JP3693822B2 - 自動変速機のドライブダウン変速制御装置 - Google Patents

自動変速機のドライブダウン変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクセル踏み込みダウンシフト時に解放側と締結側とでトルク分担を切り換える過渡期の締結要素圧を制御する自動変速機のドライブダウン変速制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
ドライブダウンシフトは、走っていて力が足りなくなってアクセルペダルを踏み込んだところから始まることが多く、トルクデマンド変速、つまり、もっとトルクの欲しい変速と呼ばれることもある。このダウンシフトでは、締結されている要素が解放され、エンジン回転上昇が始まり、エンジン回転が変速後のギヤ段のレベルとなるのに合わせて解放されている要素が締結されるとダウンシフト完了となる。こういってしまえば簡単のようであるが、この締結タイミングを合わせが至難の技であり、これを自動的に行なうのがワンウェイクラッチであるが、ワンウェイクラッチを変速機構に組み込むと、スペースや重量やコストの面で不利になる。
【0003】
そこで、アキュムレータ背圧制御によりドライブダウンシフト時に解放側と締結側の油圧をうまく制御し、ワンウェイクラッチの廃止を可能とする従来の自動変速機のドライブダウン変速制御装置としては、特開平9−152026号公報に記載の装置が知られている。
【0004】
この従来公報には、変速後期に解放側の油圧を上昇させ、変速後ギヤ比付近でタービン回転数変化を略ゼロに維持し(ダウンシフトの進行を遅らせ)、多少のズレを許容する余裕幅を持たせたタイミングで締結側油圧を立ち上げることにより、引き込みショックや突き上げショックの発生を抑えた回転同期変速を行なおうとする変速技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の自動変速機のドライブダウン変速制御装置にあつては、解放側締結要素に対する解放側油圧制御のみによりタービン回転数の上昇抑制を負担させているものであるため、下記に列挙する問題点を有する。
(1) タービン回転の同期回転維持に要求される解放側油圧(分担圧)に対して、入力トルクや摩擦係数やライン圧のバラツキ等により実際の油圧が分担圧より高くなったり低くなったりしてタービン回転数が狙いとする同期回転からずれてしまい、図9に示すように、大きなショックが出てしまう。
【0006】
すなわち、同期回転数より高い回転数に維持されてしまう空吹け時には、締結側油圧の増加によって、出力軸トルクが増加し、イナーシャエネルギの放出に伴う突き上げショックが発生する。また、同期回転数より低い回転数に維持されてしまう停滞時には、締結側油圧の増加によって、出力軸トルクが減少し、出力軸トルクが一時的に負になる引き込みショックが発生する。
(2) 解放側による同期回転維持がほぼ達成された後に締結側油圧を立ち上げる手順であるため、変速時間が長くなる。
(3) タービン回転数の上昇抑制を負担させている解放側締結要素は、回転差の大きいところで大きなトルクを発生するため、発熱量が増加する。
(4) 同期回転維持に要求される解放側油圧に対して実際の油圧は変動するため、常に閉ループ制御が必要となり、回転数計測精度を上げなければならない。1回1回の回転数計測で同期回転に対する偏差を算出しようとすると、回転変動,入出力軸の回転パルス非同期に起因する回転数更新タイミングのずれ等により入出力回転比が変動する。フィルタリングを行なうと制御が遅れる。
【0007】
ここで、上記(1) に記載のショックは、締結側の油圧をゆっくり上げることで小さくすることができるが、さらに変速時間が長くなるし、解放側の発熱量が増加してしまい、解放側締結要素の耐久劣化を招くという結果となる。つまり、変速ショック防止と短時間変速との両立は不可能である。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ドライブダウン変速において、高い制御精度を必要とすることなく、変速ショック防止と変速時間の短時間化と解放側締結要素の耐久性向上を併せて達成する自動変速機のドライブダウン変速制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(解決手段1)
上記課題の解決手段1(請求項1)は、図1のクレーム対応図に示すように、エンジンからの駆動力が正である状態でダウンシフト指令が出力されると、ダウンシフト前のギヤ段にて締結されていた第1締結要素aを解放し、解放されていた第2締結要素bを締結するという掛け換えによりダウンシフト後のギヤ段を達成する自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
締結油圧がこの油圧以下であれば締結要素に伝達トルクが発生しないと考えられている油圧を"無効油圧"、
締結要素の伝達トルク発生に寄与している油圧で締結油圧全体から無効油圧を差し引いた油圧を"有効油圧"、
あるギヤ段から別のギヤ段へ変速するときに、締結する側の締結要素の伝達トルクを0とした場合に、変速後のギヤ比を保持するために必要な解放する側の締結要素の伝達トルクを"解放する締結要素の分担トルク"、
前記"解放する締結要素の分担トルク"を維持するために必要な有効油圧を"解放する締結要素の分担圧"、
前記解放する側の締結要素の伝達トルクを0とした場合に、変速後のギヤ比を保持するために必要な締結する側の締結要素の伝達トルクを"締結する締結要素の分担トルク"、 前記"締結する締結要素の分担トルク"を維持するために必要な有効油圧を"締結する締結要素の分担圧"、
前記解放する締結要素に実際に発生させる有効油圧の前記"解放する締結要素の分担圧"に対する比を"解放する締結要素の分担率"、
前記締結する締結要素に実際に発生させる有効油圧の前記"締結する締結要素の分担圧"に対する比を"締結する締結要素の分担率"、と定義した時、
前記解放する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す解放側油圧目標値、及び前記締結する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す締結側油圧目標値とを、前記"解放する締結要素の分担率"と前記"締結する締結要素の分担率"の和が1.0より大きく、且つ前記"解放する締結要素の分担率"と前記"締結する締結要素の分担率"のいずれもが1.0より小さいという条件により設定する解放側油圧目標値設定部c、及び締結側油圧目標値設定部dと、
イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記解放側油圧目標値が得られる制御指令を第1油圧制御アクチュエータeに出力する解放側分担制御部fと、
イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記締結側油圧目標値が得られる制御指令を第2油圧制御アクチュエータgに出力する締結側分担制御部hと、
を備えている協働締結制御によるドライブダウン変速制御手段iを設けたことを特徴とする。
(解決手段2)
上記課題の解決手段2(請求項2)は、請求項1記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
解放側締結要素のトルク発生に有効な油圧と分担圧との比の方が締結側締結要素のトルク発生に有効な油圧と分担圧との比よりも常に大きくなるように制御したことを特徴とする。
(解決手段3)
上記課題の解決手段3(請求項3)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1または請求項2記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
前記第1油圧制御アクチュエータeと第2油圧制御アクチュエータgを、ドライブダウン変速制御手段iからの指令により、ドライブレンジ圧を基圧としそれぞれ独立に第1締結要素圧と第2締結要素圧に電子制御する第1圧力制御弁と第2圧力制御弁としたことを特徴とする。
(解決手段4)
上記課題の解決手段4(請求項4)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項3記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
タービン回転数を検出するタービン回転数検出手段jを設け、
前記ドライブダウン変速制御手段iを、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら解放側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる解放側分担制御部fと、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら締結側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる締結側分担制御部hを有する手段としたことを特徴とする。
(解決手段5)
上記課題の解決手段5(請求項5)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項4記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
前記ドライブダウン変速制御手段iに、ダウンシフト指令後に解放側である第1締結要素aの油圧を減少させることによりイナーシャフェーズに移行させる解放側要素抜き制御部kと、
解放側である第1締結要素aの油圧をイナーシャフェーズ開始圧より低い圧で維持することでエンジントルクを利用してダウンシフトを進行させるタービン回転上昇制御部mと、
解放側である第1締結要素aの油圧を所定の勾配にて上昇させることでタービン回転上昇を抑制するタービン回転上昇抑制制御部nを設けたことを特徴とする。
(解決手段6)
上記課題の解決手段6(請求項6)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項5記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
前記ドライブダウン変速制御手段iに、ダウンシフト指令後に締結側である第2締結要素bの油圧を、初期に高い油圧指令を発した後、所定油圧指令を発するピーク&ホールド制御による締結側要素ピストンストローク制御部pを設けたことを特徴とする。
(解決手段7)
上記課題の解決手段7(請求項7)は、図1のクレーム対応図に示すように、請求項1ないし請求項6記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、前記ドライブダウン変速制御手段iに、イナーシャフェーズ終了から変速が完了するまで、締結側と解放側のトルク容量の和を減少させることなく、解放側の油圧を漸減させる解放完了制御部qと、締結側の油圧を漸増させる締結完了制御部rを設けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
実施の形態1は、請求項1〜7に対応する自動変速機のドライブダウン変速制御装置である。
【0011】
まず、実施の形態1のドライブダウン変速制御装置が適用された自動変速機の全体概略を説明する。
【0012】
図2は自動変速機の動力伝達機構を示すスケルトン図である。
【0013】
図2において、INは入力軸、OUTは出力軸、FPGはフロント遊星ギヤ、RPGはリヤ遊星ギヤであり、フロント遊星ギヤFPGは、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1と第1ピニオンP1と第1ピニオンキャリヤC1を有し、リヤ遊星ギヤRPGは、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2と第2ピニオンP2と第2ピニオンキャリヤC2を有する。
【0014】
上記ギヤトレーンを用い前進4速・後退1速の変速段を得る締結要素として、リバースクラッチREV/C(以下、R/C)、ハイクラッチHIGH/C(以下、H/C)、2−4ブレーキ2-4/B、ロークラッチLOW/C(以下、L/C)、ロー&リバースブレーキL&R/B、ローワンウェイクラッチLOW O.W.C が設けられている。
【0015】
前記第1サンギヤS1は、第1回転メンバM1及びリバースクラッチR/Cを介して入力軸INに連結されていると共に、第1回転メンバM1及び2−4ブレーキ2-4/Bを介してケースKに連結されている。
【0016】
前記第1キャリヤC1は、第2回転メンバM2及びハイクラッチH/Cを介して入力軸INに連結されていると共に、第3回転メンバM3及びロー&リバースブレーキL&R/Bを介してケースKに連結されている。また、第1キャリヤC1は、第3回転メンバM3及びロークラッチL/Cを介して第2リングギヤR2に連結されている。尚、ロー&リバースブレーキL&R/Bとは並列配置でローワンウェイクラッチLOW O.W.C が設けられている。
【0017】
前記第1リングギヤR1は、第4回転メンバM4を介して第2キャリヤC2に直結され、されに、第2キャリヤC2には出力軸OUTが直結されている。
【0018】
前記第2サンギヤS2は、入力軸INに直結されている。
【0019】
なお、この動力伝達機構の特徴は、3速と4速の間の変速時に変速ショックのない掛け換えタイミングを得るために採用されていたワンウェイクラッチと、このワンウェイクラッチの採用に伴いエンジンブレーキを確保するために必要とされる油圧締結によるクラッチとを廃止し、締結要素の数を削減することで小型軽量化を達成した点にある。
【0020】
図3は上記動力伝達機構により前進4速・後退1速の変速段を得る締結論理を示す図である。
【0021】
第1速(1st)は、ロークラッチL/Cの油圧締結と、ロー&リバースブレーキL&R/Bの油圧締結(エンジンブレーキレンジ選択時)もしくはローワンウェイクラッチLOW O.W.C の機械締結(加速時)により得られる。すなわち、第2サンギヤ入力、第2リングギヤ固定、第2キャリヤ出力となる。
【0022】
第2速(2nd)は、ロークラッチL/Cと2−4ブレーキ2-4/Bの油圧締結により得られる。すなわち、第2サンギヤ入力、第1サンギヤ固定、第2キャリヤ出力となる。
【0023】
第3速(3rd)は、ハイクラッチH/CとロークラッチL/Cの油圧締結により得られる。すなわち、第2リングギヤと第2サンギヤの同時入力、第2キャリヤ出力となる(変速比=1)。
【0024】
第4速(4th)は、ハイクラッチH/Cと2−4ブレーキ2-4/Bの油圧締結により得られる。すなわち、第1キャリヤ及び第2サンギヤ入力、第1サンギヤ固定、第2キャリヤ出力によるオーバドライブ変速段となる。
【0025】
後退速(Rev)は、リバースクラッチREV/Cとロー&リバースブレーキL&R/Bの油圧締結により得られる。すなわち、第1,第2サンギヤ入力、第1キャリヤ固定、第2キャリヤ出力となる。
【0026】
図4はDレンジ1速〜4速の自動変速やRレンジを達成するための締結要素とコントロールバルブ部と電子制御部によるDESCシステム(ダイレクト・エレクトロニック・シフト・コントロール・システム)を示す図である。
【0027】
図4において、1はライン圧油路、2はマニュアルバルブ、3はDレンジ圧油路、4はRレンジ圧油路、5はパイロット弁、6はパイロット圧油路、7は第1圧力制御弁、8は第2圧力制御弁、9は第3圧力制御弁、10は第4圧力制御弁、11は第5圧力制御弁、12はロークラッチ圧油路、13はハイクラッチ圧油路、14は2−4ブレーキ圧油路、15はロー&リバースブレーキ圧油路、16はリバースクラッチ圧油路、17はA/Tコントロールユニット、18は車速センサ、19はスロットルセンサ、20はエンジン回転センサ、21はタービン回転センサ(タービン回転数検出手段jに相当)、22はインヒビタースイッチ、23は油温センサである。
【0028】
前記各圧力制御弁7,8,9,10,11は、A/Tコントロールユニット17からのデューティ指令に応じてソレノイド圧(一定圧によるパイロット圧Ppここで、Dレンジ時に1速〜4速を自動的に変速する変速制御は、例えば、図5に示すような変速点特性モデル図と、検出されたスロットル開度及び車速に基づき、検出された運転点がアップシフト変速線(実線)あるいはダウンシフト変速線(点線)を横切った時に変速指令が出され、この変速指令により次に移行するギヤ段が決定され、決定されたギヤ段を得るべく変速前に締結されている締結要素を解放し、変速前に解放されている締結要素を締結する油圧制御のデューティ指令をA/Tコントロールユニット17から出力することで行なわれる。
例えば、走行中にアクセル踏み込み操作により運転点が図5のA点からB点に移行し、3−2ダウンシフト変速線を横切ることで行なわれる3−2ドライブダウンシフトの場合には、第3速で締結されているハイクラッチH/C(第1締結要素aに相当)を第2圧力制御弁8(第1油圧制御アクチュエータeに相当)へのデューティ指令により解放し、第3速で解放されている2−4ブレーキ2-4/B(第2締結要素bに相当)を第3圧力制御弁9(第2油圧制御アクチュエータgに相当)へのデューティ指令により締結することで行なわれる。
【0029】
次に作用を説明する。
【0030】
[ドライブダウン変速制御]
各種の変速モードのうちアクセル操作を伴うドライブダウン変速制御は、図6に示すフローチャートにしたがって実行される(ドライブダウン変速制御手段iに相当)。以下、図7に示すタイムチャートを参照しながら各ステップについて説明するが、その前に下記の点について述べておく。
NSTART、NTEND、NT1、NT2の決め方
NSTART=(変速前ギヤ比)×(出力軸回転数)+(回転数計測ばらつき)
NTEND=(変速後ギヤ比)×(出力軸回転数)
NT1=NTEND−NTDIF1
NTDIF1は、タービン回転上昇速度が過大となり、変速終了付近解放側および締結側油圧の立ち上げが遅れないよう、解放側油圧で回転上昇速度を制御できるような値とする。
NT2=NTEND−NTDIF2
NTDIF2は、締結側油圧をPA3、解放側油圧をPR5まで立ち上げるのに必要な油圧応答時間を確保できる値とする。
タービントルクの推定方法
方法1:定常状態における、スロットル開度とタービン回転数に対応した自動変速機への入力トルク(タービントルク)のマップをコンピュータの中に記憶し、運転状態に応じた入力トルクを読み出す。
【0031】
方法2:エンジン制御コンピュータとの通信により、エンジンからエンジンの出力しているトルク値を受信し、これを入力トルクとする。
【0032】
方法3:トルクコンバータのトルク伝達特性データとエンジンおよびトルクコンバータのイナーシャデータを持ち、且つ、タービン回転数の変化速度(加速度)を検出し、トルクコンバータ伝達トルクにエンジンおよびトルクコンバータを加速するためのトルクを加算して、入力トルクとする。
ギヤ比による進行度合いの(ラフ)検知
*解放側制御
ステップ30では、ダウンシフト指令の出力時点からイナーシャフェーズ開始までの領域において、解放側要素の油圧を減少させることによりイナーシャフェーズに移行させる解放側要素抜き制御が行なわれる(解放側要素抜き制御部kに相当)。
【0033】
ステップ31では、タービン回転数NTが変速開始回転数NTSTARTになったかどうかによりイナーシャフェーズ開始か否かが判断される。
【0034】
ステップ32では、イナーシャフェーズ開始時点からタービン回転数NTが第1設定回転数NT1になるまでの領域において、解放側要素の油圧をイナーシャフェーズ開始圧よりデューティパルス設定値PR3による油圧分だけ低い圧とし、この油圧をそのまま維持することでエンジントルクを利用してダウンシフトを進行させるタービン回転上昇制御が行なわれる(タービン回転上昇制御部mに相当)。
【0035】
ステップ33では、タービン回転数NTが第1設定回転数NT1になったかどうかが判断される。
【0036】
ステップ34では、タービン回転数NTが第1設定回転数NT1から第2設定回転数NT2になるまでの領域において、所定の勾配にて上昇するデューティパルスの出力により解放側要素の油圧を上昇させることでタービン回転の上昇を抑制するタービン回転上昇抑制制御が行なわれ、引き続いて、タービン回転数NTが第1設定回転数NT1からイナーシャフェーズ終了までの領域において、解放側油圧目標値を得る上昇勾配のデューティ指令を出力する解放側分担制御が行なわれる(タービン回転上昇抑制制御部nと解放側分担制御部fに相当)。
具体的なタービン回転上昇抑制制御は、タービン回転数NTが第1設定回転数NT1となった時点からのパルス指令上昇勾配RMPを油圧目標値PR4(設定ギヤ比変化率となる値)と第1変速終了推定時間T1(それまでの変速時間×シフト係数)により決めることでなされる。また、解放側分担制御は、タービン回転数NTが第2設定回転数NT2となった時点からのパルス指令上昇勾配RMPRを解放側油圧目標値PR5(例えば、分担圧×0.8となる値)と第2変速終了推定時間T2(それまでの変速時間×シフト係数)により決めることでなされる。
【0037】
ステップ35では、タービン回転数NTが変速終了回転数NTENDになったかどうかによりイナーシャフェーズ終了か否かが判断される。
【0038】
ステップ36では、イナーシャフェーズ終了後、解放側の油圧を設定時間TR2でデューティ指令が最小値となるように漸減させる解放完了制御が行なわれる(解放完了制御部qに相当)。
*締結側制御
ステップ40では、ダウンシフト指令の出力時点からタービン回転数NTが第2設定回転数NT2になるまでの領域において、締結側要素の油圧を、初期に高い油圧を得るデューティ指令PA1を設定時間TA1だけ発した後、所定油圧を保つデューティ指令PA2を発し、イナーシャフェーズ開始後は上乗せ圧を得る上り勾配のデューティ指令RmpA3を発する、ピーク&ホールド制御によりトルク容量を持つ直前の位置まで締結側要素のピストンをストロークさせる制御が行なわれる(締結側要素ピストンストローク制御部pに相当)。ここで、上乗せ圧とは、ピーク&ホールド制御(プリチャージ制御と同義)におけるリターンスプリング相当圧から真のリターンスプリング相当圧を引いた油圧をいう。
【0039】
ステップ41では、タービン回転数NTが第2設定回転数NT2になったかどうかが判断される。
【0040】
ステップ42では、タービン回転数NTが第2設定回転数NT2からイナーシャフェーズ終了までの領域において、締結側油圧目標値が得られる上昇勾配のデューティ指令を出力する締結側分担制御が行なわれる(締結側分担制御部hに相当)。
具体的な締結側分担制御は、タービン回転数NTが第2設定回転数NT2となった時点からのパルス指令上昇勾配RMPAを締結側油圧目標値PA3(例えば、分担圧×0.4となる値)と第2変速終了推定時間T2(それまでの変速時間×シフト係数)により決めることでなされる。
【0041】
ステップ43では、タービン回転数NTが変速終了回転数NTENDになったかどうかによりイナーシャフェーズ終了か否かが判断される。
【0042】
ステップ44では、イナーシャフェーズ終了後、締結側の油圧を設定時間TA2でデューティ指令が最大値となるように漸増させる締結完了制御が行なわれる(締結完了制御部rに相当)。
【0043】
ここで、ステップ36での解放完了制御とステップ44の締結完了制御では、イナーシャフェーズ終了から変速が完了するまで、締結側と解放側のトルク容量の和を減少させることないように油圧が制御される。
【0044】
[協働締結制御作用]
本願発明でいう協働締結制御とは、ドライブダウン変速において、解放側締結要素と締結側締結要素とのトルク和で、変速後のギヤ比(タービン回転数)を保持する制御をいう。
【0045】
この協働締結制御を達成するため、請求項1に記載しているように、“無効油圧”と“有効油圧”と“分担圧”と“分担率”を定義した時、解放側油圧と締結側油圧の各々の有効油圧はダウンシフト後のギヤ比に到達したときの分担圧より低い油圧で、且つ、解放側および締結側の各々の分担率の和が1.0より大きいという条件が成立する解放側油圧目標値PR5(例えば、分担圧×0.8となる値)と締結側油圧目標値PA3(例えば、分担圧×0.4となる値)を設定していて、図8に示す解放側過渡油圧特性と締結側過渡油圧特性を示しながら、ドライブダウン変速が実行されることになる。
【0046】
この協働締結制御作用は、自動変速機のギヤトレーンの入力軸と出力軸の回転比が低速段ギヤ比より小さい時は、解放側は回転上昇を抑制(出力軸トルク正)する方向に作用し、締結側は回転を引き上げて上昇(出力軸トルク負)させる方向に作用するが、回転比が低速段ギヤ比を越えようとすると、解放側と締結側とが共に回転上昇を抑制(出力軸トルク正)する方向に作用することになる。
【0047】
この結果、解放側油圧上昇のみにより変速後のギヤ比付近でのタービン回転数変化を略ゼロとし、締結タイミングを得る従来のドライブダウン変速と比べた場合、協働締結制御には下記の効果がある。
(1) 解放側と締結側の油圧の和を分担圧より大きく設定することにより、空吹けることがなく、油圧や摩擦係数のばらつきによるトルク容量のばらつきや入力トルクのばらつきにも強い。
(2) 解放側油圧目標値PR5が分担圧より小さく設定されているため、発熱量が少なくなる。
(3) 回転同期前に締結側油圧を立ち上げるため、従来例と比べて変速時間が短くなる。この変速時間の短時間化と発熱量が少ないことで、締結要素の耐久性が向上する。
(4) さらに、解放側油圧目標値と締結側油圧目標値の比を、締結側分担率<解放側分担率に設定することにより、解放側油圧目標値が分担圧より低くなる(分担率が1.0より小さくなる)ため、変速の進行(タービン回転の上昇)が途中で停滞することがない。
(5) 解放側と締結側は前述の協働締結制御油圧条件を満たしていれば良く、油圧制御も開ループにて制御されるため、制御精度を必要としない。また、回転数の検出精度も従来例ほど高くなくて良いため、回転センサや油圧制御デバイスを高精度(高価)なものにする必要がなく、ばらつきにも強い。
(その他の実施の形態)
本願のドライブダウン変速制御装置は実施の形態1で示した自動変速機に限らず様々な電子制御タイプの自動変速機のドライブダウン制御装置として適用することができる。
実施の形態1では、解放側油圧目標値として分担圧×0.8となる値、締結側油圧目標値として分担圧×0.4となる値の例を示したが、解放側油圧と締結側油圧の各々の有効油圧はダウンシフト後のギヤ比に到達したときの分担圧より低い油圧で、且つ、解放側および締結側の各々の分担率の和が1.0より大きいという条件が成立する値であれば、実施の形態1の設定値に限られることはない。例えば、解放側(×0.6〜×0.9)程度、締結側(×0.2〜×0.7)程度、ただし解放側と締結側差が0.2以上程度で、分担率の和が1.0以上(ただし、解放側分担率が0.9程度以下、締結側はそれより0.2程度小さい、という条件と、入力トルク推定や油圧生成、摩擦係数等のばらつきを考慮して下限値を1.2程度とすると、1.2〜1.6程度)であれば本発明に含まれる。また、実施の形態1のように、解放側油圧分担率を締結側油圧分担率より高く設定するほうが、駆動力を要求しているアクセル操作に対して出力軸トルクが負になることがないという点で好ましい。
【発明の効果】
請求項1記載の発明にあっては、締結要素の掛け換えによりダウンシフト後のギヤ段を達成する自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、解放する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す解放側油圧目標値、及び締結する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す締結側油圧目標値とを、"解放する締結要素の分担率"と"締結する締結要素の分担率"の和が1.0より大きく、且つ前記"解放する締結要素の分担率"と前記"締結する締結要素の分担率"のいずれもが1.0より小さいという条件により設定する解放側油圧目標値設定部及び締結側油圧目標値設定部と、イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記解放側油圧目標値が得られる制御指令を第1油圧制御アクチュエータに出力する解放側分担制御部と、イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記締結側油圧目標値が得られる制御指令を第2油圧制御アクチュエータに出力する締結側分担制御部と、を備えている協働締結制御によるドライブダウン変速制御手段を設けたため、ドライブダウン変速において、高い制御精度を必要とすることなく、変速ショック防止と変速時間の短時間化と解放側締結要素の耐久性向上を併せて達成する自動変速機のドライブダウン変速制御装置を提供することができるという効果が得られる。
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、解放側油圧目標値及び締結側油圧目標値が得られる時点までの変速中、解放する締結要素に与える有効油圧と解放する締結要素の分担圧との比を、締結する締結要素に与える有効油圧と締結する締結要素の分担圧との比よりも常に大きくなるように制御したため、上記効果に加え、解放側油圧目標値が分担圧より低く(分担率が1.0より小さく)なることで、変速の進行(タービン回転の上昇)が途中で停滞することがない。
請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、第1油圧制御アクチュエータと第2油圧制御アクチュエータを、ドライブダウン変速制御手段からの指令により、ドライブレンジ圧を基圧としそれぞれ独立に第1締結要素圧と第2締結要素圧に電子制御する第1圧力制御弁と第2圧力制御弁としたため、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、棚圧やタイミング等を制御するデバイスやシフト弁をコントロールバルブユニットに備えた従来の集中制御システムに比べ、制御自由度が高く、コントロールバルブユニットの簡略化や軽量化を図ることができる。
請求項4記載の発明にあっては、請求項3記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、タービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を設け、ドライブダウン変速制御手段を、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら解放側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる解放側分担制御部と、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら締結側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる締結側分担制御部を有する手段としたため、請求項3記載の発明の効果に加え、ギヤ比を監視して制御開始タイミングをとる場合のように、車速(変速前後のタービン回転差)によってタイミングが早すぎたり遅すぎることがなく、適切な制御開始タイミングを得ることができる。
請求項5記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項4記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、ドライブダウン変速制御手段に、ダウンシフト指令後に解放側である第1締結要素の油圧を減少させることによりイナーシャフェーズに移行させる解放側要素抜き制御部と、解放側である第1締結要素の油圧をイナーシャフェーズ開始圧より低い圧で維持することでエンジントルクを利用してダウンシフトを進行させるタービン回転上昇制御部と、解放側である第1締結要素の油圧を所定の勾配にて上昇させることでタービン回転上昇を抑制するタービン回転上昇抑制制御部を設けたため、請求項1ないし請求項4記載の発明の効果に加え、変速時間を短時間としながら協働締結制御へのスムーズな移行を達成することができる。
請求項6記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項5記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、ドライブダウン変速制御手段に、ダウンシフト指令後に締結側である第2締結要素の油圧を、初期に高い油圧指令を発した後、所定油圧指令を発するピーク&ホールド制御による締結側要素ピストンストローク制御部を設けたため、請求項1ないし請求項5記載の発明の効果に加え、協働締結制御開始時に即座にトルク容量を発生する締結応答性を確保することができる。
請求項7記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項6記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、ドライブダウン変速制御手段に、イナーシャフェーズ終了から変速が完了するまで、締結側と解放側のトルク容量の和を減少させることなく、解放側の油圧を漸減させる解放完了制御部と、締結側の油圧を漸増させる締結完了制御部を設けたため、請求項1ないし請求項6記載の発明の効果に加え、タービン回転の変動を抑えた状態を維持しながら解放側要素から締結側要素への掛け換えを完了することができる。
また、変速終了後ギヤ段の状態にほじされたとき、出力軸トルクは、解放側締結要素、締結側締結要素それぞれの分担率に応じて変速前ギヤ比に相当する出力軸トルクから変速後ギヤ比に相当する出力軸トルクへと変化するため、変速中の、比較的出力軸トルクが小さい状態から、出力軸トルクが大きい変速後の出力軸トルク状態へ一気に変化することによって発生する駆動系の捩り振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機のドライブダウン変速制御装置を示すクレーム対応図である。
【図2】実施の形態1のドライブダウン変速制御装置が適用された自動変速機の動力伝達機構を示すスケルトン図である。
【図3】実施の形態1のドライブダウン変速制御装置が適用された自動変速機の締結論理表を示す図である。
【図4】実施の形態1のドライブダウン変速制御装置が適用された自動変速機のDESCシステム図である。
【図5】実施の形態1のドライブダウン変速制御装置の変速点特性モデルの一例を示す図である。
【図6】実施の形態1のドライブダウン変速制御作動の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1のドライブダウン変速制御時における出力軸トルクとタービン回転数とギヤ比と解放側デューティパルスと締結側デューティパルスの各過渡特性を示すタイムチャートである。
【図8】実施の形態1のドライブダウン変速制御時における出力軸トルクとギヤ比と解放側油圧と締結側油圧の各過渡特性を示すタイムチャートである。
【図9】従来のドライブダウン変速制御時における出力軸トルクとギヤ比と解放側油圧と締結側油圧の各過渡特性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
a 第1締結要素
b 第2締結要素
c 解放側油圧目標値設定部
d 締結側油圧目標値設定部
e 第1油圧制御アクチュエータ(第1圧力制御弁)
f 解放側分担制御部
g 第2油圧制御アクチュエータ(第2圧力制御弁)
h 締結側分担制御部
i ドライブダウン変速制御手段
j タービン回転数検出手段
k 解放側要素抜き制御部
m タービン回転上昇制御部
n タービン回転上昇抑制制御部
p 締結側要素ピストンストローク制御部
q 解放完了制御部
r 締結完了制御部

Claims (7)

  1. エンジンからの駆動力が正である状態でダウンシフト指令が出力されると、ダウンシフト前のギヤ段にて締結されていた第1締結要素を解放し、解放されていた第2締結要素を締結するという掛け換えによりダウンシフト後のギヤ段を達成する自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    締結油圧がこの油圧以下であれば締結要素に伝達トルクが発生しないと考えられている油圧を"無効油圧"、
    締結要素の伝達トルク発生に寄与している油圧で締結油圧全体から無効油圧を差し引いた油圧を"有効油圧"、
    あるギヤ段から別のギヤ段へ変速するときに、締結する側の締結要素の伝達トルクを0とした場合に、変速後のギヤ比を保持するために必要な解放する側の締結要素の伝達トルクを"解放する締結要素の分担トルク"、
    前記"解放する締結要素の分担トルク"を維持するために必要な有効油圧を"解放する締結要素の分担圧"、
    前記解放する側の締結要素の伝達トルクを0とした場合に、変速後のギヤ比を保持するために必要な締結する側の締結要素の伝達トルクを"締結する締結要素の分担トルク"、 前記"締結する締結要素の分担トルク"を維持するために必要な有効油圧を"締結する締結要素の分担圧"、
    前記解放する締結要素に実際に発生させる有効油圧の前記"解放する締結要素の分担圧"に対する比を"解放する締結要素の分担率"、
    前記締結する締結要素に実際に発生させる有効油圧の前記"締結する締結要素の分担圧"に対する比を"締結する締結要素の分担率"、と定義した時、
    前記解放する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す解放側油圧目標値、及び前記締結する締結要素に与える有効油圧の目標値を示す締結側油圧目標値とを、前記"解放する締結要素の分担率"と前記"締結する締結要素の分担率"の和が1.0より大きく、且つ前記"解放する締結要素の分担率"と前記"締結する締結要素の分担率"のいずれもが1.0より小さいという条件により設定する解放側油圧目標値設定部、及び締結側油圧目標値設定部と、
    イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記解放側油圧目標値が得られる制御指令を第1油圧制御アクチュエータに出力する解放側分担制御部と、
    イナーシャフェーズ終了に近づいた時に前記締結側油圧目標値が得られる制御指令を第2油圧制御アクチュエータに出力する締結側分担制御部と、
    を備えている協働締結制御によるドライブダウン変速制御手段を設けたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  2. 請求項1記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    前記解放側油圧目標値、及び前記締結側油圧目標値が得られる時点までの変速中、解放する締結要素に与える有効油圧と前記解放する締結要素の分担圧との比を、締結する締結要素に与える有効油圧と前記締結する締結要素の分担圧との比よりも常に大きくなるように制御したことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    前記第1油圧制御アクチュエータと第2油圧制御アクチュエータを、ドライブダウン変速制御手段からの指令により、ドライブレンジ圧を基圧としそれぞれ独立に第1締結要素圧と第2締結要素圧に電子制御する第1圧力制御弁と第2圧力制御弁としたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  4. 請求項3記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    タービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を設け、
    前記ドライブダウン変速制御手段を、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら解放側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる解放側分担制御部と、検出されるタービン回転が推定される同期回転数に近づいたら締結側油圧を開ループ制御で油圧を立ち上げる締結側分担制御部を有する手段としたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    前記ドライブダウン変速制御手段に、ダウンシフト指令後に解放側である第1締結要素の油圧を減少させることによりイナーシャフェーズに移行させる解放側要素抜き制御部と、
    解放側である第1締結要素の油圧をイナーシャフェーズ開始圧より低い圧で維持することでエンジントルクを利用してダウンシフトを進行させるタービン回転上昇制御部と、
    解放側である第1締結要素の油圧を所定の勾配にて上昇させることでタービン回転上昇を抑制するタービン回転上昇抑制制御部を設けたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    前記ドライブダウン変速制御手段に、ダウンシフト指令後に締結側である第2締結要素の油圧を、初期に高い油圧指令を発した後、所定油圧指令を発するピーク&ホールド制御による締結側要素ピストンストローク制御部を設けたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項6記載の自動変速機のドライブダウン変速制御装置において、
    前記ドライブダウン変速制御手段に、イナーシャフェーズ終了から変速が完了するまで、締結側と解放側のトルク容量の和を減少させることなく、解放側の油圧を漸減させる解放完了制御部と、締結側の油圧を漸増させる締結完了制御部を設けたことを特徴とする自動変速機のドライブダウン変速制御装置。
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