JP3695001B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層フィルムに関するものであり、詳しくは帯電防止性、接着性、耐ブロッキング性などに優れ、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料などに使用される基体フィルムとして好適な積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性フィルム、中でもポリエステルフィルムは、その耐熱性、耐薬品性、機械的特性において優れた特性を有することから磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料など多くの用途に用いられている。
【0003】
そして、これらの用途においては、ポリエステルフィルム表面に各種の被覆物、例えば磁性体塗料、ケミカルマット塗料、ジアゾ感光塗料、ゼラチン組成物、ヒートシール付与組成物、各種のインキなどが塗布、印刷されて使用される。
【0004】
特に、磁気記録材料として用いられるポリエステルフィルムは、磁気記録の信頼性、高密度化の点から、表面に平坦性、平滑性が求められる。このようなフィルムは通常ロール状に巻き、連続的に磁性塗料が塗布されることにより製造される。
【0005】
また、従来から、例えば、磁気記録材料用ポリエステルフィルム基材には磁気記録層との接着性を高める意味から、ポリエステルフィルム上にポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの特定のプライマー層を設ける手段を用いることが多い。特に、経済性の点でポリエステルフィルム製造工程中で水溶性もしくは水分散性の樹脂を塗布し、延伸、熱処理を施して、一気にプライマー層を設けたポリエステルフィルムを製造する、いわゆるインラインコート法がよく用いられている。
【0006】
例えば、ポリエステル系樹脂をインラインコート法に適用する場合には、塗布するポリエステル系樹脂は水に溶解、分散を目的として、スルホン酸金属塩基含有化合物、ポリアルキレングリコールを共重合した組成物が用いる方法などが知られている(特公昭47−40873号公報、特開昭50−121336号公報、特開昭50−134086号公報、特開昭63−66239号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ロール状に巻かれたフイルムは巻き出し部において剥離帯電を帯び易く、かつ、塗布工程において各種のロールと接触してより強帯電化する現象がある。特に、工程中にシリコンロールがある場合にはポリエステルフィルムは強く負に帯電し、これが強くなると工程雰囲気内の塵埃を吸着したり、さらに極端な帯電が起こると、塗布工程や金属ロールとの間で火花放電を発生させ、塗料中に溶媒に引火する危険性がある。
【0008】
ポリエステルフィルム上にポリエステル系樹脂、例えば、スルホン酸金属塩基を含有したポリエステル共重合体を積層したポリエステルフィルムは、ロール状に巻き、巻き出す際に極めて負に帯電し易く、更には塗布工程中のシリコンロールとの接触により、それが加速される現象があり、上記の塵埃付着や火花放電などの発生を促進する原因となっていた。そのために加工速度を遅くしたり、極端な場合には停機するなどの処置が必要であった。
【0009】
また、ポリアルキレングリコールを共重合した場合には、上記帯電現象は緩和されるが、高温高湿下での耐ブロッキング性に劣る現象があった。
【0010】
アクリル系樹脂やウレタン系樹脂を積層したポリエステルフィルムについても同様に、各種ロールとの接触により、強帯電化する現象が見られ、耐ブロッキング性にも劣るなどの問題がある。
【0011】
本発明はこれらの欠点を解消、すなわち塗布工程中の帯電が少なく、塵埃や火花放電などの問題が発生せず、かつ高温高湿下での耐ブロッキング性に優れ、接着性が良好な積層フィルムを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、熱可塑性フィルム基体の少なくとも片面に、水性アクリル系樹脂と水性ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂とからなる共重合体を主体とした塗膜が積層されてなる積層フィルムであって、該塗膜を形成する共重合体ににおける各樹脂成分の比率が少なくとも10重量%以上であり、かつ、該塗膜の積層面とポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムとの摩擦における該積層フィルムの帯電圧が+2kV以上、+7kV以下であることを特徴とする積層フィルムをその骨子とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る熱可塑性フィルムは、特に限定されるものではなく、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどの二軸配向フィルムを用いることができる。特に、本発明においては、フィルム特性、汎用性などを勘案するとポリエステルフィルムを好適に用いることができ、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどをその代表例とすることができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲内で他のジカルボン酸、ジオールを共重合してもよい。
【0014】
本発明に係る積層塗膜の主成分は、水性アクリル系樹脂と水性ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂とからなる共重合体であり、この共重合体における各樹脂成分の比率は少なくとも10重量%以上である。このなかから、その積層塗膜と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムとの摩擦において、その積層塗膜面の帯電圧が+2kV以上、+7kV以下となるような樹脂組成を選択して用いる。
【0015】
本発明に係る積層塗膜に用いられる水性ポリエステル系樹脂としては、その共重合組成物中にスルホン酸金属塩基含有組成物が好ましくは1モル%以下、より好ましくは0.3モル%以下、さらに好ましくは0.1モル%以下であり、0モル%とするのが最も好ましい。すなわち、このようなスルホン酸金属塩基は電子受容性基として作用するため、剥離や摩擦において負に帯電し易く、更に磁性層などの塗布工程中でシリコンロールなどに接触してその負電荷が増幅される傾向にある。
【0016】
本発明の帯電圧を正帯電とするには、スルホン酸金属塩基含有組成物の含有量が少なくし、ポリオキシアルキレングリコールの含有量を増大させる方法があるが、ポリオキシアルキレングリコールの含有量が増えると本発明の正帯電圧を越え、結果的に塵埃の付着や火花放電が発生する。また、高温高湿下でのブロッキングが発生し易くなる。
【0017】
本発明の要件を満たすにはスルホン酸金属塩基含有量を好ましくは1モル%以下とし、ポリオキシアルキレングリコールの含有量を0.1重量%以上、10重量%以下含有させるのが好ましく、更には0.5重量%以上、5重量%以下含有させるのが好ましい形態である。
【0018】
ポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが好ましく、その分子量は400〜20000程度のものを任意に用い得る。共重合ポリエステル組成物の上記構成物以外のものは特に限定されないが、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であるのが耐ブロッキング性の点で望ましい。
【0019】
また、ジオール成分としては炭素数2〜8の脂肪族ジオール、炭素数6〜16の脂環族ジオールが好ましい。上記の組成物により成るポリエステル共重合体の好ましい形態としては分子量が好ましくは1000〜20000、ガラス転移点は好ましくは0℃以上、80℃未満、より好ましくは10℃以上、70℃未満のものが好適である。
【0020】
また、酸価は40〜120KOHmg/gのものが接着性の点で好ましい。このような酸価を得るためには3官能以上のジカルボン酸組成物の共重合が好ましい。
【0021】
本発明に用いられる好ましいポリエステル共重合体は次の方法によって得ることができる。その一例は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールを用い、ポリエステル重合法によってエステル交換反応を行い、更にポリエチレングリコールを仕込んで重合を完結させる方法によって共重合ポリマーを得る。得られた共重合ポリエステルを水溶化もしくは水分散化する方法としては、例えば特開昭54−46294号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0022】
本発明に係る水性アクリル系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イタコン酸などのアクリル系モノマーの共重合体や、これらのモノマーと他の不飽和モノマーの共重合体を用いることができる。他の不飽和モノマーとしてはスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸ソーダなどを用いることができる。これらの水性アクリル系樹脂は、前述のモノマーを常法によって重合することで製造することができる。
【0023】
該水性アクリル系樹脂のガラス転移温度は、0℃以上、90℃以下の範囲が好ましく、粒径は0.5μm以下が好ましい。
【0024】
本発明に係る水性ポリウレタン系樹脂としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、または硫酸半エステル塩基により水への親和性が高められたポリウレタンを用いることができる。ただし、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、硫酸半エステル塩基などの塩基の量は、0.5〜15重量%が好ましい。
【0025】
ポリウレタン系樹脂の合成に用いるポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどを用いることができる。
【0026】
ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。
【0027】
カルボン酸含有ポリオールとしては、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、トリメリット酸ビス(エチレングリコール)エステルなどを用いることができる。
【0028】
アミノ酸含有カルボン酸としては、例えばβ−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、p−アミノ安息香酸などを用いることができる。
【0029】
水酸基含有カルボン酸としては、例えば3−ヒドロキシプロピオン酸、γ−ヒドロキシ酪酸、p−(2−ヒドロキシジエチル)安息香酸、リンゴ酸などを用いることができる。
【0030】
アミノ基または水酸基とスルホン酸基を有する化合物としては、例えばアミノメタンスルホン酸、2−アミノエタンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−2−スルホン酸、β−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム、脂肪族ジ第1級アミン化合物のプロパンサルトン、ブタンサルトン付加生成物などを用いることができる。更には、アミノ基、または水酸基と硫酸半エステル基を含有する化合物としては、例えばアミノエタノール硫酸、エチレンジアミンエタノール硫酸、アミノブタノール硫酸、ヒドロキシエタノール硫酸、γ−ヒドロキシプロパノール硫酸、α−ヒドロキシブタノール硫酸などを用いることができる。
【0031】
あるいは、特公昭42−24194号公報、特公昭46−7720号公報、特公昭46−10193号公報、特公昭49−37839号公報、特開昭50−123197号公報、特開昭53−126058号公報、特開昭54−138098号公報などで公知のアニオン性基を有するポリウレタン系樹脂あるいはそれらに準じたポリウレタン系樹脂を用いることができる。
【0032】
また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート反応性水素原子を有する鎖長延長剤およびイソシアネート基と反応する基、およびアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。
【0033】
ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基は、好ましくは−SO3 H、−OSO2 H、−COOHおよびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩を用いることができる。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基の量は、0.05〜8重量%が好ましい。
【0034】
本発明においては、塗膜用の樹脂材として、水性ポリエステル系樹脂と水性アクリル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂とからなる共重合体を用いることが必要である。本発明においては、ポリエステル−ポリウレタン骨格のポリエステル部分に更にアクリル系樹脂をグラフトさせた、アクリルグラフトポリエステル−ポリウレタンの三元共重合体が好ましく用いられる。
【0035】
これらの各樹脂成分の共重合比率は、少なくとも10重量%以上であり、好ましくは15重量%以上である。いずれの場合も、各樹脂の比率が10重量%未満では塗膜の改良効果が乏しくなる傾向がある。
【0036】
上述の共重合体の製造は次の方法に従って行うことができるが、例えばアクリル−ポリウレタンの製造方法としては、前記ポリウレタンの水分散液中に少量の分散剤と重合開始剤を添加し、一定温度に保ちながら前記のアクリル系モノマーを攪拌しながら徐々に添加し、その後必要に応じて温度を上昇させ、一定時間反応を続けてアクリル系モノマーの重合を完結させ、アクリル−ポリウレタンの水分散体として得る方法を用いることができる。
【0038】
また、アクリル−ポリエステルポリウレタンの場合は、まずポリエステル−ポリウレタンのブロック共重合体を製造しておき、更にポリエステルの側鎖部分にアクリル樹脂をグラフトさせるなどして得ることができる。
【0039】
なお、これらの3成分系樹脂の分子量は、1000〜50000が好ましく、より好ましくは5000〜50000であり、樹脂のガラス転移温度は0℃以上、100℃未満が好ましく、より好ましくは20℃以上、80℃未満である。
【0040】
上記のポリエステルフィルム基体および積層塗膜を形成する混合物あるいは共重合体中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加物、例えば難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、各種ワックス、有機、無機の微粒子、各種架橋剤、例えばメラミン、エポキシ、イソシアネートなどが添加されていてもよい。
【0041】
これらの中で、特にワックスの添加は帯電圧を低下させる効果が助長されるので好ましい。添加するワックスは特に限定されないが、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ロウ、オリキューリーワックス、さとうきびロウなどの天然ワックスが好ましく、特にカルナバワックスの添加が有用である。
【0042】
ワックスの添加量は共重合ポリエステルに対し、30重量%未満が好ましく、より好ましくは15重量%未満であるのが接着性を阻害せず、帯電防止効果を得る上で好ましい。また、基材ポリエステルフイルム中に含有させた場合にも帯電圧を低減させる効果を有するので好ましく、その添加方法は特に限定されない。もちろん、ワックスを添加した積層塗膜を有する積層フィルムを再利用して溶融押し出したものであってもよい。いずれの場合においてもその添加量は5ppm以上、20重量%未満とするのが基体フィルムの機械的特性の点で好ましい。
【0043】
本発明においては基体フィルムおよび積層塗膜の厚みは特に限定せず、用途によって自在に選択することができるが通常、基体フィルムは3〜200μm、積層塗膜厚みは0.001〜1μmの範囲である。
【0044】
次に、本発明の好ましい実施態様について、基体フィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以後、「PET」と略称する)フィルムを例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0045】
PETチップを180℃で4時間真空乾燥した後、溶融押し出し機に供給し、280℃で溶融し、Tダイよりシート状に押し出す。このシートを20〜30℃の鏡面冷却ドラム上で冷却し未延伸シートを作成する。この未延伸シートを長手方向に80〜120℃の温度で2〜5倍に延伸し、塗布を施す面にコロナ放電処理を行い、その処理面に事前に調合した塗布液を任意の方法、例えばグラビア方式、リバース方式、コンマ方式、バー方式などで一定量塗布し、クリップで把持して横延伸ゾーンに導く。導いたフイルムの塗布層を乾燥、もしくは乾燥しつつ、幅方向に90〜140℃の温度で2.5〜5倍に延伸し、連続的に160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、約1〜30秒間熱処理を施す。もちろん必要に応じて幅方向延伸後、熱処理前の段階において更に長手方向、幅方向に再延伸を施しても良い。また熱処理ゾーンにおいて1〜12%程度の幅方向の弛緩処理を施しても良い。かくして得られた積層PETフィルムは後工程により塗布、ラミネートなどの加工を行う用途、例えば磁気記録材料、印刷用途、写真用途、包装材料、感熱記録材料などの用途に好適に使用される。
【0046】
【特性値の測定方法および評価方法】
本発明における特性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
【0047】
(1)接着性
積層フィルムの積層面に磁性体塗料(“ダイフェラコート”CAD−4301:大日精化工業(株)製)100重量部と硬化剤として“スミジュール”N75(住友バイエル(株)製)1重量部を混合した塗料を作成し、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるようにバーコーターで塗布する。塗布後100℃で5分間乾燥し磁性層を設けた積層フイルムAを得る。
【0048】
別に二軸配向ポリエステルフィルム(東レ(株)製“ルミラー”T60、50μm)に“セイカボンド”(大日精化工業(株)製)E270/C26(10/2重量比)の塗料を乾燥後の厚みが8μmになるように塗布し、60℃で1分間乾燥してヒートシール性の被覆層を設けた積層フィルムBを作成した。
【0049】
次に2枚の積層フィルムBを用い、その積層面が積層フィルムAの両面に接触するように重ねあわせ、表面温度が100℃の熱プレスロールで熱圧着する。このサンプルを40℃、48時間エージング処理した後、15mm幅の短冊状にスリットし、そのサンプルの磁性層面の剥離強さを90度剥離、引張速度200mm/分で測定する。接着強さは以下の基準で判定し「○」以上を良好とした。
【0050】
◎:150g/15mm幅以上
○:100g/15mm幅以上、150g/15mm幅未満
△:50g/15mm以上、100g/15mm幅未満
×:50g/15mm幅未満
【0051】
(2)摩擦帯電圧
幅65mmの金属ドラム回転体の表面に二軸配向ポリエステルフィルム(東レ(株)製“ルミラー”T60、12μm厚)をドラム幅両側より各5mm広い幅で10周巻き付ける。測定サンプルを幅50mm、長さ300mmの短冊状にスリットし、測定面をドラムに巻き付けた二軸配向ポリエステルフィルムに接触するようにセットし、巻き付け角90度で一端を手で支持し、もう一端に255gの荷重をかけた状態でドラムを回転させ5秒間摩擦させる。摩擦直後の帯電圧を下記の測定条件で測定した。
【0052】
「測定条件」
静電気測定機:シシド静電気(株)製“スタチロン”TH型
測定距離 :ヘッド開口部より50mm
ドラム回転体:65mm幅×150mm直径、回転数860rpm
測定雰囲気 :23℃、65%RH
【0053】
(3)走行帯電性
巻き出し、巻き取り機を有する装置の巻き出し側に、測定するフィルムのロールをセットし、巻き取りまでのフィルム通過過程において測定面をシリコンロールと接触させ、シリコンロールを通過直後のフィルム測定面の帯電圧を連続的に測定した。測定時間はフィルム走行開始後1分後とし、5秒間の測定値の平均値とした。測定は上記(2)の測定機を用いた。
【0054】
「測定条件」
フィルム走行速度:30m/分
シリコンロール:直径10mm
巻き付け角 :90度
測定雰囲気 :23℃、65%RH
【0055】
帯電圧を以下の基準で判定し、「○」以上を良好とした
◎:帯電圧:±1kV以内
○:帯電圧:±3kV以内
△:帯電圧:±5kV以内
×:帯電圧:±5kVを超える場合
【0056】
(4)耐ブロッキング性−1
積層フィルムの積層面と非積層面を重ね合わせるにあたり、その重ね合わせ部分(3cm×4cm)に2μlの水滴を注入し、500g/12cm2 の荷重をかけて20℃、50%RH中で48時間放置した後、重ね合わせ部分の剪断剥離力を引張試験機“テンシロン”を用いて200mm/分の速度で測定した。
【0057】
以下の基準で判定し、「○」以上を良好とした。
【0058】
◎:0.1kg/12cm2 未満
○:0.1kg/12cm2 以上、0.5kg/12cm2 未満
△:0.5kg/12cm2 以上、1kg/12cm2 未満
×:1kg/12cm2 以上
【0059】
(5)耐ブロッキング性−2
積層フィルムの積層面と非積層面を重ね合わせ(3cm×4cm)、500g/12cm2 の荷重をかけて40℃、85%RH中で48時間放置した後、上記と同様にして剪断剥離力を測定した。
【0060】
(6)積層塗膜の厚み
日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層フイルムの超薄膜断面切片を観察して求めた。なお、測定値は10点測定の平均値とした。
【0061】
【実施例】
次に実施例に基づき本発明を説明するが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
参考例
平均粒径0.2μmのシリカ粒子を0.2重量%含有した極限粘度0.6のポリエチレンテレフタレートを180℃で十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給して280℃で溶融し、10μmカットの金属焼結フィルターで瀘過した後、T字型口金よりシート状に押し出し、これを表面温度30℃の冷却ドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この間のシートと冷却ドラム表面との密着性を向上させるためシート側にワイヤー電極を配置して6000Vの直流電圧を印加した。かくして得られた未延伸シートを95℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フイルムとした。このフイルムの片面に空気雰囲気中でコロナ放電処理を施し、その処理面にグラビアコート方式で下記の塗液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながらテンター内に導き、110℃で水分を乾燥した後、120℃に加熱して幅方向に3.5倍延伸し、更に連続的に225℃の熱処理ゾーンに導き、5秒間の熱処理を行った。得られた積層PETフィルムは、積層塗膜厚み0.04μm、フィルム厚み10μmであった。結果を表3に示す。
【0063】
「塗液組成」
ポリエステル系樹脂:
イソフタル酸 100モル%
ジエチレングリコール 40モル%
ネオペンチルグリコール 60モル%
上記組成からなるアンモニア水中和水分散体
アクリル系樹脂:
水分散性のポリエステル系ポリウレタン(大日本インキ化学工業(株)製“ハイドラン”HW−350)
ポリエステル系樹脂/ポリウレタン系樹脂を固形分重量比で50/50で混合したもの94重量部に、カルナバワックス水分散体重量部からなる固形分濃度2重量%の塗液。
【0066】
実施例
参考例の塗液をアクリルグラフトポリエステル−ポリウレタン(アクリル成分/ポリエステル成分/ポリウレタン成分=0.5/1/1(固形分重量比))とした以外は、参考例と同様にして積層フィルムを得た。結果を表3に示す。
【0068】
比較例1
参考例において積層塗膜を設けない二軸延伸PETフィルム作成し、そのまま用いた。結果を表3に示す。
【0069】
比較例2
参考例の塗液において、下記のポリエステル系樹脂90重量部に対し、カルナバワックス水分散体を10重量部混合した塗液を用いた以外は、参考例と同様にして積層フィルムを得た。結果を表3に示す。
【0070】
ポリエステル系樹脂:
テレフタル酸 80モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 20モル%
エチレングリコール 90モル%
ジエチレングリコール 10モル%
上記組成からなる水溶液
【0071】
比較例3
参考例の塗液として、下記のアクリル系樹脂のみを用いた以外は、参考例と同様にして積層フィルムを得た。結果を表3に示す。
【0072】
アクリル系樹脂:
メチルメタクリレート 63重量%
エチルアクリレート 33重量%
アクリル酸 2重量%
N−メチロールアクリルアミド 2重量%
上記組成からなる水性エマルジョン
【0073】
実施例
実施例のアクリルグラフトポリエステル−ポリウレタンで、成分比率をアクリル成分/ポリエステル成分/ポリウレタン成分=0.3/1/1(固形分重量比)とし、カルナバワックス添加量を表2に示すようにした以外は、実施例と同様にして積層フィルムを得た。結果を表3に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003695001
【表2】
Figure 0003695001
【表3】
Figure 0003695001
【0076】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性フィルム基体の少なくとも片面に、水性アクリル系樹脂と水性ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂とからなる共重合体を主体とした塗膜が積層されてなる積層フィルムであって、該塗膜の積層面とポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムとの摩擦における該積層フィルムの帯電圧が+2kV以上、+7kV以下とすることにより、塗布、印刷、ラミネートなどの後加工における工程帯電を減少させることができる。また、本積層塗膜は接着性、高温高湿下での耐ブロッキング性に優れる。

Claims (6)

  1. 熱可塑性フィルム基体の少なくとも片面に、水性アクリル系樹脂と水性ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂とからなる共重合体を主体とした塗膜が積層されてなる積層フィルムであって、該塗膜を形成する共重合体における各樹脂成分の比率が少なくとも10重量%以上であり、かつ、該塗膜の積層面とポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムとの摩擦における該積層フィルムの帯電圧が+2kV以上、+7kV以下であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 塗膜中に、天然性ワックスが30重量%未満含有されることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 天然性ワックスがカルナバワックスであることを特徴とする請求項に記載の積層フィルム。
  4. 塗膜を形成する共重合体のガラス転移温度が0℃以上、100℃未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 積層フィルムを磁気記録媒体に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 熱可塑性フィルム基体が、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートを主要構成成分とするポリマーからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
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