JP3700924B2 - 電解コンデンサ用リード線とその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用リード線とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面にSn−Bi合金層が形成されている電解コンデンサ用リード線とその製造方法に関し、更に詳しくは、はんだ濡れ性が優れ、また表面が平滑であるため、滑り性が良好であり、そして電解コンデンサの電解質溶液に対する耐食性にも優れている電解コンデンサ用リード線とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CuまたはCu合金から成る導電性基体の表面をSnまたはSn合金でめっき被覆した線材は、CuまたはCu合金が備えている優れた導電性と機械的強度を有し、かつ、SnまたはSn合金が備えている耐食性と良好なはんだ付け性を併有する高性能導体であって、各種の端子、コネクタ、リード線のような電気・電子機器分野における用途、また電力ケーブルの分野などで多用されている。
【0003】
ところで、上記した線材において、導電性基体を被覆するめっき層がSnのみで形成されている場合には、表面酸化に基づくはんだ付け性の劣化が起こり、またウイスカーが発生しやすいので短絡事故の原因が生じやすいという問題がある。
そのため、めっき層をSn合金で形成して、上記問題が生じないようにすることが広く行われている。その場合のSn合金の代表例はSn−Pb合金であり、これは従来から多用されている。
【0004】
しかしながら、Sn−Pb合金中のPb成分は人体に悪影響を与える虞れがあるということから、最近では、Sn−Pb合金は優れた性質を備えているにもかかわらず、その使用が敬遠されている。そのため、近年、このSn−Pb合金に代わるものとして、PbフリーであるSn−Bi合金が使用されはじめている。
しかしながら、このSn−Bi合金のめっき層で被覆されているリード線の場合、基体中のCu成分に対するSn成分の拡散速度が大きいので、高温の熱処理を行ったときに、基体とめっき層の界面にSn−Cu層が形成される。通常、はんだ付けでは、めっき層がはんだ浴に溶けるため、基体表面の活性なCuが露出し、そのことによってはんだの濡れが実現する。しかしながら、Sn−Cu層が形成されていると、基体表面には活性なCuが表出しなくなる。その結果、はんだ濡れ性が劣化するという問題が生じてくる。
【0005】
このような問題に対し、本発明者らは、導電性基体の表面に、まず、Snめっき層を形成し、更にそのSnめっき層の上にSn−Bi合金から成るめっき層を形成することにより、2層構造のめっき層を有するリード線を開発した(特開平10−229152号公報を参照)。
このリード線の場合、下層に位置するSnめっき層におけるSnの拡散速度が上層に位置するSn−Bi合金層におけるSnの拡散速度よりも小さく下層のSnめっき層はいわばSnの拡散バリアとして機能し、そのため、前記したSn−Cu層が形成されにくくなり、従来のSnめっき層単独で被覆されているリード線に比べても、ほぼ同等のはんだ濡れ性を発揮する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した2層構造のめっき層で被覆されているリード線を用いて電解コンデンサを組み立てると、次のような問題が発生して、製造した電解コンデンサの信頼性の低下や、また製造時における生産性の低下などが引き起こされている。
【0007】
例えば、表面側のめっき層を無光沢めっきで形成した場合、当該めっき層の表面には凹凸が生じているので、電解コンデンサの製造時に付着した電解質溶液を洗浄しても、その電解質溶液を充分に除去することが困難であり、その結果、残置した電解質溶液の作用で実使用時にリード線の腐食が進行する。また、表面に凹凸が存在していると、そのリード線を電解コンデンサのアルミ端子にはんだ付けしたときに、はんだがリード線から剥離しやすくなるため、不良品が発生しやすく、また製造した電解コンデンサの信頼性も低くなりやすい。そのため、製造ラインを頻繁に停止してその点検を行うことが必要となり、製造時の生産性は低下する。
【0008】
したがって、電解コンデンサ用のリード線には、はんだ濡れ性が優れていることはもちろんのこと、表面の平滑性が良好であるということは重要な必要条件となる。
その場合、表面側のめっき層の形成時に光沢めっきを行えば、その表面は比較的平滑になるため、上記した問題の発生を抑制するという点では有効であると考えられる。
【0009】
しかしながら、他方では、光沢めっきを適用すると、そのめっき層の耐熱性は低下し、また曲げ加工性も低下するという新たな問題が生じてくる。
また、表面の平滑性を高めるためには、めっき層の形成後に例えばリフロー処理のような熱処理を行って、めっき層を一旦溶融したのち再凝固させることが有効であり、この方法は、電解コンデンサ用のリード線にも適用されている。
【0010】
しかしながら、このリフロー処理で留意すべきことは、あまり過剰なリフロー処理を行うと、再凝固後に形成される単一層の厚みのばらつきが大きくなって、表面の平滑性は向上してもはんだ濡れが低下するという問題が生じてくる。
とくに、表面側がSn−Bi合金層になっているリード線に過剰なリフロー処理を行うと、表面側のBiが全層内に拡散してしまうのでBiの効果は失われ、また、めっき層の薄い部分で基体の成分が容易に拡散するというような問題も生ずるので、Sn−Bi合金層に対するリフロー処理の場合には、前記した再凝固層における厚みのばらつきの極小化という問題に加え、Bi濃度の適正化という問題が重要になってくる。
【0011】
本発明は、表面にリフロー処理で形成されたSn−Bi合金層を有する電解コンデンサ用リード線における上記した問題に解決を与える発明であって、再凝固層における厚みばらつきが小さいので、はんだ濡れ性が優れていることはもちろんのこと、表面の平滑性が優れているので、滑り性が良好で、電解質溶液の付着に基づく腐食を抑制することができる電解コンデンサ用リード線とそれを製造する方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、
導電性基体上にリフロー処理されたSn−Bi合金層が形成されている電解コンデンサ用リード線において、
前記Sn−Bi合金層の表面からその半分の深さの位置に至る厚み領域には、Bi濃度が漸次減少するBiの濃度勾配が形成されており、前記Sn−Bi合金層の表面から深さ0.5μmまでの表層部におけるBi濃度が2重量%以上であり、かつ、前記厚み領域から前記導電性基体に至る厚み領域におけるBi濃度は0.01重量%以下であることを特徴とする電解コンデンサ用リード線が提供される。
【0013】
そして、前記Sn−Bi合金層の最も厚い部分の厚みをa(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μm)としたとき、a,bの間には、次式:0.8≦b/a≦1.0の関係が成立していることが好ましい。
また、本発明においては、導電性基体上にSn層とSn−Bi合金層を順次形成し、ついでリフロー処理を行うことを特徴とする電解コンデンサ用リード線の製造方法が提供される。
【0014】
更に、本発明においては、前記電解コンデンサ用リード線を用いて組み立てられた電子部品が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のリード線は、図1で示したように、導電性基体1と、それを被覆するSn−Bi合金層2で構成されている。
まず、導電性基体1としては、Cu、または黄銅、リン青銅のようなCu合金で構成されていることが好ましい。また、例えば鋼材を芯材とし、その表面が上記したCuまたはCu合金で被覆されているものであってもよい。
【0016】
次に、本発明におけるSn−Bi合金層2は次のような要件を備えていることを特徴とする。
(1)まず、リフロー処理によって形成された単一のSn−Bi合金層である。すなわち、後述するように、基材1の上にSn層とSn−Bi合金層をめっき法で順次形成して2層構造のめっき層とし、これにリフロー処理を行うことにより、Sn層とSn−Bi合金層の一部または全部が、一旦、溶融し、ついで再凝固されて形成された単一のSn−Bi合金層である。
【0017】
(2)このSn−Bi合金層2はリフロー処理で形成されるため、不可避的に最も厚い部分と最も薄い部分が存在する。
そして、最も厚い部分の厚みをa(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μm)としたとき、このSn−Bi合金層2では、a,b間には、次式:0.8≦b/a≦1.0の関係が成立していることが好ましい。
b/a値が0.8より小さい場合には、Sn−Bi合金層2の厚みのばらつきが大きくなっているので、そのリード線におけるはんだ濡れ性は低下する。
なお、b/a=1とは厚みのばらつきがない状態を示すので、b/a値が1より大きくなることはあり得ない。
【0018】
(3)このSn−Bi合金層2では、図2で示したように、その表面2aから導電性基体1との界面2bへと向かう厚み方向において、表面2aから半分の深さの位置に至る厚み領域2AにはBiの濃度勾配が形成されている。具体的には、表面2a側ほどBi濃度が高く、界面2b側にいくほどBi濃度は低減しているようなBiの濃度勾配である。
【0019】
このBiの濃度勾配は、次のようにして形成されていく。
すなわち、めっきで形成されたSn層とSn−Bi合金層の2層構造のめっき層の溶融は、リフロー処理時の熱が表面側から伝導するので、表面から芯部に向かって進行するが、再凝固の過程では、降温は芯部から進んでいくので、下層のSn層を構成していて相対的に高融点であるSnの再凝固から始まり、比較的低融点である含Bi共晶組成は表面側に移動しながら再凝固していくことになる。その結果として、Biの上記した濃度勾配が形成されるのである。
【0020】
このSn−Bi合金層2の場合、表面のBi濃度が最も高い状態でBiの濃度勾配が形成されているので、まず、表面に高濃度で存在するBiの作用ではんだ濡れ性は向上している。
また、Bi濃度が高くなるほどそのSn−Bi合金は低融点となるため、リフロー処理時には表面側は液状になりやすく、その結果、リフロー処理後における再凝固したSn−Bi合金層2の表面の平滑性は向上していることになる。このことは、この表面に電解質溶液が付着してもそれを充分に洗浄・除去できる状態になっているので、当該リード線の耐食性の向上に貢献していることになる。
【0021】
ただし、Bi濃度が高いということは曲げ加工時にクラックが発生しやすいということである。しかしながら、このSn−Bi合金層2の場合、導電性基体1側ほどBi濃度が低くなっていてその曲げ加工性が良好になっているので、仮に、Bi濃度が最も高い表面でクラックが発生しても、そのクラックの伝播は比較的浅い位置で停止するようになり、そのためリード線の耐食性低下が抑制されることになる。
【0022】
(4)そして、このSn−Bi合金層2の場合、(3)で説明した厚み領域2AにおけるBiの濃度勾配の形成ということを前提にして、図2で示したように、表面2aから深さ0.5μmまでの表層部2CにおけるBi濃度は2重量%以上で、かつ、その厚み領域2Aから導電性基体1とSn−Bi合金層との界面2bに至る厚み領域2BにおけるBi濃度は0.01重量%以下になっている。
【0023】
一般に、リフロー処理後におけるSn層にしてもSn−Bi合金層にしても、その表面には厚み1〜2nm程度の自然酸化皮膜が生成している。そして、Biを含まないSn層の場合には、例えば部品実装に伴う熱処理を受ける過程で、この酸化皮膜は20〜30nm程度にまで成長してはんだ濡れ性の低下が引き起こされる。
【0024】
しかしながら、Sn−Bi合金層の場合は、酸化被膜の成長は厚み10〜20nm程度で停止して、そのはんだ濡れ性の低下が抑制される。Bi配合のこの作用効果は、Bi濃度が2重量%以上、好ましくは3〜5重量%である場合に発現するのであって、Bi濃度が2重量%未満である場合にはあまり効果がない。
このようなことから、このSn−Bi合金層2では、前記した厚み領域2CにおけるBi濃度が2重量%以上に設定されているのである。その際、厚み領域2Cの厚みの上限を0.5μmと規定した理由は、Biの高濃度領域をこれより厚くすると、曲げ加工性の低下が起こりはじめて不都合であるからである。
【0025】
なお、界面2b側の厚み領域2Bは、Snリッチな領域とすることにより、上層側から導電性基体1側へ拡散してくるSnの拡散バリアとして機能させることを目的として形成されるものである。このような機能を発揮させるために、厚み領域2BにおけるBi濃度が0.01重量%以下になっていることが必要になる。この条件が満たされていないと、界面2bにはSn−Cu層が生成しはじめてはんだ濡れ性の低下が引き起こされるようになるからである。
【0026】
(5)このSn−Bi合金層2は、既に述べた条件を必要とするが、それに加えて、次のような条件を満たしていることが好ましい。
すなわち、このSn−Bi合金層2におけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量%になっていることである。
この平均濃度が0.1重量%より低い場合は、Sn単独層の場合と同じように、表面酸化やウイスカーの発生が起こりやすくなり、また、1.0重量%より高い場合には、表面側における前記したBi濃度が高くなりすぎて曲げ加工性の低下を招くと同時に、はんだ付け時に当該はんだが剥離する、いわゆるリフトオフが発生するようになるからである。好ましいBiの平均濃度は0.2〜1.0重量%である。
【0027】
このような本発明のリード線は、図3で示したように、導電性基体1の表面に、Sn層20とSn−Bi合金層21を順次めっき法で形成して2層構造のめっき層とし、ついで全体にリフロー処理を行って製造することができる。
このとき、リフロー処理の条件、とりわけ温度条件を過剰にすると、下層のSn層まで溶融して再凝固したときのSn−Bi合金層2におけるb/a値は前記した範囲を満たさなくなり、また表面にも凹凸が発生することがあり、更には表面におけるBi濃度も前記した値より低くなってしまうので、このようなことを考慮してリフロー処理条件は設定される。通常、温度750〜850℃で40m/分程度のライン速度を採用することが好ましい。
【0028】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜3
線径0.6mmのCu被覆鋼線に電解脱脂と酸洗の前処理を行ったのち、まず厚み8μmのSn層20をめっき形成し、更にその上に厚み2μmのSn−3%Bi合金層21をめっき形成して図3で示した線材を製造した。
ついで、この線材に表1で示した条件のリフロー処理を行って単一のSn−Bi合金層2が形成されている図1のリード線にした。
このリード線につき、下記の仕様でSn−Bi合金層2の厚み、Biの濃度勾配、耐食性、滑り性、はんだ濡れ性を測定した。
【0029】
(1)厚みの測定:単一のSn−Bi合金層2の厚みを、コリメータ径0.1m mの蛍光X線膜厚計により40点測定し、その最大厚み(a)と最小厚み(b)を求めた。
(2)Biの濃度勾配:オージェ電子分光測定器で、表面から厚み方向で、表面から0.5μmの深さの位置、合金層の表面から1/4の深さの位置、合金層の表面から1/2の深さの位置、合金層の表面から3/4の深さの位置におけるBi濃度を測定した。このSn−Bi合金層2の一部を剥離してそのBi濃度を分析し、Biの平均濃度も測定した。
【0030】
(3)耐食性:リード線の表面に電解コンデンサの電解質溶液の滴下したのち、水洗、乾燥処理を行い、ついで、温度40℃、相対湿度95%の雰囲気下に24時間放置したのち、その表面を光学顕微鏡で観察して、腐食生成物発生の有無を調べた。
(4)滑り性:平板の上にリード線を固定し、そのリード線の表面に1mmRの曲率をもったステンレス鋼製の曲面板を荷重5gfで押し当てた状態で1回摺動し、動摩擦係数を測定した。測定後、リード線の表面を観察し、Sn−Bi合金層2の剥離状態を目視観察。
【0031】
(5)はんだ濡れ性:リード線に、温度170℃で24時間の熱処理を行ったのち、所望の長さに切断し、Sn−3.5%Agのはんだ浴(浴温250℃)に、ロジン25%のフラックスを用いて2秒間浸漬し、そのときの濡れ面積を測定し、その値を浸漬面積で除算して濡れ面積の比率(%)を求めた。この値が95%以上のものは、合格品である。
以上の結果を一括して表1に示した。
【0032】
【表1】
Figure 0003700924
【0033】
表1から次のことが明らかである。
(1)まず、実施例と比較例2を対比すると、高い温度でリフロー処理された比較例2の場合は、2層構造のめっき層が全て溶融したのでBiの濃度勾配は形成されておらず、またそのb/a値が小さく、Sn−Bi合金層2の厚みばらつきが大きいので、はんだ濡れ性が大幅に低下している。
【0034】
(2)また、比較例1の場合は、リフロー処理温度が低すぎてSn−Bi合金層が充分に溶融しなかったが、そのため、b/a値は大きくなっているとはいえ、Sn−Bi合金層2の表面滑り性は悪く、また耐食性も低下していて腐食生成物が発生している。
(3)実施例1〜3を比べると、リフロー処理温度の低いものは、溶融の程度が少ないので、厚みのばらつきが小さく、その結果、滑り性、はんだ濡れ性が相対的に向上している。
【0035】
実施例4〜、比較例4,5
線径0.5mmのCu線に電解脱脂と酸洗の前処理を行ったのち、まずSn層20をめっき形成し、更にその上にSn−Bi合金層21をめっき形成して図3で示した線材を製造した。
このとき、各めっき条件を変えることにより、厚みとBi濃度が表2で示した値になっている線材にした。
【0036】
ついで、この線材に、温度750℃、ライン速度50m/分でリフロー処理を行って図1で示したリード線にした。
これらリード線につき、実施例1〜3と同様にして、Sn−Bi合金層2の厚み、Biの濃度勾配、耐食性、滑り性、はんだ濡れ性、そしてSn−Bi合金層2におけるBiの平均濃度を測定した。結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
Figure 0003700924
【0038】
表2から次のことが明らかである。
(1)実施例4〜は、比較例4,5に比べると、Biの濃度勾配が形成されており、またSn−Bi合金層の厚みのばらつきも小さい。その結果、はんだ濡れ性、滑り性が優れたものになっている。
【0039】
(2)比較例1は、そのSn−Bi合金層におけるBi濃度が高いので、実施例と同じ条件のリフロー処理を行っても、溶融が激しく進みSn−Bi合金層の厚みのばらつきが大きく、はんだ濡れ性が劣っている。
ここで、実施例のリード線と比較例のリード線につき、Sn−Bi合金層2の厚み方向における各成分濃度を測定した結果をそれぞれ図4と図5に示す。
【0040】
図4は実施例の結果であり、図5は比較例の結果である。
図4と図5から明らかなように、実施例のリード線におけるSn−Bi合金層では表面から2μm程度の厚み領域にBiの濃度勾配が形成されている。しかしながら、比較例のリード線には上記したようなBiの濃度勾配は形成されていない。このようなことから、本発明で規定したようなBiの濃度勾配をSn−Bi合金層に形成することの有用性は明らかである。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のリード線の場合、導電性基体上に形成されているSn−Bi合金層はリフロー処理によって形成されたものであるため、その表面が平滑であり、また厚み方向にBiの濃度勾配が形成されている。
したがって、電解コンデンサの製造過程で付着する電解質溶液を完全に洗浄・除去することができるので耐食性が優れており、また表面における高濃度のBiの作用ではんだ濡れ性が優れ、更にはBiの濃度勾配の作用で良好な曲げ加工性も確保されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリード線の断面構造を示す断面図である。
【図2】リフロー処理後のSn−Bi合金層におけるBiの濃度勾配を説明するための断面図である。
【図3】リフロー処理前のリード線の断面構造を示す断面図である。
【図4】実施例に基づくリード線のSn−Bi合金層における表面からの深さと組成との関係を示すグラフである。
【図5】比較例に基づくリード線のSn−Bi合金層における表面からの深さと組成との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性基体
2 リフロー処理後のSn−Bi合金層
0 Sn層
1 Sn−Bi合金層
2a Sn−Bi合金層2の表面
2b Sn−Bi合金層2と導電性基体1との界面
2A 表面2aから半分の深さの位置に至るまでの厚み領域
2B 厚み領域2Aから導電性基体1の界面2bに至る厚み領域
2C 表面2aから深さ0.5μmまでの表層部

Claims (5)

  1. 導電性基体上にリフロー処理されたSn−Bi合金層が形成されている電解コンデンサ用リード線において、
    前記Sn−Bi合金層の表面からその半分の深さの位置に至る厚み領域には、Bi濃度が漸次減少するBiの濃度勾配が形成されており、前記Sn−Bi合金層の表面から深さ0.5μmまでの表層部におけるBi濃度が2重量%以上であり、かつ、前記厚み領域から前記導電性基体に至る厚み領域におけるBi濃度は0.01重量%以下であることを特徴とする電解コンデンサ用リード線。
  2. 前記Sn−Bi合金層の最も厚い部分の厚みをa(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μm)としたとき、a,bの間には、次式:0.8≦b/a≦1.0の関係が成立している請求項1の電解コンデンサ用リード線。
  3. 前記Sn−Bi合金層におけるBiの平均濃度が0.1〜1.0重量%である請求項1または2の電解コンデンサ用リード線。
  4. 導電性基体上にSn層とSn−Bi合金層を順次形成し、ついでリフロー処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの電解コンデンサ用リード線の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかの電解コンデンサ用リード線を用いて組み立てられた電子部品。
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