定面のみならず、仮接着予定面と同一面側や反対面側の、露出面に設けてあってもよく(一面の前面の塗工する場合など)、或いは永久接着面(内部に情報を記載してない面)の接着剤として設けてあっても良い。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
《実施例1〜7》
図6の様に、左片31、中片32、右片33が連接したZ折り葉書用紙30の基材として、NIP用上質紙(日本製紙(株)製、エクセレントフォーム<90>)を用い、各片の両面の合計6面を情報記載面とし、仮接着予定面34となる左片及び中片の裏面、中片及び右片の表面の略全面にUV硬化型インクのプロセスカラーインク(ザ・インクテック(株)製、BOF−AZ)で写真調の印刷画像をオフセット印刷で形成した。
次いで、上記仮接着予定面を含む、左片、中片及び右片の各面の表裏全面に、表1に示す再剥離型粘着剤を、線数150線でセル深さ50μmのコンベンショナルグラビア版によるダイレクトグラビアコーターにて、表裏面ともに塗布量2g/m2 (乾燥時、以下同様)となるようにIPA又は水で希釈して塗工し、再剥離型粘着層を形成して、連続帳票形態の本発明の再剥離性感圧接着シートを製作した。
再剥離型粘着剤は、表2に示す如く、粘着主剤は実施例1及び2はNBRを、実施例3〜7はPMMA−NRを用いた。
【0024】
《比較例1〜7》
実施例1と同様にして、実施例1同様に両面に再剥離型粘着層が形成されたZ折り葉書用紙として、表1に示す内容で用紙、再剥離型粘着剤の組成、塗布量を変えて比較例の再剥離性感圧接着シートを製作した。
実施例1〜7に対して、再剥離型粘着剤の表裏それぞれの塗布量を2g/m2 から4g/m2 に変えた他は各実施例と同様にして、比較例1〜7の再剥離性感圧接着シートを製作した。
【0025】
《実施例8〜14》
次に、同一サイズの左片及び右片からなる二つ折りのパンフレットとすべく、実施例1〜7に対して、基材をNIP用上質紙(日本製紙(株)製、エクセレントフォーム<110>)に変更し、写真調の印刷画像のオフセット印刷は左片及び右片の片面の仮接着予定面にのみ行い、該仮接着予定面に再剥離型粘着層を形成した以外は各実施例と同様にして、実施例1〜7に対応して実施例8〜14の再剥離性感圧接着シートを製作した。
【0026】
《比較例8》
実施例8に対して、再剥離型粘着剤の塗布量を2g/m2 から4g/m2 に変えた他は実施例8と同様にして、比較例8の再剥離性感圧接着シートを製作した。
【0027】
《比較例9》
実施例9に対して、再剥離型粘着剤の塗布量を2g/m2 から4g/m2 に変えた他は実施例9と同様にして、比較例9の再剥離性感圧接着シートを製作した。
【0028】
《実施例15〜19》
実施例10〜14に対して、再剥離型粘着剤の塗布量を2g/m2 から4g/m2 に変えた他は各実施例と同様にして、実施例15〜19の再剥離性感圧接着シートを製作した。
実施例15〜19においては、再剥離型粘着層面をプレヒータ板に接触させる様にしてシートを走行させる場合は走行不良となるが、再剥離型粘着層が塗工形成されていない基材露出面側を接触させる様にしてシート走行させることは支障なく、したがって、再剥離型粘着層上へのNIPによる印字は問題ない。但し、基材露出面側もNIPで印字する使い方では、好ましくない。
【0029】
《性能評価》
実施例1〜7及び比較例1〜7は両面に再剥離型粘着層が形成されているので、その表面について〔表(おもて)面と裏面の動摩擦係数は同じとなる〕、また、実施例8〜19、比較例8及び9については、再剥離型粘着層は表(おもて)面(二つ折り葉書としては内面側)に形成され、その裏面(葉書の宛て名面側)は基材面であるので、表裏両面について、NIPで印字前の各面の動摩擦係数を、JIS P−8147の規定にしたがって測定した。なお、測定器はテンシロンRTA−100(オリエンテック(株)製)を用いた。
また、NIPで印字前の再剥離型粘着層が形成されたシートの透気度は、JIS P−8117の規定にしたがって測定した。
次いで、これら再剥離性感圧接着シートに対して、プレヒータ板付きのNIP(日立工機(株)製、H6276−P10)にて、連続印字を行って、シートの走行適性を評価した。
【0030】
《評価結果》
実施例及び比較例の再剥離性感圧接着シートの動摩擦係数及び透気度と搬送性の関係の評価結果を表3示す。なお、搬送性は、バッファアッパーエラーが発生せず良好なものを○、発生し不良なものを×とした。
また、図1の、搬送性と動摩擦係数及び透気度との関係に、実施例及び比較例のデータで搬送性の良好なものを○でプロットし、不良なものを×でプロットして示した。
【0031】
【表1】
Figure 0003701365
【0032】
【表2】
Figure 0003701365
【0033】
【表3】
Figure 0003701365
【0034】
【表4】
Figure 0003701365
【0035】
以上の実施例1〜19及び比較例1〜9の評価結果に示す如く、本発明に従って動摩擦係数と透気度を特定の範囲に規定した再剥離性感圧接着シートとすることで、搬送性に優れたものが得られることが分かった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の再剥離性感圧接着シートによれば、シート表面、なかでも特に、少なくとも仮接着予定面に形成されている再剥離型粘着層の表面の動摩擦係数と、シートの透気度を特定の範囲とするために、プレヒータ板を備えたNIP(ノンインパントプリンタ)で印字する際に、シートの走行が安定し良好な搬送性が得られ、円滑な印字処理が行える。また、単に、動摩擦係数だけでなく透気度との関係も特定した為に、NIPにおける搬送性を確実に備えたシートとすることができ、特に、再剥離型粘着層表面の動摩擦係数を特定することで、再剥離型粘着層がどの面にあっても良く、再剥離性感圧接着シートの構成材料である基材、再剥離型粘着剤、また層構成等をより広い範囲で選択して用途にあったシートすることができる。
また、特定の粘着主剤、特定の充填剤を用いた再剥離型粘着層とすることで、再剥離型粘着層の下に情報を形成し光沢感等の高品質な記載情報としたシートでも、NIPにおける安定走行が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】搬送性において、動摩擦係数μK 及び透気度xの最適な領域Rを示す図。
【図2】(a)は、本発明の再剥離性感圧接着シートの一実施例として二つ折りの葉書用紙の表面図(親展面)。(b)は、図2(a)のA−A線での要部断面図。
【図3】図1の葉書用紙の裏面図。
【図4】図1の葉書用紙から得た二つ折り葉書の断面図。
【図5】プレヒータ板を備えたNIP(ノンインパクトプリンタ)の概略装置図。
【図6】Z折り葉書用紙の形態を示す説明図(マージナル部は図示せず)。
【符号の説明】
1 基材
2 再剥離型粘着層
3 印刷画像
4 NIPによる印字情報
5 折込線
6 マージナル部
61 マージナル孔
7 切り取り用ミシン目
10 再剥離性感圧接着シート
11 第1シート
12 第2シート
20 葉書
30 Z折り葉書用紙
31 左片
32 中片
33 右片
34 仮接着予定面
100 NIP(ノンインパクトプリンタ)
110 シート供給部
111 供給ローラ
120 印字ドラム(印字部)
130 プレヒータ板(予備加熱部)
140 熱定着ローラ(熱定着部)
150 シート排出部
μK 動摩擦係数
x 透気度
R 搬送性が最適な動摩擦係数及び透気度の領域

Claims (4)

  1. 接着前及び剥離後は通常の状態では接着せず、少なくとも圧力により接着する再剥離型粘着層が、基材の少なくとも仮接着予定面に形成された再剥離性感圧接着シートにおいて、該シートの少なくとも一方の面のJISP−8147で規定される動摩擦係数μK と、該シートのJIS P−8117で規定される透気度x〔秒/100cc〕について、0.2≦μK ≦0.8、且つx≧20、且つμK ≦−0.5×log(x)+1.6を満足する範囲の値としたことを特徴とする再剥離性感圧接着シート。
  2. 上記動摩擦係数μK を有する面が再剥離型粘着層の表面であることを特徴とする請求項1記載の再剥離性感圧接着シート。
  3. 再剥離型粘着層が、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス及びアクリル系樹脂ラテックスの群から選ばれた粘着主剤と、充填剤とを主成分とすることを特徴とする請求項2記載の再剥離性感圧接着シート。
  4. 充填剤が、ポリスチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子の何方か一方、又は両方であることを特徴とする請求項3記載の再剥離性感圧接着シート。
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