JP2002043177A - 電解コンデンサ用リード線とその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用リード線とその製造方法

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JP2002043177A JP2000219818A JP2000219818A JP2002043177A JP 2002043177 A JP2002043177 A JP 2002043177A JP 2000219818 A JP2000219818 A JP 2000219818A JP 2000219818 A JP2000219818 A JP 2000219818A JP 2002043177 A JP2002043177 A JP 2002043177A
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勲 瀬川
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欣也 杉江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 はんだ濡れ性が優れ、表面が平滑であり、耐
食性に優れた電解コンデンサ用リード線とその製造方法
を提供する。 【解決手段】 導電性基体1の上にリフロー処理された
Sn−Bi合金層2が形成されている電解コンデンサ用
リード線において、Sn−Bi合金層2の表面からその
半分の深さの位置に至る厚み領域2AにはBi濃度が漸
次減少するBiの濃度勾配が形成されており、表面2a
から深さ0.5μmまでの表層部2CにおけるBi濃度
は2重量%以上であり、かつ、厚み領域2Aから導電性
基体1との界面2bにまで至る厚み領域2BにおけるB
i濃度は0.01重量%以下である電解コンデンサ用リ
ード線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面にSn−Bi合
金層が形成されている電解コンデンサ用リード線とその
製造方法に関し、更に詳しくは、はんだ濡れ性が優れ、
また表面が平滑であるため、滑り性が良好であり、そし
て電解コンデンサの電解質溶液に対する耐食性にも優れ
ている電解コンデンサ用リード線とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】CuまたはCu合金から成る導電性基体
の表面をSnまたはSn合金でめっき被覆した線材は、
CuまたはCu合金が備えている優れた導電性と機械的
強度を有し、かつ、SnまたはSn合金が備えている耐
食性と良好なはんだ付け性を併有する高性能導体であっ
て、各種の端子、コネクタ、リード線のような電気・電
子機器分野における用途、また電力ケーブルの分野など
で多用されている。
【0003】ところで、上記した線材において、導電性
基体を被覆するめっき層がSnのみで形成されている場
合には、表面酸化に基づくはんだ付け性の劣化が起こ
り、またウイスカーが発生しやすいので短絡事故の原因
が生じやすいという問題がある。そのため、めっき層を
Sn合金で形成して、上記問題が生じないようにするこ
とが広く行われている。その場合のSn合金の代表例は
Sn−Pb合金であり、これは従来から多用されてい
る。
【0004】しかしながら、Sn−Pb合金中のPb成
分は人体に悪影響を与える虞れがあるということから、
最近では、Sn−Pb合金は優れた性質を備えているに
もかかわらず、その使用が敬遠されている。そのため、
近年、このSn−Pb合金に代わるものとして、Pbフ
リーであるSn−Bi合金が使用されはじめている。し
かしながら、このSn−Bi合金のめっき層で被覆され
ているリード線の場合、基体中のCu成分に対するSn
成分の拡散速度が大きいので、高温の熱処理を行ったと
きに、基体とめっき層の界面にSn−Cu層が形成され
る。通常、はんだ付けでは、めっき層がはんだ浴に溶け
るため、基体表面の活性なCuが露出し、そのことによ
ってはんだの濡れが実現する。しかしながら、Sn−C
u層が形成されていると、基体表面には活性なCuが表
出しなくなる。その結果、はんだ濡れ性が劣化するとい
う問題が生じてくる。
【0005】このような問題に対し、本発明者らは、導
電性基体の表面に、まず、Snめっき層を形成し、更に
そのSnめっき層の上にSn−Bi合金から成るめっき
層を形成することにより、2層構造のめっき層を有する
リード線を開発した(特開平10−229152号公報
を参照)。このリード線の場合、下層に位置するSnめ
っき層におけるSnの拡散速度が上層に位置するSn−
Bi合金層におけるSnの拡散速度よりも小さく下層の
Snめっき層はいわばSnの拡散バリアとして機能し、
そのため、前記したSn−Cu層が形成されにくくな
り、従来のSnめっき層単独で被覆されているリード線
に比べても、ほぼ同等のはんだ濡れ性を発揮する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た2層構造のめっき層で被覆されているリード線を用い
て電解コンデンサを組み立てると、次のような問題が発
生して、製造した電解コンデンサの信頼性の低下や、ま
た製造時における生産性の低下などが引き起こされてい
る。
【0007】例えば、表面側のめっき層を無光沢めっき
で形成した場合、当該めっき層の表面には凹凸が生じて
いるので、電解コンデンサの製造時に付着した電解質溶
液を洗浄しても、その電解質溶液を充分に除去すること
が困難であり、その結果、残置した電解質溶液の作用で
実使用時にリード線の腐食が進行する。また、表面に凹
凸が存在していると、そのリード線を電解コンデンサの
アルミ端子にはんだ付けしたときに、はんだがリード線
から剥離しやすくなるため、不良品が発生しやすく、ま
た製造した電解コンデンサの信頼性も低くなりやすい。
そのため、製造ラインを頻繁に停止してその点検を行う
ことが必要となり、製造時の生産性は低下する。
【0008】したがって、電解コンデンサ用のリード線
には、はんだ濡れ性が優れていることはもちろんのこ
と、表面の平滑性が良好であるということは重要な必要
条件となる。その場合、表面側のめっき層の形成時に無
光沢めっきを行えば、その表面は比較的平滑になるた
め、上記した問題の発生を抑制するという点では有効で
あると考えられる。
【0009】しかしながら、他方では、無光沢めっきを
適用すると、そのめっき層の耐熱性は低下し、また曲げ
加工性も低下するという新たな問題が生じてくる。ま
た、表面の平滑性を高めるためには、めっき層の形成後
に例えばリフロー処理のような熱処理を行って、めっき
層を一旦溶融したのち再凝固させることが有効であり、
この方法は、電解コンデンサ用のリード線にも適用され
ている。
【0010】しかしながら、このリフロー処理で留意す
べきことは、あまり過剰なリフロー処理を行うと、再凝
固後に形成される単一層の厚みのばらつきが大きくなっ
て、表面の平滑性は向上してもはんだ濡れが低下すると
いう問題が生じてくる。とくに、表面側がSn−Bi合
金層になっているリード線に過剰なリフロー処理を行う
と、表面側のBiが全層内に拡散してしまうのでBiの
効果は失われ、また、めっき層の薄い部分で基体の成分
が容易に拡散するというような問題も生ずるので、Sn
−Bi合金層に対するリフロー処理の場合には、前記し
た再凝固層における厚みのばらつきの極小化という問題
に加え、Bi濃度の適正化という問題が重要になってく
る。
【0011】本発明は、表面にリフロー処理で形成され
たSn−Bi合金層を有する電解コンデンサ用リード線
における上記した問題に解決を与える発明であって、再
凝固層における厚みばらつきが小さいので、はんだ濡れ
性が優れていることはもちろんのこと、表面の平滑性が
優れているので、滑り性が良好で、電解質溶液の付着に
基づく腐食を抑制することができる電解コンデンサ用リ
ード線とそれを製造する方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、導電性基体上にリフロー処
理されたSn−Bi合金層が形成されている電解コンデ
ンサ用リード線において、前記Sn−Bi合金層の表面
からその半分の深さの位置に至る厚み領域には、Bi濃
度が漸次減少するBiの濃度勾配が形成されており、前
記Sn−Bi合金層の表面から深さ0.5μmまでの表
層部におけるBi濃度が2重量%以上であり、かつ、前
記厚み領域から前記導電性基体に至る厚み領域における
Bi濃度は0.01重量%以下であることを特徴とする
電解コンデンサ用リード線が提供される。
【0013】そして、前記Sn−Bi合金層の最も厚い
部分の厚みをa(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μ
m)としたとき、a,bの間には、次式:0.8≦b/
a≦1.0の関係が成立していることが好ましい。ま
た、本発明においては、導電性基体上にSn層とSn−
Bi合金層を順次形成し、ついでリフロー処理を行うこ
とを特徴とする電解コンデンサ用リード線の製造方法が
提供される。
【0014】更に、本発明においては、前記電解コンデ
ンサ用リード線を用いて組み立てられた電子部品が提供
される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のリード線は、図1で示し
たように、導電性基体1と、それを被覆するSn−Bi
合金層2で構成されている。まず、導電性基体1として
は、Cu、または黄銅、リン青銅のようなCu合金で構
成されていることが好ましい。また、例えば鋼材を芯材
とし、その表面が上記したCuまたはCu合金で被覆さ
れているものであってもよい。
【0016】次に、本発明におけるSn−Bi合金層2
は次のような要件を備えていることを特徴とする。 (1)まず、リフロー処理によって形成された単一のS
n−Bi合金層である。すなわち、後述するように、基
材1の上にSn層とSn−Bi合金層をめっき法で順次
形成して2層構造のめっき層とし、これにリフロー処理
を行うことにより、Sn層とSn−Bi合金層の一部ま
たは全部が、一旦、溶融し、ついで再凝固されて形成さ
れた単一のSn−Bi合金層である。
【0017】(2)このSn−Bi合金層2はリフロー
処理で形成されるため、不可避的に最も厚い部分と最も
薄い部分が存在する。そして、最も厚い部分の厚みをa
(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μm)としたと
き、このSn−Bi合金層2では、a,b間には、次
式:0.8≦b/a≦1.0の関係が成立していることが
好ましい。b/a値が0.8より小さい場合には、Sn
−Bi合金層2の厚みのばらつきが大きくなっているの
で、そのリード線におけるはんだ濡れ性は低下する。な
お、b/a=1とは厚みのばらつきがない状態を示すの
で、b/a値が1より大きくなることはあり得ない。
【0018】(3)このSn−Bi合金層2では、図2
で示したように、その表面2aから導電性基体1との界
面2bへと向かう厚み方向において、表面2aから半分
の深さの位置に至る厚み領域2AにはBiの濃度勾配が
形成されている。具体的には、表面2a側ほどBi濃度
が高く、界面2b側にいくほどBi濃度は低減している
ようなBiの濃度勾配である。
【0019】このBiの濃度勾配は、次のようにして形
成されていく。すなわち、めっきで形成されたSn層と
Sn−Bi合金層の2層構造のめっき層の溶融は、リフ
ロー処理時の熱が表面側から伝導するので、表面から芯
部に向かって進行するが、再凝固の過程では、降温は芯
部から進んでいくので、下層のSn層を構成していて相
対的に高融点であるSnの再凝固から始まり、比較的低
融点である含Bi共晶組成は表面側に移動しながら再凝
固していくことになる。その結果として、Biの上記し
た濃度勾配が形成されるのである。
【0020】このSn−Bi合金層2の場合、表面のB
i濃度が最も高い状態でBiの濃度勾配が形成されてい
るので、まず、表面に高濃度で存在するBiの作用では
んだ濡れ性は向上している。また、Bi濃度が高くなる
ほどそのSn−Bi合金は低融点となるため、リフロー
処理時には表面側は液状になりやすく、その結果、リフ
ロー処理後における再凝固したSn−Bi合金層2の表
面の平滑性は向上していることになる。このことは、こ
の表面に電解質溶液が付着してもそれを充分に洗浄・除
去できる状態になっているので、当該リード線の耐食性
の向上に貢献していることになる。
【0021】ただし、Bi濃度が高いということは曲げ
加工時にクラックが発生しやすいということである。し
かしながら、このSn−Bi合金層2の場合、導電性基
体1側ほどBi濃度が低くなっていてその曲げ加工性が
良好になっているので、仮に、Bi濃度が最も高い表面
でクラックが発生しても、そのクラックの伝播は比較的
浅い位置で停止するようになり、そのためリード線の耐
食性低下が抑制されることになる。
【0022】(4)そして、このSn−Bi合金層2の
場合、(3)で説明した厚み領域2AにおけるBiの濃
度勾配の形成ということを前提にして、図2で示したよ
うに、表面2aから深さ0.5μmまでの表層部2Cに
おけるBi濃度は2重量%以上で、かつ、その厚み領域
2Aから導電性基体1とSn−Bi合金層との界面2b
に至る厚み領域2BにおけるBi濃度は0.01重量%
以下になっている。
【0023】一般に、リフロー処理後におけるSn層に
してもSn−Bi合金層にしても、その表面には厚み1
〜2nm程度の自然酸化皮膜が生成している。そして、B
iを含まないSn層の場合には、例えば部品実装に伴う
熱処理を受ける過程で、この酸化皮膜は20〜30nm程
度にまで成長してはんだ濡れ性の低下が引き起こされ
る。
【0024】しかしながら、Sn−Bi合金層の場合
は、酸化皮膜の成長は厚み10〜20nm程度で停止し
て、そのはんだ濡れ性の低下が抑制される。Bi配合の
この作用効果は、Bi濃度が2重量%以上、好ましくは
3〜5重量%である場合に発現するのであって、Bi濃
度が2重量%未満である場合にはあまり効果がない。こ
のようなことから、このSn−Bi合金層2では、前記
した厚み領域2AにおけるBi濃度が2重量%以上に設
定されているのである。その際、厚み領域2Aの厚みの
上限を0.2μmと規定した理由は、Biの高濃度領域
をこれより厚くすると、曲げ加工性の低下が起こりはじ
めて不都合であるからである。
【0025】なお、界面2b側の厚み領域2Bは、Sn
リッチな領域とすることにより、上層側から導電性基体
1側へ拡散してくるSnの拡散バリアとして機能させる
ことを目的として形成されるものである。このような機
能を発揮させるために、厚み領域2BにおけるBi濃度
が0.01重量%以下になっていることが必要になる。
この条件が満たされていないと、界面2bにはSn−C
u層が生成しはじめてはんだ濡れ性の低下が引き起こさ
れるようになるからである。
【0026】(5)このSn−Bi合金層2は、既に述
べた条件を必要とするが、それに加えて、次のような条
件を満たしていることが好ましい。すなわち、このSn
−Bi合金層2におけるBiの平均濃度が0.1〜1.0
重量%になっていることである。この平均濃度が0.1
重量%より低い場合は、Sn単独層の場合と同じよう
に、表面酸化やウイスカーの発生が起こりやすくなり、
また、1.0重量%より高い場合には、表面側における
前記したBi濃度が高くなりすぎて曲げ加工性の低下を
招くと同時に、はんだ付け時に当該はんだが剥離する、
いわゆるリフトオフが発生するようになるからである。
好ましいBiの平均濃度は0.2〜1.0重量%である。
【0027】このような本発明のリード線は、図3で示
したように、導電性基体1の表面に、Sn層20とSn
−Bi合金層21を順次めっき法で形成して2層構造の
めっき層とし、ついで全体にリフロー処理を行って製造
することができる。このとき、リフロー処理の条件、と
りわけ温度条件を過剰にすると、下層のSn層まで溶融
して再凝固したときのSn−Bi合金層2におけるb/
a値は前記した範囲を満たさなくなり、また表面にも凹
凸が発生することがあり、更には表面におけるBi濃度
も前記した値より低くなってしまうので、このようなこ
とを考慮してリフロー処理条件は設定される。通常、温
度750〜850℃で40m/分程度のライン速度を採
用することが好ましい。
【0028】
【実施例】実施例1〜3、比較例1〜3 線径0.6mmのCu被覆鋼線に電解脱脂と酸洗の前処理
を行ったのち、まず厚み8μmのSn層20をめっき形
成し、更にその上に厚み2μmのSn−3%Bi合金層
1をめっき形成して図3で示した線材を製造した。つ
いで、この線材に表1で示した条件のリフロー処理を行
って単一のSn−Bi合金層2が形成されている図1の
リード線にした。このリード線につき、下記の仕様でS
n−Bi合金層2の厚み、Biの濃度勾配、耐食性、滑
り性、はんだ濡れ性を測定した。
【0029】(1)厚みの測定:単一のSn−Bi合金
層2の厚みを、コリメータ径0.1mmの蛍光X線膜厚計
により40点測定し、その最大厚み(a)と最小厚み
(b)を求めた。 (2)Biの濃度勾配:オージェ電子分光測定器で、表
面から厚み方向で、表面から0.5μmの深さの位置、
合金層の表面から1/4の深さの位置、合金層の表面か
ら1/2の深さの位置、合金層の表面から3/4の深さ
の位置におけるBi濃度を測定した。このSn−Bi合
金層2の一部を剥離してそのBi濃度を分析し、Biの
平均濃度も測定した。
【0030】(3)耐食性:リード線の表面に電解コン
デンサの電解質溶液の滴下したのち、水洗、乾燥処理を
行い、ついで、温度40℃、相対湿度95%の雰囲気下
に24時間放置したのち、その表面を光学顕微鏡で観察
して、腐食生成物発生の有無を調べた。 (4)滑り性:平板の上にリード線を固定し、そのリー
ド線の表面に1mmRの曲率をもったステンレス鋼製の曲
面板を荷重5gfで押し当てた状態で1回摺動し、動摩擦
係数を測定した。測定後、リード線の表面を観察し、S
n−Bi合金層2の剥離状態を目視観察。
【0031】(5)はんだ濡れ性:リード線に、温度1
70℃で24時間の熱処理を行ったのち、所望の長さに
切断し、Sn−3.5%Agのはんだ浴(浴温250
℃)に、ロジン25%のフラックスを用いて2秒間浸漬
し、そのときの濡れ面積を測定し、その値を浸漬面積で
除算して濡れ面積の比率(%)を求めた。この値が95
%以上のものは、合格品である。 以上の結果を一括して表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】表1から次のことが明らかである。 (1)まず、実施例と比較例2を対比すると、高い温度
でリフロー処理された比較例2の場合は、2層構造のめ
っき層が全て溶融したのでBiの濃度勾配は形成されて
おらず、またそのb/a値が小さく、Sn−Bi合金層
2の厚みばらつきが大きいので、はんだ濡れ性が大幅に
低下している。
【0034】(2)また、比較例1の場合は、リフロー
処理温度が低すぎてSn−Bi合金層が充分に溶融しな
かったが、そのため、b/a値は大きくなっているとは
いえ、Sn−Bi合金層2の表面滑り性は悪く、また耐
食性も低下していて腐食生成物が発生している。 (3)実施例1〜3を比べると、リフロー処理温度の低
いものは、溶融の程度が少ないので、厚みのばらつきが
小さく、その結果、滑り性、はんだ濡れ性が相対的に向
上している。
【0035】実施例4〜7、比較例4,5 線径0.5mmのCu線に電解脱脂と酸洗の前処理を行っ
たのち、まずSn層20をめっき形成し、更にその上に
Sn−Bi合金層21をめっき形成して図3で示した線
材を製造した。このとき、各めっき条件を変えることに
より、厚みとBi濃度が表2で示した値になっている線
材にした。
【0036】ついで、この線材に、温度750℃、ライ
ン速度50m/分でリフロー処理を行って図1で示した
リード線にした。これらリード線につき、実施例1〜3
と同様にして、Sn−Bi合金層2の厚み、Biの濃度
勾配、耐食性、滑り性、はんだ濡れ性、そしてSn−B
i合金層2におけるBiの平均濃度を測定した。結果を
表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】表2から次のことが明らかである。 (1)実施例4〜7は、比較例4,5に比べると、Bi
の濃度勾配が形成されており、またSn−Bi合金層の
厚みのばらつきも小さい。その結果、はんだ濡れ性、滑
り性が優れたものになっている。
【0039】(2)比較例1は、そのSn−Bi合金層
におけるBi濃度が高いので、実施例と同じ条件のリフ
ロー処理を行っても、溶融が激しく進みSn−Bi合金
層の厚みのばらつきが大きく、はんだ濡れ性が劣ってい
る。ここで、実施例のリード線と比較例のリード線につ
き、Sn−Bi合金層2の厚み方向における各成分濃度
を測定した結果をそれぞれ図4と図5に示す。
【0040】図4は実施例の結果であり、図5は比較例
の結果である。図4と図5から明らかなように、実施例
のリード線におけるSn−Bi合金層では表面から2μ
m程度の厚み領域にBiの濃度勾配が形成されている。
しかしながら、比較例のリード線には上記したようなB
iの濃度勾配は形成されていない。このようなことか
ら、本発明で規定したようなBiの濃度勾配をSn−B
i合金層に形成することの有用性は明らかである。
【0041】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
リード線の場合、導電性基体上に形成されているSn−
Bi合金層はリフロー処理によって形成されたものであ
るため、その表面が平滑であり、また厚み方向にBiの
濃度勾配が形成されている。したがって、電解コンデン
サの製造過程で付着する電解質溶液を完全に洗浄・除去
することができるので耐食性が優れており、また表面に
おける高濃度のBiの作用ではんだ濡れ性が優れ、更に
はBiの濃度勾配の作用で良好な曲げ加工性も確保され
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリード線の断面構造を示す断面図であ
る。
【図2】リフロー処理後のSn−Bi合金層におけるB
iの濃度勾配を説明するための断面図である。
【図3】リフロー処理前のリード線の断面構造を示す断
面図である。
【図4】実施例に基づくリード線のSn−Bi合金層に
おける表面からの深さと組成との関係を示すグラフであ
る。
【図5】比較例に基づくリード線のSn−Bi合金層に
おける表面からの深さと組成との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 導電性基体 2 リフロー処理後のSn−Bi合金層 20 Sn層 21 Sn−Bi合金層 2a Sn−Bi合金層2の表面 2b Sn−Bi合金層2と導電性基体1との界面 2A 表面2aから半分の深さの位置に至るまでの厚
み領域 2B 厚み領域2Aから導電性基体1の界面2bに至
る厚み領域 2C 表面2aから深さ0.5μmまでの表層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 智 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 松田 晃 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 瀬川 勲 大阪府寝屋川市楠根北町2番5号 協和電 線株式会社内 (72)発明者 杉江 欣也 大阪府寝屋川市楠根北町2番5号 協和電 線株式会社内 Fターム(参考) 4K044 AA06 AB04 BA01 BA10 BB03 BC02 BC05 BC08 CA04 CA11 CA18 CA53 CA62

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上にリフロー処理されたSn
    −Bi合金層が形成されている電解コンデンサ用リード
    線において、 前記Sn−Bi合金層の表面からその半分の深さの位置
    に至る厚み領域には、Bi濃度が漸次減少するBiの濃
    度勾配が形成されており、前記Sn−Bi合金層の表面
    から深さ0.5μmまでの表層部におけるBi濃度が2
    重量%以上であり、かつ、前記厚み領域から前記導電性
    基体に至る厚み領域におけるBi濃度は0.01重量%
    以下であることを特徴とする電解コンデンサ用リード
    線。
  2. 【請求項2】 前記Sn−Bi合金層の最も厚い部分の
    厚みをa(μm)、最も薄い部分の厚みをb(μm)と
    したとき、a,bの間には、次式:0.8≦b/a≦1.
    0の関係が成立している請求項1の電解コンデンサ用リ
    ード線。
  3. 【請求項3】 前記Sn−Bi合金層におけるBiの平
    均濃度が0.1〜1.0重量%である請求項1または2の
    電解コンデンサ用リード線。
  4. 【請求項4】 導電性基体上にSn層とSn−Bi合金
    層を順次形成し、ついでリフロー処理を行うことを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかの電解コンデンサ用リー
    ド線の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかの電解コンデン
    サ用リード線を用いて組み立てられた電子部品。
JP2000219818A 2000-07-19 2000-07-19 電解コンデンサ用リード線とその製造方法 Expired - Fee Related JP3700924B2 (ja)

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KR100452469B1 (ko) * 2000-10-24 2004-10-08 마쯔시다덴기산교 가부시키가이샤 고체 전해 콘덴서 및 그 제조 방법
WO2022230304A1 (ja) * 2021-04-28 2022-11-03 パナソニックIpマネジメント株式会社 積層体の製造方法、キャパシタの製造方法、積層体、キャパシタ、電気回路、回路基板、及び機器

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