JP3694437B2 - エレベータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗かごをロープによって昇降させるエレベータ装置に係り、特に、ロープの端部に連結されるシンブルロッドの端部近傍に、乗かごの積載荷重を検出する荷重検出装置を備えたエレベータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5−246644号公報に記載のように、乗かごをロープによって昇降させるエレベータ装置において、ロープの端部に連結されるシンブルロッドの端部近傍に、乗かごの乗客等による積載荷重を検出する荷重検出装置を設けたエレベータ装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、シンプルロッド相互間に荷重検出装置を配置するための広いスペースを必要としていた。その結果、昇降路の上部に配置されロープが巻回されるシーブを通る鉛直線に対する、シンブルロッドとシーブ間に位置するロープ部分のなす角度であるフリートアングルが大きくなりがちである。一般にこのシーブに対するロープのフリートアングルは、シーブに巻回されるロープの摩耗抑制と長寿命化のためにできるだけ小さくしなければならない。
【0004】
上記従来技術ではフリートアングルを小さくするために、乗かごが最上階にあるときの乗かご底面から昇降路の頂部までの高さ寸法であるオーバーヘッドを大きくとらざるを得ない。したがって、上述した従来技術にあっては、昇降路を小さくしたいという昨今の要望には応えられないのが実状である。
【0005】
本発明の目的は、シーブに対するロープのフリートアングルを小さく保った状態にあって、オーバーヘッドを比較的小さく設定することができるエレベータ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、昇降路内を昇降する乗かごと、この乗かごを懸吊する複数本のロープと、これらの複数本のロープの端部を乗かごが支持されているかご枠に設けられた係止部にばねを介して貫通して連結されるシンブルロッドとを備えたエレベータ装置において、前記係止部の上下部に、シンブルロッドのそれぞれを一体的に保持するシンブルロッド保持部材を設け、かつ、前記下方の保持部材と前記係止部のそれぞれに、前記シンブルロッドと平行となるよう下方に延設され、下端がシンブルロッドの自由端部の外側の延長部分に位置するように折り曲げられた折り曲げ部を有する支持部材を設け、この支持部材のそれぞれの折り曲げ部間に、通常は接触状態にあり、前記乗かごに定格荷重以上の重さがかかると前記係止部側の折り曲げ部の下方移動により前記接触状態が離れ、前記乗かごの積載荷重を検出する荷重検出装置を設け、一方、前記シンブルロッドそれぞれの可動範囲を制限するストッパを設けた構成にしてある。
【0007】
このように構成した本発明では、支持部材に支持される荷重検出装置がシンブルロッドそれぞれの自由端部よりも外側に配置されるので、シンブルロッド相互間の間隔を狭めるように設定することができ、これにより、ロープが巻回されるシーブを通る鉛直線に対する、シンブルロッドとシーブ間のロープ部分のなす角度であるフリートアングルを小さくすることができる。これに伴って、前述のように乗かごが最上部にあるときの乗かご底面から昇降路の頂部までの高さ寸法であるオーバーヘッドを比較的小さくすることができる。
【0008】
上述した荷重検出装置を、例えば押圧子と接触子を有するスイッチによって構成し、押圧子と接触子のうちの一方を支持部材に支持させるようにしてもよい。
【0009】
この場合、スイッチの検出範囲を変更可能な設定手段を設けた構成にしてもよい。
【0010】
また、上述した荷重検出装置を、金属検知片と渦電流発生装置とを有する渦電流スペースセンサによって構成し、金属検知片と渦電流発生装置のうちの少なくとも一方を前記支持部材に支持させるようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるエレベータ装置の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図5に示すようにエレベータは、昇降路1内に設けられた乗かご2をかご枠3で支持し、そのかご枠3を複数のロープ4の一端側で吊るし、それらロープ4の他端側をカウンターウエート5に連結させ、それら複数のロープ4を昇降路1の頂部に設置された巻上機のシーブ6によって駆動させるようになっている。ここで同図5に示すオーバーヘッド11は、乗かご2が最上階にあるとき乗かご2底面から昇降路1の頂部までの高さ寸法である。図1の要部正面図,図2の要部側面図に示すように、エレベータの乗かご2が支持されているかご枠3の上梁7に例えば係止部8を形成し、この係止部8にばね10を介してシンブルロッド9が貫通して連結されている。そのシンブルロッド9には、乗かご2を駆動させるための複数のロープ4が接続されている。それぞれのシンブルロッド9は、係止部8を挟んで上下部をそれぞれ例えば枠体より成る部材12,13で連結されている。これらの部材12,13は、シンブルロッド9のそれぞれを一体的に保持するシンブルロッド保持手段を構成している。
【0016】
また、係止部8に支持部材14の一端をねじ15で連結してある。この支持部材14は、シンブルロッド9とほぼ平行に延設され、他端にはシンブルロッド9の自由端部の外側の延長部分に位置するように折り曲げられた折り曲げ部材14aを有する。なお、折り曲げ部材14aは、例えばシンブルロッド9の延長方向に対して直交するように配置してある。
【0017】
また、シンブルロッド9の自由端部の部材13に支持部材16の一端をねじ17で固定してある。この支持部材16はシンブルロッド9とほぼ平行となるように延設され、他端には支持部材14の折り曲げ部14aとほぼ平行となるように、またシンブルロッドの自由端部の外側の延長部分に位置するように折り曲げられた折り曲げ部16aを有する。これら支持部材14,16の折り曲げ部14a、16aの間に、乗かご2の積載荷重を検出する荷重検出装置21が設けられている。すなわち、荷重検出装置21は、シンブルロッド9のそれぞれの自由端部よりも外側に位置するように配置されている。
【0018】
この荷重検出装置21は例えばスイッチから成り、支持部材14の折り曲げ部14aに設置された押圧子18aと、支持部材16の折り曲げ部16aに設置された接触子19とで構成されている。この荷重検出装置21は、乗かご2内の積載荷重に応じて変化する折り曲げ部14a、16a間の距離を、押圧子18aと、接触子19とで検出するようになっている。通常、押圧子18aと接触子19は互いに接触しONの状態になっているが、積載荷重が定格荷重を超えるような重さが乗かご2にかかると押圧子18aと接触子19とが互いに離れ、それまでのON状態がOFF状態になり、電気的に処理されて例えば荷重超過を知らせる警報が鳴るようになっている。なお、押圧子18aと接触子19の相互間の距離を変えることで、荷重検出装置21の測定範囲を調整でき、任意の積載荷重を検出できる。例えば、図1に示すようにスイッチ18を二個設け、一方の押圧子18aを特定の荷重に反応するように設定しておけば、乗客が乗かご内に閉じ込められている状態も検出できる。ただし、これはある時間乗かごが停止している場合に反応するよう電気的に制御するとよい。上述のように、例えば荷重検出装置21を複数設けることにより、積載荷重の検出範囲を変更可能な設定手段が構成される。
【0019】
また、係止部8には荷重検出装置21の測定範囲外に接触子19が移動して当該荷重検出装置21を破壊しないように、シンブルロッド9それぞれの可動範囲を制限するストッパ20が設けられている。
【0020】
上述のように構成した本実施形態を図3によって従来技術と対比すると、以下のようになる。すなわち、同図3の実線で示すように、本実施形態のシンブルロッド9それぞれの間隔は、シンブルロッド9相互間に荷重検出装置21を配置していないため、互いに干渉しない程度まで小さく設定できる。これに対し、同図3の破線で示す従来技術、すなわち前述した公開公報に示される従来技術の場合には、シンブルロッド9相互間に図示しないが荷重検出装置が配置されているため、その分シンブルロッド9相互間の間隔を大きく設定しなければならない。その結果、本実施形態によるフリートアングルθ1に対し、θ2のように大きくなる。したがって、θ2をθ1とするためには、2点鎖線で示すように係止部8とシーブ6との間に高さHの他に、さらに高さαを追加しなければならない。このことは、昨今、機械室レスエレベータの普及に伴い、前述した図5に示すオーバーヘッド11の最小化が求められていることに対応できないことを意味する。本実施形態によれば上記の理由により、距離αを必要としないので、シーブ6から係止部8までの高さHのみで済み、したがって、オーバーヘッド11を比較的小さくすることができる。これにより、できるだけ昇降路1を小さくしたいという要望を満足させることができる。
【0021】
また、本実施形態によれば、荷重検出装置21のそれぞれがシンブルロッド9の外側に配置されているので、エレベータの据付け時や保守点検時の荷重検出装置21の設置作業、点検作業を能率よくおこなうことができる。
【0022】
なお、上記実施形態では、係止部8をかご枠3の上梁7に形成してあるが、この係止部8を昇降路1内の建て屋に設置される梁に設けるように構成してもよい。また、支持部材14aに接触子19を、支持部材16aに押圧子18aを設置してもよい。
【0023】
図4は本発明のエレベータ装置の別の実施形態の要部を示すものである。この別の実施形態では、荷重検出装置が、金属検知片と渦電流発生装置とを有する渦電流スペースセンサ22から成り、支持部材14の折り曲げ部14aに渦電流発生装置を取り付け、支持部材16の折り曲げ部16aをこの渦電流スペースセンサ22の金属検知片とした構成にしてある。
【0024】
前述のスイッチより成る荷重検出装置21と同様に、折り曲げ部14a、16aの間の距離を検出することで乗かご2の積載荷重を検出できる。このように構成したものも、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、金属検知片、渦電流発生装置のうちの一方を折り曲げ部14aに設け、他方を折り曲げ部16aに設けてもよい。
【0025】
また、図示は省略するがさらに別の実施形態として、荷重検出装置を可動子、変圧子を有する差動トランスによって構成し、図1,2に示す支持部材14の折り曲げ部14aに可動子、変圧子のうちの一方を取り付け、支持部材16の折り曲げ部16aに他方を取り付けるようにしてもよい。このように構成したものも、折り曲げ部14a、16aの間の距離を検出することで乗かご2の積載荷重を検出でき、前述の各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0026】
さらに別の実施形態として、荷重検出装置を発光素子と受光素子を有する光センサによって構成し、図1,2に示す支持部材14の折り曲げ部14aに発光素子、受光素子のうちの一方を取り付け、支持部材16の折り曲げ部16aに他方を取り付けるようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、シーブに対するロープのフリートアングルを小さく保った状態にあって、乗かごが昇降路の最上階にあるときの乗かごの底面から昇降路の頂部までの高さ寸法であるオーバーヘッドを従来に比べて小さく設定することができ、昨今要望されている昇降路の小型化を容易に実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレベータ装置の一実施形態の要部を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1に示す一実施形態におけるシーブに対するロープのフリートアングルと、従来技術におけるフリートアングルの関係を説明する図である。
【図4】本発明の他の実施形態の要部を示す正面図である。
【図5】図1に示す一実施形態の要部が含まれるエレベータ装置の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
2……乗かご、4……ロープ、6……シーブ、7……上梁、8……係止部、9……シンブルロッド、10……ばね、11……オーバーヘッド、12,13……部材(シンブルロッド保持手段)、14,16……支持部材、14a,16a……折り曲げ部、18スイッチ本体(荷重検出装置)、18a……押圧子(荷重検出装置)、19……接触子(荷重検出装置)、21……荷重検出装置、22……渦電流スペースセンサ(荷重検出装置)。

Claims (1)

  1. 昇降路内を昇降する乗かごと、この乗かごを懸吊する複数本のロープと、これらの複数本のロープの端部を乗かごが支持されているかご枠に設けられた係止部にばねを介して貫通して連結されるシンブルロッドとを備えたエレベータ装置において、
    前記係止部の上下部に、シンブルロッドのそれぞれを一体的に保持するシンブルロッド保持部材を設け、かつ、前記下方の保持部材と前記係止部のそれぞれに、前記シンブルロッドと平行となるよう下方に延設され、下端がシンブルロッドの自由端部の外側の延長部分に位置するように折り曲げられた折り曲げ部を有する支持部材を設け、この支持部材のそれぞれの折り曲げ部間に、通常は接触状態にあり、前記乗かごに定格荷重以上の重さがかかると前記係止部側の折り曲げ部の下方移動により前記接触状態が離れ、前記乗かごの積載荷重を検出する荷重検出装置を設け、一方、前記シンブルロッドそれぞれの可動範囲を制限するストッパを設けたことを特徴とするエレベータ装置。
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