JP4553591B2 - 高所作業車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は走行可能な車体上に取り付けられたブームと、ブームの先端部に取り付けられた作業台とを有する高所作業車の制御装置に関し、さらに詳細には、作業台の水平方向への移動を制御する水平作動制御手段を有する高所作業車の制御装置に関する。
上記のような高所作業車は、一般に、走行可能な車体上に、車体に対して旋回動自在な旋回台が取り付けられ、この旋回台に起伏シリンダの伸縮動により起伏動自在にブームが枢結され、複数のブーム部材を入れ子式に構成したブーム内部の伸縮シリンダの伸縮動によりブーム全体が伸縮動するように構成されている。また、ブームの先端には旋回動(首振動)自在に作業台が取り付けられて、作業者が作業台上に設けられたブーム操作レバーを操作してブームを起伏動・旋回動・伸縮動させ、作業台旋回操作レバーを操作して作業台を旋回動させることで、作業台を所望もしくは任意の高所位置に移動させることができる。
このような高所作業車の中には、起伏シリンダ、旋回モータおよび伸縮シリンダをそれぞれ独立に作動させて作業台を所望の作業位置に移動させる通常の作動制御手段のほかに、これらを組み合わせて作動させる制御を行って、作業台をブーム操作レバーの傾動操作の方向に水平移動させる水平作動制御手段が備えられているものもある。この水平作動制御手段は、ブーム操作レバーの傾動操作による操作信号に基いて、ブームの先端部(作業台)がブーム操作レバーにより指定された方向に水平移動するために必要な起伏シリンダ、伸縮シリンダ等の作動量を演算処理して算出し、この算出結果に基いて起伏シリンダ、伸縮シリンダ等を作動制御するものである。
ところで、上記のような水平作動制御手段により、例えば作業台をブーム操作レバーの傾動操作の方向に水平移動させるとともに、作業台旋回操作レバーの回動操作の方向に作業台を旋回動(首振動)させて、作業台を任意の位置に移動させるような場合には、ブームおよび作業台の動作は以下に示すようになる。すなわち、図5に示すように、初めに作業台位置P1´において水平作動制御されてブーム操作レバーの傾動方向である矢印A方向に移動している作業台107が、水平作動制御を行ったまま旋回中心位置Q´を中心として平面視で時計方向に旋回動を開始すると、作業台107は旋回動しながら作業台位置P2´まで移動する。水平作動制御を行ったまま作業台107の旋回操作をさらに続けると、作業台107は旋回動を続けながら作業台位置P3まで移動し、作業台位置P3で作業台107の旋回操作をやめると、作業台107は矢印E方向に移動する。このとき、ブーム105の先端部はラインL´で示すような移動軌跡を辿る。このような、作業台やブーム先端部の動作については、特許文献1にも記載されている。
特開平10−167697号公報
しかしながら、上記のように作業台の旋回動と水平作動制御による作業台(ブーム先端部)の水平移動とを同時に行わせたときには、作業台に搭乗して作業台およびブームの操作を行う作業者が、ブーム先端部の移動方向を予測しにくいため、作業台やブームの操作性が悪い、という問題が生じていた。これは、例えば図5に示すように、壁面Wのような作業対象物が位置P1´に位置する作業台107の移動方向(矢印A)前方に存在する場合に、この作業対象物との接触を回避して作業対象物に沿って作業台107を移動させるため、作業台107の水平作動制御を行いつつ作業台107の旋回操作を行うときに生じていた。
このような場合、ブーム操作レバーの傾動方向は、作業台107の旋回動に拘らず作業台107に対して常に同じであっても、作業台107の旋回動とともに車両に対しては刻々と変化するため、この変化するブーム操作レバーの傾動方向を基準としてブーム105の先端部が移動するようにブーム105の水平作動制御がなされる。このため、ブーム105先端部の移動軌跡はラインL´で示すように、作業台107は旋回動とともに壁面Wから離れる方向に移動してしまい、図に示すような作業台107が壁面Wに矢印A方向に向かっている状態から、作業台107を壁面Wに接触させずに壁面Wに対して等距離の状態を保つように(壁面Wに沿って)移動させることが難しかった。
以上のような問題に鑑みて、本発明では作業台の水平作動制御と旋回動とを同時に行う場合において、作業台の操作性が向上した高所作業車の制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る高所作業車の制御装置は、走行可能な車体上に旋回、起伏、伸縮動自在に取り付けられたブームと、ブームの先端部に旋回動自在に取り付けられた作業台と、作業台に全方向に揺動可能に設けられ作業台を水平方向に移動させる操作を行うための水平作動操作手段(例えば、実施形態における操作装置11、ブーム操作レバー12)と、ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出手段(例えば、実施形態におけるブーム旋回角検出器21)と、ブームの起伏角度を検出する起伏角検出手段(例えば、実施形態における起伏角検出器22)と、ブームの伸長量を検出する伸長量検出手段(例えば、実施形態における伸長量検出器23)と、作業台のブームに対する旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段と(例えば、実施形態における首振角検出器24)、水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号及び作業台旋回操作手段から出力される作業台旋回操作信号に基づいてブーム及び作業台の作動を制御する制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ30)とを備え、制御手段は、ブーム旋回角検出手段、起伏角検出手段、伸長量検出手段および作業台旋回角検出手段により検出される検出値からブーム先端もしくは作業台の位置を算出する位置算出手段(例えば、実施形態における位置算出回路33)を有し、水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号を受けて、水平方向操作信号に基づいた移動方向と位置算出手段により算出された作業台の位置と、により定まる移動方向線に基づいて、ブーム先端を水平移動させるようにブームの旋回、起伏、伸縮動の制御を行い、水平方向操作信号を受けた後に作業台旋回操作手段から出力される作業台旋回操作信号を受けた場合には、作業台旋回操作信号を受けている間は、作業台旋回操作信号を受ける前の、水平方向操作信号に基づいた移動方向と位置算出手段により算出された作業台の位置と、により定まる移動方向線に基づいて、ブーム先端を水平移動させるように制御を行い、水平方向操作信号を受けている間であって、作業台旋回操作信号の出力が解除された場合は、解除された時点における、水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号に基づいた移動方向及び位置算出手段により算出された作業台の位置と、により新たに定まる移動方向線に基づいてブーム先端を水平移動させるためにブームの旋回、起伏、伸縮動の制御を行う。
また、上記構成の高所作業車の制御装置において、作業台旋回角検出手段により検出される作業台の旋回動の開始からの旋回角が所定値を超える方向への作業台の旋回動を規制する作業台旋回規制手段(例えば、実施形態における作業台旋回規制回路34)を有する。
本発明に関する高所作業車の制御装置によれば、作業台を旋回動させる作業台旋回操作レバーからの操作信号が水平作動制御回路に入力されている間は、作業台が旋回動を開始する前の時点でのブーム操作レバーの傾動方向を基準にブームの水平作動制御がなされる。このため、作業台の旋回動とともに水平作動制御を行うための基準の方向が絶えず変化する場合に比べて、作業台を旋回動させつつ水平作動制御を行って作業台を特定の方向に移動させることが容易である。また、作業者がブーム先端部の移動方向を予測することも容易であり、作業者にとって思わぬ方向に作業台が移動を始めないために作業台が移動の途中に障害物に接触することがなく、作業台の操作性や作業の安全性を向上させることができる。
また、本発明に関する高所作業車の制御装置によれば、作業台のブームに対して所定の旋回角以上に大きく旋回動することはない。このため、ブーム操作レバーの傾動方向は作業台の旋回動とともに旋回動を行う前に対して大きく変化せず、ブーム先端(作業台)の移動方向が旋回動する前の時点に対して大きく変化するようなことはない。従って、作業台の移動方向の急激な変化による振動が作業台に発生する可能性はなく、作業台に搭乗する作業者の安全性を確保することができる。
以下、本発明に係る高所作業車の制御装置の好ましい実施の形態について図1から図4を参照して説明する。図1に当該制御装置を装備した高所作業車の一例を示す。
この高所作業車1は車体2の前後左右に前後輪3a,3bを有して走行可能であり、車体2の前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成される。このトラック車両の車体2の上に旋回モータ51により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4に基端部が枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ52により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a、中間ブーム5bおよび先端ブーム5cを入れ子式に組み合わせて、内蔵の伸縮シリンダ53によりブーム5全体が長手軸方向に伸縮動可能に構成される。
また、先端ブーム5cは先端にブームヘッド5dを有し、このブームヘッド5dに枢結されて垂直ポスト部材6が上下に揺動可能に取り付けられている。この垂直ポスト部材6は、先端ブーム5c先端あるいはブームヘッド5dと垂直ポスト部材6との間に配設された図示しないレベリングシリンダにより垂直ポスト部材6の揺動制御が行われ、ブーム5の起伏の如何に拘らず垂直ポスト部材6が常に垂直に延びて位置するように垂直ポスト部材6が揺動制御される。このように常時垂直に保持される垂直ポスト部材6に、首振モータ54により水平旋回自在(首振り自在)に作業台7が取り付けられており、作業台7はブーム5の起伏に拘らず常に水平に保持される。
また、作業台7にはブーム5を作動させるための操作と、作業台7を旋回動させる操作を行うための操作装置11が配設されており、作業台7に搭乗する作業者は操作装置11の操作レバーを操作することによってブーム5を自由に旋回動、起伏動、伸縮動させ、又、作業台7を旋回動させて、作業台7を所望もしくは任意の高所位置に移動させることができるように構成されている。
車体2の前後左右の四カ所には、車体2の左右方向外側への拡幅および車体2の下方に伸縮自在なジャッキ8が設けられており、高所作業を行うときには、ジャッキ8を車体2の左右に拡幅および下方に張り出し伸長させて車体2を安定に持ち上げ支持できるようになっている。また車体2の中央部には上方に突出し、全縮状態に倒伏したブーム5の下面に当接してブーム5を格納支持するブーム受け9が配設されている。
図2に示すように、本発明に係る制御装置60は、ブーム5の起伏動、旋回動(旋回台4の旋回動)、伸縮動を行わせる操作をするためのブーム操作レバー12、水平作動制御を行うための水平作動制御モードにモード切換可能なモード切換スイッチ13および作業台7の首振動(旋回動)を行わせる操作をするための作業台旋回操作レバー14からなる操作装置11と、操作装置11の操作レバー12,14を操作したときに、操作装置11から出力される操作信号を受けて油圧ユニット40等に制御信号を出力してブーム5や作業台7の作動を制御するコントローラ30と、コントローラ30からの制御信号に基いて起伏シリンダ52等への作動油の給排制御をする油圧ユニット40とが設けられている。
そして、以上のように構成されたブーム5を旋回動させる旋回モータ51、起伏動させる起伏シリンダ52、伸縮動させる伸縮シリンダ53および作業台7を首振動(旋回動)させる首振りモータ54の作動は、車体2に配設されたエンジンの駆動力を伝達させて駆動する油圧ポンプPから吐出する作動油の給排制御をすることで行われる。この給排制御は、油圧ユニット40内に設けられてそれぞれのシリンダ等に対応する旋回制御バルブ41、起伏制御バルブ42、伸縮制御バルブ43および首振制御バルブ44のバルブ開度を制御することで行われる。
モード切換スイッチ13は、通常モードと水平作動制御モードとを有し、このモード切換スイッチ13を回動操作して、これら2つのモードのうちいずれかを選択可能に構成されている。そして、モード切換スイッチ13が通常モードの側に選択された場合にブーム操作レバー12を操作すると、旋回モータ51、起伏シリンダ52、伸縮シリンダ53のうちいずれかが独立に作動して、ブーム5を起伏動等させることができる。一方、モード切換スイッチ13が水平作動制御の側(図2で、HVで示される側)に選択された場合にブーム操作レバー12を操作すると、後述するように、旋回モータ51、起伏シリンダ52、伸縮シリンダ53のうちいずれかを組み合わせて作動させて、ブーム操作レバー12の操作に応じてブーム5の先端(作業台7)を水平方向に作動させることができる。
図3を合わせて参照して、作業台旋回操作レバー14が中立位置から平面視で時計方向に回動操作されると、垂直ポスト部材6を回動中心として作業台7が平面視で時計方向に旋回動し、平面視で反時計方向に回動操作されると、垂直ポスト部材6を回動中心として作業台7が平面視で反時計方向に旋回動するように構成されている。
また、モード切換スイッチ13が通常モードの側に選択されている場合において、ブーム操作レバー12が中立位置から左右方向のうちいずれかの一方の側に傾動操作されるとブーム5が伸長動し、他方の側に傾動操作されるとブーム5が縮小動するように構成されている。また、ブーム操作レバー12が中立位置から前後方向のうちいずれかの一方の側に傾動操作されるとブーム5が起仰動し、他方の側に傾動操作されるとブーム5が倒伏動するように構成されている。さらに、ブーム操作レバー12が中立位置から平面視で時計方向に回動操作されると、旋回台4を回動中心としてブーム5全体が高所作業車1の平面視で時計方向に旋回動し、平面視で反時計方向に回動操作されると、旋回台4を回動中心としてブーム5全体が高所作業車1の平面視で反時計方向に旋回動するように構成されている。
一方、モード切換スイッチ13がHVモードの側に選択されている場合において、ブーム操作レバー12が中立位置から斜め方向も含むいずれかの方向に傾動操作され、且つ、作業台旋回操作レバー14の回動操作が行われていない場合には、ブーム操作レバー12が傾動操作されている間、作業台7がブーム操作レバー12の傾動方向に水平移動する。また、ブーム操作レバー12が中立位置からいずれかの方向に傾動操作された状態のままで、作業台旋回操作レバー14の回動操作がなされ作業台7が旋回動を始めると、後述するように、ブーム5の先端部の作動方向は変化せずにそのまま保持されるため、作業台7が旋回動を行う前におけるブーム操作レバー12の傾動方向に作業台7が水平移動する。
また、ブーム操作レバー12が中立位置から時計方向に回動操作されると、ブーム操作レバー12が操作されている間、作業台7がその基準位置から垂直方向に上昇し、反時計方向に回動操作されると、ブーム操作レバー12が操作されている間、作業台7がその基準位置から垂直方向に下降するように構成されている。
また、図2に示すように、本発明に係る制御装置60は、ブーム5の旋回角度を検出するブーム旋回角検出器21と、ブーム5の起伏角度を検出する起伏角検出器22と、ブーム5の伸長量を検出する伸長量検出器23と、作業台7のブームに対する首振角(旋回角)を検出する首振角検出器24が設けられ、さらに、コントローラ30は、水平作動制御回路31と、レバー操作検出回路32と、位置算出回路33と、作業台旋回規制回路34と、作業台旋回停止検出回路35とを有する。
水平作動制御回路31は、操作装置11のモード切換スイッチ13がHVモードの側に選択されている場合に、操作装置11のブーム操作レバー12からの操作信号に応じて、旋回モータ51、起伏シリンダ52および伸縮シリンダ53を組み合わせて作動させる制御と、作業台7の旋回動の制御とを同時に行い、車体2に対する作業台7の向きを一定に保持しながらブーム5先端を水平面内において基準線に沿って水平方向に移動させるように構成されている。
レバー操作検出回路32は、モード切換スイッチ13がHVモードの側に選択されている状態で操作装置11のブーム操作レバー12を操作して、ブーム5の先端を車体2の水平方向に作動させる場合に、操作装置11のブーム操作レバー12からの操作信号に基いて、ブーム5の先端(作業台7)を水平方向におけるいずれかの方向に(作業台7に対して前後左右のいずれの方向に)移動させるようにブーム操作レバー12が傾動操作されているのかを検出する。
作業台旋回停止検出回路35は、作業台旋回操作レバー14の回動操作がなされていないときは、作業台旋回操作レバー14からのオフ操作信号に基いて、作業台7が旋回動を行っていないことを判断し、作業台旋回操作レバー14の回動操作がなされているときは、作業台旋回操作レバー14からのオン操作信号に基いて、作業台7が旋回動を行っていることを判断する。また、位置算出回路33は、ブーム旋回角検出器21、起伏角検出器22、伸長量検出器23および首振角検出器24とによりそれぞれ検出される検出値からブーム5の先端もしくは作業台7の位置を算出する。作業台旋回規制回路34は、首振角検出器24により作業台7の旋回動開始からの旋回角が所定値以上になったことが検出されたときには、コントローラ30から首振モータ54へ送られる制御信号の出力を規制して、当該旋回角が許容値を超える方向への作業台7の旋回動を規制する。
ここで、このように構成された制御装置を備えた高所作業車1における作動制御について図4を用いて説明する。初めに、作業台7が作業台位置P1に位置しており、作業台7やブーム5の先端の向きが図に示すような状態で、操作装置11のモード切換スイッチ13がHVモードの側に回動操作された上で、ブーム操作レバー12が矢印A方向に傾動操作されると、レバー操作検出回路32は、操作装置11の当該ブーム操作レバー12からの操作信号に基いて、作業台7を矢印A方向に移動させるようにブーム操作レバー12が傾動操作されていることを検出する。
そして、水平作動制御回路31が油圧ユニット40に制御信号を出力し、起伏シリンダ52および伸縮シリンダ53が組み合わされて伸縮動することで、図4に示すように作業台7が作業台位置P1から矢印A方向への移動を開始する。このとき、レバー操作検出回路32により検出されるブーム操作レバー12の傾動操作の方向と、ブーム旋回角検出器21、起伏角検出器22、伸長量検出器23および首振角検出器24からの検出信号に基いて位置算出回路33により刻々と算出される作業台7の位置とに基いて、ブーム5先端が鎖線で示す基準線L1に沿って移動する水平作動制御が行われる。
作業台7が移動する途中において、壁面Wのような作業対象物が作業台7の移動方向前方に存在する場合に、この作業対象物との接触を回避して作業対象物に沿って作業台7を移動させるために、ブーム操作レバー12の作業台7に対して同一方向への傾動操作を継続しつつ作業台旋回操作レバー14を操作して、作業台7を位置Qを旋回中心位置として平面視で時計方向に旋回動させる(作業台7の位置は位置P2)。
作業台7が時計方向に旋回動している間、ブーム操作レバー12の車両に対する傾動方向は刻々と変化するが(例えば、作業台7の旋回動の途中である作業台位置P2の時点では、ブーム操作レバー12の傾動方向は矢印B方向である)、作業台旋回操作レバー14からの操作信号がコントローラ30に入力されている間は、作業台旋回停止検出回路35により、作業台7が旋回動を行っていることが判断され、作業台7の旋回動が終了するまでは、水平作動制御回路31はブーム操作レバー12の傾動方向に作業台7を移動させる操作信号を受け付けない。
そして、レバー操作検出回路32により検出された作業台7の旋回動開始前のブーム操作レバー12の傾動操作の方向(この場合は、矢印A方向)と、位置算出回路33により刻々と算出される作業台7の位置とから定まる基準線は、作業台7の旋回動開始前のL1のまま変えずに、この基準線L1に沿って水平作動制御が行われる。このため、作業台7が旋回動を終了するまでは作業台7は矢印B方向に移動せず、そのまま基準線L1に沿って水平作動制御がなされて作業台位置P3まで移動した時に作業台旋回操作レバー14を中立に戻して作業台7の旋回動を終了させる。
そして、作業台位置P3にて作業台7が壁面Wに対して沿う方向に向いた後、ブーム操作レバー12の作業台7に対する傾動方向をそのまま変えなければ(このとき矢印C方向になっている)、作業台旋回停止検出回路35により作業台旋回操作レバー14のオフ操作信号に基いて作業台7の旋回動停止が判断された後は、レバー操作検出回路32により検出される作業台7の旋回動の終了時点でのブーム操作レバー12の傾動操作の方向と、位置算出回路33により刻々と算出される作業台7の位置とにより定まる、図に示す鎖線L2を新たな基準線としてこの基準線L2に沿って水平作動制御が行われる。このため、水平作動制御回路31によりブーム操作レバー12の傾動方向(矢印C方向)にブーム5の先端を移動させる水平作動制御がなされ、作業台7が矢印C方向への移動を始める。
これ以後は作業台7の旋回動が行われない限り鎖線L2を基準線としてブーム操作レバー12の傾動操作に応じた水平作動制御がなされ、ブーム操作レバー12を壁面Wに沿った矢印C方向に傾動操作すれば作業台7は矢印C方向に壁面Wに沿った方向に、作業台位置P4,P5の順に移動する。そして、作業台7が位置P1から位置P5まで移動する間に、ブーム5先端である点Qの移動軌跡は、P1からP3までは鎖線L1で示され、P3からP5までは鎖線L2で示される。
また、例えば作業台位置P2にて作業台7の時計方向への旋回動が終了するまでに、首振角検出器24により作業台7の基準線L1に対する(作業台7の旋回動開始時からの)旋回角θが、後述するような安全性の確保を基準に決められる所定の許容値以上になったことが検出されたときには、作業台旋回規制回路34がコントローラ30からの首振モータ54への制御信号の出力を規制して作業台7の旋回動を停止させる。このとき、旋回角θが許容値を超えない限りは作業台7を反転させて旋回角θを小さくさせることは可能であり、又、ブーム5先端部を矢印A方向に作動させる水平作動制御はそのまま続行される。
上記のように、作業台7の旋回角θを所定の許容値以下に規制する理由は、例えば、図4に示すように作業台7の旋回角が角度θ´になるまで大きく旋回動した場合には、ブーム操作レバー12の傾動操作を続けた場合、位置P3にてブーム5先端の作動方向が基準線L1に対して角度θ´の方向に大きく変化して、その後の作業台7の移動方向は矢印D方向になるため、ブーム5先端(作業台7)の作動方向の急激な変化に伴う振動が作業台7に発生して、作業の安全性を確保できない可能性があるからである。
このように、作業台7の所定の旋回角以上の旋回動を規制することで、ブーム操作レバー12の傾動方向は作業台7の旋回動とともに旋回動を行う前に対して大きく変化せず、ブーム5先端(作業台7)の移動方向が旋回動する前の時点に対して大きく変化するようなことはない。このため、作業台7の移動方向の急激な変化による振動が作業台7に発生する可能性はなく、作業台7に搭乗する作業者の安全性を確保することができる。
そして、以上のように本発明に係る制御装置では、作業台7を旋回動させる作業台旋回操作レバー14からの操作信号がコントローラ30に入力されている間は、作業台7が旋回動を開始する前の時点でのブーム操作レバー12の傾動方向を基準にブーム5の水平作動制御がなされる。このため、作業台7の旋回動とともに水平作動制御の基準の方向が絶えず変化する場合に比べて、作業台7を旋回動させつつ水平作動制御を行って作業台7を特定の方向に移動させることが容易である。また、作業者がブーム先端部の移動方向を予測することも容易であり、作業者にとって思わぬ方向に作業台が移動することがないために作業台が移動の途中に障害物に接触することがなく、作業台の操作性や作業の安全性を向上させることができる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではない。上記の実施例では、ブーム操作レバー12を常に中立位置から前方向に傾動操作してブーム5先端の水平作動制御を行う場合を示したが、ブーム操作レバー12を中立位置から後方向に傾動操作する場合や、ブーム操作レバー12を中立位置から左右方向のうちのいずれかの側に傾動操作してブーム5先端の水平作動制御を行う場合も同様である。これらのような場合でも、ブーム操作レバー12の傾動操作がなされ水平作動制御が行われている上で、作業台旋回操作レバー14の回動操作により作業台7を旋回動させたときは、そのままブーム5先端の作動方向を変えない方向への作業台7の移動を継続し、作業台旋回停止検出回路35による作業台7の旋回動停止の検出に基いて、作業台7の旋回動が終了した時点でのブーム操作レバー12の傾動方向を基準に作業台7の水平作動制御が行われる。また、作業台旋回停止検出回路35は、作業台旋回操作レバー14の操作信号に基いて作業台7の旋回動の停止を判断したが、首振角検出器24の信号に基いて判断することもできる。
本発明に係る高所作業車の制御装置を備える高所作業車の斜視図である。 本発明に係る高所作業車の制御装置のブロック図である。 上記高所作業車の備えられた作業台を示す斜視図である。 本発明に係る高所作業車の制御装置により作業台およびブーム先端の移動の制御を示す図である。 従来の高所作業車における作業台およびブーム先端の移動の制御を示す図である。
符号の説明
1 高所作業車
2 車体
5 ブーム
5a 基端ブーム(ブーム)
5b 中間ブーム(ブーム)
5c 先端ブーム(ブーム)
7 作業台
11 操作装置(水平作動操作手段、作業台旋回操作手段)
12 ブーム操作レバー(水平作動操作手段)
14 作業台旋回操作レバー(作業台旋回操作手段)
21 ブーム旋回角検出器(ブーム旋回角検出手段)
22 起伏角検出器(起伏角検出手段)
23 伸長量検出器(伸長量検出手段)
24 首振角検出器(作業台旋回角検出手段)
31 水平作動制御回路(水平作動制御手段)
32 レバー操作検出回路(操作方向検出手段)
33 位置算出回路(位置算出手段)
34 作業台旋回規制回路(作業台旋回規制手段)
35 作業台旋回停止検出回路(作業台旋回停止検出手段)
60 制御装置

Claims (2)

  1. 走行可能な車体上に旋回、起伏、伸縮動自在に取り付けられたブームと、
    前記ブームの先端部に旋回動自在に取り付けられた作業台と、
    前記作業台に全方向に揺動可能に設けられ前記作業台を水平方向に移動させる操作を行うための水平作動操作手段と、
    前記作業台に設けられ前記作業台を旋回動させる操作を行うための作業台旋回操作手段と、
    前記ブームの旋回角度を検出するブーム旋回角検出手段と、
    前記ブームの起伏角度を検出する起伏角検出手段と、
    前記ブームの伸長量を検出する伸長量検出手段と、
    前記作業台の前記ブームに対する旋回角度を検出する作業台旋回角検出手段と、
    前記水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号及び前記作業台旋回操作手段から出力される作業台旋回操作信号に基づいて前記ブーム及び前記作業台の作動を制御する制御手段と
    を備えた高所作業車の制御装置であって、
    前記制御手段は、
    前記ブーム旋回角検出手段、前記起伏角検出手段、前記伸長量検出手段および作業台旋回角検出手段により検出される検出値から前記ブーム先端もしくは前記作業台の位置を算出する位置算出手段を有し、
    前記水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号を受けて、前記水平方向操作信号に基づいた移動方向と前記位置算出手段により算出された前記作業台の位置とにより定まる移動方向線に基づいて前記ブーム先端を水平移動させるように前記ブームの旋回、起伏、伸縮動の制御を行い、
    前記水平方向操作信号を受けた後に前記作業台旋回操作手段から出力される前記作業台旋回操作信号を受けた場合には、
    前記作業台旋回操作信号を受けている間は、前記作業台旋回操作信号を受ける前の、水平方向操作信号に基づいた移動方向と前記位置算出手段により算出された前記作業台の位置とにより定まる移動方向線に基づいて前記ブーム先端を水平移動させるように制御を行い、
    前記水平方向操作信号を受けている間であって、前記作業台旋回操作信号の出力が解除された場合は、解除された時点における、前記水平作動操作手段から出力される水平方向操作信号に基づいた移動方向と前記位置算出手段により算出された前記作業台の位置と、により新たに定まる移動方向線に基づいて前記ブーム先端を水平移動させるために前記ブームの旋回、起伏、伸縮動の制御を行うことを特徴とする高所作業車の制御装置。
  2. 作業台旋回角検出手段により検出される前記作業台の旋回動の開始からの旋回角が所定値を超える方向への前記作業台の旋回動を規制する作業台旋回規制手段を有することを特徴とする請求項1に記載の高所作業車の制御装置。
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