JP3698513B2 - 写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー露光用の写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、MRI、X線CT等の画像情報を出力する手段として、写真感光材料上にレーザービームを走査させ露光を行う方法がとられてきた。近年は、光源として高出力、高い安定性を持つ半導体レーザーダイオードが一般的に普及しており、出力媒体としての写真感光材料の感度にある程度の余裕を生みだしている。一方、迅速処理、環境保全の観点からこれら写真感光材料は少ない塗布銀量が望まれており、このために、所望の最大光学濃度(Dmax )を維持するために乳剤粒子の微粒子化の動きが進んでいる。さらに、熱現像処理のようなハロゲン化銀を溶解除去する定着処理のないシステムの場合、感光材料は、ヘイズのないものが要求される。
【0003】
しかしながら、このような乳剤粒子の微粒子化、あるいは透明性の高い感光材料は、感材内部でのレーザー光の反射の結果生じる干渉縞の発生を伴う。この干渉縞については特公平6−10735号公報にて“非接触干渉縞”と称して詳しく述べられている。
【0004】
典型的なレーザー走査露光方法は図1〜図3に示される。
【0005】
図1〜図3に示されるように、レーザー光源1から発せられたレーザービーム2は、画像信号出力装置5から変調器駆動回路4を介して変調器3により画像信号に従って変調を受け、ビームエキスパンダ6およびシリンドリカルレンズ7を介し、回転多面鏡8に入射して反射され、fθレンズ9を通してシリンドリカルミラーに入射し、その反射光により写真感光材料11に対し、主走査方向(矢印A)および副走査方向(矢印B)に露光を施すものである。
【0006】
図2に示すように、主走査方向とレーザービームのなす角は走査により変化するが、その走査の中心で垂直となるよう設計されるのが普通である。また、図3に示す副走査方向とレーザービームのなす角θは感材からの反射レーザー光がレーザー装置内部に帰還するのを防ぐために通常垂直から外れるよう考慮されるが、そのずらし角度はたかだか1から2度である。よって、従来は感材の露光面に対してのレーザービームの入射角度がほぼ垂直である領域をレーザー走査中に必ず使用している。しかしながら、このようなレーザー入射角度がほぼ垂直である露光領域では先述のような反射レーザー光の重なりが生じ、干渉縞の発生が抑えられないという問題がある。
【0007】
このような問題は、感光性乳剤層を支持体の少なくとも一方の側に有する写真感光材料をレーザー走査露光する場合において、感光材料の露光面と走査レーザー光のなす角度が実質的に垂直になることがないようにしたレーザー走査露光方法、特に感光材料の露光面と走査レーザー光のなす角度が常に垂直から3度以上45度以下ずれているようにしたレーザー走査露光方法を用いることによって解決することができる。
【0008】
しかしながら、この方法は新たに鮮鋭度を落とすという問題を引き起こし、鮮鋭度を損なうことなく干渉縞を発生させないことが必要となった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レーザー露光にて画像を形成する際に、感光材料において発生するレーザー干渉縞を解消し、かつ鮮鋭度を損なわない写真感光材料を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の手段により達成された。
(1)支持体上にバインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ有し、かつ、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いられるレーザー露光用熱現像感光材料において、前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもち、さらに、前記感光性乳剤層と該感光性乳剤層の保護層は、同時塗布されてなる、熱現像感光材料。
(2) 感光材料の露光面とレーザー光のなす角度が常に垂直から3度以上45度以下ずれているように用いられる(1)の熱現像感光材料。
(3) 支持体の厚さが50μm以上である(1)または(2)の熱現像感光材料。
(4) 感光性乳剤層の吸光度が、露光に用いるレーザー光の波長での値で0.3以上である(1)〜(3)のいずれかの熱現像感光材料。
(5) 支持体の感光性乳剤層の塗設層側の面と反対側に消色可能なアンチハレーション層を有する(1)〜(4)のいずれかの熱現像感光材料。
(6) 支持体上にバインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ有し、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いられ、かつ前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもつレーザー露光用熱現像感光材料の製造方法において、前記感光性乳剤層と該感光性乳剤層の保護層を同時塗布する工程を含む、熱現像感光材料の製造方法。
(7)バインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ同時塗布してなり、かつ、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いる熱現像感光材料によって得られる画像の鮮鋭度の改善方法であって、前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもつようにすることを特徴とする熱現像感光材料によって得られる画像の鮮鋭度の改善方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の写真感光材料はレーザー露光用であり、特にはレーザー走査露光用であり、レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いられる。そして、本発明の写真感光材料は、感光性乳剤層のうち少なくとも1層の露光波長における吸光度が0.2以上である。
【0013】
このような条件を満たすことによって、鮮鋭度を損なうことなく、感材内部でのレーザー光の反射の結果生じる干渉縞の発生を防止することができる。これに対し、実質的に垂直となる露光を行うと干渉縞が発生してしまい、全感光性乳剤層の吸光度が0.2未満となると鮮鋭度が悪化してしまう。
【0014】
本発明の効果は、支持体、特に透明支持体を用い、その厚さが50μm 以上、好ましくは80〜200μm であるときに発揮される。また、支持体の感光性乳剤層設層側の面と反対側に消色可能なアンチハレーション層を設けることによって向上する。
【0015】
本発明で言う「実質的に垂直になることがない」とはレーザー走査中の最も垂直に近い角度として好ましくは3度以上45度以下、より好ましくは10度以上35度以下で垂直からずれていることを言う。従って、「実質的に垂直」とは垂直に近い角度として3度未満、より具体的には2度以下であることを言う。
【0016】
レーザー光が、感光材料に走査されるときの感光材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは130μm以下、より好ましくは80μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。なお、ビームスポット直径の下限は10μm 程度である。
【0017】
本発明のレーザー走査露光方法に用いられるレーザー光源としては、安価で入手しやすい半導体レーザーダイオードが好ましく、波長としては500nm以上のものが好ましい。一般に波長の上限は1500nm程度である。
【0018】
本発明の写真感光材料の露光に用いる光ビーム走査装置および走査光学系は例えば以下に記載のものを使用することができる。
【0019】
特開昭57−144514号、特開昭61−84620号、特開平3−53212号、特開平3−54511号、特開平3−64722号、特開平3−87812号、特開平3−5015375号、特開平3−43707号、特開平3−59616号、特開平3−64723号、特開平2−294613号、特開平3−2713号、特開平2−289816号、特開平2−289815号、特開平3−2712号、特公平2−58605号、実開昭64−19914号、特開昭64−42626号、特開昭64−78216号、US4,796,962号、特開平1−96622号、特開平1−200319号、特開平1−182820号、US4,846,539号、US4,859,011号、特開平2−219012号、特開平2−272416号。
【0020】
次に、本発明の写真感光材料について説明する。
【0021】
省銀化のためにハロゲン化銀の粒子サイズを下げたような感光材料、あるいは、熱現像処理のような定着処理を行わない処理方法をとる感光材料はヘイズが低く、レーザー光源波長での吸光度が低くなり干渉縞が発生しやすい。本発明の写真感光材料は、このような感光材料であり、好ましくは熱現像感光材料等である。
【0022】
従って、以下では主として熱現像感光材料について説明する。
【0023】
本発明に用いる増感色素としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればいかなるものでも良い。増感色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEARCH DISCLOSURE Item17643IV-A 項(1978 年12月p.23) 、同Item1831X 項(1979 年8 月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャー、スキャナーやイメージセッターの分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。
【0024】
特に、590nm 以上750nm 以下に発光するHe-Ne レーザー、赤色半導体レーザーやLED などのいわゆる赤色光源に対して有効な増感色素の例としては、特開昭54-18726号に記載のI-1からI-38 の化合物、特開平6-75322 号に記載のI-1からI-35 の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34 の化合物、特公昭55-39818号に記載の色素1 から20、特開昭62-284343 号に記載のI-1からI-37 の化合物および特開平7-287338号に記載のI-1からI-34 の化合物などがある。
【0025】
本発明に用いられる色素の構造として特に好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有するシアニン色素( 例としては特開昭62-58239号、同3-138638号、同3-138642号、同4-255840号、同5-72659 号、同5-72661 号、同6-222491号、同2-230506号、同6-258757号、同6-317868号、同6-324425号、特表平7-500926号、米国特許第5,541,054 号に記載された色素) 、カルボン酸基を有する色素( 例としては特開平3-163440号、同6-301141号、米国特許第5,441,899 号に記載された色素) 、メロシアニン色素、多核メロシアニン色素や多核シアニン色素( 特開昭47-6329 号、同49-105524 号、同51-127719 号、同52-80829号、同54-61517号、同59-214846 号、同60-6750 号、同63-159841 号、特開平6-35109 号、同6-59381 号、同7-146537号、同7-146537号、特表平55-50111号、英国特許第1,467,638 号、米国特許第5,281,515 号に記載された色素) が挙げられる。
【0026】
これらの増感色素は単独に用いてもよく、2 種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強色増感を示す色素の組合せおよび強色増感を示す物質はResearch Disclosure 176 巻17643(1978年12月発行) 第23頁IVのJ 項、あるいは特公昭49-25500号、同43-4933 号、特開昭59-19032号、同59-192242 号等に記載されている。
【0027】
増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メトキシ-1- プロパノール、3-メトキシ-1- ブタノール、1-メトキシ-2- プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0028】
また、米国特許第3,469,987 号明細書等に開示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号、同44-27555号、同57-22091号等に開示されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135 号、同第4,006,025 号明細書等に開示されているように界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733 号、同58-105141 号に開示されているように親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中に添加する方法、特開昭51-74624号に開示されているように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることもできる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0029】
本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許第2,735,766 号、同第3,628,960 号、同第4,183,756 号、同第4,225,666 号、特開昭58-184142 号、同60-196749 号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程および/または脱塩前の時期、脱銀工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920 号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666 号、特開昭58-7629 号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加してもよく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加してもよい。
【0030】
本発明における増感色素の使用量としては感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する層のハロゲン化銀1 モル当たり10-6〜1 モルが好ましく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。
【0031】
本発明の感光性乳剤層は、加熱現像処理前に露光波長で0.2以上の吸収を有することが必要であり、0.2以上2.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.3以上1.0以下である。
【0032】
このような吸光度は、支持体の一方の面上に感光性乳剤層を設層したサンプルを用い、感光性乳剤面を光源側に向けて設置し、支持体をリファレンスとして差し引いて求めたものである。なお、感光性乳剤層上に保護層等が設層されたサンプルを用いてそのまま測定してもよい。
【0033】
本発明の写真感光材料が複数の感光性乳剤層を有する場合、すべての感光性乳剤層の吸光度が上記範囲にあることが好ましい。
【0034】
複数の感光性乳剤層が存在する場合の吸光度は、支持体の一方の面上に写真感光材料と同構成の感光性乳剤層を設置したサンプルを用いて求めたものである。また、1層の感光性乳剤層を設層したサンプルを複数用意して求めてもよい。
【0035】
また、支持体の両面に感光性乳剤層を有する写真感光材料であるときの吸光度は、支持体の一方の面側に各々存在する感光性乳剤層と同構成の感光性乳剤層を設層した各サンプルを用意し、これらのサンプルを用いて求めたものである。
【0036】
なお、本発明の感光性乳剤層の吸収極大は露光波長前後50nmであることが好ましく、露光波長前後20nmであることがより好ましい。
【0037】
本発明の感光性乳剤層に吸収をつけるには、いかなる方法でも良いが、染料を用いることが好ましい。染料としては先述の吸収条件を満たすものであればいかなるものでもよく、例えばピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール染料などが挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料としてはアントラキノン染料(例えば特開平5-341441号記載の化合物1 〜9 、特開平5-165147号記載の化合物3-6 〜18および3-23〜38など) 、アゾメチン染料( 特開平5-341441号記載の化合物17〜47など) 、インドアニリン染料( 例えば特開平5-289227号記載の化合物11〜19、特開平5-341441号記載の化合物47、特開平5-165147号記載の化合物2-10〜11など) およびアゾ染料( 特開平5-341441号記載の化合物10〜16) である。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物は1種のみ用いても2種以上を併用してもよく、その使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に感材1m2当たり1μg 以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。本発明において乳剤層に吸収を持たせる化合物はいかようなものでも良いが、例としては以下のものが挙げられる。
【0038】
【化1】
【0039】
【化2】
【0040】
【化3】
【0041】
また、本発明では、上記の染料のほか、顔料を用いることも好ましい。
【0042】
本発明に用いられる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments(VCH Verlagsgesellshaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系原料、ペリレンおよびペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性または塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等、および無機顔料を用いることができる。中でも好ましい青味の色調を得るためには、フタロシアニン顔料、アントラキノン系のインダントロン顔料、染め付けレーキ顔料系のトリアリールカルボニウム顔料、インジゴ、無機顔料の群青、コバルトブルーが好ましい。さらに色調を調整するために、赤ないし紫色の顔料、例えばジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、などが上記青色顔料と併用されていてもよい。
【0043】
以下に好ましい顔料の具体例を列挙する。
【0044】
青色顔料の例としては、フタロシアニンC.I.Pigment Blue 15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6(銅フタロシアニン)、モノクロロないし低塩素化銅フタロシアニン、C.I.Pigment Blue 16(無金属フタロシアニン)、中心金属がZn、Al、Tiであるフタロシアニン、バット染料としても知られるインダントロン系のC.I.Pigment Blue 60やそれらのハロゲン置換体、例えばC.I.Pigment Blue 64、同21、アゾ系のC.I.Pigment Blue 25、 インジゴ系のC.I.Pigment Blue 66およびレーキ顔料であるC.I.Pigment Blue 63、トリアリールカルボニウム型酸性染料あるいは塩基性染料のレーキ顔料であるC.I.Pigment Blue 1、同2、同3、同9、同10、同14、同18、同19、同24:1、同24:x、同56、同61、同62が挙げられる。赤ないし紫顔料としてはジオキサジン系のC.I.Pigment Violet23、同37、アゾ系のC.I.Pigment Violet 同13、同25、同32、同44、同50、C.I.Pigment Red 23、同、52:1、同57:1、同63:2、同146、同150、同151、同175、同176、同185、同187、同245、キナクリドン系のC.I.Pigment Violet 19、同42、C.I.Pigment Red 122、同192、同202、同207、同209、トリアリールカルボニウム系のレーキ顔料であるC.I.Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39、C.I.Pigment Violet 81:1、ペリレン系のC.I.Pigment Violet 29、アントラキノン系のC.I.Pigment Violet 5:1、同31、同33、チオインジゴ系のC.I.Pigment Red 38、同88が挙げられる。
【0045】
本発明に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)を顔料表面に結合させる方法などが考えられ、次の文献等に記載されている。
金属石鹸の性質と応用(幸書房)
印刷インキ技術(CMC出版、1984)
最新顔料応用技術(CMC出版、1986)
【0046】
本発明において顔料はバインダー中に分散されて用いられる。分散剤は、用いるバインダーと顔料に合わせて種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤を用いることができるが、疎水性バインダー中で用いる場合には分散安定性の観点から高分子型分散剤を用いることがより好ましい。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許第549,486号等に記載のものを挙げることができる。
【0047】
本発明に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μm の範囲であることが好ましく、0.05〜1μm であることがさらに好ましい。
【0048】
顔料をバインダー中へ分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
【0049】
顔料は1種のみを用いても2種以上を併用してもよく、また染料と併用することもできる。顔料の使用量は染料と同様に目的の吸収量によって決定されるが、一般的に感材1m2当たり1mg以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。
【0050】
本発明では、アンチハレーション層を、感光性乳剤層の支持体を挟んで反対の面側に消色可能な形で有することが好ましい。
【0051】
このようなアンチハレーション層は、加熱現像処理前に露光波長で吸光度0.12以上3.0以下の吸収を有することが好ましく、0.3以上2.0以下であることがさらに好ましい。またこのようなアンチハレーション層は、加熱現像処理後には590nm 以上750nm 以下の波長で吸光度0.1未満の極大吸収を有することが好ましく、0以上0.1未満、通常0以上0.09以下であることがさらに好ましい。
【0052】
このような吸光度は前記の感光性乳剤層に準じた方法で求めることができる。
【0053】
消色型アンチハレーション層の例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限られるものではない。これについては、特開昭52-139136 号、同53-132334 号、同56-501480 号、同57-16060号、同57-68831号、同57-101835 号、同59-182436 号、特開平7-36145 号、同7-199409号、特公昭48-33692号、同50-16648号、特公平2-41734 号、米国特許第4,088,497 号、同第4,283,487 号、同第4,548,896 号、同第5,187,049 号に開示されている。これらの化合物は1種のみ用いても2種以上を併用してもよく、その使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に感材1m2当たり1μg 以上1g以下の範囲で用いることが好ましい。また、具体例としては以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
(1)染料として、塩基性無色染料前駆体と酸性物質の組み合わせを使用する場合
本発明に用いられる、塩基性無色染料前駆体としては、例えばクリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、2−(N−フェニル−N−エチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−トルイジノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等がある。
【0055】
この他に以下の化合物が挙げられる。
【0056】
【化4】
【0057】
【化5】
【0058】
【化6】
【0059】
【化7】
【0060】
【化8】
【0061】
また、これらの化合物を発色状態にするために、フェノール性化合物、有機酸もしくはその金属塩、オキシ安息香酸エステルなどが用いられる。好ましく用いられる化合物の具体例を以下に示す。
【0062】
フェノール化合物の例を示せば、4,4’−イソプロピリデン−ジフェノール(ビスフェノールA)、p−tert−ブチルフェノール、2,4−ジニトロフェノール、3,4−ジクロロフェノール、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、p−フェニルフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(α−フェニル−p−クレゾール)チオジフェノール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、スルホニルジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ドデカン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ペンタン酸エチルエステルのほか、p−tert−ブチルフェノール−ホルマリン縮合物、p−フェニルフェノール−ホルマリン縮合物などがある。
【0063】
有機酸もしくはその金属塩としては、3−tert−ブチルサリチル酸、3,5−tert−ブチルサリチル酸、5−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3−tert−オクチルサリチル酸、5−α,γ−ジメチル−α−フェニル−γ−フェニルプロピルサリチル酸等およびその亜鉛塩、鉛塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ニッケル塩が有用である。
【0064】
オキシ安息香酸エステルとしては、p−オキシ安息香酸エチル、p−オキシ安息香酸ブチル、p−オキシ安息香酸ヘプチル、p−オキシ安息香酸ベンジル等がある。
【0065】
このほか以下の化合物が挙げられる。
【0066】
【化9】
【0067】
【化10】
【0068】
【化11】
【0069】
【化12】
【0070】
【化13】
【0071】
このような染料は、感光材料中では、予め所望の波長・吸光度に発色した状態で、存在しており、熱または光により塩基性物質と、接触して消色することができる。こうした消色染料と塩基性物質は、保存中接触させないで、安定に隔離する必要があるため、通常同一層中に溶解状態で添加されないことが好ましい。
【0072】
染料と塩基性物質を隔離する方法としては、各々固体状態で添加することもできるし、熱応答性マイクロカプセル中に、染料および/または塩基性物質を内包することもできる。製造方法は、森賀弘之著「入門・特殊紙の化学」(昭和50年刊行)に記載の感熱記録材料や、特開平1−150575号に記載の感熱記録材料の調製方法を参考にすることができる。
【0073】
また、塩基性物質を、熱により放出できるような、塩基発生剤もしくは求核性化合物の発生剤を塩基性物質に代えて使用することもできる。
【0074】
染料の消色剤として、特定のアルコール、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、グアニジン誘導体を用いることが知られているが、本発明の場合、そのものは中性であり、加熱により脱炭酸することではじめて塩基を発生し、染料を消色させる塩基発生剤が好ましい。
【0075】
塩基発生剤としては、特開昭59−168441号に記載のスルホニル酢酸系化合物、特開昭59−180537号記載のプロピオール酸塩系化合物が挙げられる。特に好ましいのは、下記一般式(B−I)で表される化合物である。
【0076】
B0 −X0 −B0 ・2R0 SO2 CH2 CO2 H (B−I)
上記においてB0 は有機塩基を表す基、X0 は2価の有機基、R0 は脂肪族基、芳香族基または複素環式基を表わす。
【0077】
本発明において、特に有用な塩基発生剤としては、式(B−I)中、B0 がアミジノ基またはグアニジノ基(いずれの基においても置換基同士が互いに結合して環化した場合も含む)で、R0 がアリール基のものを挙げることができる。
【0078】
以下に塩基発生剤として、好ましい具体例を列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
【化14】
【0080】
【化15】
【0081】
【化16】
【0082】
【化17】
【0083】
【化18】
【0084】
(2)染料として、酸性無色染料前駆体と塩基性物質の組み合わせを使用する場合
本発明に用いられる、酸性無色染料前駆体としては、例えばフェノールフタレイン、フルオレツセイン、2’,4’,5’,7’−テトラブロモ−3,4,5,6−テトラクロロフルオレツセイン、テトラブロモフェノールブルー、4,5,6,7−テトラブロモフェノールフタレイン、エオキン、アウリンクレゾールレッド、2−ナフト−ルフェノールフタレインなどがあるがこれに限定されるものではない。
【0085】
本発明の熱現像感光材料に用いられる酸性染料前駆体と発色反応を生じる塩基性物質としては、水難溶性ないしは水不溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が用いられる。
【0086】
塩基性物質としては、無機および有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素およびその誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。これらの具体例としては、例えば酢酸アンモニウム、トリシクロへキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−イミダゾール、2−ウンデシル−イミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジトリルグアニジン、1,2−ジシクロへキシルグアニジン、1,2−ジシクロへキシル−3−フェニルグアニジン、1,2,3−トリシクロへキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノ−ベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノ−ベンゾチアゾールがある。これらの塩基性物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0087】
このほか以下の化合物が挙げられる。
【0088】
【化19】
【0089】
【化20】
【0090】
【化21】
【0091】
【化22】
【0092】
こうした染料は、上述した(1)染料として、塩基性無色染料前駆体と酸性物質との組み合わせを使用する場合に、消色させるために、使用した塩基性物質に代えて、公知の酸性物質を使用する以外は同様にして、発色/消色させることができる。
【0093】
本発明において加熱処理で染料を消色させる際に、光を併用することもできる。具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0094】
(3)染料が光照射で消色する化合物の場合
本発明の光照射で消色する染料の消色する光照射量は、10万ルクス・分以下である。消色に要する時間は、60秒以下が好ましく、より好ましくは、1秒以上50秒以下であり、消色を促進するために加熱する必要がある。加熱温度は、40℃〜150℃が好ましく、より好ましくは50℃以上140℃が好ましい。加熱温度が150℃より高いと、通常使用されるポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、トリアセテートなどの支持体原料の場合に変形、伸縮などを起こす危険性があるが、この問題の無い化合物を使用するなら、より高温の加熱も可能である。
【0095】
本発明の光で消色する染料について以下に示す。
【0096】
本発明の光で消色する染料の例として、一般式(1)の化合物または一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の組み合わせを挙げることができる。
【0097】
【化23】
【0098】
一般式(1)中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基および複素環基を表し、D+ はカチオン染料を表す。
【0099】
【化24】
【0100】
一般式(2)中、X- は陰イオン、D+ はカチオン染料を表す。
【0101】
【化25】
【0102】
一般式(3)中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基または複素環基を表し、R5 、R6 、R7 およびR8 はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基または複素環基を表す。
【0103】
一般式(1)を詳説する。R1 〜R4 で表されるアルキル基は炭素数1〜12、更に好ましくは、炭素数1〜8(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル)である。R1 〜R4 で表されるアリール基はフェニル基が好ましく、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子(F,Cl,Br)等で置換されていてもよい。R1 〜R4 で表されるアラルキル基はベンジル基、フェニルエチル基等を挙げることができる。R1 〜R4 で表されるアルケニル基は炭素数2〜6の2−ペンテニル基、ビニル基、2−ブテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基を挙げることができる。R1 〜R4 で表されるアルキニル基は、エチニル基、2−プロピニル基を挙げることができる。R1 〜R4 で表される複素環基としてはピロール、ピリジン、ピロリジン等から誘導される一価の基を挙げることができる。R1 〜R4 で表されるシリル基は、SiR9 R10R11で表される基である。R9 、R10およびR11はそれぞれアルキル基(前述と同義)またはアリール基(前述と同義)である。R1 〜R4 の好ましい基としては、アルキル基、アラルキル基またはアリール基である。
【0104】
カチオン染料としては、特開昭62−150242号記載のシアニン、ローダミン、メチレンブルー、サフラニン染料、特開平5−188635号記載のシアニン、ポリメチン、ピリリウム染料、特開昭57−19734号記載のシアニン、アゾメチン、スチリル、キサンテン、アジン染料、特開昭64−13144号記載のシアニン、キサンテン、スチリル染料、特開昭64−88444号記載のシアニン染料、特開平7−150070号記載のトリアリールメタン染料、特開平4−146905号記載のテトラジン、ジイモニウム染料、特開平5−59110号記載のキサンテン、チオキサンテン、オキサジン、チアジン、シアニン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ピリリウム染料など各種の染料を用いることができる。
【0105】
中でも、下記一般式(4)で示されるシアニン染料が好ましい。
【0106】
【化26】
【0107】
一般式(4)中、Z1 およびZ2 は各々縮環してもよい5または6員の含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表し、R12およびR13は各々アルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、Lは1、3、5、7または9個のメチン基が共役二重結合によって連結されて生じる連結基を表し、aおよびbは各々0または1を表す。
【0108】
一般式(4)を詳述する。Z1 、Z2 で表される縮環してもよい5または6員の含窒素複素環は、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環等を挙げることができる、好ましくは、ベンゼン環あるいはナフタレン環が縮環した5員の含窒素複素環である。これらの環は置換されていてもよい。置換基としては、例えば、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、フェノキシ基(例えば、無置換のフェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(Cl,Br,F)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル)、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0109】
R12およびR13で表されるアルキル基、アラルキル基およびアルケニル基は、一般式(1)のR1 〜R4 のアルキル基、アラルキル基およびアルケニル基とそれぞれ同義である。
【0110】
Lは1、3、4、7または9個のメチン基が共役二重結合により連結されて生じる連結基を表すが、3個のメチン基が結合してシクロペンチル、シクロへキセン環を形成してもよい。さらに、アルキル基(前述と同義)、ハロゲン原子(F,Cl,Br)、アリール基(前述と同義)、NR14R15、SR16またはOR17等で置換されていてもよい。R14、R15、R16およびR17はアルキル基(前述と同義)またはアリール基(前述と同義)を表し、R14とR15が互いに連結して5または6員環を形成してもよい。
【0111】
一般式(2)を詳説する。X- で表される陰イオンとしては、ハロゲンイオン(Cl,Br,I)、ClO4 -、PF6 -、SbF6 -、BF4 -、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン等を挙げることができる。D+ で表されるカチオン染料は一般式(1)のカチオン染料と同義である。
【0112】
一般式(3)を詳説する。R1 、R2 、R3 およびR4 で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基は、一般式(1)のR1 、R2 、R3 およびR4 で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基とそれぞれ同義である。R5 、R6 、R7 およびR8 で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基は一般式(1)のR1 、R2 、R3 およびR4 で表されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基とそれぞれ同義である。
【0113】
一般式(3)の化合物の具体例としては、例えばテトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリアニシルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−オクチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムn−オクチルトリアニシルホウ素、テトラエチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラオクチルアンモニウムn−オクチルトリフェニルホウ素、テトラブチルアンモニウムn−ドデシルトリフェニルホウ素、トリメチルハイドロゲンアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラハイドロゲンアンモニウムn−ブチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムテトラブチルホウ素、テトラn−ブチルアンモニウムテトラn−ブチルホウ素、テトラメチルアンモニウムトリn−ブチル(トリフェニルシリル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムトリn−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ホウ素、テトラエチルアンモニウムn−オクチルジフェニル(ジn−ブチルフェニルシリル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムジメチルフェニル(トリメチルシリル)ホウ素、テトラメチルアンモニウムベンジルトリフェニルホウ素、テトラブチルアンモニウムベンジルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムメチルトリフェニルホウ素、テトラメチルアンモニウムトリn−ブチルフェニルホウ素等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0114】
本発明の具体例を一般式(1)に基づいた形で以下に示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0115】
【化27】
【0116】
【化28】
【0117】
【化29】
【0118】
【化30】
【0119】
本発明の一般式(1)の化合物は、特開平7−150069号、同7−150070号等を参考にして合成できる。また、一般式(1)の化合物は一般式(2)と(3)の化合物を感光性材料中に別々に添加しても得ることができる。さらに一般式(1)の化合物に一般式(3)の化合物を添加してもよい。
【0120】
このほかの光で消色する染料としては、特開昭57−68831号記載の光酸発生剤と、低pHで脱色する染料の組み合わせ等を挙げることができる。
【0121】
本発明の熱および/または光消色性染料の添加量は任意であるが、目的とする波長で測定したときの光学濃度が0.2を超えており、好ましくは、0.5〜2になる程度の量で使用される。これをこうした染料の添加量で言うならば、分子吸光係数によっても異なるが、通常0.01〜1g/m2程度であり、前述した消色剤を併用する場合は、この添加量に加えてさらに添加してもよい。通常消色剤は、こうした染料の添加量の当モル量以上を使用し、例えば3倍モル量程度の過剰量を加えてもよい。また、染料は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0122】
本発明には有機銀塩を用いることができる。有機銀塩の形状としては特に制限はないが、短軸と長軸を有する針状結晶が好ましい。感光性ハロゲン化銀感光材料でよく知られているように銀塩結晶粒子のサイズとその被覆力の間の反比例の関係は本発明における熱現像感光材料においても成立するため、即ち熱現像感光材料の画像形成部である有機銀塩粒子が大きいと被覆力が小さく画像濃度が低くなることを意味することから有機銀塩のサイズを小さくすることが必要である。本発明においては短軸0.01μm 以上0.20μm 以下、長軸0.10μm 以上5.0 μm 以下が好ましく、短軸0.01μm 以上0.15μm 以下、長軸0.10μm 以上4.0 μm 以下がより好ましい。有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さの標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の百分率が好ましくは100%以下、より好ましくは80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積荷重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積荷重平均直径で割った値の百分率( 変動係数) が好ましくは100%以下、より好ましくは80% 以下、更に好ましくは50% 以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ( 体積荷重平均直径) から求めることができる。
【0123】
本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として感材1m2当たりの塗布量で示して、0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/ m2である。
【0124】
本発明における感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られており例えば、リサーチディスクロージャー1978年6 月の第17029 号、および米国特許第3,700,458 号に記載されている方法を用いることができる。本発明で用いることのできる具体的な方法としては、調製された有機銀塩中にハロゲン含有化合物を添加することにより有機銀塩の銀の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する方法、ゼラチンあるいは他のポリマー溶液の中に銀供給化合物およびハロゲン供給化合物を添加することにより感光性ハロゲン化銀粒子を調製し有機銀塩と混合する方法を用いることができる。本発明において好ましくは後者の方法を用いることができる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さいことが好ましく、具体的には平均粒径が0.0001μm 以上0.15μm 以下が好ましく、更に好ましくは0.001 μm以上0.15μm以下、特に好ましくは0.02μm以上0.12μm以下がよい。ハロゲン化銀粒子サイズが小さすぎると感度が不足し、大きすぎると感材のヘイズが増す問題を生じる場合がある。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合には主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直径をいう。その他正常晶でない場合、例えば球状粒子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径はこのようにして求めた粒子サイズの平均値である。
【0125】
ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましくは100:1 〜2:1 、より好ましくは50:1〜3:1 がよい。更に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い{100} 面の占める割合が高いことが好ましい。その割合としては50% 以上が好ましく、65% 以上がより好ましく、80% 以上が更に好ましい。ミラー指数{100} 面の比率は増感色素の吸着における{111} 面と{100} 面との吸着依存性を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985 年) に記載の方法により求めることができる。感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀のいずれであっても良いが、本発明においては臭化銀、あるいはヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。特に好ましくはヨウ臭化銀であり、ヨウ化銀含有率は0.1 モル% 以上40モル% 以下が好ましく、0.1 モル% 以上20モル% 以下がより好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよいが、好ましい例として粒子内部のヨウ化銀含有率の高いヨウ臭化銀粒子を使用することができる。また、好ましくはコア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2 〜4 重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。
【0126】
本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、ロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム、コバルト、水銀または鉄から選ばれる金属の錯体を少なくとも一種含有することが好ましい。これら金属錯体は1 種類でもよいし、同種金属および異種金属の錯体を二種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1nモルから10m モルの範囲が好ましく、10n モルから100μモルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7-225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。コバルト、鉄の化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イオン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有量は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、あるいはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はない。
【0127】
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。
【0128】
本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法を用いることができる。また金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増感法や還元増感法を用いることができる。硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知の化合物を用いることができるが、特開平7-128768号等に記載の化合物を使用することができる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド類、ビス( オキシカルボニル) テルリド類、ビス( カルバモイル) テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス( オキシカルボニル) ジテルリド類、ビス( カルバモイル) ジテルリド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ( ポリ) テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有する化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いることができる。貴金属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特許第2,448,060 号、英国特許第618,061 号などに記載されている化合物を好ましく用いることができる。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができる。また、乳剤のpHを7 以上またはpAg を8.3 以下に保持して熟成することにより還元増感することができる。また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分を導入することにより還元増感することができる。
【0129】
本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1 モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5 モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3 モル以下がより好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法および混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速攪拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。
【0130】
本発明のハロゲン化銀調製法としては、有機銀塩の一部の銀を有機または無機のハロゲン化物でハロゲン化するいわゆるハライデーション法も好ましく用いられる。ここで用いる有機ハロゲン化物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物で有ればいかなるものでもよいが、N-ハロゲノイミド(N- ブロモスクシンイミドなど) 、ハロゲン化4 級窒素化合物( 臭化テトラブチルアンモニウムなど) 、ハロゲン化4 級窒素塩とハロゲン分子の会合体( 過臭化臭化ピリジニウム) などが挙げられる。無機ハロゲン化合物としては有機銀塩と反応しハロゲン化銀を生成する化合物であればいかなるものでもよいが、ハロゲン化アルカリ金属またはアンモニウム( 塩化ナトリウム、臭化リチウム、沃化カリウム、臭化アンモニウムなど) 、ハロゲン化アルカリ土類金属( 臭化カルシウム、塩化マグネシウムなど) 、ハロゲン化遷移金属( 塩化第2 鉄、臭化第2 銅など) 、ハロゲン配位子を有する金属錯体( 臭化イリジウム酸ナトリウム、塩化ロジウム酸アンモニウムなど) 、ハロゲン分子( 臭素、塩素、沃素) などがある。また、所望の有機無機ハロゲン化物を併用しても良い。
【0131】
本発明でハライデーションする際のハロゲン化物の添加量としては有機銀塩1 モル当たりハロゲン原子として1mモル〜500mモルが好ましく、10m モル〜250mモルがさらに好ましい。
【0132】
有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質であってよい。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1 モルに対して5 〜50モル%含まれることが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1 モルに対して10〜50モル%と多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0133】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の還元剤が特開昭46-6074 号、同47-1238 号、同47-33621号、同49-46427号、同49-115540 号、同50-14334号、同50-36110号、同50-147711 号、同51-32632号、同51-1023721号、同51-32324号、同51-51933号、同52-84727号、同55-108654 号、同56-146133 号、同57-82828号、同57-82829号、特開平6-3793号、米国特許第3,667,9586号、同第3,679,426 号、同第3,751,252 号、同第3,751,255 号、同第3,761,270 号、同第3,782,949 号、同第3,839,048 号、同第3,928,686 号、同第5,464,738 号、独国特許第2321328 号、欧州特許第692732号などに開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオキシムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5- ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2-ビス( ヒドロキシメチル) プロピオニル- β- フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ( 例えばハイドロキノンと、ビス( エトキシエチル) ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4- メチルフェニルヒドラジンの組合せなど) ;フェニルヒドロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ- アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ( 例えば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4- ベンゼンスルホンアミドフェノールなど) ;エチル- α- シアノ-2- メチルフェニルアセテート、エチル- α- シアノフェニルアセテートなどのα- シアノフェニル酢酸誘導体;2,2-ジヒドロキシ-1,1- ビナフチル、6,6-ジブロモ-2,2- ジヒドロキシ-1,1- ビナフチルおよびビス(2- ヒドロキシ-1- ナフチル) メタンに例示されるようなビス- β- ナフトール;ビス- β- ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘導体( 例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2,4-ジヒドロキシアセトフェノンなど) の組合せ;3-メチル-1- フェニル-5- ピラゾロンなどの、5-ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4- ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェニルインダン-1,3- ジオンなど; 2,2- ジメチル-7-t- ブチル-6- ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメトキシ-3,5- ジカルボエトキシ-1,4- ジヒドロピリジンなどの1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール( 例えば、ビス(2- ヒドロキシ-3-t- ブチル-5- メチルフェニル) メタン、2,2-ビス(4- ヒドロキシ-3- メチルフェニル) プロパン、4,4-エチリデン- ビス(2-t- ブチル-6- メチルフェノール) 、1,1,- ビス(2- ヒドロキシ-3,5- ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5- ジメチル-4- ヒドロキシフェニル) プロパンなど) ;アスコルビン酸誘導体( 例えば、パルミチン酸1-アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど) ;ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3- ジオン;クロマノール( トコフェロールなど) などがある。特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0134】
画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1 モル当たりの0.1 〜50モル%の量含まれることが好ましく、0.5 〜20モル%含まれることがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化された、いわゆるプレカーサーであってもよい。
【0135】
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤が特開昭46-6077 号、同47-10282号、同49-5019 号、同49-5020 号、同49-91215号、同49-91215号、同50-2524 号、同50-32927号、同50-67132号、同50-67641号、同50-114217 号、同51-3223 号、同51-27923号、同52-14788号、同52-99813号、同53-1020 号、同53-76020号、同54-156524 号、同54-156525 号、同61-183642 号、特開平4-56848 号、特公昭49-10727号、同54-20333号、米国特許第3,080,254 号、同第3,446,648 号、同第3,782,941 号、同第4,123,282 号、同第4,510,236 号、英国特許第1380795 号、ベルギー特許第841910号などに開示されている。色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5- オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2- ピラゾリン-5- オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド( 例えば、N-ヒドロキシ-1,8- ナフタルイミド) ;コバルト錯体( 例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート) ;3-メルカプト-1,2,4- トリアゾール、2,4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェニル-1,2,4- トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,4- チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-( アミノメチル) アリールジカルボキシイミド、( 例えば、(N,N- ジメチルアミノメチル) フタルイミドおよびN,N-( ジメチルアミノメチル)-ナフタレン-2,3- ジカルボキシイミド) ;ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤( 例えば、N,N'-ヘキサメチレンビス(1- カルバモイル-3,5- ジメチルピラゾール) 、1,8-(3,6- ジアザオクタン) ビス( イソチウロニウムトリフルオロアセテート) および2-トリブロモメチルスルホニル)-( ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5[(3-エチル-2- ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチリデン]-2-チオ-2,4- オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1- ナフチル) フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4- フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体( 例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など) との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体もしくは金属塩、または4-(1- ナフチル) フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメトキシフタラジンおよび2,3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体;フタラジンとフタル酸誘導体( 例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など) との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III) 酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III) 酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4- ジオン、8- メチル-1,3- ベンズオキサジン-2,4- ジオンおよび6-ニトロ-1,3- ベンズオキサジン-2,4- ジオンなどのベンズオキサジン-2,4- ジオン;ピリミジンおよび不斉- トリアジン( 例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4- アミノピリミジンなど) 、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体( 例えば、3,6-ジメルカプト-1,4- ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a- テトラアザペンタレン、および1,4-ジ(o- クロロフェニル)-3,6-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a- テトラアザペンタレン) などがある。
【0137】
本発明における乳剤層のバインダーとしては、疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いる。ここでいう水系溶媒とは水または水に70wt% 以下の水混和性有機溶剤を混合したものである。水混和性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどを挙げることができる。具体的な溶媒組成としては、水/メチルアルコール=90/10または70/30または50/50、水/イソプロピルアルコール=90/10、水/ブチルセロソルブ=95/5、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メチルアルコール/ジメチルホルムアミド=90/5/5または80/15/5(以上重量比)などがある。
【0138】
また、ここでいう「分散」とはポリマーが溶媒に熱力学的に溶解しておらず、ラテックス、ミセル状態、分子分散状態で水系溶媒に分散している状態をいう。本発明のバインダーとしては、これらポリマーのうち「25℃60%RH における平衡含水率」が2wt%以下のものが特に好ましい。平衡含水率の下限には特に制限はないが、好ましくは0.01wt% であり、より好ましくは0.03wt% である。ここで「25℃60%RH における平衡含水率」とは25℃60%RH の雰囲気で調湿平衡にあるポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマーの重量W0を用いて次式のように表すことができる。
「25℃60%RH における平衡含水率」= {(W1-W0)/W0}×100 (wt%)
【0139】
本発明のポリマーは前述の水系溶媒に分散可能であれば特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ゴム系樹脂( 例えばSBR 樹脂、NBR 樹脂など) 、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などがある。ポリマーとしてはホモポリマー、2 種以上のモノマーが重合したコポリマーのいずれでも良い。ポリマーとしては直鎖状のものでも分枝状のものでも良い。さらに、ポリマー同士が架橋されているものでも良い。ポリマーの数平均分子量としては1,000 〜1,000,000 、好ましくは3,000 〜500,000 のものが望ましい。数平均分子量が1,000 未満のものは一般に塗布後の皮膜強度が小さく、感光材料のひび割れなどの不都合を生じる場合がある。このなかで、上記のSBR樹脂に包含されるものでもあるが、スチレン−ブタジエン共重合体も好ましい。
【0140】
本発明に用いられる「スチレン−ブタジエン共重合体」とは、分子鎖中にスチレンとブタジエンを含むポリマーである。スチレン−ブタジエンのモル比は99:1〜40:60が好ましい。
【0141】
本発明の「スチレン−ブタジエン共重合体」としては、これ以外にメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの酸、またはアクリロニトリル、ジビニルベンゼンなどのその他のビニルモノマーを共重合してもよい。スチレン−ブタジエンは50重量%以上存在することが好ましい。
【0142】
本発明で用いられる、スチレン−ブタジエン共重合体の分子量は数平均分子量が2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000の範囲が好ましい。
【0143】
本発明のスチレン−ブタジエン共重合体は、通常はランダム共重合体であるが、これらの共重合体は直鎖ポリマーでもよいし、枝分れしたものでも架橋したものでもよい。そして、通常、0.01〜1μm 程度の平均粒径の粒子として用いる。
【0144】
本発明のポリマーの具体例としては、アクリル樹脂ではセビアンA-4635、46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol LX811、814、820、821、857(以 上日本ゼオン(株)製)などがあり、ポリエステル樹脂としてはFINETEX ES650、611、679、675、525、801、850(以上大日本インキ化学(株)製)、Wdsize WMS(イーストマンケミカル製)などがある。また、ゴム系(SBR)樹脂ないしスチレン−ブタジエン共重合体の具体例としては、まず以下のようなものがある。
P−1 −St70−Bu30−のラテックス(Mn=30000 )
P−2 −St60−Bu37−MAA3−のラテックス(Mn=45000 )
P−3 −St50−Bu40−AN7−AA3−のラテックス(Mn=70000 )
P−4 −St70−Bu20−DVB5−MAA5−のラテックス(Mn=100000)
P−5 −St50−Bu30−AN15−IA5−のラテックス(Mn=60000)
【0145】
ここでの略号は以下に示すモノマーから誘導される構成単位を表し、数値は重量%であり、Mnは数平均分子量である。
St:スチレン,Bu:ブタジエン,MAA:メタクリル酸、
AN:アクリロニトリル,AA:アクリル酸、DVB:ジビニルベンゼン
IA:イタコン酸
【0146】
さらには、ラックスター3307B、DS-205、602、ラックスターDS203、7132C、DS807(以上大日本インキ化学(株)製)、ニッポール2507、Lx416、Lx433、Lx410、Lx430、Lx435(以上日本ゼオン(株)製)、DL−670、L−5702、1235(以上旭化成工業(株)などがある。
【0147】
本発明のバインダーはこれらのポリマーを単独で用いてもよく2種以上混合して用いてもよい。
【0148】
本発明において、好ましく用いられるスチレン−ブタジエン共重合体をバインダーとするときの塗布液は上記の溶媒を用い固形分濃度が0.5〜12wt% 、より好ましくは1〜8wt% の範囲とすることが好ましい。
【0149】
バインダーの使用量の効果的な範囲は、当業者が適切に決定することができる。少なくとも有機銀塩を保持する場合の目安として、バインダー対有機銀塩の割合は重量比で15:1〜1:3、特に8:1〜1:2の範囲が好ましい。
【0150】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤および/または有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038 号および同第2,694,716 号に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437 号および同第2,444,605 号に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663 号に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135 号に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652 号に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448 号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405 号に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839 号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263 号および同第2,597,915 号に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665 号および同第4,442,202 号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557 号および同第4,137,079 号、第4,138,365 号および同第4,459,350 号に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985 号に記載のリン化合物などがある。
【0151】
本発明に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50-119624 号、同50-120328 号、同51-121332 号、同54-58022号、同56-70543号、同56-99335号、同59-90842号、同61-129642 号、同62-129845 号、特開平6-208191号、同7-5621号、同7-2781号、同8-15809 号、米国特許第5340712 号、同第5369000 号、同第5464737 号に開示されているような化合物が挙げられる。
【0152】
本発明を実施するために必要ではないが、乳剤層にカブリ防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましくは1nモル〜1mモル、さらに好ましくは10n モル〜100 μモルの範囲である。
【0153】
本発明における熱現像感光材料は高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。本発明の安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,939 号、同第4,152,160 号、特願平8-151242号、同8-151241号、同8-98051 号などに記載の化合物が挙げられる。本発明の安息香酸類は感光材料のいかなる部位に添加しても良いが、添加層としては感光層を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。本発明の安息香酸類の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でも良いが、有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。本発明の安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。本発明の安息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1 モル当たり1 μモル以上2 モル以下が好ましく、1mモル以上0.5 モル以下がさらに好ましい。
【0154】
本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。
【0155】
本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar-SM 、Ar-S-S-Ar で表されるものが好ましい。式中、M は水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムもしくはテルリウム原子を有する芳香環基または縮合芳香環基である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン( 例えば、BrおよびCl) 、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル( 例えば、1 個以上の炭素原子、好ましくは1 〜4 個の炭素原子を有するもの) およびアルコキシ( 例えば、1 個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの) からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5- メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2- メルカプトベンゾチアゾール、2,2'- ジチオビス-ベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2,4- トリアゾール、4,5-ジフェニル-2- イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダゾール、1-エチル-2- メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカプト-4(3H)- キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4- キノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4- ピリジンチオール、4-アミノ-6- ヒドロキシ-2- メルカプトピリミジンモノヒドレート、2-アミノ-5- メルカプト-1,3,4- チアジアゾール、3-アミノ-5- メルカプト-1,2,4- トリアゾール、4-ヒドキロシ-2- メルカプトピリミジン、2-メルカプトピリミジン、4,6-ジアミノ-2- メルカプトピリミジン、2-メルカプト-4- メチルピリミジンヒドロクロリド、3-メルカプト-5- フェニル-1,2,4- トリアゾール、2-メルカプト-4- フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0156】
これらのメルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1 モル当たり0.001 〜1.0 モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1 モル当たり0.01〜0.3 モルの量である。
【0157】
本発明における感光層には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール( 例えば、米国特許第2,960,404 号に記載された種類のグリセリンおよびジオール) 、米国特許第2,588,765 号および同第3,121,060 号に記載の脂肪酸またはエステル、英国特許第955,061 号に記載のシリコーン樹脂などを用いることができる。
【0158】
本発明にはヒドラジン誘導体を使用しても良い。本発明にヒドラジン誘導体を使用する場合は、特願平6-47961 号に記載の一般式(I) の化合物が用いられる。具体的には、同明細書に記載のI-1 〜I-53で表される化合物が用いられる。
【0159】
また下記のヒドラジン誘導体も好ましく用いられる。
【0160】
特公平6-77138 号に記載の( 化1)で表される化合物で、具体的には同公報3 頁、4 頁に記載の化合物。特公平6-93082 号に記載の一般式(I) で表される化合物で、 具体的には同公報8 頁〜18頁に記載の1 〜38の化合物。特開平6-230497号に記載の一般式(4)、一般式(5) および一般式(6) で表される化合物で、 具体的には同公報25頁、26 頁に記載の化合物4-1 〜化合物4-10、28 頁〜36頁に記載の化合物5-1 〜5-42、 および39頁、40 頁に記載の化合物6-1 〜化合物6-7。特開平6-289520号に記載の一般式(1) および一般式(2) で表される化合物で、 具体的には同公報5 頁〜7 頁に記載の化合物1-1)〜1-17) および2-1) 。特開平6-313936号に記載の( 化2)および( 化3)で表される化合物で、具体的には同公報6 頁〜19頁に記載の化合物。特開平6-313951号に記載の( 化1)で表される化合物で、具体的には同公報3 頁〜5 頁に記載の化合物。特開平7-5610号に記載の一般式(I) で表される化合物で、具体的には同公報5 頁〜10頁に記載の化合物I-1 〜I-38。特開平7-77783 号に記載の一般式(II)で表される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号に記載の一般式(H) および一般式(Ha)で表される化合物で、具体的には同公報8 頁〜15頁に記載の化合物H-1 〜H-44。 特願平7ー191007号に記載のヒドラジン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有することを特徴とする化合物で、特に一般式(A) 、一般式(B) 、一般式(C) 、一般式(D) 、一般式(E) 、一般式(F) で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物N-1 〜N-30。特願平7ー191007号に記載の一般式(1) で表される化合物で、具体的には同明細書に記載の化合物D-1 〜D-55。
【0161】
本発明にヒドラジン系造核剤を使用する場合は、適当な水混和性有機溶媒、例えばアルコール類( メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール) 、ケトン類( アセトン、メチルエチルケトン) 、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどに溶解して用いることができる。
【0162】
また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。
【0163】
本発明にヒドラジン系造核剤を使用する場合は、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層(感光層)側の層、すなわちハロゲン化銀乳剤層あるいは他の親水性コロイド層のどの層に添加してもよいが、ハロゲン化銀乳剤層あるいはそれに隣接する親水性コロイド層に添加することが好ましい。
【0164】
本発明の造核剤添加量はハロゲン化銀1 モルに対し1 μモル〜10m モルが好ましく、10μモル〜5mモルがより好ましく、20μモル〜5mモルが最も好ましい。
【0165】
本発明における感光材料は画像形成層の付着防止などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保護層としては、いかなる付着防止材料を使用してもよい。付着防止材料の例としては、ワックス、シリカ粒子、スチレン含有エラストマー性ブロックコポリマー( 例えば、スチレン- ブタジエン- スチレン、スチレン- イソプレン- スチレン) 、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネートやこれらの混合物などがある。
【0166】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、米国特許第3,253,921 号、同第2,274,782 号、同第2,527,583 号および同第2,956,879 号に記載されているような光吸収物質およびフィルター染料を使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,699 号に記載のように染料を媒染することができる。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光度が0.1 〜3 が好ましく、0.2 〜1.5 が特に好ましい。
【0167】
本発明における乳剤層もしくは乳剤層の保護層には、艶消剤、例えばデンプン、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、米国特許第2,992,101 号および同第2,701,245 号に記載された種類のビーズを含むポリマービーズなどを含有することができる。また、乳剤面のマット度は星屑故障が生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が200 秒以上10000 秒以下がが好ましく、特に300 秒以上10000 秒以下が好ましい。
【0168】
本発明の熱現像感光材料は、支持体上に一またはそれ以上の層で構成される。一層の構成は有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、銀イオン用還元剤である現像剤およびバインダー、ならびに色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの所望による追加の材料を含まなければならない。二層の構成は、第1 乳剤層( 通常は支持体に隣接した層) 中に有機銀塩およびハロゲン化銀を含み、第2 層または両層中にいくつかの他の成分を含まなければならない。しかし、全ての成分を含む単一乳剤層および保護トップコートを含んでなる二層の構成も考えられる。多色感光性熱現像写真材料の構成は、各色についてこれらの二層の組合せを含んでよく、また、米国特許第4,708,928 号に記載されているように単一層内に全ての成分を含んでいてもよい。多染料多色感光性熱現像写真材料の場合、各乳剤層は、一般に、米国特許第4,460,681 号に記載されているように、各感光層の間に官能性もしくは非官能性のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて保持される。
【0169】
本発明における熱現像感光材料は、支持体の一方の側に少なくとも1 層のハロゲン化銀乳剤を含む感光層(乳剤層)を有し、他方の側にバック層(バッキング層)を有する、いわゆる片面感光材料である。
【0170】
本発明において片面感光材料は、搬送性改良のためにマット剤を添加しても良い。マット剤は、一般に水に不溶性の有機または無機化合物の微粒子である。マット剤としては任意のものを使用でき、例えば米国特許第1,939,213 号、同第2,701,245 号、同第2,322,037 号、同第3,262,782 号、同第3,539,344 号、同第3,767,448 号等の各明細書に記載の有機マット剤、同第1,260,772 号、同第2,192,241 号、同第3,257,206 号、同第3,370,951 号、同第3,523,022 号、同第3,769,020 号等の各明細書に記載の無機マット剤など当業界で良く知られたものを用いることができる。例えば具体的にはマット剤として用いることのできる有機化合物の例としては、水分散性ビニル重合体の例としてポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル- α- メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン- ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、セルロース誘導体の例としてはメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなど、澱粉誘導体の例としてカルボキシ澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素- ホルムアルデヒド- 澱粉反応物など、公知の硬化剤で硬化したゼラチンおよびコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とした硬化ゼラチンなど好ましく用いることができる。無機化合物の例としては二酸化珪素、二酸化チタン、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土などを好ましく用いることができる。上記のマット剤は必要に応じて異なる種類の物質を混合して用いることができる。マット剤の大きさ、形状に特に限定はなく、任意の粒径のものを用いることができる。本発明の実施に際しては0.1 μm 〜30μm の粒径のものを用いるのが好ましい。また、マット剤の粒径分布は狭くても広くても良い。一方、マット剤は感光材料のヘイズ、表面光沢に大きく影響することから、マット剤作製時あるいは複数のマット剤の混合により、粒径、形状および粒径分布を必要に応じた状態にすることが好ましい。
【0171】
本発明においてバック層のマット度としてはベック平滑度が250 秒以下10秒以上が好ましく、さらに好ましくは180 秒以下50秒以上である。
【0172】
本発明において、マット剤は感光材料の最外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるいは外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含有されることが好ましい。
【0173】
本発明においてバック層の好適なバインダーは透明または半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば:ゼラチン、アラビアゴム、ポリ( ビニルアルコール) 、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ( ビニルピロリドン) 、カゼイン、デンプン、ポリ( アクリル酸) 、ポリ( メチルメタクリル酸) 、ポリ( 塩化ビニル) 、ポリ( メタクリル酸) 、コポリ( スチレン- 無水マレイン酸) 、コポリ( スチレン- アクリロニトリル) 、コポリ( スチレン- ブタジエン) 、ポリ( ビニルアセタール) 類( 例えば、ポリ( ビニルホルマール) およびポリ( ビニルブチラール))、ポリ( エステル) 類、ポリ( ウレタン) 類、フェノキシ樹脂、ポリ( 塩化ビニリデン) 、ポリ( エポキシド) 類、ポリ( カーボネート) 類、ポリ( ビニルアセテート) 、セルロースエステル類、ポリ( アミド) 類がある。バインダーは水または有機溶媒またはエマルジョンから被覆形成してもよい。
【0174】
米国特許第4,460,681 号および同第4,374,921 号に示されるような裏面抵抗性加熱層(backside resistive heating layer)を本発明のような感光性熱現像写真画像系に使用することもできる。
【0175】
本発明の感光層、保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いても良い。硬膜剤の例としては、米国特許第4,281,060 号、特開平6-208193号などに記載されているポリイソシアネート類、米国特許第4,791,042 号などに記載されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用いられる。
【0176】
本発明には塗布性、帯電改良などを目的として界面活性剤を用いても良い。界面活性剤の例としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系などいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭62-170950 号、米国特許第5,380,644 号などに記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945 号、特開昭63-188135 号などに記載のフッ素系界面活性剤、米国特許第3,885,965 号などに記載のポリシロキ酸系界面活性剤、特開平6-301140号などに記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0177】
本発明に用いられる溶剤の例としては新版溶剤ポケットブック( オーム社、1994年刊) などに挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明で使用する溶剤の沸点としては40℃以上180 ℃以下のものが好ましい。
【0178】
本発明の溶剤の例としてはヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、1,1,1-トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、トリエチルアミン、チオフェン、トリフルオロエタノール、パーフルオロペンタン、キシレン、n-ブタノール、フェノール、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、クロロベンゼン、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、モルホリン、プロパンスルトン、パーフルオロトリブチルアミン、水などが挙げられる。
【0179】
本発明における熱現像用写真乳剤は、種々の支持体上に被覆させることができる。典型的な支持体は、ポリエステルフィルム、下塗りポリエステルフィルム、ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、硝酸セルロースフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリ(ビニルアセタール)フィルム、ポリカーボネートフィルムおよび関連するまたは樹脂状の材料、ならびにガラス、紙、金属などを含む。可撓性基材、特に、部分的にアセチル化された、もしくはバライタおよび/またはα- オレフィンポリマー、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテンコポリマーなどの炭素数2 〜10のα- オレフィンのポリマーによりコートされた紙支持体が、典型的に用いられる。支持体は透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。
【0180】
本発明における感光材料は、帯電防止または導電性層、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など) 、蒸着金属層、米国特許第2,861,056 号および同第3,206,312 号に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3,428,451 号に記載のような不溶性無機塩などを含む層などを有してもよい。
【0181】
本発明における熱現像感光材料を用いてカラー画像を得る方法としては特開平7-13295 号10頁左欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889 号、米国特許第3,432,300 号、同第3,698,909 号、同第3,574,627 号、同第3,573,050 号、同第3,764,337 号および同第4,042,394 号に例示されている。
【0182】
本発明における熱現像写真乳剤は、米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095 号に記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆する。
【0183】
本発明における熱現像感光材料の中に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護トップコート層および光熱写真技術において既知のプライマー層などを含むことができる。本発明の感光材料はその感材一枚のみで画像形成できることが好ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の感材とならないことが好ましい。
【0184】
本発明の感光材料はいかなる方法で現像されても良いが、通常イメージワイズに露光した感光材料を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80〜250 ℃であり、さらに好ましくは100 〜140 ℃である。現像時間としては1 〜180 秒が好ましく、5〜30秒がさらに好ましい。
【0185】
本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良いが、露光光源としてレーザー光が好ましい。本発明によるレーザー光としては、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなどが好ましい。また、半導体レーザーやYAG レーザーと第2高調波発生素子などを用いることもできる。
【0186】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0187】
実施例1
(ハロゲン化銀粒子Aの調製)
水700ml にフタル化ゼラチン24g および臭化カリウム30mgを溶解して温度40℃にてpHを5.0 に合わせた後、硝酸銀18.6g を含む水溶液159ml と臭化カリウム水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。ついで硝酸銀55.4gを含む水溶液476ml と六塩化イリジウム酸二カリウムを8μモル/リットルと臭化カリウムを1モル/リットルで含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で30分間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させ脱塩処理をし、フェノキシエタノール0.3gを加え、 pH5.9、 pAg8.0 に調整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.07μm、投影面積直径の変動係数8%、(100) 面比率86%の立方体粒子であった。
【0188】
調製したハロゲン化銀粒子Aに対し温度60℃に昇温して、銀1モル当たりチオ硫酸ナトリウム85μモルと2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルジフェニルスルフィンセレニドを11μモル、2μモルの下記テルル化合物1、塩化金酸3.3μモル、チオシアン酸230μモルを添加し、120分間熟成した。その後温度を50℃に変更して下記増感色素Aをハロゲン化銀に対して5×10-4モル、下記増感色素Bを2×10-4モル攪拌しながら添加した。さらに、沃化カリウムを銀に対して3.5モル%添加して30分攪拌し、30℃に急冷してハロゲン化銀粒子Aの調製を終了した。
【0189】
上記において用いた化合物の構造式は以下に示すとおりである。
【0190】
【化31】
【0191】
【化32】
【0192】
(有機酸銀微結晶分散物−Aの調製)
ベヘン酸40g、ステアリン酸7.3 g、水500ml を温度90℃で15分間攪拌し、1NのNaOH187ml を30分間かけて添加し、1Nの硝酸水溶液61mlを添加して50℃に降温した。次に1N硝酸銀水溶液124ml を2分間かけて添加し、そのまま30分間攪拌した。その後、遠心濾過で固形分を濾別し、濾水の伝導度30μS/cmになるまで固形分を水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、乾燥固形分34.8g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール12gおよび水150ml を添加し、良く混合してスラリーとした。平均直径0.5mm のジルコニアビーズ840 gを用意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて5時間分散し、体積加重平均直径1.5μm の有機酸銀微結晶分散物の調製を終了した。粒子サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。
【0193】
(素材固体微粒子分散物の調製)
テトラクロロフタル酸、4−メチルフタル酸、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン、フタラジン、トリブロモメチルフェニルスルホンについて固体微粒子分散物を調製した。テトラクロロフタル酸に対し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.81gと水94.2mlとを添加して良く攪拌してスラリーとして10時間放置した。その後、平均直径0.5 mmのジルコニア製ビーズを100ml 用意し、スラリーと一緒にベッセルに入れ、有機酸銀微結晶分散物の調製に用いたものと同じ分散機で5時間分散してテトラクロロフタル酸の固体微粒子分散液を得た。粒子径は70wt% が1.0 μm以下であった。その他の素材については適宜分散剤の使用量、および所望の平均粒子径を得るために分散時間を変更し、それぞれの素材について固体微粒子分散液を得た。
【0194】
(乳剤層塗布液−1の調製)
先に調製した有機酸銀微結晶分散物−A(銀1モル相当)に対し、ハロゲン化銀粒子Aをハロゲン化銀10モル%/有機酸銀相当と、以下のバインダーおよび素材を添加して乳剤塗布液−1とした。
バインダー:
ラックスター(LACSTAR) 3307B (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックス 430 g
素材:
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 98 g
トリブロモメチルフェニルスルホン 12 g
染料または顔料 表1に記載
【0195】
(中間層塗布液の調製)
下記の組成で中間層塗布液を調製した。
バインダー:
ラックスター3307B: 215g
素材:
テトラクロロフタル酸 10g
フタラジン 18.4g
4−メチルフタル酸 14g
【0196】
上記において用いたラックスター3307Bは、スチレン−ブタジエン系コポリマーのポリマーラテックスであり、分散粒子の平均粒径は、0.1〜0.15μm 程度である。
【0197】
(乳剤面保護層塗布液の調製)
イナートゼラチン10gに対し、下記界面活性剤Aを0.26g 、下記の界面活性剤Bを0.09g 、シリカ微粒子(平均粒径2.5 μm)0.9 g、1,2−(ビスビニルスルホニルアセトアミド)エタン0.3 g、水64gを添加して表面保護層塗布液とした。
【0198】
【化33】
【0199】
(発色剤分散物の調製)
酢酸エチル35gに対し、下記化合物1、2をそれぞれ2.5g,7.5g添加して攪拌して溶解した。その液に予め溶解したポリビニルアルコール10重量%溶液を50g添加し、5分間ホモジナイザーで攪拌した。その後、酢酸エチルを脱溶媒で揮発させ、最後に水で希釈し、発色剤分散物を調製した。
【0200】
【化34】
【0201】
(消色型アンチハレーション層塗布液の調製)
ポリビニルアルコール30gに対し、先に調製した発色剤分散物50g、下記化合物20g、水250gおよびシルデックスH121(洞海化学社製真球シリカ、平均サイズ12μm)1.8gを添加して消色型アンチハレーション層塗布液とした。
【0202】
【化35】
【0203】
青色染料で色味付けした160μm のポリエチレンテレタレート支持体上に乳剤層塗布液−1をバインダーとして15g/m2、中間層塗布液をバインダーとして4g/m2、乳剤面保護層塗布液をゼラチンとして1.8g/m2となるように同時重層塗布した。
【0204】
乾燥後、乳剤層と反対の面上に消色型アンチハレーション層塗布液を660nmの光学濃度0.7となるように塗布し、写真感光材料の試料を作成した。
【0205】
このような試料に対し、以下のような測定および評価を行った。
【0206】
吸光度の測定
分光光度計(U−3410:日立製)のセル設置位置に感光材料をバック面を脱膜後、感光性乳剤面を光源側に向けて(入射光に対して垂直に)おき、支持体をリファレンスとして差し引いて露光波長810nmにおける吸光度を測定した。感光材料を透過した光は約12cm先に設置した積分球(開口面積20mm×15mm)に捕らえられ光電子増倍管に集光された。また、上記の消色型アンチハレーション層の吸光度も上記に準じて測定した。
【0207】
干渉縞の評価
上記で作成した写真感光材料を波長660nmの半導体レーザーを露光源とした露光装置によりレーザー走査による露光を乳剤面側より感材に一様に与え、感材全体にカブリを引いた光学濃度値約1.0である均一画像を形成した。この際に、感光材料の露光面と露光レーザー光の角度を変化させて画像を作り、その画像における干渉縞の有無を比較した。
【0208】
干渉縞の評価は以下の通りである。
干渉縞評価
○ 干渉縞が見えない。
△ 干渉縞見えるが非常に弱い(実用上問題なし)。
× 干渉縞が見える。実用上問題あり。
【0209】
なお、それぞれの感光材料の露光後の処理はヒートドラムを用いて125℃で10秒間の条件(125℃×10秒)の熱現像を行った。
【0210】
鮮鋭度(MTF)の測定
波長660nmの半導体レーザーを用いてMTFチャートを露光し125℃×10秒の熱現像をした後、MTFを測定した。30μm ×500μm のアパーチュアで測定し、空間周波数が5サイクル/mmのMTF値を用いて光学濃度が1.0の部分にて評価した。
この値は大きいほど良く、0.7以上を良好とする。
【0211】
結果を表1に示す。
【0212】
【表1】
【0213】
表1からわかるように本発明の態様は干渉縞の防止と鮮鋭度が両立する優れたものである。なお、熱現像処理後のアンチハレーション層の590〜750nmの波長域での極大吸収の吸光度は0.00であった。
【0214】
【発明の効果】
本発明によれば、鮮鋭度を損なうことなく、干渉縞の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的なレーザー走査露光方法を模式的に表わした説明図である。
【図2】レーザー走査露光方法におけるレーザービームと露光される感光材料との角度を模式的に表わした説明図である。
【図3】走査露光方法における1つの典型を模式的に表わした説明図である。
【符号の説明】
1:レーザー光源
2:レーザービーム
3:変調器
4:変調器駆動回路
5:画像信号出力装置
6:ビームエキスパンダ
7:シリンドリカルレンズ
8:回転多面鏡
9:fθレンズ
10:シリンドリカルミラー
11:写真感光材料
矢印A:主走査方向
矢印B:副走査方向
Claims (7)
- 支持体上にバインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ有し、かつ、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いられるレーザー露光用熱現像感光材料において、前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもち、さらに、前記感光性乳剤層と該感光性乳剤層の保護層は、同時塗布されてなる、熱現像感光材料。
- 感光材料の露光面とレーザー光のなす角度が常に垂直から3度以上45度以下ずれているように用いられる請求項1の熱現像感光材料。
- 支持体の厚さが50μm以上である請求項1または2の熱現像感光材料。
- 感光性乳剤層の吸光度が、露光に用いるレーザー光の波長での値で0.3以上である請求項1〜3のいずれかの熱現像感光材料。
- 支持体の感光性乳剤層の塗設層側の面と反対側に消色可能なアンチハレーション層を有する請求項1〜4のいずれかの熱現像感光材料。
- 支持体上にバインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ有し、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いられ、かつ前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもつレーザー露光用熱現像感光材料の製造方法において、前記感光性乳剤層と該感光性乳剤層の保護層を同時塗布する工程を含む、熱現像感光材料の製造方法。
- バインダーとして疎水性ポリマーが水系溶媒に分散したものを用いた感光性乳剤層と、バインダーとしてゼラチンを用いた前記感光性乳剤層の保護層を少なくとも1層ずつ同時塗布してなり、かつ、露光用レーザー光と感光材料の露光面のなす角度が実質的に垂直になることがない露光に用いる熱現像感光材料によって得られる画像の鮮鋭度の改善方法であって、前記感光性乳剤層の少なくとも1層が前記レーザー光の露光波長にて0.2以上の吸光度をもつようにすることを特徴とする熱現像感光材料によって得られる画像の鮮鋭度の改善方法。
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