JP3695867B2 - 低ＮＯｘガス燃焼装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス給湯機、ガス温水暖房機等に使用され、ＮＯｘの発生量を低減させた低ＮＯｘガス燃焼装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のこの種のガス燃焼装置においては、例えば、特開平６−３３１１１０号公報に開示されているように、頂部に主炎孔を有する主体の両側壁に、これらの両側壁と保炎空間を保って一対の保炎板が立設された袖火タイプのバーナ体を備えている。そして、このように構成されたバーナ体を、バーナケース内に相互に通気間隔を存して複数並設し、バーナ体にやや希薄な混合ガスを供給するとともに、バーナ体に供給する混合ガスよりも更に希薄な希薄混合ガスをバーナ体間の通気間隔に供給して、この通気間隔の上方並びにバーナ体の上方で希薄混合ガス多段燃焼させることにより、ＮＯｘの発生量を低減させていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来構造のガス燃焼装置では、希薄混合ガスの流出部となるバーナ体間の通気間隔の上部開放面、即ち、隣接するバーナ体の保炎板間の隙間の面積が大きいため、バーナ体間の通気間隔を流れる二次空気量が突発的に減少したり、バーナ体間の通気間隔を流れるガス量が突発的に増加したりすると、希薄混合ガス状態が崩れて引火しやすい混合ガスとなり、通気間隔の上方並びにバーナ体の上方に形成される火炎が、バーナ体間の通気間隔に引き込まれ、逆火を生じる問題があった。また、着火時において、着火遅れが生じた場合でも、同様に逆火を生じる問題があった。
【０００４】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、バーナ体間の通気間隔を流れるガス量の突発的な変動や、着火時での着火遅れに起因する逆火の発生を抑制しつつ、低騒音で安定した低ＮＯｘ燃焼が行われるようにすることを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の本発明では、頂部に主炎孔を有するバーナ体を相互に通気間隔を存してバーナケース内に複数並設し、これらバーナ体間の通気間隔には、前記バーナ体に供給する混合ガスよりも希薄な希薄混合ガスが供給されるガス燃焼装置において、前記バーナ体の左右両側壁の上部には、それの側壁と保炎空間を保って一対の保炎板を立設し、前記バーナ体の隣接する保炎板間には、希薄混合ガスを噴出する多数の副炎孔を長手方向に列設した断面略コ字状の副炎孔板を着脱可能に架設するとともに、この副炎孔板の下には所 望の高さ寸法を有する波板状整流部材を配置し、前記波板状整流部材は、互いに対向する一対の立壁と前記通気間隔の希薄混合ガスが流れる通気穴を設けた底壁とを有するホルダー内に前記立壁と接するように収容し、前記ホルダーは、前記保炎板と副炎孔板とで保持される構成としたことを特徴とする。
【０００６】
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態例を図１ないし図５の図面に基づいて説明する。図１ないし図５において、１は送風機、２は送風機１から燃焼用空気が送り込まれる外郭ケース、３は外郭ケース２内に収容されたバーナケースであり、このバーナケース３は中央部に仕切り壁３Ａを有し、この仕切り壁３Ａで仕切られた左右の部屋には、通気間隔としての二次空気通路４、４を間に設けてバーナ体５、５を３本ずつ並設している。
【０００８】
前記各バーナ体５、５は頂部に多数のスリット状の主炎孔７、７を有するとともに、左右両側壁の上部には、側壁と保炎空間イ、イを保って左右一対の保炎板８、８が立設され、この前記保炎空間イ、イには、バーナ体５内に供給された混合ガスの一部が袖火用孔９、９を通って入り込み、この入り込んだ混合ガスは保炎空間イ、イを上昇して流出し、保炎空間イ、イ上に袖火が形成されるようになっている。
【０００９】
前記各バーナ体５内には空気比が約１〜１．３のやや希薄な混合ガスが供給され、また、各バーナ体５、５間の二次空気通路４、４内の下方部分には、バーナ体５に供給される混合ガスよりも更に希薄な希薄混合ガスがそれぞれ供給されるようになっている。そして、この二次空気通路４、４に供給される希薄混合ガスの空気比は通常で約１．５〜２．２である。
【００１０】
前記バーナ体５の隣接する保炎板８、８間には、断面略コ字状に形成された副炎孔板１０、１０がそれぞれ着脱可能に架設してあり、この副炎孔板１０は、希薄混合ガス噴出用のスリット状や円形状の適宜な形状の副炎孔１１、１１をその上面部の長手方向に多数設けている。
【００１１】
１２は前記仕切り壁３Ａの両側の二次空気通路４Ａ、４Ａの上部に設けられた断面略コ字状の中間副炎孔板であり、この中間副炎孔板１３の上面部には、希薄混合ガス噴出用の多数の小孔１４、１４をその長手方向の両サイドに沿うように２列に並べて設けている。１５、１５は前記バーナケース３の両側壁３Ｂ、３Ｂとこれら両側壁３Ｂ、３Ｂに近接するバーナ体５、５との間の二次空気通路４Ｂ、４Ｂの上部に設けられた端部副炎孔板であり、これら端部副炎孔板１５、１５の上面部には、希薄混合ガス噴出用の多数の孔１６、１６をその長手方向の中央部に沿うように１列に並べて穿っている。
【００１２】
次に、図２中に示す燃料ガス供給装置１７について説明する。この燃料ガス供給装置１７は、燃料ガス供給経路に、元電磁弁１８及び比例弁１９を介装するとともに、比例弁１９の下流側で第１経路２０と第２経路２１の２経路に分岐し、これら第１及び第２経路２０、２１にはそれぞれ電磁弁２２、２３を介装している。前記第１経路２０は、電磁弁２２の下流側で第３経路２４を分岐し、この第３経路２４を前記バーナケース３の左の部屋二次空気通路４、４Ａ、４Ｂにガス燃料を供給する第１補助ノズル２５に連結するとともに、第３経路２４の分岐部の下流側は、バーナケース３の左の部屋の各バーナ体５、５にガス燃料を供給する複数の第１主ノズル２６、２６に連結している。
【００１３】
前記第２経路２１は、電磁弁２３の下流側で第４経路２７を分岐し、この第４経路２７を前記バーナケース３の右の部屋の二次空気通路４、４Ａ、４Ｂにガス燃料を供給する第２補助ノズル２８に連結するとともに、第４経路２７の分岐部の下流側は、バーナケース３の右の部屋の各バーナ体５、５にガス燃料を供給する複数の第２主ノズル２９、２９に連結している。３０は放電点火プラグ等の点火器、３１は炎の有無を検出する炎検出器、３２は制御部であり、この制御部３２は元電磁弁１８、比例弁１９、電磁弁２２、２３の開閉を制御するとともに、点火器３０の点火動作や、送風機１の回転数可変制御を行って燃焼を制御する。
【００１４】
３３は前記各副炎孔板１０、１０の上面部の下に配置した所望の高さ寸法（例えば、３０〜５０ｍｍ）を有する波板状整流部材であり、この波板状整流部材３３は、図５に示すように、ステンレス鋼の一枚の薄板を波板状に形成してなり、隣接するバーナ体５の保炎板８、８間に介挿されたホルダー３４内に収容されるとともに、その収容状態において前後両部がホルダー３４の立壁３４Ａ、３４Ｂに圧接している前記ホルダー３４は、ステンレス鋼の一枚の薄板を略コ字型に折曲加工してなるもので、互いに対向する一対の立壁３４Ａ、３４Ｂと、これらの立壁３４Ａ、３４Ｂの下端に位置する底壁３４Ｃを有し、前記底壁３４Ｃには希薄混合ガスが通過する通気穴３５、３５が設けられ、これら通気穴３５を通して内部に希薄混合ガスが流れるようになっている。
【００１５】
また、前記ホルダー３４は、両立壁３４Ａ、３４の上端部を、副炎孔板１０の上面部と隣接するバーナ体５の保炎板８、８で挟持することにより、保炎板８、８間に保持されているが、波板状整流部材３３を内部に収容した後に、両立壁３４Ａ、３４の上端部を、副炎孔板１０の上面部にスポット溶接等で固着することにより、ホルダー３４を副炎孔板１０に固定保持するようにしてもよい。
【００１６】
上述の構成において、前記各バーナ体５内に空気比が約１〜１．３のやや希薄な混合ガスが供給され、また、各バーナ体５、５間の二次空気通路４、４Ａ、４Ｂの下方部分には空気比が約１．５〜２．２の希薄混合ガスが供給されると、各バーナ体５内に供給された混合ガスは、その一部が袖火用孔９、９を通って保炎空間イに流出し、残りの大部分は主炎孔７、７に向かって流れて主炎孔７、７から噴出する。
【００１７】
一方、二次空気通路４、４の下方部分に供給された希薄混合ガスは、二次空気通路４、４を上昇し、通気穴３５、３５を通ってホルダー３４内にはいるが、このホルダー３４内に流入した希薄混合ガスは、波板状整流部材３３とホルダー３４の立壁３４Ａ、３４Ｂにて構成された上下方向の多数の分割通路を上昇し、副炎孔板１０、１０の副炎孔１１、１１から噴出する。また、二次空気通路４Ａ、４Ａ、４Ｂ、４Ｂの下方部分に供給された希薄混合ガスは、中間副炎孔板１２の小孔１４、１４及び各端部副炎孔板１５、１５の孔１６、１６からそれぞれ噴出する。
【００１８】
上述の状態で、点火器３０にスパークを発生させると、主炎孔７、７から噴出する混合ガスが着火し、この着火炎が隣の副炎孔１１、１１から噴出する希薄混合ガスに火移りして、全体の燃焼が開始される。全体の燃焼開始により、各バーナ体５の主炎孔７上には高さの低い炎（一次炎）が形成され、各保炎空間イ上には袖火炎が形成され、各バーナ体５、５の上方と副炎孔板１０、１０、中間副炎孔板１２、端部副炎孔板１５の上方には、互いに連なって保炎性の高い安定した大きな炎（二次炎）が形成され、ＮＯｘ発生量の少ない希薄混合ガス多段燃焼が行われる。
【００１９】
ここで、強燃焼時には、制御部３２により、電磁弁２２、２３の双方が開放されて、第１主ノズル２６、２６及び第２主ノズル２９、２９から全数のバーナ体５、５にガス燃料が供給されるとともに、第１補助ノズル２５及び第２補助ノズル２８からバーナケース３の左右の部屋にガス燃料が供給される。また、燃焼状態が強燃焼から燃焼量を絞った弱燃焼に切り換わった場合は、制御部３２により、電磁弁２２は開放されたままであるが、電磁弁２３が閉められ、この電磁弁２３の閉塞により、第２主ノズル２９、２９からのガス燃料の供給が停止されるとともに、第２補助ノズル２８からのガス燃料の供給も停止される。そのため、バーナケース３の右の部屋に設置されたバーナ体５、５及び、この右の部屋Ｙの二次空気通路４、４Ａ、４Ｂには、ガス燃料が供給されず、ＮＯｘ発生量の少ない希薄混合ガス多段燃焼を行いつつ、燃焼させるバーナ本数の切り換えにより、ガス漏れを心配することなく、燃焼幅を拡大することができる。
【００２０】
本実施形態例によれば、頂部に多数の主炎孔７、７を有するバーナ体５を相互に二次空気通路４、４Ａ、４Ｂ（通気間隔）を存してバーナケース３内に６本並設し、前記二次空気通路４、４Ａ、４Ｂの内部下方部分には、バーナ体５内に供給する混合ガスよりも希薄な希薄混合ガスを供給するようにしたガス燃焼装置であり、各バーナ体５、５間の二次空気通路４、４の上部に、希薄混合ガスを噴出する多数の副炎孔１１を上面部に有する副炎孔板１０、１０を配置するとともに、これら副炎孔板１０、１０の上面部の下に、所望の高さ寸法（例えば、３０〜５０ｍｍ）を有する波板状整流部材３３を配置した構成としているので、副炎孔板１０の上面部に列設した多数の副炎孔１１、１１によって、希薄混合ガス噴出用の炎孔面積を従来よりも小さくして噴出速度を高めることが可能となり、二次空気通路４内への逆火が抑制され、各二次空気通路４、４Ａ、４Ｂを流れる混合気体のガス量が突発的に変動したり、点火器３０のスパークを発生させる着火時に、着火遅れが生じた場合でも、各二次空気通路４、４Ａ、４Ｂ内への逆火を抑制できるばかりでなく、二次空気通路４を流れる希薄混合ガスの流れを波板状整流部材３３で整流した後、副炎孔板１０の副炎孔１１から噴出させることができるので、ＮＯｘの発生量の少ない、低騒音で安定した希薄混合ガス多段燃焼を行わせることができる。
【００２１】
また、副炎孔板１０、１０の下に配置され、互いに対向する一対の立壁３４Ａ、３４Ｂを有するとともに、底壁３４Ｃに設けた通気穴３５、３５を介して内部に通気間隔４、４の希薄混合ガスが流れるホルダー３４内に、このホルダー３４の両立壁３４Ａ、３４Ｂに前後部が圧接するように前記波板状整流部材３３を収容しているので、希薄混合ガスは、波板状整流部材３３とホルダー３４の両立壁３４Ａ、３４Ｂにて構成された上下方向の多数の分割通路により、希薄混合ガスの直進性を高めて副炎孔１１からの噴出速度をより高めることが可能となる。
【００２２】
【発明の効果】
請求項１の低ＮＯｘガス燃焼装置においては、頂部に主炎孔を有するバーナ体を相互に通気間隔を存してバーナケース内に複数並設し、これらバーナ体間の通気間隔には、前記バーナ体に供給する混合ガスよりも希薄な希薄混合ガスが供給されるガス燃焼装置において、前記バーナ体の左右両側壁の上部には、それの側壁と保炎空間を保って一対の保炎板を立設し、前記バーナ体の隣接する保炎板間には、希薄混合ガスを噴出する多数の副炎孔を長手方向に列設した断面略コ字状の副炎孔板を着脱可能に架設するとともに、この副炎孔板の下には所望の高さ寸法を有する波板状整流部材を配置し、前記波板状整流部材は、互いに対向する一対の立壁と前記通気間隔の希薄混合ガスが流れる通気穴を設けた底壁とを有するホルダー内に前記立壁と接するように収容し、前記ホルダーは、前記保炎板と副炎孔板とで保持される構成としたから、希薄混合ガス噴出用の炎孔面積を狭ばめることができて、通気間隔内への逆火が抑制されるのはもちろんのこと、通気間隔を流れる希薄混合ガスの流れを波板状整流部材で整流した後、副炎孔から噴出させることができるので、ＮＯｘの発生量が少なく、かつ、低騒音の安定した希薄混合ガス多段燃焼を行わせることができ、そのため、バーナ体間の通気間隔を流れるガス量の突発的な変動や、着火時での着火遅れに起因する逆火の発生を抑制しつつ、低騒音で安定した低ＮＯｘ燃焼を実現し得る。
【００２３】
また、波板状整流部材とホルダーの両立壁にて構成された上下方向の多数の分割通路により、希薄混合ガスの直進性を高めて副炎孔からの噴出速度をより高めることが可能となり、逆火防止や騒音抑制に一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一実施形態例を示す低ＮＯｘガス燃焼装置の平面図である。
【図２】 全体構成を説明する説明図である。
【図３】 図１のＡ−Ａ断面による縦断面図である。
【図４】 一つの副炎孔板を取り除いた状態の要部拡大平面図である。
【図５】 ホルダー、波板状整流部材及び副炎孔板の分解状態の斜視図である。
【符号の説明】
３ バーナケース
４ 二次空気通路（通気間隔）
５ バーナ体
７ 主炎孔
１０ 副炎孔板
１１ 副炎孔
３３ 波板状整流部材
３４ ホルダー
３４Ａ ホルダーの立壁
３４Ｂ ホルダーの立壁

Claims (1)

1. 頂部に主炎孔を有するバーナ体を相互に通気間隔を存してバーナケース内に複数並設し、これらバーナ体間の通気間隔には、前記バーナ体に供給する混合ガスよりも希薄な希薄混合ガスが供給されるガス燃焼装置において、
   前記バーナ体の左右両側壁の上部には、それの側壁と保炎空間を保って一対の保炎板を立設し、前記バーナ体の隣接する保炎板間には、希薄混合ガスを噴出する多数の副炎孔を長手方向に列設した断面略コ字状の副炎孔板を着脱可能に架設するとともに、この副炎孔板の下には所望の高さ寸法を有する波板状整流部材を配置し、
   前記波板状整流部材は、互いに対向する一対の立壁と前記通気間隔の希薄混合ガスが流れる通気穴を設けた底壁とを有するホルダー内に前記立壁と接するように収容し、前記ホルダーは、前記保炎板と副炎孔板とで保持される構成としたことを特徴とする低ＮＯｘガス燃焼装置。

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