JP3695469B2 - シール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はシール装置に関する。特に、シール部が第1部材と第2部材との間隙で損傷するのを防止した固定用又は運動用シール装置に関する。
【0002】
【従来技術】
本発明に関する先行技術として、実開平4−62964号公報が存在する。この公報には図4に示すシール装置が記載されている。
【0003】
図4は、このシール装置の断面図である。図4において、シリンダチューブ32に嵌合するピストン31には装着溝33が形成されている。この装着溝33にはバックリング34が嵌着されていると共に、バックリング34の外周面に嵌合する形で、ピストンシール35が嵌合している。このピストンシール35は軟質材により構成されているため、弾力性に欠ける。このため、ゴム材製のバックリング34によりピストンシール35がシリンダチューブ32に圧接するように弾性的に支持している。
【0004】
ピストンシール35は、軟質材製であっても、シール効果を発揮するために、弾性変形するように構成されている。しかも、シール面は相手摺動面に圧接されている。
【0005】
図5は、他の従来技術を示すシール装置の断面図である。図5において、ハウジング41の穴43に嵌合するシャフト42との間のハウジング41には、シール装置40用の取付溝44が形成されている。
【0006】
この取付溝44に嵌着されたシール装置40は、ゴム材製のOリング45と、このOリング45の一方面に配置されたバックアップリング46により構成されている。バックアップリング46は、Oリング45より硬質材製である。そして、断面Γ形の環状体である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように構成された従来技術において、図4に示すシール装置は、ピストンシール35がシリンダチューブ32と密接する必要から、弾力性を備えていなければならない。このため、作動流体圧力を受けると、ピストンシール35の一部が、シリンダチューブ32とピストン31との嵌合間隙36にはみ出し、そのはみ出し部分が損傷するという問題を惹起する。又、ピストンシール35を硬質にすると、装着溝33に挿入する必要からリングの一部をカットして分割部37にしなければならない。従って、その分割部37から流体が流出する問題を惹起する。
【0008】
又、ピストンシール35を硬質にすると、バックリング34により弾性的に支持されていても、シール効果が低下する欠点がある。
【0009】
このような問題点を解決する手段として、図5に示すシール装置が存在する。このシール装置では、Oリング45に作動流体圧力を受けると、Oリング45の一部がハウジング41とシャフト42との間隙にはみ出すので、これをバックアップリング46により防止しようとするものである。
【0010】
しかし、バックアップリング46とシャフト42との間隙を大きくすると、図4に示すシール装置と同様な問題が惹起する。又、反対に間隙を小さくすると、作動圧力がOリングに作用し、その蓄圧された全圧力をバックアップリングが受けることになるから、バックアップリング46が径方向に伸ばされてシャフトを締付けることになり、バックアップリング46を破損させることになる。
【0011】
従って、バックアップリング46を加工するとき、作動圧力および熱的寸法変化を考慮する必要から、その精度を出すことが極めて困難になる。
特に、樹脂材製バックアップリングは熱の影響により寸法が変化するから、その加工精度は、更に難しい。
【0012】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、その目的はバックアップリングの寸法精度を簡単にすると共に、シール部が部材間隙にはみ出すのを防止することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の目的を達成するために成されたものであって、その技術的手段は、以下のように構成されている。
すなわち、相対運動する二部材間に設けられて二部材間を作動流体に対してシールするシール装置であって、一方の部材に設けられた装着溝内に、ゴム状弾性材からなる環状シール部と、前記環状シール部に対し作動流体が作用する側とは反対側で、前記装着溝の支持側面と前記環状シール部との間に配置される環状のバックアップリングとが装着され、前記バックアップリングは、前記環状シール部より硬質の素材からなり、作動流体が作用する側に向いて所定の角度で傾斜する断面平行四辺形状に形成され、前記バックアップリングの側面のうち、前記環状シール部側とは反対の側面は、前記装着溝の底面側の一端が前記装着溝の支持側面に接面し、他端が前記支持側面に離間する形に形成され、前記バックアップリングの環状シール部側の側面は反対側の側面と平行に形成されており、前記環状シール部が作動流体の圧力を受けたときに、前記バックアップリングは、前記環状シール部側とは反対側の側面が前記支持側面に当接する形状に変形して、外周面側が他方の部材側に当接することを特徴とするシール装置である。
【0014】
【作用】
この発明は前記のような手段を採用したことにより、環状シール部は作動流体をシールする際に作動流体の圧力によって装着溝の側面方向に押圧されるが、シール部に対し作動流体が作用する側とは反対側に硬質の素材からなるバックアップリングが装着されているので、このバックアップリングにより支持されて過度な変形が防止される。さらに、バックアップリングは、環状シール部側とは反対側の側面が支持側面に当接する形状に変形して、外周面側が他方の部材側に当接するので、環状シール部が両部材間の間隙内にはみ出すのが防止される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明に係るシール装置が装着溝に取付けられた断面図である。
1はシール部である。シール部1はゴム状弾性材製でOリングに形成されている。又、シール部1の側面には並列にバックアップリング2が配列される。このシール部1とバックアップリング2によりシール装置10を構成する。
【0017】
シール部1はゴム材又は弾性を有する樹脂材により構成される。ゴム材の場合は作動流体の種類によりアクリル、ニトリルゴムなども利用される。又、樹脂材の場合は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の弾性プラスチック材も利用される。そして、シール部1は環状体を成し、断面がO形に形成されているが、D形、楕円形、四角形、U形状など種々のものが利用できる。
【0018】
バックアップリング2は、環状体を成し、断面が図に示すような平行四辺形に形成されている。そして、バックアップリング2の1辺H0の長さはバックアップリングが四角形に変形したとき、第2部材4の外周面に当接する寸法である。
【0019】
バックアップリング2の材質は、作動圧力により設定される。図1に示すバックアップリング2は、低圧の場合で、シール部1より硬質であって、例えば弾性プラスチック又はフッ素樹脂材で構成される。
【0020】
そして、このシール部1とバックアップリング2で構成されたシール装置10は、第1部材3に形成された装着溝6に図1に示すように装着される。
【0021】
図2は、本発明に係るバックアップリング2の配置の他の実施例である。図2において、第1部材3はピストンであって、その装着溝6に取付けた場合である。バックアップリング2は、図1に示す形状のものをシール部1の両側に配置したものである。その他の形状は図1のバックアップリング2とほぼ同一である。尚、バックアップリング2は図2とは異なり、シール部1の両側に対称になる形に配置しても良い。又、シール部1には、硬質の弾性部材13が傾斜した状態に埋設されている。
【0022】
図3は、本発明に係る更に他の実施例である。
図3に示すバックアップリング2は、高圧の場合である。バックアップリング2は、2個の補強部8と、この補強部8を接合する弾性部9により形成されている。弾性部9はシール部1より硬質である。又、補強部8は、弾性部9より更に硬質である。そして、全体が環状体で、断面が略平行四辺形状に形成されている。この断面形状は、図3のバックアップリング2に対し径方向に対称となるように形成しても良い。
【0023】
バックアップリング2の補強部8の対面する相手部材(第2部材)との摺動側が、円弧部12に面取りされている。又、装着溝6の底面側は弾性部分9’がまわり込んでいる。
【0024】
弾性部9はゴム材又は弾性プラスチック材製である。又、補強部8は、プラスチック材、含油焼結金属、アルミ材、銅材などが用いられる。
【0025】
補強部8は、装着溝に嵌合する関係から、リングの1個所を分割しても良い。そして、弾性部9と一体成形される。又、補強部8と弾性部9とは接着せずに組立構造でも良い。
【0026】
上述の実施例は、運動用シール装置であるが、固定用シール装置としても利用される。又、第1部材3と第2部材4とが平面に接合している場合、平面に沿って環状の装着溝6を形成し、この装着溝6に取付けられるように、シール装置も平面に形成することも可能である。
【0027】
上述のように構成された本発明は、環状シール部は作動流体をシールする際に作動流体の圧力によって装着溝の側面方向に押圧されるが、シール部に対し作動流体が作用する側とは反対側に硬質の素材からなるバックアップリングが装着されているので、このバックアップリングにより支持されて過度な変形が防止される。さらに、バックアップリングは、環状シール部側とは反対側の側面が支持側面に当接する形状に変形して、外周面側が他方の部材側に当接するので、環状シール部が両部材間の間隙内にはみ出すのが防止される。
【0028】
【発明の効果】
本発明のシール装置は、環状シール部が二部材間の間隙に入り込むのを防止するバックアップリングについて、シール部側とは反対の側面が、装着溝の支持側面に対し側面の装着溝側一端が接面し他端が離間する形に形成されており、作動流体の圧力が作用すると、前記側面が支持側面に当接する形状に変形して、外周面側が他方の部材側に当接するので、バックアップリングの寸法精度を精密に加工しなくても、優れたはみ出し防止効果が発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例のシール装置の要部断面図である。
【図2】本発明に係る他の実施例のシール装置の要部断面図である。
【図3】本発明に係る更に他の実施例のバックアップリングの要部断面図である。
【図4】従来例のシール装置の要部断面図である。
【図5】従来例の他のシール装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1……シール部
2、46……バックアップリング
3……第1部材
4……第2部材
5……支持側面
6、33……装着溝
7……間隙
8……補強部
9……弾性部
9’……弾性部分
10、30、40……シール装置
11……側面
12……円弧部
13……弾性部材
31……ピストン
32……シリンダチューブ
34……バックリング
35……ピストンシール
36……間隙
37……分割部
41……ハウジング
42……シャフト
43……穴
44……取付溝
45……Oリング

Claims (1)

  1. 相対運動する二部材間に設けられて二部材間を作動流体に対してシールするシール装置であって、
    一方の部材に設けられた装着溝内に、ゴム状弾性材からなる環状シール部と、前記環状シール部に対し作動流体が作用する側とは反対側で、前記装着溝の支持側面と前記環状シール部との間に配置される環状のバックアップリングとが装着され、
    前記バックアップリングは、前記環状シール部より硬質の素材からなり、作動流体が作用する側に向いて所定の角度で傾斜する断面平行四辺形状に形成され、
    前記バックアップリングの側面のうち、前記環状シール部側とは反対の側面は、前記装着溝の底面側の一端が前記装着溝の支持側面に接面し、他端が前記支持側面に離間する形に形成され、前記バックアップリングの環状シール部側の側面は反対側の側面と平行に形成されており、
    前記環状シール部が作動流体の圧力を受けたときに、前記バックアップリングは、前記環状シール部側とは反対側の側面が前記支持側面に当接する形状に変形して、外周面側が他方の部材側に当接することを特徴とするシール装置。
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