JP3698606B2 - 高所作業車の作業台傾斜制御装置 - Google Patents

高所作業車の作業台傾斜制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高所作業車の作業台傾斜制御装置に関し、更に詳細には、ブームの先端に傾動自在に設けられた垂直ポストの先端に旋回動自在に設けられた作業台を車体の前後方向に対して前傾又は後傾させる場合に操作する作業台傾斜操作装置を作業台に有した高所作業車の作業台傾斜制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電柱上で電設工事等を行なう場合には、一般に、起伏動自在な伸縮ブームの先端部に作業台を有した高所作業車が使用される。この高所作業車は、車体上に設けられ旋回動自在な旋回台と、この旋回台に起伏動自在に枢結された伸縮ブームと、伸縮ブームの先端部に上下方向に傾動自在に枢結された垂直ポストの先端に旋回動自在に設けられた作業台と、を有して構成されているものがある。作業台には、伸縮ブームの作動を操作するブーム操作装置と、車体の前後方向に対して作業台を前傾又は後傾させる場合に操作する作業台傾斜操作装置と、作業台を旋回動させる場合に操作する作業台旋回操作装置とが設けられている。
【0003】
この高所作業車により電設工事等を行なう場合には、作業台上に搭乗した作業者がブーム操作装置を操作して伸縮ブームを起伏、伸縮及び旋回動させるとともに、作業台旋回操作装置を操作して作業台を旋回動させて、作業台を所望の高所位置に移動させる。そして、作業台上に搭乗した作業者が電設工事等を行なう。また、作業終了時には、旋回台を旋回動させ、且つ伸縮ブームを縮小動・倒伏動させて伸縮ブームを車体上に格納するとともに、作業台を車体の前側に設けられた運転キャビンの上方に格納する。このとき、格納された作業台が車体の前後方向に傾いている場合には、作業者は作業台傾斜操作装置を操作して作業台を前傾又は後傾させて作業台を水平状態に修正する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業台は伸縮ブームの先端部において旋回動自在に設けられているので、作業台を車体に格納する場合、作業台が旋回状態で作業台の前部が車両の後方側へ向き且つ車体の前後方向に前傾又は後傾している場合がある。この場合に作業台傾斜操作装置により作業台を水平状態にする前傾調整操作又は後傾調整操作がされると、作業台が更に前傾状態又は後傾状態に傾動し、作業台に搭乗した作業者の意図する方向と反対側の方向に作業台が傾斜して、作業者が作業台で転倒する虞がある、という問題が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、作業台の前部が車両の後方側へ向いた状態で作業台傾斜操作装置により前傾調整操作又は後傾調整操作をした場合に、作業者の意図する方向に作業台の傾きを修正する高所作業車の作業台傾斜制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の高所作業車の作業台傾斜制御装置は、車体に旋回、起伏および伸縮自在に設けられたブームと、ブームの先端に垂直面内において前後に傾動自在に設けられた垂直ポストと、垂直ポストの上部に水平旋回動自在に取り付けられた作業台と、垂直ポストをブームの先端に対して垂直面内において前後に傾動させるため垂直ポストに接続されてブームの先端に設けられたレベリングシリンダと、垂直ポストを垂直面内において前後に傾動させて作業台の傾きを修正するため作業台上に搭乗した作業者が操作するように作業台に操作可能に設けられた作業台傾斜操作手段と、作業台傾斜操作手段の前傾操作又は後傾操作に応じて送られてくる操作信号を受けてレベリングシリンダの作動を制御する作動制御手段とを有する高所作業車の作業台傾斜制御装置であって、作業台の垂直ポストに対する水平旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段を有して構成される。そして、作動制御手段は、作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が作業台の前部を垂直ポストの前後方向における後方側へ向いた状態とする反転領域内にあるか否かを判定し、作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が反転領域内にあると判定されたときには、作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号を反転させてレベリングシリンダの作動を制御し、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには作業台を後傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作業台を前傾動させ、作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が作業台の前部を垂直ポストの前後方向における前方側へ向いた状態とする非反転領域内にあると判定されたときには、作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号をそのまま維持してレベリングシリンダの作動を制御し、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには作業台を前傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作業台を後傾動させる制御を行なうものである。
【0007】
上記構成の高所作業車の作業台傾斜制御装置によれば、作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度が反転領域内にある場合に、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには、作動制御手段が傾動アクチュエータの作動を制御して支持手段を傾動させて作業台を後傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作動制御手段が作業台を前傾動させる制御を行なう。
【0008】
また、作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度が非反転領域内にある場合に、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには、作動制御手段が作業台を前傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作業台を後傾動させる制御を行なう。
【0009】
このように、作業台の前部が反転領域内にある場合には作業台傾斜操作手段により行なった前傾操作が後傾操作になり、後傾操作が前傾操作になるので、作業台の前部が反転領域内にある場合でも作業台傾斜操作手段の操作により作業者の意図する方向に作業台の傾き修正をすることができ、作業者が作業台で転倒する虞を防止することができる。
【0010】
また、上記構成の高所作業車の作業台傾斜制御装置において、反転領域と非反転領域との間にヒステリシス領域を設け、作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度がヒステリシス領域にあるときには、作業台がヒステリシス領域内に旋回移動する前に位置した領域内での制御を継続するように構成することが好ましい。
【0011】
上記構成の高所作業車の作業台傾斜制御装置によれば、非反転領域からヒステリシス領域を経て反転領域に作業台が旋回動した場合、作業台傾斜操作手段による前傾操作又は後傾操作はヒステリシス領域を越えたときに後傾操作又は前傾操作に切り替わる。また、反転領域にある作業台が旋回動して反転領域からヒステリシス領域内に移動しても作業台傾斜操作手段による前傾操作又は後傾操作は切り替わらず、ヒステリシス領域を越えて非反転領域内に作業台が旋回動したときに作業台傾斜操作手段による前傾操作又は後傾操作が切り替わる。
【0012】
このように、反転領域と非反転領域間にヒステリシス領域を設けることで、作業台が非反転領域から反転領域に旋回動した場合の操作内容の切り替わる位置と、反転領域から非反転領域に旋回動した場合の操作内容の切り替わる位置とを相違させることができ、操作内容の切り替わる位置が同一の場合に発生する虞のあるいわゆるチャタリングを防止することができる。
【0013】
また、もう一つの本発明に係る高所作業車の作業台傾斜制御装置は、車体に旋回、起伏および伸縮自在に設けられたブームと、ブームの先端に垂直面内において前後に傾動自在に設けられた垂直ポストと、垂直ポストの上部に水平旋回動自在に取り付けられた作業台と、垂直ポストをブームの先端に対して垂直面内において前後に傾動させるため垂直ポストに接続されてブームの先端に設けられたレベリングシリンダと、垂直ポストを垂直面内において前後に傾動させて作業台の傾きを修正するため作業台上に搭乗した作業者が操作するように作業台に操作可能に設けられた作業台傾斜操作手段と、作業台傾斜操作手段の前傾操作又は後傾操作に応じて送られてくる操作信号を受けてレベリングシリンダの作動を制御する作動制御手段とを有する高所作業車の作業台傾斜制御装置であって、作業台の垂直ポストに対する水平旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段を有して構成される。そして、作動制御手段は、作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が所定の旋回角度領域内にある場合にのみ作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号をそのまま維持してレベリングシリンダの作動を制御し、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには作業台を前傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作業台を後傾動させ、所定の旋回角度領域外にある場合には、作業台傾斜操作手段による操作が行われても作業台を傾動させる制御を行わせないように構成される。
【0014】
上記構成の高所作業車の作業台傾斜制御装置によれば、作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度が所定の旋回角度領域内にある場合、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには、作動制御手段が作業台を前傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには、作動制御手段が作業台を後傾動させる制御を行なうが、所定の旋回角度領域外にある場合には、作業台傾斜操作手段による操作が行われても作業台を傾動させる制御を行わせない
【0015】
このように、作業台の前部が作業台の所定の旋回角度領域内にある場合にのみ、作業台傾斜操作手段による作業台の傾動操作を可能にすることで、所定の旋回角度領域内にある作業台の傾きのみを修正することができ、作業者による作業台傾斜操作手段による操作に対する作業台の傾動方向が作業者の意図に反することがなくなり、作業者が作業台で転倒する虞を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1から図5に基づいて説明する。本実施の形態は車体上に旋回動且つ伸縮動自在な伸縮ブームの先端部に床面積の大きな作業台を有した高所作業車の態様を示す。最初に、本発明の作業台傾斜制御装置を説明する前に作業台傾斜制御装置を搭載した高所作業車を説明する。高所作業車1は、図1に示すように、トラックをベースとして構成されており、車体3の前方に運転キャビン5を有し、運転キャビン5よりも後方の車体3の前後両側部には外側に張り出して車体3を安定支持するアウトリガジャッキ7が配設されている。車体3の後部上には上方へ突出し旋回動自在な旋回台9が設けられ、この旋回台9の上部には入れ子式に構成された伸縮動自在な伸縮ブーム11が枢結されている。伸縮ブーム11内には伸縮シリンダ13が内蔵され、この伸縮シリンダ13の伸縮作動によって伸縮ブーム11が伸縮作動するように構成されている。また、伸縮ブーム11の下面と旋回台9の下部間には起伏シリンダ15が揺動自在に枢結されており、この起伏シリンダ15の伸縮作動により伸縮ブーム11が起伏作動するように構成されている。
【0017】
伸縮ブーム11の先端部には垂直ポスト17が上下方向に揺動自在に枢結され、この垂直ポスト17の先端部には水平方向へ突出するフランジ部17aが設けられている。伸縮ブーム11の先端部とフランジ部17a間にはレベリングシリンダ19が枢結され、このレベリングシリンダ19の伸縮作動により図2に示す垂直ポスト17が垂直面内において車体3の前後方向に傾動させることができるように構成されている。また、図1に示すレベリングシリンダ19は、車体3に対する伸縮ブーム11の起伏角度を検出するため伸縮ブーム11に設けられたブーム起伏角センサ21の検出値と、伸縮ブーム11に対する垂直ポスト17とのなす角度を検出するため垂直ポスト17に設けられたポスト角検出センサ23との検出値とから垂直ポスト17が垂直方向に向くようにその伸縮作動が制御されている。このため、車体3が水平な位置に載置されている場合には伸縮ブーム11の起伏角度に係わらず垂直ポスト17を常時垂直状態に維持することができる。
【0018】
垂直ポスト17のフランジ部17aの上部には旋回機構25が設けられ、旋回機構25の上部に床面積の大きな作業台27が取り付けられている。旋回機構25は図示しない旋回モータを有し、図3に示す旋回機構25により作業台27が垂直ポスト17に対して時計方向及び反時計方向に旋回動自在に保持されている。図1に示す作業台27は板状の底板27aと、底板27aの周縁から上方へ突出する作業台手すり27bと、作業台27の前側の底板23上に設けられ伸縮ブーム11や旋回台9の作動を操作するブーム操作装置29と、レベリングシリンダ19を伸縮作動させて垂直ポスト17を傾動させて作業台27を前傾(ブーム操作装置29のある側がこれの無い側よりも低い状態で傾斜していること)又は後傾(ブーム操作装置29のある側がこれの無い側よりも高い状態で傾斜していること)させる場合に操作するためブーム操作装置29の近傍に設けられた作業台傾斜操作装置31とを有している。作業台傾斜操作装置31は、図2に示すように、前後方向に傾動する操作レバー31aを有し、操作レバー31aを作業台27の先端部側(矢印A方向)へ傾動させると、レベリングシリンダ19が伸長動して後傾した作業台27が水平状態側へ揺動し、操作レバー31aを作業台27の後端部側(矢印B方向)へ傾動させると、レベリングシリンダ19が縮小動して前傾した作業台27が水平状態側揺動するように構成されている。
【0019】
次に、本発明の作業台傾斜制御装置を説明する。作業台傾斜制御装置40は、図4に示すように、作業台傾斜操作装置31と作業台旋回角検出センサ41とコントローラ43とを有して構成されている。作業台傾斜操作装置31は前述したのでその説明は省略する。作業台旋回角検出センサ41は、図3に示すように、作業台27が車体3の前後方向に向いている状態を起点とし、この起点から時計方向又は反時計方向に作業台27が旋回動した場合の起点と作業台とのなす旋回角度θを検出する機能を有する。図4に示すコントローラ43は反転判定回路45と反転回路47と作動制御回路49とを有して構成されている。
【0020】
反転判定回路45は、作業台旋回角検出センサ41により検出された図3に示す旋回角度θが作業台27の前部が車体3の後方側へ向いた状態となる反転領域A1内にあるか否かを判定する機能を有する。ここで、反転領域A1は、図5に示す右斜線で示した領域、即ち、旋回角度θが90°+ψ1から270°−ψ2までの領域をいう。尚、以下、左斜線で示した領域、即ち、旋回角度θが270°+ψ1から90°−ψ2までの領域を非反転領域A2と記し、反転領域A1と非反転領域A2の間の水平線で示した領域、即ち、旋回角度θが90°−ψ2から90°+ψ1までの領域と、旋回角度θが270°−ψ2から270°+ψ1までの領域をヒステリシス領域A3と記す。
【0021】
図4に示す反転判定回路45は、図5に示す作業台27が矢印Xの方向(時計方向)に回転して90°+ψ1の角度を越えて反転領域A1に入ったときに反転領域A1内にある旨の反転信号を出力し、また、反転領域A1にある作業台27が矢印Yの方向(反時計方向)に回転して反転領域A1から90°+ψ1の角度を越えても反転信号の出力を継続し、ヒステリシス領域A3をさらに移動して非反転領域A2内に入ったときに反転信号の出力を停止する。また、反転判定回路45は、作業台27の旋回角度θが非転領域A2内にある場合には反転信号の出力を行なわない。尚、作業台27が反時計方向に旋回動した場合における反転信号の出力の有無は前述した作業台27が時計方向に旋回動した場合に準じるのでその説明は省略する。
【0022】
図4に示す反転回路47は、作業台傾斜操作装置31による前傾操作及び後傾操作のいずれの操作信号を受け取り、反転判定回路45による反転信号を受け取ったときに作業台傾斜操作装置31の操作信号の内容を反転させる機能、即ち、前傾操作の操作信号の場合には後傾操作の操作信号に、後傾操作の操作信号の場合には前傾操作の操作信号に反転させる機能を有する。また、反転回路47は、反転判定回路45による反転信号を受け取ていない場合には作業台傾斜操作装置31からの操作信号をそのまま作動制御回路49に送り出す機能を有する。作動制御回路49は反転回路47から受け取った操作信号に応じてレベリングシリンダ19の伸縮作動を制御するためレベリンシリンダ19に図示しない油圧回路を介して接続された作動制御弁Vの作動を制御する。
【0023】
次に、本発明の作業台傾斜制御装置40の作用を説明する。最初に、図1に示す車体3上に作業台19を格納した状態で高所作業車1を作業現場まで移動させた後に、アウトリガジャッキ7を張り出して車体3を安定支持する。そして、図示しない作業者が車体3を介して作業台27に乗り込み、その作業者がブーム操作装置29を手動操作して伸縮ブーム11を旋回、起伏動させるとともに作業台27を旋回動させて、作業台27を所望の作業現場に移動させる。そして、作業台27に搭乗した作業者が高所作業を行なう。作業が終了すると、作業者はブーム操作装置29を手動操作して伸縮ブーム11を縮小動、倒伏動及び旋回動させて作業台27を車体3の格納位置の上方に移動させる。以下、格納位置にある作業台を「格納姿勢にある作業台」と記す。
【0024】
ここで、車両の載置された場所が傾斜し車体3が前傾又は後傾している状態では、レベリングシリンダ19による作業台27の水平保持は困難である。この状態、即ち、作業台27が車体3の前後方向に対して前傾又は後傾した状態で、図3に示す作業台27が垂直ポスト17に対して旋回角度θが+180°の位置で格納姿勢になっている場合に、作業台27に搭乗した作業者が作業台27の前傾又は後傾を修正するために作業台傾斜操作装置31を操作して前傾操作又は後傾操作を行なうと、図4に示す作業台旋回角検出センサ41が旋回角度を検出する。そして、この検出された旋回角度がコントローラ43の反転判定回路45に送られる。検出された旋回角度を受け取った反転判定回路45は検出された旋回角度が図5に示す反転領域A1内にあると認識して反転信号を出力する。
【0025】
この反転信号は図4に示す反転回路47に送られ、反転回路47は作業台傾斜操作装置31から受け取った前傾操作又は後傾操作の操作信号を反転させる。即ち、反転回路47は受け取った操作信号が前傾操作信号の場合には後傾操作信号に、また、受け取った操作信号が後傾操作信号の場合には前傾操作信号に反転させる。そして、反転回路47はこの反転した操作信号を作動制御回路49に送り、作動制御回路49は操作信号に応じて作動制御弁Vの作動を制御してレベリングシリンダ19の伸縮作動をコントロールする。このため、図3において、旋回角度θが+180°の位置にある作業台27が後傾している状態(作業台傾斜操作装置31のある側がこれの無い側よりも低い状態で傾斜している状態)で、作業台傾斜操作装置31の操作レバー31aを作業台27の後端側(矢印B方向側)へ傾動させる後傾操作を行なっても、図4に示す反転回路47が後傾操作を前傾操作の操作信号に反転させ、この反転された前傾操作の操作信号に基づいて作動制御回路49が図2に示すレベリングシリンダ19を伸長動させるので、作業台27を水平状態にすることができる。このように、作業台27の先端部が車体3の後方側へ向いた状態でも作業台傾斜操作装置31から見た作業台27の傾きに応じた作業台傾斜操作装置31の操作をして、作業者の意図する方向の作業台27の傾き修正を行うことができる。
【0026】
また、図3及び図5に示す作業台27の先端部が非反転領域A2にある場合、作業台27が前傾している状態で作業台傾斜操作装置31の操作レバー31aを作業台27の後端側(矢印A方向)へ揺動させて後傾操作を行なうと、図4に示す反転判定回路45は反転信号を出力せず、その結果、作業台傾斜操作装置31から送り出される操作信号は反転回路47を経由してそのまま作動制御回路49に送られる。このため、図2に示すレベリングシリンダ19が縮小動して作業台27を前傾状態から水平状態に修正することができる。
【0027】
また、図5に示す作業台27の旋回角度θが90°+ψ1を少し越えた位置(旋回角度θ1の位置)にあり、傾いた作業台27を水平状態にするために作業台傾斜操作装置31を操作する場合、作業台27が揺れて作業台27の旋回位置が反転領域A1を越えてヒステリシス領域A3側へ移動しても図4に示す反転判定回路45は反転信号を出力し続ける。そして、作業台27の旋回角度が90°−ψ2以下になったところで反転判定回路45は反転信号の出力を停止する。即ち、作業台27の旋回位置が90°+ψ1の前後で移動してもヒステリシス領域A3内では反転判定回路45の反転信号は継続して出力されるので、図4に示す作動制御弁Vのいわゆるチャタリングを防止することができる。
【0028】
そして、図1に示す作業台27に搭乗した作業者はブーム操作装置29を操作して伸縮ブーム11を倒伏動させて、作業台27を水平状態のままで下方へ移動させて車体3に格納することができる。このため、作業台27に搭乗した作業者が作業台27で転倒する虞を未然に防止することができる。
【0029】
尚、前述した実地の形態では作業台27の旋回領域を反転領域A1と非反転領域A2に分けた例を示したが、これに限るものではなく、作業台27が所定の旋回角度領域内にある場合にのみ、作業台傾斜操作装置31により前傾操作がされたときに作動制御回路49が作業台27を前傾動させ、作業台傾斜操作装置31により後傾操作がされたときに作動制御回路49が作業台27を後傾動させる制御を行なうようにすることができる。
【0030】
この場合、図4に示すコントローラ43の反転判定回路45の代わりに作業台旋回角検出センサ41の検出値が所定の旋回角度領域内あるか否かを判定する旋回角判定回路を使用し、また、旋回角判定回路により作業台27の旋回角度が所定の旋回角度領域内あると判定されている場合には作業台傾斜操作装置31による操作信号を作動制御回路49に送り、旋回角判定回路により作業台27の旋回角度が所定の旋回角度領域内にないと判定されている場合には作業台傾斜操作装置31による操作信号の作動制御回路49への送信を遮断する操作規制回路を反転回路47の代わりに使用する。
【0031】
このように、作業台27が所定の旋回角度領域内にある場合にのみ、作業台傾斜操作装置31による作業台27の傾動操作を可能にすることで、所定の旋回角度領域内にある作業台27の傾きを修正することができ、作業者が作業台で転倒する虞を防止することができる。尚、所定の旋回角度領域は任意の角度に設定することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明における高所作業車の作業台傾斜制御装置によれば、作業台が反転領域内にある場合には作業台傾斜操作手段により行なった前傾操作が後傾操作になり、後傾操作が前傾操作になるので、作業台の前部が反転領域内にある場合でも作業台傾斜操作手段の操作により作業者の意図する方向に作業台の傾き修正を行なうことができ、作業者が作業台で転倒する虞を防止することができる。
【0033】
また、反転領域と非反転領域との間にヒステリシス領域を設ける場合には、作業台が非反転領域から反転領域に旋回動した場合の操作内容の切り替わる位置と、反転領域から非反転領域に旋回動した場合の操作内容の切り替わる位置とを相違させることができ、操作内容の切り替わる位置が同一の場合に発生する虞のあるいわゆるチャタリングを防止することができる。
【0034】
更に、作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度が所定の旋回角度領域内にある場合、作業台傾斜操作手段により前傾操作がされたときには作動制御手段が作業台を前傾動させ、作業台傾斜操作手段により後傾操作がされたときには作動制御手段が作業台を後傾動させる制御を行なうことで、所定の旋回角度領域内にある作業台の傾きを修正することができ、作業者による作業台傾斜操作手段による操作に対する作業台の傾動方向が作業者の意図に反することがなくなり、作業者が作業台で転倒する虞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけ作業台傾斜制御装置を搭載した高所作業車の正面図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態における作業台の傾斜を説明するための正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における作業台の旋回動を説明するための平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における作業台傾斜制御装置のブロック図を示す。
【図5】本発明の一実施の形態における反転領域・ヒステリシス領域・非反転領域を説明するための図である。
【符号の説明】
1 高所作業車
3 車体
11 伸縮ブーム(昇降手段)
17 垂直ポスト(支持手段)
19 レベリングシリンダ(傾動アクチュエータ)
27 作業台
31 作業台傾斜操作装置(作業台傾斜操作手段)
40 作業台傾斜制御装置
41 作業台旋回角検出センサ(作業台旋回角検出手段)
43 コントローラ(作動制御手段)
A1 反転領域
A2 非反転領域
A3 ヒステリシス領域

Claims (3)

  1. 車体に旋回、起伏および伸縮自在に設けられたブームと、前記ブームの先端に垂直面内において前後に傾動自在に設けられた垂直ポストと、前記垂直ポストの上部に水平旋回動自在に取り付けられた作業台と、前記垂直ポストを前記ブームの先端に対して前記垂直面内において前後に傾動させるため前記垂直ポストに接続されて前記ブームの先端に設けられたレベリングシリンダと、前記垂直ポストを前記垂直面内において前後に傾動させて前記作業台の傾きを修正するため前記作業台上に搭乗した作業者が操作するように前記作業台に操作可能に設けられた作業台傾斜操作手段と、前記作業台傾斜操作手段の前傾操作又は後傾操作に応じて送られてくる操作信号を受けて前記レベリングシリンダの作動を制御する作動制御手段とを有する高所作業車の作業台傾斜制御装置であって、
    前記作業台の前記垂直ポストに対する水平旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段を有し、
    前記作動制御手段は、
    前記作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が前記作業台の前部を前記垂直ポストの前後方向における後方側へ向いた状態とする反転領域内にあるか否かを判定し、前記作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が前記反転領域内にあると判定されたときには、前記作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号を反転させて前記レベリングシリンダの作動を制御し、前記作業台傾斜操作手段により前記前傾操作がされたときには前記作業台を後傾動させ、前記作業台傾斜操作手段により前記後傾操作がされたときには前記作業台を前傾動させ、
    前記作業台旋回角検出手段により検出された旋回角度が前記作業台の前部を前記垂直ポストの前後方向における前方側へ向いた状態とする非反転領域内にあると判定されたときには、前記作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号をそのまま維持して前記レベリングシリンダの作動を制御し、前記作業台傾斜操作手段により前記前傾操作がされたときには前記作業台を前傾動させ、前記作業台傾斜操作手段により前記後傾操作がされたときには前記作業台を後傾動させるように前記レベリングシリンダの作動制御を行なう
    ことを特徴とする高所作業車の作業台傾斜制御装置。
  2. 前記反転領域と前記非反転領域との間にはヒステリシス領域が設けられており、前記作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が前記ヒステリシス領域にあるときには、前記作業台が前記ヒステリシス領域内に水平旋回移動する前に位置した領域内での制御を継続することを特徴とする請求項1記載の高所作業車の作業台傾斜制御装置。
  3. 車体に旋回、起伏および伸縮自在に設けられたブームと、前記ブームの先端に垂直面内において前後に傾動自在に設けられた垂直ポストと、前記垂直ポストの上部に水平旋回動自在に取り付けられた作業台と、前記垂直ポストを前記ブームの先端に対して前記垂直面内において前後に傾動させるため前記垂直ポストに接続されて前記ブームの先端に設けられたレベリングシリンダと、前記垂直ポストを前記垂直面内において前後に傾動させて前記作業台の傾きを修正するため前記作業台上に搭乗した作業者が操作するように前記作業台に操作可能に設けられた作業台傾斜操作手段と、前記作業台傾斜操作手段の前傾操作又は後傾操作に応じて送られてくる操作信号を受けて前記レベリングシリンダの作動を制御する作動制御手段とを有する高所作業車の作業台傾斜制御装置であって、
    前記作業台の前記垂直ポストに対する水平旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段を有し、
    前記作動制御手段は、
    前記作業台旋回角検出手段により検出された水平旋回角度が所定の旋回角度領域内にある場合にのみ前記作業台傾斜操作手段の操作に応じて送られてくる操作信号をそのまま維持して前記レベリングシリンダの作動を制御し、前記作業台傾斜操作手段により前記前傾操作がされたときには前記作業台を前傾動させ、前記作業台傾斜操作手段により前記後傾操作がされたときには前記作業台を後傾動させ、
    前記所定の旋回角度領域外にある場合には、前記作業台傾斜操作手段による操作が行われても前記作業台を傾動させる制御を行わせないように構成されている
    ことを特徴とする高所作業車の作業台傾斜制御装置。
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