JP3698504B2 - モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸を回転自在に支持する筒状軸受を備えたモータ、特に、その筒状軸受とそれを保持する軸受保持体の構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図8は、従来のモータの一例として、CD−ROM駆動装置に用いられるディスク駆動用モータを示す。
【0003】
このモータにおいては、略円筒状の軸受ホルダaの内側に円筒状軸受bが圧入により嵌合されてしまりばめ状態で保持され、この円筒状軸受bの内側に回転軸cが回転自在に支持されている。円筒状軸受bの内径は、上下端部がそれらの中間部よりも小径となっており、これらの小径部が軸支持部dとして回転軸cを支持している。
【0004】
しかしながら、このような従来のモータにおいては、円筒状軸受bの全長にわたりその円筒状軸受bをしまりばめ状態で内嵌保持する軸受ホルダaの径方向の厚さが、円筒状軸受bの軸心方向位置によって異なるため、一定外径の円筒状軸受bに加わる応力が軸心方向位置によってばらつき、上下の軸支持部dの内径に実質的な誤差が生じていた。そのため、回転軸cの軸心線がぶれて所謂すりごき回転となってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、従来技術に存した上記のような問題点に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、軸受保持体の径方向厚さが軸心方向に変化すること等の筒状軸受の外方の構造の影響により、筒状軸受内周に設けられた軸支持部の内径にくるいが生ずることが防がれるモータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のモータは、
回転軸と、その回転軸を回転自在に支持する筒状軸受と、その筒状軸受の外周側に嵌合してその筒状軸受を保持する軸受保持体を有してなるモータであって、
前記筒状軸受の内周面のうち軸心方向における1又は2以上の部分に、径方向内方に凸に形成された軸支持部を有し、
前記筒状軸受の外周面のうち前記軸支持部の径方向外方に位置する軸支持部外周面は、何れも軸受保持体の内周面に接触せず、
前記筒状軸受の外周面のうち軸支持部外周面以外の部分である非軸支持部外周面の少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接していることを特徴とする。

【0007】
筒状軸受の外周面のうちしまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接しているのは、非軸支持部外周面の少なくとも一部であり、筒状軸受の外周面のうち軸支持部の径方向外方に位置する軸支持部外周面は軸受保持体の内周面に接触していないので、筒状軸受が軸受保持体内にしまりばめ状態で嵌合保持されることにより軸支持部の内径寸法にくるいが生ずることが回避され得る。
軸受保持体の径方向厚さが軸心方向位置に応じて変化すること等の筒状軸受の外方の構造の影響により、筒状軸受内周に設けられた軸支持部の内径にくるいが生ずることが防がれる。
【0008】
上記モータは、
上記筒状軸受が上記軸受保持体内に少なくとも何れか一方から同軸状に圧入される際に、上記軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触しないよう構成することが望ましい。但し、このモータは、筒状軸受を軸受保持体内に両方から圧入することが可能な構造のものに限るものではない。
【0009】
軸受保持体内へ筒状軸受を圧入してモータを組み立てる場合に、圧入中に軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触することにより、その軸支持部外周面からその内周側の軸支持部にかけて応力が発生すると、それによる歪みが、圧入完了により軸支持部外周面と軸受保持体の内周面との接触が解除されても残留することがある。
【0010】
圧入される際に軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触しないよう構成されていれば、圧入完了後にこのような歪みが残留して筒状軸受内周に設けられた軸支持部の内径にくるいが生ずることが防がれる。
【0011】
このモータは、
上記筒状軸受が含油軸受であるものとすることができる。
【0012】
含油軸受を軸受保持体内に焼きばめにより嵌合させると、加熱された軸受保持体からの熱により含油軸受の潤滑特性や寸法精度に悪影響を及ぼすおそれがあるが、圧入による嵌合により、含油軸受にそのような悪影響を及ぼすことなく軸支持部の内径にくるいが生ずることを防ぐことができる。
【0013】
上記モータは、
軸支持部及びそれに対応する軸支持部外周面を軸心方向間隔を隔てて2箇所にそれぞれ有し、
一方の軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面、及び他方の軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置し、
両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面の少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接し、
前記他方の軸支持部外周面が、軸受保持体における相対する内周面よりも径方向内方に位置するものとすることができる。
【0014】
筒状軸受を軸受保持体内に圧入する場合に、筒状軸受については上記一方の軸支持部外周面の側の端部から、軸受保持体については、圧入後において他方の軸支持部外周面に相対する内周面を有する側の端部から圧入を開始すると、前記一方の軸支持部外周面が、前記他方の軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面、及び両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れにも接触しない状態で圧入を進め、両軸支持部外周面がそれぞれ相対する軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を完了することができる。但しこの場合、筒状軸受および/または軸受保持体において圧入を開始する端部を変えた場合に両軸支持部外周面が何れも軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができるモータを排除するものではない。
【0015】
また、このモータは、
両軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の径方向位置が相等しいものとすることができる。
【0016】
両軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の径方向位置が相等しければ、筒状軸受の軸心方向両外側においてそれぞれ軸受保持体の内周面に部品を嵌合させる場合に、両部品を共通化することができる。
【0017】
また、上記モータは、
上記他方の軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面、及び上記一方の軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置するものとすることができる。
【0018】
この場合、筒状軸受において圧入を開始する端部を変えた場合にも、両軸支持部外周面が何れも軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができる。
【0019】
また、上記モータは、
軸支持部を1箇所に有し、
筒状軸受の外周面のうち前記軸支持部の径方向外方に位置する軸支持部外周面の軸心方向両側に非軸支持部外周面を有し、
両非軸支持部外周面のそれぞれ少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接し、
軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、及び少なくとも一方の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置するものとすることができる。
【0020】
筒状軸受を軸受保持体内に圧入する場合に、軸受保持体については、非軸支持部外周面に相対する内周面が、軸支持部外周面よりも径方向外方に位置する側の端部から圧入を開始すると、軸受保持体のその内周面に軸支持部外周面が接触しない状態で圧入を進め、軸支持部外周面が相対する軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を完了することができる。但しこの場合、軸受保持体において圧入を開始する端部を変えた場合に軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができるモータを排除するものではない。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図7を参照しつつ説明する。
【0022】
図1乃至図7は、それぞれ、本発明の実施の形態の一例としての、CD−ROM駆動装置に用いられるディスク駆動用モータに関する。
【0023】
図1のモータにおける筒状軸受10は、焼結金属製の略円筒形状の含油軸受である。この含油軸受としては、焼結金属製のものを使用することができる。勿論、含油軸受以外であっても適用可能である。筒状軸受の内周形状は、この例のような円形状に限られるものではなく、楕円形状、正三角形の各辺が外に凸に湾曲してなる3円弧形状、及び6角形状等から適宜選択することができる。
【0024】
筒状軸受10の内周面の上下両端部に、径方向内方に凸に形成された上軸支持部10a及び下軸支持部10bを有する。なお、このような軸支持部を3以上の部分に設けることもできる。筒状軸受10の外周面は、下軸支持部10bの径方向外方に位置する下軸支持部外周面10dがやや小径に形成されている。筒状軸受10のそれ以外の外周面、すなわち上軸支持部10aの径方向外方に位置する上軸支持部外周面10c、及び上下軸支持部外周面10c・10dの間の部分である非軸支持部外周面10eは、一定径をなす。
【0025】
軸受保持体12は、筒状軸受10よりも軸心方向長さが長い略円筒形状をなし、例えば真鍮により形成し得る。軸受保持体12の内径は、上端部12aの内周面がやや大径に形成され、スラスト軸受として2層構造のスラスト円板14及びこれを固定するためのCリング16が上下に内嵌固定される下端部12cが更に大径に形成されており、両者の中間部12bは一定径をなす。この上端部12aの内径は上軸支持部外周面10cの径よりもやや大きく、下軸支持部外周面10dの径は、中間部12bの内径よりもやや小さい。
【0026】
軸受保持体12のほぼ下半部は、外径が拡径されることにより径方向の厚さが上方部よりも2倍以上厚く形成されている。軸受保持体12の外径は、詳しくは、上端から下方に向かって漸次拡径し、その下方の一定外径の部分にステータコア18が外嵌固定され、ステータコア18の内周下端部を支持する部分がやや拡径され、更にその下方において二段に拡径され、その一段目の拡径部分に回路基板20が外嵌固定されている。ステータコア18にはステータコイル22が巻回され、回路基板20上にはロータマグネット24の磁極を検出するためのホール素子26等が設けられている。
【0027】
このモータの組み立てにおいては、軸受保持体12については上端部12aから、筒状軸受10については下端部から圧入を開始する。すなわち、軸受保持体12内に筒状軸受10を下向きに同軸状に圧入し、筒状軸受10の上端面が軸受保持体12の上端よりもやや下方に位置する状態で圧入を完了する。
【0028】
筒状軸受10の下端部外周面を構成する下軸支持部外周面10dは、その径が、軸受保持体12の上端部12aの内径よりも小さいので、圧入開始が容易であり、而も、下軸支持部外周面10dの径は中間部12bの内径よりもやや小さいので、圧入中に軸受保持体12の内周面に接触することが避けられ、圧入完了状態においては、径方向間隙を隔てて軸受保持体12の中間部12bに相対する。
【0029】
筒状軸受10の非軸支持部外周面10eは、圧入により軸受保持体12の中間部12bの内周側にしまりばめ状態で保持される。
【0030】
筒状軸受10の上軸支持部外周面10cは、その径が軸受保持体12の上端部12aの内径よりも小さいので、圧入中に軸受保持体12の内周面に接触することが避けられ、圧入完了状態においては、径方向間隙を隔てて軸受保持体12の上端部12aに相対する。
【0031】
軸受保持体12の内周における筒状軸受10の上下には、潤滑油漏洩防止のための環状平板状のキャップ28・30が軽圧入され、各キャップ28・30の筒状軸受10側の面は、潤滑油の介在により筒状軸受10の上下端面に付着している。
【0032】
筒状軸受10の内周孔には回転軸32が挿通され、回転軸32が筒状軸受10によって回転自在に径方向に支持されている。回転軸32の下端面32aは軸心線を中心とする凸曲面をなし、潤滑油の存在下、スラスト円板14上に回転自在に軸心方向に支持されている。また、回転軸32の下端部に外嵌されているのは、抜止用リング34である。
【0033】
回転軸32の上端部12aには、略円板状のターンテーブル36が外嵌固定されている。ターンテーブル36の内方部には、上方開口の環状溝36aが形成され、その環状溝36a内に、ディスククランプ用マグネット38及びバックヨーク40が固定されている。ターンテーブル36の外方部の上面には、ディスクを安定支持させるために、ゴム部材42が固定されている。また、ターンテーブル36の下面側にはロータヨーク44が固定され、そのロータヨーク44の外周部に円筒状のロータマグネット24が内嵌固定され、ステータコア18と径方向に相対している。
【0034】
このモータにおいては、上記のように、圧入の際に上下軸支持部外周面10c・10dが軸受保持体12の内周面に接触しないので、接触による歪みの残留及びそれによる上下軸支持部10a・10b内径におけるくるいの発生が防がれる。また、上下軸支持部外周面10c・10dはモータ完成状態において軸受保持体12の内周面に接触していないので、筒状軸受10が軸受保持体12内にしまりばめ状態で保持されることにより上下軸支持部10a・10bの内径寸法にくるいが生ずることが回避され、筒状軸受10の外周側に位置する軸受保持体12の径方向厚さが軸心方向位置に応じて変化していることや、その軸受保持体12における上下中間位置にステータコア18が外嵌固定されていることによる影響を実質上排除して、良好な回転精度を実現することができる。
【0035】
図2乃至図7には、各モータの要部断面図を示す。これらのモータの構造は、筒状軸受10、及び軸受保持体12の内周部を除くほか、図1のモータとほとんど同様である。図2乃至図5のモータにおける筒状軸受10は含油軸受であり、図6及び図7のモータにおける筒状軸受10は流体潤滑軸受である。
【0036】
また、図2乃至図4及び図6のモータにおける筒状軸受10は、図1のモータと同様に、内周面の上下両端部に、径方向内方に凸に形成された上軸支持部10a及び下軸支持部10bを有する。図5及び図7のモータにおける筒状軸受10は、内周面の上下中間部の1箇所に、径方向内方に凸に形成された軸支持部10fを有する。
【0037】
図2のモータにおいては、筒状軸受10の外周面及び軸受保持体12の内周面の径が、図1と上下逆に形成されている。すなわち、筒状軸受10の外周面は、上軸支持部10aの径方向外方に位置する上軸支持部外周面10cがやや小径に形成され、下軸支持部外周面10d、及びそれらのの間の部分である非軸支持部外周面10eは、一定径をなす。軸受保持体12の内径は、上部12dが一定径をなし、下部12eの内周面がやや大径に形成されており、下部12eの内径は下軸支持部外周面10dの径よりもやや大きく、上軸支持部外周面10cの径は、上部12dの内径よりもやや小さい。
【0038】
従って、このモータの組み立ては軸受保持体12については下端部から、筒状軸受10については上端部12aから、すなわち軸受保持体12内に筒状軸受10を上向きに同軸状に圧入することにより、図1の例と同様の良好な回転精度実現の効果が得られ、圧入開始も容易である。
【0039】
図3のモータにおいては、軸受保持体12の中間部下方12b1の内径が、上端部12aの内径と同一に形成されているため、上下のキャップ28・30を共通化してコストダウンを図ることができる。その他の点は図1のモータと全く同様である。なお、上下のキャップ28・30を共通化できる点は、図4乃至図7のモータにおいても同様である。
【0040】
図4のモータの筒状軸受10における上下軸支持部外周面10c・10dは、その間の部分である非軸支持部外周面10eよりもやや小径に形成されている。勿論、上下軸支持部外周面10c・10dの径を相等しくすることもできる。軸受保持体12の内径は、スラスト軸受として2層構造のスラスト円板14及びこれを固定するためのCリング16が内嵌固定される大径の下端部12cを除き一定に形成されている。
【0041】
このモータの組み立てにおいては、軸受保持体12に対する筒状軸受10の圧入の向きが問われない。何れの向きであっても、筒状軸受10の上下軸支持部外周面10c・10dは、圧入中に軸受保持体12の内周面に接触することが避けられ、圧入完了状態においては、径方向間隙を隔てて軸受保持体12の内周面に相対する。筒状軸受10の非軸支持部外周面10eは、圧入により軸受保持体12の内周側にしまりばめ状態で保持される。従って、図1の例と同様の良好な回転精度実現の効果が得られ、而も容易に圧入を開始することができる。
【0042】
図5のモータの筒状軸受10における軸支持部外周面10gは、その両側、すなわち上下端部に位置する上下非軸支持部外周面10h・10iよりもやや小径に形成されている。上下非軸支持部外周面10h・10iの外径は相等しい。軸受保持体12の内径は、スラスト軸受として2層構造のスラスト円板14及びこれを固定するためのCリング16が内嵌固定される大径の下端部12cを除き一定に形成されている。
【0043】
このモータの組み立てにおいても、図4のモータと同様に軸受保持体12に対する筒状軸受10の圧入の向きが問われない。何れの向きであっても、筒状軸受10の軸支持部外周面10gは、圧入中に軸受保持体12の内周面に接触することが避けられ、圧入完了状態においては、径方向間隙を隔てて軸受保持体12の内周面に相対する。筒状軸受10の上下非軸支持部外周面10h・10iは、圧入により軸受保持体12の内周側にしまりばめ状態で保持される。従って、図1の例と同様の良好な回転精度実現の効果が得られる。なお、上下非軸支持部外周面10h・10iの外径は、軸受保持体12の内径に対応するものであればよく、必ずしも相等しいものであることを要しない。
【0044】
図6のモータの筒状軸受10の外径、すなわち上下軸支持部外周面10c・10d及び非軸支持部外周面10eの径は一定である。軸受保持体12の内径は、上下軸支持部外周面10c・10dに対応する上端部12a及び下部12eが、それらの中間部12fよりもやや大径に形成されている。そしてその中間部12fの内周側に、非軸支持部外周面10eがしまりばめ状態で保持されている。
【0045】
また、図7のモータの筒状軸受10の外径、すなわち軸支持部外周面及び上下非軸支持部外周面10h・10iの径は一定である。軸受保持体12の内径は、軸支持部外周面10gに対応する中間部12fが、その両側の上端部12a及び下部12eの何れよりもやや大径に形成されている。そしてその上端部12a及び下部12eの内周側に、上下非軸支持部外周面10h・10iがしまりばめ状態で保持されている。
【0046】
図6及び図7のモータの筒状軸受10の外径は一定であって、筒状軸受10の外周面に凹部又は凸部を形成する加工等を施す必要がないので、そのような加工等により軸支持部内径にくるいが発生するおそれがない。
【0047】
また、図6及び図7のモータの場合、軸受保持体12に対し筒状軸受10を圧入すると、何れの向きで圧入しようと、少なくとも1箇所の軸支持部外周面が軸受保持体12の内周面に接触し、接触による歪みが残留してそれにより軸支持部内径にくるいが発生するおそれがある。そのため、焼きばめにより両者を嵌合させることが望ましい。
【0048】
なお、以上の実施の形態についての記述における上下位置関係は、単に図に基づいた説明の便宜のためのものであって、実際の使用状態等を限定するものではない。
【0049】
【発明の効果】
請求項1のモータにおいては、軸支持部外周面は軸受保持体の内周面に接触していないので、筒状軸受が軸受保持体内にしまりばめ状態で嵌合保持されることにより軸支持部の内径寸法にくるいが生ずることが回避され、筒状軸受の外周側に位置する軸受保持体の径方向厚さが軸心方向位置に応じて変化していること等の筒状軸受の外方の構造の如何によらず、良好な回転精度を実現することができる。
【0050】
請求項2のモータにおいては、圧入時の軸支持部外周面と軸受保持体の内周面との接触が回避されるので、そのような接触により圧入完了後に歪みが残留して軸支持部の内径にくるいが生ずるのを防いで、良好な回転精度の確実な実現を可能とする。
【0051】
請求項3のモータにおいては、圧入による嵌合により、含油軸受の潤滑特性や寸法精度に悪影響を及ぼすことなく軸支持部の内径にくるいが生ずることを防ぐことができる。
【0052】
請求項4のモータにおいては、少なくとも、筒状軸受における一方の端部から軸受保持体における一方の端部に対し圧入を開始することにより、両軸支持部外周面が何れも軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができ、圧入の際に軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触することによる歪みの残留及び軸支持部内径におけるくるいの発生が防がれる。
【0053】
請求項5のモータにおいては、筒状軸受の軸心方向両外側においてそれぞれ軸受保持体の内周面に部品を嵌合させる場合に、両部品を共通化することができる。
【0054】
請求項6のモータにおいては、筒状軸受において圧入を開始する端部を変えた場合にも、両軸支持部外周面が何れも軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができる。
【0055】
請求項7のモータにおいては、少なくとも、軸受保持体における一方の端部に対し筒状軸受の圧入を開始することにより、軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触しない状態で圧入を進めて完了することができ、圧入の際に軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触することによる歪みの残留及び軸支持部内径におけるくるいの発生が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータの要部断面図である。
【図2】別のモータの要部断面図である。
【図3】更に別のモータの要部断面図である。
【図4】更にまた別のモータの要部断面図である。
【図5】更に別のモータの要部断面図である。
【図6】更にまた別のモータの要部断面図である。
【図7】更に別のモータの要部断面図である。
【図8】従来のモータの要部断面図である。
【符号の説明】
10 筒状軸受
10a 上軸支持部
10b 下軸支持部
10c 上軸支持部外周面
10d 下軸支持部外周面
10e 非軸支持部外周面
12 軸受保持体
12a 上端部
12b 中間部

Claims (7)

  1. 回転軸と、その回転軸を回転自在に支持する筒状軸受と、その筒状軸受の外周側に嵌合してその筒状軸受を保持する軸受保持体を有してなるモータであって、
    前記筒状軸受の内周面のうち軸心方向における1又は2以上の部分に、径方向内方に凸に形成された軸支持部を有し、
    前記筒状軸受の外周面のうち前記軸支持部の径方向外方に位置する軸支持部外周面は、何れも軸受保持体の内周面に接触せず、
    前記筒状軸受の外周面のうち軸支持部外周面以外の部分である非軸支持部外周面の少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接していることを特徴とするモータ。
  2. 上記筒状軸受が上記軸受保持体内に少なくとも何れか一方から同軸状に圧入される際に、上記軸支持部外周面が軸受保持体の内周面に接触しないよう構成された請求項1記載のモータ。
  3. 上記筒状軸受が含油軸受である請求項2記載のモータ。
  4. 軸支持部及びそれに対応する軸支持部外周面を軸心方向間隔を隔てて2箇所にそれぞれ有し、
    一方の軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面、及び他方の軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置し、
    両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面の少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接し、
    前記他方の軸支持部外周面が、軸受保持体における相対する内周面よりも径方向内方に位置する請求項2又は3記載のモータ。
  5. 両軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の径方向位置が相等しい請求項4記載のモータ。
  6. 上記他方の軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、両軸支持部外周面間の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面、及び上記一方の軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置する請求項4又は5記載のモータ。
  7. 軸支持部を1箇所に有し、
    筒状軸受の外周面のうち前記軸支持部の径方向外方に位置する軸支持部外周面の軸心方向両側に非軸支持部外周面を有し、
    両非軸支持部外周面のそれぞれ少なくとも一部が、しまりばめ状態で軸受保持体の内周面に圧接し、
    軸支持部外周面が、それに相対する軸受保持体の内周面、及び少なくとも一方の非軸支持部外周面に相対する軸受保持体の内周面の何れよりも径方向内方に位置する請求項2又は3記載のモータ。
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