JP3850647B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の制御装置に関し、詳しくは、変速制御時における空吹けの発生を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行うよう構成された自動変速機が知られている。
上記の摩擦係合要素の掛け替え変速を行う変速制御装置としては、例えば特開平11−030324号公報に開示されるように、各摩擦係合要素への油の供給路にアキュムレータを備え、該アキュムレータの背圧を制御することで油圧の上昇や下降の勾配を抑制するよう構成されると共に、締結側摩擦係合要素の作動圧の立ち上がりに応じて解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をドレンするタイミングを決定するタイミングバルブを備えるものがあった。
【0003】
一方、上記の摩擦係合要素の掛け替え変速を行う変速制御装置において、変速時における空吹けの発生を抑制する技術として、特開平7−012210号公報,特開平5−039843号公報及び特開2000−055180号公報に開示されるようなものがあった。
前記特開平7−012210号公報に開示されるものでは、圧力スイッチによって締結側摩擦係合要素の油圧の上昇を検出して、解放側摩擦係合要素の油圧を抜くタイミングを決定するようにしている。
【0004】
また、特開平5−039843号公報に開示されるものでは、解放側の摩擦係合要素のスリップ量が閾値以上であるときに、解放側摩擦係合要素の油圧を上昇させる一方、前記スリップ量の変化率が0以下であるときに、解放側摩擦係合要素の油圧を低下させるようにしている。
更に、特開2000−055180号公報に開示されるものでは、締結側摩擦係合要素のストローク完了を予測し、ストローク完了に調時させてライン圧の低下を開始させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、圧力スイッチを用いる構成では、圧力スイッチが一般に高価であるため、自動変速機のシステムコストが上昇してしまうという問題があった。
また、解放側の摩擦係合要素のスリップ量に応じて油圧を制御する構成では、微小スリップ量を保持するように解放側摩擦係合要素の油圧を制御して収束させるため、変速時間が間延びしてしまい、変速性能を悪化させる可能性があった。
【0006】
更に、締結側摩擦係合要素のストローク完了に調時させてライン圧の低下を開始させる構成では、ストローク完了時の予測誤差などにより、安定的に空吹けの発生を抑制することができず、また、トルクフェーズにおけるライン圧(元圧)の低下は、クラッチ油圧の応答性を低下させ、更なる空吹けを助長してしまう可能性があった。
【0007】
また、特開平11−030324号公報に開示されるように、締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を基準に、解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をドレンするタイミングを制御する構成では、締結側のアキュムレータ背圧を最適に設定することで、締結側のトルク容量が確保されるタイミングで解放側のトルク容量を下げることができるが、車両を放置している間に摩擦係合要素及び油圧経路内の油が抜けるため、運転開始後にはじめて変速するときに締結側の油圧応答が遅くなって、大きな空吹けを発生させる可能性があった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、特に、締結側摩擦係合要素の作動圧の立ち上がりに応じて解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をドレンするタイミングを決定するタイミングバルブを備えた自動変速機の制御装置において、コストアップや変速時間の間延びを招くことなく、然も、安定的に空吹けの発生を抑制できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1記載の発明では、変速中に、解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを判別し、空吹けの発生から収束するまでの間、主にトルクを伝達している方の摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正する構成とした。
【0010】
かかる構成によると、変速前期の解放側の摩擦係合要素が主にトルクを伝達する状態では、空吹けが発生すると、解放側のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正することで解放側の作動圧を増大させ、空吹けの収束を図る。一方、変速の進行に伴ってトルク伝達の分担が解放側から締結側にシフトするので、変速後期の締結側の摩擦係合要素が主にトルクを伝達する状態では、空吹けが発生すると、締結側のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正することで締結側の作動圧を増大させ、空吹けの収束を図る。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を制御するデューティソレノイドの制御値が、変速開始からの経過時間及び入力軸トルクに基づいて制御される構成であって、前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、変速開始からの経過時間に基づいて判別する構成とした。かかる構成によると、変速開始からの経過時間が所定時間よりも短い変速前期は、解放側が主にトルクを伝達し、変速開始からの経過時間が所定時間よりも長い変速後期は、締結側が主にトルクを伝達しているものと判別される。
【0012】
請求項3記載の発明では、前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を制御するデューティソレノイドの制御値に基づいて判別する構成とした。
かかる構成によると、締結側のアキュムレータ背圧が変速開始からの経過時間に応じて制御される場合であれば、アキュムレータ背圧を制御するデューティソレノイドの制御値に基づき、変速開始からの時間、引いては、解放側と締結側とのいずれが主にトルクを伝達しているかが推定されることになる。
【0013】
請求項4記載の発明では、前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、前記タイミングバルブによるドレン前であるかドレン後であるかによって判別する構成とした。
かかる構成によると、締結側の作動圧が充分に増大してから解放側のアキュムレータ背圧がタイミングバルブによりドレンされるから、ドレン前は解放側がトルクを主に伝達し、ドレン後は締結側がトルクを主に伝達していると判別される。
【0014】
請求項5記載の発明では、各摩擦係合要素に対する油の給排をオン・オフ的に切替えるシフトソレノイドと、前記タイミングバルブにおけるドレン処理の許可・禁止を切替えるタイミングソレノイドと、を備え、解放側の摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を増大補正するときに、前記シフトソレノイドを変速開始前の状態に戻し、かつ、前記タイミングソレノイドにより前記タイミングバルブにおけるドレン処理を禁止する構成とした。
【0015】
かかる構成によると、解放側が主にトルクを伝達する状態で空吹けが発生すると、解放側のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正して、空吹けの収束を図るが、解放側摩擦係合要素においては、シフトソレノイドによって油圧がドレンされる側に切替えられているため、そのままでは解放側の作動圧を十分に増大させることが困難である。そこで、シフトソレノイドを変速開始前の油圧が供給される状態に戻し、かつ、前記タイミングバルブにおけるドレン処理を禁止してアキュムレータ背圧を制御できる状態を確保した上で、解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をステップ的に上昇させる。
【0016】
請求項6記載の発明では、前記アキュムレータ背圧のステップ的な増大補正量を、エンジン回転速度と作動油の温度との少なくとも一方に応じて決定する構成とした。
かかる構成によると、解放側又は締結側の摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正するときの補正量を、エンジン駆動されるオイルポンプの吐出量に相関するエンジン回転速度、及び/又は、作動油の粘性に相関する油温に応じて決定する。
【0017】
請求項7記載の発明では、変速開始から所定期間だけ締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を最大油圧に制御する構成とする一方、前記所定期間をエンジン回転速度と作動油の温度との少なくとも一方に応じて決定する構成とした。
かかる構成によると、変速開始から所定期間だけ締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を最大油圧に制御するプリチャージ制御により、締結側摩擦係合要素に対する油の充填を行い、また、前記プリチャージ制御の期間を、エンジン駆動されるオイルポンプの吐出量に相関するエンジン回転速度、及び/又は、作動油の粘性に相関する油温に応じて決定する。
【0018】
請求項8記載の発明では、空吹けの発生を、変速機構の入力軸回転速度と、変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から算出される基準入力軸回転速度との偏差に応じて検出する構成とした。
かかる構成によると、出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から、変速機構のギヤ比が変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度を算出し、これを基準入力軸回転速度(基準タービン回転速度)として、実際の入力軸回転速度(タービン回転速度)との偏差を求め、実際の入力軸回転速度が基準入力軸回転速度を所定以上に上回ったときに空吹けの発生を検出し、アキュムレータ背圧の増大補正を開始する。
【0019】
請求項9記載の発明では、空吹けの収束を、変速機構の入力軸回転速度と、変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から算出される基準入力軸回転速度との偏差の微分値に基づいて検出する構成とした。
かかる構成によると、変速機構のギヤ比が変速前のギヤ比を維持する場合の入力軸回転速度である基準入力軸回転速度から実際の入力軸回転速度が離れつつあるのか、基準入力軸回転速度に実際の入力軸回転速度が近づきつつあるのかを、実際の入力軸回転速度と基準入力軸回転速度との偏差の微分値に基づいて判断して、空吹けの収束を検出するとアキュムレータ背圧の増大補正を中止する。
【0020】
請求項10記載の発明では、空吹けの発生及び収束を、変速機構の入力軸回転速度及び出力軸回転速度から算出されるギヤ比と所定値との比較に基づいて検出する構成とした。
かかる構成によると、変速機構の入力軸回転速度及び出力軸回転速度からギヤ比を算出し、出力軸回転速度に対して入力軸回転速度が増大してギヤ比(ギヤ比=入力軸回転速度/出力軸回転速度)が所定値よりも増大したときに空吹けの発生を検出し、入力軸回転速度の減少によりギヤ比が所定値よりも小さくなったときに空吹けの収束を検出する。
【0021】
【発明の効果】
請求項1〜4記載の発明によると、主にトルクを伝達している側の摩擦係合要素の作動圧を増大補正するので、伝達トルク容量の増大を応答良く実現して空吹けを応答良く収束させることができるという効果がある。
請求項5記載の発明によると、解放側のアキュムレータ背圧を確実かつ応答良く立ち上げて、締結側の作動圧が充分に増大する前の状態において、空吹けを応答良く収束させることができるという効果がある。
【0022】
請求項6記載の発明によると、アキュムレータ背圧の上昇制御を、オイルポンプの吐出量や作動油の粘性の変化に応じて最適に制御して、伝達トルク容量を過不足なく増大させることができるという効果がある。
請求項7記載の発明によると、締結側摩擦係合要素に油をプリチャージすることで、締結側摩擦係合要素における油圧の応答性を確保でき、以って、空吹けの発生をより効果的に抑制できるという効果がある。
【0023】
請求項8記載の発明によると、空吹けの発生を、車速が変化しても精度良くかつ応答良く検出することができるという効果がある。
請求項9記載の発明によると、空吹けの収束を、入力軸回転速度が変速前の回転速度に近づく傾向に切り換わった時点として、応答良くかつ精度良く検出することができるという効果がある。
【0024】
請求項10記載の発明によると、空吹けの発生及び収束を、車速の変化に関わらずに簡易に検出することができるという効果がある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態における車両の駆動系を示すものであり、エンジン101の出力軸には、トルクコンバータ102を介して自動変速機103が接続され、該自動変速機103の出力軸によって図示しない車両の駆動輪が回転駆動される。
【0026】
前記自動変速機103は、変速機構部103Aと、コントロールバルブ部103Bとからなり、前記コントロールバルブ部103Bは、A/Tコントローラ104によって制御される。
前記A/Tコントローラ104はマイクロコンピュータを内蔵し、A/T油温センサ105,アクセル開度センサ106,車速センサ107,タービン回転センサ108,エンジン回転センサ109,エアフローメータ110等からの検出信号の演算処理によって、前記コントロールバルブ部103Bに制御信号を出力する。
【0027】
図2は、変速機構部103Aを示すスケルトンである。
前記変速機構部103Aは、2組の遊星歯車G1,G2、3組の多板クラッチ(ハイクラッチH/C,リバースクラッチR/C,ロークラッチL/C)、1組のブレーキバンド2&4/B、1組の多板式ブレーキ(ロー&リバースブレーキL&R/B)、1組のワンウェイクラッチL/OWCで構成される。
【0028】
前記2組の遊星歯車G1,G2は、それぞれ、サンギヤS1,S2、リングギヤr1,r2及びキャリアc1,c2よりなる単純遊星歯車である。
前記遊星歯車組G1のサンギヤS1は、リバースクラッチR/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、ブレーキバンド2&4/Bによって固定可能に構成される。
【0029】
前記遊星歯車組G2のサンギヤS2は、入力軸INに直結される。
前記遊星歯車組G1のキャリアc1は、ハイクラッチH/Cにより入力軸INに結合可能に構成される一方、前記遊星歯車組G2のリングギヤr2が、ロークラッチL/Cにより遊星歯車組G1のキャリアc1に結合可能に構成され、更に、ロー&リバースブレーキL&R/Bにより遊星歯車組G1のキャリアc1を固定できるようになっている。
【0030】
そして、出力軸OUTには、前記遊星歯車組G1のリングギヤr1と、前記遊星歯車組G2のキャリアc2とが一体的に直結されている。
上記構成の変速機構部103Aにおいて、前進の1速〜4速及び後退は、図3に示すように、各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせによって実現される。
【0031】
図3において、丸印が締結状態を示し、記号が付されていない部分は解放状態とすることを示すが、特に、1速におけるロー&リバースブレーキL&R/Bの黒丸で示される締結状態は、1レンジでのみの締結を示すものとする。前記図3に示す各クラッチ・ブレーキの締結状態の組み合わせに示すように、例えば、2速から3速へのアップシフト時には、ロークラッチL/Cの締結状態を保持したまま、ブレーキバンド2&4/Bを解放すると同時に、ハイクラッチH/Cの締結を行う。上記のように、クラッチ・ブレーキ(摩擦係合要素)の締結と解放とを同時に制御して摩擦係合要素の掛け替えを行う変速を掛け替え変速と称するものとする。
【0032】
図4は、前記コントロールバルブ部103Bの詳細を示すものである。
図4に示すコントロールバルブ部103Bには、シフトバルブ(A)1と、シフトバルブ(B)2と、L/C&H/C用アキュムコントロールバルブ3と、2&4/B用アキュムコントロールバルブ4と、L/Cタイミングバルブ(A)5と、L/Cタイミングバルブ(B)6と、2&4/Bタイミングバルブ(A)7と、2&4/Bタイミングバルブ(B)8と、L/Cアキュムレータ9と、2&4/Bアキュムレータユニット10と、H/Cアキュムレータユニット11が設けられている。
【0033】
前記シフトバルブ(A)1及びシフトバルブ(B)2は、シフトソレノイド(A)21及びシフトソレノイド(B)22のON・OFFに応じて、1速〜4速(OD)の各変速段に対応する締結・解放の組み合わせに応じた油路の切り替えを行なう。
具体的には、図5に示すように、予め各変速段毎に、シフトソレノイド(A)21及びシフトソレノイド(B)22のON・OFFの組み合わせが決められており、例えば、2速から3速へのアップシフト時には、シフトソレノイド(A)21を継続的にOFFとする一方、シフトソレノイド(B)22をONからOFFに切替える。
【0034】
シフトソレノイド(A)21及びシフトソレノイド(B)22のOFF状態では、シフトバルブ(A)1及びシフトバルブ(B)2において1つの油路から分岐して設けられる対の油路の下側が選択され、逆に、シフトソレノイド(A)21及びシフトソレノイド(B)22のON状態では、前記対の油路の上側が選択される。
【0035】
従って、2速から3速へのアップシフト時には、ブレーキバンド2&4/Bへの油圧供給路がドレン側(図4中に×印で示される)に接続される一方、ロークラッチL/C及びハイクラッチH/Cの油圧供給路には、Dレンジ圧PD供給側が接続される。
前記L/C&H/C用アキュムコントロールバルブ3は、PLデューティソレノイド23により作り出されるソレノイド圧PSOLAの大きさに応じてライン圧PLを減圧し、L/Cアキュムレータ9及びH/Cアキュムレータユニット11の背圧を調圧するアキュムコントロール圧PACCMAを出力する。
【0036】
尚、前記PLデューティソレノイド23により作り出されるソレノイド圧PSOLAは、図示しないプレッシャレギュレータバルブにより作り出されるライン圧PLの信号圧となるモディファイヤ圧を調圧するプレッシャモディファイヤバルブ(P.MF.V)へも導かれる。
前記2&4/B用アキュムコントロールバルブ4は、2&4/Bデューティソレノイド24により作り出されるソレノイド圧PSOLBの大きさに応じてライン圧PLを減圧し、2&4/Bアキュムレータユニット10の背圧を調圧するアキュムコントロール圧PACCMBを出力する。
【0037】
前記L/Cタイミングバルブ(A)5は、L/Cタイミングソレノイド25がOFFの時にL/Cタイミングバルブ(B)6における信号圧油路をドレーン側とし、ONの時に前記信号圧油路を連通側とする切り換えバルブである。
前記L/Cタイミングバルブ(B)6は、4速へのシフトアップ時または4速からのシフトダウン時、即ち、ロークラッチL/Cの解放又は締結を行う変速時に、L/Cアキュムレータ9の背圧制御を行なう。
【0038】
前記2&4/Bタイミングバルブ(A)7は、2&4/Bタイミングソレノイド26がOFFの時に2&4/Bタイミングバルブ(B)8における信号圧油路をドレーン側とし、ONの時に前記信号圧油路を連通側とする切り換えバルブである。
前記2&4/Bタイミングバルブ(B)8は、3速へのシフトアップ時または3速からのシフトダウン時、即ち、ブレーキバンド2&4/Bの解放又は締結を行う変速時に、2&4/Bアキュムレータ10の背圧制御を行なう。
【0039】
前記L/Cアキュムレータ9は、その背圧室にL/Cタイミングバルブ(B)6を介してアキュムコントロール圧PACCMAが導かれ、ロークラッチL/Cの締結・解放を滑らかにする。
前記2&4/Bアキュムレータユニット10は、その背圧室に2&4/Bタイミングバルブ(B)8を介してアキュムコントロール圧PACCMBが導かれ、ブレーキバンド2&4/Bの締結・解放を滑らかにする。
【0040】
尚、前記2&4/Bアキュムレータユニット10は、シリンダ内にピストンとばねを組み込むと共にばねの向きを背圧に対して互いに逆に設定し、棚圧レベルが異なる2段のアキュムレータ特性を得る2つのアキュムレータ10A,10Bにより構成されている。
前記H/Cアキュムレータユニット11は、その背圧室にアキュムコントロール圧PACCMAがそのまま導かれ、ハイクラッチH/Cの締結・解放を滑らかにする。
【0041】
このH/Cアキュムレータユニット11も、シリンダ内にピストンとばねを組み込むと共にばねの向きを背圧に対して互いに逆に設定し、棚圧レベルが異なる2段のアキュムレータ特性を得る2つのアキュムレータ11A,11Bにより構成されている。
ここで、Dレンジ時に1速〜4速を自動的に変速する変速制御は、スロットル開度及び車速に基づき予め設定されたシフトスケジュールに従って変速指令が出され、この変速指令による変速段に変速すべく、図5に示した各変速段毎のシフトソレノイドのON・OFF指令に従って、A/Tコントロールユニット20からシフトソレノイド(A)21とシフトソレノイド(B)22に対しONまたはOFFの指令を出すことで制御される。
【0042】
以下、2速から3速へのアップシフト時を例に変速時の作用を説明すると、2速から3速へのアップシフト時には、シフトソレノイド(A)1を継続的にOFFとする一方、シフトソレノイド(B)22をONからOFFに切替えることで、ロークラッチL/CにはDレンジ圧PDが継続して供給される一方、ブレーキバンド2&4/Bへの油圧供給路がドレンされると共に、それまではドレンされていたハイクラッチH/CにDレンジ圧PDが供給されるようになり、ブレーキバンド2&4/Bの解放とハイクラッチH/Cの締結により、3速での摩擦係合要素の締結・解放状態に切替えられ、2速から3速へのシフトアップが行われる。
【0043】
また、2速から3速へのアップシフトに伴って前記ブレーキバンド2&4/Bの解放するときには、2&4/Bタイミングバルブ7,8によって、前記2&4/Bアキュムレータユニット10の背圧をドレーンするタイミングが制御されるようになっている。
図6のタイムチャートに示すように、2速から3速へのアップシフト時には、シフトソレノイド(A)1を継続的にOFFのままとする一方、シフトソレノイド(B)22をONからOFFに切替え、また、2&4/Bタイミングソレノイド26をOFF状態からON状態に切替える。
【0044】
2&4/Bタイミングソレノイド26がOFFのときは、2&4/Bタイミングバルブ(B)8に対する信号圧がドレンされることで、2&4/Bタイミングバルブ(B)8を図4で左方向に付勢するスプリングによって、前記2&4/Bアキュムレータユニット10の背圧室にはアキュムコントロール圧PACCMBがそのまま導かれ、2&4/Bタイミングバルブ(B)8によるドレン処理は禁止される。
【0045】
一方、2&4/Bタイミングソレノイド26をONにすると、前記2&4/Bタイミングバルブ(A)7は、信号圧油路をドレーン側から連通側に切替え、2&4/Bアキュムレータ背圧をドレンする方向に作用する信号圧として締結側のハイクラッチ圧PHCが供給されるようにし、圧力バランスによるドレン処理が行われ得る状態にする。
【0046】
一方、2&4/Bタイミングバルブ(B)8には、2&4/Bアキュムレータ背圧を供給する方向に作用する信号圧として、締結側のアキュムコントロール圧PACCMAが供給されるようになっている。
これにより、締結側のアキュムレータ背圧であるアキュムコントロール圧PACCMAと締結側の作動圧であるハイクラッチ圧PHCとの差圧ΔPが、設定差圧(スプリング荷重やスプール受圧面積により設定)になるタイミングで、2&4/Bタイミングバルブ(B)8のスプールが2&4/Bアキュムレータ背圧をドレーンする側に切り換えられる。
【0047】
2&4/Bタイミングバルブ(B)8のスプールが2&4/Bアキュムレータ背圧をドレーンする側に切り換えられると、2&4/Bアキュムレータ背圧をドレンする方向に作用する信号圧としてDレンジ圧PDが供給されるようになり、これによって2&4/Bアキュムレータ背圧のドレーン状態が保持される。
締結側であるハイクラッチH/Cは、クラッチピストンのストローク終了後に作動圧が上昇し、この作動圧上昇に伴ってアキュムレータ11Bのピストンストローク作動による第1の棚圧特性を示し、さらに、アキュムレータ11Aのピストンストローク作動による第2の棚圧特性に移行し、アキュムレータ11Aによるストローク作動が終了すると一気にライン圧レベルまで作動圧が上昇し、ハイクラッチH/Cが締結される。
【0048】
一方、解放側であるブレーキバンド2&4/Bは、ライン圧レベルによる作動圧からアキュムレータ背圧レベルまで一気に低下し、締結側の作動圧であるハイクラッチ圧PHCが2&4/Bタイミングバルブ(B)8の切り換え圧になると、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレーンされることで、ブレーキバンド圧P24Bは大きな勾配で低下し、解放圧レベルとなってブレーキバンド2&4/Bが解放される。
【0049】
上記の解放制御時には、予め2&4/Bデューティソレノイド24により作り出されるソレノイド圧PSOLBを最大圧であるライン圧PLから、そのときの入力軸トルクに応じた目標ソレノイド圧PSOLBにまで低下させ、その後、シフトソレノイド(B)22をONからOFFに切替えて、ブレーキバンド2&4/Bの作動圧を、入力軸トルクに応じたアキュムレータ背圧レベルまで低下させるようにしている。
【0050】
尚、ロークラッチL/Cが解放され、ブレーキバンド2&4/Bが締結される3速から4速へのアップシフト時にも、上記同様に、L/Cタイミングバルブ(B)6において、ロークラッチアキュムレータ背圧のドレーンタイミング制御が行なわれる。
上記のように、解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧のドレーンタイミングを制御すれば、摩擦係合要素のばらつきや油圧変動に関わらずに、ドレンタイミングを最適に制御することが可能であるが、特に車両が長時間放置された後の最初の変速時には、クラッチパック内の油が完全に抜けていて通常の油圧応答が得られないため、掛け替え時にトルク容量不足となり、空吹けが発生することがある。
【0051】
そこで、本発明では、前記空吹けを、図7のフローチャートに示すような制御によって抑制するようにしてあり、以下、図6のタイムチャートを参照しつつ、空吹け抑制制御を説明する。
図7のフローチャートは、2速から3速へのアップシフト要求時に実行されるものであり、ステップS1では、ブレーキバンド2&4/Bを解放し、ハイクラッチH/Cの締結するために、シフトソレノイド(B)22をONからOFFに切替え、かつ、2&4/Bタイミングソレノイド26をONにする。
【0052】
ステップS2では、上記制御による2速から3速へのアップシフト中に、空吹けが発生したか否かを判別する。
前記空吹け発生の判別は、自動変速機の出力軸から回転信号を取り出す車速センサ107の検出信号(出力軸回転速度)と、変速前の2速におけるギヤ比とから、基準タービン回転速度NtS(基準入力軸回転速度)を演算し、タービン回転センサ108で検出される実際のタービン回転速度Nt(入力軸回転速度)が、基準タービン回転速度NtS+所定値HYS(1)よりも高くなったときに(Nt>NtS+HYS(1))、空吹けの発生を検出する。
【0053】
また、車速センサ107の検出信号(出力軸回転速度)とタービン回転センサ108で検出されるタービン回転速度Nt(入力軸回転速度)とからギヤ比(ギヤ比=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を演算し、該ギヤ比が、変速前の2速におけるギヤ比を基準に設定される基準ギヤ比(1)よりも大きくなったときに、空吹けの発生を検出するようにしても良い。
【0054】
ステップS2で空吹けの発生が検出されると、ステップS3へ進み、2&4/Bタイミングバルブ(B)8の作用で、解放側である2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされる前であるかドレンされた後であるかを判別する。
前記2&4/Bアキュムレータ背圧のドレン前であるかドレン後であるかの判別の目的は、解放側摩擦係合要素であるブレーキバンド2&4/Bと、締結側摩擦係合要素であるハイクラッチH/Cとのいずれが主にトルクを伝達している状態であるかを判別することにある。
【0055】
2&4/Bタイミングバルブ(B)8はハイクラッチH/Cの作動圧PHCが充分に立ち上がってから2&4/Bアキュムレータ背圧をドレンするので、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされる前は、ハイクラッチH/Cの作動圧PHCが充分に増大しておらず、未だブレーキバンド2&4/Bが主にトルクを伝達している状態であり、一方、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされた後は、ハイクラッチH/Cが主にトルクを伝達している状態であると判別される。
【0056】
従って、前記2&4/Bアキュムレータ背圧のドレン前であるかドレン後であるかの判別は、換言すれば、主にトルクを伝達しているのが解放側であるのか締結側であるのかを判別することになり、例えば、2&4/Bタイミングバルブ(B)8のスプールバルブが2&4/Bアキュムレータ背圧をドレンする位置に変位したこと検出するスイッチ30の信号に基づいて行わせる構成とすることができる。
【0057】
但し、この場合、スイッチ30が必要となるので、より簡便に、変速開始からの経過時間が予め決定された判定時間よりも短いか否かを判別し、経過時間が判定時間よりも短い場合には、解放側が主にトルクを伝達している(解放側アキュムレータ背圧のドレン前である)と判断し、経過時間が判定時間よりも長い場合には、締結側が主にトルクを伝達している(解放側アキュムレータ背圧のドレン後である)と判断させることが好ましい。
【0058】
また、締結側であるハイクラッチH/Cのアキュムレータ背圧を制御するPLデューティソレノイド23は、変速開始からの経過時間及び入力軸トルクに基づいて制御されるようになっているので(図6参照)、前記PLデューティソレノイド23の制御デューティと判定デューティとの比較に基づいて、主にトルクを伝達しているのが解放側であるのか締結側であるのかを推定させることも可能である。
【0059】
即ち、PLデューティソレノイド23の制御デューティは、入力軸トルクに応じた初期値を変速開始から所定時間t1だけ保持したのち、一定の速度で増大し、タービン回転が変速後のギヤ比相当になってから所定時間t2後に、締結状態を保持するための入力軸トルクに応じた値にまでステップ変化するようになっているので、例えば入力軸トルクに応じて判定デューティを設定することで、主にトルクを伝達している要素が解放側から締結側に切り換わるタイミングを、おおよそ判別することが可能である。
【0060】
ステップS3で、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされる前である(変速開始からの経過時間が判定時間よりも短い)と判別されると、トルクを主に伝達しているブレーキバンド2&4/Bの作動圧補正により、空吹けを収束させるべく、ステップS4以降へ進む。
尚、図6は、空吹けが、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされる前(変速開始からの経過時間が判定時間よりも短い状態)で発生して、ステップS4〜ステップS10の処理を行った場合を示している。
【0061】
ステップS4では、まず、2&4/Bタイミングソレノイド26をOFFにすることで、解放側である2&4/Bアキュムレータ背圧が、2&4/Bタイミングバルブ(B)8の作用でドレンされることを阻止する。
また、ステップS5では、2&4/Bアキュムレータ背圧を増大させるべく、2&4/Bデューティソレノイド24の制御デューティをステップ的に増大補正する。
【0062】
具体的には、入力軸トルクに応じたベースデューティを所定の補正量で補正するようにしてあり、前記補正量は、図8に示すように、エンジン回転速度と油温とに応じて設定され、エンジン回転速度が低く油温が低いときほど補正量が大きくなるようにしてある。
本実施形態において、作動油を供給するオイルポンプはエンジン駆動され、エンジン回転速度が低いときほど、オイルポンプの吐出量が少なくなるので、エンジン回転速度が低いときほど補正量を大きくして、解放側のトルク容量が速やかに増大するようにしてある。
【0063】
また、作動油の温度が低いと、油圧応答が遅くなるので、油温が低いときほど補正量を大きくして、解放側のトルク容量が速やかに増大するようにしてある。ステップS6では、ブレーキバンド2&4/Bの油圧供給路がドレンされる状態からDレンジ圧PDが供給される状態、即ち、2速における状態に戻すべく、2速から3速へのアップシフト要求に従ってOFFとしたシフトソレノイド(B)22をONに切替える。
【0064】
上記のように、2&4/Bアキュムレータ背圧を増大させ、かつ、シフトソレノイド(B)22をONに切替えて、Dレンジ圧PDがブレーキバンド2&4/Bに供給される状態にすることで、解放側であるブレーキバンド2&4/Bの作動圧(伝達トルク容量)を増大させて、伝達トルク容量不足による空吹け状態の解消を図る。
【0065】
尚、2&4/Bアキュムレータ背圧を増大させるだけでも、ブレーキバンド2&4/Bのクラッチパックからの排出油量をある程度制限することができるが、空吹けの早期収束には不充分であるため、シフトソレノイド(B)22をONに切替えてブレーキバンド2&4/BのクラッチパックにDレンジ圧PDが供給されるようにしている。
【0066】
ステップS7では、空吹けが収束したか否かを判別する。
この空吹けの収束は、タービン回転速度Ntと前記基準タービン回転速度NtSとの偏差の微分値が所定値HYS(2)(例えば0)よりも小さくなったときに(d/dt(Nt−NtS)<HYS(2))、空吹けの収束を検出する構成とすることができる。これによれば、タービン回転速度Ntが基準タービン回転速度NtSから離れる傾向が、基準タービン回転速度NtSに向けて戻る傾向に変化したときを、空吹けの収束として検出させることができる。
【0067】
また、車速センサ107の検出信号とタービン回転センサ108で検出されるタービン回転速度Ntとからギヤ比(ギヤ比=入力軸回転速度/出力軸回転速度)を演算し、該ギヤ比が、変速前の2速におけるギヤ比を基準に設定される基準ギヤ比(2)よりも小さくなったときに、空吹けの収束を検出するようにしても良い。
【0068】
尚、タービン回転速度Ntと前記基準タービン回転速度NtSとの偏差の微分値に基づいて空吹けの収束を検出する構成であれば、空吹けが収束傾向に反転した時点を応答良く検出でき、過剰な補正を回避しつつ空吹けを短時間に収束させることができ、ギヤ比に基づいて空吹けの収束を検出させる構成よりも好ましい。
【0069】
ステップS7で空吹けの収束が検出されると、通常の2速から3速への変速制御状態に復帰させるべく、ステップS8〜10の処理を行う。
ステップS8では、2&4/Bタイミングソレノイド26をONすることで、解放側である2&4/Bアキュムレータ背圧が、2&4/Bタイミングバルブ(B)8の作用でドレンされるようにする。
【0070】
ステップS9では、2&4/Bアキュムレータ背圧の増大制御を停止し、2&4/Bアキュムレータ背圧をベース値に戻す。
ステップS10では、シフトソレノイド(B)22をOFFに切替え、ブレーキバンド2&4/Bの油圧供給路がドレンされる3速の状態に戻す。
上記のように、解放側であるブレーキバンド2&4/Bが主にトルクを伝達している状態で空吹けが発生したときに、シフトソレノイドを元の2速での制御状態に戻しておいて2&4/Bアキュムレータ背圧を増大させれば、ブレーキバンド2&4/Bの作動圧(トルク容量)を応答良く増大させて、空吹けを短時間で収束させることができる。
【0071】
また、アキュムレータ背圧の増大補正量を、オイルポンプの吐出量に相関するエンジン回転速度と、作動油の粘性を示す油温に応じて設定することで、オーバーシュートさせることなく、伝達トルク容量を空吹けの収束に充分なだけ増大させることができる。
一方、ステップS3で、2&4/Bアキュムレータ背圧がドレンされた後である(変速開始からの経過時間が判定時間よりも長い)と判別されると、トルクを主に伝達しているハイクラッチH/Cの作動圧補正により、空吹けを収束させるべく、ステップS11以降へ進む。
【0072】
ステップS11では、ハイクラッチH/Cのアキュムレータ背圧を増大させるべく、PLデューティソレノイド23の制御デューティをステップ的に増大補正する。
前記制御デューティの増大補正量は、前記ステップS5における処理と同様に、エンジン回転速度と油温とに応じて設定される。
【0073】
ステップS12では、前記ステップS7と同様にして空吹けの収束を検出する。
ステップS12で空吹けの収束が検出されると、ステップS13へ進んで、PLデューティソレノイド23の制御デューティのステップ的な増大補正を中止する。
【0074】
上記のように、締結側であるハイクラッチH/Cが主にトルクを伝達している状態で空吹けが発生したときに、ハイクラッチH/Cのアキュムレータ背圧を増大させれば、ハイクラッチH/Cの作動圧(伝達トルク容量)を応答良く増大させて、空吹けを短時間で収束させることができる。
ところで、空吹けの発生は、締結側の油圧応答の遅れによって発生するものと推定されるので、締結側であるハイクラッチH/Cに対して背圧の制御によってプリチャージを行うようにすることが好ましく、該プリチャージ制御を図9のフローチャートに従って説明する。
【0075】
図9のフローチャートにおいて、ステップS21では、2速→3速のアップシフト開始時であるか否かを判別し、2速→3速のアップシフトが開始されるときに、ステップS22へ進む。
ステップS22では、エンジン回転速度と油温とに応じてプリチャージ時間TIM1を設定する。前記プリチャージ時間TIM1は、図10に示すように、エンジン回転速度が低く油温が低いときほど長くなるようにしてある。これは、前記補正量の設定特性と同様に、エンジン回転速度が低いときほどオイルポンプの吐出量が少なくなり、作動油の温度が低いときほど油圧応答が遅くなるためである。
【0076】
ステップS23では、2速→3速のアップシフトが開始されてからの経過時間を計測するタイマをカウントアップさせ、ステップS24では、前記タイマによる計測時間が前記プリチャージ時間TIM1よりも短いか否かを判別する。
前記タイマによる計測時間が前記プリチャージ時間TIM1よりも短い場合には、ステップS25へ進み、締結側であるハイクラッチH/Cに対するプリチャージを実行する。
【0077】
前記プリチャージは、H/Cアキュムレータ背圧を最大圧に増圧することで行われ、具体的には、PLデューティソレノイド23の制御により、アキュムコントロール圧PACCMAが最大圧であるライン圧に設定されるようにする。
そして、H/Cアキュムレータ背圧を最大圧とするプリチャージを、前記プリチャージ時間TIM1だけ継続すると、ステップS24からステップS26へ進んで、プリチャージを停止させ、H/Cアキュムレータ背圧を入力軸トルクに応じた値に戻す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における車両駆動系を示すシステム図。
【図2】実施形態における変速機構を示すスケルトン図。
【図3】実施形態における各変速段における各摩擦係合要素の締結状態の組み合わせを示す図。
【図4】実施形態におけるコントロールバルブ部を示す油圧回路図。
【図5】実施形態における各変速段におけるシフトソレノイドA,BのON・OFFの組み合わせを示す図。
【図6】実施形態における2速→3速アップシフト時の制御を示すタイムチャート。
【図7】実施形態における2速→3速アップシフト時の解放側の制御を示すフローチャート。
【図8】実施形態における背圧制御量の補正量の特性を示す線図。
【図9】実施形態における2速→3速アップシフト時の締結側のプリチャージ制御を示すフローチャート。
【図10】前記プリチャージ制御におけるプリチャージ時間の特性を示す線図。
【符号の説明】
1…シフトソレノイド(A)
2…シフトソレノイド(B)
3…L/C&H/C用アキュムコントロールバルブ
4…2&4/B用アキュムコントロールバルブ
5…L/Cタイミングバルブ(A)
6…L/Cタイミングバルブ(B)
7…2&4/Bタイミングバルブ(A)
8…2&4/Bタイミングバルブ(B)
9…L/Cアキュムレータ
10…2&4/Bアキュムレータユニット
11…H/Cアキュムレータユニット
21…シフトソレノイド(A)
22…シフトソレノイド(B)
23…PLデューティソレノイド
24…2&4/Bデューティソレノイド
25…L/Cタイミングソレノイド
26…2&4/Bタイミングソレノイド
101…エンジン
102…トルクコンバータ
103…自動変速機
103A…変速機構部
103B…コントロールバルブ部
104…A/Tコントローラ
105…A/T油温センサ
106…アクセル開度センサ
107…車速センサ
108…タービン回転センサ
109…エンジン回転センサ
G1,G2…遊星歯車
H/C…ハイクラッチ
R/C…リバースクラッチ
L/C…ロークラッチ
2&4/B…ブレーキバンド
L&R/B…ロー&リバースブレーキ
L/OWC…ワンウェイクラッチ
Claims (10)
- 異なる2つの摩擦係合要素の締結制御と解放制御とを同時に行う摩擦係合要素の掛け替えによって変速を行う自動変速機であって、各摩擦係合要素への油の供給路にアキュムレータを備えると共に、締結側摩擦係合要素の作動圧の立ち上がりに応じて解放側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をドレンするタイミングを決定するタイミングバルブを備えた自動変速機の制御装置において、変速中に、解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを判別し、空吹けの発生から収束するまでの間、主にトルクを伝達している方の摩擦係合要素のアキュムレータ背圧をステップ的に増大補正することを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 前記締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を制御するデューティソレノイドの制御値が、変速開始からの経過時間及び入力軸トルクに基づいて制御される構成であって、
前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、変速開始からの経過時間に基づいて判別することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。 - 前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を制御するデューティソレノイドの制御値に基づいて判別することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
- 前記解放側摩擦係合要素と締結側摩擦係合要素のうちのどちらが主にトルクを伝達しているかを、前記タイミングバルブによるドレン前であるかドレン後であるかによって判別することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
- 各摩擦係合要素に対する油の給排をオン・オフ的に切替えるシフトソレノイドと、前記タイミングバルブにおけるドレン処理の許可・禁止を切替えるタイミングソレノイドと、を備え、解放側の摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を増大補正するときに、前記シフトソレノイドを変速開始前の状態に戻し、かつ、前記タイミングソレノイドにより前記タイミングバルブにおけるドレン処理を禁止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記アキュムレータ背圧のステップ的な増大補正量を、エンジン回転速度と作動油の温度との少なくとも一方に応じて決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
- 変速開始から所定期間だけ締結側摩擦係合要素のアキュムレータ背圧を最大油圧に制御する構成とする一方、前記所定期間をエンジン回転速度と作動油の温度との少なくとも一方に応じて決定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記空吹けの発生を、変速機構の入力軸回転速度と、変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から算出される基準入力軸回転速度との偏差に応じて検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記空吹けの収束を、変速機構の入力軸回転速度と、変速機構の出力軸回転速度及び変速前のギヤ比から算出される基準入力軸回転速度との偏差の微分値に基づいて検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記空吹けの発生及び収束を、変速機構の入力軸回転速度及び出力軸回転速度から算出されるギヤ比と所定値との比較に基づいて検出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
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