JP3297990B2 - 高所作業車のブーム作動制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高所作業車の作業台を
垂直上下方向及び水平前後方向に移動させるブーム作動
制御装置に関する。

【従来の技術】従来の高所作業車の作業台の制御装置
は、例えば特公昭６１−４７８００号に開示されている
高所作業車の作動制御装置のように、作業台に垂直昇降
用操作レバーと水平進退用操作レバーを備え、作業台に
搭乗した作業者が各々の操作レバーを手により操作する
ことにより、作業台を垂直上下方向あるいは水平前後方
向に移動させるようブームの起伏及び伸長作動を制御し
ている。

【０００２】しかしながら、作業者は上記の制御装置を
備えた高所作業車を用いて、例えば船体やビル壁面の塗
装等を行う場合でも、作業台を垂直上下方向あるいは水
平前後方向に作動させるときには、垂直昇降用操作レバ
ーあるいは水平進退用操作レバーを手により操作しなけ
ればならないので、一人で作業台を移動させながら他に
両手で作業を行うことは不可能であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】本発明は、高所作業
車の作業台に搭乗した作業者が、作業台を垂直上下方向
あるいは水平前後方向に移動させながら、両手で行う作
業を一人で行うことが出来る高所作業車のブーム作動制
御装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【問題を解決するための手段】本発明の高所作業車のブ
ーム作動制御装置は、作業台を垂直上下方向または水平
前後方向のいずれの移動を行わせるか選択する選択手段
と、選択手段で選択した垂直上下方向及び水平前後方向
より作業台の移動方向を設定する移動方向設定手段と、
作業台の移動速度を設定する速度設定手段と、ブームの
起伏角を検出する起伏角検出手段と、ブームの伸縮量を
検出する伸縮量検出手段と、起伏角度検出手段と伸縮量
検出手段の検出信号より作業台の位置を演算し、この位
置より選択手段及び移動方向設定手段により設定した移
動方向へ速度設定手段により設定した移動速度で作業台
が移動するためのブームの起伏作動方向と作動速度、及
びブームの伸縮作動方向と作動速度を演算する演算手段
と、作業台に設けられ、作業台に搭乗した作業者が足に
より操作する操作手段と、操作手段からの信号により、
演算手段により演算した起伏作動方向と作動速度及び伸
縮作動方向と作動速度に基づいてブームの起伏作動及び
伸縮作動を制御する制御手段とより構成される。

【０００５】

【作用】このようなブーム作動制御装置では、作業者
が、選択手段及び移動方向設定手段により作業台の移動
方向を設定するとともに、速度設定手段により作業台の
作動速度を設定し、この状態で作業台に搭乗した作業者
が操作手段を足により操作することにより、制御手段
が、演算手段により演算した起伏作動方向と作動速度及
び伸縮作動方向と作動速度に基づいてブームの起伏作動
及び伸縮作動を制御し、作業台を設定された移動方向に
設定された移動速度で移動させる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図面
を参照しながら説明する。まず、本発明に係るブーム作
動制御装置を備えた高所作業車について、図２を用いて
説明する。この高所作業車２０は、トラックの車体２１
の後部に旋回作動が自在な旋回台２２を取り付けてな
る。この旋回台２２の上部には、テレスコピック構造に
より伸縮作動が自在に構成されたブーム２３が起伏作動
自在に枢着されている。さらに、ブーム２３の先端部に
は、作業台２７が取り付けられている。なお、旋回台２
２の旋回作動、ブーム２３の起伏及び伸縮作動は、それ
ぞれ車体２１に内蔵された油圧旋回モータ２４の正逆回
転作動、旋回台２２とブーム２３間に取り付けられた油
圧起伏シリンダ２５及びブーム２３に内蔵された油圧伸
縮シリンダ２６の伸縮作動によって行われる。さらに、
各油圧アクチュエータ２４〜２６の作動制御は、旋回台
２２の側面に取り付けられた制御装置（コンピュータや
油圧制御バルブ等から構成される）２８によって、各油
圧アクチュエータ２４〜２６に対する作動油の給排が制
御されて行われる。このような高所作業車２０では、各
油圧アクチュエータ２４〜２６の作動をそれぞれ単独あ
るいは連動で行わせて作業台２７を任意の高所に移動さ
せることができる。

【０００７】また、この高所作業車２０では、このよう
な作動の他に作業台２７を垂直上下方向に移動させた
り、水平前後方向に移動させたりすることもできる。こ
の場合のブーム２３の移動は、各油圧アクチュエータ２
５、２６が相互に連動して（例えば、前方に水平移動さ
せるときは、ブーム２３の伸長作動と起伏下げ作動とを
連動させて）作動することにより行われる。

【０００８】そして、この高所作業車２０では、ブーム
２３のこれらの作動を行わせる為に、ブーム作動制御装
置１０を備えている。次に、そのブーム作動制御装置１
０について図１を用いて説明する。

【０００９】このブーム作動制御装置１０は、選択手段
１と、作動方向設定手段２と、速度設定手段３と、起伏
角検出手段４と、伸縮量検出手段５と、演算手段６と、
操作手段７と、制御手段８により構成されている。

【００１０】作業台２７には、選択手段1として、作業
台２７を垂直上下方向または水平前後方向のいずれの移
動を行わせるか選択するスイッチが設けられており、作
業者は、ブーム２３を垂直上下方向に移動させるとき
は、このスイッチを垂直選択位置に操作し、ブーム２３
を水平前後方向に移動させるときは、このスイッチを水
平選択位置に操作する。また、作業台２７には、移動方
向設定手段２として、この垂直上下方向あるいは水平前
後方向に移動させるときに、その移動方向を設定する操
作スイッチが設けられている。この移動方向設定手段２
は、選択手段１により垂直上下方向を選択した場合、作
業台２７を現在位置より垂直上方へ移動させるのか、垂
直下方へ移動させるのかを設定し、選択手段１により水
平前後方向を選択した場合、作業台２７を現在位置より
水平前方へ移動させるのか、水平後方へ移動させるのか
を設定する。さらに、作業台２７には、速度設定手段3
として、この垂直上下方向あるいは水平前後方向に移動
させる際の移動速度を設定するダイヤル式のスイッチが
設けられている。

【００１１】車両には、起伏角検出手段４として、ブー
ム２３の起伏角を検出する起伏角センサと、伸縮量検出
手段５として、ブーム２３の伸縮量を検出する伸長量セ
ンサを設けている。また、旋回台２２に設けた制御装置
２８には、演算手段６が設けられており、この演算手段
６は、起伏角検出手段４と伸縮量検出手段５により検出
したブーム２３の起伏角と伸縮量より作業台２７の位置
を演算する。さらに、この演算した作業台２７の位置か
ら選択手段１により選択した垂直上下方向あるいは水平
前後方向のうち、作動方向設定手段２により設定した方
向へ速度設定手段３により設定した速度で作動させる為
のブーム２３の単位時間当たりの起伏作動量（起伏作動
速度）及び伸縮作動量（伸縮作動速度）を演算する。

【００１２】一方、作業台２７内の底面上には、操作手
段７として足によりＯＮ、ＯＦＦ操作が行えるフットス
イッチが設けられており、作業者は、作業台２７を垂直
上下方向あるいは水平前後方向へ移動させる際にこの操
作手段７を操作する。また、旋回台２２に設けた制御装
置２８には、制御手段８が設けられており、この制御手
段８は、車体２１に搭載した油圧ポンプ１２からの圧油
を油圧起伏シリンダ２５及び油圧伸縮シリンダ２６に給
排制御するバルブ１１と、このバルブ１１の作動を制御
するバルブ制御手段９とにより構成されており、このバ
ルブ制御手段９は、操作手段７からの信号により、演算
手段６により演算した単位時間当たりの起伏作動量（起
伏作動速度）及び伸縮作動量（伸縮作動速度）に基づい
てバルブ１１を作動して起伏シリンダ２５及び伸縮シリ
ンダ２６を作動制御し、作業台２７の垂直上下方向ある
いは水平前後方向の移動を行わせる。

【００１３】このような本ブーム作動制御装置１０は、
作業台２７を垂直上下方向または水平前後方向に移動さ
せる為に、作業者はあらかじめ選択手段１により垂直上
下方向あるいは水平前後方向のいずれの作動を行うか選
択しておくとともに、移動方向検出手段２によりいずれ
の方向へ移動させるか設定しておく。また、その際の移
動速度も速度設定手段３により設定しておく。ここで、
作業者は、操作手段７を足で操作することにより、作業
台２７は、これらの設定した方向、速度で移動を行う。
この移動中は、作業者は操作手段７のＯＮ、ＯＦＦ操作
のみで移動を行うことができ、両手を使う必要がない。

【００１４】なお、上記実施例では、選択手段１と移動
方向設定手段２により作業台２７の移動方向を設定する
ように記載したが、選択手段１を用いずに移動方向設定
手段２のみで作業台２７の移動方向を設定するようにし
てもよい。

【００１５】また上記実施例のブーム作動制御装置１０
のうち、上記選択手段１が起伏シリンダ２５及び伸縮シ
リンダ２６を単独に作動させる各軸モードと、作業台２
７を垂直上下方向あるいは水平前後方向に作動させる垂
直水平モードの２つのモードのいずれかを選択するよう
に構成するとともに、制御手段８は操作手段７が操作さ
れＯＮとなっているときに垂直上下方向の移動方向を設
定する第１の移動方向設定手段２ａと、水平前後方向の
移動方向を設定する第２の移動方向設定手段２ｂのいず
れが操作された設定手段２ａ，２ｂの操作方向に、作業
台２７が作動するように起伏シリンダ２５及び伸縮シリ
ンダ２６を制御するようにしてもよい。この場合は操作
手段７を作動したままならば、移動方向設定手段２の操
作をやめてもブームの作動を継続するように制御を行わ
せる。また、選択手段１が各軸モードを選択していると
きに、垂直上下方向を設定する第１の移動方向設定手段
２ａを操作したときにはブームの起伏シリンダ２５の伸
縮のみを制御してブームの起伏作動を行わせ、水平前後
方向を設定する第２の移動方向設定手段２ｂを操作した
ときにはブームの伸縮シリンダ２６の伸縮のみを制御し
てブームの伸縮作動を行わせるように構成されている。
以上の構成により、作業者は作業台２７を垂直上下方向
または水平前後方向に移動させる場合は、まず選択手段
１を垂直水平モードに切り替え、速度設定手段３により
作業台２７の移動速度を設定しておく。さらに操作手段
７を足により操作してＯＮとして、移動方向設定手段２
を作業台２７の移動させたい方向に操作することによ
り、作業台２７は速度設定手段３により設定した速度で
移動方向設定手段２の操作した方向へ移動を開始する。
移動を開始すれば操作手段７を操作し続けていれば移動
方向設定手段２の操作を止めても作業台２７の移動を継
続するので、この移動中は操作手段７を足により操作す
るだけで両手を使う必要がない。また、この移動を停止
させたい場合、作業者は操作手段７の操作を止めＯＦＦ
にするか、移動方向設定手段２を現状移動している方向
と違う方向に操作すればよい。一方、選択手段１を各軸
モードに選択しているときには、操作手段７を操作した
うえで、第１の移動方向設定手段２ａを操作したときは
ブームの起伏作動を、第２の移動方向設定手段２ｂを操
作したときはブームの伸長作動を行うことができる。

【００１６】また、これらの上記実施例では、作業台２
７の垂直上下方向または水平前後方向の制御について述
べたが、水平左右方向についても同様の制御が可能とな
る。この場合は、ブームの旋回角検出手段を設け、作動
方向設定手段２を水平左右方向に設定した場合は、伸長
シリンダ２６とともに旋回モータ２４の作動を制御する
必要がある。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明のブーム作動制御
装置を備えた高所作業車において、作業者があらかじめ
作業台の移動方向や移動速度を設定しておくことによ
り、作業台に搭乗した作業者が足により操作手段を操作
するだけで、作業台を設定した垂直上下方向あるいは水
平前後方向に作動させることができ、手による操作を行
う必要がないので、作業台を垂直上下方向あるいは水平
前後方向に移動させながら両手を使用して作業を行うこ
とができ、作業台に搭乗する作業者が1人で済み、省人
化を図ることができる。

【００１８】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るブーム作動制御装置の構成を表す
ブロック図である。

【図２】上記ブーム作動制御装置を備えた高所作業車の
斜視図である。

【符号の説明】

１ 選択手段 ５ 伸縮量検出手段 ２ 移動方向設定手段 ６ 演算手段 ３ 速度設定手段 ７ 操作手段 ４ 起伏角検出手段 ８ 制御手段 １０ ブーム作動制御装置 ２７ 作業台 ２３ ブーム

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体上に伸縮自在なブームを起伏自在に
   枢支し、このブームの先端に作業台を設けた高所作業車
   のブーム作動制御装置において、 前記作業台を垂直上下方向または水平前後方向のいずれ
   の移動を行わせるか選択する選択手段と、 前記選択手段で選択した垂直上下方向及び水平前後方向
   より前記作業台の移動方向を設定する移動方向設定手段
   と、 前記作業台の移動速度を設定する速度設定手段と、 前記ブームの起伏角を検出する起伏角検出手段と、 前記ブームの伸縮量を検出する伸縮量検出手段と、 前記起伏角度検出手段と前記伸縮量検出手段の検出信号
   より前記作業台の位置を演算し、この位置より前記選択
   手段及び前記移動方向設定手段により設定した移動方向
   へ前記速度設定手段により設定した移動速度で前記作業
   台が移動するための前記ブームの起伏作動方向と作動速
   度、及び前記ブームの伸縮作動方向と作動速度を演算す
   る演算手段と、 前記作業台に設けられ、前記作業台に搭乗した作業者が
   足により操作する操作手段と、 前記操作手段からの信号により、前記演算手段により演
   算した起伏作動方向と作動速度及び伸縮作動方向と作動
   速度に基づいて前記ブームの起伏作動及び伸縮作動を制
   御する制御手段とより構成することを特徴とする高所作
   業車のブーム作動制御装置。