JP3695248B2 - 自動二輪車用運転シートの開放装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用運転シートの開放装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車の運転シートを開放する装置として、例えば図8に示すように、車体(図示せず)側に固定される下部ブラケット1に、運転シート(図示せず)側に固定される左右一対の上部ブラケット2を、回転軸3を介して回転自在に軸支し、この回転軸3を渦巻きバネ4の中に通して、このバネ4の反発力により運転シートを自動的に開放するようにしたシートヒンジ5がある。また、回転軸3上には回転ダンパ6も設けられており、このダンパ6により運転シートの開放速度を調節して運転シートが急激に跳ね上がるのを防止していた。
【0003】
さらに、このシートヒンジ5の回転軸3には渦巻きバネ4および回転ダンパ6固定用のすり割り7が設けられており、回転軸3の先端にはこの回転軸3の抜け止め用のCリング8が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上部ブラケットを左右別体にすると部品点数が増え、コストもかかる。
【0005】
また、回転軸に設けられる渦巻きバネおよび回転ダンパ固定用のすり割りは機械加工によるため、その加工費は加工量に比例して大きくなるが、従来例に示すように渦巻きバネおよび回転ダンパを回転軸の略中央に配置するとすり割りの加工量が増え、コストが増加すると共に、回転軸の強度も低下する。
【0006】
さらに、回転軸の先端に回転軸の抜け止め用のCリングを設ける場合、回転軸をCリングの取り付ける分延長しなければならず、すり割りも長くなって好ましくない。
【0007】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、部品点数、コストの削減および強度低下の防止を図った自動二輪車用運転シートの開放装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動二輪車用運転シートの開放装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、車体側に固定される下部ブラケットに、運転シート側に固定される上部ブラケットを、回転軸を介して回転自在に軸支し、この回転軸を渦巻きバネの中に通して、このバネの反発力により上記運転シートを自動的に開放するように構成すると共に、上記回転軸上に回転ダンパを設けてこの回転ダンパにより上記運転シートの開放速度を調節するように構成した運転シートの開放装置において、上記上部ブラケットを片持ち式構造とすると共に、上記下部ブラケットに設けられる軸受け部の外側に上記回転軸の自由端を配置し、この自由端に上記渦巻きバネ及び回転ダンパを配置すると共に、すり割を形成して上記渦巻きバネの内周端および回転ダンパの回転体を係止したものである。
【0009】
また、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記渦巻きバネを上記軸受部の外側に配置し、この渦巻きバネの外側に上記回転ダンパを配置したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、この発明を適用したスクータ型自動二輪車の一例を示す左側面図である。図に示すように、このスクータ型自動二輪車11は車体フレーム12を有し、この車体フレーム12は上下一対のダウンチューブ13と、これらのダウンチューブ13の後端側から後方に延びる左右一対のリヤフレーム14とから構成される。
【0012】
ダウンチューブ13の前端にはヘッドパイプ15が設けられる。ヘッドパイプ15には前輪16を回動自在に支持するフロントフォーク17やハンドルバー18等が設けられ、このハンドルバー18により前輪16が左右に回動自在に操舵される。
【0013】
車体フレーム12の例えばダウンチューブ13とリヤフレーム14との結合部には左右一対の補強板19が設けられ、これらの補強板19間に架設されたピボット軸20にユニットスイング型エンジン21の前側上部がリンク22を介してスイング自在に枢着される。
【0014】
ユニットスイング型エンジン21はエンジン本体23と、このエンジン本体23の一側から後方に延びる伝導ケース24とを備える。この伝導ケース24はスイングアームを兼ねており、ダウンチューブ13の中央下部に設けられたショックアブソーバ25により車体フレーム12に弾性的に且つ揺動可能に支持される。そして、伝導ケース24の後端に駆動輪である後輪26が保持される。
【0015】
エンジン本体23にはエンジン吸気系を構成するキャブレタ27が接続され、このキャブレタ27の上流側には同じくエンジン吸気系を構成するエアクリーナ28が接続される。また、エンジン吸気系27,28の前方下部には燃料タンク29が配置される。そして、車体フレーム12はその廻りを車体カバー30により覆われる。
【0016】
図2は、車体カバー30を取り外した状態の自動二輪車11の後部を拡大した図である。図2に示すように、リヤフレーム14の上方にはヘルメット31等を収納可能な物品収納室32が設けられ、物品収納室32の上方に運転シート33が設置される。
【0017】
運転シート33は、例えば車体フレーム12上の運転シート33前下部に配置されたシートヒンジ34を介して例えば上下方向に開閉自在に設けられる。
【0018】
図3は、図2のIII矢視図であり、シートヒンジ34の拡大後面図である。図3に示すように、シートヒンジ34は運転シート33側に固定される上部ブラケット35、車体側に固定される下部ブラケット36、回転軸37、渦巻きバネ38および回転ダンパ39を主な構成部材として構成され、図4に上部ブラケット35単品の後面図を、図5に下部ブラケット36単品の後面図をそれぞれ示す。また、図6および図7はそれぞれ図3のVIおよびVII矢視図を示す。
【0019】
図3〜図7に示すように、上部ブラケット35は、車幅方向に延び、運転シート33の下面に図示しないビス等で固定される固定プレート40と、この固定プレート40の一側から略下方に向かって伸びる支持腕41とから構成され、この支持腕41の下部に車幅方向と平行に延びる回転軸37の端部が一体的に固着される、いわゆる片持ち式構造に構成される。
【0020】
回転軸の自由端37aには渦巻きバネ38および回転ダンパ39固定用のすり割り42が軸方向に形成されると共に、回転軸37の略中間には例えばEリング43を係合可能なリング溝44が形成される。
【0021】
一方、下部ブラケット36は、車幅方向に延び、車体フレーム12に図示しないビス等で固定されるヒンジ基部45と、このヒンジ基部45から上方に向かって延び、車幅方向に並設される左右一対の支持板46と、これらの支持板46にそれぞれ設けられる軸受部47とから構成され、これらの軸受部47によって上記回転軸37が回動自在に片持ち軸支される。
【0022】
図3に示すように、回転軸37端部に固着される上部ブラケット35の支持腕41および回転軸の自由端37aに形成されるすり割り42はどちらも支持板46に設けられる軸受部47の外側に配置されると共に、リング溝44は軸受部47の内側に形成され、このリング溝44に例えばEリング43が係合されて下部ブラケット36からの回転軸37および上部ブラケット35の抜け止めがなされる。なお、符号48はワッシャである。
【0023】
図3および図6に示すように、渦巻きバネ38は支持板46に設けられた軸受部47の外側に配置されると共に、渦巻きバネ38の外周端は下部ブラケット36に固定され、内周端は回転軸の自由端37aに形成されたすり割り42に係止される。そして、この渦巻きバネ38はその反発力により運転シート33開放時の開放力を回転軸37に発生させるものである。
【0024】
また、図3および図7に示すように、回転ダンパ39はダンパ本体49とその中心部に設けられた回転体50とを有する周知のものであり、回転軸37上の、渦巻きバネ38の外側に配置されると共に、ダンパ本体49は下部ブラケット36に固定される。回転体50は回転軸37の外周面に外嵌可能な筒形状を有し、その内部径方向に架設された係合部50aが回転軸の自由端37aに形成されたすり割り42に係合され、回転軸37と一体に回動する。そして、この回転ダンパ39はその緩衝力により渦巻きバネ38の反発力によって開放される運転シート33の開放速度を調節して運転シート33が急激に跳ね上がるのを防止するものである。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0026】
図示しないシートロック装置等を開錠すると、運転シート33はシートヒンジ34の回転軸37上に設けられた渦巻きバネ38の反発力により回転軸37を中心に開放される。このとき、渦巻きバネ38の反発力は回転軸37上に設けられた回転ダンパ39によってその一部が緩衝され、運転シート33は適度なスピードで開放される。
【0027】
本発明においては、シートヒンジ34を構成する上部ブラケット35を片持ち式構造とすることにより、部品点数が削減でき、コストも低下する。
【0028】
また、回転軸の自由端37aを下部ブラケット36の支持板46に設けられる軸受部47の外側に配置し、この回転軸の自由端37aに渦巻きバネ38および回転ダンパ39を配置するようにしたことにより回転軸の自由端37aに形成されるすり割り42の長さを短縮化できる。その結果、すり割り42の加工量が減り、加工コストが低下すると共に、回転軸37の強度低下も防止でき、変形も防げる。回転軸37の強度が充分に保てれば、回転軸37の小径化が可能になってシートヒンジ34の小型化、軽量化が図れると共に、軸受部47のがたつきも低下する。
【0029】
さらに、渦巻きバネ38を支持板46に設けられた軸受部47の外側に配置し、この渦巻きバネ38の外側に回転軸37の外周面に外嵌可能な筒形状を有する回転体50を備えた回転ダンパ39を配置したことにより、渦巻きバネ38によってこじられるすり割り42の変形が回転ダンパ39の回転体50によって防止される。
【0030】
そして、軸受部47の内側に形成された回転軸37上のリング溝44にEリング43を係合することによって下部ブラケット36からの回転軸37および上部ブラケット35の抜け止めを行うことにより、回転軸37端部の延長が不要になり、すり割り42も短縮化できる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動二輪車用運転シートの開放装置によれば、車体側に固定される下部ブラケットに、運転シート側に固定される上部ブラケットを、回転軸を介して回転自在に軸支し、この回転軸を渦巻きバネの中に通して、このバネの反発力により上記運転シートを自動的に開放するように構成すると共に、上記回転軸上に回転ダンパを設けてこの回転ダンパにより上記運転シートの開放速度を調節するように構成した運転シートの開放装置において、上記上部ブラケットを片持ち式構造とすると共に、上記下部ブラケットに設けられる軸受け部の外側に上記回転軸の自由端を配置し、この自由端に上記渦巻きバネ及び回転ダンパを配置すると共に、すり割を形成して上記渦巻きバネの内周端および回転ダンパの回転体を係止したため、部品点数が削減できると共に、すり割りの長さを短縮化でき、回転軸の強度低下が防止できる。
【0032】
また、上記渦巻きバネを上記軸受部の外側に配置し、この渦巻きバネの外側に上記回転ダンパを配置したため、すり割りの変形が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車用運転シートの開放装置の一実施形態を示すスクータ型自動二輪車の左側面図。
【図2】車体カバーを取り外した状態の自動二輪車の後部を拡大した図。
【図3】図2のIII矢視図であり、シートヒンジの拡大後面図。
【図4】上部ブラケット単品の後面図。
【図5】下部ブラケット単品の後面図。
【図6】図3のVI矢視図。
【図7】図3のVII矢視図。
【図8】従来の、運転シートの開放装置を備えたシートヒンジの拡大後面図。
【符号の説明】
11 自動二輪車
33 運転シート
34 シートヒンジ
35 上部ブラケット
36 下部ブラケット
37 回転軸
37a 回転軸の自由端
38 渦巻きバネ
39 回転ダンパ
42 すり割り
44 リング溝
47 軸受部
50 回転体
Claims (1)
- 車体側に固定される下部ブラケットに、運転シート側に固定される上部ブラケットを、回転軸を介して回転自在に軸支し、この回転軸を渦巻きバネの中に通して、このバネの反発力により上記運転シートを自動的に開放するように構成すると共に、上記回転軸上に回転ダンパを設けてこの回転ダンパにより上記運転シートの開放速度を調節するように構成した運転シートの開放装置において、上記上部ブラケット35を片持ち式構造とすると共に、上記下部ブラケット36に設けられる軸受け部47の外側に上記回転軸37の自由端37aを配置し、この自由端37aに上記渦巻きバネ38及び回転ダンパ39を配置すると共に、すり割42を形成して上記渦巻きバネ38の内周端および回転ダンパ39の回転体50を係止したことを特徴とする自動二輪車用運転シートの開放装置。
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