JP3697421B2 - 帯結びの方法及びその帯結びに用いる帯結び用補助具 - Google Patents

帯結びの方法及びその帯結びに用いる帯結び用補助具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、和服着用における帯結びの方法とその帯結びに使用される帯結び用補助具に関し、特に、お太鼓を形成する帯結びに適した帯結びの方法および帯結び用補助具に関するものである。
尚、帯結びの方式として、手を身体の背後に回して背面で帯を結ぶ方式と、身体の前側で帯を結んだ後に結び上げた帯を身体の背面に回す方式(前結び式)とがあるが、帯を結ぶ順番自体に違いがあるわけでなく、本明細書及び図面では後者の前結び方式に基づいて説明する。
【0002】
【従来の技術】
従来のお太鼓を形成する帯結びの方法では、身体の胴部に巻き付けた帯が解けないように「て」側と「たれ」側を結ぶか捻じった後、出したいポイント柄の上端がお太鼓の山となるように「たれ」側の帯の表側に帯枕をあてがい、その帯枕を身体の胴部に巻き付けた帯の上に載せる形で装着し、然る後に、お太鼓の下端を決めて内側に折り上げ、最後に帯締めでお太鼓を固定していた。
この様な従来のお太鼓を形成する帯の結び方では、形成されたお太鼓の形が整えにくく且つお太鼓の山が低く貧弱になりがちとなるので、図10から図12に示すごとく、帯の結び目cと帯枕Cの間にある部分pをしわがないようにきれいに整えて順次内側に折り込んで(これを「始末する」という。)、お太鼓の「台」を形成し、これによりお太鼓の形を整えると同時にお太鼓としてのボリュームを出すようにしていた。
その為、従来のお太鼓を形成する結び方では、お太鼓の「台」を形成する工程(作業)が必要であるだけでなく、この「台」を形成してもまだお太鼓の上端部分が平たく波打った感じとなりやすく、しかもこの「台」を形成することにより帯が傷みやすいといった不具合があった。
【0003】
一方、帯を装着する人の体形が肥満により変わってしまったような場合には、帯の長さが不足しがちとなり、結び上げた状態で柄(ポイント柄)の位置が予定された位置からずれてしまい、帯を結んだときの意匠性が損なわれてしまうことがある。
特に、従来のお太鼓を形成する結び方では、出したいポイント柄がお太鼓の「台」を形成する際に移動しやすいと同時に、「台」を形成する分余計に帯の長さを必要とするため、出したいポイント柄を所定位置にずれることなく結び上げることは、熟練者でも比較的難しいことであった。このことは、図示例のごとき太鼓形の帯結びの場合に顕著となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、お太鼓を形成する結び方においてお太鼓の「台」を形成する工程(作業)を省略することができると共に、ボリュームがあるお太鼓を簡便に且つきれいに形成することができ、しかも、帯の「たれ」側の長さを長く使うことが出来、その結果、帯を装着する人の体形が肥満により変わってしまったような場合でも、その帯を不都合なく使用して出したいポイント柄をお太鼓の所定位置にずれることなく結び上げることが容易に可能な帯結びの方法及びその帯結びに用いる帯結び用補助具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の帯結び方法は、所定の手順に従う帯結びの一連の過程において、身体の胴部に巻き付けた帯が解けないように「て」側と「たれ」側を結ぶか捻じった後、上記「たれ」側の出したいポイント柄の少し上の裏側位置に、断面略円形状をなし棒形状に形成されたパッド部と該パッド部の両端からベルト部を延設してなる帯結び用補助具の上記パッド部をあてがい、その状態で前記帯結び用補助具のパッド部を身体の胴部に巻き付けた帯部の上に装着せしめ、然る後、帯枕を、「たれ」側の先端方表側上に「たれ」となる部分を残して所定の位置に設置し、前記帯結び用補助具のパッド部で固定された部分から当該帯枕までの間のお太鼓となる部分を帯枕の上に被せ、その状態のまま当該帯枕を前記帯結び用補助具のパッド部方へ手繰り寄せて前記パッド部の上に載せてお太鼓を形成するようにしたことを特徴としたものである。
また、本発明に係る帯結び用補助具は、パッド部とベルト部とから構成され、上記パッド部は柔軟性を有し帯の幅より少し短い長さを有する断面略円形状をした棒形状に形成され、上記ベルト部は前記パッド部の両端から身体の胴部に巻き付けられる長さに形成されていることを特徴としたものである。
この際、前記ベルト部の両端には相互に係脱自在な連結手段を備えることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
ちなみに、図示実施例では、お太鼓を形成する結び方のバリエーションである二重太鼓を形成する結び方を表しているが、本発明に係る帯結びの方法及びその帯結びに用いる帯結び用補助具は、係る実施例に限定されるものではなく、各種の帯の結び方に応用できことは理解されるべきである。
尚、全図面を通して同じ部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0007】
本発明に係る帯結び補助具Aは、図1に詳しく示した通り、略棒形状に形成されたパッド部1と、該パッド部1の両端から延設されたベルト部2とから構成されている。
【0008】
帯結び補助具Aのパッド部1は、お太鼓を形成する際に帯枕Cとは別にお太鼓としての形を整え且つボリュームを出しやすくするためのものであり、柔軟性を有する合成樹脂材や布材等を用いて断面略円形状をした棒形状に形成された芯材1aを、織布や編み布あるいは不織布などで形成された包皮材1bで包んで形成される。また、このパッド部1は、帯Bの幅より少し短い長さ(例えば、約25cm程)に形成し、例えば3〜4cm程度の太さに形成することが好ましい。
尚、上記の包皮材1bは必ずしも必要とせず、芯材1aに直接ベルト部2を取り付けてもよい。
【0009】
帯結び補助具Aのベルト部2は、上記パッド部1を身体の胴部、詳しくは身体の胴部に巻き付けられた帯部eの上に装着させるためのものであり、パッド部1の両端部から身体の胴部に巻き付けられる程度の長さに形成される。この際ベルト部2は、図示実施例のごとくパッド部1の包皮材1bの上辺部にわたって取り付けられることが好ましい。そうすれば、本帯結び補助具Aを身体の胴部に装着した状態では、ベルト部2が上になってパッド部1が下膨れした状態に装着されるようになる。
【0010】
また、このベルト部2は、ゴム紐のように伸縮性を備えていても良いし、帯揚げのように伸縮性を有しなくとも良い。
更に、身体の胴部に巻き付けたベルト部2の両端部は、通常の紐のように手で結んでもよいが、その両端に、相互に係脱自在な連結手段3を備えることが好ましい。
【0011】
連結手段3としては、相互に容易に係脱できるものであれば何ら限定されるものではないが、図示実施例のごとく、装着時におけるベルト部2の長さを調整しえる面ファスナーを用いることがコスト的にも好ましい。連結手段3としてその他に、左右一対からなる公知の小型で薄肉のプラスチック製バックルなどが考えられる。
【0012】
次に、本発明に係る帯結び用補助具Aを用いて実施する本発明の帯結びの方法を、図3から図9を参照しながら、二重太鼓を形成する結び方の場合について説明する。
先ず、図2に示すように、帯Bの「て」側aの長さを決め、帯Bを身体の胴部にしっかり締めながら巻き付け、身体の胴部に巻き付けた帯Bが解けないように「て」側aと「たれ」側bを結ぶか捻じって結び目cを作る。
【0013】
次に、図3に示すように、半折された「たれ」側bを帯の柄が在るほうを表にして開いて展ばし、その状態で図4に示すように帯結び用補助具Aのパッド部1を、出したいポイント柄dの少し上の裏側位置にあてがい、そのまま帯結び用補助具Aのパッド部1をバンド部2を介して身体の胴部うえ、詳しくは巻き付けた帯部eの上、更に詳しくは帯部e上辺より上の身体の胸部上に定置させる。
尚、図中の符号fは、仮止め用のクリップを示す。
【0014】
次に図5に示すように、常法に従って帯枕Cを、「たれ」側bの先端方表側上に「たれ」hとなる部分を残して所定の位置、通常では「たれ」側bの先端b’からおよそ20〜30cm程の位置に設置し、次いで図6に示すように上記帯結び用補助具Aのパッド部1で固定された部分から当該帯枕Cまでの間のお太鼓となる部分b”を帯枕Cの上に被せ、その状態のまま当該帯枕Cを帯結び用補助具Aのパッド部1方へ手繰り寄せて、最終的に図7に示すように、当該帯枕Cを帯結び用補助具Aのパッド部1上に載せ置く。この時、帯枕Cを所定の位置(帯結び用補助具Aのパッド部1上)に固定させるために、従来と同様に、帯枕Cに予め紐を付けておくか、或いは図示例のように帯枕Cを帯揚げD等で包んでおく。
【0015】
以後は常法の手順に従って、帯揚げDを締め、お太鼓となる部分b”の下端位置の内側に仮紐をあて、その状態でたれの部分jを内側に折り上げ、「たれ」hの長さを調整すると共に、お太鼓kの形を整える。そして、「て」側aをお太鼓kの中に通し、反対側に引き出して形状を整え、最後に帯締めEを通し、帯全体を身体の前面側から背面側に廻して、上記帯締めEを結んで帯結びを完成させる。
これで、図8に示すように、お太鼓kの所定位置に出したいポイント柄dがずれることなく結び上げられ、且つお太鼓kの上部k’が波打つことなく高くなってボリュームがあるお太鼓がきれいに形成される。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る帯結びの方法によれば、下記の通りの作用効果を奏する。
(1)断面略円形状をなし棒形状に形成された帯結び用補助具のパッド部の上に帯枕を載せるようにしたので、それだけでボリュームがあるお太鼓をきれいに形成することができ、従って、お太鼓を形成する結び方においてお太鼓の「台」を形成する工程(作業)を省略することが可能となる。
その結果、帯結びを簡略化できると共に、「台」を形成しない分だけ帯を傷めることが少なくなる。
(2)お太鼓の上部位置に帯結び用補助具のパッド部が存在することにより、ボリュームがあるお太鼓を簡便に且つきれいに形成することができる。
(3)お太鼓の「台」を形成する必要がないので、その分だけ帯の「たれ」側の長さを長く使用することが可能になる。よって、帯を装着する人の体形が肥満により多少変わってしまったような場合でも、その帯を不都合なく使用することができると共に、出したいポイント柄をお太鼓の所定位置に結び上げることが可能となり、前面の柄もずれることなく使用することができる。
(4)帯の出したいポイント柄は、帯を結ぶ過程において帯結び用補助具の設置位置によって決められ、しかもその帯結び用補助具で位置決めされた後に帯がその長手方向(たれ側)に移動するようなことがない、すなわちポイント柄がずれるようなことがないので、出したいポイント柄をお太鼓の所定位置にずれることなく容易に結び上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る帯結び用補助具の一実施例を示す一部切欠斜視図。
【図2】 本発明に係る帯結びの方法の手順を説明する説明図。
【図3】 図2の状態から次の手順を示す説明図。
【図4】 図3の状態から次の手順を示す説明図。
【図5】 図4の状態から次の手順を示す説明図。
【図6】 図5の状態から次の手順を示す説明図。
【図7】 図6の状態から次の手順を示す説明図。
【図8】 図7の状態から帯結びを完成させた状態を示す模式断面図。
【図9】 同模式斜視図。
【図10】 従来の帯結びの方法の手順を説明する説明図。
【図11】 図10の状態から次の手順を示す説明図。
【図12】 図11の状態から次の手順を示す説明図。
【符号の説明】
A:帯結び用補助具 B:帯
C:帯枕 D:帯揚げ
E:帯締め
1:パッド部 2:ベルト部
3:連結手段
a:帯の「て」側 b:「たれ」側
c:帯の結び目 d:ポイント柄
e:帯部 f:仮止めクリップ
h:たれ j:たれ部分
k:お太鼓

Claims (3)

  1. 所定の手順に従う帯結びの一連の過程において、身体の胴部に巻き付けた帯が解けないように「て」側と「たれ」側を結ぶか捻じった後、上記「たれ」側の出したいポイント柄の少し上の裏側位置に、断面略円形状をなし棒形状に形成されたパッド部と該パッド部の両端からベルト部を延設してなる帯結び用補助具の上記パッド部をあてがい、その状態で前記帯結び用補助具のパッド部を身体の胴部に巻き付けた帯部の上に装着せしめ、然る後、帯枕を、「たれ」側の先端方表側上に「たれ」となる部分を残して所定の位置に設置し、前記帯結び用補助具のパッド部で固定された部分から当該帯枕までの間のお太鼓となる部分を帯枕の上に被せ、その状態のまま当該帯枕を前記帯結び用補助具のパッド部方へ手繰り寄せて前記パッド部の上に載せてお太鼓を形成するようにしたことを特徴とする帯結びの方法。
  2. 請求項1記載の帯結びの方法に用いる帯結び用補助具であって、パッド部とベルト部とから構成され、上記パッド部は柔軟性を有し帯の幅より少し短い長さを有する断面略円形状をした棒形状に形成され、上記ベルト部は前記パッド部の両端から身体の胴部に巻き付けられる長さに形成されていることを特徴とする帯結び用補助具。
  3. 前記ベルト部の両端には相互に係脱自在な連結手段を備えてなる請求項記載の帯結び用補助具。
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