JP3771019B2 - 和服用帯 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は和装用の帯に係り、特に初心者であっても形よく結び上げることができる和服用帯に関する。
【0002】
【従来の技術】
婦人用の和服の帯は、古来より袋帯を代表として所要幅を有する1本の布地で構成されているが、この帯を和服着用時に自身で結び上げることは甚だ難しく、特に若年層が和服離れを起している主な原因となっている。
【0003】
このようなことから、予め「お太鼓」等の結び型に結び上げた形態とされた帯結び部と、この帯結び部を固定し身体の胴部に巻く胴巻部とを分離して別体構成とし、誰でもが手軽に結び上げることができるようにした簡易型の帯が提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来の上記分離型の帯は、胴巻部の両端に結び用の細紐が取付けられていて、胴部に巻付けたのちこの細紐同士を結ぶことにより締め上げるようになされていたが、従来の胴巻部は図5(B)に示すように胴巻部1の端部の幅方向中央位置に細紐2,2が縫着されており、そのため左右の細紐2,2を胴巻部1の下部で結び合わせるとき同図にみられるように胴巻部1の端部下端1aが胴巻部1の下方に突出しやすく、結んだあとの形が乱れたようになって外見上好ましくないうえ、胴巻部1の上下方向中央が締め付けられるので、着用者が息苦しい感じを持つなどの難点があった。
【0005】
また従来の帯結び部に帯枕を入れてふくらませるとき、予め結び上げられた帯結び部の形が整いにくく、ふっくらとした自然な結び形態をとりにくいという問題点、および帯結び部が胴巻部と別体であるため行動中に帯結び部が曲ってしまうことがあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来の分離型の帯をさらに改善し、結びやすさを一層向上させるとともに、帯結び部、特にその上部の最も人目につく部分の形態をふっくらとした自然の形にすることができる和服用帯を提供することを課題としてなされたもので、お太鼓等の所要の結び型に予め形成された帯結び部と、身体の胴部に巻き前記帯結び部を支える胴巻部とを別体に構成し、前記帯結び部の垂れ部の上端位置で背中に当たる帯部分にタックをとり、このタックの横幅方向中間部領域を除く両端部のみを縫着し、前記胴巻部の両端部下端位置に細紐を縫着したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【0008】
図1は「お太鼓」の結び方に予め形成された本発明による帯結び部3の一例の正面を、図2は同背面を示し、図3は帯枕4を入れた状態の形態の変形状態を示しており、図4は上記帯結び部3と共に用いられる胴巻部5を途中を切欠省略して示している。
【0009】
前記帯結び部3は、身体の背中に当る内側帯部分6の上端が外側に折り返された外側帯部分7の下方をたぐり部8によりたぐり、さらに下方に垂れ9が垂下されており、上記たぐり部8には手先10が横方向に通され、前記垂れ9の上方部の両端位置で前記内側帯部分6にタック11(深さ2cm程度)がとられ、このタック11はその両端部のみが縫着12,12により固定されている。
【0010】
したがって前記内側帯部分6と外側帯部分7との折り返し部内に帯枕4を入れてその紐を結ぶと、前記タック11の縫着12,12間が伸びて上方に引上げられ、図3にみられるように上端部3aの中央部が上方に湾曲してふっくらとした形を作ることができる。
【0011】
また前記外側帯部分7の絵柄13と垂れ9の外部に現われる絵柄14とが一連となるように柄合わせして形成されており、外見が見栄えよく整えられている。
【0012】
前記胴巻部5は、図4にみられるように両端の上隅部が斜めに折り返され、その折り返し部5a,5aの下端位置に細紐15,15が縫着されている。
【0013】
したがって、この胴巻部5を身体に巻付け、細紐15,15同士を結ぶとき図5(A)のように胴巻部5の下部で締めることになり、胴巻部5の端部が胴巻部5の下方に突出することがなく、形が乱れることがないとともに、胴巻部5の下端位置で締めるので着用者の腹部を圧迫せず、苦しさがなく、楽に着用することができる。
【0014】
帯結び部3は、帯枕4の紐と帯揚げおよび帯締めにより身体に固定される。このとき帯結び部3のタック11部分が前記胴巻部5の上端縁に載る型になるので、帯結び部3は傾くことなく安定した位置におかれ、型崩れを起こすことがない。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、所要の結び型に予め形成された帯結び部と、身体の胴部に巻く胴巻部とを別体に構成し、前記帯結び部の垂れ部の上端位置で身体の背中に当る内側帯部分にタックをとり、このタックの両端部のみを固定したことにより、帯枕を入れて締めるとき上記帯部分の上端の折り返し部分の中央部の範囲が上方に引上げられてふっくらとした形を作り出すことができ、1本の帯で結んだと同様の形態となって分離型の帯の不自然さを解消することができる。また上記タックが胴巻部の上端に引掛って載る型になるので、帯結び部が曲がることなく安定しておかれ、型崩れを生じることがない。
【0016】
また胴に巻く部分の胴巻部の両端に縫着する細紐を胴巻部の端部下端位置としたことにより、細紐同時を結んだとき胴巻部の端部が胴巻部の下部から出張るような見苦しさを生じることがなく、外見よく結ぶことができる。さらに胴巻部の下端位置で締めるので着用者の腹部に圧迫感を与えることがなく、普段和服を着用しない人であっても苦痛を与えずに着用することができる。
【0017】
一方、請求項2のように、外側帯部分の絵柄と垂れ部分の絵柄とを一連となるようにして帯結び部を形成すれば、見栄えがよく、上手に結んである印象を与え、しかも絵柄のずれが生じず、常に初期の形態を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による帯結び部を「お太鼓」の例として示す正面図。
【図2】同、背面図。
【図3】同、帯枕を入れた際の形態変化を示す背面側からみた斜視図。
【図4】本発明による胴巻部の一部切欠正面図。
【図5】(A)は図4の胴巻部を締めた状態、(B)は従来の胴巻部を締めた状態の斜視図。
【符号の説明】
1、5 胴巻部
2、15 細紐
3 帯結び部
4 帯枕
6 内側帯部分
7 外側帯部分
8 たぐり部
9 垂れ
10 手先
11 タック
12 縫着
13、14 絵柄

Claims (2)

  1. お太鼓等の所要の結び型に予め形成された帯結び部と、身体の胴部に巻き前記帯結び部を支える胴巻部とを別体に構成し、前記帯結び部の垂れ部の上端位置で背中に当たる帯部分にタックをとり、このタックの横幅方向中間部領域を除く両端部のみを縫着固定し、前記胴巻部の両端部下端位置に細紐を縫着したことを特徴とする和服用帯。
  2. 前記帯結び部はその外面の絵柄模様と垂れ部の絵柄模様とが一連の絵柄模様を構成するように結ばれている請求項1記載の和服用帯。
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